JP4788958B2 - 抗ウイルス性ペプチドおよびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、天然には存在しない形態の独立したペプチド鎖から成る抗ウイルス性を有するオリゴペプチド又はポリペプチド(以下これらを総称して「抗ウイルス性ペプチド」という。)及びその利用、特にそのような抗ウイルス性ペプチドを主成分とする抗ウイルス剤(組成物)とその製造方法に関する。
ウイルス性疾患の予防や治癒に有効な薬剤(抗ウイルス剤)は限られているため、種々のアプローチによって新たな抗ウイルス剤の開発が積極的に進められている。
そのようなアプローチの一つとしてウイルスの増殖を阻止し得るあるいは低減させ得る天然由来或いは人為的に作製された抗ウイルス性ペプチドの探索・開発が進められている。例えば、特許文献1〜3には、これまでに発見または開発された抗ウイルス性ペプチド類が記載されている。
国際公開第WO00/32629号パンフレット 国際公開第WO00/52043号パンフレット 国際公開第WO01/57072号パンフレット R.トルーアント、B.R.カレン(R. Truant and B.R. Cullen)、モレキュラー・アンド・セルラーバイオロジー(MOLECULAR AND CELLULARBIOLOGY)、19巻(2)、1999年、pp.1210−1217 C.J.R.ラーベン、T.P.レビン(C. J. R.Loewen and T. P. Levine)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THEJOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)、280巻(14)、2005年、pp.14097−14104 C.J.R.ラーベン、A.ロイ、T.P.レビン(C. J. R.Loewen, A. Roy and T. P. Levine)、EMBOジャーナル(THE EMBO JOURNAL)、22巻(9)、2003年、pp.2025−2035
本発明は、上記各特許文献に記載されるような従前の抗ウイルス性ペプチドとは異なるペプチドであって、自然界において抗ウイルス性ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なる新たな抗ウイルス性ペプチドを設計することを目的とする。また、本発明により設計された抗ウイルス性ペプチドを製造し、該ペプチドを主成分とする抗ウイルス剤(薬学的組成物)の提供を他の目的とする。さらにまた、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチドの提供を他の目的とする。
本発明によって、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する天然に存在しない人為的に合成されたペプチドが提供される。
即ち、ここで開示される一つの態様の抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、天然に存在しない人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドであって、
(a)核移行性配列(NLS)として知られる少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列又は該NLSに部分的な改変が施されたアミノ酸配列を少なくとも1単位有しており、且つ、
(b)以下の16アミノ酸残基から成る小胞体タンパク質のVAP(Vesicle-Associated
Membrane Protein-Associated Proteins)の保存アミノ酸配列、
F/Y/W-K/G/A-V/I-K-T-T-A/S/N-P/M-K/R-F/Q/R/K-Y/L-C/F/G/S-V-R/D-P-N/P
ここで記号「/」は「又は」の意味であり、記号「−」は隣接するアミノ酸残基同士のペプチド結合を示す;
又は前記VAP保存配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列;
を少なくとも1単位有することを特徴とする抗ウイルス性ペプチドである。
また、ここで開示される他の一態様の抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、天然に存在しない人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドであって、
(a)核移行性配列(NLS)として知られる少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列又は該NLSに部分的な改変が施されたアミノ酸配列を少なくとも1単位有しており、且つ、
(c)以下の7アミノ酸残基から成る脂質結合タンパク質のFFATモチーフを構成するアミノ酸配列、
E/D-F/Y/E-F/Y/H-D-A/V/E/C-X-E/S/T/D/A
ここで記号「/」は「又は」の意味であり、記号「−」は隣接するアミノ酸残基同士のペプチド結合を示し、記号「X」は任意のタンパク質構成アミノ酸を示す;
又は前記FFAT保存配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列;
を少なくとも1単位有することを特徴とする抗ウイルス性ペプチドである。
