JP4921537B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッドの中のノズルの表面における撥液加工である。
最近、インクジェット記録システムにおける記録特性をより進歩させるために、より小さな液滴、より高い駆動頻度およびより多数のノズルという性能の向上を目指す技術開発が続いている。画像記録は、液体を、代表的に紙である記録媒体に付着する小さな液滴として、射出開口部から射出することによって実行される。
当分野では、射出開口部表面(吐出口は開口する表面)をいつも同じ状態に保って射出性能を維持するために、表面処理の重要性が増しつつある。
さらに、インクジェットヘッドにおける射出開口部表面の状態を維持するために、表面に残ったインクを、例えばゴムブレードによって定期的に拭き取るのが普通である。簡単な拭き取りおよび拭き取り耐久性のために、撥液材料が求められている。
多くの場合、インクジェットヘッドに用いられるインクは中性でないので、撥液材料がインクに対する耐久性を有すること、ノズルに対する接着強さを有することも必要である。
さらに、近年、高品質画像を得るために、ノズルには精密なノズル構造が必要なので、撥液材料がフォトリソグラフィーによるパターン形成に対応する感光特性を有することも必要である。
本発明は、ノズルの表面における撥液加工に、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物を利用する。
以下の公式報告は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物を用いる従来の例として掲げる。
特開平06−171094号および特開平06−210857号公報は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物を用いて前もって酸化物粒子層を形成したノズル表面に、いわゆるシランカップリング加工を実施する方法を示している。
しかし、上記の方法では、十分な拭き取り耐久性は得られない。さらに、上記のシステムで撥液材料に感光特性を付与することは難しい。
米国特許第5,910,372号、欧州特許第778869号および特表平10−505870号公報は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物および基板と反応する置換基を有するシラン化合物を含む縮合組成物からなるコーティングおよびインクジェットノズルへの利用の可能性を示している。基質と反応する置換基としてアミノ基、カルボキシル基などが挙げられている。
上記組成物では、撥液層の架橋は、加水分解および縮合によるシロキサンネットワークの形成を意味する。
一般に、架橋したシロキサンネットワークは、インクジェット記録システムで用いられるインクの影響を、特にインクが中性水溶液でないときに受ける。シロキサンネットワークは再び加水分解し、液体撥水性は低下する。さらに、上記組成物の感光特性には言及していない。
米国特許第6,283,578号、欧州特許第816094号明細書は、光ラジカル重合性基を有するシラン化合物による、撥液性のための表面処理を開示している。この組成物では、撥液層の架橋は、シロキサンネットワークの形成および光ラジカル重合を意味する。光ラジカル重合は感光特性対応する。撥液性は、シロキサンネットワークそれ自体から導かれる。
さらに、上記明細書は、高い撥液性が必要なとき、上記シロキサン構造の上の第二の層として、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物のコーティングを参照している。
しかし、上記二層構成では、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物層それ自体には感光特性がまったくないので、感光特性を付与できない。
応用物理学会誌欧文誌(Japanese Journal of Applied Physics)第41巻(2002年)3896〜3901頁は、アルカリ性インク中で優れた耐久性を示す撥液層として、特定のアリールシランと、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物との縮合生成物を開示している。しかし、この上記組成物では、感光特性の追加は難しい。
さらに、本出願人は、高品質IJ記録方法として、特開平04−10940号から特開平04−10942号公報に示した方法を提案した。
さらに、本出願人は、特開平04−10940号から特開平04−10942号公報に示した上記IJ記録方法のための最適なIJヘッドの製造法として、特開平06−286149号に示した方法を提案した。
上記方法は、ノズル部分のために感光材料を用い、フォトリソグラフィー技術によって精密なノズル構造を実現する。
上記の従来の例でここに示した撥液材料は、感光特性をもたせることが難しく、フォトリソグラフィー技術を用いるノズル作製への利用は困難であった。
一方、本出願人は、上記特開平06−286149号に適用できる感光特性を有する撥液材料として、特開平H11−322896号、特開平11−335440号、特開2000−322896号公報に公表した材料を提案した。
上記の撥液材料は、感光特性、高い撥液性およびノズル材料との凝着力等に関して優れているが、より高品質の画像をより高速に出力する必要があるので、さらに高い撥液性、拭き取りに対する耐久性(高い撥液性を維持する)および拭き取りの容易さが必要である。
米国特許第5、644、014号、欧州特許第587667号および日本特許第3306442号は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物を用いる撥液材料を示している。
