JP5695290B2 - シリカ系被膜形成用塗布液の調製方法 - Google Patents

シリカ系被膜形成用塗布液の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い被膜強度と比較的低い比誘電率を有し、かつ表面平坦性や耐クラック性などに優れたシリカ系被膜を形成するための塗布液、その調製方法および該塗布液から得られるシリカ系被膜に関するものである。
近年、半導体装置、液晶装置、センサー装置、表示装置などの製造業界においては、半導体基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部を設けてなる基板上や液晶基板上などに、絶縁膜としてのシリカ系被膜を形成して使用することが多い。
このようなシリカ系被膜を形成するための塗布液としては、例えば、a)一般式RnSi(OR’)4-n(式中、R、R’は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を表し、nは0〜3の整数である。)で表されるアルコキシシランを加水分解重縮合させて得られるシリカゾルと前記アルコキシシランの部分加水分解物との反応物を含む被膜形成用塗布液(特許文献1に記載。)や、b)シリカ微粒子、および一般式XnSi(OR)4-n(式中、Xは、H、Fまたは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を表し、Rは、Hまたは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を表し、nは0〜3の整数である。)で示されるアルコキシシランおよび/または一般式XnSiX’4-n(式中、Xは、H、Fまたは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を表し、X’はハロゲン原子を表し、nは0〜3の整数である。)で示されるハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物、との反応物を含有することを特徴とする低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液(特許文献2に記載。)などがある。
しかし、本発明者らが、これらの塗布液と従来公知の被膜形成方法(スピンコート法やその他の塗布法)を用いて種々の装置を構成する基板やその他接合面にシリカ系被膜を形成する試験を繰り返し行ったところ、前記の特性を備えた被膜は得られるものの、被膜中に前記シリカ微粒子が一部偏在して存在していたり、あるいは前記シリカ微粒子とアルコキシシランの部分加水分解物および/または加水分解物との反応が不十分であったりした場合には、膜全体に均一でかつ安定した強度(圧縮強度および引っ張り強度)を有する被膜が必ずしも得られず、場合によっては被膜にピンホールやクラックなどが発生してしまうことがあった。
そこで、本発明者らは、このような問題を解決することを目的として鋭意研究を続けたところ、以下に示すようなシリカ系被膜形成用塗布液を用いればよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。
特許第3163579号 特許第3813268号
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって表面平坦性や耐クラック性などに優れたシリカ系被膜を形成するための塗布液、その調製方法および該塗布液から得られるシリカ系被膜、特にシリカ系絶縁膜を提供することを目的としている。
本発明の参考例に係るシリカ系被膜形成用塗布液は、
下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物と、塩基性触媒成分を含有するシリカ系微粒子とを含む分散液を加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解して得られる珪素化合物を含み、前記シリカ系微粒子が、前記塩基性触媒成分を400〜800重量ppmの範囲で含有することを特徴とする
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
nSiX4-n ・・・ (II)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
上記のシリカ系被膜形成用塗布液において前記分散液は、水とアルコールを含む水―アルコール系分散液であることが好ましい。
また、前記分散液中には、前記シリカ系微粒子が含有する塩基性触媒成分とは別の塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含むことが好ましい。
さらに、前記塩基性触媒成分は、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンおよびアミン系カップリング剤から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記酸触媒成分は、硝酸、塩酸、酢酸および硫酸から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記シリカ系微粒子は、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを前記塩基性触媒成分の存在下で加水分解・縮重合させて得られるシリカ系微粒子であり、しかも該シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の量を調整したものであることが好ましい。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表す。また、nは0〜3の整数である。)
前記珪素化合物は、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解された反応物と前記シリカ系微粒子を含み、しかも前記反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合していることが好ましい。
さらに、前記珪素化合物は、前記分散液中に含まれる前記塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分と前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解された反応物と前記シリカ系微粒子を含み、しかも前記反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合していることが好ましい。
また、前記珪素化合物は、ポリスチレン換算基準で500〜5000の数平均分子量を有することが好ましい。
さらに、前記塗布液中に含まれるイオン濃度は、1.0ミリモル/リットル以下であることが好ましい。
本発明に係るシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法は、以下の工程に処して得られる珪素化合物を含むシリカ系被膜形成用塗布液を製造する方法であって、
(a)下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを塩基性触媒成分の存在下で加水分解・縮重合させて得られたシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液に対して、限外濾過装置による濾過と濾過後における希釈液による希釈とからなる濾過、希釈操作を複数回行って、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量が400〜800重量ppmの範囲となるように、前記塩基性触媒成分の含有量を調整したシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を調製する工程、
(b)前記シリカ系微粒子を含む水―アルコール分散液に、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物を含む水分散液を混合する工程、
および
(c)前記混合液を30〜80℃の温度に加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解する工程
を含むことを特徴としている。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
nSiX4-n ・・・ (II)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
また、前記工程(b)で調製される前記分散液中には、さらに塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含有させることが好ましい。
さらに、塩基性触媒成分が、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンおよびアミン系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記酸性触媒成分が、硝酸、塩酸、酢酸および硫酸から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。



本発明に係るシリカ系被膜は、上記の被膜形成用塗布液を基板上に塗布して乾燥・焼成することによって得られるシリカ系被膜であることを特徴としている。
前記シリカ系被膜は、前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解して得られる反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合してなる珪素化合物の縮重合物を含むものであることが好ましい。
