JP5704505B2 - 板ガラス製造装置および板ガラス製造方法 - Google Patents

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本発明は、オーバーフローダウンドロー法により板ガラスを製造するための技術の改良に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板や、有機EL照明用のガラス基板に代表されるように、各種分野に利用される板ガラスには、表面欠陥やうねりに対して厳しい製品品位が要求される場合がある。
このような要求に応えるべく、平滑で欠陥のないガラス表面を得るために、オーバーフローダウンドロー法という製造方法が利用されている。
この製造方法は、成形体の頂部のオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から両側に溢れ出た溶融ガラスを成形体の頂部平面部を介して、成形体の略楔状をなす外側面部に沿って流下させながら前記成形体の下端部で融合一体化し、1枚の板ガラスを連続成形するというものである。
ところで、このオーバーフローダウンドロー法で使用される成形体は、アルミナ耐火物、ジルコニア耐火物等の耐火物で構成されている。この成形体上を溶融ガラスが流下すると、成形体成分が溶融ガラス中に溶出し、この溶出した成形体成分が晶出することにより、成形されるガラス板の品質が低下する場合があった。
このような問題に対して、成形体の溶融ガラスに接触する部位を、溶融ガラスに対して耐食性を有する金属で被覆することが考えられる。このように、成形体を耐食性金属で被覆することについては既にいくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1に開示されたオーバーフローダウンドロー法では、成形体の全表面を覆う白金または白金合金の金属板で被覆し、金属板における溶融ガラス接触部位を他の部位より板厚を厚くしている。この方法は、成形体の全表面を覆う白金または白金合金の金属板で被覆した場合に発生する次のような現象を抑制することを目的としている。すなわち、この現象は、溶融ガラスの熱で金属板が成形体より熱膨張することにより、金属板における溶融ガラス接触部位が成形体から離隔する方向へ変形するという現象である。
この方法では、次のような理由によって、この現象を抑制できるとしている。まず、金属板における溶融ガラス接触部位よりそれ以外の部位の方が、板厚が薄いので成形体から離隔する方向への変形を起こしやすい。従って、溶融ガラスの熱によって金属板の熱膨張が成形体表面に沿って生じた場合、溶融ガラス接触部位以外の部位で成形体から離隔する方向への変形が優先的に発生する。これによって溶融ガラス接触部位の成形体表面に沿った熱膨張が吸収され、溶融ガラス接触部位の成形体から離隔する方向への変形が抑制される。
また、例えば、特許文献2に開示されたオーバーフローダウンドロー法でも、成形体における溶融ガラスと接触する面に、溶射によって白金等の貴金属膜が形成される。
また、例えば、特許文献3に開示されたオーバーフローダウンドロー法では、成形体の下端部に白金または白金合金の金属板が配設されている。
特開平5−139766号公報 特開2008−69024号公報 特開2003−81653号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、金属板が成形体全体を被覆していることから理解できるように、金属板における溶融ガラス接触部位が成形体上で連続している。このため、溶融ガラスの熱によって金属板の溶融ガラス接触部位が成形体表面に沿って熱膨張した場合、溶融ガラス接触部位が連続している方向では、その膨張は吸収されずに溶融ガラス接触部位が成形体から離隔する方向への変形を起こしてしまう可能性がある。
また、この方法では、溶融ガラスの熱で金属板が成形体より熱膨張した際に、成形体側に局部的あるいは全体的に応力が加わることによって、成形体に割れが発生する可能性もある。
また、特許文献2に開示された方法でも、特許文献1に開示された方法と同様に、溶融ガラスの熱で貴金属膜が成形体より熱膨張することによって、貴金属膜が成形体から離隔する方向へ変形したり、成形体に割れが発生したりする可能性がある。
また、特許文献3に開示された方法では、成形体の下端部に金属板が配設されるので、成形体の下端部周辺の表面精度に対して、金属板の形状精度の他に、金属板の取り付け精度も関与するため、下端部周辺の表面精度の低下は免れない。成形体の下端部は、溶融ガラスが融合一体化する部位であるため、その表面精度が低下すれば、成形される板ガラスの表面精度も低下する可能性がある。