上記材料は、光ラジカル重合を用いる光硬化性を示しているが、フォトリソグラフィー技術を用いるパターンの作製にもインクジェットヘッドへの利用にも言及していない。
特開平06−171094号公報 特開平06−210857号公報 米国特許第5,910,372号明細書 欧州特許第778869号明細書 特表平10−505870号公報 米国特許第6,283,578号明細書 欧州特許第816094号明細書 特開平04−10940号公報 特開平04−10942号公報 特開平06−286149号公報 特開平H11−322896号公報 特開平11−335440号公報 特開2000−322896号公報 米国特許第5、644、014号明細書 欧州特許第587667号明細書 日本特許第3306442号明細書
応用物理学会誌欧文誌(Japanese Journal of Applied Physics)第41巻(2002年)3896〜3901頁
本発明は、上記の多数の点を考慮してなされ、高い撥液性、拭き取りに対する高い耐久性(高い撥液性を維持する)、拭き取りの容易さおよびノズル材料への高い接着力を同時に提供するために、および高品質画像記録を実現するインクジェットヘッドの撥液材料を提供するために実行される。
さらに、本発明は、上記撥液材に感光特性を付与し、高品質画像記録のためのインクジェットヘッドの製造方法を提供するものである。
上記目的を達成するように設計された本発明にかかるインクジェットヘッドは、
液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有するインクジェットヘッドであって、
前記部材の前記吐出口が開口している側の表面が、
(a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つと、
からつくられる縮合生成物が硬化反応したものである、インクジェットヘッドである。
本発明にかかるインクジェットヘッドの製造方法は、
液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
光カチオン重合性樹脂の層と、
(a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、(b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、(c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つとからつくられる縮合生成物を含む組成物の層と、
がこの順に積層された基板を提供する工程と、
前記光カチオン重合性樹脂の層と前記組成物の層とを露光し、露光が行われた部分を硬化させる工程と、
露光が行われなかった部分を除去して前記吐出口を形成する工程と、
を有するインクジェットヘッドの製造方法である。
本発明にかかるインクジェットヘッドの他の製造方法は、
液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有し、該部材の前記吐出口が開口している側の表面が撥液特性を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
光カチオン重合性樹脂の層と、
(a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、(b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、(c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つと、からつくられる縮合生成物を含む組成物の層と、
がこの順に積層された基板を提供する工程と、
前記光カチオン重合性樹脂の層と前記組成物の層とを露光し、露光が行われた部分を硬化させて前記表面を得る工程と、
露光が行われなかった部分を除去して前記吐出口を形成する工程と、
を有するインクジェットヘッドの製造方法である。
本発明にかかるインクジェットヘッドのための撥液材料は、
(a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つと、
からつくられる縮合生成物を含む、インクジェットヘッドのための撥液材料である。
本発明によれば、上記の多数の点を考慮してなされ、高い撥液性、拭き取りに対する高い耐久性(高い撥液性を維持する)、拭き取りの容易さおよびノズル材料への高い接着力を同時に提供するために、および高品質画像記録を実現するインクジェットヘッドの撥液材料を提供することができる。
さらに、本発明によれば、上記撥液材に感光特性を付与し、高品質画像記録のためのインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
1A〜1Dは、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法の例を示す図である。 2A〜2Dは、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法の別の例を示す図である。 3A〜3Dは、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法のさらに別の例を示す図である。 3E〜3Gは、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法のさらに別の例を示す図である。 3Hから3Kは、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法のさらに別の例を示す図である。
本発明を、詳しく説明する。上記のように、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物をインクジェットヘッドの撥液層に用いることは公知である。
