JP5693105B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッド Download PDF

Info

Publication number
JP5693105B2
JP5693105B2 JP2010196546A JP2010196546A JP5693105B2 JP 5693105 B2 JP5693105 B2 JP 5693105B2 JP 2010196546 A JP2010196546 A JP 2010196546A JP 2010196546 A JP2010196546 A JP 2010196546A JP 5693105 B2 JP5693105 B2 JP 5693105B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
silane compound
group
compound represented
silane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010196546A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011073442A (ja
Inventor
悦子 澤田
悦子 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2010196546A priority Critical patent/JP5693105B2/ja
Publication of JP2011073442A publication Critical patent/JP2011073442A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5693105B2 publication Critical patent/JP5693105B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/16Production of nozzles
    • B41J2/1606Coating the nozzle area or the ink chamber
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/16Production of nozzles
    • B41J2/1601Production of bubble jet print heads
    • B41J2/1603Production of bubble jet print heads of the front shooter type
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/16Production of nozzles
    • B41J2/1621Manufacturing processes
    • B41J2/1626Manufacturing processes etching
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/16Production of nozzles
    • B41J2/1621Manufacturing processes
    • B41J2/1632Manufacturing processes machining
    • B41J2/1634Manufacturing processes machining laser machining
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/16Production of nozzles
    • B41J2/1621Manufacturing processes
    • B41J2/164Manufacturing processes thin film formation
    • B41J2/1645Manufacturing processes thin film formation thin film formation by spincoating

