JP5702628B2 - Zn−Al−Cu合金圧延材 - Google Patents

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本発明は、厚みが80μm未満のZn−Al−Cu合金箔を得るためのZn−Al−Cu合金中間素材、或いはその厚みのままでZn−Al−Cu合金箔として用いることができるZn−Al−Cu合金圧延材に関するものである。
亜鉛にAlやCu等の合金元素を添加した亜鉛合金は、ラジエーターグリルや気化器、或いは燃料ポンプなどの自動車部品、電気機械部品、建築金物、事務器具、玩具などに従来から広く用いられている。
また、この亜鉛合金は、SiC(次世代パワーデバイス)とアルミニウム材、或いは、アルミニウム・セラミックス複合体とアルミニウム材のように熱膨張率が異なる部材同士を接合する際に、低温接合が可能で疲労特性に優れるという特長を有する。そのため、それらの接合材は、高温はんだ或いは低温ろう材としての適用が期待されており、特に、整流ダイオード、パワートランジスタ、サイリスタ等のパワーデバイスに用いられるアルミニウム・セラミックス複合体とアルミニウム材を接合する際の接合材として有望視されている。
Cuはろう付け接合後の疲労強度を高める目的で亜鉛にAlと共に合金元素として添加されるが、その添加されたCuはAl相に固溶することで始めてその特性を発現することができる。しかしながら、Al相にCuが固溶すると圧延変形抵抗を高め、圧延で与えられる塑性変形量に追随することが難しくなり、例えば、80μm未満の厚みになるまで圧延を行うとその圧延材の側面に耳割れと呼ばれる割れが生じる現象が発生することがある。
このような製造工程における圧延、或いは伸線時の割れの発生を抑制するために、マグネシウムを添加した加工性に劣るZn−Mg−Al合金の製造方法が特許文献1として提案されている。しかしながら、この製造方法はマグネシウムを添加したZn合金特有の加工性劣化原因を解消しようという提案である。
また、Al又はAl合金同士の接合、AlとAl合金との接合、及びAl又はAl合金と異種金属材料との接合を好適に行うことができるろう材の製造方法として特許文献2に記載の製造方法が提案されている。しかしながら、このろう材の製造方法は、圧延によるろう材の製造を回避する方法で、確実に均一な80μm未満の厚みの箔に加工することは困難であると考えられる。
特開2002−12932号公報 特開平10−43886号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、CuをAlと共に合金元素として亜鉛に添加してろう付け接合後の疲労強度を高めても、圧延加工時に素材に割れが発生することがない、ろう付け用の亜鉛合金箔を得るためのZn−Al−Cu合金中間素材、或いはそのままでろう付け用の亜鉛合金箔として用いることができるZn−Al−Cu合金圧延材を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、Alを3.5〜18質量%、Cuを1〜3.5質量%含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる成分組成のZn−Al−Cu合金を、融点以上に加熱した後、融点〜融点+50℃の温度で5分以上保持した上で鋳造を開始し、鋳造後の亜鉛合金鋳造塊を20秒以内に250℃以下にまで冷却することで得たZn−Al−Cu合金鋳造塊に、熱間または冷間で、切断、切削、または圧延加工を施すことでZn−Al−Cu合金板状材とし、前記Zn−Al−Cu合金板状材に対して、焼鈍温度:100〜220℃、延べ加熱時間:200分以内の1回乃至複数回の軟化焼鈍を中間に入れた、2パス以上の圧延加工を施すことで製造したZn−Al−Cu合金圧延材であって、前記成分組成を有すると共に、金属組織中に平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒が、断面積500μmあたり4個以上存在し、且つ、厚みが80〜150μmであることを特徴とするZn−Al−Cu合金圧延材である。
請求項2記載の発明は、更に、Siを1質量%以下含有することを特徴とする請求項1記載のZn−Al−Cu合金圧延材である。