しかし、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物を、加水分解反応によってノズル表面と反応させ、ほぼ単分子層の撥液層を作製すると、ノズル表面を清浄にするための拭き取り操作で撥液層は剥離し、ノズル表面の撥液性能を維持できない。一般に、撥液層は、中性でない記録液と常に接触するので、撥液性は加水分解反応のせいで劣化する。その上、高精度ノズル構造を作製するために感光特性を付与するのが難しかった。本発明者らは鋭意検討の結果、上記課題は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物とカチオン重合性基を有する加水分解化合物との縮合生成物で撥液層を作製することによって解決できることを見いだした。
本発明の撥液層の構成によると、硬化した材料は、前記加水分解性シランから生成するシロキサン骨格(無機骨格)と、前記カチオン重合性基を硬化させることによる骨格(有機骨格、エポキシ基を用いるときはエーテル結合)とを有する。これによって、硬化した材料は、いわゆる有機−無機ハイブリッド硬化物材料となり、拭き取りおよびその記録液に対する耐久性は飛躍的に改善される。すなわち、本発明の撥液層は有機骨格を有するので、シロキサン骨格だけによって作製した撥液層と比べてその膜としての強さは改善すると考えられる。
さらに、有機骨格は、カチオン重合(一般にエーテル結合形成)によって生成するので、撥液層の骨格は記録液が中性でなくても加水分解し難い。従って、非常に優れた記録液抵抗性が得られる。ここで、有機骨格がラジカル重合によって生成するとき、メタクリルオキシ基で代表される多くのラジカル重合性基は、加水分解に対してむしろ弱いエステル結合を含み、記録液抵抗性の点で望ましくないことがある。本発明では、カチオン重合による有機骨格とシロキサン骨格とで形成された撥液層は、シロキサン骨格の再加水分解も減らし、記録液抵抗性の驚くべき改善に貢献する。
さらに、本発明によれば、撥液層が硬化するときにカチオン重合によってシロキサン骨格および有機骨格が生成することは、ノズル表面との化学結合の形成およびノズル表面への接着性の改善にも貢献する。特に、カチオン重合性ノズル層の上に撥液層を作製した後、撥液層およびノズル層を同時に硬化することは、特に接着性質の視点から望ましい。さらに、本発明の撥液層では、撥液層の中にカチオン光重合開始剤を含ませることで、光照射によって酸を発生させ、カチオン重合性基の重合によって撥液層を硬化させることを可能にする。普通、加水分解性シラン化合物の硬化(加水分解および縮合反応)は熱によって実行されるが、加水分解反応は酸の存在によって促進され、強固な骨格を作製することができる。さらに、上記実施態様では、撥液層に感光性を付与することが可能であり、精密なノズル構造を作製することができる。さらに、カチオン重合性ノズル層の上に撥液層を作製した後、撥液層およびノズル層を同時に硬化させる実施態様では、当然のことであるが撥液層とノズル層との両方にカチオン光重合開始剤を含ませれば、両方の層を硬化させることができる。本発明者らは、カチオン光重合開始剤を撥液層には含まないが、ノズル層だけには含む驚くべき実施態様においても、カチオン重合によって撥液層を硬化できることを見いだした。この現象は、光照射によってノズル層のカチオン光重合開始剤から発生した酸が撥液層に拡散して行くことができ、撥液層も硬化できるためと考えられる。上記実施態様の利点として、撥液層の硬化はノズル層が硬化する部分だけで起こるので、ノズルパターン形成の条件は撥液層に依存しない。すなわち、撥液層とノズル層との間の感光性の差異を考慮しなくてよい。一般に、二つ以上の感光性樹脂層の感光性の性質を完全に適合させることは難しい。
次に、本発明に用いられる撥液層の構成材料を詳しく説明する。
フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物として、一般式(1)
Figure 0004921537
で表されるフッ素化アルキル基を有するアルコキシシランが好適に用いられる。
上記の式で、Rfは炭素原子に結合した1個から30個のフッ素原子を有する非加水分解性置換基、Rは非加水分解性置換基、Xは加水分解性置換基、bは0から2の整数、好ましくは0または1、特に0である。
特定の好ましい置換基Rfは、CF3(CF2n−Z−であり、ここでnおよびZは下記一般式(4)
Figure 0004921537
におけるように定められ、式中、Xは一般式(1)と同じに定められ、好ましくはメトキシまたはエトキシ、Zは二価の有機基、nは0から20、好ましくは3から15、より好ましくは5から10の整数である。好ましくは、Zは10個を超えない炭素原子を含有し、Zは、より好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシおよびブチレンオキシなど、6個を超えない炭素原子を有する二価のアルキレンまたはアルキレンオキシ基である。最も好ましいのはエチレンである。
化合物4の例として、以下の化合物:
CF3−C24−SiX3
25−C24−SiX3
49−C24−SiX3
613−C24−SiX3
817−C24−SiX3
1021−C24−SiX3
が含まれるが、本発明はこれら以下の化合物に限定されない。Xは、メトキシ基またはエトキシ基である。
上記では、縮合生成物は、それぞれが含有するフッ素原子の数が異なる、フッ素含有基を有する少なくとも二種の加水分解性シランを用いて調製される。
