JP2003129039A - 撥水膜及び撥水膜の製造方法並びにノズルプレート - Google Patents

撥水膜及び撥水膜の製造方法並びにノズルプレート

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JP2003129039A
JP2003129039A JP2001330269A JP2001330269A JP2003129039A JP 2003129039 A JP2003129039 A JP 2003129039A JP 2001330269 A JP2001330269 A JP 2001330269A JP 2001330269 A JP2001330269 A JP 2001330269A JP 2003129039 A JP2003129039 A JP 2003129039A
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Shotaro Takahashi
正太郎 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルプレート等に用いてインク滴等の付着
防止効果に優れた撥水膜及びその製造方法並びにノズル
プレートを提供する。 【解決手段】 ノズルプレート31等の被処理体の表面
に形成される撥水膜33を、親水性基と疎水性基とを併
せ持つポリシロキサンで形成することにより、インク滴
等の付着防止効果を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液滴除去効果に優
れた撥水膜及びその製造方法並びにノズルプレートに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、インクジェットヘッドに用い
られるノズルプレートは、ゴムブレード等を用いてワイ
ピングすることによりインク滴を除去しているため、そ
の表面にはワイピング時にインク滴を除去し易くするた
めの撥水膜が設けられている。この撥水膜は、ノズルプ
レートの表面に、例えば、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、フッ化アルキル化合物を含有する塗布液
を塗布・硬化することによって形成されている。
【0003】このような撥水膜は、フッ素原子によって
膜表面の自由エネルギーを低下させることにより、膜表
面に付着したインク滴に対する接触角を増大させて撥水
性を発揮するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ノズルプレートに用いた撥水膜では、撥水性には優れて
いるもののワイピング時にインク滴の除去を十分に行う
ことができないという問題がある。
【0005】本発明は、このような事情に鑑み、ノズル
プレート等に用いてインク滴等の付着防止効果に優れた
撥水膜及びその製造方法並びにノズルプレートを提供す
ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、被処理体の表面に形成される撥水膜
であって、親水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロキ
サンからなることを特徴とする撥水膜にある。
【0007】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記親水性基がスルホンエステル基であることを特
徴とする撥水膜にある。
【0008】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記疎水性基が含フッ素有機基であることを
特徴とする撥水膜にある。
【0009】本発明の第4の態様は、液滴を吐出するノ
ズル開口を有するノズルプレートにおいて、吐出側表面
の少なくとも前記ノズル開口の周縁部に、親水性基と疎
水性基とを併せ持つポリシロキサンからなる撥水膜を有
することを特徴とするノズルプレートにある。
【0010】本発明の第5の態様は、第4の態様におい
て、前記親水性基がスルホンエステル基であることを特
徴とするノズルプレートにある。
【0011】本発明の第6の態様は、第4又は5の態様
において、前記疎水性基が含フッ素有機基であることを
特徴とするノズルプレートにある。
【0012】本発明の第7の態様は、第4〜6の何れか
の態様において、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂
及びポリエステル樹脂からなる群から選択される材料か
らなることを特徴とするノズルプレートにある。
【0013】本発明の第8の態様は、親水性基を有する
機能性シラン化合物、疎水性基を有する機能性シラン化
合物及び親水性基と疎水性基とを併せ持つ機能性シラン
