JP5218844B2 - 人工抗菌ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、天然には存在しない形態の独立したペプチド鎖から成る抗菌性を有するオリゴペプチド又はポリペプチド(以下「抗菌ペプチド」という。)及びその利用、特に該抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤(組成物)に関する。
本願は2006年9月14日に出願された日本国特許出願第2006−249283号に基づく優先権を主張しており、この出願の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
抗菌ペプチドは一般に幅広い抗菌スペクトルを有し、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられていることから、ヒト及び動物の細菌感染性疾患の予防や治療、或いは、食材等の物品に抗菌性を付与する目的での利用が期待されている。これまでに多くの抗菌ペプチドが種々の動植物から単離されている。例えば、特開2000−63400号公報および特開2001−186887号公報には、種々の天然由来の抗菌ペプチドが記載されている。
一方、本発明者等は、このような自然界に抗菌ペプチドとして存在しているものを単離するアプローチとは全く異なるアプローチで人工的な抗菌ペプチドの開発に成功した。
即ち、本発明者等は、本来は細胞内で核に移行する種々のポリペプチド中に存在する部分的な配列である核移行性配列(nuclear localization signal sequence:以下、NLSという。)に着目し、種々の生物種やウイルスから単離されたNLSをペプチド鎖に有する合成抗菌ペプチドを開発した。詳しくは、国際公開第WO03/91429号を参照されたい。
ところで、上記国際公開第WO03/91429号に開示されているような、抗菌性に関与するアミノ酸配列としてNLSのみ備える抗菌ペプチド(以下「NLS抗菌ペプチド」という。)は、広範な抗菌スペクトルを示すものの、一般にグラム陰性細菌に対する抗菌活性はグラム陽性細菌に対する抗菌活性よりも低かった。また、従来よりも低濃度で優れた効果を発揮し得るように、より抗菌活性の高いNLS抗菌ペプチドが求められる。
そこで本発明は、既存のNLS抗菌ペプチドに関する上記課題を解決すべく開発されたものであり、従来よりも抗菌活性が高い及び/又はグラム陰性細菌に対する抗菌活性に優れる改良型NLS抗菌ペプチドの提供を目的とする。また、そのような改良型抗菌ペプチドを有効成分として含む抗菌剤(薬学的組成物)の提供を更なる目的とする。また、改良型抗菌ペプチドから派生するものであって種々の抗菌用途に利用し得るもの(例えばDNAその他のポリヌクレオチド)および方法の提供を他の目的とする。
本発明によって提供される抗菌ペプチドは、従前知られている抗菌ペプチドとは異なるアプローチにより開発されたペプチドであり、自然界において抗菌ペプチドとして存在するポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を利用して創出された人工抗菌ペプチドである。
本発明者は、上記目的のために、種々のタンパク質のアミノ酸配列を解析し、毛様体神経栄養因子(Ciliary neurotrophic factor:以下、CNTFという。)と呼ばれる神経の分化誘導に関与するタンパク質に着目した。さらに、CNTFが有する4つのαへリックス構造部分のうち、N末端側から第4番目のへリックス構造部分であるへリックスDのN末端側先端領域、詳しくはへリックスDとそのN末端側のCDループ(即ちN末端側から第3番目のへリックスC部分と、へリックスD部分との間のループ構造部分)との境界を含む「D1モチーフ(D1 motif)」あるいは「D1キャップ領域(D1 cap region)」とも呼ばれる領域に着目した。例えば、以下の文献:
J. F.バザン(J. F. Bazan)、 ニューロン(Neuron)、7巻、1991年、pp.197−208;および
M イノウエ, C ナカヤマ, K. キクチ, T. キムラ, Y. イシゲ, A. イトウ, M. カナオカ, H. ノグチ(M. Inoue, C. Nakayama, K. Kikuchi, T. Kimura, Y. Ishige, A. Ito, M. Kanaoka, and H. Noguchi)、 PNAS(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、92巻、1995年、pp.8579−8583;
を参照されたい。
CNTFは、複数のサブユニット(即ち、LIFRと呼ばれる白血病阻害因子受容体(leukemia inhibitory factor receptor-β)、gp130と呼ばれるタンパク質、およびCNTFαレセプタータンパク質)から成るCNTFレセプター複合体(CNTFRs)に結合するが、上記D1モチーフは、かかるCNTFRsの認識若しくは結合ならびにCNTFRsの生物学的活性化(biological activation)に関与していると考えられている構造部分である。これは、例えば上記Inoue等による文献および以下の文献:
A. ディ・マルコ, I. グロアガン, R. グラツィアーニ, G. パオネサ, I. サッジオ, K. R. ハドソン, and R. ロイファー(A. Di Marco, I. Gloaguen, R. Graziani, G. Paonessa, I. Saggio, K. R. Hudson, and R. Laufer)、 PNAS(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、93巻、1996年、pp.9247−9252に記載されている。
本発明者は、従来、抗菌性とは全く関連性が認められていなかった上記D1モチーフを構成するアミノ酸配列をNLSと組み合わせることによって、グラム陽性細菌とともにグラム陰性細菌に対しても高い抗菌活性を奏し得る人工抗菌ペプチドを合成し得ることを見出した。
