JP2005153390A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】 吐出口面に簡単に形成可能な撥水性樹脂膜を形成するための重合性樹脂組成物、及び該重合性樹脂組成物を用いてなる、撥水性、耐磨耗性に優れた、インクジェット用記録ヘッドを提供する。
【解決手段】 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、特定のオルガノシランから誘導される物質と、含フッ素化合物とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッド、及び、それを用いたインクジェット記録装置、撥水処理用の重合性組成物に関し、特にヘッドのインク吐出部周辺が撥インク処理され、撥水性及び耐摩耗性に優れ、得られる画像の印字品質に優れた記録ヘッドに関する。
記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置が、静粛さと高速記録などの点で優れた記録装置として知られている。記録ヘッドによって得られる画像の印字品質は、記録紙上のインク滴からなるドットの位置精度に大きく依存する。このドット位置精度は、記録ヘッドの吐出口から吐出されるインク滴の飛翔方向によって左右される。飛翔方向を一定に保つには、インク滴吐出時における吐出口周縁部が均一で安定した状態にすることが重要であり、具体的には、吐出口周縁部を含む記録ヘッド表面に撥水(撥インク)処理を施すことが有用である。更には、撥水処理が施された吐出口周縁部にインクや紙などの異物が付着した場合にブレード等のクリーニング部材で掻き取り操作を行う。この時、撥水処理には、インクあるいはその中に含まれる化学成分に対しての耐久性と擦り操作などの摩擦に対する耐久性とが求められる。
撥水処理方法として、フルオロアルキルアルコキシシラン等で記録ヘッド吐出口周縁部を処理して撥水性にする例(例えば、特許文献1参照)があるが、処理を完全にするには高温150℃以上で長時間加熱するか、高pHの溶液の中で加熱するなど、吐出口を形成する材料を破壊する恐れのある処理が必要であり、拭き取り操作などの摩擦に対する耐久性が不十分である。耐久性を高めるために、シランカップリング剤の固定を強化する方法として、基材とシランカップリング剤との間に、酸化物微粒子を含むオルガノゾルから形成される中間層を設け、耐久性のある撥水性を付与する例(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、処理工程に高温を要する問題点は解決されていない。
また、フッ素ポリマー溶液を塗布・乾燥させることによる撥水層は、一般に撥水性の高い材料を選択できるが、膜自体の強度が不足することから耐久性に乏しい。撥水材料に無機微粒子を添加した撥水層を下層とし、更に、上層に無機材料を含まない同様の撥水材料で撥水層を形成することで、硬度の高い無機微粒子の効果で下層の膜硬度を増加させて耐久性を増大させる例(例えば、特許文献3参照)が示されているが、撥水効果を高めるためにフッ素含量の高い樹脂を用いた場合には、上層と下層の密着が悪く、高い撥水性と耐久性を両立することが困難であった。
また、フッ素含有の樹脂とブロックイソシアネートとを含んでなる処理剤で処理する例(例えば、特許文献4参照)があり、高い擦過性が報告されているが、ブロックイソシアネートの反応性が乏しいために、高温(160℃)で長時間の加熱処理が必要であることから、前記の例と同様にヘッドの構成材料を破壊する等の問題点を有し、更にはブロックイソシアネートの架橋反応性基が2官能と少なく、しかも反応性基間の距離が短くフレキシビリティーに乏しいために、ブロックイソシアネートの添加量に応じて皮膜の架橋密度を上げることが困難であり、優れた性能の皮膜を再現良く製造するのが困難であった。
また、フッ素含有の高分子鎖を備えた高分子の膜であり、フッ素含有の高分子鎖が物理的集合体を形成している例(例えば、特許文献5参照)があり、高い撥水性が報告されている。しかし、架橋を施して強度を持たせるには、エポキシ基や水酸基などの反応性基の含有量を増加させる必要があり、こうすると必然的に硬化膜も親水化するため、強度と撥水性能を両立するのが困難であった。
一方、有機材料に無機材料を配合して、接着剤、外装塗料、ハードコート、反射防止膜などの用途において、耐擦傷性、硬化物の強度、接触した他の素材との密着などの向上が検討されている。中でも、重合硬化系の有機材料との組み合わせにおいては、重合基を含有するアルコキシシラン、及びまたはその加水分解縮合物が注目されている。例えば、特定のポリアルコキシポリシロキサンと重合性シランカップリング剤との併用が提案されている(例えば、特許文献6参照)が、ポリアルコキシポリシロキサンと重合性シランカップリング剤との反応が十分に行いにくく、重合性基の導入率が低いために、硬化物の耐擦過性や強度は十分ではなく、また、組成物液の保存性は十分なものではなかった。
要するに、従来提案されている技術では、未だ要求されているほどに耐摩擦性と撥水性(撥インク性)とを両立させたインクジェット記録ヘッドは提案されていないのが現状であり、撥水性に優れ、しかも長期間の耐摩擦性にも優れた、印字品質の高いインクジェット記録ヘッドの開発が要望されている。
特開昭56−895669号公報 特登3161106号 特開平9−11495号公報 特登3382416号 特開2001−233972号公報 特開平9−169847公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、吐出口面に簡単に、120℃以下の温度で形成可能な撥水性樹脂膜を形成するための重合性樹脂組成物、及び該重合性樹脂組成物を用いてなる、撥水性、耐磨耗性に優れた、インクジェット用記録ヘッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、特定のオルガノシランから誘導される物質と含フッ素化合物とを用いてなる重合性樹脂組成物を用いて疎水性被膜を形成することにより上記目的を達成しうることを知見した。
すなわち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、(b)含フッ素化合物とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