また、前記シリカ系被膜は、シリカ系絶縁膜として好適に使用することができる。
本発明によるシリカ系被膜形成用塗布液によれば表面平坦性や耐クラック性などに優れたシリカ系被膜、特にシリカ系絶縁膜を形成することができる。
また、本発明に係る前記塗布液によれば、被膜の表面に研磨処理などを施さなくとも平滑な表面を有するシリカ系被膜、特にシリカ系絶縁膜を基板上に形成することができる。さらに、得られるシリカ系被膜の表面には、ピンホールなどが現れることもない。
また、本発明に係る前記塗布液を用いて得られるシリカ系被膜は、上記の性状のほかに、半導体基板などの被膜形成面との密着性や耐アルカリ性などの耐薬品性に優れ、さらには耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性においても優れた特性を備えている。

以下、本発明によるシリカ系被膜形成用塗布液、その調製方法および該塗布液を基板上に塗布して得られるシリカ系被膜について具体的に説明する。
[被膜形成用塗布液]
本発明に係るシリカ系被膜形成用塗布液は、
下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物と、塩基性触媒成分を含有するシリカ系微粒子とを含む分散液を加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解して得られる珪素化合物を含むものである。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
nSiX4-n ・・・ (II)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
ここで、前記アルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。この中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランまたはその混合物を使用することが好ましい。
前記ハロゲン化シランとしては、例えば、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、n-プロピルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどが挙げられる。この中でも、トリクロロシラン、メチルトリクロロシランまたはその混合物を使用することが好ましい。
前記分散液は、水とアルコールを含む水―アルコール系分散液であることが好ましい。ここで使用されるアルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどが挙げられる。この中でも、メチルアルコール、エチルアルコールまたはその混合物を使用することが好ましい。
また、前記分散液中には、さらに塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含むことが好ましい。この中でも、前記酸性触媒成分を含むものを使用することが望ましい。これは、初期の段階で前記有機珪素化合物を酸性触媒成分の存在下で部分加水分解および/または加水分解させた後、さらに塩基性触媒成分(前記シリカ系微粒子から放出された塩基性触媒成分など)の作用効果により部分加水分解および/または加水分解させて得られた珪素化合物を含む塗布液を用いて被膜を形成すると、緻密なシリカ系被膜を得ることができるからである。
前記塩基性触媒成分としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンおよびアミン系カップリング剤などが挙げられる。この中でも、アンモニア、水酸化アンモニウムまたは第4級アンモニウム化合物を使用することが好ましい。
また、前記酸性触媒成分としては、硝酸、塩酸、酢酸および硫酸などが挙げられる。この中でも、硝酸または塩酸を使用することが好ましい。
さらに、前記シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分としては、上記の場合と同様に、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンおよびアミン系カップリング剤などが挙げられる。この中でも、前記シリカ系微粒子中には、アンモニアまたは水酸化アンモニウムが含まれていることが好ましい。これは、前記アルコキシシランと前記シリカ系微粒子とを含む分散液を加熱すると、これらの塩基性触媒成分が前記シリカ系微粒子中から放出され易いからである。
なお、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分と前記分散液中に含まれる塩基性触媒成分とは、同一であっても異なっていてもよいが、できるだけ同一なものを使用することが望ましい。
前記シリカ系微粒子は、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを前記塩基性触媒成分の存在下で加水分解・縮重合させて得られるシリカ系微粒子であり、しかも該シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分の量を調整したものであることが好ましい。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表す。また、nは0〜3の整数である。)
この場合、前記シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分の含有量は、200〜1100重量ppm、好ましくは400〜800重量ppmの範囲に調整することが好ましい。ここで、前記含有量が200重量ppm未満であると、前記シリカ系微粒子の外部表面付近や細孔内表面付近で前記有機珪素化合物の部分加水分解反応や加水分解反応が余り進まない(すなわち、反応量が少ない)ため、このようにして得られる塗布液を用いてシリカ系被膜を形成した場合、十分な被膜強度が得られず、また前記含有量が1100重量ppmを超えると、前記の部分加水分解反応や加水分解反応が進みすぎるため、得られる塗布液の保存安定性が悪くなるので、好ましくない。
また、前記の調整は、前記アルコキシシランの加水分解・縮重合物からなるシリカ系微粒子を含む水−アルコール系分散液を限外濾過装置にかけて、以下に詳述する方法で行うことが好ましい。
さらに、前記シリカ系微粒子は、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあることが好ましい。ここで、前記平均粒子径が5nm未満であると、フィラーとしての効果を十分に発揮することができないため、被膜の強度向上という面で問題となり、また前記平均粒子径が500nmを超えると、均一な分散液状態で保存しておくことが困難となるので、好ましくない。
さらに、前記有機珪素化合物は、アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランを予め部分加水分解させてから前記塩基性触媒成分を含有する前記シリカ系微粒子の水−アルコール系分散液と混合して、さらに加水分解させてもよい。
この場合、前記アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランの部分加水分解は、前記酸性触媒成分の存在下で行うことが好ましい。これは、上記の場合と同様に、あらかじめ前記有機珪素化合物を酸性触媒成分の存在下で部分加水分解させた後、さらに塩基性触媒成分(前記シリカ系微粒子から放出された塩基性触媒成分など)の作用効果により加水分解させて得られた珪素化合物を含む塗布液を用いて被膜を形成すると、緻密なシリカ系被膜を得ることができるからである。
前記シリカ系微粒子と前記有機珪素化合物との含有割合は、前記シリカ系微粒子の重量をAで表し、さらに前記珪素化合物の重量(SiO2換算基準)をBで表したとき、その重量比(A/B)が1/9〜9/1、好ましくは4/6〜6/4の範囲にあることが好ましい。ここで、前記重量比が1/9未満であると、最終的に得られる被膜の耐クラック性が悪くなり、また前記重量比が9/1を超えると、前記被膜の比誘電率が上昇するので、好ましくない。
このようにして得られる前記珪素化合物は、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解された反応物と前記シリカ系微粒子を含み、しかも前記反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合している。これは、前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分が、該シリカ系微粒子の外部表面やその細孔内表面の付近で前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解することができるので、前記反応物と前記シリカ系微粒子との結合が十分に行われるためと考えられる。
前記分散液中に塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含むものを使用した場合には、前記分散液中に含まれる前記塩基性触媒成分および/または前記酸性触媒成分と前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解された反応物と前記シリカ系微粒子を含み、しかも前記反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合している珪素化合物が得られる。