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッドの代表的な例として、液体を吐出口から小滴として吐出させ、紙に代表される被記録媒体に付着させ画像記録を行うインクジェット記録方式が知られている。
このようなインクジェット記録ヘッドの吐出口が開口している側の外面は、付着したインクをワイパーなどにより除去しやすくするため撥液処理が行われている。そのため撥液処理用の材料には、ゴムブレードなどによるワイピングに対する耐久性及びインクに対する耐性が求められる。
特許文献1には、撥液性基としてパーフルオロアルキル基を備えたシロキサン骨格を有する化合物によって吐出口が開口する外面に撥液処理が施されたインクジェット記録ヘッドが開示されている。
近年、インクジェット記録方式が様々な分野で使用されるようになり、用いられるインクの性状や使用方法は幅広いものになってきている。そのため、吐出の特性を改善するためにインクジェット記録ヘッドが加温機能を備えていたり、インクジェット記録ヘッドが長時間使用せずに放置されたりする場合もでてきている。すなわち、使用条件によっては、インクジェット記録ヘッドの吐出口形成部材の吐出口が開口している面の吐出口近傍で、インクの溶剤分の蒸発が促進される場合がある。その結果、吐出口面においては、付着したインクの粘度上昇や固形分の付着などが起こりやすくなり、インク吐出性能を低下させることとなる。つまり、印字特性を向上させるために吐出口が開口している面に撥液性を付与されたインクジェット記録ヘッドであっても、液体が蒸発してしまった場合にはその撥液効果が薄れてしまい、当該面に付着したインク成分の影響によって、吐出液滴がよれてしまうことが考えられ、それによって所望の記録画像が得られないことが懸念される。
米国特許出願公開第2007/0085877号明細書
本発明は上記を鑑みなされたものであって、吐出口面が乾燥しやすい場合であっても、吐出口面の付着物が除去されやすい吐出口面を有し、吐出性能が良好な液体吐出ヘッドを提供することを目的の1つとする。
本発明にかかる液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記部材の前記吐出口が開口している側の表面が、下記式(1)で表されるシラン化合物と下記式(2)で表されるシラン化合物とを含有するシラン組成物の縮合物であって、前記式(1)で表されるシラン化合物を1−40mol%、前記式(2)で表されるシラン化合物を0.5−20mol%の含有割合で含有するシラン組成物の縮合物によって形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッドである。
式(1)・・・R O−(R O) −Z−Si−(OR (R
(式(1)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、nは1以上30以下の整数であり、Zは2価の有機基であり、R 及びR はそれぞれ独立に飽和又は不飽和の炭化水素残基であり、R は、−CH −、−CH CH −、−CH CH CH −及び−CH CH(CH )−から選ばれるいずれかであり、R はH又はアルキル基を示す。)
式(2)・・・CF −(CF −Z−Si−(OR (R
(式(2)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、q=1、2又は3であり、rは0以上20以下の整数であり、Zは2価の有機基であり、R 及びR はそれぞれ独立に飽和若しくは不飽和の炭化水素残基又は水素原子である。)
本発明によれば、吐出口面が乾燥しやすい場合であっても、吐出口面の付着物が除去されやすい吐出口面を有し、吐出性能が良好な液体吐出ヘッドを提供することが可能となる。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドの一例を示す斜視図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例における状態を示す断面図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例における状態を示す断面図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの吐出口面の状態を示す模式図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
以下の説明では液体吐出ヘッドの一例としてインクジェット記録ヘッドを例に挙げて説明を行うが、液体吐出ヘッドはインクジェット記録ヘッドの他、カラーフィルターの製造等にも応用可能である。
図1は、インクジェット記録ヘッドの一例を示す斜視図である。このインクジェット記録ヘッドにおいて、エネルギー発生素子2を有する基板1上に吐出口形成部材5が設けられ、その吐出口形成部材5には複数の吐出口4及びインク流路7が形成されている。また、基板1にはインク供給口6が形成されており、インク供給口6と吐出口4がインク流路7により連通している。本発明は、吐出口形成部材5の吐出口面3に配置されている撥液層を形成する材料に関するものである。
前述のごとく、インクジェット記録ヘッドの撥液層として、フッ素含有の加水分解性シラン化合物とカチオン重合可能な基を有する加水分解性化合物の縮合物を含む硬化物を用いることが、特許文献1に開示されている。このような撥液層の構成によれば、その硬化物は加水分解性シランから形成される無機骨格(シロキサン骨格)と、カチオン重合可能な基の硬化による有機骨格(エポキシ基を用いた場合はエーテル結合)を併せ持ついわゆる有機−無機のハイブリット硬化物となる。このような撥液層は、ワイピングに対する耐久性、耐薬品性(耐インク性)に優れており、更に撥液層と吐出口形成部材を同時に硬化させる形態では、撥液層と吐出口形成部材はほぼ一体で形成されるために撥液層の下地に対する密着性も良好となる。
一般に、パーフルオロアルキル基に代表されるフッ素含有基を含む塗膜は、非常に低い表面自由エネルギーを有するために、空気中では高い撥液性を示す。その一方、フッ素含有基を含む塗膜は、水中はでほとんど防汚性を示さない。本発明者は、インクジェット記録ヘッドの吐出口形成部材の吐出口面における付着物等による汚染を防止し、高い印字品位を維持するために、撥液層の構成材料に親水基を用いることが非常に有効であることを見出した。インクジェット記録ヘッドの吐出口面は、水中ではなく常に空気に接しており、空気中での撥液性が求められる。しかし、インクの溶剤分が蒸発することにより、吐出口面においてインクの粘度が上昇し、インク由来の成分の付着などが起こりやすくなる場合がある。このとき、濃縮の起こっていないフレッシュなインク、水分、溶剤等が、吐出口面に供給されると、親水基の作用により、吐出口面に付着したインク由来の付着物を再溶解させ、吐出口面を清浄に保つのに効果的であることが分かった。
この本発明の作用原理について、図6を用いて説明する。図6は、吐出口面の状態を模式的に表したものである。通常、空気中に存在する吐出口面3では、表面自由エネルギーが低い状態となるように、パーフルオロアルキル基に代表される撥液基100が表面に配向しており、親水基101は縮まった形状となる(図6(a))。ところが、水中においては親水基101が広がる形となる(図6(b))。この親水基101の広がりによって、表面の付着物が除去されやすくなる。