(2)記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサン、(b)含フッ素化合物とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
(3)前記重合性基がラジカル重合性基であり、前記(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/もしくはその部分縮合物は、その質量平均分子量が300以上の成分を100質量%とした場合、質量平均分子量が1000〜20000の成分が80質量%以上であることを特徴とする(1)記載のインクジェット記録ヘッド。
(4)前記重合性基がラジカル重合性基であり、前記(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンは、その質量平均分子量が300以上の成分を100質量%とした場合、質量平均分子量が1000〜20000の成分が80質量%以上であることを特徴とする(2)記載のインクジェット記録ヘッド。
(5)前記重合性基を含有するオルガノシランが下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
Figure 2005153390
(R21は水素もしくはメチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素、塩素を表す。Yは単結合もしくはエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基を表す。Lは2価の連結鎖を表す。nは0または1を表す。R22は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xhは水酸基または加水分解可能な基を表す。)
(6)前記重合性樹脂組成物が、無機微粒子を更に含有することを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(7)前記含フッ素化合物が、重合性基含有フッ素ポリマーであることを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(8)インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが(1)〜(7)のいずれかに記載のインクジェットヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
(9)(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、又は(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンと、(b)含フッ素化合物と、(c)無機微粒子とを少なくとも含有することを特徴とする撥水処理用の重合性樹脂組成物。
(10)(1)〜(8)の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、記録ヘッドの撥インク処理部に、溶剤と、(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、又は(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンと、(b)含フッ素化合物とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物を塗工する工程、及び塗工後に溶媒を蒸発させて形成した塗工膜に、活性化エネルギー線又は熱を加えて重合性ポリマーの架橋体を形成させる工程を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、撥水性、耐磨耗性に優れ、印字品質の高いものである。特に、無機微粒子を含む場合には、耐摩耗性が長期に亘って保持される。
また、本発明の撥水性樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物は、インクジェット記録ヘッドの吐出口面に、簡単に、120℃以下の温度で樹脂膜を形成可能なものである。
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドについて説明する。
まず、本発明のインクジェット記録ヘッドに用いられる本発明の重合性樹脂組成物について、(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサン、(b)含フッ素化合物、他の成分などの順で説明する。
尚、本明細書において、化学式中の( )[ ]は繰り返し単位を表し、( )[ ]の添え字は質量組成比を表す。
[(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサン]
本発明では(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、または(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンを用いる。
(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンは、重合性基を含有するオルガノシロキサン、あるいはポリオルガノシロキサン製造後に重合性基を導入しうる官能基を含有するオルガノシランの、加水分解・部分縮合物を表す。
(a)および(a)’は、いわゆるゾル成分であり、本明細書では、以降、「重合性基含有のゾル成分」(又は「ゾル成分」)と総称する。
前記重合性基はラジカル重合や、カチオン重合、アニオン重合、重付加、縮合重合など従来公知の開始反応により重合または反応するシラノール基以外の官能基であり、ラジカル重合や重付加可能な重合性基が好ましく、ラジカル重合性基が特に好ましい。
ラジカル重合性基を含有するオルガノシランは、ラジカル重合性の官能基(メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基など)を含有するオルガノシラン化合物であり、好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2005153390