また、このようにして得られる前記珪素化合物は、ポリスチレン換算基準で500〜5000、好ましくは800〜3000の数平均分子量を有することが好ましい。この数平均分子量が上記の範囲にあれば、優れた経時安定性と良好な塗工性を示すシリカ系被膜形成用塗布液を提供することができる。
さらに、このようにして得られる前記珪素化合物を含む水―アルコール分散液は、そのままの状態でシリカ系被膜形成用塗布液として使用してもよいが、該分散液中に含まれる水分とアルコール成分を、従来公知の方法、例えばロータリーエバポレーターによる蒸留法などを用いてプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどから選ばれた少なくとも1種の有機溶媒と溶媒置換して使用することが好ましい。
この溶媒置換を行うことにより、前記水―アルコール分散液中に含まれる水とアルコール、更には前記アルコキシシランなどの加水分解で副生されるアルコール類などが分離・除去される。なお、上記の操作をロータリーエバポレーターを用いて行えば、前記の溶媒置換をほゞ完全に行うこともできるが、本発明においては、必ずしもこれを完全に行う必要はない。
このようにして得られる塗布液中に含まれる珪素化合物の量は、その使用用途によっても異なるが、この珪素化合物をSiO2で表したとき、該塗布液の重量に対し2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲となるように調整することが望ましい。ここで、この含有量が50重量%を超えると、前記塗布液の経時安定性が悪くなり、また2重量%未満であると、均一な被膜を基板上に形成することが難しくなる。
また、本発明においては、前記液状組成物中にレベリング剤としての界面活性剤やポリシリコーン樹脂などが添加されていてもよい。前記界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤やパーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物等のフッ素系界面活性剤などが挙げられ、また前記ポリシリコーン樹脂としては、ポリエーテル変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、アルコキシ変性樹脂などが挙げられる。この中でも、ポリシリコーン樹脂を使用することが好ましい。
さらに、前記シリカ系被膜形成用塗布液中に含まれるイオン濃度は、1.0ミリモル/リットル以下、好ましくは0.6ミリモル/リットル以下であることが望ましい。ここで、イオン濃度が1.0ミリモル/リットルを超えると、前記塗布液を用いて被膜を形成したとき、該塗布液中に含まれるイオンに起因して、被膜中にボイドやピンホールなどが発生してしまうことがあるので、好ましくない。
[被膜形成用塗布液の調製方法]
次に、本発明に係るシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法を述べれば、以下のとおりである。
本発明に係る塗布液の調製方法は、以下の工程に処して得られる珪素化合物を含むシリカ系被膜形成用塗布液を製造する方法であって、
(a)下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを塩基性触媒成分の存在下で加水分解・縮重合させて得られたシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を限外濾過装置にかけて、前記塩基性触媒成分の含有量を調整したシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を調製する工程、
(b)前記シリカ系微粒子を含む水―アルコール系分散液に、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物を含む水分散液を混合する工程、
および
(c)前記混合液を30〜80℃の温度に加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解する工程
を含むものである。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
nSiX4-n ・・・ (II)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
上記の各工程について具体的に述べれば、以下の通りである。
工程(a
この工程では、前記アルコキシシランを前記塩基性触媒成分の存在下で加水分解・縮重合させて前記シリカ系微粒子の水―アルコール系分散液を調製するが、その調製方法については、従来公知の方法を採用することができる。すなわち、1)前記アルコキシシランを含む水―アルコール分散液に塩基性触媒成分(例えば、アンモニア)の水溶液を添加した後、得られた加水分解・縮合物を熟成させる方法や、2)前記1)で得られたシリカ系微粒子を、さらにオートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成させる方法などがある。しかし、前記シリカ系微粒子の平均粒子径は、5〜500nmの範囲にあることが好ましい。
しかし、本発明方法においては、前記シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分の含有量を調整することが必要である。その方法について具体的に述べれば、以下の通りである。ただし、本発明方法は、ここに記載された方法に限定されるものではない。
(1)先ず始めに、上記の方法で得られたシリカ系微粒子を含む水―アルコール系分散液を限外濾過装置にかけてその容量が約2分の1から約5分の1になるまで濃縮して、該分散液中に含まれる前記アルコキシシランの未反応物や中間反応物などを除去する。この場合、前記分散液中に含まれる水、アルコールおよび塩基性触媒成分(例えば、アンモニア)の一部が取り除かれる。
(2)次いで、前記(1)で得られた水―アルコール系分散液に約1〜3倍の容量の純水(温度が5〜25℃のものを使用し、以下同じ。)を加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけてその容量が約2分の1になるまで濃縮して、該分散液中に含まれる塩基性触媒成分の一部を除去する。さらに必要に応じて、得られた水―アルコール系分散液と同容量の純水を加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけて同様な操作を繰り返し行う。この操作を繰り返し行うことにより、前記シリカ系微粒子の中から塩基性触媒成分が徐々に前記分散液中に放出されるので、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量を調整することができる。ここで行われる前記操作の回数は、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分やその含有量、さらには該シリカ系微粒子の性状などによっても異なるが、2〜5回行うことが好ましい。
(3)次に、前記(1)または(2)で得られた水―アルコール系分散液(アルコール濃度は低い)に、同容量のアルコール(温度が5〜25℃のものを使用し、以下同じ。)を加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけてその容量が約2分の1になるまで濃縮して、該分散液中に含まれる水とアルコールとを溶媒置換する。さらに必要に応じて、得られた水―アルコール系分散液と同容量のアルコールを加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけて同様な操作を繰り返し行う。この操作を2〜4回程度、繰り返し行うことにより、前記水―アルコール分散液中に含まれるアルコール濃度を約60〜90重量%に調整する。これにより、前記有機珪素化合物の水分散液との混合に適した水―アルコール分散液が得られる。また、この水―アルコール分散液中に含まれる前記シリカ系微粒子の濃度は、約5〜20重量%に調整することが望ましい。
これにより、前記塩基性触媒成分の含有量が200〜1100重量ppmの範囲に調整されたシリカ系微粒子を含む水―アルコール系分散液が得られる。
しかし、前記塩基性触媒成分の必要量は、後段の工程(b)で使用される有機珪素化合物の種類や使用量、あるいはこれらを混合して得られる分散液中に含まれる触媒成分の種類やその含有量などによっても異なるので、これらの条件を考慮して前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量を前記の範囲で調整することが望ましい。
なお、この水―アルコール系分散液中には、前記の加水分解・縮重合反応に使用された塩基性触媒成分が含まれている。すなわち、前記分散液中には、上記の限外濾過操作では除去されない塩基性触媒成分や、前記操作終了後に前記シリカ系微粒子から一部、放出された塩基性触媒成分を含んでいるが、後段の工程(b)で行われる部分加水分解および/または加水分解反応に利用することができるので、そのまま含ませておいてもよい。
この工程で使用される前記アルコキシシランについては、前記シリカ系微粒子を得ることができれば特に制限なく用いることができるが、エチルシリケートやメチルシリケートなどを使用することが好ましい。
また、前記塩基性触媒成分としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンおよびアミン系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種を使用することができるが、この中でもアンモニアまたは水酸化アンモニウムを使用することが好ましい。