実際に、インクジェット記録ヘッドの吐出口面では、以下に説明するような場合において、水や溶剤などの液体成分が供給され、吐出口面を湿潤にすることが可能である。一つ目は、さらなる印字の際に浮遊するインクミストが吐出口面に付着し、粘度上昇したインクに溶剤分(水分)が供給される場合である。二つ目は、ワイピングによって粘度上昇したインクに周囲から比較的フレッシュなインクが供給される場合である。なお、一般的なインクジェット記録ヘッドは、ゴムのブレード等を用いたワイピングによって吐出口面の余分なインクを除去する機能を有している。三つ目は、ウェットワイピングと呼ばれる手法であり、ワイピング時にゴムブレードに処理液を付着させ、インクを払拭する効率を上げる方法により、粘度上昇したインクに処理液が供給される場合である。本発明の効果は、インクや処理液等により吐出口面が湿潤となった場合に発現するものであり、このようなウェットワイピングの場合には、より高い効果を得ることが可能である。すなわち、本発明のインクジェット記録ヘッドは、吐出口形成部材の前記吐出口が開口している面を、液体が転写されたワイパーでワイピングするインクジェット記録装置に好適である。
更に、フッ素含有基及び親水基の両方を含有する撥液性塗膜を作製するにあたっては、フッ素含有基と親水基とが均一に存在することが重要であった。フッ素を含有する撥液材料に親水性の樹脂を添加した場合、親水性の領域と疎水性の領域とが分離し、ドメインを形成してしまうため、本来目的とした性能が発現しない。そこで、各々の基を有するモノマーを共重合する必要があった。一方、フッ素含有のモノマーとして広く使用されている、パーフルオロアルキル基をもつアクリレート・メタクリレート等では、エステル構造部分がインク耐性に欠けるため、材料の膨潤、剥がれなどといった不具合が生じる場合がある。本発明では、シラン化合物というモノマーを用いることによって、親水基を有するモノマーとフッ素含有モノマーとを均一に重縮合させることに成功した。
すなわち、本発明では、撥水性を発現するための疎水性のフッ素含有基(第1の基)を有する加水分解性シラン化合物(a)と、親水性の基(第2の基)を有する加水分解性シラン化合物(b)とを含有するシラン組成物の縮合物の硬化物により、撥液層を形成する。ここで、親水基とは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、ポリエーテル構造(エーテル基を2つ以上有する構造)を含む。なお、加水分解性シラン化合物の縮重合とは、その加水分解性基が加水分解され、更に脱水縮合することによって進行するものである。そのため、親水基は、加水分解性シラン化合物のシリコン原子に炭素原子を介して結合している基、すなわち非加水分解性の有機基上に存在する必要がある。したがって、親水基を有する加水分解性シラン化合物としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、及びポリエーテル構造のいずれかを含む非加水分解性の有機基を有する加水分解性シラン化合物(b)を原料として用いることになる。加水分解性シラン(b)は親水性の発現のためには、フッ素原子を含まないことが好ましいが、本発明の効果が得られるのに十分な親水性を発現するのであれば、フッ素原子を含んでもよい。
上記親水基の中でも、ヒドロキシル基又はポリエーテル構造が、その親水性及び反応性の観点から好ましい。具体的には、末端にヒドロキシル基を有する炭素数1から20のアルキル基又はポリエーテル構造が好適である。特に、ポリエチレングリコール残基又はポリプロピレングリコール残基が好適である。
末端にヒドロキシル基を有する炭素数1から20のアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシドデシル基等が挙げられる。また、2つ以上のヒドロキシル基をもつ化合物も、より高い親水性が得られるので好ましい。
加水分解性シラン化合物(b)としては、例えば、下記式(1)で表される化合物を用いることができる。
4O−(R3O)n−Z−Si−(OR2q(R1p ・・・(1)
ここで、式(1)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、nは1以上30以下の整数である。また、式(1)中、Zは2価の有機基であり、R1及びR2はそれぞれ独立に飽和又は不飽和の炭化水素残基であり、R3は、−CH2−,−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−である。また、R4はH又はアルキル基を示す。
インクジェット記録ヘッドにおける光重合性の材料としては、耐インク性の観点から、ラジカル重合よりもカチオン重合性のものが好ましい。したがって、窒素原子又は硫黄原子を含有する親水基も多数知られているが、これらはカチオン重合を阻害するため、本発明における親水基として使用することは困難である。
加水分解性シラン化合物(a)としては、下記式(2)で表されるフッ化アルキル基を有するアルコキシシランが好適に用いられる。
CF3−(CF2r−Z−Si−(OR2q(R1p ・・・(2)
ここで、式(2)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、q=1、2又は3であり、rは0以上20以下の整数である。また、式(2)中、Zは2価の有機基であり、R1及びR2はそれぞれ独立に飽和若しくは不飽和の炭化水素残基又は水素原子である。
式(2)におけるZの具体例としては、−C24−、−CH2CH2CH2−が挙げられる。式(2)におけるR1又はR2となる飽和若しくは不飽和の炭化水素残基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられる。
加水分解性シラン化合物(a)としては、撥液性の観点から、式(2)中のrが5以上のものが好ましく、溶解性の観点から、式(2)中のrが13以下のもの、更には11以下のものが好ましい。
加水分解性シラン化合物(a)の具体例としては、下記の化合物が挙げられるが、無論本発明は下記化合物に限定されるものではない。
CF3−C24−Si−(OR)3、C25−C24−Si−(OR)3、C49−C24−Si−(OR)3、C613−C24−Si−(OR)3、C817−C24−Si−(OR)3、C1021−C24−Si−(OR)3
ここで、3つのRはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。
更に、本発明では、加水分解性シラン化合物(a)、加水分解性シラン化合物(b)に加えて、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物(c)を併用することも有用である。この場合、シロキサン構造による無機骨格と、カチオン重合可能な基に由来する有機骨格を併せ持ついわゆる有機−無機のハイブリッド硬化物となり、塗膜の耐久性、耐インク性が飛躍的に向上することが分かった。