本発明に係るZn−Al−Cu合金圧延材によると、CuをAlと共に合金元素として亜鉛に添加してろう付け接合後の疲労強度を高めても、圧延加工時に素材に割れが発生することがなく、厚みが80μm未満のろう付け用の亜鉛合金箔を得るためのZn−Al−Cu合金中間素材、或いはその厚みのままでろう付け用の亜鉛合金箔として用いることができるZn−Al−Cu合金材を得ることができる。
亜鉛(Zn)は六方晶金属であるため、鉄やアルミニウムと比較すると、塑性変形による異方性を生じやすい。一般に、厚み方向の変形を伴う金属素材の圧延ではその厚み方向の塑性変形に応じて、素材は長手方向および幅方向に夫々伸張されていくが、Znの場合、長手方向、幅方向への伸張量が異なることとなる。特に亜鉛単結晶ではその傾向が顕著に現れ、圧延加工時には一定の方向だけに素材が伸張することが知られている。
一方、Al、Cu、Siといった合金元素を添加した亜鉛合金の場合は、多結晶化しており、金属組織がZn相、α相の複相で複雑に構成されているため、圧延加工時の変形挙動は複雑となる。そのため、圧延加工時に耳割れと呼ばれる側面の割れが発生しやすくなる。このように、亜鉛合金は圧延加工時に側面に割れが発生しやすいという欠点を有するが、その理由は十分に解明されていないのが現状である。
また、CuをAlと共に合金元素として亜鉛に添加した場合、その添加したCuがAl相に固溶することで、ろう付け接合後の疲労強度を高めることができる。しかしながら、一方で、CuがAl相に固溶すると圧延変形抵抗を高め、圧延で与えられる塑性変形量に追随することが難しくなり、例えば、80μm未満の厚みになるまで圧延加工を行って亜鉛合金箔を得ようとすると、圧延材の側面に耳割れが発生するという問題が多発する。
本発明者らは、このような亜鉛合金材の現状に鑑み、CuをAlと共に合金元素として亜鉛に添加してろう付け接合後の疲労強度を高める対策を実施しても、圧延加工時に素材の側面に割れが発生することがない、或いは少なくとも抑制された加工性に優れる亜鉛合金圧延材を見出すため、鋭意研究を重ねた。
その結果、発明者らは、亜鉛合金内でのCuの存在形態を制御することで、圧延変形抵抗を低減でき、塑性変形能を確保できることを知見した。すなわち、亜鉛に添加する合金元素の種類並びにその含有量を規定した上で、素材となる亜鉛合金板状材鋳造後の、圧延加工時の中間に施す軟化焼鈍の焼鈍温度および加熱時間を適切に制御することで、CuをAl相内に固溶させることなく単体Cu粒として亜鉛合金内に存在させることが可能となり、CuをAlと共に合金元素として亜鉛に添加してろう付け接合後の疲労強度を高めたとしても、圧延加工時に素材に割れが発生することがない、或いは少なくとも抑制された加工性に優れる亜鉛合金圧延材を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
以下、本発明を実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明では、亜鉛に添加する合金元素の種類並びにその含有量と、亜鉛合金圧延材の金属組織中に存在する単体Cu粒の平均結晶粒径並びにその存在個数、素材ビッカース硬度、更にはZn−Al−Cu合金材の厚みを規定するが、まず、亜鉛合金の成分組成について説明する。尚、以下の説明で用いる%は全て質量%を示す。
(成分組成)
亜鉛に添加する合金元素としては、Al、Cu、Siといった元素があるが、その中でも本発明の亜鉛合金圧延材は、AlとCuを必須の合金元素とする。
Al:3.5〜18%
Alは、本発明の亜鉛合金圧延材の主成分であるZnに添加することで、亜鉛合金圧延材を用いて製造するろう材のろう付け温度を引き下げることができる元素である。その添加量が3.5%のときに特に多くの単体Cu粒が得られ、一方、その添加量が18%を超えると疲労特性が低下してしまう。従って、Alの添加量は3.5〜18%の範囲とする。尚、Alの添加量の好ましい下限は5%、好ましい上限は13%である。
Cu:1〜3.5%
Cuは、Alと共に添加元素として亜鉛に添加することで疲労特性の向上に寄与する元素である。Cuの添加量が1%以上であれば、疲労特性を向上させる効果を発現することができる。しかしながら、3.5%を超えて添加した場合、疲労特性を向上させる効果が飽和してしまう。従って、Cuの添加量は1〜3.5%とする。
更に、本発明の亜鉛合金圧延材には、Siを合金元素として積極的に含有させることも有効である。
Si:1%以下
