JP2006238751A - ベロ毒素結合性を有する抗菌ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 天然に存在しない人為的に設計されたベロ毒素結合性抗菌ペプチド及び該ペプチドを主成分とする薬学的組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明によって提供されるペプチドは、ベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として、以下の複数の連続するアミノ酸残基から成る配列:
W又はF−H又はQ−W又はF−T又はS−W又はF−L又はY−T又はS又はC;
のうち、少なくともN末端側のW又はF−H又はQ−W又はFを含む3個、4個、5個、6個又は7個の連続するアミノ酸残基から成る配列を少なくとも有する部分アミノ酸配列と、ペプチド鎖中において前記部分アミノ酸配列に近接する部分アミノ酸配列であって少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列とを有する。好ましくは、全アミノ酸残基数が100以下である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、天然には存在しない形態の独立したペプチド鎖から成る抗菌性を有するオリゴペプチド又はポリペプチド(以下「抗菌ペプチド」という。)であって更にベロ毒素結合性を有するペプチドとその利用に関する。特に該ペプチドを主成分とする薬学的組成物(抗菌剤等)に関する。
抗菌ペプチドは一般に幅広い抗菌スペクトルを有し、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられていることから、ヒト及び動物の細菌感染性疾患の予防や治療、或いは、食材等の物品に抗菌性を付与する目的での利用が期待されている。これまでに多くの抗菌ペプチドが種々の動植物から単離されている(特許文献1〜2)。また、抗菌性との関連性が全く論じられなかった既知のアミノ酸配列を利用して設計・合成された抗菌ペプチドが報告されている(特許文献3)。
ところで、ヒトや動物に感染して深刻な感染症を引き起こす細菌は一般に細菌毒素を産生する。その一例としてベロ毒素(Verotoxin;VT)が挙げられる。ベロ毒素は病原性大腸菌O157株等の腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)が生産する志賀赤痢菌毒素(Shiga toxin)に類似した細菌毒素であり、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすタンパク質毒素として知られている。
ベロ毒素は、遺伝学的に少なくとも6種類のタイプが認められている。これらのうち、ヒトに対する影響から、医学上、1型と2型が重要視されている。これらの毒素タンパク質は、1つのAサブユニット(分子量:約32kDa)と5つのBサブユニット(分子量:約7.7kDa)とから構成されている。1型は、Bサブユニットが腸管上皮細胞上に存在するレセプター(グロボトリオースとして知られるグロボ系糖鎖レセプター、典型的には糖脂質GbCer:Gal(α1-4)Gal(β1-4)Glc(β1)Cer、糖脂質GbCer:Gal(α1-4)Gal(β1)Cer )を認識して結合し、それによって細胞内に進入したAサブユニットがrRNAに結合してタンパク質合成阻害を引き起こすことが知られている。
このようなベロ毒素を産生する細菌により引き起こされる感染症の治療には、抗菌剤のみならずベロ毒素中和剤の適用が効果的である。毒素産生菌の増殖・生存を阻止すると共に患部に存在するベロ毒素の排除又は不活性化が行えるからである。
かかるベロ毒素を中和する(該毒素が存在する系において毒性を発現させなくすることをいう。以下同じ。)目的に、ベロ毒素に選択的に結合し得る物質を利用し得る。例えば、そのような物質をベロ毒素のBサブユニットに選択的(特異的)に結合させることができれば、当該ベロ毒素の生体内(例えばヒトの腸管内)におけるネイティブなレセプターへの結合延いては毒性の発現を阻害すること(即ちベロ毒素の中和)が可能となる。
例えば、特許文献4には、ベロ毒素1型と特異的に結合し得るアプタマー(1本鎖核酸分子)が記載されている。また、特許文献5には、ベロ毒素1型と特異的に結合し得る化学合成した糖鎖誘導体を使用したベロ毒素の迅速検出方法が記載されている。また、特許文献6には、天然に存在しない人為的に合成されたベロ毒素結合性ポリペプチドが記載されている。
特開2000−63400号公報 特開2001−186887号公報 国際公開第WO03/91429号パンフレット 特開2003−79370号公報 特開2002−22745号公報 特開2004−350686号公報
本発明は、従来の天然型又は人為合成型の抗菌ペプチドとは異なり、抗菌性に加えてベロ毒素に結合し得る特性を備えるように人為的に設計されたアミノ酸配列から成る合成ペプチド、即ち抗菌剤として及び/又はベロ毒素中和剤として用い得る合成ペプチドの提供を目的とする。また、そのようなペプチドを主成分とする抗菌剤(ベロ毒素中和剤としても使用し得る薬学的組成物)の提供を目的の一つとする。
本発明によって提供される抗菌ペプチドは、従前知られている抗菌ペプチドとは異なるアプローチにより開発されたペプチドであり、自然界において抗菌ペプチドとして存在するポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を利用して創出された抗菌ペプチドである。
即ち、ここで開示される天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドは、該ペプチドにベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として、以下の複数の連続するアミノ酸残基から成る配列:W又はF−H又はQ−W又はF−T又はS−W又はF−L又はY−T又はS又はC;のうち、少なくともN末端側のW又はF−H又はQ−W又はFを含む3個、4個、5個、6個又は7個の連続するアミノ酸残基から成る配列を少なくとも有する部分アミノ酸配列と、ペプチド鎖中において該部分アミノ酸配列に近接する部分アミノ酸配列であって少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列とを有する。典型的には、全アミノ酸残基数が100以下である。
