JP5708498B2 - シュウ酸ジアリールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させることによりシュウ酸ジアリールを製造する方法等に関する。
シュウ酸ジアリールは、脱カルボニル化により、溶融法でポリカーボネートを製造する際のモノマーとして広く用いられている炭酸ジアリールの原料としても有用であり、近年注目をあびている化合物である。シュウ酸ジアリールはシュウ酸ジアルキルとアリールアルコールをエステル交換反応させることにより製造することができ、またその際に使用するシュウ酸ジアルキルは一酸化炭素と亜硝酸アルキルより製造することができる。
一酸化炭素と亜硝酸アルキルからシュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールを経由して炭酸ジアリールを製造する一連のプロセスが提案されている(特許文献1参照)。
また、シュウ酸ジアルキルと、アリールアルコールとを、エステル交換反応させる触媒の存在下でエステル交換反応させ、副生するアルキルアルコールを蒸留除去しながら、中間体としてシュウ酸アルキルアリールを生成させ、さらに触媒の存在下に、未反応のシュウ酸ジアルキルを蒸留除去しながら不均化反応を行ってシュウ酸ジアリールを生成させ、さらにこの反応液を蒸留操作してシュウ酸ジアリールを回収することを特徴とするシュウ酸ジアリールの製法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、シュウ酸ジアルキルとアリールアルコールを触媒存在下でエステル交換反応させてシュウ酸ジアリールを製造する際に使用する触媒として、チタン化合物、スズ化合物、鉛化合物、ジルコニウム化合物、モリブデン化合物、及びイッテルビウム化合物を使用することが提案されており、中でもチタン化合物が最も好ましく使用できることが提案されている(特許文献3参照)。
チタン化合物の例としては、TiX3、Ti(OAc)3、Ti(OMe)3、Ti(OEt)3、Ti(OBu)3、Ti(OPh)3、TiX4、Ti(OAc)4、Ti(OMe)4、Ti(OEt)4、Ti(OBu)4、Ti(OPh)4(但し、Acはアセチル基、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、Phはフェニル基、Xはハロゲン原子を表す)があげられるが、特にTi(OPh)4[テトラ(フェノキシ)チタン]が優れたエステル交換能力を示す触媒として好ましい。
しかし、テトラフェノキシチタン等のテトラ(アリールオキシ)チタンは、わずかな水分とも反応して分解する。また、テトラ(アリールオキシ)チタンは、常温で固体であり、その精製には固液分離などの複雑な操作が必要となる。
さらに、固体のテトラ(アリールオキシ)チタンを連続的なシュウ酸ジアリール製造プロセスに用いることは困難であるため、熱で溶融させたり、溶媒に溶解させたりして、テトラ(アリールオキシ)チタンを液状にする必要がある。しかし、テトラ(アリールオキシ)チタンはシュウ酸ジアルキルにほとんど溶解せず、アリールアルコールに対する溶解度も低いことからプロセス機器の増加要因となり、シュウ酸ジアリール製造工程の複雑化などの問題があった。
上記製造方法等によって得られたシュウ酸ジアリールは脱カルボニル化により炭酸ジアリールとなり、さらに最終的な用途としてビスアリールアルコールAと溶融重縮合反応によりポリカーボネートの原料となるが、ポリカーボネートは透明性の高いエンジニアリングプラスチックとしてCDやDVDなどのディスク、プラスチックレンズなどに広く用いられている。ゆえに樹脂の透明性を高めるためにポリカーボネートの原料である炭酸ジアリール、さらにその原料であるシュウ酸ジアリールにも着色成分を含まないことが要求されている。
また、上記製造方法では複数段の蒸留塔を使用することによって、反応・精製分離操作をおこなっているが、発明者らが製造方法を検討したところ、反応液中にハロゲン原子を含む化合物が含まれていないにもかかわらず、蒸留塔などの装置材質として一般的に用いられるJIS G 4304で規定されるSUS304のようなオーステナイト系ステンレス鋼でできた蒸留塔や貯槽、配管などの反応液接触部分について腐食、材質の減肉が見られ、長期間の製造が困難であることが見いだされた。
さらに、上記製造方法において蒸留除去されたアルキルアルコール中にはエステル交換反応の際に生成した低沸分の不純物が混入しており、これらがシュウ酸ジアルキル製造工程にリサイクルされると、生成反応の収率や選択率の低下、生成不純物の増加など好ましくない状態を引き起こしていた。
特開平11−246490号公報 特開平09−301920号公報 特開2006−089417号公報
本発明の課題は、上記問題点を解決するものであって、シュウ酸ジアリールを製造するために、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとのエステル交換反応を工業的に行なう際に使用する有利なテトラ(アリールオキシ)チタンを効率的にエステル交換反応の反応系内に供給するシュウ酸ジアリールの製造方法を提供するものである。
本発明の課題は、上記方法によって製造されたシュウ酸ジアリールを脱カルボニル化させることにより炭酸ジアリールを製造する際に、着色成分を含まない高純度の炭酸ジアリールを製造することができるシュウ酸ジアリールの製造方法又はシュウ酸ジアリールを提供するものである。
本発明の課題は、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる際に、腐食や材質の減肉を起こしにくく工業的に長期間の間使用できる装置によるシュウ酸ジアリールの製造方法を提供するものである。
本発明の課題は、一酸化炭素と酸素とアルキルアルコールを原料としてシュウ酸ジアルキル及びシュウ酸ジアリールを経由して炭酸ジアリールを製造するために工業的に有利で効率的なシュウ酸ジアリールの製造方法を提供するものである。特に、フェノール性水酸基を有するアリールアルコールとシュウ酸ジアルキルとをエステル交換反応させることによる特有の不純物によるシュウ酸ジアルキルの反応収率や選択率の低下を抑制し、炭酸ジアリールを製造するためのシュウ酸ジアリールの製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得て、本発明をなすに至った。
本発明者は、特定の条件下で、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールを反応させ、副生成するアルキルアルコールを除去することにより、テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を生成させ得るという知見を得た。また、本発明者は、この溶液から目的物であるテトラ(アリールオキシ)チタンを単離・精製することなく、そのままシュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとのエステル交換反応させる工程に供給することにより、効率的にシュウ酸ジアリールを製造することができるとの知見を得た。
本発明者は、上記方法において、エステル交換反応させて得られた反応液のチタン系化合物の濃度が特定の数値以下となるように蒸留精製すると、着色度が小さいシュウ酸ジアリールを製造できるという知見を得て、本発明に到達した。すなわち、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、シュウ酸ジアリールの脱カルボニル化により炭酸ジアリールを製造する際に、原料として使用するシュウ酸ジアリール中に含まれる着色成分の1つがフラン系化合物であることを突き止め、フラン系化合物の含有量を特定量以下に抑制することにより、着色度が小さいシュウ酸ジアリールを得ることができる知見を得て、本発明に到達した。
本発明者は、上記方法において、エステル交換反応の反応液と接触する装置の材質が、ニッケルを10重量%以上含み、かつモリブデンを1〜4重量%含むオーステナイト系ステンレス鋼であれば腐食や材質の減肉が抑制されて、長期間連続的に製造できる知見を得て、本発明に到達した。
本発明者は、上記方法において、一酸化炭素と酸素とアルキルアルコールを原料としてまずシュウ酸ジアルキルを製造し、さらにシュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる際に、副生するアルキルアルコール中に含まれるエーテル化合物を特定量以下としてシュウ酸ジアルキル工程にリサイクルすることによって、工業的に有利で効率的に製造できる知見を得て、本発明に到達した。
即ち、本発明は、具体的には、以下の構成を有する。
(1)触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタン存在下で、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる工程を含むシュウ酸ジアリールを製造する方法であって、テトラ(アリールオキシ)チタンが、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとを反応させて、副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液として、エステル交換反応の反応系内に供給されることを特徴とするシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(2)シュウ酸ジアリールを含む反応液のチタン系化合物濃度を10重量ppm以下にし、次いで蒸留精製する工程を含む、上記(1)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(3)エステル交換反応の反応液と接触する装置の材質が、ニッケルを10重量%以上含み、かつモリブデンを1〜4重量%含むオーステナイト系ステンレス鋼である、上記(1)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(4)一酸化炭素、酸素及びアルキルアルコールを反応させて、シュウ酸ジアルキルを製造する(A)工程、
(A)工程で得られたシュウ酸ジアルキルとアリールアルコールとを、テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で反応させて、生成するアルキルアルコールを除去しながらシュウ酸アルキルアリールを生成させる(B−1)工程、
(B−1)工程で得られたシュウ酸アルキルアリールを、テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で不均化反応させて、生成するシュウ酸ジアルキル及びアルキルアルコールを除去しながらシュウ酸ジアリールを生成させる(B−2)工程、
(B−2)工程で得られたシュウ酸ジアリールを分離・回収する(B−3)工程
を含み、
(B−1)工程で除去されたアルキルアルコール中のエーテル化合物含有量を1000重量ppm未満とする(C)工程を経て、(A)工程にアルキルアルコールをリサイクルする、上記(1)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(5)テトラ(アリールオキシ)チタンがテトラフェノキシチタンである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(6)テトラアルコキシチタンがテトライソプロポキシチタンである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(7)テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応を、テトラアルコキシチタン中のチタン原子とアリールアルコールのモル比(アリールアルコール/チタン原子)が10〜80となるように行う、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(8)テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応を、反応温度160〜300℃に保ちながら行う、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(9)テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応を反応蒸留塔で行う、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(10)反応蒸留塔における、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの還流比が3〜40である、上記(9)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(11)反応蒸留塔に、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとが、テトラアルコキシチタン中のチタン原子とアリールアルコールの単位時間あたりのモル比(アリールアルコール/チタン原子)が40〜80であるように、連続的に供給される、上記(9)又は(10)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(12)テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとを反応蒸留塔に供給して反応させ、副生成するアルキルアルコールを含む留分を抜き出し、底部からテトラ(アリールオキシ)チタンとアリールアルコールを含む留分を抜き出すことにより、副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を得て、エステル交換反応工程に供給する、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(13)反応蒸留塔の底部から、連続的にテトラ(アリールオキシ)チタンとアリールアルコールとを抜き出し、連続的に副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液をエステル交換反応工程に供給する、上記(12)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(14)エステル交換反応の反応液と接触する装置の材質が、クロムを16.00〜18.00重量%含有するオーステナイト系ステンレス鋼である、上記(1)〜(13)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(15)装置の材質が、窒素原子を実質的に含有しないオーステナイト系ステンレス鋼である、上記(14)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(16)装置の材質が、JIS