化合物からなる群から選択される少なくとも一種からな
る機能性シラン化合物と他のシラン化合物とを含有する
塗布液を被処理体に塗布し、硬化させることにより、親
水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロキサンからなる
撥水膜を製造することを特徴とする撥水膜の製造方法に
ある。
【0014】本発明の第9の態様は、第8の態様におい
て、前記親水性基がスルホンエステル基であることを特
徴とする撥水膜の製造方法にある。
【0015】本発明の第10の態様は、第8又は9の態
様において、前記疎水性基が含フッ素有機基であること
を特徴とする撥水膜の製造方法にある。
【0016】本発明の第11の態様は、第8〜10の何
れかの態様において、前記他のシラン化合物としてアル
キル基及びアルコキシ基を有するシラン化合物を用いる
ことを特徴とする撥水膜の製造方法にある。
【0017】本発明の第12の態様は、第8〜11の何
れかの態様において、前記他のシラン化合物としてアミ
ノ基を有するシラン化合物を用いることを特徴とする撥
水膜の製造方法にある。
【0018】本発明の第13の態様は、第8〜12の何
れかの態様において、前記被処理体がノズルプレートで
あることを特徴とする撥水膜の製造方法にある。
【0019】本発明の第14の態様は、第13の態様に
おいて、前記ノズルプレートがポリイミド樹脂、ポリサ
ルフォン樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択
される材料からなることを特徴とする撥水膜の製造方法
にある。
【0020】かかる本発明では、撥水膜に疎水性基と親
水性基とを併せ持つポリシロキサンを用いることによ
り、インクなどの液体と撥水膜との相互作用として反発
力と親和力とが発生するため、撥水性と優れた滑落性と
を持たせることができる。また、このような撥水膜をイ
ンクジェットヘッドのノズルプレートに設けることで、
インク滴を容易に除去することができる。
【0021】以下に本発明の構成をさらに詳細に説明す
る。
【0022】親水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロ
キサンは、重合反応性のあるシラン化合物を重合させた
ものである。この重合反応性のあるシラン化合物とは、
シラノール基(−SiOH)を有するか又は加水分解し
てシラノール基を有するシラン化合物である。加水分解
してシラノール基を有するシラン化合物は、例えば、ア
ルコキシ基を有するシラン化合物であり、アルコキシ基
は加水分解するとシラノール基となる。
【0023】このような重合反応性のあるシラン化合
物、例えば、アルキル基及びアルコキシ基を有するシラ
ン化合物等を含む塗布液を被処理体に塗布し、加熱処理
するとシラノールが脱水縮合して、図1に示すように、
ケイ素原子及び酸素原子が交互に結合した基本骨格から
なる分子鎖を有するポリシロキサンとなる。なお、図1
は、本発明に係るポリシロキサンの基本骨格を示す模式
図である。
【0024】かかるポリシロキサンの構造体を形成する
シラン化合物として、例えば、ジメチルジエトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン等のアルキル基及びアル
コキシ基を有するシラン化合物を挙げることができる。
【0025】このようなシラン化合物と共に親水性基を
有する機能性シラン化合物及び疎水性基を有する機能性
シラン化合物を重合させると、ポリシロキサンの分子構
造内に親水性基及び疎水性基を組み込むことができ、例
えば、図2に示すような親水性基と疎水性基とを併せ持
つポリシロキサンとなる。図2では、親水性基は−SO
2CH3であり、疎水性基は−(CF2nCF3である。
【0026】この親水性基と疎水性基とを併せ持つポリ
シロキサンの原料となる機能性シラン化合物は、親水性
基を有する機能性シラン化合物、疎水性基を有する機能
性シラン化合物、及び親水性基と疎水性基を併せ持つ機
能性シラン化合物から適宜選択される。
【0027】例えば、原料となる機能性シラン化合物と
して、親水性基を有する機能性シラン化合物と疎水性基
を有する機能性シラン化合物とを選択して組み合わせて
もよいし、親水性基と疎水性基とを併せ持つ機能性シラ
ン化合物を用いてもよい。また、親水性基と疎水性基と
を併せ持つ機能性シラン化合物に親水性基又は疎水性基
のどちらか一方のみを有する機能性シラン化合物を組み
合わせてもよい。
【0028】ここで、親水性基を有する機能性シラン化
合物としては、例えば、末端に下記(1)式に示すスル
ホンエステル基を有するシラン化合物を挙げることがで
きる。
【0029】
【化1】
【0030】(式中、Rは、炭化水素基を表し、例え
ば、炭素数1〜4の鎖状、分枝状、又は環状の炭化水素