ここで開示される抗ウイルス剤に含まれる抗ウイルス性ペプチドは、自然界において抗ウイルス性ポリペプチドとして存在しているものではない相互に機能の異なる2種類のポリペプチドにそれぞれ含まれる部分アミノ酸配列を利用して人為的に設計された抗ウイルス性ペプチドである。即ち、本発明者は、そのように人為的に設計・合成されたペプチドが優れた抗ウイルス性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス性を有する、天然に存在しない人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドである。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、抗ウイルス性発現に関与する第1のアミノ酸配列として、核移行性配列(nuclear localization signal sequence:NLS)として広く知られている少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列(NLS)又は該NLSに部分的な改変が施されたアミノ酸配列(以下「NLS関連配列」と総称する場合がある。)を1単位又は2単位以上有している。NLSは種々の生物種やウイルスから同定された配列であり、本来は細胞内で核に移行する種々のポリペプチド中に存在する塩基性アミノ酸に富む部分的なアミノ酸配列である。例えば非特許文献1には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に存在するNLSが記載されている。
また、本発明者は、小胞体タンパク質(ER protein)として種々の生物から同定されたVAP(Vesicle-Associated Membrane Protein-Associated Membrane Proteins)の保存配列(conserved sequence)及び該VAPと相互作用するモチーフ(領域)であって小胞体からゴルジ体へのセラミド輸送を行うセラミド輸送タンパク質(CERT)及び種々の脂質結合タンパク質(lipid binding protein)に存在しているFFATモチーフ(領域)と呼ばれるアミノ酸配列に着目した。そして、これらアミノ酸配列と上記NLS関連配列とが併存するペプチドが優れた抗ウイルス活性を発揮し得ることを見出した。
即ち、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドのあるものは、抗ウイルス性発現に関与する第2のアミノ酸配列として、小胞体膜タンパク質のVAMP(Vesicle-Associated Membrane Protein)に結合するVAP(VAMP-associated protein)に存在する部分アミノ酸配列(領域)であって上記FFATモチーフとの結合にも関与すると考えられるVAPファミリーの保存配列(conserved sequence)である以下の16アミノ酸残基から成る配列:
F/Y/W-K/G/A-V/I-K-T-T-A/S/N-P/M-K/R-F/Q/R/K-Y/L-C/F/G/S-V-R/D-P-N/P(ここで記号「/」は「又は」の意味であり、記号「−」は隣接するアミノ酸残基同士のペプチド結合を示す)又は当該VAP保存配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列(以下「VAP関連配列」と総称する場合がある。)を1単位又は2単位以上有している。例えば非特許文献2には、種々のVAP関連配列が記載されている。
また、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドのあるものは、抗ウイルス性発現に関与する第3のアミノ酸配列として、CERTその他の脂質結合タンパク質に存在し、VAPと相互作用するFFATモチーフである以下の7アミノ酸残基から成る配列:
E/D-F/Y/E-F/Y/H-D-A/V/E/C-X-E/S/T/D/A(ここで記号「/」は「又は」の意味であり、記号「−」は隣接するアミノ酸残基同士のペプチド結合を示し、記号「X」は任意のタンパク質構成アミノ酸を示す)又は当該FFAT配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列(以下「FFAT関連配列」と総称する場合がある。)を1単位又は2単位以上有している。例えば非特許文献3には、種々のFFAT関連配列が記載されている。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、主要構成要素として、少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から構成されるNLS関連配列ならびにVAP関連配列及び/又はFFAT関連配列を有することによって、ヒト及びその他の哺乳類或いは鳥類に感染可能な種々のウイルスに対して高い抗ウイルス活性を発揮し得る。
好ましくは、前記抗ウイルス性ペプチドのペプチド鎖中において、前記(a)のアミノ酸配列(即ちNLS関連配列)と、前記(b)又は(c)のアミノ酸配列(即ちVAP関連配列又はFFAT関連配列)とは、相互に隣接して配置されている。このような配列によって、より高い抗ウイルス活性を発揮させることができる。
また、好ましくは、上記抗ウイルス性ペプチドのペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下である。鎖長が短いペプチドは例えば一般的な化学合成法によって容易に製造及び精製することができるとともに、取扱いが容易である。従って、このようなペプチドを含む抗ウイルス剤は、本発明によって提供される生体内及び/又は生体外での利用に好適な抗ウイルス剤であり得る。
また、好ましくは、抗ウイルス性ペプチドに含まれる上記(a)のアミノ酸配列(即ちNLS関連配列)は、ウイルス由来のNLS又はその改変配列である。ウイルス由来のNLS関連配列を有することにより高い抗ウイルス活性が得られ得る。従って、このようなペプチドを含む抗ウイルス剤は、本発明によって提供される好適な抗ウイルス剤の一態様である。
例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列を有することが好ましい。
また、本発明は他の側面として、ここで開示されるいずれかの抗ウイルス性ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗ウイルス剤を提供する。