G 4304で規定されるSUS316系オーステナイト系ステンレス鋼である、上記(15)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(17)上記オーステナイト系ステンレス鋼が、JIS G 4304で規定されるSUS316もしくはSUS316Lである、上記(16)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(18)装置が、シュウ酸ジアリールの精製塔、エステル交換反応の反応容器又は反応蒸留塔である上記(1)〜(17)のいずれかに記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(19)(C)工程において、アルキルアルコール中のエーテル化合物含有量を300ppm以下にする、上記(4)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(20)(C)工程におけるエーテル化合物が、アルキルアリールエーテルである、上記(4)又は(19)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(21)(B−3)工程において、少なくとも一つのアリールエステル基を有するシュウ酸エステル若しくはその分解物がフリース転位した化合物であって、かつヒドロキシ基とアリールオキシ基とを有する化合物、又は上記化合物のヒドロキシ基とアリールオキシ基とが分子内若しくは分子間で反応した化合物、あるいはそれらの誘導体を除去する、上記(4)、(19)又は(20)記載のシュウ酸ジアリールの製造方法である。
(22)上記(1)〜(21)のいずれかに記載の方法により製造されたシュウ酸ジアリールをリン系化合物存在下で脱カルボニル化する、炭酸ジアリールの製造方法である。
(23)上記(22)に記載の方法により製造された炭酸ジアリールを塩基性のアルカリ金属塩存在下でビスフェノールAと反応させる、ポリカーボネートの製造方法である。
本発明のシュウ酸ジアリールの製造方法によれば、触媒として使用するテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を特定の条件下で、テトラアルコキシチタンと過剰のアリールアルコールとを反応させることにより、高転化率で製造することができる。
また生成したテトラ(アリールオキシ)チタンを単離・精製することなく、アリールアルコール溶液としてそのままシュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる工程に供給するので、精製工程を大幅に簡略化でき、製造設備の簡略化、精製溶媒等の削減による環境負荷の低減、また工程簡略化により滞留時間・テトラ(アリールオキシ)チタンへの熱履歴・水などの劣化・分解物質との接触が低減化され、分解生成物の抑制、それに伴うシュウ酸ジアリールの選択率の向上、反応効率の向上を図ることができる。
本発明のシュウ酸ジアリールの製造方法によれば、フラン化合物の含有量を特定量以下に抑制し、赤みや黄ばみなどの着色成分を含まない高度に非着色性なシュウ酸ジアリールを得ることができ、これを脱カルボニル化することにより高度に非着色性な炭酸ジアリールを製造することができる。本発明によって得られたシュウ酸ジアリールは、特に光学レンズや光学フィルター等の光学材料に用いられるポリオキサミド樹脂等の原料として非常に有用であり、このシュウ酸ジアリールから得られた炭酸ジアリールは、同じく光学材料に用いられるポリカーボネート樹脂の原料として非常に有用である。
本発明のシュウ酸ジアリールの製造方法によれば、反応液と接触する場所の腐食や材質の減肉を抑制することができるので、長期の間、蒸留塔、槽、配管などの液との接触部分の補修・取り替えなどが必要なくなり、工業的に極めて有利である。また腐食に起因する液漏洩などの恐れもなくなり、安全性の向上も期待できる。その結果、シュウ酸ジアリールを原料として製造する炭酸ジアリールをコストなどの点で工業的に有利、安定的に生産できる。
本発明のシュウ酸ジアリールの製造方法によれば、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させて、生成するアルキルアルコールをシュウ酸ジアルキルの製造工程にリサイクルしても、高収率、高選択性でシュウ酸ジアルキルを製造することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
〔シュウ酸ジアルキル〕
本発明で使用するシュウ酸ジアルキルとしては、特に制限されず、シュウ酸ジアルキル分子中の2つのアルキル基は、同一でも、異なっていてもよい。シュウ酸ジアルキルとしては、例えば、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジプロピル、シュウ酸ジイソプロピル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル、シュウ酸ジヘキシル、シュウ酸ジヘプチル、シュウ酸ジオクチル、シュウ酸ジノニル等のシュウ酸ジアルキルを用いることができる。シュウ酸ジアルキルの中でも、エステル交換反応の反応速度及び副生成するアルキルアルコールの除去しやすさの観点から、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するシュウ酸ジアルキルが好ましく、シュウ酸ジメチル又はシュウ酸ジエチルが特に好ましい。
〔シュウ酸ジアルキルの製造方法〕
本発明で使用するシュウ酸ジアルキルの製造方法については、特に限定されず、いずれの方法により製造された物を使用しても良い。以下に、本発明で使用するシュウ酸ジアルキルを製造する(A)工程について説明する。(A)工程は、一酸化炭素、酸素及びアルキルアルコールを反応させて、シュウ酸ジアルキルを製造する工程である。
〔(A)工程〕
本工程において、原料として使用するアルキルアルコールと酸素の他に一酸化窒素を反応させて亜硝酸アルキルを生成し、これをさらに一酸化炭素と反応させてシュウ酸ジアルキルを生成させる。この亜硝酸アルキルと一酸化炭素とを反応させる触媒として白金族金属触媒が好適に使用される。白金族金属触媒としては、白金族金属又はその化合物が挙げられるが、白金族金属化合物は還元されて白金族金属の形態で使用されることが好ましい。
白金族金属としては、例えば、白金金属、パラジウム金属、ロジウム金属、イリジウム金属などが挙げられ、その化合物としては、例えば、これら金属の無機酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、ハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、有機酸塩(酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩等)、錯体などが使用される。白金族金属又はその化合物の中では、パラジウム金属又はその化合物が特に好ましい。
パラジウム化合物としては、例えば、パラジウムの無機酸塩(硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、リン酸パラジウム等)、パラジウムのハロゲン化物(塩化パラジウム、臭化パラジウム等)、パラジウムの有機酸塩(酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウム、安息香酸パラジウム等)、或いはパラジウムの錯体(トリメチルホスフィン等のアルキルホスフィン類、トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィン類、ジエチルフェニルホスフィン等のアルキルフェニルホスフィン類又はトリフェニルホスファイト等のアリールホスファイト類などを配位子として有する錯体)などが使用される。
白金族金属触媒としては、白金族金属又はその化合物が不活性な担体に白金族金属換算で好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.2〜2重量%担持されている固体触媒を使用することが工業的に好ましい。不活性な担体としては、例えば、パラジウム金属又はその化合物が、活性炭、アルミナ(α−アルミナ等)、シリカ、珪藻土、軽石、ゼオライト、モレキュラーシーブ、スピネルなどが挙げられる。白金族金属化合物が担体に担持された固体触媒を使用する場合は、担持された白金族金属化合物を、予め水素等の還元性物質で白金族金属に還元して使用するか、又は反応前に反応器内で一酸化炭素等の還元性物質で白金族金属に還元して使用することが好ましい。なお、白金族金属触媒は公知の方法(含浸法、蒸発乾固法など)により担体に担持される。
白金族金属触媒には、例えば、鉄又はその化合物を含有させることができる。鉄又はその化合物としては、金属鉄、鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物が挙げられる。鉄(II)化合物としては、例えば、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、乳酸第一鉄、水酸化第一鉄等を使用することが好ましく、鉄(III)化合物としては、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、乳酸第二鉄、水酸化第二鉄、クエン酸第二鉄等を使用することが好ましい。鉄又はその化合物は、白金族金属:鉄(原子比)が好ましくは10000:1〜1:4、更に好ましくは5000:1〜1:3の範囲内になるように使用される。なお、鉄又はその化合物を含有する触媒は公知の方法により調製される。
(A)工程で使用される一酸化炭素は純粋なものでもよいが、窒素などの不活性ガスで希釈されていてもよく、あるいは少量の水素ガス又はメタンを含んでいてもよい。更に、本発明では、後述するシュウ酸ジアリールの脱カルボニル化により生成する一酸化炭素を使用してもよい。シュウ酸ジアリールの脱カルボニル化により生成する一酸化炭素は、反応で消費された一酸化炭素や循環ガスのパージにより失われる一酸化炭素を補うため、アルカリ処理された後、亜硝酸アルキル再生工程に供給され、この工程で再使用されることが好ましい。
(A)工程の反応は、例えば、一酸化炭素及び亜硝酸アルキルを含有する原料ガスを、気相中、白金族金属触媒の存在下で接触させることによりシュウ酸ジアルキルを製造することができる。このとき、原料ガスと白金族金属触媒との接触時間は10秒以下、更には0.2〜5秒であることが好ましく、反応温度は50〜200℃、更には80〜150℃であることが好ましい。また、反応圧力は常圧〜10kg/cm2G、更には常圧〜5kg/cm2Gであることが好ましいが、2〜5kg/cm2Gの加圧であることが特に好ましい。なお、反応器としては、単管式、又は多管式の熱交換器型反応器が有効である。
原料ガス中の一酸化炭素の濃度は2〜90容量%の範囲であることが好ましい。また、原料ガス中の亜硝酸アルキルの濃度は広い範囲で変えられるが、満足できる反応速度を得るためには、原料ガス中の濃度が1容量%以上となるように亜硝酸アルキルを存在させることが好ましい。原料ガス中の亜硝酸アルキルの濃度は、例えば、5〜30容量%の範囲であることが好ましい。
(A)工程では、シュウ酸ジアルキルを含有する生成物(例えば、反応ガス)が得られる。次いで、この生成物(例えば、反応ガス)は凝縮器に導かれてシュウ酸ジアルキルが凝縮する温度に冷却され、シュウ酸ジアルキルを含有する凝縮液と一酸化窒素を含有する非凝縮ガスに分離される。このとき、シュウ酸ジアルキルが非凝縮ガスに同伴することを防ぐために、該生成物100重量部を30〜60℃でアルキルアルコール0.001〜0.1容量部と接触させることが好ましい。また、この工程の操作圧力は常圧〜10kg/cm2Gであることが好ましく、常圧〜5kg/cm2Gであることがより好ましく、更には2〜5kg/cm2Gの加圧下であることが特に好ましい。
次に、凝縮液からシュウ酸ジアルキルが分離・回収される。この操作は、凝縮液が目的物のシュウ酸ジアルキルの他に、炭酸ジアルキル、ギ酸アルキル等の副生物を少量含有するため、例えば、凝縮液を蒸留塔に導いて通常の操作で蒸留することによって行われる。分離・回収されたシュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる工程に供給される。
一方、分離された非凝縮ガスは、未反応の一酸化炭素及び亜硝酸アルキル以外に、(A)工程で生成した一酸化窒素を含んでおり、この一酸化窒素は亜硝酸アルキルに再生する工程に導かれる。この亜硝酸アルキルの再生は、非凝縮ガスを再生塔の底部に導いて分子状酸素及びアルキルアルコールと接触させる(一酸化窒素を分子状酸素及びアルキルアルコールと反応させる)ことによって行われる。そして、再生塔から導出されるガス(再生ガス)が(A)工程に循環供給されて、再使用される。この時、使用されるアルキルアルコールは系外から新たに供給されるアルキルアルコールに加えて、下記に記載されるようなエステル交換反応させる工程において生成・回収されるアルキルアルコールが使用される。