さらに本発明者は、CNTFのD1モチーフのみならず、上記Bazanの文献、Inoue等の文献およびDi Marco等の文献に記載されているような、CNTFを包含するαへリカル・サイトカイン・スーパーファミリー(α-helical cytokine super family:典型的には4つのαへリックス部分を有する4-helix-bundle proteinであるCNTF、IL−6等のサイトカイン類)に属する他のタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列(典型的には8個又は9個の連続するアミノ酸残基から成る配列)も同様に、NLSと組み合わせることにより、グラム陽性細菌とともにグラム陰性細菌に対しても高い抗菌活性を奏し得る人工抗菌ペプチドを合成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、ここで開示される天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドは、そのペプチド鎖中に、(1)少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成る部分アミノ酸配列であって、少なくとも1単位の核移行性配列(NLS)又は該NLSに部分的な改変が施されたアミノ酸配列から成るNLS関連アミノ酸配列と、(2)上記ペプチド鎖中で上記NLS関連アミノ酸配列に近接する部分アミノ酸配列であって、αへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するいずれかのタンパク質が備えるD1モチーフを構成するアミノ酸配列(D1)又は該D1に部分的な改変が施されたアミノ酸配列から成るD1関連アミノ酸配列と、を有する。好ましくは、全アミノ酸残基数が50以下であることを特徴とする。
本明細書において「天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造される人工的なペプチド断片をいう。
本明細書において「抗菌ペプチド」とは、少なくとも1種の細菌に対して抗菌活性を示す複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。アミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書における抗菌ペプチドに包含される。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。なお、本明細書においては、アミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
本明細書において所定のアミノ酸配列(即ちNLS或いはD1モチーフ由来のアミノ酸配列)に対して「部分的な改変が施されたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列を備える抗菌ペプチドが有する抗菌性を損なうことなく、当該所定のアミノ酸配列において1個または複数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されることによって形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個または複数個(典型的には2個または3個)のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、所定のアミノ酸配列に1個又は複数個(一般には2〜3個程度)のアミノ酸残基が付加(挿入)された配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施された配列(改変アミノ酸配列)」に包含される典型例である。
ここで開示されるペプチドは、そのペプチド鎖中に、NLS関連アミノ酸配列(国際公開第WO03/91429号)を有することにより、好ましい抗菌性を発現し得る。更に、ここで開示されるペプチドは、そのペプチド鎖中に上記のように特定されるD1関連アミノ酸配列を有する。このことによって、NLS抗菌ペプチドと比較して抗菌活性(特に大腸菌のようなグラム陰性細菌に対する抗菌活性)を向上させることができる。
好ましい一態様の抗菌ペプチドは、上記NLS関連アミノ酸配列とD1関連アミノ酸配列とから実質的に構成され、さらにD1関連アミノ酸配列はNLS関連アミノ酸配列のC末端側若しくはN末端側に隣接して配置されることを特徴とする。
かかる構成によると、より良く抗菌活性(特にグラム陰性細菌に対する抗菌活性)を向上させることができる。
また、好ましい他の一態様のペプチドでは、上記D1関連アミノ酸配列として、以下のアミノ酸配列:

ここでXは、疎水性アミノ酸残基のいずれか(例えばL,V,A,I,Pのいずれか)であり、
は、F又はWであり、
は、E又はQ又はSであり、
は、K又はR又はQ又はAであり、
は、K又はR又はQ又はAであり、
は、L又はK又はVであり、
は、W又はM又はR又はL又はEであり、
は、Gである;
を含む。
また、好ましい他の一態様のペプチドでは、上記D1関連アミノ酸配列として、ヒト若しくは動物由来のCNTF、IL−2、IL−3またはIL−4に具備されるいずれかのD1モチーフを構成するアミノ酸配列(D1)又は該D1に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を備えることを特徴とする。
上述したようなアミノ酸配列を含むペプチドは、グラム陰性細菌に対してグラム陽性細菌と同等かそれ以上の高い抗菌活性を有し得る。
また、好ましい幾つかの態様では、前記NLS関連アミノ酸配列として、以下のアミノ酸配列:
(a)PKKKRKV(配列番号4);
(b)RKKKRKV(配列番号82);
(c)RIRKKLR(配列番号43);
のうちのいずれかの配列を有する。
これらNLS関連アミノ酸配列は7アミノ酸残基から成る短いNLS(a及びc)又は改変NLS(b)であるものの高い抗菌活性を発揮し得る。また、本態様の抗菌ペプチドは、NLS関連アミノ酸配列がコンパクトであることからペプチド鎖が短くなり、化学合成によって容易に製造し得る。
また、本発明は他の側面として、ここで開示される抗菌ペプチドの製造方法を提供する。即ち、本方法は、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない抗菌ペプチドの製造方法であって、
少なくとも5個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列であって、少なくとも1単位の核移行性配列(NLS)又は該NLSに部分的な改変が施されたアミノ酸配列から成るNLS関連アミノ酸配列を決定すること(選択すること)、
αへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するいずれかのタンパク質種が備えるD1モチーフを構成するアミノ酸配列(D1)又は該D1に部分的な改変が施されたアミノ酸配列から成るD1関連アミノ酸配列を決定すること(選択すること)、
上記決定(選択)したNLS関連アミノ酸配列と、前記決定(選択)したD1関連アミノ酸配列とを相互に近接して有するペプチド鎖を設計すること、
および、
上記設計したペプチド鎖を合成すること、を包含する。
かかる構成の方法によると、上述した特性の本発明の人工抗菌ペプチドを好適に製造することができる。例えばD1関連アミノ酸配列として、ヒト若しくは動物由来のCNTF、IL−2、IL−3またはIL−4に具備されるいずれかのD1モチーフを構成するアミノ酸配列(D1)又は該D1に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を好適に採用することができる。
好ましくは前記ペプチド鎖として、全アミノ酸残基数が50以下であるペプチド鎖を設計する。このような短いペプチド鎖から成るペプチドは化学合成が容易であるとともに、比較的低分子量のペプチドであるため、抗菌剤等の薬学的な組成物を調製するのに用いる材料として好ましい。
例えば、好ましい一態様では、NLS関連アミノ酸配列と、D1関連アミノ酸配列とから実質的に構成され、D1関連アミノ酸配列がNLS関連アミノ酸配列のC末端側若しくはN末端側に隣接して配置されるようにペプチド鎖を設計する。このような構成のペプチド鎖は本発明を特徴付けるアミノ酸配列(NLS関連アミノ酸配列とD1関連アミノ酸配列)のみから構成されるためにペプチド鎖が短くなり得、化学合成によって容易に製造することができる。
また、本発明は他の側面として、ここで開示される少なくとも1種の抗菌ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗菌剤を提供する。
上述のとおり、本発明によって提供されるNLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列を含む抗菌ペプチドは、グラム陽性細菌はもとよりグラム陰性細菌に対しても高い抗菌活性を発揮し得る。従って、ここで開示される抗菌剤は、種々の細菌の抗菌(殺菌又は静菌)目的に好適な抗菌剤である。
全アミノ酸残基数が50以下の抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤が好ましい。このような鎖長の短いペプチド(即ち比較的低分子量の抗菌ペプチド)を含む抗菌剤は取扱いが容易であり、生体内及び/又は生体外での利用に好適な抗菌剤となり得る。また、使用する抗菌ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、抗菌ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
或いは、ペプチド鎖のN末端アミノ酸残基がアシル化(アセチル化)された抗菌ペプチドが好ましい。かかる構成のペプチドによると、高い抗菌活性と低い溶血作用の両立を実現することができる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)を提供する。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。
ここで開示される好ましいポリヌクレオチドの例として、本明細書中のいずれかの配列番号に示されるアミノ酸配列(または該配列に部分的な改変が施された配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むか或いはそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチドが挙げられる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば抗菌ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする薬剤組成物の調製に関するような一般的事項)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される抗菌ペプチドは、天然に存在しない人為的に設計されたペプチドであり、NLS関連アミノ酸配列と、D1関連アミノ酸配列(典型的には少なくとも8個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列)と、を有する比較的短い鎖長のポリペプチドまたはオリゴペプチドである。
すなわち、ここで開示される抗菌ペプチドは、従来は組み合わせることが全く示唆されていないNLSアミノ酸配列とCNTF或いは他のαへリカル・サイトカイン・スーパーファミリー(典型的には4つのαへリックス部分を有する4-helix-bundle proteinであるサイトカイン・ファミリーが含まれる。)に属するタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列とが近接(特に好ましくは隣接)して存在しているペプチド断片という点で、天然に存在する種々のポリペプチド(ペプチド鎖)と明確に区別される物質である。
ここで開示されるペプチドは、NLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列が組み込まれた一次構造又は当該二つの配列のみから成る一次構造であり得る。典型的には、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に対するNLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列の占める割合が50個数%以上であり、この割合が70個数%以上であることが好ましく、90個数%以上が更に好ましい。
なお、本発明の抗菌ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗菌活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。また、抗菌性を失わない限り、ペプチド鎖を構成する個々のアミノ酸残基が種々の修飾(例えば、C末端アミノ酸のカルボキシル基のアミド化、N末端アミノ酸のアミノ基のアシル化(例えばアセチル化))を受けたものであってもよい。