さらに、前記アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールから選ばれた少なくとも1種を使用することができるが、この中でもメチルアルコールまたはエチルアルコールを使用することが好ましい。
工程(b
この工程では、前記工程(a)で得られた前記シリカ系微粒子を含む水―アルコール分散液と、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物を含む水分散液とが混合される。これにより、前記シリカ系微粒子、前記有機珪素化合物などを含む水−アルコール分散液が得られる。
ここで、前記アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランは、上記で述べたように、例えば酸性触媒成分の存在下で予め部分加水分解させてから混合してもよい。
前記シリカ系微粒子と前記有機珪素化合物との混合割合は、前記シリカ系微粒子の重量をAで表し、さらに前記珪素化合物の重量(SiO2換算基準)をBで表したとき、その重量比(A/B)が1/9〜9/1、好ましくは4/6〜6/4の範囲にあることが好ましい。その理由は、上記の通りである。
また、この工程では、前記分散液中に、さらに塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含有させることができる。
先にも述べたように、前記工程(a)で得られた水―アルコール系分散液中には、塩基性触媒成分が含まれていることが多い。しかし、前記工程(a)で得られるシリカ系微粒子に含まれる塩基性触媒成分の量が所望値より少ないときには、前記分散液中に、外部から前記塩基性触媒成分を添加してもよい。このような場合としては、以下のようなケースがある。
(1)前記アルコキシシランを加水分解・縮重合させたシリカ系微粒子をさらにオートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成させたシリカ系微粒子を含む水―アルコール系分散液を使用した場合であり、このケースにおいては、得られるシリカ系微粒子が比較的緻密な構造となっているため、該シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分が幾分少なくなってしまうことがある。
(2)前記アルコキシシランを加水分解・縮重合させたシリカ系微粒子、あるいはこれをさらにオートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成されたシリカ系微粒子を含む水―アルコール系分散液を限外濾過する際に、間違った操作(例えば、過度の操作回数等)などを行って、得られるシリカ系微粒子や水―アルコール分散液中に含まれる塩基性触媒成分の含有量が所望値より低下してしまった場合であり、このようなケースにおいては、前記塩基性触媒成分を外部から補ってやることが必要となるときがある。
また、高い被膜強度を有するシリカ系被膜を形成するためには、上記でも述べたように、前記水―アルコール系分散液に酸性触媒成分を添加することが望ましい。これは、初期の段階で前記有機珪素化合物を酸性触媒成分の存在下で部分加水分解および/または加水分解させた後、さらに塩基性触媒成分(前記シリカ系微粒子から放出された塩基性触媒成分など)の作用効果により部分加水分解および/または加水分解させて得られた珪素化合物を含む塗布液を用いて被膜を形成すると、緻密なシリカ系被膜を得ることができるからである。
なお、前記塩基性触媒成分および前記酸性触媒成分としては、上記のものから選択して使用することができる。
工程(c
この工程では、前記工程(b)で得られた混合液、すなわち水−アルコール分散液を30〜80℃の温度に加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解される。
前記水−アルコール分散液からなる混合液は、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分によっても異なるが、30〜80℃、好ましくは40〜70℃の温度に加熱することが望まれる。ここで、前記温度が30℃未満であると、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の放出速度が遅いため、前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解させるための時間が長くなり、また前記温度が80℃を超えると、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の拡散が急速または急激に起こるため、前記分散液の安定性が悪くなるので、好ましくない。
このように、前記混合液を加熱することにより、前記シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分は、前記シリカ系微粒子から徐々に放出されるが、場合によっては前記の加熱操作を段階的に行ってよい。
これにより、前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物は、前記シリカ系微粒子の外部表面やその細孔内表面の付近で部分加水分解および/または加水分解されるので、前記シリカ系微粒子と十分に結合した珪素化合物を得ることができる。この場合、前記有機珪素化合物は、前記混合液中に含まれる前記塩基性触媒成分によっても部分加水分解および/または加水分解されるが、本発明方法においては、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって部分加水分解および/または加水分解させることが重要である。
このようにして得られた水―アルコール分散液は、従来公知の方法、例えばロータリーエバポレーターによる蒸留法などを用いて、該分散液中に含まれる水分とアルコール成分を、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどから選ばれた少なくとも1種の有機溶媒と溶媒置換することができる。
その具体例(溶媒置換用の有機溶媒として、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)を使用した事例)を示せば、以下の通りである。しかし、本発明は、ここで述べる方法に限定されるものではない。
(i)上記で得られた水―アルコール分散液を、ロータリーエバポレーターのフラスコ中に入れ、さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテルをフラスコ中に入れる。
(ii)次いで、ロータリーエバポレーターを駆動して、50〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度条件下、−0.05〜−0.1MPa、好ましくは−0.08〜−0.1MPaの減圧条件下で、前記フラスコを30〜120rpm、好ましくは60〜90rpmの速度で回転させる。すると、前記水―アルコール分散液中に含まれる水とアルコールが蒸発してくるので、これを冷却して系外に排出する。
(iii)前記操作(ii)を必要時間、続けて行うことにより、前記水およびアルコールとプロピレングリコールモノプロピルエーテルとが溶媒置換されたシリカ系被膜形成用塗布液が得られる。
さらに、これにより、前記シリカ系被膜形成用塗布液中に含まれる珪素化合物の量を、上記した所望の範囲に調整することができる。ここで、前記珪素化合物の含有量は、その使用用途によっても異なるが、この珪素化合物をSiO2で表したとき、該塗布液の重量に対し2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲となるように調整することが好ましい。
[シリカ系被膜の形成方法]
本発明において、前記シリカ系被膜形成用塗布液を用いてシリカ系被膜の形成するには、従来公知の方法を採用することができる。また、この従来公知の方法としては、以下のようなものがある。
(1)前記シリカ系被膜形成用塗布液を基板上に塗布した後、該基板を80〜350℃の温度で加熱処理し、さらに前記加熱温度より高い340〜450℃の温度で焼成する方法。
(2)前記シリカ系被膜形成用塗布液を基板上に塗布した後、該基板を80〜350℃の温度で加熱処理し、さらにエレクトロンビーム、紫外線またはマイクロ波を照射してキュアする方法。
すなわち、本発明においては、前記シリカ系被膜形成用塗布液の性状やその使用用途によって、これらの従来公知の方法から適宜、選択することが望ましい。
以下に、前記(1)の方法を例にとって、この被膜形成方法ついて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
塗布工程
一般に、被膜形成用塗布液を基板上に塗布するためには、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、スリットコーター法、転写法等の塗布方法が採用されているが、本発明においても、このような従来公知の方法を用いて前記シリカ系被膜形成用塗布液を塗布することができる。この中でも、半導体基板上などに被膜形成用塗布液を塗布する場合には、スピンコート法が好適で、塗布膜厚の均一性や低発塵性などにおいて優れている。従って、本発明においては、このスピンコート法による塗布法を採用することが望ましいが、大口径の半導体基板上などに塗布する場合には、転写法などを採用してもよい。
なお、本発明において「塗布液を基板上に塗布すること」の意味は、前記塗布液をシリコンウェハーなどの基板上に直接、塗布するだけでなく、該基板上に形成された半導体加工用保護膜やその他の被膜の上部に塗布することも含むものである。
加熱工程
このようにして基板上に塗布された被膜は、80〜350℃の温度にて加熱処理される。