例えば、C613−C24−SiX3、C817−C24−SiX3およびC1021−C24−SiX3が同時に用いられる場合である。上記フッ素含有基は、撥液層の表面に配列される傾向を有する。この時、異なる長さのフルオロアルキル基の存在下では、すべてのフルオロアルキル基が同じ長さを有する場合と比べて、表面のフッ化物濃度が高くなるので、本発明者らは、撥液性、拭き取り抵抗性および記録液抵抗性が改善されることを見いだした。この現象の理由については明らかでないが、フルオロアルキル基は直線の形状を有し、フッ素原子の高い電子密度の斥力に対して表面で最適な立体配座をとるので、異なる長さのフルオロアルキル基は、自身のより高い密度で存在できると考えられる。
次に、カチオン重合性基を有するシラン化合物の例は、以下の一般式(2)
Figure 0004921537
に示される。
上記の式で、RCはカチオン重合性基を有する非加水分解性置換基、Rは非加水分解性置換基、Xは加水分解性置換基、bは0から2の整数である。
カチオン重合性有機基として、エポキシ基およびオキセタン基、ビニルエーテル基等によって表される環状エーテル基を用いることができる。入手の容易さおよび反応制御の観点で、エポキシ基が好ましい。
より詳しくは、以下の化合物が例として好ましい。グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等。
本発明は、上記化合物に限定されない。
本発明では、撥液層は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物とカチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物とを含む硬化縮合生成物からなる。より好ましくは、硬化縮合生成物は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物およびカチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物を含む。前記アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物は、撥液層の物理的性質を制御するために有用である。
前記アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の例は、以下の一般式(3)
Figure 0004921537
に示される。
aは、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換アリールから選ばれる非加水分解性置換基、Xは、加水分解性置換基、aは0から3の整数である。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。本発明は、上記化合物に限定されない。
縮合生成物の組成、すなわち上記本発明の成分であるフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物、前記カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物およびアルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の組み合わせ比は、使用法によって適切に定められる。フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物の添加量については、0.5から20モル%、好ましくは1から10モル%であることが望ましい。添加量がこれより低いと十分な撥液性が得られず、添加量がこれより高いと均一な撥液層が得られない。撥液層の表面の均質性が十分でないと、光は撥液層の表面で散乱する。それは、撥液層が感光性を有するとき、特に望ましくない。
さらに、前記カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物との組み合わせ比は、10:1〜1:10の望ましい範囲を有する。
一般に、インクジェットヘッドの撥液層では、ほとんど凹凸のない平らな表面を有することが望ましい。凹凸を有する撥液層は、記録液の液滴に対して高い撥液性(高い前進接触角または高い静止接触角)を示す。しかし拭き取り操作等において記録液で撥液層をこすると、凹の部分に記録液が残り、その結果撥液層の撥液性が損なわれることがある。記録液が顔料、すなわち色材粒子を含有する実施態様では、色材粒子が凹の部分に入って付着するので、この現象は著しい。従って、撥液層の凹凸を示す表面粗さRaについては、5.0nm未満であることが望ましく、Raは1.0nm未満であることが特に望ましい。本発明では、平らな表面を有する撥液層を作製することは、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物の量を制御すること、およびアルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の量を適切に制御することによって実現される。
本発明の撥液層は、フッ素含有基を有する前記加水分解性シラン化合物、前記カチオン重合性基を有する前記加水分解性シラン化合物および、必要なら、アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の縮合生成物を硬化させることによって、ノズルの上に作製される。
前記加水分解性縮合生成物は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物、前記カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物および、必要なら、アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の加水分解反応を水の存在下で実行することによって調製される。
生成物の縮合の度合いは、縮合反応の温度、pH等によって適切に制御できる。さらに、金属アルコキシドを加水分解反応の触媒として用い、加水分解反応の結果として縮合の度合いを制御することも可能である。金属アルコキシドとして、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドおよびその錯体(アセチルアセトン錯体等)が好ましい。