ここで「天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され得るペプチド断片をいう。ここで「抗菌ペプチド」とは、少なくとも一種の微生物に対して抗菌活性を示す複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。アミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書における抗菌ペプチドに包含される。なお、ここで「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。なお、本明細書においては、アミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
また、ここで「ベロ毒素結合性」とは、典型的には室温条件下で、通常の緩衝液(例えば生化学分野でよく使用されるトリス緩衝液(TBS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))中において、対象ペプチドがベロ毒素に対して結合(非特異吸着を除く)する性質をいう。
本発明のペプチドは、そのペプチド鎖中に、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列(以下「抗菌関連配列」と略称する。)を有することにより、抗菌性を発現し得る。また、そのペプチド鎖中に、上記のように特定されるベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列(以下「ベロ毒素結合性配列」と略称する。)を有することによって、ベロ毒素(典型的には1型のBサブユニット)に対して高い結合性を有し得る。このため、本発明の抗菌ペプチドは、抗菌剤として使用し得るとともにベロ毒素の除去又は中和(以下、これらを総称してベロ毒素の処理ともいう。)に好ましく使用することができる。従って、細菌感染と共にベロ毒素による汚染が認められる環境(患部等)において特に好ましく使用することができる。
好ましくは、前記ベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として少なくともW−H−Wを含む配列を有する。特に好ましくは該配列をペプチド鎖のN末端領域に有する。
かかるW−H−Wを含むベロ毒素結合性配列を有することによって、特に高いベロ毒素結合性を実現することができる。
また、好ましくは、前記抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列として、3個以上(好ましくは5個以上)の連続するアミノ酸残基から成り、該配列を構成するアミノ酸残基の半数以上はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列を有する。
かかる高塩基性の抗菌関連配列(以下「高塩基性抗菌関連配列」という。)を有することによって、少なくとも1種の細菌に対して特に高い抗菌活性を発揮することができる。
ここで開示される抗菌ペプチドとして特に好ましいものは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が20以下である。
このような短いペプチド鎖から成るペプチドは化学合成が容易であるとともに、比較的低分子量のペプチドであるため、抗菌剤等の薬学的な組成物を調製するのに用いる材料として好ましい。また、全アミノ酸配列に占めるベロ毒素結合性配列部分の割合が高く、ベロ毒素に対して高い特異的(選択的)結合活性を維持し得る。
また、抗菌ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、抗菌ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
ここで開示される特に好ましい抗菌ペプチドの例は、配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列に部分的な改変が施された配列を有するペプチドである。
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施されたアミノ酸配列(改変配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する抗菌性及びベロ毒素結合性を損なうことなく、1個〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、アミノ酸配列のうちの1個、2個または3個程度のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative substitution)によって生じた配列(例えば芳香族アミノ酸残基(W、F、Y、H)が別の芳香族アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、アミノ酸配列に1個又は数個(例えば2〜3個程度)のアミノ酸残基が付加(挿入)された配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施されたアミノ酸配列(改変配列)」に包含される典型例である。
これら配列番号のいずれかに示すアミノ酸配列を有するペプチド(典型的には、これら配列番号のいずれかに示すアミノ酸配列のみから成るペプチド)は、高い抗菌活性及びベロ毒素結合性と低細胞毒性とを同時に実現することができる。
また、本発明は、ここで開示される抗菌ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗菌用及び/又はベロ毒素処理用組成物を提供する。即ち、かかる組成物は抗菌剤として或いはベロ毒素処理剤(ベロ毒素中和剤)として提供される。全アミノ酸残基数が100以下(更に好ましくは20以下)の抗菌ペプチドを主成分とする組成物が好ましい。このような鎖長の短いペプチド(即ち比較的低分子量の抗菌ペプチド)を含む組成物は取扱いが容易であり、生体内及び/又は生体外での利用に好適な抗菌剤及び/又はベロ毒素処理剤となり得る。