分子状酸素としては、酸素ガス又は空気などが使用される。再生塔としては、充填塔、気泡塔、スプレー塔、段塔などの通常の気液接触装置が用いられる。亜硝酸アルキルの再生においては、再生ガス中の一酸化窒素の濃度が2〜7容量%になるように反応が制御される。このため、再生塔に導入される非凝縮ガス中の一酸化窒素1モルに対して、分子状酸素を0.08〜0.2モル供給して、再生の際の圧力におけるアルキルアルコールの沸点以下(例えば、0℃からアルキルアルコールの沸点まで)の温度で、非凝縮ガスと分子状酸素及びアルキルアルコールを接触させることが好ましい。アルキルアルコールの供給量は非凝縮ガス中の一酸化窒素1容量部に対して1〜5容量部であることが好ましく、接触時間は0.5〜20秒が好ましい。また、操作圧力は常圧から10kg/cm2Gであることが好ましく、常圧から5kg/cm2Gであることがより好ましく、更に2〜5kg/cm2Gであることが特に好ましい。
亜硝酸アルキル再生工程には、アルカリ処理された(アルカリ水溶液による洗浄及び/又はアルカリ系吸着剤との接触などが行われた)一酸化炭素が供給される。アルカリ処理された一酸化炭素は再生塔の底部に導入されることが好ましい。再生塔の底部には、例えば、(A)工程で発生したガス中の非凝縮ガスが亜硝酸アルキル再生工程に供給される供給ラインから非凝縮ガスと混合されて導入されてもよく、別途独立して導入されてもよい。亜硝酸アルキル再生工程にアルカリ処理された一酸化炭素を供給することにより、(A)工程におけるシュウ酸ジアルキルの選択率の低下及び触媒活性の低下を効果的に抑えることができる。
(A)工程が連続プロセスで実施される場合は、一酸化炭素の供給により、反応で消費される一酸化炭素や系外に損失する一酸化炭素を有効に補うことができる。また、系外に損失する窒素成分を補うために、亜硝酸アルキル再生工程の再生塔の底部に亜硝酸アルキル、窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素等)、又は硝酸が導入される。このようにして、一酸化炭素が補給され(必要に応じて窒素成分も補給され)、再生された亜硝酸アルキルを含有するガス(再生ガス)が(A)工程に循環供給される。
〔アリールアルコール〕
本発明で用いられるアリールアルコールとしては、例えば、フェノールやo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール等が挙げられる。中でも、反応性や汎用性の観点から、フェノールが好ましい。
〔シュウ酸ジアリール〕
本発明において、製造されるシュウ酸ジアリールとしては、特に制限されないが、例えば、シュウ酸ジフェニル、シュウ酸ビス(o−メチルフェニル)、シュウ酸ビス(p−メチルフェニル)、シュウ酸ビス(o−エチルフェニル)、シュウ酸ビス(p−エチルフェニル)等が挙げられる。
〔触媒(エステル交換触媒)〕
本発明のシュウ酸ジアリールの製造方法において、エステル交換反応させる触媒として、チタン化合物が好ましく、具体的にはTiX3、Ti(OAc)3、Ti(OBu)3、Ti(OPh)3、TiX4、Ti(OAc)4、Ti(OBu)4、Ti(OPh)4などが挙げられる。但し、Acはアセチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。中でも原料のアリールアルコールと同じ置換基を有するTi(OPh)4[テトラフェノキシチタン]が不純物を副生しない点から特に好ましい。
テトラ(アリールオキシ)チタンは工業的な量を市中で入手することが困難・高価であるが、工業的な規模で入手が容易なテトラアルコキシチタンとアリールアルコールを反応させて容易にテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を生成させることができる。テトラアルコキシチタンとしては特に制限はないが、入手が容易なテトラメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどがあげられるが、取扱い、入手が容易な点からテトライソプロポキシチタンが好ましい。
テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液は、テトライソプロポキシチタン等のテトラアルコキシチタンとアリールアルコールを加熱しながら副生するアルキルアルコールを系外に除去して製造することができる。テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応は、反応蒸留塔で行うことが好ましい。副生成するアルキルアルコールを系外に除去する方法に制限はないが、アリールアルコールやテトラアルコキシチタンも蒸気圧を有する点から蒸留塔を用いてアルキルアルコールを塔頂より抜き出す方法が好ましく、さらに連続的に製造できる点から反応蒸留としてテトラアルコキシチタンとアリールアルコールとを供給して塔底からはテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を抜き出し、塔頂からはアルキルアルコールを一部還流させながら系外に抜き出す方法がさらに好ましい。
蒸留塔における原料の供給場所については、蒸留塔底部に供給するとテトラアルコキシチタンの転化率が低下する場合があるため、反応蒸留部があるように蒸留塔の側部から原料となるテトラアルコキシチタンとアリールアルコールとを供給するのが好ましい。反応蒸留塔の形式としては、オールダーショウ型のような棚段多孔板式蒸留塔、各種の充填材を詰め込んだ充填式蒸留塔などを利用できるがこれらに限定されない。
テトラアルコキシチタンとアリールアルコールを反応させる際には、特に溶媒などがなくても反応は十分進行するが、必要に応じて、副生成するアルキルアルコールと共沸するようなトルエンなどの溶媒を添加しても良い。
テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液は、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる工程に、連続的に供給することが好ましい。
テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液は、断続的に製造してもよいが、連続的に製造するのが好ましい。テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を連続的に製造する場合は、連続的に又は断続的に、反応蒸留塔にテトラアルコキシチタンとアリールアルコールとを供給する。テトラアルコキシチタンとアリールアルコールとは、反応蒸留塔の側部から供給することが好ましい。
反応蒸留塔に加えるアリールアルコールの量はテトラアルコキシチタンに対して過剰量加えることが好ましく、アリールアルコールとテトラアルコキシチタン(例えばテトライソプロポキシチタン)のチタン原子とのモル比(アリールアルコールのモル数/チタン原子のモル数)が10以上が好ましく、さらに好ましくは40以上がよい。上限値は80以下が好ましく、60以下がさらに好ましい。すなわち、アリールアルコールとテトラアルコキシチタンのチタン原子とのモル比(アリールアルコールのモル数/チタン原子のモル数)は、10〜80が好ましく、40〜80がより好ましく、40〜60がさらに好ましく、30〜50が特に好ましい。モル比が少ない場合は生成するテトラ(アリールオキシ)チタンが系内で析出して閉塞などを起こす場合があり、モル比が大きい場合は生成するテトラ(アリールオキシ)チタンに対して装置が必要以上に大きくなる傾向がある。
テトラアルコキシチタンとアリールアルコールとの反応を行う反応蒸留における塔頂部分の還流比は3〜40が好ましく、5〜20がより好ましい。還流比が低すぎると転化率の低下などのおそれがある。また、還流比が40以上であると反応の進行度が遅くなる。
反応蒸留塔中のチタン原子とアリールアルコールとのモル比(アリールアルコール/チタン原子)が40〜80となるように、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとを連続的に反応蒸留塔に供給することが好ましい。
テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとを反応蒸留塔に供給して反応させ、副生成するアルキルアルコールを含む留分を抜き出し、底部からテトラ(アリールオキシ)チタンとアリールアルコールを含む留分を抜き出すことにより、副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を得て、エステル交換反応工程に供給する、ことが好ましい。
テトラアルコキシチタンとアリールアルコールとの反応における反応温度は160〜300℃に保つことが好ましく、200〜300℃に保つことがより好ましい。反応温度が低いとテトライソプロポキシチタンの転化率が低下する傾向がある。またテトラ(アリールオキシ)チタンとしてテトラフェノキシチタンを使用する場合には、テトラフェノキシチタンの融点(153℃)以下の温度では閉塞が生じたりして、運転操作上の困難が生じる場合がある。
反応蒸留塔の底部から、連続的にテトラ(アリールオキシ)チタンとアリールアルコールとを抜き出し、連続的に副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液をエステル交換反応工程に供給することが好ましい。
反応蒸留塔の底部から得られるテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液は、テトラ(アリールオキシ)チタンを単離・精製することなく、そのままシュウ酸ジアルキルとアリールアルコールと共に反応蒸留塔の側部から供給され、シュウ酸アルキルアリールもしくはシュウ酸ジアリールを製造するためのエステル交換反応の触媒として使用される。これにより触媒の精製工程を大幅に簡略化できるので、製造設備の簡略化、精製溶媒等の削減による環境負荷の低減、また工程簡略化により滞留時間の低減、テトラ(アリールオキシ)チタンへの熱履歴の低減、テトラ(アリールオキシ)チタンの水などによる劣化の抑制、テトラ(アリールオキシ)チタンの分解物質との接触の低減がなされるので、分解生成物の抑制、それに伴うシュウ酸ジアリールの選択率の向上、反応効率が向上する。
〔装置の材質〕
本発明のシュウ酸ジアリールの製造方法において、エステル交換反応の反応液と接触する装置(例えば蒸留塔や貯槽、配管の内壁、トレイ、充填物などの蒸留塔内部の構造物など、より具体的にはシュウ酸ジアリールの精製塔、エステル交換反応の反応容器又は反応蒸留塔)の材質は、ニッケルを10重量%以上かつモリブデンを1〜4重量%含むオーステナイト系ステンレス鋼であることが好ましい。さらに、装置の材質が、窒素原子を実質的に含有しないオーステナイト系ステンレス鋼であることが好ましい。
また、オーステナイト系ステンレス鋼の中でも、クロムを16.00〜18.00重量%含有するオーステナイト系ステンレス鋼が好ましく、窒素原子を実質的に含有しないオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。なお、本発明において、窒素原子を実質的に含有しないオーステナイト系ステンレス鋼とは、JIS G 4304等において、窒素原子含有量が規定されている高窒素ステンレス鋼以外のオーステナイト系ステンレス鋼を指す。
さらに、オーステナイト系ステンレス鋼の中でも、JIS G 4304で規定されるSUS316(Ni:10.00〜14.00重量%、Cr:16.00〜18.00重量%、Mo:2.00〜3.00重量%、N:0重量%)又はSUS316L(Ni:12.00〜15.00重量%、Cr:16.00〜18.00重量%、Mo:2.00〜3.00重量%、N:0重量%)がより好ましい。
エステル交換反応の反応液と接触する部分に、通常装置の材質としてよく使用されている炭素鋼やJIS G 4304で規定されるSUS304(Ni:8.00〜10.50重量%、Cr:18.00〜20.00重量%、Mo:0重量%、N:0重量%)のような一般的なオーステナイト系ステンレス鋼などを用いると、減肉や表面の変色など腐食が観察され、長期間の連続運転が困難となる。
〔シュウ酸ジアリールの製造方法〕
以下に、触媒としてテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を存在させて、シュウ酸ジアリールを製造する方法について説明する。
シュウ酸ジアリールの製造方法は、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる工程を含み、得られたシュウ酸ジアリールを分離・回収する。
エステル交換反応させる方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
一つ目の方法は、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下でシュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させてシュウ酸ジアリールを製造する方法である。
二つ目の方法は、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で、副生成するアルキルアルコールを除去しながら、シュウ酸ジアルキル又はシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させてシュウ酸ジアリールを製造する方法である。
三つ目の方法は、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で、シュウ酸ジアルキルとアリールアルコールとをエステル交換反応させて、シュウ酸アルキルアリールを生成させ、次いで、エステル交換反応触媒の存在下で、副生成するシュウ酸ジアルキルを除去しながら、シュウ酸アルキルアリールの不均化反応させて、シュウ酸ジアリールを製造する方法である。
四つ目の方法は、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で、副生成するアルキルアルコールを蒸留除去しながら、シュウ酸ジアルキルとアリールアルコールとをエステル交換反応させてシュウ酸アルキルアリールを生成させ、次いで、エステル交換反応させる触媒存在下、シュウ酸ジアルキル及びアルキルアルコールを除去しながら、シュウ酸アルキルアリールの不均化反応を主体とする反応を行わせてシュウ酸ジアリールを製造する方法である。これらの製造方法の中でも、四つ目の方法を用いることが好ましい。