さらに、カチオン光重合開始剤として、オニウム塩、ホウ酸塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物または過酸化物が参照される。感度および安定性から、芳香族スルホニウム塩または芳香族ヨードニウム塩が望ましい。
次に、本発明の撥液層を有するインクジェットヘッドの例を説明する。
図1の1A、1B、1Cおよび1Dは、本発明のインクジェットヘッドの製造方法を示す概念図である。
まず、図1の1Aは、樹脂またはSUSプレートのノズルプレート12の上に撥液層11が作製されることを示している。
フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物および、必要なら、アルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の加水分解反応を実行することによって調製される縮合生成物を含有する液体をスプレー、浸漬またはスピンコーティングした後、熱処理または光照射によって硬化することによって撥液層11を設ける。撥液層11の厚さは使用の形によって適切に定められ、約0.1から2マイクロメートルの範囲が望ましい。次に、上に撥液層を作製したノズルプレートへのエキシマレーザ加工、パルスレーザ加工および放電加工などの機械加工技法によって、インク射出口を作製する(図1の1B)。
インク射出口13を作製した後、撥液層の硬化を実行してもよいことは言うまでもない。さらに、インク射出口加工にあたって、撥液層上に保護膜等を適切に配置してもよい。
上記技法は、ノズルプレートと撥液層とを一緒に加工できるため、インク射出口の内部への撥液材料の侵入を招かないので、望ましい実施態様である。
次に、インク射出圧発生素子15および通路部材16を含む基板14(図1の1C)を調製する。基板14と、インク射出口を含むノズルプレートとを、必要なら接着剤層によって、接着させることによって、インクジェットヘッドは完成する。
さらに、上記方法で光硬化性材料をノズルプレートとして用いる場合には、以下のようにノズルプレートを作り出すことも可能である。
図2の2Aに示すように、ベース部材22の上にノズル材料21を作製する。次に、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物、必要ならアルキル置換、アリール置換または非置換加水分解性シラン化合物の加水分解反応を実行して調製した加水分解性縮合生成物を含有する液体を塗布することによって、ノズル材料21の上に撥液層23を作製する(図2の2B)。図2の2Cに示すように、パターン露光を用いてノズル材料21および撥液層23を硬化させ、非硬化部分を現像加工によって除去する(図2の2D)。撥液層を有するノズルを作製した後、ベース部材からそれを適切に剥離する。次に、インク射出圧発生素子および通路部材を備える基板を調製する。基板とインク射出口を含むノズルプレートとを、必要なら接着剤層を介して、接着させることによって、インクジェットヘッドが完成する。
次に、特開平06−286149号に記載されているインクジェットヘッドを作製する方法に適用される本発明の実施態様を説明する。
前記インクジェットヘッドの製造方法は、
インク射出圧発生素子を作製した基板の上に可溶性樹脂材料でインク通路パターンを作製すること、
前記可溶性樹脂材料層の上にインク通路の壁として重合性コーティング樹脂を塗布することによってコーティング樹脂層を作製すること、
前記インク射出圧発生素子の上方のコーティング樹脂層および撥液層の中にインク射出口を作製すること、
前記可溶性樹脂材料層を溶解すること、
を含み、
前記撥液層は、フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と前記カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物との硬化縮合生成物を含有する。
一般的な概念図を用いて、下記で説明する。
図3の3Aは、インク射出圧発生素子32が形成されている基板31の斜視図である。図3の3Bは、図3の3Aの3B−3B断面図である。図3の3Cは、前記可溶性樹脂材料でインク流路パターン33を作製した基板の図である。その上にノズル材料層が形成されるインク通路パターンであってもその崩壊を回避するために、ポジ型レジスト、特に比較的高い分子量を有する光分解性ポジ型レジストが好適に用いられる。
次に、図3の3Dは、インク通路パターンの上にコーティング樹脂層34が作製されることを示す。
コーティング樹脂層は、光照射または熱処理によって重合する材料であり、特にコーティング樹脂層として、カチオン光重合性樹脂が適している。図4の3Eは、コーティング樹脂層の上にさらに撥液層35が作製されることを示す。
コーティング樹脂層および撥液層は、スピンコーティング、直接塗布等によって適切に作製することができる。撥液層の作製のために、特に、直接塗布が適切に用いられる。コーティング樹脂層は不可欠な成分としてカチオン開始剤を含むが、上記のように、撥液層はカチオン開始剤を含まなくてもよい。撥液層は、コーティング樹脂層の硬化のときに発生する酸によって硬化することができる。次に、図4の3Fに示すマスクを通したパターン露光、および図4の3Gに示す現像によって、射出口36を作製する。さらに、マスクパターンおよび露光条件を適切に設定することによって、射出口を形成する部分を除いて、撥液層のみを部分的に除去することができる。すなわち、マスクパターンが限界未満のとき、撥液層だけが部分的に除去される。限界分解能(marginal resolution)とは、コーティング樹脂層が基板まで現像されないパターンサイズを意味する(図5の3Hおよび3I)。