また、本発明は、他の側面として、ここで開示される抗菌ペプチドの製造方法を提供する。すなわち、本発明によって提供されるペプチド製造方法は、該ペプチドにベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として、以下の複数の連続するアミノ酸残基から成る配列:W又はF−H又はQ−W又はF−T又はS−W又はF−L又はY−T又はS又はC;のうち、少なくともN末端側のW又はF−H又はQ−W又はFを含む3個、4個、5個、6個又は7個の連続するアミノ酸残基から成る配列を少なくとも有する部分アミノ酸配列と、該部分アミノ酸配列に近接する部分アミノ酸配列であって少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列とを有するペプチド鎖を設計すること、及び、該設計したペプチド鎖を合成することを包含する。好ましくは、前記ペプチド鎖の設計において、前記抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列として3個以上(好ましくは5個以上)の連続するアミノ酸残基から成り、該配列を構成するアミノ酸残基の半数以上はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列を有するペプチド鎖を設計する。
また、全アミノ酸残基数が100以下であるペプチド鎖を設計することが、一般的な化学合成法によって容易に目的のペプチドを製造(及び精製)し得るために好ましい。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むか或いはそれら配列により実質的に構成される、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドを提供する。
ここで「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されるポリヌクレオチドをいう。
ここで開示される好ましいポリヌクレオチドの例として、配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列(または該配列に部分的な改変が施された配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むか或いはそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチドが挙げられる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば抗菌ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする薬剤組成物の調製に関するような一般的事項)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される抗菌ペプチドは、天然に存在しない人為的に設計されたペプチドであり、所定のコア配列を有するベロ毒素結合性配列と抗菌関連配列とを有する比較的短い鎖長のポリペプチドまたはオリゴペプチドである。すなわち、ここで開示される抗菌ペプチドは、ベロ毒素結合性配列に抗菌関連配列が近接して存在しているペプチド断片という点で、天然に存在する種々のポリペプチド(ペプチド鎖)と明確に区別される物質である。
典型的には、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に対するベロ毒素結合性配列及び抗菌関連配列の占める割合が50個数%以上であり、この割合が70個数%以上であることが好ましく、90個数%以上が更に好ましい。ベロ毒素結合性配列及び抗菌関連配列のみからペプチド鎖が構成されているものが好ましい。或いはこれら配列と該配列間に介在するリンカー部分(好ましくは1〜数個のアミノ酸残基から成る)とから構成されているものも好適である。
なお、本発明に関してベロ毒素結合性配列及び抗菌関連配列は、設計したペプチド鎖を構成する部分アミノ酸配列であって、結果としてその一次構造の存在によって当該ペプチドにベロ毒素結合性及び抗菌性が付与されることが把握されればよく、当該二つの配列の境界を厳格に規定することにあまり実益はない。
ここで開示されるペプチドは、ベロ毒素結合性配列及び抗菌関連配列が組み込まれた一次構造又は当該二つの配列のみから成る一次構造であり得る。本発明のペプチドは、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗菌性及びベロ毒素結合性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。また、抗菌性及びベロ毒素結合性を失わない限り、ペプチド鎖を構成する個々のアミノ酸残基が種々の修飾(例えば、C末端アミノ酸のカルボキシル基のアミド化、N末端アミノ酸のアミノ基のアシル化)を受けたものであってもよい。
ここで開示される抗菌ペプチドの鎖長(アミノ酸残基数)は、含有するベロ毒素結合性配列及び/又は抗菌関連配列の長さに応じて異なり得るので特に限定されないが、全アミノ酸残基数が100以下(例えば8〜100個)であるものが好ましく、アミノ酸残基数が30以下(例えば8〜30個)で構成されるものがさらに好ましく、20以下(例えば10〜20個)で構成されるものが特に好ましい。
また、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で抗菌性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、薬学的組成物(抗菌用途又はベロ毒素処理用途)に適用する抗菌ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的にはアミノ酸残基数:8〜30、例えばアミノ酸数:10〜20)のものが好適である。
本発明者は、ベロ毒素1型(Bサブユニット)のレセプターであるGbの構造を模倣したオリゴペプチド(特許文献6)を指標に、抗菌関連配列を含む目的ペプチドにベロ毒素結合性を付与し得る配列を特定して本発明を完成するに至った。
即ち、ここで開示されるベロ毒素結合性配列は、以下の複数の連続するアミノ酸残基から成る配列:
W又はF−H又はQ−W又はF−T又はS−W又はF−L又はY−T又はS又はC;
のうち、少なくともN末端側のW又はF−H又はQ−W又はFを含む3個、4個、5個、6個又は7個の連続するアミノ酸残基から成る配列である。N末端側にW−H−Wを含む配列(例えば配列番号12で示すW−H−W−T−W−L)或いは該3アミノ酸残基のみから成る配列は、ここで開示されるベロ毒素結合性配列の好適例である。