ここで、この加熱処理を、350℃を超えた温度で行うと、上記の塗布被膜中に含まれる有機溶媒が急激に蒸発して、被膜中に比較的、大口径の細孔や空隙を形成してしまうこともあるので、その被膜強度が低下することがある。従って、この加熱処理は、必要に応じその温度を80〜350℃の範囲で段階的に上げて行うことが望ましい。たとえば、150℃の温度にて1分間、250℃の温度にて1分間、さらに350℃の温度にて1分間などの段階的温度で加熱処理する方法等である。また、この加熱処理を80℃未満の温度で行うと、上記の塗布被膜中に含まれる有機溶媒の殆どが蒸発せずにそのまま被膜中に残ってしまうことがあり、結果としてこの加熱処理の目的を達成することができないばかりでなく、形成される被膜の膜厚にムラが生じることがある。
また、この加熱処理は、被膜の膜厚などによっても異なるが、1〜10分、好ましくは2〜5分をかけて行うことが望ましい。
さらに、この加熱処理は、不活性ガスとしての窒素ガス雰囲気下または空気雰囲気下で行うことができる。これは、この処理が350℃以下という比較的、低い温度条件下で短時間行われるので、たとえ酸素を比較的多量に含んでいる空気雰囲気下で加熱処理しても半導体基板上に配設された金属配線などに対し金属酸化などによるダメージを与えないからである。また、微量の酸素が被膜中に取り込まれる可能性が高まるので、後段の焼成処理工程で処理する過程でSi-O-Si結合の架橋の進んだシリカ系被膜が生成され、耐吸湿性(疎水性)と高被膜強度を有するシリカ系被膜を形成し易くなる。
このようにして加熱処理を施すと、上記の塗布被膜中に含まれる有機溶媒などが蒸発・脱離し、また一方では固形成分であるシリカ系被膜形成成分の重合が進んで硬化するとともに、加熱の過程で重合体の溶融粘度が低下して被膜のリフロー性が増大し、得られる被膜の平坦性が向上する結果となる。なお、この加熱処理は、前記の塗布工程で得られた基板を枚葉式のホットプレート上に載置して行うことが好ましい。
焼成工程
次いで、前記の加熱処理が施された被膜は、不活性ガスの雰囲気下で、前記加熱温度より高い340〜450℃の温度にて焼成処理される。
前記不活性ガスとしては、窒素ガスを用いることが望ましく、さらに必要に応じて、これに酸素ガスまたは空気を加えて、少量の酸素(例えば、500〜10000容量ppm程度の酸素)を含む不活性ガスを用いてもよい。(国際出願公開WO 01/48806 A1 公報などに記載。)
前記焼成温度は、上記の塗布液中に含まれる珪素化合物(すなわち、シリカ系被膜形成成分)の性状などによっても異なるが、耐吸湿性(疎水性)と高被膜強度を有するシリカ系被膜を得るためには、340〜450℃の温度範囲から選択することが望まれる。
ここで、焼成処理の温度が340℃未満であると、前記シリカ系被膜形成成分の前駆体の架橋が進みにくいので充分な被膜強度を有する被膜が得られず、またこの焼成処理の温度が450℃を越えると、例えば、半導体基板を構成するアルミニウム配線や銅配線などが酸化されたり、あるいは溶融されたりして、当該配線層に致命的な損傷を与えることがある。
また、この焼成処理は、被膜形成用塗布液の種類や被膜の膜厚などによっても異なるが、5〜90分、好ましくは10〜60分かけて行うことが望ましい。
さらに、この焼成処理は、前記加熱工程の場合と同様に、枚葉式のホットプレート上に基板を載せて行うことが好ましい。
このようにして得られるシリカ系被膜の膜厚は、被膜を形成する基板やその使用用途などによっても異なるが、例えば、半導体装置におけるシリコン基板(シリコンウェハー)上では通常、100〜600nmであり、また多層配線の配線層間では通常、100〜1000nmである。
〔シリカ系被膜〕
本発明に係るシリカ系被膜は、上記のシリカ系被膜形成用塗布液を用いて容易に形成することができ、ヤング弾性率が3.0 GPa以上、さらに詳しくは5.0 GPa以上の高い被膜強度と比較的低い比誘電率を有し、かつ表面平坦性や耐クラック性などに優れている。
また、本発明においては、前記被膜形成用塗布液の調製時に使用されるシリカ系微粒子として、オートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成させたシリカ系微粒子を使用すれば、ヤング弾性率が6.0 GPa以上、さらに詳しくは7.0GPa以上の高い被膜強度を有するシリカ系被膜を形成することができる。
さらに、本発明に係るシリカ系被膜は、引っ張り強度にも強いため、たとえ被膜の膜厚を厚くしても、この被膜にクラックなどが発生することはない。これは、前記被膜形成用塗布液の調製工程で、前記シリカ系微粒子から放出された塩基性触媒成分によって部分加水分解および/または加水分解された前記有機珪素化合物の反応物が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面と強く結合しているためと考えられる。これにより、前記被膜を形成する際に、たとえその被膜が収縮しても、前記シリカ系微粒子だけが分離されることがないので、耐クラック性に強いシリカ系被膜を形成することができる。
また、本発明に係る前記塗布液によれば、被膜の表面粗さ(Rms)が5.0nm以下である平滑な表面を有するシリカ系被膜を容易に形成することができる。(この表面粗さは、原子間力顕微鏡AFMで測定された値の二乗平均粗さである。)これにより、基板上に形成された被膜の表面を平坦化するための煩雑な研磨処理などを施す必要がなくなる。また、被膜表面にピンホールなどが発生することもない。
これに加えて、前記シリカ系被膜は、それ自体が疎水性(耐吸湿性)に優れた被膜であるので、たとえ飽和水蒸気を含む空気雰囲気下に放置しても、比誘電率の悪化(すなわち、比誘電率の増加)を招くことがない。
さらに、前記シリカ系被膜は、半導体基板などの被膜形成面との密着性、耐アルカリ性などの耐薬品性に優れ、さらには耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性においても優れた特性を備えている。
このようなシリカ系被膜を形成することのできる本発明に係る前記塗布液は、半導体基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部を設けてなる基板上、あるいは当該基板上に設けられた多層の配線層間などにシリカ系被膜、特にシリカ系絶縁膜を形成するために使用される。この中でも、本発明による塗布液は、1〜5μm程度の膜厚を有する絶縁膜を形成する用途に用いることが好適である。
〔測定方法〕
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)シリカ系微粒子の平均粒子径
水―アルコール分散液(試料)中に含まれるシリカ系微粒子の10万倍拡大画像を透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテック社製H−800)にて撮影したTEM写真をルーゼックス自動画像処理解析装置(ニコレ社製LUZEX−AP)で解折し、さらに付属の解析ソフトを使用して前記シリカ微粒子の平均粒子径を算出する。
(2)シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量
(a)塩基性触媒成分を含むシリカ系微粒子が分散された水―アルコール分散液(試料)中に含まれる塩基性触媒成分の全量(例えば、アンモニア量)を測定するため、水酸化ナトリウム水溶液を添加して前記シリカ系微粒子を溶解した後、加熱して発生した塩基性ガスを希硫酸(H2SO4:0.05mol/L)を含む水溶液に吸収させる。次いで、これにメチルレッド溶液を2〜3滴たらして、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:0.1mol/L)で滴定し、該分散液中に含まれる塩基性触媒成分の全量(Q1)を測定する。
(b)次に、前記水―アルコール分散液(試料)を3000rpmの回転速度で遠心分離(遠心濃縮器:アズワン社製VS2001、遠心分離機:KUBOTA社製 KUBOTA6930)して、該分散液中に含まれるシリカ系微粒子を分離する。次いで、得られた分散媒中に含まれる塩基性触媒成分の量(例えば、アンモニア量)を、前記(a)と同様な方法で、該分散媒中に含まれる塩基性触媒成分の全量(Q2)を測定する。
(c)前記(a)で測定された塩基性触媒成分量(Q1)から前記(b)で測定された塩基性触媒成分量(Q2)を差し引き、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の量(Q)を算出する。
(3)被膜形成用塗布液の粘度測定
試料としての塗布液1mLを粘度計(東機産業(株)製 VISCONIC ED型)の受け皿に移し、該試料にローターを接触させ、既知の回転数でローターを回転させたときのトルク値を測定する。次いで、前記回転数と測定したトルク値から粘度を算出する。
(4)珪素化合物の数平均分子量測定
分子量測定装置(東ソー社製:GPC8020)を用いて、GPC(Gel Phase Chromatography)法により測定する。すなわち、試料としての塗布液1mLを溶離液に乗せて、ゲルカラム(東ソー社製:TSKgel、東ソー社製:G5000Hxl、TSKgel G3000Hxlを連結)に通すことで、該試料中の分子成分を流体力学的体積の大きさに従って分離し、時間毎のリファレンスとの屈折率差により分子量分布を測定する。次いで、測定した分子量分布を予め測定した既知の分子量を持つポリスチレンの分布と比較して換算することにより、ポリスチレン換算の数平均分子量を算出する。
(5)被膜形成用塗布液のイオン濃度測定