上記のように、本発明の撥液層は、高い撥液性および拭き取り抵抗性を有する。従って、拭き取り操作を実行すると、除去されるべき記録液の液滴は転がり、射出口に引き込まれることがある。その結果、記録小液滴が射出されない可能性がある。
特開平06−210859号は、この現象を防ぐためにノズル表面に撥液区域と非撥液区域とを設けることを提案した。本発明は、上記のように、部分的に撥液層の中に存在しないパターンを容易に作製し、インクを射出しない事態を防ぐことができる。
次に、インク供給開口部37を基板に適切に作製し(図5の3J)、インク通路パターン33を溶解させる(図5の3K)。最後に、必要なら熱処理によって、ノズル材料および感光性撥液材料を完全に硬化させ、インクジェットヘッドが完成する。例を示すために、カチオン光重合性材料をコーティング樹脂層として用いる場合を図で説明した。
熱硬化性カチオン重合材料をコーティング樹脂層として用い、撥液層生成の後、パターン露光の代わりにエキシマレーザを用いて、アブレーションによってコーティング樹脂層および撥液層を除去して、射出口を作製してもよい。
(合成実施例1)
以下の手順によって、加水分解性縮合生成物を合成した。グリシジルプロピルトリエトキシシラン28グラム(0.1モル)、メチルトリエトキシシラン18グラム(0.1モル)、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン6.6グラム(0.013モル、加水分解性シラン化合物の合計量の6モル%に等しい)、水17.3グラムおよびエタノール37gを室温で撹拌し、続いて24時間還流することによって、加水分解性縮合生成物を得た。
さらに、縮合生成物を2−ブタノールおよびエタノールで希釈して不揮発物含量7重量%とし、撥液層を作製する組成物1を得た。
さらに、100gの組成物1に、カチオン性光重合開始剤として、芳香族スルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(旭電化工業(株)製の商標名SP170)0.04gを加え、撥液層を作製する組成物2を得た。
(合成実施例2)
合成例1のトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン6.6グラムの代わりに、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランおよびヘプタデカフルオロ−1,1,1,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシランの混合物4.4グラムを用いて、加水分解性縮合生成物を得た。その他の条件は、すべて同じであった。
さらに、縮合生成物を2−ブタノールおよびエタノールで希釈して不揮発物含量7重量%とし、撥液層を作製する組成物3を得た。さらに、カチオン性光重合開始剤として、100gの組成物3に、芳香族スルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(旭電化工業(株)製の商標名SP170)0.04gを加え、撥液層を作製する組成物4を得た。
(実施例1)
ロール塗布法によって上記組成物2および4をポリアミドフィルムに塗布し、90℃で1分間加熱して塗布溶媒を乾燥することによって、塗布膜を作製した。
次に、UV照射装置を用いて露光し、90℃で4分間加熱することによって、組成物2および4を硬化した。さらに、加熱庫中で200℃、1時間加熱することによって、硬化反応を終了させ、撥液層を作製した。次に、撥液性の評価として、自動接触角計(協和界面科学、CA−W)を用いて、インクジェットインクに対する接触角を測定した。以後、θaは後退接触角を意味し、θrは前進接触角を意味する。本発明者らの検討によると、インクに対する接触角、特に拭き取りによるノズル表面からのインク除去に対して強い影響を有する後退接触角は、高い方が望ましい。結果を表1に示す。
Figure 0004921537
表中、キヤノンから市販されているBCI−3Bkは、約40mN/mの表面張力を有する中性の顔料インクである。同じくキヤノンから市販されているBCI−8Bkは、約42mN/mの表面張力を有するアルカリ性の染料インクである。
次に、前記撥液層を上に作製したポリアミドフィルムをBCI−3Bkおよび8Bkインク中に60℃の温度で4週間浸漬することによって、撥液層のインク抵抗性を調べた。結果を、表2または3に示す。
Figure 0004921537
Figure 0004921537
上記の結果から、本発明による撥液層は、非常に高いインクに対する接触角、すなわち高い撥液性さらに、長期保管を仮定する浸漬試験後にも十分な撥液性を維持すること、さらに、加水分解性縮合生成物が二つ以上の異なる長さのフッ素化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物からなる場合でも、撥液性、特にアルカリ性インクに対する抵抗性を改善することを示した。
上記方法によって、表面に撥液層を有するポリアミドフィルムにエキシマレーザを照射することによって、インク射出口を作製した。次に、図1の1A、1B、1Cおよび1Dに示すように、インク射出圧発生素子およびインク流路壁を有する基板の上にフィルムを接合することによって、インクジェットヘッドを得た。上記のインクジェットヘッドの印刷品質は、高精細であった。
(実施例2)
本実施例では、上記の図3の3A、3B、3C、3D、図4の3E、3Fおよび3Gに示す手順によって、インクジェットヘッドを製造した。