本発明により提供される抗ウイルス剤は、ここで開示されるいずれかの抗ウイルス性ペプチドを含有することによって、少なくとも1種のウイルスに対して高い抗ウイルス活性を発揮し得る。
また、本発明は他の側面として、ここで開示される抗ウイルス剤の製造方法を提供する。即ち、本発明によって提供される抗ウイルス剤製造方法は、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、天然に存在しない人為的に合成されたペプチドを主成分とする抗ウイルス剤の製造方法であって:
(a)核移行性配列(NLS)として知られる少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列又は該NLSに部分的な改変が施されたアミノ酸配列を少なくとも1単位有しており、且つ、
以下の(b)および(c)のうちのいずれかのアミノ酸配列:
(b)以下の16アミノ酸残基から成る小胞体タンパク質のVAP(Vesicle-Associated
Membrane Protein-Associated Membrane Proteins)の保存アミノ酸配列、
F/Y/W-K/G/A-V/I-K-T-T-A/S/N-P/M-K/R-F/Q/R/K-Y/L-C/F/G/S-V-R/D-P-N/P
ここで記号「/」は「又は」の意味であり、記号「−」は隣接するアミノ酸残基同士のペプチド結合を示す;
又は前記VAP保存配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列;
(c)以下の7アミノ酸残基から成る脂質結合タンパク質のFFATモチーフを構成するアミノ酸配列、
E/D-F/Y/E-F/Y/H-D-A/V/E/C-X-E/S/T/D/A
ここで記号「/」は「又は」の意味であり、記号「−」は隣接するアミノ酸残基同士のペプチド結合を示し、記号「X」は任意のタンパク質構成アミノ酸を示す;
又は前記FFAT配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列;
を少なくとも1単位有することを特徴とするペプチド鎖を設計すること;
および
前記設計したペプチド鎖から成る抗ウイルス性ペプチドを合成すること;
を包含する。
このようにNLS関連配列ならびにVAP関連配列又はFFAT関連配列を含むように設計したペプチド鎖を合成して得られる抗ウイルス性ペプチドを適当な担体(例えば生理食塩水)と混合することにより本発明の抗ウイルス剤を調製することができる。
好ましくは、前記(a)のアミノ酸配列(NLS関連配列)と、前記(b)又は(c)のアミノ酸配列(VAP関連配列又はFFAT関連配列)とが相互に隣接して配置されるように前記ペプチド鎖を設計する。このことによって、より高い抗ウイルス活性を発揮し得る抗ウイルス剤を提供することができる。
また、好ましくは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下となるように該ペプチド鎖を設計する。このことによって、取扱いが容易で使用勝手のよい抗ウイルス剤を提供することができる。
また、好ましくは、前記(a)のアミノ酸配列(NLS関連配列)として、ウイルス由来のNLS又はその改変配列を採用する。このことによって、より高い抗ウイルス活性の抗ウイルス剤を提供することができる。例えば、NLS関連配列として、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列を採用することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば抗ウイルス性ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする抗ウイルス剤(薬剤組成物)の調製に関するような一般的事項)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、場合に応じてアミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
本明細書において「天然に存在しない人為的に合成されたペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の系(例えば抗ウイルス剤を構成する組成物)の中で安定して存在し得るペプチド断片をいう。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施されたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する抗ウイルス活性を損なうことなく、1個または数個(例えば9個以下、好ましくは5個以下、特に好ましくは2,3個)のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列、疎水性アミノ酸残基が別の疎水性アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、所定のアミノ酸配列について1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施された配列(改変アミノ酸配列)」に包含される典型例である。
本明細書において「抗ウイルス性ペプチド」とは、少なくとも一種のウイルスに対して抗ウイルス活性(増殖阻害活性)を示す複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。アミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書における抗ウイルス性ペプチドに包含される。
即ち、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは天然に存在しない人為的に設計されたペプチドであり、典型的には、抗ウイルス性発現に関与するアミノ酸配列として上記NLS関連配列とVAP関連配列及び/又はFFAT関連配列とを有する比較的短いポリペプチドまたはオリゴペプチドである。