試料としての塗布液10mLを精製純水90mLと混合して、室温で1時間攪拌した後、この混合液を濾過し、さらに濾過後の濾材に100mLの精製純水を通して濾液を回収する。次いで、この回収濾液に含まれている金属イオンなどの陽イオン濃度を原子吸光法で測定し、塩基性触媒成分などの陰イオン濃度をイオンクロマトグラフィー法で測定する。
(6)シリカ系被膜の比誘電率
試料としての塗布液をシリコンウェハ上にスピンコート法にて4000rpmの回転速度で塗布し、120℃の温度で5分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて350℃の温度で30分間焼成して塗布膜(シリカ系被膜)を形成する。次いで、水銀プローブ法(Solid State Measurements 製SSM495、周波数1MHz)により測定する。すなわち、前記塗布膜に水銀電極を接触させて、電圧を変えて該塗布膜の電気容量を測定して、得られた電気容量と膜厚から塗布膜の比誘電率を算出する。
(7)シリカ系被膜の被膜強度
試料としての塗布液をシリコンウェハ上にスピンコート法にて4000rpmの回転速度で塗布し、120℃の温度で5分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて350℃の温度で30分間焼成して塗布膜(シリカ系被膜)を形成する。次いで、ナノインデンテーション法(MTS Systems Corp製ナノインデンターXP)によりヤング弾性率(Young’s Modulus)を測定する。すなわち、ダイヤモンド製の圧子を前記塗布膜に押し込み、該圧子と塗布膜の接触面積および押し込み強度を測定して、ヤング弾性率を算出する。
(8)シリカ系被膜のクラック耐性限界膜厚
試料としての塗布液をシリコンウェハ上にスピンコート法にて300〜700rpmの回転速度で塗布し、120℃の温度で5分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて350℃の温度で30分間焼成して塗布膜(シリカ系被膜)を形成する。次いで、得られた塗布膜を顕微鏡(倍率:50倍)で観察し、クラックの有無を確認する。さらに、接触式段差膜厚測定法(ACCRETECH社製 SURFCOM1400D)により、クラックが発生しない限界膜厚を測定する。
(9)シリカ系被膜の表面粗さ
試料としての塗布液をシリコンウェハ上にスピンコート法にて4000rpmの回転速度で塗布し、120℃の温度で5分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて350℃の温度で30分間焼成して塗布膜(シリカ系被膜)を形成する。次いで、前記塗布膜に導電性が付与された探針付きカンチレバー(日本ビーコ(株)製 NCH-10V)を走査させ、探針と塗布膜の分子間力から表面形状を観測して、表面粗さ(Rms)を算出する。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
シリカ系微粒子の調製
[調合例1]
99.9重量%濃度のメタノール(関東化学(株)製)508gと純水760gからなる敷き水1268gを調製した。99.9重量%濃度のメタノール16048gとエチルシリケート(多摩化学工業(株)製)を8452g加えて撹拌したエチルシリケート溶液24500gを調製した。
次に、前記敷き水1268gを65℃の温度に加熱して保持し、これに前記エチルシリケート溶液24500gおよび1.9重量%濃度のアンモニア水9490gを同時に5時間かけて撹拌下で添加した。添加終了後、さらに前記温度に保って3時間、熟成操作を行い、7.4重量%のシリカ微粒子を含む水−メタノール分散液(以下、「水−メタノール分散液」という。)35258gを得た。
次いで、得られた水−メタノール分散液を室温まで冷却し、該水−メタノール分散液のうち31860gに、純水20340gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタ(旭化成(株)製、ACP−2013)を用いて、その重量が18711gになるまで濃縮した。これにより、該水−メタノール分散液中に含まれる前記エチルシリケートの未反応物や中間反応物などを除去した水−メタノール分散液(以下、「水−メタノール精製液」という。)18711gを得た。
次いで、上記で得られた水−メタノール精製液のうち10395gに、99.5重量%濃度のエタノール(和光純薬工業(株)製)13860gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が10395gになるまで濃縮した。さらに、得られた分散液にエタノール13860gを加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が10395gになるまで濃縮した。これにより、前記水−メタノール精製液中に含まれる水とメタノールを溶媒置換させた、シリカ微粒子を含む水―エタノール分散液(以下、「水−エタノール分散液」という。)10395gを得た。
この水―エタノール分散液にエタノール2703gを加えて該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調整し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、シリカ微粒子を19.4重量%含む水−エタノール分散液の試料1A6752gを得た。
このようにして得られた試料1A中に含まれるシリカ系微粒子の平均粒子径を測定したところ、概ね20nmであった。
さらに、前記試料1A中に含まれるアンモニアの全含有量および前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアの含有量を上記の方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
[調合例2]
調合例1と同様な方法で、水―メタノール精製液18711gを調製した。
次に、調製した前記水―メタノール精製液を10150g取り出し、29重量%濃度のアンモニア水47gを加えて撹拌した後、オートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製、TAS−13型)に入れて、150℃の温度で15時間、処理して、該水―メタノール精製液中に含まれるシリカ微粒子の熟成を行った。
次に、これを室温まで冷却して得られた水―メタノール精製液(熟成液)を10045g取り出し、純水13020gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。更に純水13020gを加えて攪拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮する作業を2回繰り返した。これにより、前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアを一部除去した水―メタノール精製液9998gを得た。
次いで、上記で得られた水―メタノール精製液9998gに、エタノール(和光純薬工業(株)製)13331gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて濾過し、その重量が9998gになるまで濃縮した。さらに、エタノール13331gを加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。これにより、前記水―メタノール分散液中に含まれる水とメタノールを溶媒置換させた水―エタノール分散液9998gを得た。
この水―エタノール分散液にエタノール2600gを加えて該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調整し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、シリカ微粒子を19.4重量%含む水−エタノール分散液の試料2A6494gを得た。
このようにして得られた前記試料2A中に含まれるシリカ系微粒子の平均粒子径を測定したところ、概ね25nmであった。
さらに、調合例1の場合と同様に、前記試料2A中に含まれるアンモニアの全含有量および前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアの含有量を上記の方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
[実施例1]
調合例1で調製された前記試料1Aおよび調合例2で調製された前記試料2A(共に、シリカ微粒子を19.4重量%含む水−エタノール分散液)をそれぞれ6050gずつ取り出し、これらにメチルトリメトキシシラン(MTMS、信越化学工業(株)製)1778gと0.44重量%濃度の硝酸(関東化学(株)製)の水溶液1409gとを混合して、室温から徐々に50℃の温度まで加熱した。さらに、この温度(50℃)に保って200rpmの速度で15時間、攪拌しながら、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行った。
この時の混合液のpHを測定したところ、前記試料1Aを使用したものは、当初(加熱前)、酸性触媒成分として加えた硝酸の影響でpH2.1であったが、温度の上昇とともにpH7.8となり、その状態で安定化した。また、前記試料2Aを使用したものは、当初(加熱前)、酸性触媒成分として加えた硝酸の影響でpH2.4であったが、温度の上昇とともにpH8.0となり、その状態で安定化した。すなわち、前記試料中に含まれるシリカ系微粒子から塩基性触媒成分としてのアンモニアが放出され、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解反応および/または加水分解反応に寄与していることが分かった。