また、かかるベロ毒素結合性配列の他の例として、配列番号13〜19で示すいずれかの配列、或いは該配列のうちC末端側の幾つかのアミノ酸残基(例えば配列番号16〜19で示すいずれかの配列のC末端側アミノ酸残基を1個、2個、3個又は4個欠失させて成る各アミノ酸配列)が挙げられる。
ここで開示されるペプチドでは、ベロ毒素結合性を発揮し得る限りにおいて、ペプチド鎖中におけるベロ毒素結合性配列の存在位置は特に限定されない。典型的には、N末端寄りに該配列が配置されるようにペプチド鎖を設計するとよい。ペプチド鎖のN末端がベロ毒素結合性配列の上記W又はF−H又はQ−W又はFであることが特に好ましい。かかるN末端にベロ毒素結合性配列が配置されたペプチドは、ペプチド鎖の他の領域(例えば後述するような抗菌関連配列)に阻害されずに高いベロ毒素結合性を発現し得るため特に好ましい。
ここで開示されるペプチドに含まれる抗菌関連配列としては、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列であればよく、特定のアミノ酸配列に限定されない。例えば、一次構造が既知である従来の天然型抗菌ペプチドのアミノ酸配列の全部又は一部を利用することができる。一般にディフェンシンと呼ばれる比較的短いペプチド鎖から成る抗菌ペプチドの利用が好ましい。例えば、ザルコトキシンのような種々の昆虫由来の抗菌ペプチド、或いはα−メラノサイト−刺激ホルモン(α−MSH)、プロテグリン−1のような哺乳類由来の抗菌性を有するポリペプチドのアミノ酸配列の全部又は一部の使用が好ましい。或いは、そのようなポリペプチドのアミノ酸配列に部分的な改変が施された配列が好ましく使用され得る。そのような改変配列の好適例として、1個若しくは数個のアミノ酸残基が同類置換された配列が挙げられる。また、1個若しくは数個(典型的には2、3個程度)の非塩基性アミノ酸残基を塩基性アミノ酸残基に置換した配列が挙げられる。
或いは、かかる抗菌関連配列として、3個以上(好ましくは5個以上)の連続するアミノ酸残基から成り、該配列を構成するアミノ酸残基の半数以上がいずれかの塩基性アミノ酸(即ちリジンかアルギニン)である高塩基性部分配列(高塩基性抗菌関連配列)を採用することができる。好ましくは、該配列の3/4(75個数%)以上のアミノ酸残基がそれぞれリジンかアルギニンのいずれかである高塩基性部分配列が好ましい。5アミノ酸残基以上で構成され且つその4/5(80個数%)以上のアミノ酸残基(より好ましくはその全てのアミノ酸残基)がそれぞれリジンかアルギニンのいずれかである高塩基性抗菌関連配列が特に好ましい。
抗菌関連配列の好適例として、種々の生物種やウイルスから単離された核移行性配列(NLS;nuclear localization signal sequence)が挙げられる。NLSは、本来、細胞内で核に移行する種々のポリペプチド中に存在する部分的な配列であるが、グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有し得ることが知られている(特許文献3)。従って、抗菌関連配列として、各種の生物やウイルスから発見されたネイティブなNLSのいずれかを選択し、その配列のまま利用することができる。アミノ酸残基数が比較的少ないNLS(例えばアミノ酸残基数が15個以下のNLS)が好ましい。具体例として配列番号5〜配列番号11にそれぞれ示されるNLSが挙げられる。或いは、これらのうちの1種類或いは2種類以上をタンデムに連結した複合NLSを抗菌関連配列として含むペプチドが好ましい。なお、使用するNLSとしては塩基性アミノ酸残基の含有率が高いものが特に好ましい。例えば、半数以上のアミノ酸残基が塩基性アミノ酸残基(リジンかアルギニン)であるもの(即ち高塩基性抗菌関連配列に包含されるNLS)が好適である。ネイティブなNLSの1個若しくは複数個(典型的には2、3個程度)の非塩基性アミノ酸残基を塩基性アミノ酸残基に置換して成る改変配列も好ましい。
ここで開示される抗菌ペプチドでは、抗菌活性を失わない限りにおいて、ペプチド鎖中における抗菌関連配列の存在位置は特に限定されない。好ましくは、ベロ毒素結合性配列のC末端側に近接して(好ましくは隣接して)抗菌関連配列が配置されるようにペプチド鎖を設計するとよい。ペプチド鎖のN末端側にベロ毒素結合性配列が配置され、それに近接してC末端側に抗菌関連配列が配置されるペプチドは、高いベロ毒素結合性と抗菌活性とをともに発揮することができる。
後述する実施例に係る配列番号1〜4に示す抗菌ペプチドは、ここで開示される抗菌ペプチドの好適な具体例であるが、好適なペプチドがこれらアミノ酸配列のものに限定されることを意味しない。例えば、配列番号1〜4に示すいずれかのアミノ酸配列のうち1個若しくは複数個のアミノ酸残基を同類置換して成る改変アミノ酸配列もまた本発明の抗菌ペプチドとして好ましい。
ここで開示される抗菌ペプチドのうちペプチド鎖の比較的短いものは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。例えば、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて抗菌ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した抗菌ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の抗菌ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにしてひとたび抗菌ペプチドのアミノ酸配列を決定・設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。
本発明の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、抗菌ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、抗菌ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドのいくつかは、新規なアミノ酸配列の抗菌ペプチドをコードする。