一般式(1)においてR21は水素もしくはメチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素、塩素を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素もしくはメチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素、塩素が好ましく、水素もしくはメチル基、メトキシカルボニル基、フッ素、塩素が更に好ましく、水素もしくはメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくはエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基を表す。単結合もしくはエステル基、アミド基が好ましく、単結合もしくはエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル、あるいは、エステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル、あるいは、エステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xhが複数存在するとき、複数のXhはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
22は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
22に含まれる置換基としてはラジカル重合基以外であるほかは特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アシルオキシ基(アセトキシ、プロパノイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
Xhは水酸基または加水分解可能な基を表し加水分解可能な基として、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、又はR23COO(R23は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、更に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。特に好ましくはメトキシ基である。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005153390
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Figure 2005153390
Figure 2005153390
Figure 2005153390
前記重合性基を含有するオルガノシランに、後述する重合性基を含有しないオルガノシランを添加して用いることもできる。この際の使用量は、後述する使用量の範囲と同じにすることができる。
すなわち、重合性基含有のゾル成分は、前記重合性基を含有するオルガノシランに重合性基を含有しないオルガノシラン(以後、「その他のオルガノシラン」という)を混合したものを加水分解又は部分縮合させても良い。その他のオルガノシランは好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)
(R22m−Si(Xh)4-m
一般式(2)においてR22は一般式(1)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xhは一般式(1)と同義であり、水酸基または加水分解可能な基を表し、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
mは1〜3の整数を表す。R22もしくはXhが複数存在するとき、複数のR22もしくはXhはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1、2であり、特に好ましくは1である。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、CF3CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の所望の効果を得るためには、前記の重合性基を含有するオルガノシランの含有量は、30質量%から100質量%であるのが好ましく、50質量%から100質量%がより好ましく、70質量%から100質量%が更に好ましく、90質量%から100質量%が特に好ましい。重合性基を含有するオルガノシランの含有量が30質量%より少ないと、固形分が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したり、分子量の制御が困難(分子量の増大)であったり、重合性基の含有量が少ないために重合処理を行った場合の性能(例えば撥インク処理部の耐傷性)の向上が得られにくいために好ましくない。
重合性基含有のゾル成分の質量平均分子量は、質量平均分子量が300未満の成分を除いた場合に、質量平均分子量は1000から20000が好ましく、1000から10000がより好ましく、1100から5000が更に好ましく、1200から3000が更に好ましく、1200から2000が更に好ましい。質量平均分子量が、上述の範囲であることにより、有機溶剤への溶解性に優れ、目的の性能が得られる。
更に、質量平均分子量が300以上の成分を100質量%とした場合に、質量平均分子量1000〜20000の成分の質量部は80質量%以上であるのが、有機溶剤への溶解性や性能、液の保存安定性の点で好ましく、85質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのが更に好ましく、94質量%以上であるのが更に好ましく、96質量%以上であるのが特に好ましい。
ここで、質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、質量平均分子量が300以上の成分のピーク面積を100質量%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%を、それぞれ質量%に換算する。
分散度(質量平均分子/数平均分子量)は3.00〜1.05であるのが好ましく、2.50〜1.10がより好ましく、2.00〜1.10が更に好ましく、1.49〜1.10が特に好ましい。
また、重合性基含有のゾル成分にはシラノール基が残存していることが必須である。シラノール基が残存していないと、添加する無機微粒子や基板との相互作用(静電的な吸引力やシラノール基が反応することによる共有結合形成など)がなく、重合性樹脂組成物の架橋体の強度や性能が悪化するために好ましくない。