加水分解性シラン化合物(c)としては、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
5−Z−Si−(OR2q(R1p ・・・(3)
ここで、式(3)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3である。また、式(3)中、Zは2価の有機基であり、R1及びR2はそれぞれ独立に飽和又は不飽和の炭化水素残基であり、R5はカチオン重合可能な有機基である。
式(3)におけるZの具体例としては、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−が挙げられる。式(3)におけるR1又はR2となる飽和若しくは不飽和の炭化水素残基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられる。
式(3)におけるR5となるカチオン重合可能な有機基としては、エポキシ基、オキセタン基等に代表される環状エーテル基や、ビニルエーテル基等を有する基が挙げられるが、入手の容易性、反応制御の容易性などを考慮するとエポキシ基を有する基が好ましい。エポキシ基を有する基としては、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基が挙げられる。
加水分解性シラン化合物(c)の具体例としては、次の化合物が挙げられるが、無論本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン。
更に、本発明では、加水分解性シラン化合物(a)、加水分解性シラン化合物(b)及び必要に応じて用いる加水分解性シラン化合物(c)に加えて、置換又は未置換のアルキル又はアリール基を有する加水分解性シラン化合物(d)を併用することも好適である。加水分解性シラン化合物(d)は、撥液層の物性を制御するのに使用される。加水分解性シラン化合物(d)としては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(R4r−Si−(OR2s ・・・(4)
ここで、式(4)中、r+sは4であり、rは0、1、2又は3であり、sは1、2、3又は4である。また、式(4)中、R2は、それぞれ独立に飽和又は不飽和の炭化水素残基であり、R4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアルキル基又はアリール基である。
式(4)におけるR2となる飽和若しくは不飽和の炭化水素残基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられる。式(4)におけるR4となるアルキル基又はアリール基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基が挙げられる。
加水分解性シラン化合物(d)の具体例としては、次の化合物が挙げられるが、無論本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン。
これら加水分解性シラン化合物の配合比は、その使用形態に応じて適宜決められる。シラン組成物に含まれる加水分解性シラン化合物(b)の割合は、1−40mol%であることが好ましく、3−25mol%であることがより好ましい。また、シラン組成物に含まれる加水分解性シラン化合物(a)の割合は、0.5−20mol%であることが好ましく、1−15mol%であることがより好ましい。加水分解性シラン化合物(b)が多すぎる場合は十分な撥液性が得られない場合があり、加水分解性シラン化合物(a)が多すぎる場合は均一な撥液層が得られない場合がある。加水分解性シラン化合物(b)とフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物(a)との配合比(モル比)は、0.2〜5:1の範囲であることが好ましい。また、シラン組成物に含まれる加水分解性シラン化合物(c)の割合は、20−80mol%であることが好ましく、特に30−70mol%が好適である。
本発明に係るコーティング組成物は、加水分解性シラン化合物(a)、加水分解性シラン化合物(b)、並びに必要に応じて用いる加水分解性シラン化合物(c)及び加水分解性シラン化合物(d)の縮合物と、必要に応じてカチオン重合開始剤とを含む。この縮合物は、加水分解性シラン化合物を水の存在下で加水分解・重縮合反応をさせることで調製される。
本発明に係るコーティング層は、上記のコーティング組成物を被処理面に塗布し、光又は熱により硬化させることにより形成される。塗布にあたっては、溶媒を用いることができる。特に、本発明に係るインクジェット記録ヘッドの撥液層は、上記コーティング組成物で形成したコーティング層を吐出口形成部材上に形成し、硬化することで形成される。
この重縮合反応の進行度合いは、縮合度という指標で表すことが可能である。縮合度とは、縮合可能な官能基(アルコキシ基、シラノール基等)の総数に対する縮合した官能基数(Si−O−Siというシロキサン結合の形成に関与した官能基数)の割合で定義することができる。実際には、縮合度を29Si−NMR測定によって見積もることができ、例えば3官能のシラン化合物の場合、以下の式によって算出することができる。なお、2官能又は4官能のシラン化合物の場合も、類似の式によって算出可能である。
T0:他のシラン分子とは結合していないSi原子の比率(%)
T1:1つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子の比率(%)
T2:2つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子の比率(%)
T3:3つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子の比率(%)
Figure 0005693105
縮合度は、加水分解性シラン化合物の種類、合成条件によって異なるが、低すぎる場合には被覆樹脂との相溶性、塗布性、被膜性に劣る場合がある。そのため、縮合度は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。加水分解縮合反応を温度、PHなどで適宜制御することで、所望の縮合度の縮合物を調製可能である。また、反応に際して、酸、アルカリ又は金属アルコキシドなどを触媒として利用し、縮合度を制御することも可能である。金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、ジルコニアアルコキシドが挙げられる。また、それらの錯体(アセチルアセトン錯体など)も触媒として使用できる。
カチオン重合開始剤としては、オニウム塩、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物から選択される構造を有する光カチオン重合開始剤が挙げられる。感度、安定性、反応性の面からは、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩が好ましい。