本明細書において、「NLS」または「核移行性配列」とは、特に言及している場合を除き、特定のアミノ酸配列に限定されず、核移行性(核局在性)配列として既に知られており、種々のジャーナルその他のメディアにおいてNLSとして公開されているアミノ酸配列全般を指す。NLSは塩基性アミノ酸残基に富むアミノ酸配列部分(ドメイン)として知られている。
本発明の抗ウイルス性ペプチドを設計するためのNLS関連配列としては、従来、各種の生物やウイルスから発見されたネイティブなNLSの何れかを選択し、その配列のまま利用することができる。ウイルス由来のNLSの採用が好ましい。
特に限定することを意図したものではないが、抗ウイルス剤を調製するために用いられるウイルス由来のNLSの典型例として、HIVのREVタンパク質由来のRQARRNRRRRWR(配列番号1)、HIVのTATタンパク質由来のRKKRRQRRR(配列番号2)、SV40(Simian virus 40)由来のPKKKRKV(配列番号3)が挙げられる。また、配列番号4に示す配列:RKKKRKVは、配列番号3のNLSのN末端プロリン残基をアルギニン残基に置換したNLS改変配列の好適例である。
「VAP」即ちVesicle-Associated Membrane
Protein-Associated Proteinは、小胞体膜タンパク質であるVAMP(Vesicle-Associated
Membrane Protein)に結合する小胞体タンパク質として既に知られている。本発明の抗ウイルス性ペプチドの設計に採用される上記16アミノ酸残基から成る配列はその保存配列として知られている。本発明の抗ウイルス性ペプチドを設計するためのVAP関連配列としては、従来、各種生物から発見されたネイティブなVAP保存配列をそのまま利用することができる。
特に限定することを意図したものではないが、抗ウイルス性ペプチドを設計するために用いられるVAP関連配列の典型例として、ショウジョウバエ由来のFKIKTTAPKRYCVRPN(配列番号7)、シロイヌナズナ由来のFKVKTTSPKKYFVRPN(配列番号8)が挙げられる。
「FFAT配列」は、種々の脂質結合タンパク質の酸性領域に存在し、典型的には二つのフェニルアラニン残基を含むモチーフであり、VAPファミリーの保存された結合部位に結合するモチーフとして既に知られている。本発明の抗ウイルス性ペプチドを設計するためのFFAT関連配列としては、従来、各種生物から発見されたネイティブなFFAT配列をそのまま利用することができる。
特に限定することを意図したものではないが、抗ウイルス性ペプチドを設計するために用いられるFFAT関連配列の典型例として、ヒト由来のEFFDAPE(配列番号5)或いはEFFDARE(配列番号6)が挙げられる。
好ましくは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の50%以上がNLS関連配列ならびにVAP関連配列及び/又はFFAT関連配列で構成されるペプチドである。ここでNLS関連配列、VAP関連配列又はFFAT関連配列について1単位(unit)とは、当該関連配列を構成する一つの配列部分(領域若しくはモチーフ)を指す。従って、あるペプチド鎖にNLS関連配列又はVAP関連配列又はFFAT関連配列が2単位含まれるというときは、それらが同種であるか異種であるかを問わず相互に独立してNLS関連配列又はVAP関連配列又はFFAT関連配列と認められる配列が当該ペプチド鎖中に二つ存在することを意味する。例えば、配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列がタンデムに2つ並ぶペプチド鎖の場合、当該ペプチドはNLS関連配列を2単位有することとなる。同様に、例えば、配列番号5〜6のいずれかに示されるアミノ酸配列がタンデムに2つ並ぶペプチド鎖の場合、当該ペプチドはFFAT関連配列を2単位有することとなる。
1単位のNLS関連配列ならびにVAP関連配列又はFFAT関連配列から構成される短いペプチド鎖から成るペプチドはここで開示される抗ウイルス性ペプチドの典型例であり、抗ウイルス剤の主成分たる抗ウイルス性ペプチドとして好適である(後述する実施例参照)。NLS関連配列とVAP関連配列又はFFAT関連配列との配列順序は特に限定されないが、N末端側にNLS関連配列が配置され、そのC末端側にVAP関連配列又はFFAT関連配列が配置されることが好ましい。この場合、隣接する一方の抗ウイルス関連配列(例えばNLS関連配列)のC末端アミノ酸と、他方の抗ウイルス関連配列(例えばVAP関連配列又はFFAT関連配列)のN末端アミノ酸とが直接結合した形態(後述する各実施例参照)が好ましい。或いは、隣接するNLS関連配列とVAP関連配列又はFFAT関連配列との間にリンカーとして1〜数個の適当なアミノ酸残基が介在してもよい。
例えば、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドの好ましい一態様として、ペプチド鎖のN末端側を構成するアミノ酸配列(NLS関連配列)が、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列であり、且つ、当該N末端側を構成するアミノ酸配列のC末端側に隣接するアミノ酸配列(VAP関連配列又はFFAT関連配列)が、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列であるものが挙げられる。
全体のアミノ酸配列に対するNLS関連配列ならびにVAP関連配列又はFFAT関連配列の占める割合(即ちペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に占める抗ウイルス関連配列部分を構成するアミノ酸残基数の個数%)は、50%以上であれば特に限定はないが、70%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましい。ペプチド鎖の実質的に全てがNLS関連配列ならびにVAP関連配列及び/又はFFAT関連配列により構成されたペプチドが好適である。