基、あるいは炭素数6〜10の芳香環を含む炭化水素基
である。) この(1)式に示すスルホンエステル基を有するシラン
化合物の具体例としては、例えば、下記(2)式に示す
シラン化合物を挙げることができる。
【0031】
【化2】
【0032】このスルホンエステル基を有するシラン化
合物は、下記(3)式に示すように、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランにメタンスルホン酸を反応
させ、スルホンエステル基を導入することにより得るこ
とができる。
【0033】
【化3】
【0034】一方、疎水性基を有する機能性シラン化合
物としては、例えば、末端に含フッ素有機基を有するシ
ラン化合物を挙げることができる。この含フッ素有機基
としては、例えば、炭素数1〜18の炭化水素基の少な
くとも一部の水素をフッ素置換した直鎖、分岐若しくは
環状のパーフルオロアルキル基、又はフッ素置換したア
リール基などを挙げることができる。このような含フッ
素有機基を有するシラン化合物の具体例としては、例え
ば、パーフルオロオクチルトリエトキシシランを挙げる
ことができる。
【0035】本発明の撥水膜を得るための塗布液は、上
述した構造体を形成するシラン化合物と、適宜選択した
機能性シラン化合物とを溶媒に溶解したものであるが、
重合反応を調整、促進するための添加剤、接着性を向上
させるための添加剤、安定剤、増粘剤等の添加剤を添加
してもよい。
【0036】また、被処理体との接着性を向上させる添
加剤としては、例えば、接着剤的に作用するアミノ基を
有するシラン化合物を挙げることができる。このアミノ
基を有するシラン化合物としては、例えば、アミノ基及
びアルコキシ基を有するシラン化合物、具体的には、ア
ミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0037】本発明の撥水膜を得るためには、上述した
シラン化合物及び溶媒、更に必要に応じた添加剤等から
調製した塗布溶液をアルカリ溶液等で表面処理した被処
理体に塗布し、乾燥、熱硬化させる。このとき、必要に
応じて硬化時に発生した応力を除去することにより、親
水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロキサンからなる
撥水膜を製造することができる。
【0038】なお、本発明のポリシロキサンからなる撥
水膜を形成する被処理体としては、例えば、ポリイミド
樹脂、ポリサルフォン樹脂又はポリエステル樹脂等から
なるノズルプレート等が挙げられる。
【0039】本発明の撥水膜は、親水性基及び疎水性基
の両方を有するポリシロキサンからなるので、撥水膜と
インク等の液体との間に反発力と親和力を発生させるこ
とができ、撥水膜のインク等の液体に対する滑落性を高
くすることができるという効果を奏する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態に基づいて本発
明を詳細に説明する。
【0041】本発明の疎水性基と親水性基とを併せ持つ
ポリシロキサンからなる撥水膜はノズルプレートの表面
に形成した撥水膜として好適である。このように本発明
の撥水膜を設けたノズルプレートをヘッドチップに用い
た一例について説明する。
【0042】図3は、本発明の一実施形態に係るヘッド
チップの分解斜視図である。
【0043】図3に示すように、ヘッドチップ11を構
成する圧電セラミックプレート21には、複数の溝22
が並設され、各溝22は、側壁23で分離されている。
各溝22の長手方向一端部は圧電セラミックプレート2
1の一端面まで延設されており、他端部は、他端面まで
は延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、
各溝22内の両側壁23の開口側表面には、長手方向に
亘って、駆動電界印加用の電極24が形成されている。
【0044】ここで、圧電セラミックプレート21に形
成される各溝22は、例えば、円盤状のダイスカッター
により形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイ
スカッターの形状を利用して形成される。また、各溝2
2内に形成される電極24は、例えば、斜め方向からの
蒸着により形成される。
【0045】このような圧電セラミックプレート21の
溝22の開口側には、インク室プレート25が接合され
ている。インク室プレート25には、各溝22の浅くな
った他端部と連通する凹部となるインク室26と、この
インク室26の底部から溝22とは反対方向に貫通する
インク供給口27とを有する。
【0046】また、圧電セラミックプレート21とイン
ク室プレート25との接合体の溝22が開口している端
面には、ノズルプレート31が接合されており、ノズル