次いで、本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。図2は、本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を示す概念図であり、図1におけるII−II断面図に相当する。
まず、樹脂やSUS板などで形成されたノズル板12上に撥液層11を形成した吐出口形成部材を準備する(図2(a))。具体的には、ノズル板上に、前述のコーティング組成物をディッピング、スピンコーティング、スプレイコーティング等により塗布し、加熱処理又は光照射により硬化することで、撥液層を形成する。撥液層の厚さは、その使用形態により適宜決定されるが、およそ0.1〜2μmの範囲が好ましい。
次いで、撥液層が形成された吐出口形成部材に、エキシマレーザー加工、パルスレーザー加工、放電加工などの手法により、インク吐出口4を形成する(図2(b))。無論、撥液層の硬化は、インク吐出口の形成後に行っても構わない。更に、インク吐出口の加工に際して、撥液層上に保護膜などを適宜配置しても構わない。この手法は、ノズル板と撥液層が一括で加工できるため、インク吐出口内への撥液材料の入り込みなどが発生せず、好ましい形態である。
次いで、インク吐出圧力発生素子2及び流路部材13が形成された基板1を用意し(図2(c))、インク吐出口4を形成した吐出口形成部材と、必要に応じて接着剤層15を介して接着することで、インクジェット記録ヘッドを完成させる(図2(d))。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一例として、図3に、ノズル板を光重合性樹脂で形成する場合を示す。図3は、図1におけるIII−III断面図に相当する。
まず、支持体16上にノズル板12を設け、その上に撥液層11を形成する(図3(a))。このノズル板12及び撥液層11が、吐出口形成部材となる。具体的には、前述のコーティング組成物を、ディッピング、スピンコーティング、スプレイコーティング等により塗布し、ノズル板12と撥液層11に対してパターンマスク17を介して光を照射する(パターン露光する)ことで硬化させる(図3(b))。その後、ノズル板12及び撥液層11の未硬化部分を現像処理を施すことで除去することで、吐出口4を形成する(図3(c))。そして、吐出口形成部材を支持体より剥離した後(図3(d))、図2で示した方法と同様にして、インクジェット記録ヘッドを完成させる。
次いで、以下の工程を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法に、本発明を適用した場合について、図4〜図5を用いて説明する。
・インク吐出圧力発生素子が形成された基体上に、溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する工程。
・前記インク流路パターン上に、インク流路壁となる重合可能な被覆樹脂からなる被覆樹脂層を形成する工程。
・前記被覆樹脂層上に撥液層を形成する工程。
・前記インク吐出圧力発生素子上方の前記被覆樹脂層及び前記撥液層に、吐出口を形成する工程。
・前記インク流路パターンを溶出する工程、
まず、インク吐出圧力発生素子2が形成された基板1を準備する(図4(a):斜視図、図4(b):図4(a)のIVB−IVB断面図)。次いで、この基板上に、溶解可能な樹脂にてインク流路パターン21を形成する(図4(c))。このインク流路パターン21を形成する材料としては、ポジ型レジストが好適であり、特に後工程でノズル材料を積層時に型崩れがおきないように、分子量が比較的高い光分解型のポジレジストが好適に用いられる。
次いで、溶解可能な樹脂で形成したインク流路パターン21上に、被覆樹脂層22を形成する(図4(d))。更に、被覆樹脂層22上に撥液層11を形成する(図4(e))。被覆樹脂層は、光又は熱エネルギーの付与で重合が開始される材料で形成され、その材料としては光カチオン重合性の材料が好適に用いられる。この場合、被覆樹脂層22を形成する材料には、カチオン重合開始剤が必須成分として含まれる。一方、撥液層は、前述のコーティング組成物で形成される。前述のとおり、撥液層を形成するコーティング組成物には、必ずしもカチオン重合開始剤が含まれている必要はなく、被覆樹脂層を硬化する際に発生する酸で、反応、硬化させても構わない。被覆樹脂層及び撥液層は、スピンコーティング、ダイレクトコーティング、スリットコーティング等で形成可能である。特に、撥液層の形成には、スリットコーティングが好適である。
次いで、マスク24を介してパターン露光を行い(図4(f))、現像処理を施して吐出口4を形成する(図5(g))。
ここで、パターン露光に使用するマスクパターン及び露光条件を適宜設定することで、吐出口以外の部分において撥液層のみを部分的に除去することができる。即ち、限界解像度以下のマスクパターンを有するマスク31を介してパターン露光を行い(図5(h))、現像処理を施すことで、部分的に撥液層のみを除去することができる(図5(i))。なお、ここで言う限界解像度とは、被覆樹脂層が基板まで現像されないパターンを言う。本発明に係る撥液層は、前述のごとく高い撥液性を有しており、ワイピング動作を行うと記録液滴が転がるように除去されるために、除去されるべき記録液滴が吐出口に引き込まれて不吐出となる場合がある。この現象を防止するために、吐出口形成部材の吐出口が開口している面に撥液領域33と非撥液領域32を設ける。本発明においては、前述のごとく部分的に撥液層が存在しないパターンを容易に形成でき、インク不吐出を防止することができる。
次いで、必要に応じて基板にインク供給口6を形成し(図5(j))、インク流路パターン21を溶出させる(図5(k))。最後に必要に応じて、加熱処理により被覆樹脂層22及び撥液層11を形成する材料を完全に硬化させることで、吐出口部材5を得て、インクジェット記録ヘッドを完成させる。
なお、上記模式図においては、被覆樹脂層22に光カチオン重合性の材料を用いた場合について記述したが、被覆樹脂層22として熱硬化性のカチオン重合材料を用いることもできる。この場合は、撥液層を形成した後に、パターン露光に代えて、エキシマレーザーを用いて被覆樹脂層と撥液層をアブレーションで除去し、吐出口を形成することができる。
(合成例1)
以下の成分をフラスコに入れ室温で攪拌した後、24時間加熱還流を行うことで、加水分解性縮合物を得た。
・γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 28g(0.1mol)
・メチルトリエトキシシラン 14g(0.08mol)
・トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン
(FTS−5) 6.6g(0.013mol)
・化合物1 11g(0.01mol)
・水 17.3g
・エタノール 37g
得られた加水分解性縮合物を、2−ブタノール/エタノールを用いて固形分7wt%となるように希釈して、撥液層を形成する組成物1を得た。
更に、得られた組成物100gの組成液1に対して、光カチオン重合開始剤として芳香族スルフォニウムヘキサフルオルアンチモネート塩(商品名:SP−172、株式会社ADEKA製)0.2gを加えて、撥液層を形成する組成物2を得た。