例えば、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下(好ましくは30以下、特に好ましくは20以下)であって、配列番号1〜4のいずれかで示されるアミノ酸配列或いは該アミノ酸配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を有するペプチド(又は該アミノ酸配列から成るペプチド)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の抗菌ペプチドは高い抗菌活性を有し、好ましいものでは更に比較的広い抗菌スペクトルを有しており、抗菌剤の主成分として好適に用いられる。例えば、細菌感染症の治療、創傷面の消毒、眼病予防、口腔内洗浄(うがい)、食品の防腐や鮮度保持、脱臭、家具や衛生機器表面の殺菌又は静菌等の目的に用いられる。また、本発明の抗菌ペプチドは、高いベロ毒素結合性を示すため、ベロ毒素(例えば1型毒素)を産生する細菌をターゲットとする抗菌剤の主成分として特に好適である。或いは、かかるベロ毒素結合性に着目して、ベロ毒素の吸着(除去)剤又はベロ毒素中和剤の主成分としても好適である。
例えば、ベロ毒素による溶血性貧血、腎不全その他の溶血性尿毒症症候群の症状が現れている患者及び大腸菌O157のようなベロ毒素産生菌に感染した患者の治療、或いは、食品、飲料水、化粧品等のベロ毒素及び/又はベロ毒素産生菌による汚染の可能性のある物からのベロ毒素の除去や中和の目的に、ここで開示される抗菌ペプチドを含む組成物(ベロ毒素処理用及び抗菌用組成物)が用いられる。
このような目的に使用される薬学的な組成物は、主成分たる抗菌ペプチドの他、薬学的に許容され得る種々の担体を含み得る。希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体が好ましい。典型的には、水又は生理学的緩衝液が挙げられるが、これらの他、適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であってもよい。或いはリポソームであってもよい。また、副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
かかる組成物の主成分としては、ベロ毒素結合性及び抗菌性を失わない限りにおいて、ここで開示される抗菌ペプチド単独の他、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られる該ペプチドの酸付加塩を使用することができる。そのような酸付加塩を形成し得る酸の具体例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、或いは、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、低級アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。或いは、上述したような酸付加塩に限られず、他の付加塩(例えば金属塩)であってもよい。
組成物の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、リポソーム剤が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
組成物中に含まれるペプチド(酸付加塩その他の塩の形態を包含する。)の含有量は使用目的に応じて有効であり得る量である限り特に制限されず、組成物の用途や形態によって適宜決定される設計事項である。なお、抗菌ペプチド(主成分)及び種々の担体や副成分を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
ここで開示される好適な抗菌ペプチドは、比較的高い塩類(例えば塩化ナトリウム)或いは血清のような有機物が存在する系においても高い抗菌活性及びベロ毒素結合性を維持し得る。従って、本発明によって提供される薬学的な組成物は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、液剤は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射、或いは好ましくは浣腸によって患者に投与することができる。経口投与の場合には、錠剤、カプセル等の固体形態のものが好ましく、例えばベロ毒素の中和を目的とする場合、腸管に到達してペプチド成分を徐放し得る性状の錠剤、カプセル剤又はリポソーム剤(持続性徐放製剤)が好ましい。
また、衛生陶器表面の消毒(殺菌)や食品の防腐目的、或いはベロ毒素又はベロ毒素産生菌により汚染された食品や飲料水等の対象物に含まれるベロ毒素を処理(除去又は中和)する目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の抗菌ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
例えば、放射線治療を受けているガン患者やエイズ患者にとって、細菌感染症の予防及び治療は重大な関心事である。本明細書に開示される抗菌ペプチドは、感染症の原因たる細菌(例えば病原性大腸菌その他のベロ毒素産生細菌、黄色ブドウ球菌等)に対して高い抗菌作用を示し得る。
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器の培養時の細菌感染を防止することは重要である。ここで開示される抗菌ペプチドは、哺乳動物細胞及び組織に対する毒性が低く(後述する実施例参照)、細菌に選択的に抗菌作用を示す。このため、培養臓器等の細菌感染及びベロ毒素による汚染を防止する薬剤として極めて有用である。例えば、後述する実施例に示すように、適当な濃度で本発明の抗菌ペプチド単独又は当該ペプチドを主成分とする組成物を培養液中に添加することにより、培養中の臓器等の細菌感染及びベロ毒素汚染を防止することができる。
また、培養細胞や培養組織に対して、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント又はRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする培養組織に導入することにより、常時或いは所望する時期に培養組織(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明によって提供される本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、培養組織の細菌感染を防止する薬剤として有用である。