SiもCuと同様に疲労特性の向上に寄与する元素である。このSiはCuと同時に添加することで疲労特性を向上させる効果を発現する。Siを合計で1%以下、好ましくは0.8%以下添加することで更に疲労特性を向上させる効果を発現する。
以上が本発明で規定する合金元素であって、残部は亜鉛および不可避的不純物である。不可避的不純物としては、化合物、介在物を生成するMn、Mg、Fe等の元素の混入が許容されるが、それら不純物の含有量は、Mnで1%まで(好ましくは0.5%まで)、Mgで0.5%まで(好ましくは0.2%まで)、Feで1%まで(好ましくは0.8%まで)とする。
(単体Cu粒の平均結晶粒径)
本発明では亜鉛合金の成分組成に加えて、亜鉛合金圧延材の金属組織中に存在する単体Cu粒の平均結晶粒径も規定する。亜鉛合金圧延材の金属組織中に適当な大きさの単体Cu粒を存在させることで、Al相へのCuの固溶強化量を低減することができ、亜鉛合金箔の圧延時に必要な低強度化、延性確保が可能となる。
亜鉛合金圧延材の金属組織中に存在する単体Cu粒の平均結晶粒径は、10〜40μmとする。平均結晶粒径が40μmを超える単体Cu粒が亜鉛合金圧延材の金属組織中に存在すると、逆にその粗大な単体Cu粒が起点となり、圧延加工時に耳割れが発生してしまうので、単体Cu粒の平均結晶粒径の上限を40μmとする。単体Cu粒の平均結晶粒径の下限は特に限定する必要はないが、常法的調査で現認することができる単体Cu粒の粒径は10μmが限界であるので、単体Cu粒の平均結晶粒径の下限を10μmとする。
(単体Cu粒の存在個数)
前記したように、亜鉛合金圧延材の金属組織中に平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒が存在することで、Al相へCuが固溶する強化量を低減することができるが、その作用は、単体Cu粒が少なくとも断面積500μmあたり4個以上存在しなければ十分に発現することができない。従って、金属組織中に平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒が断面積500μmあたり4個以上存在することを条件とする。尚、平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒は、4個以上であれば何個存在しても問題はないため、特に上限を規定する必要はないが、常識的に金属組織中に存在する平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒の個数は、多くても2000個が限界であると推定することができる。好ましい上限は200個、より好ましい上限は100個である。
(素材ビッカース硬度)
尚、Zn−Al−Cu合金材の厚みを薄くするためには、素材を軟質にしておく必要がある。特に、その後の圧延により厚みを80μm未満に加工するためには、素材ビッカース硬度(HV)を70〜90とする必要がある。ビッカース硬度が70未満では、圧延時に単体Cu粒の形態を確保することが容易でなくなる。一方、ビッカース硬度が90を超えた場合、単体Cu粒の形態を制御したとしても耳割れの発生を抑制することができなくなる。本発明の要件を満足するZn−Al−Cu合金材のビッカース硬度は、全て70〜90となる。
(Zn−Al−Cu合金圧延材の厚み)
Zn−Al−Cu合金圧延材の厚みが150μmを超えると、その後の圧延によりZn−Al−Cu合金圧延材を80μm未満の厚みに加工することが困難となる。尚、Zn−Al−Cu合金圧延材の厚みを最初から80μm未満に加工しても特に問題ないが、その場合、厚みが80〜150μmのZn−Al−Cu合金箔を得ることができなくなる。よって、Zn−Al−Cu合金圧延材の厚みは80〜150μmの範囲とした。
(製造方法)
次に、本発明のZn−Al−Cu合金圧延材の製造方法について説明する。本発明で規定する成分組成を有し、金属組織中に平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒を断面積500μmあたり4個以上内在するZn−Al−Cu合金圧延材を確実に製造するには、まず、所要の成分組成の亜鉛合金を融点以上に加熱した後、その亜鉛合金の融点〜融点+50℃の温度で5分以上保持した上で鋳造を開始し、鋳造後の亜鉛合金鋳造塊を20秒以内に250℃以下にまで冷却することで得たZn−Al−Cu合金鋳造塊に、熱間または冷間で、切断、切削、または圧延加工を施すことでZn−Al−Cu合金板状材を得る必要がある。その理由は以下に説明するとおりである。尚、前記Zn−Al−Cu合金板状材には、通常の板材のほか、コイル状の板材も含む。