次いで、得られた水−エタノール分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で25重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液3A(前記試料1Aを使用して調製されたものであり、以下、試料3Aという)、および4A(前記試料2Aを使用して調製されたものであり、以下、試料4Aという)を得た。
このようにして得られた試料を室温で150日間、放置して、塗布液の保存安定性を粘度変化で確認したところ、変化がないことが分かった。
得られたシリカ系被膜形成用塗布液の性状を表2に示す。
[実施例2]
調合例1で調製された前記試料1Aおよび調合例2で調製された前記試料2A(共に、水−エタノール分散液)をそれぞれ6050gずつ取り出し、これらにメチルトリメトキシシラン(MTMS、信越化学工業(株)製)2668gと0.44重量%濃度の硝酸(関東化学(株)製)1691gとを混合して、室温から徐々に50℃の温度まで加熱した。さらに、この温度(50℃)に保って200rpmの速度で15時間、攪拌しながら、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行った。
この時の混合液のpHを測定したところ、当初(加熱前)は、酸性触媒成分として加えた硝酸の影響でpH2.3であったが、温度の上昇とともにpH7.5となり、その状態で安定化した。すなわち、前記試料中に含まれるシリカ系微粒子から塩基性触媒成分としてのアンモニアが放出され、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解反応および/または加水分解反応に寄与していることが分かった。
次いで、得られた水−エタノール分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で25重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液5A(前記試料1Aを使用して調製されたものであり、以下、試料5Aという)、および6A(前記試料2Aを使用して調製されたものであり、以下、試料6Aという)を得た。
このようにして得られた試料を室温で150日間、放置して、塗布液の保存安定性を粘度変化で確認したところ、変化がないことが分かった。
得られたシリカ系被膜形成用塗布液の性状を表2に示す。
[実施例3]
調合例2で調製された前記試料2Aと、メチルトリメトキシシランの代わりにフェニルトリメトキシシラン(PhTMS、信越化学工業(株)製)とフェニルトリクロロシラン(PhTCS、信越化学工業(株)製)とをそれぞれ使用した以外は、実施例1の場合と同様な方法で、反応物である珪素化合物をSiO2基準で25重量%含むシリカ系被膜形成用塗布液7A(前記試料2Aとフェニルトリメトキシシランを使用して調製されたものであり、以下、試料7Aという)および8A(前記試料2Aとフェニルトリクロロシランを使用して調製されたものであり、以下、試料8Aという)を得た。
このようにして得られた試料を室温で150日間、放置して、塗布液の保存安定性を粘度変化で確認したところ、変化がないことが分かった。
得られたシリカ系被膜形成用塗布液の性状を表2に示す。
[比較例1]
水−メタノール精製液を得るまでは、調合例1と同様な方法で、水−メタノール精製液9998gを得た。
次いで、アンモニア濃度を減らすために、再度、水−メタノール精製液9998gに純水13331gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。次いで、エタノール(和光純薬工業(株)製)13331gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。さらに、エタノールを13331g加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。これにより、前記水−メタノール精製液中に含まれる水とメタノールを溶媒置換させた水―エタノール分散液9998gを得た。
この水―エタノール分散液にエタノール2560gを加えて、該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調製し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、シリカ微粒子を19.4重量%含む水−エタノール分散液の試料9A6494gを得た。
このようにして得られた試料9A中に含まれるシリカ系微粒子の平均粒子径を測定したところ、概ね25nmであった。
さらに、調合例1の場合と同様に、前記試料9A中に含まれるアンモニアの全含有量および前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアの含有量を上記の方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
前記試料9Aを使用した以外は、実施例1の場合と同様な方法で、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行った。
前記試料9Aを用いた場合の混合液のpHを測定したところ、当初(加熱前)は、酸性触媒成分として加えた硝酸の影響でpH2.2であったが、温度の上昇とともに徐々に増加してpH4.1となった。すなわち、シリカ系微粒子から塩基性触媒成分として放出されるアンモニアの量が不充分であり、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解反応および/または加水分解反応に寄与する塩基性触媒が少ないことが分かった。
次いで、得られた水−エタノール分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP 日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で25重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液10A(前記試料9Aを使用して調製されたものであり、以下、試料10Aという)を得た。
このようにして得られた試料を室温で150日間、放置して、塗布液の保存安定性を粘度変化で確認したところ、変化がないことが分かった。
得られたシリカ系被膜形成用塗布液の性状を表2に示す。
[比較例2]
水−メタノール精製液を得るまでは、調合例1と同様な方法で、水―メタノール精製液の試料18711gを調製した。
次に、前記水−メタノール精製液のうち10150gを取り、該試料中のアンモニア濃度を増やすために、前記水―メタノール精製液に29重量%濃度のアンモニア水190gを加えて撹拌した後、オートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製、TAS−13型)に入れて、150℃の温度で15時間、処理して、該水―メタノール精製液中に含まれるシリカ微粒子の熟成を行った。
次に、これを室温まで冷却して得られた水―メタノール精製液(熟成液)10340gのうち、10045gを取り出し、純水13020gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9861gになるまで濃縮した。更に純水13020gを加えて攪拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9861gになるまで濃縮する作業を2回繰り返した。これにより、前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアを一部除去した水―メタノール精製液9861gを得た。
次いで、上記で得られた水―メタノール精製液9861gに、エタノール(和光純薬工業(株)製)13147gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9861gになるまで濃縮した。さらに、エタノールを13147g加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9861gになるまで濃縮した。これにより、前記水−メタノール精製液中に含まれる水とメタノールを溶媒置換させた水−エタノール分散液をそれぞれ9861gを得た。
この水−エタノール分散液にエタノール2564gを加えて、該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調製し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、シリカ微粒子を19.4重量%含む水−エタノール分散液の試料11A6404gを得た。
このようにして得られた試料11A中に含まれるシリカ系微粒子の平均粒子径を測定したところ、概ね25nmであった。
さらに、調合例1の場合と同様に、前記試料11A中に含まれるアンモニアの全含有量および前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアの含有量を上記の方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
前記試料11Aを使用した以外は、実施例1の場合と同様な方法で、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行った。