また、ここで開示される抗菌ペプチドは、ベロ毒素吸着剤として好適に使用することができる。かかる吸着剤の好適な一具体例として、ここで開示されたペプチドをリガンドとするベロ毒素(典型的には1型毒素)吸着用カラムが挙げられる。かかるカラムにベロ毒素で汚染されたサンプル(例えば飲料水)を流通させることによって当該サンプルからベロ毒素を吸着・除去することができる。また、毒素産生菌の増殖を阻止することができる。なお、かかる吸着用カラムに使用するカラム担体の選択や当該カラムの作製手順自体は、アフィニティクロマトグラフィーに通常使用されている種々のアフィニティカラム(例えばモノクローナル抗体をリガンドとするカラム)の作製プロセスに準じればよく、特に本発明を特徴付けるものではない。
また、ここで開示される抗菌ペプチドは、ベロ毒素検出用途に用いることができる。例えば、当該ペプチドをベロ毒素認識素子(受容体)として使用し、当該ペプチドと適当なトランスデューサとを組み合わせて使用することにより、種々の機構のベロ毒素検出用センサーを構築することができる。例えば、適当な性状の水晶発振子の表面の金属導体(電極)膜(例えば金膜)に本発明のペプチドを固定化することによって、抗菌性を備えた実用的なベロ毒素検出用センサーを提供することができる。
また、ここで開示されるペプチドを固定したマイクロタイタープレートやチップ類は、酵素免疫検定法(EIA)等によってサンプル中のベロ毒素を検出及び定量するための材料として好適である。例えば、ここで開示されるペプチドを固定したマイクロタイタープレート(例えば96ウェル(穴)プレート)にベロ毒素を含むサンプル(血清等)を入れ、所定時間のインキュベーション及び洗浄後、ペルオキシダーゼ(POD)等の酵素で標識された抗ベロ毒素抗体を添加し、所定時間のインキュベーション及び洗浄後、所定の酵素基質液(検出液)を添加する。このような常法に基づくEIAを実施することによって、サンプル中にベロ毒素が含まれているか否かを簡便に検出することができる。また、ベロ毒素標品を用いて検量線を作成すること等により、サンプル中のベロ毒素含有量を定量することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:抗菌ペプチドの合成及び精製>
計8種類のペプチド(サンプル1〜4、比較サンプル1〜4)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。表1には、これら合成ペプチドのアミノ酸配列を列挙している。
Figure 2006238751
表1に示すように、サンプル1〜4は、いずれも抗菌関連配列とベロ毒素結合性配列とから構成されたペプチドである。即ち、サンプル1のN末端側配列「WHW」及びサンプル2〜4のN末端側配列「WHWTWL」はベロ毒素結合性配列であり、該配列のC末端側に隣接する配列「RIRKKLR(サンプル1及び2)」、「PKKKRKV(サンプル3)」及び「PRRRK(サンプル4)」は何れも抗菌関連配列であり高塩基性抗菌関連配列に包含されるNLSである。他方、比較サンプル1〜3は抗菌関連配列(NLS)のみから成るペプチドであり、比較サンプル4はベロ毒素結合性配列のみから成るペプチドである。
上述した各ペプチド(何れも20アミノ酸残基以下)は、市販のペプチド合成機(PEPTIDE SYNTHESIZER 9050、PerSeptive Biosystems社製品)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m-クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で4時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。即ち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で5%から60%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離した各ペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ペプチドの抗菌活性>
本発明に係る抗菌ペプチド(サンプル1〜4)について、グラム陰性細菌(大腸菌:E. coli IFO 3972)及びグラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌:S. aureus FDA209P)に対する抗菌活性(最小阻止濃度:MIC)を96穴(well)マイクロプレートを用いた液体培地希釈法により求めた。
即ち、先ず、滅菌蒸留水で最高試験濃度の20倍の濃度の薬剤(合成ペプチド)溶液を調製し、薬剤濃度が100、50、25、12.5、6.3、3.1、1.6及び0.8μMとなる液体肉汁培地、または、500、250、125、62.5、31.3、15.6、7.8、3.9、2.0、及び1.0μMとなる液体肉汁培地を作製した。また、培地は成分の異なる3種類を使用した。即ち、(1)DIFCO社製品「ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)」、(2)DIFCO社製品「ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)」、(3)DIFCO社製品「ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)」のカチオンを調整した培地(即ち、CaCl2・2H2O3.68gを精製水100mLに溶解(10mg・Ca2+/mL)した後、その500μLをミューラーヒントンブロス100mLに添加し、且つ、MgCl2・6H2O8.36gを精製水100mLに溶解(10mg・Mg2+/mL)した後、その250μLを該ミューラーヒントンブロス100mLに添加したものである。)をそれぞれ作製した。次いで、上記各濃度の薬剤含有液体肉汁培地を96穴マイクロプレートに100μLずつ充填した。
一方、37℃で18時間培養した寒天平板(DIFCO社製品「ミューラーヒントン寒天(Mueller Hinton Agar)」)上の被験菌体をループで掻き取り、滅菌生理食塩水に懸濁した。2×107cells/mL相当に調整した菌液5μLを上記マイクロプレートの各ウェルに充填されている薬剤溶液にそれぞれ接種した(試験菌数:1×106cells/mL)。接種後、37℃の恒温器内で培養を開始し、24時間後および48時間後の濁度により菌発生の有無を調べた。その計測時における菌による濁度の増加が認められない最小薬剤濃度(ペプチド濃度)を本実施例におけるMIC(単位:μM)と定めた。結果を表2及び表3に示す。なお、比較のためにポリミキシンBを使用して同様にMICを求めた。表中のNB、MHB、MHB−caは、それぞれ上記ニュートリエントブロス培地、ミューラーヒントンブロス培地、カチオン調整ミューラーヒントンブロス培地を示している。