更に、成形体の下端部の平坦な表面に金属板が配設される場合では、金属板の板厚のために、金属板の端部で段差が生じ、成形体下端部周辺の表面精度が低下し、これに伴い、成形される板ガラスの表面精度も低下する可能性がある。これに対し、特許文献3の図2に示すように、成形体の下端部を、板厚分窪ませて、ここに金属板を嵌合固定すれば、金属板の外側表面と、金属板が配設されていない成形体の外側面部とが、滑らかに連続し、上述の金属板の端部による段差は抑制される。しかし、この場合には、常温では精度良く成形体に金属板が配設されても、当該部位が溶融ガラスと接触する高温域では前述のように成形体と金属板の熱膨張の違いにより段差が生じることを確実に解消することは困難であり、成形体の下端部周辺における表面精度の低下は免れず、成形される板ガラスの表面精度も低下する可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑み、オーバーフローダウンドロー法で、成形体の成分の溶融ガラスへの溶出を抑制するために成形体を金属で被覆する場合に、被覆金属が変形する事態や成形体が割れる事態を回避すると共に、成形される板ガラスの表面精度を良好に維持することを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明に係る板ガラス製造装置は、頂部にオーバーフロー溝を有し、該オーバーフロー溝の両側に形成され、相互に下端で接続される一対の外側面部を有する成形体を備え、前記オーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、前記オーバーフロー溝から溢れ出た前記溶融ガラスを前記一対の外側面部に沿って流下させながら前記一対の外側面部の下端で融合一体化させ、板ガラスを成形する板ガラス製造装置において、前記一対の外側面部のうち、その下端を含む下方部にのみ金属膜から成る被膜部を設け、前記成形体のオーバーフロー溝の内面に金属膜から成る補助被膜部を設けたことに特徴づけられる。
成形体と溶融ガラスが接触している場合において、溶融ガラスへの成形体成分の溶出を考えた場合、両者の化学組成、両者の温度の他に、両者の接触している時間が大きな影響を与える。溶融ガラスと成形体とが接触する時間が長くなるに従って、両者の界面における物質移動できる時間が長くなるため、溶融ガラスへの成形体成分の溶出が多くなる。成形体の下端部周辺では、溶融ガラスの温度がある程度低下するため粘度が増大し、溶融ガラスの移動速度が小さくなるので、溶融ガラスと成形体とが接触する時間が長くなる。従って、この下端部周辺から成形体成分が溶融ガラスに溶出する可能性が高い。上記の装置では、一対の外側面部のうち、その下端を含む下方部にのみ金属膜から成る被膜部を設けたので、成形体成分の溶融ガラスへの溶出を効率的に抑制することができる。
一方、被膜部である金属膜で被覆される部位は、一対の外側面部のうち、その下端を含む下方部にのみであり、成形体上の一部なので、その表面積は少ない。従って、溶融ガラスの熱により金属膜と成形体とが表面に沿った方向に熱膨張する場合、その膨張する長さについて両者の差が限定される。このため、熱膨張に起因する金属膜の成形体から離隔する方向への変形や成形体の割れを抑制することが可能である。
一対の外側面部の下端、すなわち成形体の下端部は、溶融ガラスが融合一体化する直前に流下する部位なので、その表面精度は、成形される板ガラスの表面精度に多大な影響を与える。上述したように、金属板を下端部に配設する場合には、成形体の下端部周辺の表面精度には、金属板の形状精度以外に、金属板の取り付け精度が関与するため、成形体下端部周辺の表面精度の低下は免れない。これに対し、金属膜は、成形体に対して直接形成されるため、その形状精度だけ管理すればよく、取り付け精度が不要であり、高温域における成形体と金属膜の熱膨張の違いにより生じる段差を低減することができる。従って、成形体の下端部に金属板等を配設する場合に比較して、上記の装置では成形体の下端部を金属膜で被覆するので、成形体の下端部周辺の表面精度が良好に維持され、成形される板ガラスの表面精度も良好に維持される。
また、金属膜は、金属板より厚さが薄い。従って、金属膜が成形体の下端部の平坦な表面に形成された場合には、金属板と比較して、その端部に生じる段差は小さいものとなる。これによって、金属膜が成形体の下端部の平坦な表面に形成された場合に、金属板と比較して、成形体下端部周辺の表面精度の低下は抑制され、成形される板ガラスの表面精度を良好に維持することが可能となる。