表1にシロキサン化合物の合成に利用したシラン化合物の組成比を示す。なお、表中の「フッ素含有基」はフッ素含有基を有するシラン、「カチオン重合性基」はカチオン重合性基を有するシラン、「親水性基」は親水性基を有するシランの略称である。
(合成例2〜5、比較合成例1)
シラン化合物を表1に示した組成比で用いたこと以外は、合成例1と同じ条件で、撥液層を形成する組成物2を得た。
Figure 0005693105
(比較合成例2)
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)アクリレート24g、ヒドロキシエチルメタクリレート16g及びイソプロパノール360gをフラスコに入れ、容器内の空気を窒素で十分に置換した。その後、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBNと呼ぶ)0.1gを入れ、60℃に昇温した。更に70℃まで昇温し、30分後及び1時間後にAIBNを0.01gずつ加え、更に6時間反応させた。得られた重合物をn−ヘキサンで再沈することで、白色粉末30gを得た。
(実施例1)
シリコンウエハ上に合成例1で得られた組成物2をスピンコートにより塗布した後、90℃で1分加熱して、塗布溶媒を乾燥させた。次いで、UV照射装置を用いて露光を行い、更に90℃で4分加熱して光カチオン重合により組成物を硬化させた。更に、オーブンを用いて200℃で1時間加熱することで硬化反応を終了させて、撥液層を形成した。
(実施例2〜5、比較例1)
合成例1で得られた組成物2に代えて、合成例2〜5及び比較合成例1で得られた組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、撥液層を形成した。
(比較例2)
比較合成例1で得られた粉末10gに、シクロヘキサノン40gを加え、更に、重合開始剤としてのIRGACURE907(チバ・ジャパン株式会社製)を0.5g添加して、レジスト溶液を得た。このレジスト溶液を、シリコンウエハ上にスピンコートにより塗布した後、70℃で1分加熱して、塗布溶媒を乾燥させた。次いで、UV照射装置を用いて露光を行い、更に90℃で4分加熱して光カチオン重合により組成物を硬化させた。更に、オーブンを用いて200℃で1時間加熱することで硬化反応を終了させて、撥液層を形成した。
(評価方法)
撥液性の評価として、形成した撥液層の水に対する静的接触角を接触角計を用いて測定した(初期接触角)。
更に、インクによる汚染を模擬的に再現するため、キヤノン製染料インク(商品名:BCI−7C)を撥液層上に載せ、温度60℃、湿度90%の恒温恒湿器で1週間保管して、インクの水分を蒸発させた。更に、その上にもう一度前記インクを載せ、ウレタンゴムのブレードでワイプした後の水に対する静的接触角を接触角計を用いて測定した(乾燥試験後接触角)。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0005693105
上記結果より、本発明に係る撥液層は、インク等の成分が固着しやすい状況(乾燥試験後)においても、水分の存在下で高い防汚性を示し、撥液性が保持されていることが確認された。
(実施例6)
本実施例では、前述の図4及び図5に示す手順に従って、インクジェット記録ヘッドを作製した。
まず、インク吐出圧力発生素子としての電気熱変換素子を形成したシリコン基板上に、溶解可能な樹脂層としてポリメチルイソプロペニルケトン(東京応化工業(株)社製、商品名:ODUR−1010)をスピンコートで塗布、成膜した。次いで、120℃にて6分間プリベークした後、ウシオ電機製マスクアライナー(商品名:UX3000)にてインク流路のパターン露光を行った。その後、メチルイソブチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合溶媒を用いて現像した。現像後の溶解可能な樹脂層の膜厚は、16μmであった。なお、ポリメチルイソプロペニルケトンは、UV照射により分解し有機溶剤に対して可溶となる、所謂ポジ型レジストである。したがって、溶解可能な樹脂で形成されたパターン21は、パターン露光の際に露光されていない部分で形成され、インク流路を確保するためのものとなる(図4(c))。
次いで、表3に示す組成の光カチオン重合性樹脂組成物をメチルイソブチルケトン/キシレン混合溶媒に55wt%の濃度で溶解した。この溶液を、溶解可能な樹脂層で形成されたインク流路パターン21上にスピンコートし、90℃にて3分間プリベークして、被覆樹脂層22を形成した(図4(d))。インク流路パターン上における被覆樹脂層の膜厚は、25μmであった。
Figure 0005693105
次いでダイレクトコートにより、合成例1で得られた組成物1を被覆樹脂層22上に塗布を行った。次いで、90℃にて1分プリベークを行うことで、0.5μmの膜厚で撥液層11を形成した(図4(e))。
次いで、キヤノン製マスクアライナー(商品名:MPA600 super)を用いて、インク吐出口4のパターン露光を行った(図4(f))。次いで、90℃で4分間加熱し、メチルイソブチルケトン(MIBK)/キシレン=2/3で現像し、イソプロピルアルコールでリンスを行って、吐出口パターンを形成した。ここで、露光された部分の撥液層が被覆樹脂層中の光カチオン重合開始剤によって硬化され、吐出口パターンが得られる。その吐出口パターンは、被覆樹脂層と一体で形成されるため、パターンエッジ形状はシャープなものとなった(図5(g))。
次いで、基板裏面にインク供給口6を形成するためのマスクを適宜配置し、シリコン基板の異方性エッチングにてインク供給口6を形成する(図5(j))。シリコンの異方性エッチング中は、ノズル形成した基板表面は、ゴム系の保護膜で保護される。
異方性エッチングが終了後、ゴム系保護膜を除去し、更に、ウシオ電機製マスクアライナー(商品名:UX3000)にて全面にUV照射を行い、インク流路パターンを形成している溶解可能な樹脂層を分解させた。次いで、基板に超音波を付与しつつ、乳酸メチル中に1時間浸漬し、インク流路パターン21を溶出させた。次いで、被覆樹脂層及び撥液層を完全に硬化させるため、200℃にて1時間加熱処理を施して吐出口部材5を得た。(図5(k))。
最後に、インク供給口6にインク供給部材(不図示)を接着してインクジェット記録ヘッドを完成させた。
こうして得られたインクジェット記録ヘッドに、キヤノン製インク(商品名:BCI−7C)を充填し、印字を行ったところ、得られた画像は高品位なものであった。
更に、このインクジェット記録ヘッドの吐出口形成部材の吐出口が開口している面にインクが付着した状態で、温度60℃、湿度90%の恒温恒湿器で1週間保管し、インクの水分を蒸発させた。その後、更に印字動作を行い、ウレタンゴムのブレードでのワイピング動作を繰り返した。このワイピング動作後に、再び印字を行ったところ、試験開始時と同様な高品位な印字物を得ることができた。
上記結果より、本発明に係る撥液層を有する吐出口形成部材5の吐出口が開口している面3は、防汚性に優れていることが確認された。
1 基板
2 エネルギー発生素子
3 吐出口面
4 吐出口
5 吐出口形成部材
6 インク供給口
7 インク流路