ここで開示される抗菌ペプチドの鎖長(アミノ酸残基数)は、含有するNLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列の長さに応じて異なり得るので特に限定されないが、全アミノ酸残基数が50以下(例えば15〜50個)であるものが好ましく、アミノ酸残基数が30以下(例えば15〜20個)で構成されるものがさらに好ましい。
また、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で抗菌性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、薬学的組成物(抗菌用途)に適用する抗菌ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的にはアミノ酸残基数:15〜30、例えばアミノ酸残基数:15〜20)のものが好適である。
本発明の抗菌ペプチドを構成するためのNLS関連アミノ酸配列としては、従来、各種の生物やウイルスから発見されたネイティブなNLSの何れかを選択し、その配列のまま利用することができる。具体例として配列番号1〜配列番号81にそれぞれ示されるNLSが挙げられる。塩基性アミノ酸残基の含有率が高いものが好ましい。例えば、40%以上(更に好ましくは50%以上)のアミノ酸残基が塩基性アミノ酸残基(リジン及び/又はアルギニン)であるものが好適である。5〜25個程度のアミノ酸残基で1単位を構成するNLSが好適である。例えば、RRMKWKK(配列番号1)、RVHPYQR(配列番号2)、PKKKRKV(配列番号4)、GKKRSKA(配列番号5)、RGRRRRQR(配列番号7)、RKKRRQRRR(配列番号20)及びPRRRK(配列番号26)のような5アミノ酸残基以上で構成されるNLS関連アミノ酸配列を1単位又は2単位以上含むペプチドが好ましい。
一方、RKRR(配列番号27)のような、1単位が4アミノ酸残基以下である場合には、同種又は異なるNLSと組み合わせ、全体で5アミノ酸残基以上となるアミノ酸配列を設計するとよい。すなわち、1単位が4アミノ酸残基以下のNLSを2単位以上(典型的には2単位、3単位又は4単位)含むNLS関連アミノ酸配列を設計するとよい。例えばNLSとしてRKRR(配列番号27)を選択した場合、その配列を二単位タンデムに繋いだ8アミノ酸残基から成る配列(RKRRRKRR)をNLS関連アミノ酸配列とすることができる。
また、利用可能なデータベース等の情報源から抗菌ペプチドを構築する為のNLSを選択するにあたっては、塩基性アミノ酸残基に富むNLSを選択することが好ましい。例えば、全アミノ酸残基数の40%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上がアルギニン残基及び/又はリジン残基であるNLSが好適な候補であり得る。
また、2単位又は3単位以上のNLSを含むようにNLS関連アミノ酸配列を設計する場合、好ましくは、これらNLSがペプチド鎖中で隣接して配置されるように設計する。この場合、隣接する一方のNLSのC末端アミノ酸と他方のNLSのN末端アミノ酸とが直接結合した形態が好ましい。或いは、隣接する二つのNLSの間にリンカーとして1〜数個程度のアミノ酸残基が介在したものもNLS関連アミノ酸配列として好ましい。
ネイティブなNLSに代えて部分的な改変が施された改変NLSを採用してもよい。そのような改変配列の好適例として、1個若しくは数個のアミノ酸残基が同類置換された配列が挙げられる。また、1個若しくは数個(典型的には2、3個程度)の非塩基性アミノ酸残基を塩基性アミノ酸残基に置換した配列が挙げられる。例えば、7アミノ酸残基から成る典型的なNLSであるPKKKRKV(配列番号4)のN末端アミノ酸残基であるプロリンを塩基性アミノ酸残基(例えばアルギニン)に置換した配列RKKKRKV(配列番号82)、或いは、PKKKRKV(配列番号4)のN末端側から第6番目のアミノ酸残基「リジン」を「アルギニン」に同類置換した配列PKKKRRV(配列番号83)が、好適例として挙げられる。
ここで開示されるペプチドは、上記NLS関連アミノ酸配列の他に、αへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列又はその改変アミノ酸配列をD1関連アミノ酸配列として有する。
ネイティブなD1関連アミノ酸配列、即ちD1モチーフを構成するアミノ酸配列としては、配列番号84として記載のヒト由来のCNTF(Human CNTF)を好適に採用し得る。
この他にも、αへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属する種々のタンパク質(サイトカイン類)に備えられるD1モチーフ構成アミノ酸配列を採用することができる。例えば、配列番号85〜111として、D1関連アミノ酸配列として選択して使用し得る好適な各種タンパク質由来のD1モチーフ構成アミノ酸配列を記載している。即ち、
配列番号85は、ラット由来CNTF(Rat ciliary neurotrophic factor)、
配列番号86は、ニワトリ由来GPA(Chicken growth promoting activity)、
配列番号87は、ヒト由来LIF(Human leukemia inhibitory factor)、
配列番号88は、マウス由来LIF(Mouse leukemia inhibitory factor)、
配列番号89は、ヒト由来OM(Human oncostatin M)、
配列番号90は、マウス由来CT−1(Mouse cardiotrophin-1)、
配列番号91は、ヒト由来IL−6(Human interleukin-6)、
配列番号92は、ヒト由来IL−11(Human interleukin-11)、
配列番号93は、サル由来OM(Simian oncostatin M)、
配列番号94は、マウス由来IL−6(Mouse interleukin-6)、
配列番号95は、ヒト由来IL−2(Human interleukin-2)、
配列番号96は、ヒト由来IL−3(Human interleukin-3)、