まず、インク射出圧発生素子としての電熱変換素子を有するシリコーン基板を準備し、スピンコーティングによって、このシリコーン基板の上にポリメチルイソプロペニルケトン(ODUR−1010、東京応化工業株式会社)塗布膜を可溶性樹脂材料層として塗布した。次に、120℃で6分間プリベークした後、マスク露光装置UX3000(ウシオ電機)によってインク通路のパターン露光を実施した。
露光時間は3分間、メチルイソブチルケトン/キシレン=2/1で現像を実施し、キシレンですすいだ。
前記ポリメチルイソプロペニルケトンは、UV照射によって分解し有機溶剤に対して可溶性になる、いわゆるポジ型レジストである。パターン露光の場合に露光されなかった部分に可溶性樹脂材料のパターンが形成され、インク供給通路パターンを得た(図3の3C)。現像後の可溶性樹脂材料層の厚さは、20マイクロメートルであった。次に、表4に示すカチオン性光重合からなるコーティング樹脂をメチルイソブチルケトン/キシレン混合物溶媒中に55重量%濃度で溶解し、前記可溶性樹脂材料層によって形成したインク通路パターンの上にスピンコーティングによって塗布し、90℃で4分間熱処理した。この塗布および熱処理を3回反復することによって、インク通路パターンの上のコーティング樹脂層の厚さは、55マイクロメートルであった(図3の3D)。
Figure 0004921537
次に、前記フッ素含有シラン化合物の加水分解性縮合生成物からなる組成物1を直接塗布によってコーティング樹脂層の上に塗布した。次に、90℃で1分間プレベークを実施し、層の厚さは0.5マイクロメートルであった。ここで、組成物1にカチオン性光重合開始剤を入れなかった。次に、マスク露光装置MPA600スーパー(キヤノン)を用いて、インク射出口のパターン露光を実施した(図4の3F)。
90℃で4分間加熱した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)/キシレン=2/3で現像し、イソプロピルアルコールですすぐことによって、射出口パターンを作製した。ここで、コーティング樹脂層中のカチオン性光重合開始剤によって射出口を除く組成物1の層を硬化させ、一方、コーティング樹脂層を硬化させることによって射出口パターンを得た。このパターンのパターンエッジは鋭角であった(図4の3G)。次に、基板の背面にインク供給開口部を作製するためのマスクを適切に配置し、シリコーン基板の異方性エッチングによってインク供給開口部を作製した。シリコーンの異方性エッチングの間、ノズルを作製した基板の表面を、ゴム膜によって保護した。異方性エッチングの完了後、ゴム膜を取り去り、再び前記UX3000を用いて表面全体に紫外光を照射することによって、インク通路パターンを形成する可溶性樹脂材料層を分解した。次に、超音波を用いて乳酸メチル中に1時間浸漬することによって、インク通路パターンを溶解させた。次に、コーティング樹脂層および撥液層を完全に硬化させるために、200℃で1時間加熱プロセスを実施した(図5の3K)。最後に、インク供給開口部の上にインク供給部材を接着させることによって、インクジェットヘッドを完成した。上記方法によって得たインクジェットヘッドを、キヤノン製のインクBCI−3Bkで満たして画像を印刷し、高品質の画像を得た。さらに、このインクジェットヘッドでは、インクBCI−3Bkに対する前進接触角は86度、後退接触角は65度を示し、前記撥液層は高い撥液性を有することを証明した。次に、接触モードの走査プローブモデル顕微鏡JSPM−4210によって、前記インクジェットヘッドの撥液層の表面粗さを測定した。その結果、表面粗さ指数Raは、0.2から0.3nm(走査面積は10マイクロメートル四方であった)であり、撥液層は非常に平らで滑らかな表面を形成することを証明した。次に、このインクジェットヘッドのノズル表面にインクを吹き付けながら、HNBRゴムのブレードを用いて拭き取り操作を30000回実施した。この拭き取り操作後、拭き取りの前と同じ高品質画像が得られ、従って、優れた拭き取り耐久性を確認した。さらに、上記組成物1に替えて上記組成物3を撥液層として用い、同じようにインクジェットヘッドを完成した。上記拭き取り操作を加えた後でも、印刷画像の品質は前と同じく変化せず、優れた拭き取り耐久性を確認した。
上記結果によると、本発明の撥液層は、カチオン光重合性ノズル材料の上に塗布した後、ノズル材料および撥液層の同時パターン露光によって、高精度の射出口構造を作製することができ、高い撥液性を示す。優れた拭き取り耐久性によって、拭き取り後でも高品質画像を得ることができる。

Claims (16)

  1. 液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有するインクジェットヘッドであって、
    前記部材の前記吐出口が開口している側の表面が、
    (a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、
    (b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、
    (c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つと、
    からつくられる縮合生成物が硬化反応したものである、インクジェットヘッド。
  2. 前記フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物は、一般式(1)
    Figure 0004921537
    (式中、Rfは炭素原子に結合する1個から30個のフッ素原子を有する非加水分解性置換基、Rは非加水分解性置換基、Xは加水分解性置換基、bは0から2の整数である。)
    で表される加水分解性シラン化合物である、請求項に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記非加水分解性置換基Rfは、炭素原子に結合するフッ素原子を5個以上有する、請求項に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物は、一般式(2)