ここで、シラノール基の残存の尺度としては、シリコンNMRのピーク強度から算出する。一般式(1)の化合物のゾルの場合、シリコン原子に対して、シラノール基の残存が無いものをT3、シラノール基が1つ残存しているものをT2、シラノール基が2つ残存しているものをT1、シラノール基が3つ残存しているものをT0と称する。
本発明に使用する重合性基含有のゾル成分は、全ピーク面積を100%とした場合に、加水分解のみで縮合していないT0は5%以下で、T1成分は10%以下が好ましい。T2とT3成分が主成分であるため、シラノール基の尺度として、T3/T2の値を用いる。すなわちシラノール基の無いT3成分が増加すれば、T3/T2の値は大きくなり、全てT3の場合には無限大となる。本発明では、T3/T2の値が0.2から3.0の値が好ましく、0.4から2.0の値が更に好ましく、0.4から1.5の値が特に好ましい。T3/T2の値が0.2よりも小さいと、重合していないT0成分が多かったり、反応活性成分の含有量が増えるために重合性基含有のゾル成分の経時変化が多い懸念があり、T3/T2の値が3.0よりも大きいと、シラノール基の含有量が少ないために、特に、無機微粒子を併用した場合に、重合性樹脂組成物の架橋体の強度や性能が悪化するために好ましくない。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒であるいは有機溶媒の存在下に行うことができる。好ましい有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。ここで用いられる有機溶媒は、そのまま塗布液として用いられることが工程上好ましく、後に含フッ素化合物を添加する場合は、この含フッ素化合物を溶解するものが好ましい。加水分解・縮合反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;該金属アルコキシド類と、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等との金属キレート化合物類等が挙げられる。
加水分解・縮合反応は、オルガノシランのアルコキシ基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして好ましくは触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。触媒の使用量は、アルコキシ基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%である。反応条件はオルガノシランの反応性により適宜調節されることが好ましい。
この加水分解・縮合反応は、まずオルガノシランのアルコキシ基と水が反応してアルコキシ基が加水分解しシラノール基が生成する。引き続き2個のシラノール基が脱水縮合して、シロキサン結合を形成する。従って、この反応の生成物には、水の添加量及びその他の反応条件によって量割合が変化するが、未反応のアルコキシ基、シラノール基、シロキサン結合が混在している。本発明でオルガノシランの部分縮合物とは、オルガノシランのすべてのアルコキシ基がシラノール基を経てシラノール結合を形成しておらず、アルコキシ基の一部がシラノール結合を形成し、残りは未反応あるいはシラノール基の状態にあるものをいう。
オルガノシランの加水分解および/または縮合反応から得られた溶液、すなわちゾル成分は、固体を含有しないものが好ましく、更に、にごりのないものがより好ましい。
[(b)含フッ素化合物]
前記含フッ素化合物は、撥水性を付与するために用いられるものである。含フッ素化合物はフッ素含有シランカップリング剤や界面活性剤などの低分子化合物や、フッ素を含有するオリゴマーから高分子(以降、これらを総称して「含フッ素ポリマー」という)の何れでも良いが、撥水効果の持続性の観点から、含フッ素ポリマーが好ましい。
前記含フッ素ポリマーには、撥水膜のインク接触時の湿潤状態での強度や擦過性に対する強度を増加させるために、前記重合性基含有のゾル成分や必要に応じて用いられる無機粒子表面の官能基、必要に応じて添加される架橋剤に対して反応性を有する官能基やラジカル重合性の何れかを含有することが好ましく、ラジカル重合性基を有するもの(以降、含フッ素重合性ポリマーという)がより好ましい。
(含フッ素重合性ポリマー)
含フッ素重合性ポリマーはフッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位とを含有するポリマーであるのが好ましい。含フッ素重合性ポリマーは、撥インク特性を増加させ、かつ、架橋反応後の撥水性樹脂膜の耐久性を増加させる観点から、以下の(I)(II)のどちらかのポリマーであることが好ましい。
(I)フッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位、必要に応じてその他の構造単位が無秩序に配列したポリマー(以下、本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)とも称する。)
(II)フッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位を分離させた構造、すなわち、フッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有し、フッ素を含有する構造単位が下記一般式3a〜3dのいずれかであるポリマー(以下、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)とも称する。)
また、含フッ素重合性ポリマー(II)において、該第1セグメントと該第2セグメントとを少なくとも1つづつ含有する直線状あるいは分岐状の構造が更に好ましく、該第1セグメントと該第2セグメントとを少なくとも1つづつ含有する直線状の構造、該第1セグメントを枝部分に有する分岐状の構造がより好ましく、該第1セグメントと該第2セグメントを少なくとも1つづつ含有する直線状の構造が特に好ましい。
含フッ素重合性ポリマーに含有される、フッ素を含有する構造単位は、1種のみでも、複数種が含まれてもよい。
フッ素を含有する構造単位としては、主鎖を形成する原子が炭素のみであっても酸素などの炭素以外の原子を含んでいても良い。含フッ素重合性ポリマー中の、フッ素含率は20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。フッ素含率を上述の範囲とすることにより十分な撥水性と架橋性を両立させることができる。