Claims (9)

  1. 液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記部材の前記吐出口が開口している側の表面が、下記式(1)で表されるシラン化合物と下記式(2)で表されるシラン化合物とを含有するシラン組成物の縮合物であって、前記式(1)で表されるシラン化合物を1−40mol%、前記式(2)で表されるシラン化合物を0.5−20mol%の含有割合で含有するシラン組成物の縮合物によって形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
    式(1)・・・R O−(R O) −Z−Si−(OR (R
    (式(1)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、nは1以上30以下の整数であり、Zは2価の有機基であり、R 及びR はそれぞれ独立に飽和又は不飽和の炭化水素残基であり、R は、−CH −、−CH CH −、−CH CH CH −及び−CH CH(CH )−から選ばれるいずれかであり、R はH又はアルキル基を示す。)
    式(2)・・・CF −(CF −Z−Si−(OR (R
    (式(2)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、q=1、2又は3であり、rは0以上20以下の整数であり、Zは2価の有機基であり、R 及びR はそれぞれ独立に飽和若しくは不飽和の炭化水素残基又は水素原子である。)
  2. 前記式(1)で表されるシラン化合物が、ヒドロキシル基及びポリエーテル構造の少なくとも1つを有する請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記式(1)で表されるシラン化合物が、ポリエチレングリコール残基又はポリプロピレングリコール残基を有する請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. rが5以上かつ13以下の整数である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記シラン組成物が、カチオン重合可能な基を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記シラン組成物の縮合物が、前記式(1)で表されるシラン化合物と前記式(2)で表されるシラン化合物と下記式(3)で表されるシラン化合物とを含有するシラン組成物の縮合物である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
    式(3)・・・−Z−Si−(OR (R
    式(3)中、p+qは3であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、Zは2価の有機基であり、R及びRはそれぞれ独立に飽和又は不飽和の炭化水素残基であり、Rはカチオン重合可能な有機基である。
  7. 前記シラン組成物の縮合物が、前記式(1)で表されるシラン化合物を3−25mol%の含有割合で含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記シラン組成物の縮合物が、前記式(2)で表されるシラン化合物を1−15mol%の含有割合で含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記シラン組成物の縮合物が、モル比で、前記式(2)で表されるシラン化合物1に対して前記式(1)で表されるシラン化合物を0.2〜5含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
JP2010196546A 2009-09-02 2010-09-02 液体吐出ヘッド Active JP5693105B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010196546A JP5693105B2 (ja) 2009-09-02 2010-09-02 液体吐出ヘッド