前記試料11Aを用いた場合の混合液のpHを測定したところ、当初(加熱前)は、pH8.3であり、温度の上昇とともに少し増加してpH8.5になった。このように、酸性触媒としての硝酸を同量、混合したにもかかわらず、当初からpH値が高く、しかもその値が殆ど変化しなかった理由は、前記試料11Aの水−エタノール分散液中に含まれるアンモニア量が多いばかりでなく、シリカ系微粒子中にも塩基性触媒成分としてのアンモニアが多量に存在しているためである。これにより、前記メチルトリメトキシシランの加水分解反応が、過剰のアンモニア(塩基性触媒成分)によって進みすぎていることが予想される。
次いで、得られた水−エタノール分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP 日本乳化剤(株)製)に溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で25重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液の試料12A(前記試料11Aを使用して調製されたものであり、以下、試料12Aという)を得た。
このようにして得られた試料を室温で150日間放置して、塗布液の保存安定性を観察したところ、ゲル状態に変化していることが分かった。このように、アンモニアの含有量が1100ppmを超えたシリカ系微粒子を含む水−エタノール分散液を用いてアルコキシシランなどを部分加水分解および/または加水分解させて調製された塗布液は、その保存安定性に問題があることが分かった。
得られたシリカ系被膜形成用塗布液の性状を表2に示す。
[比較例3]
調合例2で調製された前記試料2Aとメチルトリメトキシシラン(MTMS、信越化学工業(株)製)を使用し、前記加熱温度をそれぞれ20℃(室温)、および90℃(室温から90℃まで加熱)にした以外は、実施例1の場合と同様な方法で、反応物である珪素化合物をSiO2基準で25重量%含むシリカ系被膜形成用塗布液13A(加熱温度20℃で調製されたものであり、以下、試料13Aという)、および14A(加熱温度90℃で調製されたものであり、以下、試料14Aという)を得た。
このようにして得られた試料を室温で150日間放置して、塗布液の保存安定性を粘度変化で確認したところ、塗布液13Aについては、変化がないことが分かった。しかし、塗布液14Aについては、ゲル状態に変化していることが分かった。このように、加熱温度として90℃を採用した場合には、シリカ系微粒子中に含まれるアンモニア(塩基性触媒成分)が短時間で粒子外に放出されて、アルコキシシランなどの加水分解反応を急激に起こしてしまうため、塗布液の保存安定性を損なわせることが分かった。
得られたシリカ系被膜形成用塗布液の性状を表2に示す。
[実施例4および比較例4]
実施例1〜3および比較例1、3で調整された前記試料3A、4A、5A、6A、7A、8A、10A及び13Aをそれぞれ5mlずつ従来公知のスピンコート法(MIKASA社製:1H−360S)を用いて6インチサイズのシリコンウェハー基板上に滴下して、4000rpmの速度で20秒間、塗布処理を行った。このような操作を繰り返し行い、塗布処理を施した基板3B、4B、5B、6B、7B、8B、10B及び13Bを得た。
次いでこれらの基板をホットプレート(IUCHI社製:EC−1200)上に載置して大気雰囲気下120℃で5分、加熱処理を施した。この加熱処理工程では、被膜中に含まれる有機溶媒(PGP)などが蒸発してくるので、これらを系外に排出した。
さらに、これらの基板をホットプレート上に載せたまま、その処理環境を大気雰囲気下から窒素ガス雰囲気下に変更して、350℃にて30分間、焼成処理を施した。次に、これらの基板を室温近くの温度まで冷却した後、系外に取り出した。
このようにして得られた基板上に形成されたシリカ系被膜の膜厚は、約500nmであった。
次いで、基板上に形成されたシリカ系被膜の比誘電率、被膜強度(ヤング弾性率)および表面粗さを上記の方法で測定した。これらの測定結果を表3に示す。
[実施例5および比較例5]
実施例1〜3および比較例1、3で調整された前記試料3A、4A、5A、6A、7A、8A、10Aおよび13Aをそれぞれ5mlずつ従来公知のスピンコート法(MIKASA社製:1H−360S)を用いて6インチサイズのシリコンウェハー基板上に滴下して、300rpm〜700rpmの速度で20秒間、塗布処理を行った。このような操作を繰り返し行い、塗布処理を施した基板3C、4C、5C、6C、7C、8C、10Cおよび13Cを得た。
次いでこれらの基板をホットプレート(IUCHI社製:EC−1200)上に載置して空気雰囲気下120℃で5分、加熱処理を施した。この加熱処理工程では、被膜中に含まれる有機溶媒(PGP)などが蒸発してくるので、これらを系外に排出した。
さらに、これらの基板を枚葉式のホットプレート上に載せたまま、その処理環境を空気雰囲気下から窒素ガス雰囲気下に変更して、350℃にて30分間、焼成処理を施した。次に、これらの基板を室温近くの温度まで冷却した後、系外に取り出した。
このように焼成して得られるシリカ系被膜にクラックが発生しない限界膜厚を上記の方法で測定した。これらの測定結果を表4に示す。
以上の結果(表3および表4)からも明らかなように、実施例1〜3で調製された前記塗布液試料3A、4A、5A、6A、7A及び8Aを用いた場合、ヤング弾性率が6.0 GPa以上の高い被膜強度と比較的低い比誘電率を有し、かつ表面平坦性、クラック限界膜厚などに優れたシリカ系被膜を得ることができた。
一方、比較例1で調製された塗布液試料10Aを用いた場合には、クラック限界膜厚が著しく低下し、被膜強度も低下する結果となった。これは、塗布液試料10Aの調製に用いた前記水−エタノール分散液試料9A中のシリカ系微粒子に含まれる前記塩基性触媒成分の量が少ないために、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解反応および/または加水分解反応に寄与する塩基性触媒のシリカ系微粒子からの放出が少なく、前記有機珪素化合物の部分加水分解および/または加水分解による前記シリカ系微粒子との結合が不充分であるためである。
また、比較例3で調製された塗布液試料13Aを用いた場合には、クラック限界膜厚が著しく低下し、被膜強度も低下することが分かった。これは、加熱温度が20℃と低いために、塗布液試料13Aの調製に用いた前記水−エタノール分散液試料2A中のシリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分のシリカ系微粒子からの放出が充分でなく、前記有機珪素化合物の部分加水分解および/または加水分解による前記シリカ系微粒子との結合が不充分であるためである。
Figure 0005695290
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Figure 0005695290
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Claims (5)

  1. (a)下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを塩基性触媒成分の存在下で加水分解・縮重合させて得られたシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液に対して、限外濾過装置による濾過と濾過後における希釈液による希釈とからなる濾過、希釈操作を複数回行って、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量が400〜800重量ppmの範囲となるように、前記塩基性触媒成分の含有量を調整したシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を調製する工程、
    (b)前記シリカ系微粒子を含む水―アルコール分散液に、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物を含む水分散液を混合する工程、
    および
    (c)前記混合液を30〜80℃の温度に加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解する工程
    に処して得られる珪素化合物を含むシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法。
    nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
    nSiX4-n ・・・ (II)
    (式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
  2. 前記濾過、希釈操作を3回以上行うことを特徴とする請求項1記載のシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法。
  3. 前記工程(b)で調製される前記分散液中には、前記シリカ系微粒子が含有する塩基性触媒成分とは別の塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含有させることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法。
  4. 前記塩基性触媒成分が、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンおよびアミン系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法。
  5. 前記酸性触媒成分が、硝酸、塩酸、酢酸および硫酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のシリカ系被膜形成用塗布液の調製方法。
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