配列番号97は、ヒト由来IL−4(Human interleukin-4)、
配列番号98は、ヒト由来IL−5(Human interleukin-5)、
配列番号99は、ヒト由来GM−CSF(Human granulocyte/macrophage colony stimulating factor)、
配列番号100は、ヒト由来G−CSF(Human granulocyte colony stimulating factor)、
配列番号101は、マウス由来G−CSF(Mouse granulocyte colony stimulating factor)、
配列番号102は、ニワトリ由来MGF(Chicken myelomonocytic growth factor)、
配列番号103は、ヒト由来GH(Human growth hormone)、
配列番号104は、ヒト由来PRL(Human prolactin)、
配列番号105は、ヒト由来EPO(Human erythropoietin)、
配列番号106は、ヒト由来IFNα(Human α interferon)、
配列番号107は、マウス由来CDF(Mouse cholinergic differentiation factor)、
配列番号108は、ヒト由来CDF(Human cholinergic differentiation factor)、
配列番号109は、マウス由来IL−3(Mouse interleukin-3)、
配列番号110は、ヒト由来IFNβ(Human β interferon)、および、
配列番号111は、マウス由来IFNβ(Mouse β interferon)、
のD1モチーフ構成アミノ酸配列である。
或いは、上記列挙したD1モチーフアミノ酸配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列であってもよい。そのような改変配列の好適例として、上記いずれかの配列番号に記載される8個又は9個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列のうちから1個若しくは数個(典型的には2〜3個)程度のアミノ酸残基が欠失、付加、或いは同類置換された配列が挙げられる。
また、好ましいD1関連アミノ酸配列(部分的な改変アミノ酸配列を包含する。)として、以下のアミノ酸配列:

ここでXは、疎水性アミノ酸残基のいずれか(例えばL,V,A,I,Pのいずれか)であり、
は、F又はWであり、
は、E又はQ又はSであり、
は、K又はR又はQ又はAであり、
は、K又はR又はQ又はAであり、
は、L又はK又はVであり、
は、W又はM又はR又はL又はEであり、
は、Gである;
で表せるものが挙げられる。このうち、XがFであることがより好ましく、或いは、XがE又はQであることがより好ましく、或いは、X及びXがそれぞれR及びKのいずれかであることがより好ましい。これら3条件を全て具備する配列が特に好ましい。
ここで開示されるペプチドでは、好ましい抗菌活性を発揮し得る限りにおいて、ペプチド鎖中におけるNLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列の存在位置は特に限定されない。典型的には、N末端寄りにNLS関連アミノ酸配列が配置され、そのC末端側にD1関連アミノ酸配列が配置されるようにペプチド鎖を設計するがこの逆の配置でもよい。
ペプチド鎖において、NLS関連アミノ酸配列とD1関連アミノ酸配列とが連続(即ち隣接)してタンデムに並ぶことが特に好ましい。後述する実施例に示す抗菌ペプチドは、ここで開示される抗菌ペプチドの好適な具体例である。
ここで開示される抗菌ペプチドのうちペプチド鎖の比較的短いものは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。例えば、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて抗菌ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクタ ーを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した抗菌ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の抗菌ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにしてひとたび抗菌ペプチドのアミノ酸配列を決定・設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。
本発明の抗菌ペプチド(例えば後述する実施例に記載のアミノ酸配列(配列番号112〜126から成るペプチド)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、抗菌ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、抗菌ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドのいくつかは、新規なアミノ酸配列の抗菌ペプチドをコードする。
例えば、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が50以下(好ましくは30以下、例えば15〜30)であって、配列番号112〜126のいずれかで示されるアミノ酸配列或いは該アミノ酸配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を有するペプチド(又は該アミノ酸配列から成るペプチド)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の抗菌ペプチドはグラム陽性細菌に加えグラム陰性細菌に対しても有効な抗菌活性を示し、好ましいものでは比較的広い抗菌スペクトルを有する。このため、抗菌剤の主成分として好適に用いられ得る。例えば、細菌感染症の治療、創傷面の消毒、眼病予防、口腔内洗浄(うがい)、食品の防腐や鮮度保持、脱臭、家具や衛生機器表面の殺菌又は静菌等の目的に用いられ得る。