以下に、シュウ酸ジアリールの製造方法において、(B−1)工程、(B−2)工程、(B−3)工程に分けて説明する。
本発明のシュウ酸アルキルアリール生成工程((B−1)工程)では、例えば、以下のような方法で、シュウ酸アルキルアリールを生成することができる。
〔(B−1)工程〕
(A)工程で生成されたシュウ酸ジアルキルは、シュウ酸アルキルアリール生成工程((B−1)工程)に用いられる。(B−1)工程では、シュウ酸ジアルキルと、アリールアルコールと、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液とを第1反応蒸留塔へ供給して、アルキルアルコールを主成分とする第1蒸気を第1反応蒸留塔の頂部から抜き出しながら、シュウ酸ジアルキルとアリールアルコールとをエステル交換反応させて、シュウ酸アルキルアリールを生成することができる。
第1反応蒸留塔には、多数の棚段を有する多段蒸留塔を用いることができる。第1蒸留塔では、シュウ酸アルキルアリール生成工程((B−1)工程)の他に、不均化反応(シュウ酸ジアリール生成反応、(B−2)工程)も一部同時に行われる。
(B−1)工程では、第1反応蒸留塔の多数の棚段部分(又は充填材部分)の上部の区域へ、シュウ酸ジアルキルと、アリールアルコールと、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液とを、それぞれ別々に又は混合液で供給して反応させることが好ましい。また、第2反応蒸留塔の棚段部分(又は充填材部分)の上部の区域へ、第1反応蒸留塔の底部から抜き出される反応液を供給して反応させることが好ましい。
第1反応蒸留塔では、副生成するアルキルアルコールを主成分として含む第1蒸気を蒸発させて、第1反応蒸留塔の頂部から抜き出すことが好ましい。また、第1反応蒸留塔の頂部に連結している抜き出しラインに冷却器を設け、第1蒸気を凝縮させ、アルキルアルコールを主成分とする凝縮液として、エステル交換反応の反応系外へ除去される。アルキルアルコールを主成分とする凝縮液には、低沸点のエーテル化合物が含まれている。アルキルアルコールを主成分とする凝縮液は、エーテル化合物の濃度を低減させるための(C)工程に供給される。
〔(B−2)工程〕
シュウ酸ジアリール生成工程((B−2)工程)では、例えば、以下のような方法で、シュウ酸ジアリールを生成することができる。第1反応蒸留塔の底部からエステル交換反応による反応液を抜き出して第2反応蒸留塔へ供給し、シュウ酸ジアルキルを主成分とし、さらにアルキルアルコールを含む第2蒸気を第2反応蒸留塔の頂部から抜き出しながら、触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下でシュウ酸アルキルアリールの不均化反応を行わせることが好ましい。第2反応蒸留塔の頂部から抜き出された第2蒸気は、必要に応じてアルキルアルコールを留去し、シュウ酸ジアルキルやアリールアルコールを主成分とする留分を第1反応蒸留塔へ供給して再使用することが好ましい。
第1及び第2反応蒸留塔は多数の棚段を有する蒸留塔からなる反応蒸留塔であるか、又は充填材が上部に充填された反応蒸留塔で、理論段数が少なくとも2段以上、更には5〜100段、特に7〜50段の反応蒸留塔であることが好ましい。多段蒸留塔型の反応蒸留塔としては、例えば、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バブルトレイなどを用いた棚段式蒸留塔形式のもの、或いはラシヒリング、レッシングリング、ポールリングなどの各種充填物を充填した充填式蒸留塔形式のものを使用することができ、更に棚段式及び充填式を併せもつ反応蒸留塔であっても使用することができる。
エステル交換反応させる工程が反応液を第1及び第2反応蒸留塔内を流下させながら液相状態で行われる場合には、その反応温度は、各原料及び反応生成物を含有している反応液が溶融する温度以上であって、しかも生成物であるシュウ酸アルキルアリールやシュウ酸ジアリールが熱分解しないような温度であることが好ましい。この反応温度は約50〜350℃、更には100〜300℃、特に120〜280℃程度であることが好ましい。
(B−1)工程及び(B−2)工程における反応の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよいが、副生物であるアルキルアルコールやシュウ酸ジアルキルを蒸留させることができる温度及び圧力とすることが好ましい。例えば、反応温度が約50〜350℃であれば、反応圧力は0.01mmHg〜100kg/cm2Gであることが好ましく、更には0.1mmHg〜50kg/cm2G程度であることがより好ましい。
また、エステル交換反応させる工程における反応の時間(多段蒸留塔からなる反応蒸留塔を用いた場合には第1及び第2反応蒸留塔内での反応液の滞留時間)は反応条件や反応蒸留塔の形式及び操作条件などによって異なるが、例えば、反応温度が約50〜350℃であれば、約0.01〜50時間、更には0.02〜10時間、特に0.05〜5時間程度であることが好ましい。
また、(B−1)工程及び(B−2)工程で使用されるシュウ酸ジアルキルとアリールアルコールの割合は、反応条件等によって異なるが、アリールアルコールが、例えば、供給されるシュウ酸ジアルキルに対して0.001〜1000倍モル、更には0.1〜100倍モル、特に0.5〜20倍モル程度であることが好ましい。また、エステル交換反応させる工程で使用される触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の量は、反応装置の形式及びサイズ、原料の種類及び組成、更に反応条件によって異なるが、例えば、シュウ酸ジアルキルとアリールアルコールの合計量に対する割合で表して約0.0001〜50重量%、更には0.001〜30重量%、特に0.005〜10重量%程度であることが好ましい。
〔(B−3)工程〕
(B−1)工程及び(B−2)工程で得られる反応液は、原料及び触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液、反応中間体のシュウ酸アルキルアリール及び目的物のシュウ酸ジアリール、アルキルアルコール及びシュウ酸ジアルキルを主として含有していて、その他の副生物は極めて微量である。このため、例えば、第2反応蒸留塔から得られる反応液から通常の蒸留操作などにより目的物のシュウ酸ジアリールを容易に分離・回収することができる。
この分離・回収の具体例としては、蒸留装置及び/又は蒸発装置で、エステル交換反応等によって得られた反応液を蒸留及び/又は蒸発操作してシュウ酸ジアリールを分離・回収する方法などを挙げることができる。
シュウ酸ジアリールを含む反応液からテトラ(アリールオキシ)チタンを由来とするチタン系化合物を除去し、シュウ酸ジアリールを含む反応液のチタン系化合物の濃度を10重量ppm以下にすることが好ましい。シュウ酸ジアリールを含む反応液のチタン系化合物の濃度を10重量ppm以下にする方法としては、例えば第2反応蒸留塔から得られる反応液を蒸留器もしくは蒸発器に供給し、反応液の大部分を蒸留もしくは蒸発させてチタン系化合物を除去する方法が挙げられる。この際、蒸発した反応液の大部分を蒸留塔へ供給し、シュウ酸ジアリールを蒸留精製する工程で精製することができる。シュウ酸ジアリールを含む反応液中のチタン系化合物の濃度は10重量ppm以下であることが好ましく、5重量ppm以下であることがより好ましい。
シュウ酸ジアリールを含む反応液は、不純物としてアリールアルコールやシュウ酸アルキルアリール等が含有されている。
しかし、アリールアルコールやシュウ酸アルキルアリールは、シュウ酸ジアリールとの沸点差が大きく分離が容易なので、段数の比較的低い蒸留塔を使用した蒸留であっても、例えば、97.0重量%以上、更には99.0重量%以上の高純度なシュウ酸ジアリールを得ることができる。
得られるシュウ酸ジアリールを炭酸ジアリールの原料として使用する場合、シュウ酸ジアリールの純度は、97.0重量%以上で充分であるが、特に不純物(アリールアルコール、シュウ酸アルキルアリール等)がそれぞれ1.0重量%以下、特に0.5重量%以下、更には0.1重量%以下であることが好ましい。
また、不純物としては、アリールアルコールやシュウ酸アルキルアリールの他に、少なくとも一つのアリールエステル基を有するシュウ酸エステル若しくはその分解物が、フリース転位した化合物であって、かつ、ヒドロキシ基とアリールオキシ基とを有する化合物、又は、この化合物のヒドロキシ基とアリールオキシ基とが分子内若しくは分子間で反応した化合物などが含まれている。
シュウ酸ジアリールを含む反応液から、不純物として含まれているアリールアルコールやシュウ酸アルキルアリールを蒸留精製する方法としては、例えば、分留によって分離・回収する以下の方法が挙げられる。
シュウ酸ジアリールを含む反応液を第1反応蒸留塔へ供給し、第1反応蒸留塔の頂部から低質分の蒸気(シュウ酸アルキルアリールとアリールアルコールを含む蒸気)を抜き出して凝縮させる。また、第1反応蒸留塔の底部からシュウ酸ジアリールを主成分とする缶液を抜き出して第2反応蒸留塔へ供給し、第2反応蒸留塔の頂部からシュウ酸ジアリールの蒸気を抜き出すことによって、シュウ酸ジアリールを回収することができる。第1反応蒸留塔の頂部から回収されたシュウ酸アルキルアリールとアリールアルコールを含む凝縮液は、エステル交換反応させる工程((B−1)工程等)へ供給して再使用することが好ましい。
上記の方法を簡略化して第1蒸留塔のみを用いて、分留により、シュウ酸ジアリールの分離・回収を行うことも可能である。この方法においては、簡略化して第1反応蒸留塔のみで上記の分離・回収を行うことも可能である。例えば、蒸発器でチタン系化合物を分離して得られた蒸発分を第1反応蒸留塔へ供給し、その頂部から低質分の蒸気(シュウ酸アルキルアリールとアリールアルコール)を抜き出すと共に、蒸留塔下部からサイドカットによりシュウ酸ジアリールを回収する方法により行うことができる。
さらに、シュウ酸ジアリールを含む反応液のチタン系化合物の濃度を10重量ppm以下にする工程と、反応液中の含まれる不純物としてのアリールアルコール、シュウ酸アルキルアリールを除去する工程とをまとめて行うこともできる。
例えば、反応液をまず第1反応蒸留塔で蒸留して、第1反応蒸留塔の頂部から低質分の蒸気(シュウ酸アルキルアリールとアリールアルコールとを含む蒸気)を抜き出して除去すると共に、第1反応蒸留塔の底部からシュウ酸ジアリールを主成分とする缶液を抜き出して第2反応蒸留塔へ供給し、次いで第2反応蒸留塔の底部からチタン系化合物を含む缶液を得ると共に、第2反応蒸留塔の頂部からシュウ酸ジアリールの蒸気を抜き出して回収する方法が挙げられる。
また、反応液を第1反応蒸留塔に供給して、第1反応蒸留塔の頂部から低質分の蒸気(シュウ酸アルキルアリールとアリールアルコールとを含む蒸気)とを抜き出して除去した後、シュウ酸ジアリールの蒸気を頂部から抜き出し、シュウ酸ジアリールの蒸気を冷却して凝集させて回収することもできる。最後に第1反応蒸留塔の底部からチタン系化合物を含む缶液を除去することができる。
上述した反応液からアリールアルコールやシュウ酸アルキルアリールを蒸留精製して、シュウ酸ジアリールを精製する方法の中でも、チタン系化合物等を分離して、シュウ酸ジアリールを含む反応液中のチタン系化合物の濃度を10重量ppm以下にした後、アリールアルコールとシュウ酸アルキルアリールとを留去して、シュウ酸ジアリールを精製する方法を用いることが好ましい。
チタン系化合物の濃度が高い状態で蒸留などによりシュウ酸ジアリールを含む反応液の精製を行うと、加熱により着色物質である下記一般式(1)で表されるベンゾフラン−2,3−ジオン類のようなフラン化合物が次々と生成してしまう場合がある。ベンゾフラン−2,3−ジオン類としては、例えば、ベンゾフラン−2,3−ジオン等が挙げられる。
そこで、反応液のチタン系化合物の濃度を10重量ppm以下に低くした後に、シュウ酸ジアリールを含む反応液を蒸留精製することにより、着色成分であるベンゾフラン−2,3−ジオン類のようなフラン系化合物の生成を抑制することができる。
Figure 0005708498

(式中、Rは、アルキル基、アラルキル基、アリール基などの炭素原子数1〜12の炭化水素基又は、水素原子、ハロゲン原子のいずれかを表す。)
フラン化合物の中でも、特にベンゾフラン−2,3−ジオンやアルキル置換ベンゾフラン−2,3−ジオン等のベンゾフラン−2,3−ジオン類は、シュウ酸ジアリールの着色に特に大きく影響している。このため、シュウ酸ジアリール中のベンゾフラン−2,3−ジオン濃度を低く抑えることにより、着色の少ないシュウ酸ジアリールを得ることができる。
フラン化合物は、シュウ酸ジアリールよりも低沸点であるため、シュウ酸ジアリールの蒸気を蒸留塔頂部から抜き出す場合にも、缶液中で生成されるフラン系化合物が、シュウ酸ジアリールの蒸気に同伴してしまう。また、フラン系化合物の蒸気を蒸留塔頂部から抜き出そうとしても、缶液の加熱により、フラン系化合物が新たに生成するため、シュウ酸ジアリール中のフラン系化合物濃度を低くすることは難しい。
蒸留操作では着色がない高純度の状態まで精製することができないので蒸留精製時には液中のチタン系化合物濃度をできるだけ低くすることが重要である。チタン系化合物がほとんど含まれていない状態ではベンゾフラン−2,3−ジオンのようなフラン化合物生成速度は遅いので、シュウ酸ジアリールとフラン化合物は蒸留により容易に分離することができる。
本発明の製造方法によって得られるシュウ酸ジアリールは、必要に応じて上述した精製工程等を経て、シュウ酸ジアリールに含まれるフラン系化合物の濃度が500ppm以下であることが好ましい。
フラン系化合物は、シュウ酸ジアリールの着色原因となっている。このため、シュウ酸ジアリールに含まれるフラン系化合物の濃度が500ppm以下であると、透明性の高いシュウ酸ジアリールを得ることができる。
シュウ酸ジアリールに含まれるフラン系化合物の濃度は、400ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。
フラン系化合物としては、ベンゾフラン−2,3−ジオン等のベンゾフラン−2,3−ジオン類が挙げられる。特にベンゾフラン−2,3−ジオンは、シュウ酸ジアリールの大きな着色原因である。そのため、シュウ酸ジアリール中のベンゾフラン−2,3−ジオンの濃度を500ppm以下とすることが好ましく、400ppm以下とすることがより好ましく、300ppm以下とすることがさらに好ましい。