Figure 2006238751
Figure 2006238751
表2及び表3に示す結果から明らかなように、本発明に係るペプチド(サンプル1〜4)は、比較対照のペプチド(比較サンプル1〜4)と比べていずれも高い抗菌活性を示した。また、本発明に係るペプチドは、高濃度のカチオン存在下(本実施例では高濃度のカルシウム及びマグネシウムを含むMHB−ca)であっても高い抗菌活性を維持し得ることが確かめられた。従って、本発明の抗菌ペプチドは、血清のような種々のカチオン(または塩類)が比較的大量に存在する系(例えば血液中)での用途に好適である。
特にサンプル2は比較サンプル1と比較してNB培地中で100倍程度抗菌活性が向上し、MHB及びMHB−ca培地中でも特に高い抗菌活性を維持した。
<実施例3:合成ペプチドのベロ毒素結合性>
上記合成ペプチドのうち、サンプル1(WHWRIRKKLR)及びサンプル2(WHWTWLRIRKKLR)についてのベロ毒素結合性をビアコア2000(ビアコア社製品)を使用して調べた。
即ち、サーフェスチオールカップリング法によりビアコア社が推奨しているマニュアル通りに操作し、上記ペプチドをデキストランが固定されているCM5チップ(ビアコア社製品)から成る測定基板上に固定した。
次いで、ベロ毒素1型、ベロ毒素2型それぞれの濃度を25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.125μg/mLに調整し、10μL/分の流量で基板上に流すことでそれぞれの反応性(Response)を求め、ビアコア社提供ソフトを用いてベロ毒素1型、ベロ毒素2型それぞれの吸着速度、解離速度、結合定数及び解離定数を求めた。結果を表4及び表5に示す。また、上記ペプチドについてこの実験系での非特異吸着の有無を確認するため、BSA、フィブリノーゲン及びトリプシンを用いて同様の実験を行った。その結果、表4及び表5から明らかなように、上記ペプチドはベロ毒素1型、ベロ毒素2型に強く結合することが認められた。また、BSA、フィブリノーゲン及びトリプシンのような他のタンパク質に対しては非特異吸着を示さなかった。
Figure 2006238751
Figure 2006238751
<実施例4:細胞毒性試験>
上記合成ペプチドのうち、サンプル1(WHWRIRKKLR)、サンプル2(WHWTWLRIRKKLR)及び比較サンプル1(RIRKKLR)についての細胞毒性を調べた。
即ち、96穴ウェルプレートの各ウェルに、D−MEN培地で5×10cells/100μLに調整した対数増殖期にあるHeLa細胞を100μLずつ播種した。そして、COインキュベータで37℃、24時間インキュベートし、細胞をウェルプレートに固定した後、D−MEN培地を取り除いた。そこへ2000μg/mLから7.6×10−3μg/mLまでの10段階4倍希釈系列に作製した各供試ペプチドのD−MEN培地溶液を各ウェルに100μLずつ加え、再びCOインキュベータで37℃、48時間インキュベートした。その後、ペプチドを添加したそれぞれのウェルへ発色基質溶液であるCell Counting Kit-8 溶液(株式会社同仁化学研究所製品)を10μLずつ加え、COインキュベータで37℃、3時間インキュベートし、その後、マイクロプレートリーダーで450nmのホルマザンの吸光度を測定した(参照波長655nm)。吸光度からそれぞれのペプチド各濃度を添加した際の細胞生存率を求めた(ペプチド試薬を加えないものを細胞生存率100%とした。)。比較のためにポリミキシンBを使用して同様のアッセイを行った。結果を図1に示す。図中の横軸は供試ペプチド濃度(μg/mL)であり、縦軸は細胞生存率(%)である。各ペプチド濃度における細胞生存率を示す図中の柱は各ペプチド濃度とも左端より比較サンプル1、サンプル1、サンプル2、ポリミキシンBの順である。本発明の抗菌ペプチドはサンプル1及び2のいずれも毒性は低く、実用濃度である抗菌活性を示す濃度(概ね125μg/mL以下;実施例2参照)では実質的に毒性の無いことが確認された。
<実施例5:HeLa細胞を用いた合成ペプチドによるベロ毒素中和活性>
上記合成ペプチドのうち、サンプル2(WHWTWLRIRKKLR)によるベロ毒素細胞死阻害試験をHeLa細胞を対象に行った。
即ち、先ず、ベロ毒素中和試験を行う前に細胞が適度に死ぬベロ毒素の投与量を決定した。即ちベロ毒素によるHeLa細胞のIC50を求めた。具体的には、D−MEN培地で培養した対数増殖期のHeLa細胞を5×10cells/well(100μL)になるように96穴ウェルプレートに播種し、37℃で24時間、COインキュベータで培養した。そこに50ng/100μLから5.0×10−7ng/100μLまで9段階10倍希釈系列に希釈したベロ毒素1型を加え37℃、COインキュベータで培養した。48時間後、各ウェルへ発色基質溶液であるCell Counting Kit-8 溶液(株式会社同仁化学研究所製品)を10μLずつ加え、COインキュベータで37℃、3時間インキュベートし、その後、マイクロプレートリーダーで450nmのホルマザンの吸光度を測定(参照波長655nm)することにより、ベロ毒素の濃度による細胞の減少数を調べた。その結果、ベロ毒素1型によるHeLa細胞のIC50は約5.0pg/well(100μL)と求まった。
次に、合成ペプチド(サンプル2)によるベロ毒素細胞死阻害試験を行った。まず、D−MEN培地で培養した対数増殖期のHeLa細胞を5×10cell/well(100μL)になるように96穴ウェルプレートに播種し24時間37℃、COインキュベータで培養した。そこへD−MEN培地で10pg/100μLに調整したベロ毒素1型と、D−MEN培地で250μg/100μLから1.0μg/100μLまでの8段階2倍希釈系列に調整した合成ペプチド(WHWTWLRIRKKLR)を1:1で混合したものを各ウェルへ100μLずつ加えた。各ウェルあたりのベロ毒素1型最終濃度は5pg/well(100μL)でペプチド最終濃度は125μg/well(100μL)から1.0μg/well(100μL)までの8段階2倍希釈系列である。