抗菌ペプチドの他、抗菌剤に含まれる担体又は副次的成分(典型的には用途に応じて薬学的に許容され得るもの)としては、抗菌剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、水(典型的には蒸留水、生理食塩水その他の緩衝液)、種々の有機溶媒、種々の緩衝液その他充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、賦形剤、色素、香料等が挙げられる。
抗菌剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセルが挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。抗菌剤に含まれる担体は、抗菌剤の形態に応じて異なり得る。
なお、抗菌ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
本発明によって提供される抗菌剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
ここで開示されるNLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列を含む抗菌ペプチドは、比較的高い濃度のカチオン、塩類(例えば塩化ナトリウム)或いは血清のような有機物が存在する系においても高い抗菌活性を維持し得る。従って、ここで開示される抗菌剤は、カチオン、塩類や血清等が存在する系(場)での使用に特に好適である。例えば、本発明によって提供される抗菌剤は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射或いは灌腸によって患者に投与することができる。
或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。また、衛生陶器表面の消毒(殺菌)や食品の防腐目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の抗菌ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
例えば、放射線治療を受けているガン患者やエイズ患者にとって、細菌感染症の予防及び治療は重大な関心事である。ここで開示される抗菌ペプチドは、感染症の原因たる細菌(例えば黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性細菌、病原性大腸菌のようなグラム陰性細菌)に対して高い抗菌作用を示し得る。このため、本発明の抗菌ペプチドは、抗菌剤の主成分として有用である。
また、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時、生体(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、上述した患者等に対し、細菌感染を予防し又は治療する薬剤として有用である。
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器の培養時の細菌感染を防止することは重要である。ここで開示される抗菌ペプチドは、哺乳動物細胞及び組織に対する毒性が極めて低く、細菌に選択的に抗菌作用を示し得る。このため、培養臓器等の細菌感染を防止する薬剤として極めて有用である。例えば、適当な濃度で本発明の抗菌ペプチド単独又は当該ペプチドを主成分の一つとする抗菌剤を培養液中に添加することにより、培養中の臓器等の細菌感染を防止することができる。
また、培養細胞や培養組織に対して、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント又はRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする培養組織に導入することにより、常時或いは所望する時期に培養組織(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明によって提供される本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、培養組織の細菌感染を防止する薬剤として有用である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:抗菌ペプチドの合成及び精製>
計21種類のペプチド(サンプル1〜21)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。表1には、これら合成ペプチドのアミノ酸配列を列挙している。
Figure 0005218844
表1に示すように、サンプル1〜17のペプチドでは、NLS関連アミノ酸配列とD1関連アミノ酸配列とが隣接して配置されており、サンプル16を除く他のペプチドではD1関連アミノ酸配列はC末端側に配置されている。
即ち、各サンプル中の「RIRKKLR」「LKRKLQR」「KRKKRRHR」および「RKKKRKV(改変NLS)」がNLS関連アミノ酸配列であり、該配列に隣接する配列がD1関連アミノ酸配列である。サンプル1〜16のペプチドでは、いずれも表に示す起源タンパク質(サイトカイン)のネイティブなD1モチーフのアミノ酸配列がD1関連アミノ酸配列として利用されている。サンプル17のペプチドでは、Human CNTFのD1モチーフ配列「GLFEKKLWG」に部分的な改変が施されたアミノ酸配列「GLGEKGLWG(表中のアンダーラインを付した2箇所のGが置換部位である)」が利用されている。
一方、サンプル18〜21は比較対象のためのサンプルである。即ち、表示されるように、サンプル18はD1関連アミノ酸配列のみから成るペプチドであり、サンプル19〜21はNLS関連アミノ酸配列のみから成るペプチドである。
なお、いずれのサンプルも、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。また、サンプル14及び15のペプチドについては、さらにN末端アミノ酸のアミノ基(−NH)がアセチル化(−NHCOCH)されている。
上述した各ペプチド(何れも20アミノ酸残基以下)は、市販のペプチド合成機(PEPTIDE SYNTHESIZER 9050、PerSeptive Biosystems社製品)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m-クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で4時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。即ち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で5%から60%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示された。