また、本発明の製造方法によって得られるシュウ酸ジアリールは、大気中で、150℃における溶融ハーゼン色数が200番以下であることが好ましい。
シュウ酸ジアリールは、炭酸ジアリールの原料として使用されることが多い。着色したシュウ酸ジアリールを原料として用いると、炭酸ジアリールの着色原因となり、高純度炭酸ジアリールの製造を妨げることになる。また、炭酸ジアリール生成工程において、シュウ酸ジアリール中のフラン系化合物等は、高沸点化合物を生成する原因となる。そのため、シュウ酸ジアリール中の多量のフラン系化合物の存在は、炭酸ジアリール生成工程における炭酸ジアリールの選択率や収率を低下させる原因となる。
〔(C)工程〕
本発明では、(B−1)工程でシュウ酸ジアルキルとアリールアルコールとをエステル交換反応させる際に副生成するアルキルアルコールを回収し、シュウ酸ジアルキルを生成する工程((A)工程)にリサイクルする。アルキルアルコールには、低沸点のエーテル化合物等の不純物が混入しているが、種々の不純物の中でも、エーテル化合物だけは、その濃度を低減させる必要がある。これは、エーテル化合物が一定以上の濃度で含有されているアルキルアルコールをシュウ酸ジアルキルを生成する工程((A)工程)に用いると、シュウ酸ジアルキルの収率や選択率が大きく低下してしまうためである。また、(B−2)工程で、第2反応蒸留塔の頂部から抜き出された第2蒸気から、必要に応じて抜き出されたアルキルアルコールも、同様に低沸点のエーテル化合物の濃度を低減させることが好ましい。
エーテル化合物としては、例えば、アニソールやジメチルエーテル等のアルキルアリールエーテルや、ジフェニルエーテルが挙げられる。アルキルアルコール中のエーテル化合物の含有量は、1000重量ppm未満とする必要があり、中でも500重量ppm以下とすることが好ましく、300重量ppm以下とすることがより好ましく、100重量ppm以下とすることが特に好ましい。特にアルキルアルコール中のアニソール等のアルキルアリールエーテルの含有量が多いと、(A)工程におけるシュウ酸ジメチルの収率が低くなるため、アルキルアルコール中のアニソール等のアルキルアリールエーテルの含有量を低減とすることが好ましい。
アルキルアルコール中のエーテル化合物の濃度を低減させる方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
(B−1)工程において第1反応蒸留塔の頂部から抜き出されるアルキルアルコールを主成分とする蒸気、又は/及び(B−2)工程において第2反応蒸留塔の頂部から抜き出された第2蒸気から必要に応じて抜き出されたアルキルアルコールを含む蒸気を冷却凝縮することで、エーテル化合物を比較的高濃度で含有するアルキルアルコールが得られる。エーテル化合物を比較的高濃度で含有するアルキルアルコールは、蒸留してアルキルアルコールを分離することにより、エーテル化合物の濃度を低減することができる。
〔炭酸ジアリールの製造工程〕
得られたシュウ酸ジアリールを脱カルボニル化させて、炭酸ジアリールと一酸化炭素を生成させ、その反応混合物から炭酸ジアリールを分離・回収することできる。この脱カルボニル化は、触媒存在下、液相で行われることが好ましい。
シュウ酸ジアリールの脱カルボニル化が液相で行われる場合、触媒としては、シュウ酸ジアリールの脱カルボニル化を比較的低温(約100〜350℃)で行うことができ、かつ炭酸ジアリールを高選択率(少なくとも50%以上、特に60〜100%)で得ることができる触媒が好ましい。
液相反応で使用される触媒としては、例えば、有機リン化合物、好ましくは少なくとも1個の炭素−リン結合を有する有機リン化合物からなる触媒が挙げられる。このような有機リン化合物としては、式(w)〜(z)で示されるホスフィン(w)、ホスフィンオキシド(x)、ホスフィンジハライド(y)及びホスホニウム塩(z)から選ばれる少なくとも一種の有機リン化合物からなる触媒を好適に挙げることができる。
Figure 0005708498
(式中、R〜R13は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基及び炭素数7〜22のアラルキル基から選ばれる少なくとも一種の基を示し、Xは対イオンを形成しうる原子又は原子団を示し、Y及びYは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子をそれぞれ示す。化合物(w)〜(z)は少なくとも一つが前述の基を有している。)
1〜R13で示される基としては、例えば、炭素数1〜16のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基等)、炭素数6〜16のアリール基(フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロロナフチル基等)、炭素数7〜22のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、p−メチルフェネチル基等)が挙げられる。アリール基及びアラルキル基は、その芳香環を形成している炭素と直接に結合する置換基として、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、ニトロ基及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していてもよい。
有機リン化合物(w)〜(z)としては、それぞれが有する基(R1〜R13)の全てがアリール基であるものが好ましいが、その1〜2個(特に2個)がアリール基であって、残部がアルキル基又はアラルキル基であるものであってもよい。
式(w)のR1〜R3の全てがアリール基であるホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−トリル)ホスフィンが挙げられる。式(x)のR4〜R6の全てがアリール基であるホスフィンオキシドとしては、例えば、トリフェニルホスフィンオキシド、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(4−トリル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
式(y)のR7〜R9の全てがアリール基であるホスフィンジハライドとしては、例えば、トリフェニルホスフィンジクロライド、トリフェニルホスフィンジブロマイドが挙げられる。ホスフィンジハライドの中では、トリフェニルホスフィンジクロライド等のトリアリールホスフィンジクロライドが好ましい。
式(z)のホスホニウム塩としては、R10〜R13の全てがアリール基であって、しかも対イオンX-がハロゲンイオン、脂肪族カルボン酸イオン又はフルオロボレートイオンなどであるホスホニウム塩が好適であるが、R10〜R13の1〜3個、特に2〜3個がアリール基であって、残部がアラルキル基又はアルキル基であり、更に対イオンX-がハロゲンイオン、脂肪族カルボン酸イオン又はフルオロボレートイオンであるものであってもよい。式(z)のR10〜R13の全てがアリール基であるホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、4−クロロフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−クロロフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、4−エトキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−エトキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の、対イオンX-がハロゲンイオンであるホスホニウム塩が挙げられる。
有機リン化合物の中では、テトラアリールホスホニウム塩が好ましい。その中ではテトラアリールホスホニウムハライドが更に好ましいが、中でもテトラフェニルホスホニウムクロライド等のテトラアリールホスホニウムクロライドが特に好ましい。有機リン化合物からなる脱カルボニル化触媒は、単独であってもまた二種以上の混合物であってもよく、更に反応液中に均一に溶解及び/又は懸濁されていてもよい。脱カルボニル工程で使用される有機リン化合物の量はシュウ酸ジアリールに対して0.001〜50モル%、更には0.01〜20モル%程度であることが好ましい。
有機リン化合物からなる脱カルボニル化触媒には、必要に応じて、無機又は有機のハロゲン化合物系添加剤が少なくとも一種添加されることが好ましい。有機リン化合物として、ホスフィンやホスフィンオキサイドを使用する場合や、ハライド及びハイドロジェンジハライド以外のホスホニウム塩を使用する場合は、このハロゲン化合物系添加剤を添加することが好ましい。添加されるハロゲン化合物系添加剤の量は、有機リン化合物に対して0.01〜150倍モル、更には0.05〜100倍モル程度であることが好ましい。
無機ハロゲン化合物系添加剤としては、例えば、アルミニウムのハロゲン化物(塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等)、白金族金属のハロゲン化物(塩化白金、塩化ルテニウム、塩化パラジウム等)、リンのハロゲン化物(五塩化リン等)、硫黄のハロゲン化物(塩化チオニル等)、ハロゲン化水素(塩化水素等)、ハロゲン単体(塩素等)が挙げられる。また、有機ハロゲン化合物系添加剤としては、例えば、飽和炭素にハロゲン原子が結合している構造(C−Hal)や、カルボニル炭素にハロゲン原子が結合している構造(CO−Hal)を有するものなどが好適である。このような有機ハロゲン化合物系添加剤としては、例えば、ハロゲン化アルキル(クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、塩化ブチル等の塩化アルキルなど)、ハロゲン化アラルキル(塩化ベンジル等の塩化アラルキルなど)、ハロゲン置換脂肪族カルボン酸(クロロ酢酸、ブロモ酢酸等)、酸ハロゲン化物(塩化オキサリル、塩化プロピオニル、塩化ベンゾイル等の酸塩化物など)が挙げられる。但し、Halは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。
シュウ酸ジアリールの脱カルボニル化は、シュウ酸ジアリールを、有機リン化合物を主成分とする触媒(及び必要に応じてハロゲン化合物系添加剤)が存在する反応器に供給し、発生する一酸化炭素を除去しながら、シュウ酸ジアリールを液相で脱カルボニル化させて炭酸ジアリールを生成させることが好ましい。このとき、反応温度は100〜450℃、更には160〜400℃、特に180〜350℃であることが好ましい。また、反応圧力は特に制限されるものではなく、例えば、10mmHg〜10kg/cm2Gの範囲であればよいが、脱カルボニル化工程で生成する一酸化炭素をアルカリ処理した後亜硝酸メチル再生工程に供給することを考慮すれば、常圧から10kg/cm2G、更には常圧から5kg/cm2G、特に2〜5kg/cm2Gの範囲であることが好ましい。反応に特別の溶媒は必要とされないが、必要に応じて、ジフェニルエーテル、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリドン等の非プロトン性の溶媒を使用してもよい。
脱カルボニル化における反応器としては、有機リン化合物存在下で、シュウ酸ジアリールを脱カルボニル化させて、一酸化炭素と共に炭酸ジアリールを生成させることができるものであれば、どのような形式の反応器でも使用できる。例えば、シュウ酸ジアリールの脱カルボニル化が液相で行われる場合、1槽又は多槽式の完全混合型反応器(攪拌槽)、塔型反応器などを用いることができる。反応器の材質はシュウ酸ジアリールの脱カルボニル化における充分な耐熱性があれば特に制限されるものではなく、例えば、ガラス、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金、ニッケル合金等が適宜使用される。
シュウ酸ジアリールを脱カルボニル化させた反応液には未反応のシュウ酸ジアリールや有機リン化合物が含有されているので、この反応液から炭酸ジアリールを分離・回収するには、流下膜式蒸発器、薄膜蒸発器などの蒸発装置で触媒を分離して回収した後、この蒸発分をある程度の理論段数(特に5〜50段)を有する充填塔や棚段塔などの蒸留装置を用いて蒸留する方法が好適に用いられる。また、反応液を充填塔や棚段塔などの蒸留装置で蒸留して、塔頂部から炭酸ジアリールを抜き出すと共に、塔底部から未反応のシュウ酸ジアリールや有機リン化合物を含有する缶液を抜き出す方法も用いられる。抜き出された缶液は脱カルボニル反応の反応器へ循環供給される。このようにして、反応液から炭酸ジアリールを分離・回収して高純度の炭酸ジアリールを得ることができる。
〔ポリカーボネートの製造方法〕
製造された炭酸ジアリールを塩基性のアルカリ金属塩存在下でビスフェノールAと反応させて、ポリカーボネートを得ることができる。
塩基性のアルカリ金属塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート,フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩などが挙げられる。
塩基性のアルカリ金属塩の添加量としては、特に制限されず、例えば、ビスフェノールA1モルに対して、1×10-9〜1×10-3モルの範囲で用いることができる。特に物性面や取り扱いの面で良好なアルカリ金属化合物では、塩基性のアルカリ金属塩の添加量は、ビスフェノールA1モルに対して1×10-8〜1×10-5モルが好ましく、特に好ましくは2×10-8〜8×10-6モルの範囲である。塩基性のアルカリ金属塩の添加量が少なすぎると、必要な重合活性が得られない傾向があり、添加量が多すぎると、ポリマー色相が悪化し、分岐が多くなる傾向がある。
塩基性のアルカリ金属塩と共に、補助触媒として、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物あるいはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。
塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などが挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどが挙げられる。
製造された炭酸ジアリールを塩基性のアルカリ金属塩存在下でビスフェノールAと反応させる、ポリカーボネートの製造方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
モル比で、ビスフェノールA1に対して、ジフェニルカーボネート1.07を混合し、130℃で保持し、この混合融体に、触媒として0.01N水酸化ナトリウム1ml(ビスフェノールA1モルに対して1μモル)を窒素下で仕込み、210℃/100mmHgで60分、240℃/15mmHgで60分、280℃/0.5mmHgで2時間、随時副生するフェノールを留去させながら重縮合反応を行うと粘度平均分子量20,000の芳香族ポリカーボネートが得られ、カッターで切断してペレットとすることができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に示す。ただし、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<合成例1>
テトラフェノキシチタンの合成
1L容積のボトムフラスコを備えた内径32mm、オールダーショー型反応蒸留塔(以下「触媒合成用反応蒸留塔」という)のボトムにフェノール300mlを仕込み、オイルバスで加熱昇温した。全還流状態を保ちながら触媒合成用反応蒸留塔内温度分布が安定した後、フェノールを342.4g/hで、テトライソプロポキシチタン(TIPT)を21.6g/hの流量でフィードした。フィードしたフェノールのモル数とTIPT中のTi原子のモル数との比(フェノール/Ti)は、48であった。トップからの留出液は還流比を5で保って抜き出した。また、ボトムは液面が330mlを維持するように触媒合成用反応蒸留塔の底部から連続で抜き出した。この状態で定常状態になるまで維持し、ボトム液を分析したところ、テトラフェノキシチタン(TPT)が10.8重量%、フェノールが89.2重量%で、イソプロパノール(IPA)が114ppm検出された。また、留出液組成は、フェノール71.8重量%、イソプロパノールが28.2重量%であった。その時の抜出量は、ボトム液が295.4g/h、トップ留出液が68.6g/hであった。また、ボトム温度は190℃、トップ温度は164℃であった。この結果、TIPTのTPTへの転化率(TPT収率)は99.8%であった。反応条件と結果を表1に示す。
なお、TIPT転化率は以下の式によって求めた。
Figure 0005708498
<合成例2〜4>
テトラフェノキシチタンの合成
合成例1と同様の実験を表1のように一部条件を変えて行った結果を表1に示す。
なお、合成例4の反応液はTPTが一部析出した。
<合成例5>
テトライソプロポキシチタンをボトムにフィードした以外は合成例1と同様にしてテトラフェノキシチタンの合成を行った。その結果、TIPTのTPTへの転化率(TPT収率)は93.1%であった。
Figure 0005708498
<実施例1>
1L容積のボトムフラスコを備えたオールダーショー型反応蒸留塔(蒸留塔内径32mm、実段数50段、以下「第1反応蒸留塔」という)のボトムにフェノール(PhOH)とシュウ酸ジメチル(DMO)の混合液(PhOH/DMOモル比2/1)を300ml仕込んでオイルバスで加熱して炊き上げた。全還流で安定したところで、塔の上から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を300ml/hで供給すると共に、合成例1の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hでフィードした。トップからメタノールが留出し始めたところで還流比を2にして抜き出しを開始した。ボトム液も300mlの液面を保つように連続で抜き出しを開始した。
塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)でボトム液の組成をガスクロマトグラフで分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.75重量%、シュウ酸メチルフェニル26.77重量%、シュウ酸ジメチル23.23重量%、フェノール42.91重量%であった。また、トップからの抜出液は、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成であった。
<実施例2>
第1反応蒸留塔のボトムフラスコにフェノール(PhOH)とシュウ酸ジメチル(DMO)の混合液(PhOH/DMOモル比2/1)を300ml仕込んでオイルバスで加熱して炊き上げた。全還流で安定したところで、塔の上から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を300ml/hrで供給すると共に、合成例2の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hでフィードした。トップからメタノールが留出し始めたところで還流比を2にして抜き出しを開始した。ボトム液も300mlの液面を保つように連続で抜き出しを開始した。
塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)でボトム液の組成をガスクロマトグラフで分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.72重量%、シュウ酸メチルフェニル26.80重量%、シュウ酸ジメチル23.20重量%、フェノール42.94重量%であった。また、トップからの抜出液は、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成であった。
<実施例3>
第1反応蒸留塔のボトムフラスコにフェノール(PhOH)とシュウ酸ジメチル(DMO)の混合液(PhOH/DMOモル比2/1)を300ml仕込んでオイルバスで加熱して炊き上げた。全還流で安定したところで、塔の上から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を300ml/hrで供給すると共に、合成例の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hでフィードした。トップからメタノールが留出し始めたところで還流比を2にして抜き出しを開始した。ボトム液も300mlの液面を保つように連続で抜き出しを開始した。
塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)でボトム液の組成をガスクロマトグラフで分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.68重量%、シュウ酸メチルフェニル26.82重量%、シュウ酸ジメチル23.25重量%、フェノール42.91重量%であった。また、トップからの抜出液は、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成であった。
<実施例4>
第1反応蒸留塔のボトムフラスコにフェノール(PhOH)とシュウ酸ジメチル(DMO)の混合液(PhOH/DMOモル比2/1)を300ml仕込んでオイルバスで加熱して炊き上げた。全還流で安定したところで、塔の上から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を300ml/hrで供給すると共に、合成例の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hでフィードした。トップからメタノールが留出し始めたところで還流比を2にして抜き出しを開始した。ボトム液も300mlの液面を保つように連続で抜き出しを開始した。
塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)でボトム液の組成をガスクロマトグラフで分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.70重量%、シュウ酸メチルフェニル26.84重量%、シュウ酸ジメチル23.25重量%、フェノール42.91重量%であった。また、トップからの抜出液は、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成であった。
<実施例5>
第1反応蒸留塔のボトムフラスコにフェノール(PhOH)とシュウ酸ジメチル(DMO)の混合液(PhOH/DMOモル比2/1)を300ml仕込んでオイルバスで加熱して炊き上げた。全還流で安定したところで、塔の上から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を300ml/hrで供給すると共に、合成例の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hでフィードした。トップからメタノールが留出し始めたところで還流比を2にして抜き出しを開始した。ボトム液も300mlの液面を保つように連続で抜き出しを開始した。
塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)でボトム液の組成をガスクロマトグラフで分析したところ、シュウ酸ジフェニル5.40重量%、シュウ酸メチルフェニル27.34重量%、シュウ酸ジメチル24.01重量%、フェノール42.95重量%であった。また、トップからの抜出液は、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成であった。
<比較例1>
合成例1で得られたTPTのフェノール溶液の代わりに、7.6重量%のTIPTフェノール溶液を8.5ml/hでフィードしたほかは実施例1と同様にしてフェノールとシュウ酸ジメチルのエステル交換反応を連続で行った。
塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)でボトム液の組成をガスクロマトグラフで分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.63重量%、シュウ酸メチルフェニル26.33重量%、シュウ酸ジメチル23.48重量%、フェノール43.38重量%のほかシュウ酸イソプロピルフェニル、シュウ酸メチルイソプロピルのピークが微量検出された。また、トップからの抜出液(約25ml/h)は、メタノール98.4重量%、イソプロパノール1.4重量%、シュウ酸ジメチル0.2重量%の組成であった。
<実施例6>
第1反応蒸留塔のオールダーショーの上部から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を330g/hで供給すると共に、合成例1の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hで供給した。ボトムフラスコを190℃に加熱し、塔頂部からの蒸気を冷却器で凝縮して還流比2で抜き出しながら、エステル交換反応を行った。塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)で塔底液(反応液)の組成をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.74重量%、シュウ酸メチルフェニル26.76重量%、シュウ酸ジメチル23.45重量%、フェノール42.62重量%であった。なお、塔底液の抜き出し量は約306g/hであった。そして、塔頂からは、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成の液を約24g/hで抜き出した。
第2反応蒸留塔として第1反応蒸留塔と同型のオールダーショー型反応蒸留塔を用い、この第2反応蒸留塔の上から12段目に、上記エステル交換反応後の反応液を300ml/hで供給した。ボトムフラスコをマントルヒーターで230℃に加熱し、塔頂部からの蒸気を冷却器で凝縮して、還流することなく抜き出しながら、不均化反応を行った。塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)で塔底液(反応液)の組成をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シュウ酸ジフェニル53.22重量%、シュウ酸メチルフェニル25.81重量%、シュウ酸ジメチル2.37重量%、フェノール17.14重量%であった。なお、塔底液の抜き出し量は約132g/hであった。塔頂部からは、メタノール2.32重量%、シュウ酸ジメチル43.75重量%、フェノール50.16重量%、シュウ酸メチルフェニル3.64重量%、シュウ酸ジフェニル0.13重量%の組成の液を約189g/hで抜き出した。
圧力20mmHgに減圧した回転薄膜式蒸発器(伝熱面積:0.1m)に、上記で得られた塔底液(反応液)を100ml/hで供給し、熱媒で蒸発器を200℃に加熱して、連続でシュウ酸ジメチル、フェノール、シュウ酸メチルフェニル及びシュウ酸ジメチルを蒸発させ、冷却器で凝縮させた。蒸発器の底部からは、テトラフェノキシチタンを約20重量%含む液を約7g/hで抜き出した。
なお、薄膜蒸発器の蒸気出口から冷却器までの配管は立ち上がり配管とし、蒸発器と冷却器の立ち上がり配管部にデミスターを設置して使用した。
ヘリパック(5×5mm)を充填した内径20mm、高さ2mのガラス製蒸留塔を用い、この塔の上部から、上記の凝縮液を全量供給した。缶液温度135℃、塔頂圧力10mmHg、還流比2で連続蒸留を行い、塔頂部からシュウ酸ジメチル6.52重量%、フェノール31.50重量%、シュウ酸メチルフェニル61.95重量%の組成の液を43ml/hで抜き出し、塔底部から純度99.6重量%のシュウ酸ジフェニルを約50g/hで抜き出した。塔底部から抜き出した液に含まれるチタン濃度をICPで測定したところ2.5重量ppmであった。