結果を図2に示す。図中の横軸は供試ペプチド濃度(μg/mL)であり、縦軸は細胞救助率(%)である。ペプチドを加えずIC50の濃度のベロ毒素1型のみを加えた時のHeLa細胞の細胞救助率を0%とした。図から明らかなように、ペプチド濃度が125μg/well(100μL)及び62.5μg/well(100μL)ではベロ毒素によりある程度衰弱した細胞へのペプチドの毒性が考慮されるため細胞数の減少が見られたが、15.6μg/well(100μL)から3.9μg/well(100μL)においては細胞生存率が向上している。このことから合成ペプチドによりベロ毒素を中和し得ることが確認された。また、このペプチド濃度は十分に高い抗菌活性を有する(表2)。
<実施例6:顆粒剤の調製>
サンプル1のペプチド50mgと結晶化セルロース50mg及び乳糖400mgとを混合した後、エタノールと水の混合液1mLを加え混練した。この混練物を常法に従って造粒し、本発明に係る抗菌ペプチドを主成分とする組成物(顆粒状抗菌剤)を得た。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
<配列表フリーテキスト>
配列番号1 設計されたベロ毒素結合性抗菌ペプチド。
配列番号2 設計されたベロ毒素結合性抗菌ペプチド。
配列番号3 設計されたベロ毒素結合性抗菌ペプチド。
配列番号4 設計されたベロ毒素結合性抗菌ペプチド。
配列番号5 設計された抗菌ペプチド。
配列番号6 設計された抗菌ペプチド。
配列番号7 設計された抗菌ペプチド。
配列番号8 設計された抗菌ペプチド。
配列番号9 設計された抗菌ペプチド。
配列番号10 設計された抗菌ペプチド。
配列番号11 設計された抗菌ペプチド。
配列番号12 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号13 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号14 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号15 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号16 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号17 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号18 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
配列番号19 設計されたベロ毒素結合性ペプチド。
一実施例に係るペプチドの細胞毒性の指標として、供試ペプチド濃度(μg/mL)と細胞生存率(%)との関係を示すグラフである。 一実施例に係るペプチドのベロ毒素中和活性の指標として、供試ペプチド濃度(μg/mL)と細胞救助率(%)との関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドであって、
    該ペプチドにベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として、以下の複数の連続するアミノ酸残基から成る配列:
    W又はF−H又はQ−W又はF−T又はS−W又はF−L又はY−T又はS又はC;
    のうち、少なくともN末端側のW又はF−H又はQ−W又はFを含む3個、4個、5個、6個又は7個の連続するアミノ酸残基から成る配列を少なくとも有する部分アミノ酸配列と、
    ペプチド鎖中において前記部分アミノ酸配列に近接する部分アミノ酸配列であって少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列とを有し、
    全アミノ酸残基数が100以下である、抗菌ペプチド。
  2. 前記ベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として少なくともW−H−Wを含む配列を有する、請求項1に記載の抗菌ペプチド。
  3. 前記抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列として、3個以上の連続するアミノ酸残基から成り、該配列を構成するアミノ酸残基の半数以上はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列を有する、請求項1又は2に記載の抗菌ペプチド。
  4. ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が20以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌ペプチド。
  5. 配列番号1〜4のいずれかに示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列に部分的な改変が施された配列を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌ペプチド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗菌用及び/又はベロ毒素処理用組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド。
  8. 抗菌ペプチドの製造方法であって、
    該ペプチドにベロ毒素結合性を付与する部分アミノ酸配列として、以下の複数の連続するアミノ酸残基から成る配列:
    W又はF−H又はQ−W又はF−T又はS−W又はF−L又はY−T又はS又はC;
    のうち、少なくともN末端側のW又はF−H又はQ−W又はFを含む3個、4個、5個、6個又は7個の連続するアミノ酸残基から成る配列を少なくとも有する部分アミノ酸配列と、該部分アミノ酸配列に近接する部分アミノ酸配列であって少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列とを有するペプチド鎖を設計すること、及び
    該設計したペプチド鎖を合成すること、
    を包含する方法。
  9. 前記抗菌性を発現し得る部分アミノ酸配列として3個以上の連続するアミノ酸残基から成り、該配列を構成するアミノ酸残基の半数以上はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列を有するペプチド鎖を設計する、請求項8に記載の方法。
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