また、溶離した各ペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ペプチドの抗菌活性(1)>
上記得られた合成ペプチド(サンプル1〜21)について、グラム陰性細菌(大腸菌:E. coli IFO 3972)及びグラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌:S. aureus FDA209P)に対する抗菌活性(最小阻止濃度:MIC)を96穴(well)マイクロプレートを用いた液体培地希釈法により求めた。
即ち、先ず滅菌蒸留水で最高試験濃度の40倍の濃度の薬剤(各サンプルペプチド)溶液を調製し、次いでペプチド濃度が200〜0.78μMの範囲内のいずれかとなるようなMHB培地(DIFCO社製品「ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)」)をそれぞれ作製した。
次いで、上記濃度範囲内の種々の濃度でペプチドを含有するMHB培地を96穴マイクロプレートに100μLずつ充填した。
一方、37℃で18時間培養した寒天平板(DIFCO社製品「ミューラーヒントン寒天(Mueller Hinton Agar)」)上の被験菌体をループで掻き取り、滅菌生理食塩水に懸濁した。2×107cells/mL相当に調整した菌液5μLを、上記マイクロプレートの各ウェルに充填されている所定濃度のペプチドを含有するMHB培地にそれぞれ接種した(試験菌数:約1×106cells/mL)。接種後、37℃の恒温器内で培養を開始し、24時間後の濁度により菌発生の有無を調べた。その計測時における菌による濁度の増加が認められない最小ペプチド濃度(即ち薬剤濃度)を本実施例におけるMIC(単位:μM)と定めた。結果を表2に示す。なお、表中の結果において不等号(>)が付されているものは、その数値濃度においてペプチドが溶解しなかったものであり、正確な抗菌活性は求められなかった。
Figure 0005218844
表2に示す結果から明らかなように、NLS関連アミノ酸配列及びD1関連アミノ酸配列を有する抗菌ペプチド(サンプル1〜17)は、いずれも良好な抗菌活性を示した。特に、サンプル1(D1はヒトCNTF由来),サンプル5(D1はラットCNTF由来),サンプル7(D1はヒトIL−2由来),サンプル8(D1はヒトIL−3由来),サンプル9(D1はヒトIL−4由来),サンプル12(D1はヒトCNTF由来),サンプル15(D1はヒトCNTF由来)およびサンプル16(D1はヒトCNTF由来)は、グラム陰性細菌(大腸菌)に対してグラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌)と同等かそれ以上の抗菌活性を示した。
<実施例3:合成ペプチドの抗菌活性(2)>
次にサンプル1について、高濃度のカチオン存在下、更には血清存在下における、グラム陰性細菌(大腸菌:E. coli IFO 3972)及びグラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌:S. aureus FDA209P)に対する抗菌活性(最小阻止濃度:MIC)を96穴(well)マイクロプレートを用いた液体培地希釈法により求めた。
即ち、先ず滅菌蒸留水で最高試験濃度の40倍の濃度の薬剤(サンプル1の合成ペプチド)溶液を調製し、ペプチド濃度が50、25、12.5、6.25、3.13、1.56及び0.78μMとなる高濃度カチオン含有MHB培地(即ち、DIFCO社製品「ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)」の含有カチオンを以下のように調整した培地:CaCl2・2H2O3.68gを精製水100mLに溶解(10mg・Ca2+/mL)した後、その500μLをミューラーヒントンブロス100mLに添加し、且つ、MgCl2・6H2O8.36gを精製水100mLに溶解(10mg・Mg2+/mL)した後、その250μLを該ミューラーヒントンブロス100mLに添加したもの)をそれぞれ作製した。
また、上記高濃度カチオン含有MHB培地に更に体積比で培地全体の10%となるようにウマ血清(日本バイオテスト社製品の濾過滅菌したもの)を添加した培地(以下「高濃度カチオン含有MHB血清培地」という。)を作製した。かかる高濃度カチオン含有MHB血清培地についても、ペプチド濃度が50、25、12.5、6.25、3.13、1.56及び0.78μMとなるものを作製した。
次いで、上記各濃度のペプチドを含有した高濃度カチオン含有MHB培地および高濃度カチオン含有MHB血清培地を96穴マイクロプレートに100μLずつ充填し、実施例2と同様の手法でMICを求めた。対照としてペプチド濃度が50、25、12.5、6.25、3.13、1.56及び0.78μMとなる市販のMHB培地を使用した。
表3に示す結果から明らかなように、本発明に係るペプチドは、高濃度のカチオン存在下(本実施例では高濃度のカルシウム及びマグネシウムを含む)であっても高い抗菌活性を維持し得ることが確かめられた。また、血清存在下でも高い抗菌活性を維持し得た。従って、本発明の抗菌ペプチドは、血清のような種々のカチオン(または塩類)が比較的大量に存在する系(例えば血液中)での用途に好適である。
Figure 0005218844
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、本実施例では、NLS関連アミノ酸配列として表1に示す数種類の配列を採用しているが、他の既知のNLS(配列表参照)或いはそれらの改変配列を採用してもよい。
上述のように本発明のペプチドは高い抗菌活性を有しているため、医薬用、農薬用をはじめ、各種の用途に用いられる殺菌剤、抗菌剤の有効成分として利用することができる。

Claims (9)

  1. 天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドであって、ペプチド鎖中に、