また、金属膜が成形体の下端部の平坦な表面に形成された場合に、その端部に生じる段差は小さいものとなることから、段差を解消するために成形体下端部に窪みを形成することを不要とすることが可能となる。そのため、窪みを高精度に形成する際に必要な特殊加工が不要となるので、成形体下端部周辺の表面精度を簡単に維持することができ、この点からも、成形される板ガラスの表面精度も良好に維持することが可能となる。また、成形体と溶融ガラスが接触している場合において、溶融ガラスへの成形体成分の溶出を考えた場合、両者の化学組成、両者の接触している時間の他に両者の温度が大きな影響を与える。溶融ガラスと成形体とが共に温度が高くなるに従って、両者の界面における物質移動が盛んになり、溶融ガラスへの成形体成分の溶出が多くなる。成形体の表面では、オーバーフロー溝における内面が、最初に溶融ガラスが接触する部位であるため、最も高温である。従って、この内面から成形体成分が溶融ガラスに溶出する可能性が高い。この装置では、オーバーフロー溝の内面に金属膜から成る補助被膜部を設けたので、成形体成分の溶融ガラスへの溶出を効率的に抑制することができる。
また、上記課題を解決するために創案された本発明に係る板ガラス製造方法は、頂部にオーバーフロー溝を有し、該オーバーフロー溝の両側に形成され、相互に下端で接続される一対の外側面部を有する成形体を備え、前記オーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、前記オーバーフロー溝から溢れ出た前記溶融ガラスを前記一対の外側面部に沿って流下させながら前記一対の外側面部の下端で融合一体化させ、板ガラスを成形する板ガラス製造方法において、前記成形体として、前記一対の外側面部のうち、その下端を含む下方部にのみ金属膜から成る被膜部を設けたものであって、前記金属膜を通じた通電加熱が行なわれていないもの、且つ、前記オーバーフロー溝の内面に金属膜から成る補助被膜部を設けたものを使用することに特徴づけられる。
この方法の構成では、被膜部の金属膜を通じた通電加熱が行なわれていないので、金属膜で被覆されていない外側面部(金属膜近傍の外側面部)において、成形体成分の溶融ガラスへの溶出を抑制し易くなる。それ以外の構成は、上述の本発明に係る板ガラス製造装置の構成と実質的に同一であるので、その作用効果は、当該装置について既に述べたものと実質的に同一である。
本発明によれば、オーバーフローダウンドロー法で、成形体の成分の溶融ガラスへの溶出を抑制するために成形体を金属で被覆する場合に、被覆金属が変形する事態や成形体が割れる事態を回避すると共に、成形される板ガラスの表面精度を良好に維持することができる。
本発明の実施形態に係る板ガラス製造装置の要部を示す図で、(A)が概略正面図、(B)が(A)のX−X線矢視断面図である。 図1(B)の部分拡大図である。 本発明の他の例を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る板ガラス製造装置の要部を示す概略正面図である。同図に示すように、この薄板ガラス製造装置は、オーバーフローダウンドロー法を実行するための成形体1を備えている。
成形体1は、同図に示すように、製造される薄板ガラスの幅方向に対応する方向に沿って長尺であり、頂部にその長手方向に沿って形成されたオーバーフロー溝2と、両上端開口縁から外側方へと延在する成形体1の頂部平面部3と、楔状に下方に向かって互いに漸次接近する一対の外側面部4とを主要な構成要素とする。成形体1の下端部は、ルート5と称され、成形体1における両側の外側面部4の下端が相互に接続することによって構成されている。成形体1は、溶融ガラスgに対して耐食性を有する例えばアルミナ耐火物、ジルコニア耐火物等から形成される。
本実施形態の成形体1にはガイド6が設けられている。ガイド6は、白金またはその合金からなり、両外側面部4およびルート5の長手方向両端に配設される。ガイド6は、成形体1のオーバーフロー溝2から、頂部平面部3、両外側面部4およびルート5まで延在し、溶融ガラスgの流下する幅を規定する作用を有している。
オーバーフロー溝2の長手方向一端側には、溶融ガラスgを供給する供給パイプ7が連結されている。本実施形態では、オーバーフロー溝2は、流路床8を下端とする断面V字状である。オーバーフロー溝2の流路床8は、溶融ガラスgの流れ方向の始端部側から終端部側に移行するに従って漸次高くなるように勾配が付けられている。
一対の外側面部4のうち、ルート5を含む下方部のみ、溶射によって一体で形成された金属膜9(被膜部)で被覆される一方、一対の外側面部4のそれぞれにおける上方部は成形体の素地が露出されている。本実施形態では、金属膜9の上端のルート5からの距離が外側面部4の長手方向で一定であり、その距離は、一対の外側面部4の側で同一である。また、本実施形態では、外側面部4のそれぞれで、金属膜9で被覆されている領域が外側面部4の表面積の60%以下である。露出されている領域より狭い。本実施形態では、金属膜9の材質は白金であるが、白金合金でもよい。また、本実施形態では、成膜方法として、フレーム溶射を用いているが、例えばプラズマ溶射等の他の溶射を用いてもよい。