・融点以上に加熱
亜鉛合金鋳造塊を得るためには、まず、亜鉛合金を溶融する必要がある。
・融点〜融点+50℃の温度で5分以上保持
鋳造の段階で単体Cu粒を得るためには、加熱後250℃までの冷却を速やかに行う必要がある。そのためには、亜鉛合金を融点〜融点+50℃の温度で保持すれば良い。融点+50℃を超える温度で亜鉛合金を保持した場合、その後の250℃までの冷却を速やかに行うことができなくなる。また、亜鉛合金を融点〜融点+50℃の温度で保持する時間が5分未満である場合は、亜鉛合金が十分に溶融しない場合がある。尚、保持時間の上限は特に設定しないが、長時間保持すると工場設備内で蒸気が発生、充満して作業に支障を生じることがあるので30分以内とすることが好ましい。
・20秒以内に250℃以下まで冷却
この冷却工程は、単体Cu粒の平均結晶粒径を微細にするために必要不可欠な工程である。250℃以下にまで冷却する理由は、250℃まで冷却すると本発明で規定する成分組成の亜鉛合金の単体Cu粒の成長が停止できるからである。また、冷却時間を20秒以内とした理由は、冷却時間が20秒を超えた場合、冷却中に粒成長が過剰に進行し、単体Cu粒の平均結晶粒径が40μmを超えてしまうためである。
次に、以上、説明した方法で得られたZn−Al−Cu合金板状材に対して、2パス以上の圧延加工を施すことで、厚みが80〜150μmのZn−Al−Cu合金材とする。各圧延加工の間には軟化焼鈍(中間焼鈍)を施すが、その軟化焼鈍の焼鈍温度は100〜220℃、延べ加熱時間は200分以内とする。以上の工程を経ることで、本発明のZn−Al−Cu合金圧延材を製造することができる。圧延加工の間に軟化焼鈍を施す理由は以下に説明するとおりである。
・軟化焼鈍の焼鈍温度を100〜220℃
圧延加工の間には軟化焼鈍(中間焼鈍)を施すことで、母相(Zn相)を再結晶させることができ、軟質化が可能となるが、その際の焼鈍温度を100〜220℃とする。焼鈍温度が100℃未満であると、焼鈍による素材の軟化効果を得ることができない。一方、焼鈍温度が220℃を超えると、単体Cu粒の固溶が進行してしまう。
・軟化焼鈍の延べ加熱時間を200分以内
軟化焼鈍は、複数回の圧延加工の間に1回または複数回行うが、その延べ加熱時間は200分以内とする。延べ加熱時間が200分を超えると、単体Cu粒の固溶が進行してしまう。尚、延べ加熱時間の下限は特に設定しないが、焼鈍温度が上限の220℃の場合で30分、焼鈍温度が上限の100℃の場合で45分であると想定することができる。加熱時間が短すぎると、焼鈍による軟化効果を得ることができない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例では、まず、大気溶融により、表1に示す各成分組成(残部はZnおよび不可避的不純物)の亜鉛合金(Zn−Al−Cu系合金、Zn−Al−Cu−Si系合金等)を、幅350mm×厚み200mmの水冷銅鋳型を用いて夫々溶解鋳造した。
その製造条件は表1に示すとおりである。融点は熱力学的計算により求めたもので、液相の分率が100%になる温度、すなわち該当の成分組成の亜鉛合金が完全に溶解する温度であり、また、鋳造温度は、鋳造を開始する前に5分間保持した温度である。本実施例では、熱電対を、水冷銅鋳型の内壁面に接する状態で、水冷銅鋳型の底面から50mmの位置に設置して亜鉛合金鋳造塊の温度変化を記録し、その温度が250℃に達するまでの所要時間を測定した。尚、冷却所要時間の調整は、水冷銅鋳型に流す冷却水の量や温度を適宜調整することにより行った。
鋳造した亜鉛合金鋳造塊を水冷銅鋳型から取り出し、その亜鉛合金鋳造塊を切断して長さ300mm×幅150mm×厚さ90mmの圧延用素材とした。その圧延用素材を大気加熱炉で280℃に4時間再加熱した後、ロール径550mmの圧延ロールを用い、ロール回転速度15m/min、1パス圧下量1.0mmの条件で熱間圧延(粗圧延)を行い、厚み4.2mmの圧延用板状材を得た。
その圧延用板状材をスリッターにかけ幅100mmに加工した後に、ロール径500mmの圧延ロールを用い、ロール回転速度15m/min、1パス圧下量1.0mmの条件で、冷間圧延を実施、厚み1.0mmの冷延材を得た。その冷間圧延の後に、大気炉内で、表1に示す条件で中間焼鈍(軟化焼鈍)を施した。引き続き、ロール径150mmの圧延ロールを用い、ロール回転速度300m/min、1パス圧下量0.1mmの条件で、再度冷間圧延を実施して、厚み80μmの亜鉛合金圧延材(箔)を得た。