なお、本発明の抗ウイルス性ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗ウイルス活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドの鎖長(即ち総アミノ酸残基数)は、NLS関連配列、VAP関連配列又はFFAT関連配列の長さに応じて異なり得るので特に限定されないが、全アミノ酸残基数が100以下(典型的には50以下)であることが適当であり、特に30以下程度であることが好ましい。例えば、20〜30個程度のアミノ酸残基で構成されるものは高い抗ウイルス活性を奏し得ると共に合成が容易であり利用し易い。
なお、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で抗ウイルス活性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、抗ウイルス剤に適用する抗ウイルス性ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的には30以下程度(特に10〜30)のアミノ酸残基数)のものが好適である。
なお、NLS関連配列、VAP関連配列及びFFAT関連配列は、それぞれ、ネイティブなNLS、VAP保存配列及びFFATモチーフの配列をそのまま採用し得るが、いずれかのネイティブなアミノ酸配列の改変配列、例えば1個若しくは複数(好ましくは2〜5個程度)のアミノ酸残基を置換、欠失及び/又は付加して成るNLS関連配列、VAP関連配列及びFFAT関連配列を採用しても、抗ウイルス性ペプチド(ペプチド鎖)を容易に設計することができる。
例えばネイティブないずれかのアミノ酸配列(例えば配列番号3のNLS)を改変配列作成のためのベースとし、そこから適当な抗ウイルス活性試験(例えばin vitroで行われる種々の増殖抑制試験)を指標として該配列を改変していくことができる。具体的な改変の手段としては、アミノ酸残基の置換、欠失又は付加(挿入)が挙げられる。即ち、ネイティブなアミノ酸配列を基にして1〜数個のアミノ酸残基の置換、欠失又は付加(挿入)を任意に行い、それら改変配列を含むペプチドを製造し、所定の抗ウイルス活性試験(後述する実施例参照)を行う。このことによって当該改変配列が抗ウイルス性ペプチドを設計するために好ましいものであるか否かを容易に判別することができる。
例えば、製造コストを下げる或いは化学合成を容易にするという観点からはアミノ酸残基の欠失が好ましい。例えば、上記16アミノ酸残基から成るVAP保存配列のうちから1個又は2,3個程度のアミノ酸残基を欠失させて成るVAP改変配列を利用し得る。
一方、構造安定性を向上させるという観点からはアミノ酸残基の付加が好ましい。例えば、上記7アミノ酸残基から成るFFATモチーフに1個又は2,3個程度のアミノ酸残基を付加させて成るFFAT改変配列を利用し得る。
また、抗ウイルス活性を向上させるという観点からはアミノ酸残基の置換が好ましい。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドの好ましい一態様として、ペプチド鎖のN末端側を構成するアミノ酸配列(NLS関連配列)であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列と、当該N末端側を構成するアミノ酸配列のC末端側に隣接するアミノ酸配列(VAP関連配列又はFFAT関連配列)であって、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列と、から構成されるものが挙げられる。
使用される抗ウイルス性ペプチドは、抗ウイルス性を失わない限りにおいて、抗ウイルス関連配列に含まれ得ない配列を部分的に含み得る。特に限定するものではないが、かかる部分配列としてはペプチド鎖における抗ウイルス関連配列部分の3次元形状(典型的には直鎖形状)を維持し得る配列が好ましい。
また、使用される抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、抗ウイルス性ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて抗ウイルス性ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗ウイルス性ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗ウイルス性ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した抗ウイルス性ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の抗ウイルス性ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology,
19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein
synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにして、利用するアミノ酸配列をひとたび決定し、ペプチド鎖を設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の抗ウイルス性ペプチドを容易に合成・生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の抗ウイルス性ペプチドを容易に生産することができる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの抗ウイルス性ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)を提供する。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。