得られたシュウ酸ジフェニル中には、フラン化合物として、ベンゾフラン−2,3−ジオンが20ppm含まれており、溶融ハーゼン色数は100であった。
<実施例7>
ヘリパック(5×5mm)を充填した内径20mm、高さ2mのガラス製蒸留塔を用い、塔の上部から、実施例6で得られた塔底液(純度99.6重量%のシュウ酸ジフェニル)を100ml/hで供給した。缶液温度178℃、塔頂圧力10mmHg、還流比2で連続で蒸留を行って、塔頂部からシュウ酸ジフェニル99.9重量%の組成の液を約98g/hで抜き出した。塔底部からは、高沸物を含有する液を約7g/hで抜き出した。得られたシュウ酸ジフェニルは、不純物としてフェノールが0.02重量%、シュウ酸メチルフェニルが30ppmのほかベンゾフラン−2,3−ジオンが80ppm含まれており、溶融ハーゼン色数は100であった。
<実施例8>
ジフェニルカーボネートの合成
実施例6で得られたシュウ酸ジフェニルに、テトラフェニルホスホニウムクロライドを1.5モル%加え、150℃に加熱して溶解した。この液を、温度計、攪拌機及びオーバーフロー管を備えたガラス製反応器(内容積1L)2個を連結した装置に、定量ポンプを用いて300mL/hで供給すると共に、2個の反応器をマントルヒーターで加熱して230℃に保持してシュウ酸ジフェニルの脱カルボニル反応を行った。尚、各反応器のオーバーフロー位置は600mLとした。得られた反応液を減圧蒸留にて精製し、ジフェニルカーボネートを得た。
<実施例9>
第1反応蒸留塔のオールダーショーの上部から、フェノール61.4重量%、シュウ酸ジメチル38.6重量%の混合液を330g/hで供給すると共に、合成例1の触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を9ml/hで供給した。ボトムフラスコを190℃に加熱し、塔頂部からの蒸気を冷却器で凝縮して還流比2で抜き出しながら、エステル交換反応を行った。塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)で塔底液(反応液)の組成をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シュウ酸ジフェニル6.74重量%、シュウ酸メチルフェニル26.76重量%、シュウ酸ジメチル23.45重量%、フェノール42.62重量%であった。なお、塔底液の抜き出し量は約306g/hであった。そして、塔頂からは、メタノール99.7重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%の組成の液を約24g/hで抜き出した。
第2反応蒸留塔として第1反応蒸留塔と同型のオールダーショー型反応蒸留塔を用い、この第2反応蒸留塔の上から12段目に、上記エステル交換反応後の反応液を300ml/hで供給した。ボトムフラスコをマントルヒーターで230℃に加熱し、塔頂部からの蒸気を冷却器で凝縮して、還流することなく抜き出しながら、不均化反応を行った。塔の状態が安定した時点(供給開始から5時間後)で塔底液(反応液)の組成をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、シュウ酸ジフェニル53.22重量%、シュウ酸メチルフェニル25.81重量%、シュウ酸ジメチル2.37重量%、フェノール17.14重量%であった。なお、塔底液の抜き出し量は約132g/hであった。塔頂部からは、メタノール2.32重量%、シュウ酸ジメチル43.75重量%、フェノール50.16重量%、シュウ酸メチルフェニル3.64重量%、シュウ酸ジフェニル0.13重量%の組成の液を約189g/hで抜き出した。
圧力20mmHgに減圧した回転薄膜式蒸発器(伝熱面積:0.1m)に、上記で得られた塔底液(反応液)を100ml/hで供給し、熱媒で蒸発器を200℃に加熱して、連続でシュウ酸ジメチル、フェノール、シュウ酸メチルフェニル及びシュウ酸ジメチルを蒸発させ、冷却器で凝縮させた。蒸発器の底部からは、テトラフェノキシチタンを約20重量%含む液を約7g/hで抜き出した。
なお、薄膜蒸発器の蒸気出口から冷却器までの配管は水平配管とし、デミスターは設置しなかった。
さらに、ヘリパック(5×5mm)を充填した内径20mm、高さ2mのガラス製蒸留塔を用い、この塔の上部から、上記の凝縮液を全量供給した。ボトム温度135℃、塔頂圧力10mmHg、還流比2で連続蒸留を行い、塔頂部からシュウ酸ジメチル6.51重量%、フェノール31.57重量%、シュウ酸メチルフェニル61.83重量%の組成の液を43ml/hで抜き出し、塔底部から純度99.5重量%のシュウ酸ジフェニルを約50g/hで抜き出した。塔底部から抜き出した液に含まれるチタン濃度をICPで測定したところ38重量ppmであった。
得られたシュウ酸ジアリール中には、フラン化合物として、ベンゾフラン−2,3−ジオン100ppmが含まれており、溶融ハーゼン色数は500であった。
<実施例10>
実施例9で得られた塔底液を用いたほかは、実施例7と同様の操作で蒸留精製を行った。塔頂部からシュウ酸ジフェニル99.9重量%の組成の液を約98g/hで抜き出した。塔底部からは、高沸物を含有する液を約7g/hで抜き出した。得られたシュウ酸ジフェニルは、不純物としてフェノールが0.04重量%、シュウ酸メチルフェニルが30ppmのほかベンゾフラン−2,3−ジオンが760ppm含まれており、溶融ハーゼン色数は400であった。
<実施例11>
第1反応蒸留塔の蒸留塔の蒸留部と反応部の間に、フェノール50.4重量%、シュウ酸ジメチル42.1重量%、シュウ酸メチルフェニル3.2重量%、その他を含む混合液を261.5kg/hで供給すると共に、合成例1と同様にして得た触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を1.3kg/hで供給した。塔頂部の圧力を0.07MPaGに調整しながら、塔底部の温度を210℃に加熱した。塔頂部からの蒸気は冷却器で凝縮して還流比4で抜き出し、塔底液は液量を一定に維持できるように連続的に抜き出した。このときの塔頂液の組成はメタノール98.4重量%、シュウ酸ジメチル0.8重量%、その他で、抜き出し量は12.8kg/hであった。塔底液の組成はシュウ酸ジメチル27.5重量%、フェノール38.4重量%、シュウ酸メチルフェニル26.5重量%、シュウ酸ジフェニル5.6重量%、その他で、抜き出し量は250.0kg/hであった。
第2反応蒸留塔として、棚段部を備えた反応蒸留塔を用い、第1反応蒸留塔の塔底液を第2反応蒸留塔の塔頂部に250.0kg/hで供給し、さらに、後工程である第2蒸留塔の塔頂液を第2反応蒸留塔の塔底部に28.4kg/h供給すると共に、塔頂部の圧力を191Torrに調整しながら、塔底部の温度を200℃に加熱した。塔頂部からの蒸気は冷却器で凝縮して全量抜き出し、塔底液は液量を一定に維持できるように連続的に抜き出し、不均化反応を行った。このときの塔頂液の組成はシュウ酸ジメチル45.5重量%、フェノール49.7重量%、シュウ酸メチルフェニル4.3重量%、その他であり、その抜き出し量は190.3kg/hで、第1反応蒸留塔へリサイクルされる。塔底部からの抜き出し量は88.1kg/hで、組成はシュウ酸ジフェニル62.5重量%、シュウ酸メチルフェニル24.3重量%、シュウ酸ジメチル2.1重量%、フェノール5.2重量%、その他であった。
第2反応蒸留塔の塔底液を、流下膜式蒸発器へ88.1kg/hで供給し、圧力を23Torrに調整しながら、留出液を74.9kg/hで抜き出した。その組成は、シュウ酸ジフェニル63.3重量%、シュウ酸メチルメニル28.1重量%、フェノール6.0重量%、シュウ酸ジメチル2.4重量%、その他であった。缶液の組成は、シュウ酸ジフェニル58.0重量%、シュウ酸メチルフェニル2.5重量%、テトラフェノキシチタン10.0重量%、その他を含むが、そのうち1.0kg/hをパージし、残りの12.2kg/hは第1反応蒸留塔にリサイクルした。
流下膜式蒸発器からの留出液を、第1反応蒸留塔に74.9kg/hで供給した。塔頂部の圧力を20Torrに調製しながら、塔底液の温度を218℃に加熱した。塔頂部からの蒸気は冷却器で凝縮して還流比0.5で抜き出し、第2反応蒸留塔に28.4kg/hにリサイクルした。その組成は、シュウ酸メチルフェニル74.1重量%、フェノール16.0重量%、シュウ酸ジメチル6.4重量%、シュウ酸ジフェニル3.6重量%、その他であった。塔底部からの抜き出し量は46.5kg/hで、その組成は、シュウ酸ジフェニル99.8重量%、その他であった。
第1蒸留塔の塔底液を、第2蒸留塔に供給すると共に、塔頂部の圧力を15Torrに調整しながら、塔底部の温度を230℃に加熱した。塔頂部からの蒸気は冷却器で凝縮して還流比5で抜き出し、塔底液は温度が一定になるように連続的に抜き出した。このときの塔頂液の組成は、シュウ酸ジフェニル99.9重量%、その他で、抜き出し量は46.2kg/hであった。塔底部からの抜き出し量は0.3kg/hで、組成は、シュウ酸ジフェニル75.9重量%、その他であった。
上記の設備、つまり、第1反応蒸留塔、第2反応蒸留塔、流下膜式蒸発器、第1蒸留塔、第2蒸留塔の接液部分の材質はSUS316Lとした。8000時間(h)後に内部を表面観察(SEM)及び組織検査(SUMP)を行ったが、各箇所、問題となるような異常は認められなかった。
<評価1>
実施例11において、第1反応蒸留塔底部、第2反応蒸留塔底部、第1蒸留塔底部、第2蒸留塔底部にSUS316Lのテストピースを設置し、8000h経過後にテストピースを取り出し、重量変化から腐食率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005708498
<評価2>
実施例11において、第1反応蒸留塔底部、第2反応蒸留塔底部、第1蒸留塔底部、第2蒸留塔底部にSUS316のテストピースを設置し、8000h経過後にテストピースを取り出し、重量変化から腐食率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0005708498
<評価3>
実施例11において、第1反応蒸留塔底部、第2反応蒸留塔底部、第1蒸留塔底部、第2蒸留塔底部にSUS304のテストピースを設置し、8000h経過後にテストピースを取り出し、重量変化から腐食率を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0005708498
<評価4〜14>
評価3において、もっとも腐食率が高かった第1反応蒸留塔底部に、表4に示すテストピースを配置し、8000h経過後に各テストピースを取り出し、外観観察を行った。
評価1のテスト後のテストピースの外観と同等の結果と思われるものを「○」と評価し、評価1のテスト後のテストピースの外観よりも明らかに腐食していると思われるものを「×」と評価した。
評価4〜14で用いた鋼材の化学成分も表5に併せて示す。
Figure 0005708498
<実施例12>
ジフェニルカーボネートの合成
実施例11で得たシュウ酸ジフェニル(純度99.9重量%)にテトラフェニルホスホニウムクロライドを1.5モル%加え、150℃に加熱して溶解した。この液を、温度計、攪拌機及びオーバーフロー管を備えたガラス製反応器(内容積1L)2個を連結した装置に、定量ポンプを用いて300mL/hで供給すると共に、2個の反応器をマントルヒーターで加熱して230℃に保持してシュウ酸ジフェニルの脱カルボニル反応を行った。尚、各反応器のオーバーフロー位置は600mLとした。得られた反応液を減圧蒸留にて精製し、ジフェニルカーボネートを得た。
<実施例13>
ポリカーボネート樹脂の合成
ビスフェノールAと実施例12で得られたジフェニルカーボネートとをモル比で1:1.07で混合し、130℃に24時間保持し、混合融体を得た。得られた混合融体に、触媒として0.01N水酸化ナトリウムをビスフェノールA1モルに対して1μモルを窒素雰囲気下で加え、210℃/100mmHgで60分、240℃/15mmHgで60分、280℃/0.5mmHgで2時間、随時副生成するフェノールを留去させながら重縮合反応を行い、粘度平均分子量20,000の芳香族ポリカーボネートを得た。
<実施例14>
〔(A)工程〕
内径27.1mm、高さ500mmチューブよりなるステンレス製反応器に、直径5mm、長さ3mmのペレット状α-アルミナにパラジウム0.5重量%担持された固体触媒を充填した。反応器のシェル側に熱水を通して触媒層の温度を100℃程度に保持した後、原料ガス(組成:一酸化炭素22.0容量%、亜硝酸メチル10.0容量%、一酸化窒素4.0容量%、メタノール5.2容量%、二酸化炭素1.7容量%、窒素57.1容量%)を1.15Nm3/h、0.2MpaGで供給して、シュウ酸ジメチルを製造した。
触媒層を通過したガスを、内径43mm、高さ1000mmの気液接触吸収塔の塔底に導いて、その塔頂から導入したメタノール0.42L/hと約35℃(塔頂温度30℃、塔底温度40℃)で向流接触させた。そして、塔底から、凝縮液(組成:シュウ酸ジメチル42.6重量%、炭酸ジメチル1.8重量%、ギ酸メチル0.03重量%、メタノール42.6重量%)0.3kg/hを得て、塔頂から、非凝縮ガス(組成:一酸化炭素16.2容量%、亜硝酸メチル4.9容量%、一酸化窒素8.1容量%、メタノール15.9容量%、二酸化炭素1.8容量%、窒素53.1容量%)1.23Nm3/hを得た。
この非凝縮ガスに酸素13.8NL/h及び一酸化窒素0.5NL/hを混合したガスを、内径83mm、高さ1000mmの気液接触式再生塔の塔底に導いて、その塔頂から導入したメタノール0.33L/hと向流接触させ、ガス中の一酸化窒素を亜硝酸メチルに再生した。再生塔の塔頂から導出された再生ガス(組成:一酸化炭素18.2容量%、亜硝酸メチル10.4容量%、一酸化窒素4.2容量%、メタノール5.4容量%、二酸化炭素2.0容量%、窒素53.0容量%)1.1Nm3/h(2.1kg/cm2G)と、一酸化炭素49NL/h(2.1kg/cm2G)とを反応器に供給した。
再生塔の塔底から導出された、5.7重量%の水を含有するメタノール0.48L/hは、少量の硝酸を含むため、苛性ソーダにより中和した後、蒸留により水を除去して、再生塔におけるメタノール源として再使用した。