(単体Cu粒の平均結晶粒径の測定)
得られた厚み80μmの亜鉛合金圧延箔を金属ばさみで切断し、樹脂に埋め込み表面を研磨した後、その表面の金属組織を観察した。具体的には、EPMA(電子線マイクロアナライザ)でAl、Cuピークの面分析を行い、Cu単独のピークが確認される位置と、SEM(走査型電子顕微鏡)による画像とを対比させて、単体Cu粒を同定した。この単体Cu粒は硬質であるため、圧延後も等軸な結晶粒として残存し、判別が容易にできる。
この単体Cu粒について画像分析を行った。具体的には、画像解析ソフト(Image Pro Plus)を用いて単体Cu粒の形状、個数を定量数値化した。平均結晶粒径は円相当径を採用することで求めた。また、単体Cu粒の個数は、EPMAに付帯する25μm×20μmの反射電子像を用い、25μm×20μmの範囲(500μm)の任意の3視野で確認される単体Cu粒の個数を夫々数え、平均個数を算出することで求めた。
(素材ビッカース硬度の測定)
素材の硬さはビッカース硬度を測定することで求めた。素材ビッカース硬度は、超マイクロビッカース硬さ試験機(AKASHI MVK−G3)を用いて、荷重5gf、押し込み時間15秒の条件で、亜鉛合金圧延箔の圧延面に圧痕を作り、5点の硬度を測定し、それらの平均値を算出することで求めた。
(合否判定)
厚み80μmの亜鉛合金圧延箔に対し、ロール径150mmの圧延ロールを用い、ロール回転速度300m/min、1パス圧下量0.02mmの条件で、更に冷間圧延を施し、最終的に厚み40μmの亜鉛合金圧延箔とした。その亜鉛合金圧延箔より長さ30mmの試料を得て、両側面に形成された圧延割れ(耳割れ)の最大深さを測定した。圧延割れの最大深さが4mm以下であったものを合格(○)、圧延割れの最大深さが4mmを超えたものを不合格(×)とした。
表2に示す試験結果によると、No.1〜11は、本発明の要件を満たす成分組成の亜鉛合金から、本発明で規定した製造方法で製造した亜鉛合金鋳造塊であるため、単体Cu粒の平均結晶粒径は10〜40μm、その単体Cu粒は断面積500μmあたり4個以上存在し、また、素材ビッカース硬度は70〜90であった。その結果、これら発明例では、圧延加工した厚み40μmの亜鉛合金圧延箔の両側面には深さが4mmを超える圧延割れは発生せず、合否判定は○で合格であった。
一方、No.12〜19は、亜鉛合金の成分組成が本発明で規定する要件を満たしていない。また、No.20〜25は、亜鉛合金の成分組成は本発明で規定した要件を満たすものの、製造条件が本発明で規定する要件を満たしていない。よって、単体Cu粒は存在せず、また、素材ビッカース硬度は90を超えてしまった。その結果、これら比較例では、圧延加工した厚み40μmの亜鉛合金圧延箔の両側面に深さが4mmを超える圧延割れが発生する結果となり、合否判定は×で不合格であった。

Claims (2)

  1. Alを3.5〜18質量%、Cuを1〜3.5質量%含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる成分組成のZn−Al−Cu合金を、融点以上に加熱した後、融点〜融点+50℃の温度で5分以上保持した上で鋳造を開始し、鋳造後の亜鉛合金鋳造塊を20秒以内に250℃以下にまで冷却することで得たZn−Al−Cu合金鋳造塊に、熱間または冷間で、切断、切削、または圧延加工を施すことでZn−Al−Cu合金板状材とし、前記Zn−Al−Cu合金板状材に対して、焼鈍温度:100〜220℃、延べ加熱時間:200分以内の1回乃至複数回の軟化焼鈍を中間に入れた、2パス以上の圧延加工を施すことで製造したZn−Al−Cu合金圧延材であって、
    前記成分組成を有すると共に、金属組織中に平均結晶粒径が10〜40μmの単体Cu粒が、断面積500μmあたり4個以上存在し、
    且つ、厚みが80〜150μmであることを特徴とするZn−Al−Cu合金圧延材。
  2. 更に、Siを1質量%以下含有することを特徴とする請求項1記載のZn−Al−Cu合金圧延材。
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