例えば、好ましいポリヌクレオチドとして、配列番号9〜配列番号12のいずれかに示されるアミノ酸配列(または該配列において部分的な改変が施されて成る改変配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)が挙げられる。なお、各アミノ酸を規定するコドンの選択には特に制限はなく、利用可能な宿主細胞における使用頻度を考慮しつつ適宜選択すればよい。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、抗ウイルス性ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
例えば本発明によると、ネイティブなNLSを改変して創出した配列及び/又はネイティブなVAP保存配列又はFFAT配列を改変して創出した改変配列を含む新規なアミノ酸配列の抗ウイルス性ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の抗ウイルス性ペプチドは少なくとも一種のウイルスに対して高い抗ウイルス活性を有する。例えば、種々のヘルペスウイルスのような2本鎖DNAウイルスに対して高い抗ウイルス活性を発揮し得る。また、フラビウイルス科やレトロウイルス科に属するような1本鎖RNAウイルスに対しても抗ウイルス活性を発揮し得る。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、比較的広い抗ウイルススペクトルを有しており、抗ウイルス剤の主成分として好適に用いられる。例えば、ウイルス感染症の治療、性病のようなウイルス性疾患の予防、口腔内洗浄(うがい)や目の洗浄、等の目的に用いられ得る。
なお、抗ウイルス剤に含有される抗ウイルス性ペプチドは、抗ウイルス活性を損なわない限りにおいて、塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る該ペプチドの酸付加塩を使用することができる。或いは、抗ウイルス活性を有する限り、他の塩(例えば金属塩)であってもよい。
このような目的に使用される抗ウイルス剤は、主成分たる抗ウイルス性ペプチドの他、薬学(製薬)上許容され得る種々の担体(媒体、キャリア等)を含み得る。希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体が好ましい。抗ウイルス剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理食塩水のような生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。例えば、適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。或いはリポソームであってもよい。また、抗ウイルス剤に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
抗ウイルス剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセルが挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。抗ウイルス剤に含まれる担体は、抗ウイルス剤の形態に応じて異なり得る。
なお、抗ウイルス性ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
本発明によって提供される抗ウイルス剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
ここで開示される抗ウイルス関連配列を含む抗ウイルス性ペプチドは、比較的高い濃度のカチオン、塩類(例えば塩化ナトリウム)或いは血清のような有機物が存在する系においても高い抗ウイルス活性を維持し得る。従って、ここで開示される抗ウイルス剤は、カチオン、塩類や血清等が存在する系(場)での使用に好適である。例えば、本発明によって提供される抗ウイルス剤は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射或いは灌腸によって患者に投与することができる。
或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。また、衛生陶器表面の洗浄目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の抗ウイルス性ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
また、本発明の抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、抗ウイルス性ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時、生体(細胞)内で本発明に係る抗ウイルス性ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、ウイルス感染を予防し又は治療する薬剤として有用である。
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器の培養時のウイルス感染を防止することは重要である。ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、哺乳動物細胞及び組織に対する毒性が極めて低く、ウイルスに選択的に抗ウイルス作用を示し得る。このため、培養臓器等のウイルス感染を防止する薬剤として極めて有用である。例えば、後述する実施例に示すように、適当な濃度で本発明の抗ウイルス性ペプチド単独又は当該ペプチドを主成分の一つとする抗ウイルス剤を培養液中に添加することにより、培養中の臓器等のウイルス感染を防止することができる。