    Figure 0004921537
    (式中、RCはカチオン重合性基を有する非加水分解性置換基、Rは非加水分解性置換基、Xは加水分解性置換基、bは0から2の整数である。)
    で表される加水分解性シラン化合物である、請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記カチオン重合性基はエポキシ基またはオキセタン基である、請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、前記アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物及び前記加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選択される少なくとも一種の加水分解性シラン化合物は、一般式(3)
    Figure 0004921537
    (式中、Raは置換または非置換アルキル基および置換または非置換アリール基から選ばれる非加水分解性置換基、Xは加水分解性置換基、aは0から3の整数である。)
    で表される加水分解性シラン化合物から選択される、請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記表面は、5.0nm未満の表面粗さRaを示す、請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物(a)は、前記縮合生成物を得るために用いられる加水分解性化合物の合計量〔(a)+(b)+(c)〕を基準として、0.5から20モル%のモル比で用いられる、請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  9. 液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    光カチオン重合性樹脂の層と、
    (a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、(b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、(c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つとからつくられる縮合生成物を含む組成物の層と、
    がこの順に積層された基板を提供する工程と、
    前記光カチオン重合性樹脂の層と前記組成物の層とを露光し、露光が行われた部分を硬化させる工程と、
    露光が行われなかった部分を除去して前記吐出口を形成する工程と、
    を有するインクジェットヘッドの製造方法。
  10. 前記カチオン重合性基はエポキシ基またはオキセタン基である、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 前記光カチオン重合性樹脂の層はエポキシ樹脂を含む、請求項9または10に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  12. 前記(a)〜(c)の加水分解性シラン化合物から前記縮合生成物を得る工程を有する、請求項9から11のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  13. 前記組成物は光カチオン重合開始剤を含む、請求項9から12のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  14. 前記光カチオン重合性樹脂の層は光カチオン重合開始剤を含有し、前記組成物の層は光カチオン重合開始剤を含有しない、請求項9から12のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  15. 液体を吐出する吐出口が設けられた部材を有し、該部材の前記吐出口が開口している側の表面が撥液特性を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    光カチオン重合性樹脂の層と、
    (a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、(b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、(c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つと、からつくられる縮合生成物を含む組成物の層と、
    がこの順に積層された基板を提供する工程と、
    前記光カチオン重合性樹脂の層と前記組成物の層とを露光し、露光が行われた部分を硬化させて前記表面を得る工程と、
    露光が行われなかった部分を除去して前記吐出口を形成する工程と、
    を有するインクジェットヘッドの製造方法。
  16. (a)フッ素原子を有する基を有する加水分解性シラン化合物と、
    (b)カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、
    (c)アルキル置換基を有する加水分解性シラン化合物、アリール置換基を有する加水分解性シラン化合物および加水分解性ではない置換基を一つももたない加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一つと、
    からつくられる縮合生成物を含む、インクジェットヘッドのための撥液材料。
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