一体で形成された金属膜9で被覆される領域は、成形体1におけるルート5を含んでいる領域であればよいが、一対の外側面部4の両方を合わせた領域における0.1〜60%が好ましく、更には1〜30%が好ましい。金属膜9で被覆する領域が0.1%より少ない場合には、成形体1の成分の溶融ガラスgへの溶出を効率的に抑制する効果が十分に享受できない可能性がある。一方、金属膜9で被覆する領域が60%より多い場合は、熱膨張に起因する金属膜9の成形体1から離隔する方向への変形や成形体1の割れを十分に抑制できない可能性がある。
一方、オーバーフロー溝2の内面は、溶射によって形成された金属膜10(補助被膜部)によって被覆されている。金属膜10に被膜されているのは、オーバーフロー溝2の内面の少なくとも一部であればよく、本実施形態では、オーバーフロー溝2の内面の80%であるが、これ以上であってもよい。また、図1(B)に示すように、本実施形態では流路床8を含みオーバーフロー溝2の流路床8から上端に向かって連続して金属膜10で被覆されている。金属膜10の上端とオーバーフロー溝2の上端との間の距離は、オーバーフロー溝2の延在方向で一定である。また、この距離は、オーバーフロー溝2の一対の側面で同一である。また、頂部平面部3の表面も、同様の金属膜10で被覆されていてもよい。
本実施形態では、金属膜9,10の材質は白金であるが、白金合金でもよい。また、本実施形態では、溶射は、フレーム溶射であるが、例えばプラズマ溶射等の他の溶射であってもよい。また、金属膜9,10は、溶射以外の手法、例えば蒸着等で形成してもよい。なお、金属膜9,10は理解し易いように、実際より厚く図示されている。
金属膜9,10の厚さは例えば50〜1000μm、好ましくは100〜500μmであり、本実施形態では250μmである。金属膜9,10の厚さが50μm未満であると、板ガラス成形時に、金属膜9,10の剥離や割れ、あるいは溶融ガラスgによる金属膜9,10の侵食が発生する可能性がある。金属膜9,10の厚さが1000μmを超えると、溶射時に金属膜9,10の側に割れや剥離が発生する可能性がある。また、金属膜9,10の厚さが1000μmを超えると、板ガラス成形時に、溶融ガラスgが金属膜9,10によって流れを妨げられ、成形される板ガラスの表面精度に悪影響を与える。また、成形される板ガラスの表面精度を考慮すれば、金属膜9,10の厚さは板幅方向で均一であることが好ましい。
上記の装置を使用した板ガラスの製造方法を以下に説明する。
まず、ガラス溶融窯(図示省略)で例えば無アルカリガラス(例えば、日本電気硝子株式会社製OA−10G)等のガラスの原料を溶融する。次に、この溶融ガラスgを、供給パイプ7を介して、成形体1のオーバーフロー溝2に流し込む。
溶融ガラスgがオーバーフロー溝2に、所定量流し込まれると、溶融ガラスgはオーバーフロー溝2から、その両側の頂部平面部3を介して、両外側面部4に沿って流下する。
この溶融ガラスgは、成形体1のルート5で融合一体化される。この一体化された溶融ガラスgが、下方に配設されたローラ等の牽引手段(図示省略)により引き伸ばされると共に冷却されることによって、板ガラスが連続的に成形される。
上述のように構成された本実施形態の板ガラス製造装置では、以下のような効果が享受できる。
成形体成分が溶融ガラスgに溶出する可能性が高い一対の外側面部4のうちルート5を含む下方部とオーバーフロー溝2の内面が、それぞれ金属膜9と金属膜10で被覆されているので、成形体成分の溶融ガラスgへの溶出を効率的に抑制することができる。
一方、金属膜9,10で被覆される部位は、それぞれ、一対の外側面部4のうちルート5を含む下方部と、オーバーフロー溝2の内面であり、成形体上の一部なので、その表面積は少ない。従って、溶融ガラスgの熱により金属膜9,10と成形体1とが表面に沿った方向に熱膨張する場合、その膨張する長さについて両者の差が限定される。このため、熱膨張に起因する金属膜9,10の成形体から離隔する方向への変形や成形体1の割れを抑制することが可能である。
成形体1のルート5を金属膜9で直接被覆するので、ルート5に金属板等を配設する場合に必要な取り付け精度が不要である。従って、ルート5の周辺の表面精度が良好に維持され、成形される板ガラスの表面精度も良好に維持される。
金属膜9は、金属板に比較して厚さが薄いので、その端部に生じる段差は小さい。これによって、金属板と比較して、ルート5周辺の表面精度の低下は抑制され、成形される板ガラスの表面精度を良好に維持することが可能となる。