また、培養細胞や培養組織に対して、本発明の抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗ウイルス性ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント又はRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする培養組織に導入することにより、常時或いは所望する時期に培養組織(細胞)内で本発明に係る抗ウイルス性ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明によって提供される本発明の抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、培養組織のウイルス感染を防止する薬剤として有用である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:ペプチド合成>
計8種類のペプチド(サンプル1〜4、比較サンプル1〜4)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。表1には、これら合成ペプチドのアミノ酸配列を列挙している。
Figure 0004788958
表1に示すように、サンプル1〜4は、いずれも1単位のNLS関連配列と1単位のVAP関連配列又はFFAT関連配列とを相互に隣接して有している。
即ち、サンプル1のペプチド(配列番号9)は、ペプチド鎖のN末端側にNLS関連配列としてHIVのREVタンパク質由来のRQARRNRRRRWR(配列番号1)を有し、そのC末端側にFFAT関連配列としてヒト由来のEFFDAPE(配列番号5)を有している。
サンプル2のペプチド(配列番号10)は、ペプチド鎖のN末端側にNLS関連配列としてRQARRNRRRRWR(配列番号1)を有し、そのC末端側にFFAT関連配列としてヒト由来のEFFDARE(配列番号6)を有している。
サンプル3のペプチド(配列番号11)は、ペプチド鎖のN末端側にNLS関連配列としてSV40由来のNLS(配列番号3)の改変配列であるRKKKRKV(配列番号4)を有し、そのC末端側にVAP関連配列としてショウジョウバエ由来のFKIKTTAPKRYCVRPN(配列番号7)を有している。
サンプル4のペプチド(配列番号12)は、ペプチド鎖のN末端側にNLS関連配列としてRQARRNRRRRWR(配列番号1)を有し、そのC末端側にVAP関連配列としてシロイヌナズナ由来のFKVKTTSPKKYFVRPN(配列番号8)を有している。なお、いずれのサンプルペプチドも、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。
一方、比較サンプル1のペプチドは、NLS関連配列であるRQARRNRRRRWR(配列番号1)のみから成る。比較サンプル2のペプチドは、NLS関連配列であるRKKKRKV(配列番号4)のみから成る。比較サンプル3のペプチドは、FFAT関連配列であるEFFDAPE(配列番号5)のみから成る。比較サンプル4のペプチドは、VAP関連配列であるFKIKTTAPKRYCVRPN(配列番号7)のみから成る。
上述した各ペプチドは、市販のペプチド合成機(PEPTIDE SYNTHESIZER
9050、PerSeptive Biosystems社製品)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。アミノ酸配列のC末端をアミド化する場合には、固相担体として「Rink Amide resin (100〜200 mesh)」 を使用した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m-クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で2時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak
Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。即ち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離した各ペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ペプチドの抗ウイルス活性>
各サンプルの抗ウイルス性ペプチド及び各比較サンプルのペプチドについて、抗ウイルス活性(ウイルス増殖抑制効果)を調べた。本実施例では、対象ウイルスとしてHVT(七面鳥ヘルペスウイルス)を使用し、プラークアッセイ法に基づいて力価を測定した。
即ち、SPF(特定病原体未感染)の発育鶏卵(日生研株式会社より購入)から調製した鶏胚繊維芽(CEF)細胞をライボビッツ/マッコイ5A(1:1)混合培地(LM培地)を使用して37℃で単層培養した。培養物をトリプシン消化して培養皿から剥がし、50mLの遠心チューブに移した。遠心分離後に上清を捨て、LM培地で懸濁した。
ウイルス力価を予め測定しておいたHVT(ワクチンとして用いられているFC−126株)をこの懸濁細胞で2mLあたり100プラーク形成単位(PFU)又は400PFUになるように希釈した。この希釈液を6ウェルプレートの各ウェルに2mLずつ撒布した。次いで、被検ペプチド(サンプル1〜4、比較サンプル1〜4)を2.1mM、1050μM、210μMとなるようにPBSで希釈し、各ウェルに0.1mLずつ添加した。添加後の各ウェルの最終濃度は、それぞれ、100μM、50μM、10μMとなる。対照区としてペプチドを含まないPBSを0.1mL添加したウェルを用意した。
また、被検ペプチドの細胞毒性を調べるためのコントロール群として、ウイルスを全く含まないCEF細胞のみの懸濁液を2mLずつ撒布したウェルを用意し、各濃度のペプチドを0.1mLずつ添加した。