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009202532 2009-09-02
JP2009202532 2009-09-02
JP2010196546A JP5693105B2 (ja) 2009-09-02 2010-09-02 液体吐出ヘッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011073442A JP2011073442A (ja) 2011-04-14
JP5693105B2 true JP5693105B2 (ja) 2015-04-01

Family

ID=43624243

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010196546A Active JP5693105B2 (ja) 2009-09-02 2010-09-02 液体吐出ヘッド

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9050806B2 (ja)
JP (1) JP5693105B2 (ja)
KR (1) KR101313974B1 (ja)
CN (1) CN102001225B (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5828702B2 (ja) * 2011-07-26 2015-12-09 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法
JP5591361B2 (ja) 2012-04-18 2014-09-17 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッド
JP6053580B2 (ja) * 2013-03-13 2016-12-27 キヤノン株式会社 微細パターン表面の撥水処理方法
JP6066786B2 (ja) * 2013-03-14 2017-01-25 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド、記録装置、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板、および液体吐出ヘッド用基板の製造方法
JP6207212B2 (ja) * 2013-04-23 2017-10-04 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法
US9321269B1 (en) * 2014-12-22 2016-04-26 Stmicroelectronics S.R.L. Method for the surface treatment of a semiconductor substrate
JP6632225B2 (ja) * 2015-06-05 2020-01-22 キヤノン株式会社 吐出口面の撥水処理方法
US9873252B2 (en) 2015-12-25 2018-01-23 Ricoh Company, Ltd. Printing device and printing method

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57209295A (en) * 1981-06-17 1982-12-22 Shin Etsu Chem Co Ltd Preparation of sorbitan-modified silicone compound
US5041588A (en) * 1989-07-03 1991-08-20 Dow Corning Corporation Chemically reactive fluorinated organosilicon compounds and their polymers
JPH0757546B2 (ja) * 1992-05-18 1995-06-21 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッドの製造方法
GB9417445D0 (en) * 1994-08-30 1994-10-19 Xaar Ltd Coating, coating composition and method of forming coating
US7268179B2 (en) * 1997-02-03 2007-09-11 Cytonix Corporation Hydrophobic coating compositions, articles coated with said compositions, and processes for manufacturing same
JPH11293031A (ja) * 1998-04-08 1999-10-26 Sekisui Chem Co Ltd 防汚性被膜及びその形成方法
FR2781491B1 (fr) * 1998-07-21 2002-12-20 Rhodia Chimie Sa Utilisation d'une composition silicone fonctionnalisee pour la realisation de revetement et/ou d'impregnation hydrophobe et/ou oleophobe, a faible energie de surface
US6302523B1 (en) * 1999-07-19 2001-10-16 Xerox Corporation Ink jet printheads
US6364456B1 (en) * 1999-12-22 2002-04-02 Eastman Kodak Company Replenishable coating for printhead nozzle plate
JP2003129039A (ja) * 2001-10-29 2003-05-08 Sii Printek Inc 撥水膜及び撥水膜の製造方法並びにノズルプレート
EP2163389B1 (en) * 2003-07-22 2012-07-04 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet head and its manufacture method
JP4248347B2 (ja) * 2003-09-03 2009-04-02 富士フイルム株式会社 皮膜形成用組成物、反射防止膜、偏光板、画像表示装置及び防汚性コーティング組成物及び防汚性物品
JP4424954B2 (ja) * 2003-09-24 2010-03-03 富士フイルム株式会社 インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
JP4377186B2 (ja) * 2003-09-24 2009-12-02 富士フイルム株式会社 インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装置
JP4496805B2 (ja) * 2004-03-02 2010-07-07 セイコーエプソン株式会社 成膜方法および膜
US7196136B2 (en) * 2004-04-29 2007-03-27 Hewlett-Packard Development Company, L.P. UV curable coating composition
DE102004049427A1 (de) * 2004-10-08 2006-04-13 Degussa Ag Polyetherfunktionelle Siloxane, polyethersiloxanhaltige Zusammensetzungen, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung
JP4349273B2 (ja) * 2004-12-17 2009-10-21 セイコーエプソン株式会社 成膜方法、液体供給ヘッドおよび液体供給装置
KR100880753B1 (ko) * 2006-01-20 2009-02-02 캐논 가부시끼가이샤 잉크 제트 헤드 및 그의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
CN102001225B (zh) 2014-05-21
CN102001225A (zh) 2011-04-06
US9050806B2 (en) 2015-06-09
KR20110025089A (ko) 2011-03-09
JP2011073442A (ja) 2011-04-14
US20110050785A1 (en) 2011-03-03
KR101313974B1 (ko) 2013-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4424750B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP5693105B2 (ja) 液体吐出ヘッド
JP4424751B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
EP2838731B1 (en) Ink jet recording head and manufacturing method therefor
JP6207212B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP4921537B2 (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP2016150522A (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP5207945B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP6289357B2 (ja) フッ素化オルガノシロキサン網目構造組成物
JP5859070B2 (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP6961470B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
KR100880753B1 (ko) 잉크 제트 헤드 및 그의 제조 방법
JP7071223B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、及び記録方法
JP2015136823A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法
EP2272673B1 (en) Ink jet head and its manufacture method
KR100880752B1 (ko) 잉크 제트 헤드 및 그의 제조 방법
JP2006159764A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140410

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140430

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150203

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5693105

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151