一方、凝縮液は、その50時間分を、内径150mm、高さ7500mmの蒸留塔(塔底部容量100L)でバッチ蒸留した。そして、純度99.9重量%のシュウ酸ジメチル5.8kgを得た。
〔(B−1)工程〕
(A)工程で得られたシュウ酸ジメチルを用いて、以下のようにシュウ酸ジフェニルを製造した。
第1反応蒸留塔の上部からフェノール54.5重量%、シュウ酸ジメチル45.5重量%からなる混合液を600ml/hで供給すると共に、合成例1と同様にして得た触媒合成用反応蒸留塔の底部から抜き出したボトム液(TPTのフェノール溶液)を18ml/hで供給した。第1反応蒸留塔の塔底を190℃に加熱し、塔頂部からの蒸気を冷却器で凝縮して還流比2で抜き出しながら、エステル交換反応を行った。
塔の状態が安定した時点で(供給を開始して4時間後)、塔底液の組成は、シュウ酸ジフェニル6.23重量%、シュウ酸メチルフェニル29.95重量%、シュウ酸ジメチル23.88重量%、フェノール39.41重量%であり、その抜出量は約603g/hであった。また、このとき、塔頂からは、メタノール98.0重量%、シュウ酸ジメチル0.9重量%、アニソール1.1重量%の組成の液を約44g/hで抜き出した。
〔(B−2)工程〕
このエステル交換反応の塔底液(第1反応蒸留塔の塔底液)を、第1反応蒸留塔と同型の第2反応蒸留塔の上部から、200mmHgの減圧下、600ml/hで供給すると共に、第2反応蒸留塔の塔底を200℃に加熱し、塔頂部からの蒸気を冷却して不均化反応を行った。
塔の状態が安定した時点で(供給を開始して4時間後)、塔底液の組成は、シュウ酸ジフェニル65.27重量%、シュウ酸メチルフェニル18.43重量%、シュウ酸ジメチル1.02重量%、フェノール13.93重量%であり、その抜出量は約252g/hであった。また、このとき、塔頂からは、メタノール1.57重量%、シュウ酸ジメチル2.97重量%、フェノール48.51重量%、シュウ酸メチルフェニル2.97重量%、シュウ酸ジフェニル0.42重量%の組成の液を約355g/hで抜き出した。
〔(B−3)工程〕
この不均化反応の塔底液(第2反応蒸留塔の塔底液)を、薄膜式蒸発器に供給し、シュウ酸ジメチル、フェノール、シュウ酸メチルフェニル及びシュウ酸ジフェニルを連続で蒸発させた。得られた蒸気を蒸留塔に供給して、連続蒸留を行った。そして、蒸留塔の塔頂部から、シュウ酸ジメチル3.05重量%、フェノール41.73重量%、シュウ酸メチルフェニル55.21重量%、の組成の液を約68ml/hで抜き出し、蒸留塔の塔底部から、純度99.7重量%のシュウ酸ジフェニルを約120g/hで抜き出した。また、蒸発器の底部からは約2.5重量%(金属換算)のチタンを含む液を約14g/hで抜き出した。
〔(C)工程〕
(B−1)工程のシュウ酸ジメチルとフェノールのエステル交換反応で塔頂から抜き出した留出液(組成:メタノール98.0重量%、シュウ酸ジメチル0.9重量%、アニソール1.1重量%)を(B−1)工程で使用したオールダーショーを用いてメタノールの精製を行った。蒸留条件を、常圧、還流比1で行ったところ、塔頂から得られた留分は、シュウ酸ジメチルが検出限界以下(1ppm以下)、アニソールが18ppmを含有するメタノールであった。
〔回収メタノールの(A)工程への利用〕
(C)工程で得られた回収メタノールを用いて実施例14と同様にしてシュウ酸ジメチルの製造を行った。(A)工程から(B−3)工程まで、実施例14と全く同様の結果が得られた。
<実施例15>
温度計、攪拌装置を備えた300ml容丸底フラスコに、実施例14で得られたシュウ酸ジフェニルエステル200gとテトラフェニルホスホニウムクロライド1.55gを仕込み、マントルヒーターで加熱して250℃で2時間脱CO反応を行った。反応中、発生する一酸化炭素は反応器に接続した排気管から系外に放出した。反応器中の反応液の組成をガスクロマトグラフィーで分析したところ、炭酸ジフェニル98.1重量%、シュウ酸ジフェニル1.1重量%であった。
この状態で、実施例1で得られたシュウ酸ジフェニルにテトラフェニルホスホニウムクロライドを0.5mol%溶解した液を70ml/hで反応器に供給すると共に、反応液の容量が200mlを維持するように連続で抜き出した。また、反応器内の温度は250℃を維持するようにマントルヒーターを制御した。反応液の組成が安定した時点(連続反応開始から約10時間後)で抜出液の分析を行ったところ、炭酸ジフェニル91.2重量%、シュウ酸ジフェニル7.8重量%であった。また、反応器からは一酸化炭素が約110ml/hで発生し、その純度はほぼ100%であった。
<実施例16>
実施例15のシュウ酸ジメチルとフェノールのエステル交換反応で塔頂から抜き出した留出液(組成:メタノール98.0重量%、シュウ酸ジメチル0.9重量%、アニソール1.1重量%)を用いて実施例1と同様にしてシュウ酸ジメチルの製造を行った。初期はA工程からB−3工程まで実施例14と全く同様の結果が得られたが、時間の経過とともに反応収率が徐々に低下する傾向を示した。
<実施例17〜19>
シュウ酸ジメチル反応工程におけるアニソールの影響を調べるために、内径20mmのジャケット付SUS製反応管を用いてシュウ酸ジメチル合成を行った。反応管に実施例14と同じペレット状固体触媒を5ml充填し、ジャケットに熱媒を通じることにより触媒層の温度を120℃になるよう制御しながら、一酸化炭素22.0容量%、亜硝酸メチル10.0容量%、一酸化窒素4.0容量%、メタノール6.2容量%、窒素57.8容量%の混合ガスを22NL/h、0.2MpaGで供給して、シュウ酸ジメチルを合成した。また、アニソールの反応への影響を調べるため混合ガスに所定量のアニソールを添加して供給し、シュウ酸ジメチルの合成を行った。その結果を以下に示す。なお、表6において、活性低下率は、1,000時間あたりのSTY低下率である。
Figure 0005708498
表6におけるSTYは、空時収量(Space Time Yield)であり、反応容器の単位容量当たり、単位時間における収量を表す。
表6の結果より、シュウ酸アルキルアリール(B−1)工程で除去されたアルキルアルコール中のエーテル含有量が1000重量ppm以上であると、アルキルアルコールをリサイクルして用いた(A)工程において、触媒活性が低下し、触媒の寿命が短くなることが分かった。

Claims (22)

  1. 触媒としてのテトラ(アリールオキシ)チタン存在下で、シュウ酸ジアルキル又は/及びシュウ酸アルキルアリールと、アリールアルコールとをエステル交換反応させる工程を含むシュウ酸ジアリールを製造する方法であって、
    テトラ(アリールオキシ)チタンが、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとを反応させて、副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液として、エステル交換反応の反応系内に供給されることを特徴とするシュウ酸ジアリールの製造方法。
  2. シュウ酸ジアリールを含む反応液のチタン系化合物濃度を10重量ppm以下にし、次いで蒸留精製する工程を含む、請求項1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  3. エステル交換反応の反応液と接触する装置の材質が、ニッケルを10重量%以上含み、かつモリブデンを1〜4重量%含むオーステナイト系ステンレス鋼である、請求項1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  4. 一酸化炭素、酸素及びアルキルアルコールを反応させて、シュウ酸ジアルキルを製造する(A)工程、
    (A)工程で得られたシュウ酸ジアルキルとアリールアルコールとを、テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で反応させて、生成するアルキルアルコールを除去しながらシュウ酸アルキルアリールを生成させる(B−1)工程、
    (B−1)工程で得られたシュウ酸アルキルアリールを、テトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液の存在下で不均化反応させて、生成するシュウ酸ジアルキル及びアルキルアルコールを除去しながらシュウ酸ジアリールを生成させる(B−2)工程、
    (B−2)工程で得られたシュウ酸ジアリールを分離・回収する(B−3)工程
    を含み、
    (B−1)工程で除去されたアルキルアルコール中のエーテル化合物含有量を1000重量ppm未満とする(C)工程を経て、(A)工程にアルキルアルコールをリサイクルする、請求項1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  5. テトラ(アリールオキシ)チタンがテトラフェノキシチタンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  6. テトラアルコキシチタンがテトライソプロポキシチタンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  7. テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応を、テトラアルコキシチタン中のチタン原子とアリールアルコールのモル比(アリールアルコール/チタン原子)が10〜80となるように行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  8. テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応を、反応温度160〜300℃に保ちながら行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  9. テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの反応を反応蒸留塔で行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  10. 反応蒸留塔における、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとの還流比が3〜40である、請求項9記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  11. 反応蒸留塔に、テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとが、テトラアルコキシチタン中のチタン原子とアリールアルコールの単位時間あたりのモル比(アリールアルコール/チタン原子)が40〜80であるように、連続的に供給される、請求項9又は10記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  12. テトラアルコキシチタンと過剰量のアリールアルコールとを反応蒸留塔に供給して反応させ、副生成するアルキルアルコールを含む留分を抜き出し、底部からテトラ(アリールオキシ)チタンとアリールアルコールを含む留分を抜き出すことにより、副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液を得て、エステル交換反応工程に供給する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  13. 反応蒸留塔の底部から、連続的にテトラ(アリールオキシ)チタンとアリールアルコールとを抜き出し、連続的に副生成するアルキルアルコールを除去したテトラ(アリールオキシ)チタンのアリールアルコール溶液をエステル交換反応工程に供給する、請求項12に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  14. エステル交換反応の反応液と接触する装置の材質が、クロムを16.00〜18.00重量%含有するオーステナイト系ステンレス鋼である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  15. 装置の材質が、JIS G 4304で規定されるSUS316系オーステナイト系ステンレス鋼である、請求項1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  16. 前記オーステナイト系ステンレス鋼が、JIS G 4304で規定されるSUS316もしくはSUS316Lである、請求項1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  17. 装置が、シュウ酸ジアリールの精製塔、エステル交換反応の反応容器又は反応蒸留塔である請求項1〜1のいずれか一項に記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  18. (C)工程において、アルキルアルコール中のエーテル化合物含有量を300重量ppm以下にする、請求項4記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  19. (C)工程におけるエーテル化合物が、アルキルアリールエーテルである、請求項4又は1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
  20. (B−3)工程において、下記式(1)で表される化合物を除去する、請求項4、1又は1記載のシュウ酸ジアリールの製造方法。
    Figure 0005708498

    (式中、Rは、炭素原子数1〜12の炭化水素基又は水素原子を表す。)
  21. 請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法により製造されたシュウ酸ジアリールをリン系化合物存在下で脱カルボニル化する、炭酸ジアリールの製造方法。
  22. 請求項2記載の方法により製造された炭酸ジアリールを塩基性のアルカリ金属塩存在下でビスフェノールAと反応させる、ポリカーボネートの製造方法。
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