プレート31の各溝22に対向する位置には、ノズル開
口32が形成されている。このようなノズルプレート3
1の材料としては、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹
脂又はポリエステル樹脂等が挙げられ、ノズル開口32
は、例えば、エキシマレーザ装置を用いて形成すること
ができる。
【0047】さらに、圧電セラミックプレート21とイ
ンク室プレート25との接合体の溝22が開口している
端部の周囲には、ノズル支持プレート28が配置されて
いる。このノズル支持プレート28は、ノズルプレート
31の接合体端面の外側と接合されて、ノズルプレート
31を安定して保持するためのものである。
【0048】ここで、ノズルプレート31のノズル開口
32の吐出側表面の少なくとも周縁部には、親水性基と
疎水性基とを併せ持つポリシロキサンからなる撥水膜3
3が形成されている。
【0049】このノズルプレート31に設けた撥水膜3
3は、親水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロキサン
からなる。本発明の親水性基と疎水性基とを併せ持つポ
リシロキサンからなる撥水膜33をノズルプレート31
に設けるためには、適宜選択したスルホンエステル基等
の親水性基を有する機能性シラン化合物と含フッ素有機
基等の疎水性基を有する機能性シラン化合物とアルキル
基及びアルコキシ基を有するシラン化合物等の構造体を
形成するシラン化合物とを含有する塗布液を、必要に応
じてアルカリ溶液等で表面処理したノズルプレート31
に塗布し、乾燥、熱硬化させる。このとき、必要に応じ
て硬化時に発生した応力を除去することが好ましい。こ
れにより、親水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロキ
サンからなる撥水膜33を設けたノズルプレート31を
得ることができる。
【0050】また、撥水膜33とノズルプレート31と
の接着性を向上させるために、例えば、接着剤的に作用
するアミノ基を有するシラン化合物を塗布液に添加して
もよい。
【0051】なお、本実施形態では、図3に示すよう
に、ノズル開口32の周縁部のみに撥水膜33を設けた
が、撥水膜33はインクを吐出する吐出側表面の少なく
ともノズル開口32の周縁部に設けていればよく、例え
ば、ノズルプレート31全面に撥水膜を設けてもよい。
【0052】このような撥水膜33を設けたノズルプレ
ート31を有するヘッドチップ11はインクジェットヘ
ッドを構成し、例えば、被記録媒体に文字や画像を記録
するプリンタ、ファックス等のインクジェット式記録装
置に搭載される。
【0053】このように被記録媒体に対向する面の少な
くともノズル開口32周縁部に親水性基と疎水性基とを
併せ持つポリシロキサンからなる撥水膜33を設けたノ
ズルプレート31を有するヘッドチップ11をインクジ
ェット式記録装置に搭載することで、撥水膜33がイン
ク滴に対し優れた滑落性を有するため、吐出時等にノズ
ルプレート31に付着したインク滴をゴムブレード等に
よるワイピングにより容易に除去することができる。
【0054】また、ノズル開口32の設けられた面を下
向きではなくインク滴が滑落しやすくなるように傾け
る、好ましくは垂直面となるようにすると、ワイピング
によるインク滴の除去をさらに容易にすることができ、
場合によっては、ワイピングを省略することもできる。
このため、ノズル開口32の周囲に付着したインク滴に
よる画像の劣化や印字不良等を防止することができる。
【0055】ここで、撥水膜の滑落性について、実施例
及び比較例を例示して説明する。
【0056】(実施例)被処理体としてはポリイミドシ
ートを用いた。なお、撥水膜の接着性を向上させるため
に、ポリイミドシートを4%NaOH溶液に室温で15
〜30分浸漬し、表面をエッチングした後、イオン交換
水で洗浄し乾燥して用いた。
【0057】一方、撥水膜を形成する塗布液の原料とし
て、まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン4.5mLにメタンスルホン酸0.45mLを攪拌し
ながら10分以上かけて滴下し、1日以上放置してγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランにスルホンエ
ステル基を導入しスルホンエステル基を有する機能性シ
ラン化合物を形成した。
【0058】この親水性基であるスルホンエステル基を
有する機能性シラン化合物の溶液1mLと、疎水性基で
ある含フッ素有機基を有する機能性シラン化合物である
パーフルオロオクチルトリエトキシシラン0.25mL
と、構造体を形成するシラン化合物であるジメチルジエ
トキシシラン2mL及びメチルトリエトキシシラン0.