    配列番号1〜81のうちから選択された核移行性配列(NLS)、又は配列番号1〜5、7、9〜23、25、28〜30、33〜55、57〜81のうちから選択された該NLSについて1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、
    配列番号84〜111のうちから選択されたαへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列、又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列について1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、
    を有し、
    全アミノ酸残基数が50以下である、抗菌ペプチド。
  2. 配列番号1〜81のうちから選択された核移行性配列(NLS)、又は配列番号1〜5、7、9〜23、25、28〜30、33〜55、57〜81のうちから選択された該NLSについて1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、
    配列番号84〜111のうちから選択されたαへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列、又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列について1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、
    から実質的に構成され、
    前記D1モチーフを構成するアミノ酸配列又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列についての前記改変配列は、前記NLS又は配列番号1〜5、7、9〜23、25、28〜30、33〜55、57〜81のうちから選択された該NLSについての前記改変配列のC末端側若しくはN末端側に隣接して配置される、請求項1に記載の抗菌ペプチド。
  3. 配列番号84〜111のうちから選択された前記D1モチーフを構成するアミノ酸配列又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列についての前記改変配列として、ヒト若しくは動物由来のCNTF、IL−2、IL−3またはIL−4に具備されるいずれかのD1モチーフを構成するアミノ酸配列(D1)又は該D1について1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列を備える、請求項1又は2に記載の抗菌ペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗菌剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド。
  6. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない抗菌ペプチドの製造方法であって、
    配列番号1〜81のうちから選択された核移行性配列(NLS)、又は配列番号1〜5、7、9〜23、25、28〜30、33〜55、57〜81のうちから選択された該NLSについて1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、
    配列番号84〜111のうちから選択されたαへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列、又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列について1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、を相互に近接して有するペプチド鎖を設計すること、
    および、
    前記設計したペプチド鎖を合成すること、
    を包含する、抗菌ペプチドの製造方法。
  7. 前記ペプチド鎖として、全アミノ酸残基数が50以下であるペプチド鎖を設計する、請求項6に記載の方法。
  8. 配列番号1〜81のうちから選択された核移行性配列(NLS)、又は配列番号1〜5、7、9〜23、25、28〜30、33〜55、57〜81のうちから選択された該NLSについて1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、
    配列番号84〜111のうちから選択されたαへリカル・サイトカイン・スーパーファミリーに属するタンパク質のD1モチーフを構成するアミノ酸配列、又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列について1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列と、から実質的に構成され、
    前記D1モチーフを構成するアミノ酸配列又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列についての前記改変配列が前記NLS又は配列番号1〜5、7、9〜23、25、28〜30、33〜55、57〜81のうちから選択された該NLSについての前記改変配列のC末端側若しくはN末端側に隣接して配置されるようにペプチド鎖を設計する、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 配列番号84〜111のうちから選択された前記D1モチーフを構成するアミノ酸配列又は配列番号84〜92、94、96、100〜104、106〜111のうちから選択された該D1モチーフ構成アミノ酸配列についての前記改変配列として、ヒト若しくは動物由来のCNTF、IL−2、IL−3またはIL−4に具備されるいずれかのD1モチーフを構成するアミノ酸配列(D1)又は該D1について1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成された改変配列を採用する、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
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