その後、上記6ウェルプレートをCOインキュベーター(5%CO)に入れて37℃で6日間培養し、出現したHVTプラークの数と大きさを観察した。ここで、ペプチド無添加のウェルと比較して、ペプチドを添加してもプラーク数の減少やプラークサイズの縮小が認められない場合、そのペプチドのウイルス増殖抑制効果は無しと判断した。一方、プラーク数やプラークサイズの小さくなったウェルが存在した被検ペプチドについては、各ウェルの力価を測定し、ペプチド無添加でのウイルス量と比較することによってウイルス増殖抑制効果(抗ウイルス活性)を数値化した。
HVTウイルス力価の測定法は、各ウェル中の細胞をトリプシン消化して回収し、段階希釈して再度CEF細胞と混合して6ウェルプレートに撒いて37℃で培養し、6日後に出現するプラーク数をカウントした。ペプチド無添加のウェルのウイルス力価(PFU/mL)を1として、各ペプチド濃度でのウイルス力価の相対比を求めた。即ち、各被検ペプチドのウイルス増殖抑制効果はこの相対比(Ratio)の数値を用いて比較することができる。
結果を表2に示す。
Figure 0004788958
表2より明らかなように、NLS関連配列と、VAP関連配列又はFFAT関連配列とを有する各サンプルペプチドは、いずれも良好な抗ウイルス活性(ウイルス増殖抑制効果)を示した。特にNLS関連配列とVAP関連配列とを有するサンプル3及び4のペプチドは優れた抗ウイルス活性を示した。
他方、NLS関連配列のみ、FFAT関連配列のみ或いはVAP関連配列のみから成る各比較サンプルペプチドは、抗ウイルス活性(ウイルス増殖抑制効果)は全く認められなかった。
なお、いずれのサンプルについても細胞毒性は認められず、本発明によって提供される抗ウイルス剤の有用性が示された。
<実施例3:顆粒剤の調製>
サンプル1のペプチド50mgと結晶化セルロース50mg及び乳糖400mgとを混合した後、エタノールと水の混合液1mLを加え混練した。この混練物を常法に従って造粒し、抗ウイルス性ペプチドを主成分とする顆粒剤(顆粒状抗ウイルス剤)を得た。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本実施例では、VAP関連配列として、上述の16アミノ酸残基から成るVAP保存配列がとり得る組み合わせ27648通り(即ちN末端側から3×3×2×1×1×1×3×2×2×4×2×4×1×2×1×2=27648通り)のうちの2通りのみを採用しているが、他の27646通りのいずれの配列から成るVAP関連配列であってもよい。
また、本実施例では、FFAT関連配列として、上述の7アミノ酸残基から成るFFATAモチーフの配列においてXの位置にP又はRを当てはめるとともに、その他の位置のアミノ酸残基についてはN末端側からE−F−F−D−A−P/R−Eと固定した2通りのみを採用しているが、選択可能な各アミノ酸残基の組み合わせとしてとり得るいずれの配列から成るFFAT関連配列(即ちN末端側から2×3×3×1×4×2(P又はR)×5=720通り)であってもよい。また、Xの位置にP及びR以外のアミノ酸残基(例えばQ、C、E、V、D、H、S、N、A、L、W、M又はY)を当てはめてもよい。
<配列表フリーテキスト>
配列番号4 設計されたNLSペプチド。
配列番号9 設計された抗ウイルス性ペプチド。
配列番号10 設計された抗ウイルス性ペプチド。
配列番号11 設計された抗ウイルス性ペプチド。
配列番号12 設計された抗ウイルス性ペプチド。

Claims (5)

  1. 少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、天然に存在しない人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドであって、
    ペプチド鎖のN末端側を構成するアミノ酸配列であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列と、
    前記N末端側を構成するアミノ酸配列のC末端側に隣接するアミノ酸配列であって、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列と、
    から構成される、抗ウイルス性ペプチド。
  2. 配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列、によって構成される、請求項1に記載の抗ウイルス性ペプチド。
  3. 請求項1又は2に記載の抗ウイルス性ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む、抗ウイルス剤。
  4. 少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、天然に存在しない人為的に合成されたペプチドを主成分とする抗ウイルス剤の製造方法であって:
    ペプチド鎖のN末端側を構成するアミノ酸配列であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列と、
    前記N末端側を構成するアミノ酸配列のC末端側に隣接するアミノ酸配列であって、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列と、
    から構成されるペプチド鎖を設計すること;および
    前記設計したペプチド鎖から成る抗ウイルス性ペプチドを合成すること;
    を包含する製造方法。
  5. 配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12から成る群から選択されるいずれかの配列番号に示すアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列について1個又は2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列、によって構成されるペプチド鎖から成る抗ウイルス性ペプチドを合成する、請求項4に記載の製造方法。
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