成形体1の外側面部4のそれぞれで金属膜9に被覆されている領域が外側面部4の表面積の60%以下である。露出されている領域では、熱膨張に起因する金属膜9,10の成形体から離隔する方向への変形や成形体1の割れが発生しない。従って、外側面部4のそれぞれで金属膜9に被覆されている領域が外側面部4の表面積の60%より多い場合に比較して、成形される板ガラスの表面精度が良好に維持される。
また、オーバーフローダウンドロー法では、金属膜9が存在しない場合に、次のような問題が存在する。溶融ガラスgが一対の外側面部4を流下して成形体1のルート5で融合一体化する際に、溶融ガラスgは成形体1のルート5を完全には濡らすことなく、ルート5に達する前に成形体1から離れて、融合一体化している。この際、成形体1のルート5の周辺では、成形体1の表面と溶融ガラスgとの間に形成される空間Sが、ルート5に沿って、略筒状に延在し大気に連通している(図2参照)。この空間Sの大きさは、成形体1の寸法、溶融ガラスgの粘性、成形体1の材質の溶融ガラスgに対する濡れ性等によって規定される。
このような空間Sが存在すると、空間S内を外気が流出入することによって、ルート5周辺の成形体1や溶融ガラスgが冷却される。このため、溶融ガラスgの成分や成形体1の成分の晶出に起因した失透が、溶融ガラスgに発生する可能性がある。また、溶融ガラスgの揮発した成分が、冷却されることによって、成形体1のルート5周辺の表面に固化して付着する可能性もある。これらの失透や付着物は、成形される板ガラスの品質低下を招く。
このような問題に対して、上記の装置では、成形体1のルート5が金属膜9で被覆されていることによって次のような効果が享受できる。成形体1の材質に比較して、金属膜9の材質の方が、溶融ガラスgとの濡れ性が良いので、金属膜9が無い場合に比較して、空間Sが縮小する。従って、空間Sを介した外気の流出入によるルート5周辺の冷却が抑制される。これによって、溶融ガラスgの失透や成形体1への付着物に起因した板ガラスの品質低下を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、成形体1の外側面部4のそれぞれが単一の平面であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、外側面部4のそれぞれが、垂直面部4aと、傾斜面部4bとを上下に連接して構成されていてもよい。すなわち、外側面部4の少なくとも下側部分が、下方に向かって相互に漸次接近し、その下端が相互に接続することによって成形体1のルート5を構成すればよい。
また、上記実施形態では、オーバーフロー溝2は、断面がV字状であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2に示すように、断面が矩形状であってもよいし、U字状であってもよい。
本発明は以上の説明に限定されることなく、その技術的思想の範囲内であれば、様々な変形が可能である。
1 成形体
2 オーバーフロー溝
3 頂部平面部
4 外側面部
5 ルート
9 金属膜(被膜部)
10 金属膜(補助被膜部)
g 溶融ガラス

Claims (2)

  1. 頂部にオーバーフロー溝を有し、該オーバーフロー溝の両側に形成され、相互に下端で接続される一対の外側面部を有する成形体を備え、前記オーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、前記オーバーフロー溝から溢れ出た前記溶融ガラスを前記一対の外側面部に沿って流下させながら前記一対の外側面部の下端で融合一体化させ、板ガラスを成形する板ガラス製造装置において、
    前記一対の外側面部のうち、その下端を含む下方部にのみ金属膜から成る被膜部を設け、
    前記成形体のオーバーフロー溝の内面に金属膜から成る補助被膜部を設けたことを特徴とする板ガラス製造装置。
  2. 頂部にオーバーフロー溝を有し、該オーバーフロー溝の両側に形成され、相互に下端で接続される一対の外側面部を有する成形体を備え、前記オーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、前記オーバーフロー溝から溢れ出た前記溶融ガラスを前記一対の外側面部に沿って流下させながら前記一対の外側面部の下端で融合一体化させ、板ガラスを成形する板ガラス製造方法において、
    前記成形体として、前記一対の外側面部のうち、その下端を含む下方部にのみ金属膜から成る被膜部を設けたものであって、前記金属膜を通じた通電加熱が行なわれていないもの、且つ、前記オーバーフロー溝の内面に金属膜から成る補助被膜部を設けたものを使用することを特徴とする板ガラス製造方法。
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