5mLと、さらに、被処理体と撥水膜との接着剤的に作
用するアミノ基を有するシラン化合物であるアミノプロ
ピルトリエトキシシラン0.25mLとをシラン化合物
として用い、これにエタノール15mL、0.01N塩
酸2.8mL、酢酸0.45mLを混合することにより
塗布液を調製した。
【0059】続いて、被処理体の表面に、ローターを用
いて、塗布液を均一に塗布し、10分間放置した後、相
対湿度90%以上で24時間95℃に加熱し硬化させ
た。その後、室温、湿度40%で2日以上放置し、硬化
時に発生した残留応力を除去することで、被処理体表面
に実施例の撥水膜を形成した。
【0060】(比較例)比較として、実施例と同様のポ
リイミドシートからなる被処理体の表面に、疎水性基の
みを有する撥水膜、本比較例ではポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)からなる撥水膜を設け、比較例の撥
水膜を形成した。
【0061】(試験例)実施例及び比較例の撥水膜の設
けられた被処理体について、水及び油性インクの接触角
及び滑落角を測定した。なお、撥水膜上に水10μL及
び油性インク10μLを置き、被処理体を傾けて水滴及
びインク滴が動き始めたときの被処理体の傾斜角を滑落
角として測定した。この測定結果を下記表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1に示すように、実施例の撥水膜の滑落
角は、水が10°、油性インクが25°となり、比較例
の撥水膜の滑落角は、水が40°、油性インクが50°
となった。このように実施例の撥水膜では、水及び油性
インクが比較例の撥水膜よりも小さな滑落角で滑落する
ことが分かった。
【0064】また、実施例の撥水膜と比較例の撥水膜と
では、水及び油性インクの接触角は、比較例の撥水膜の
方が大きいが、滑落角は実施例の方が優れているため滑
落角は接触角に依存しないことが分かった。
【0065】このように、親水性基と疎水性基とを併せ
持つポリシロキサンで撥水膜を形成することで撥水膜と
液滴との間に反発力と親和力とを発生させることがで
き、滑落性を向上することができる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
親水性基と疎水性基とを有するポリシロキサンによって
撥水膜を形成するようにしたため、撥水膜とインク等の
液体との間に反発力と親和力とを発生させることがで
き、撥水膜のインク等の液体に対する滑落性を高くする
ことができる。
【0067】また、このような撥水膜をインクジェット
ヘッド用のノズルプレートに設けることで、撥水膜がイ
ンク滴に対し優れた滑落性を有するため、ノズルプレー
トに付着したインク滴を容易に除去することができ、付
着したインク滴による画像の劣化や印字不良等を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリシロキサンの基本骨格を示す
模式図である。
【図2】本発明に係る撥水膜を形成するポリシロキサン
の構造の模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るヘッドチップの分解
斜視図である。
【符号の説明】
11 ヘッドチップ 21 圧電セラミックプレート 22 溝 23 側壁 24 電極 25 インク室プレート 26 インク室 27 インク供給口 28 ノズル支持プレート 31 ノズルプレート 32 ノズル開口 33 撥水膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理体の表面に形成される撥水膜であ
    って、親水性基と疎水性基とを併せ持つポリシロキサン
    からなることを特徴とする撥水膜。
  2. 【請求項2】 前記親水性基がスルホンエステル基であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の撥水膜。
  3. 【請求項3】 前記疎水性基が含フッ素有機基であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水膜。
  4. 【請求項4】 液滴を吐出するノズル開口を有するノズ
    ルプレートにおいて、吐出側表面の少なくとも前記ノズ
    ル開口の周縁部に、親水性基と疎水性基とを併せ持つポ
    リシロキサンからなる撥水膜を有することを特徴とする
    ノズルプレート。
  5. 【請求項5】 前記親水性基がスルホンエステル基であ
    ることを特徴とする請求項4に記載のノズルプレート。
  6. 【請求項6】 前記疎水性基が含フッ素有機基であるこ
    とを特徴とする請求項4又は5に記載のノズルプレー
    ト。
  7. 【請求項7】 ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂及
    びポリエステル樹脂からなる群から選択される材料から
    なることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載のノ
    ズルプレート。
  8. 【請求項8】 親水性基を有する機能性シラン化合物、
    疎水性基を有する機能性シラン化合物及び親水性基と疎
    水性基とを併せ持つ機能性シラン化合物からなる群から
    選択される少なくとも一種からなる機能性シラン化合物
    と他のシラン化合物とを含有する塗布液を被処理体に塗
    布し、硬化させることにより、親水性基と疎水性基とを
    併せ持つポリシロキサンからなる撥水膜を製造すること
    を特徴とする撥水膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記親水性基がスルホンエステル基であ
    ることを特徴とする請求項8に記載の撥水膜の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記疎水性基が含フッ素有機基である
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の撥水膜の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記他のシラン化合物としてアルキル
    基及びアルコキシ基を有するシラン化合物を用いること
    を特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の撥水膜の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記他のシラン化合物としてアミノ基
    を有するシラン化合物を用いることを特徴とする請求項
    8〜11の何れかに記載の撥水膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記被処理体がノズルプレートである
    ことを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の撥水
    膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記ノズルプレートがポリイミド樹
    脂、ポリサルフォン樹脂及びポリエステル樹脂からなる
    群から選択される材料からなることを特徴とする請求項
    13に記載の撥水膜の製造方法。
JP2001330269A 2001-10-29 2001-10-29 撥水膜及び撥水膜の製造方法並びにノズルプレート Pending JP2003129039A (ja)

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