フッ素を含有する構造単位の好ましい形態としては、下記の一般式3a〜3dに示す構造単位が挙げられる。
Figure 2005153390
一般式3a中、Rf0は、フッ素原子、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または、-ORf1基を表す。Rf0がパーフルオロアルキル基の場合には、相当するモノマーの重合反応性の観点から、炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基、具体的には、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基がより好ましい。Rf1は炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基を表わし、炭素数1〜12の含フッ素脂肪族基が好ましい。具体的には、例えば炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、−CH2F、−CHF2、−CH2CF3、−(CH2)225、−CH2CF2CF2CFH2、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF32、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)を有していても良く、また脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)を有していても良く、あるいは含フッ素脂肪族エーテル結合基(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H、−CF2CH2OCH2CF3、−(CF2)2(CH2)2OCH(CF3)3等)であってもよい。
また、一般式3b中、R0は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。
L1は、−(共有結合、すなわちCとRf2とが直接結合した状態を示す)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR50−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−、−SO2NR56−、−NR57SO2−、−SiR5859−、−PR60−、−PO(OR61)O−、−OPO(OR62)−、−PO(OR63)NR64−、−NR65PO(OR66)−、−NR67PO(NR6869)NR70−、−NR71−を表す。中でも、−O−、−S−、−CO−、−CONR50−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−、−SO2NR56−、−NR57SO2−、−SiR5859−、−PR60−、−PO(OR61)O−、−OPO(OR62)−、−PO(OR63)NR64−、−NR65PO(OR66)−、−NR67PO(NR6869)NR70−、−NR71−が好ましく、−O−、−S−、−CO−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−がより好ましく、−O−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−がより好ましく、−O−が特に好ましい。ここで、R50からR71はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表し、Hまたは、炭素数1から6の置換または無置換のアルキル基が好ましく、Hまたは、炭素数1から3の無置換のアルキル基が特に好ましい。
Rf2はCH結合の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表し、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を連結基内に有していてもよく、水酸基やアルコキシ基などの置換基を有していても良い。炭素原子数1から20のパーフルオロアルキル基、1H,1H−炭素原子数2から18のパーフルオロアルコキシ基、1H,1H,2H,2H−炭素原子数3から18のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、炭素原子数3から20のパーフルオロアルキル基、1H,1H−炭素原子数3から18のパーフルオロアルコキシ基、1H,1H,2H,2H−炭素原子数4から18のパーフルオロアルコキシ基がより好ましく、1H,1H−炭素原子数6から18のパーフルオロアルコキシ基、1H,1H,2H,2H−炭素原子数6から18のパーフルオロアルコキシ基が更に好ましく、1H,1H,2H,2H−炭素原子数6から18のパーフルオロアルコキシ基が特に好ましい。
一般式3c中、R1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。aおよび/またはcが0の場合、各々単結合を表す。
また、一般式1d中、R3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。aは、上記一般式3cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。d、k、lおよび/またはmが0の場合、各々単結合を表す。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
一般式3aで表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、完全または部分フッ素化モノあるいはジビニルエーテル類、フルオロ置換環状エーテル類(例えばヘキサフルオロエポキシプロパン、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、3−(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルオキシ) −1,2−エポキシプロパン等)等が挙げられる。
一般式3bで表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化モノあるいはジビニルエーテル類、等が挙げられる。
一般式3cで表される構造単位の好ましい例としては、下記に示す(f-1)〜(f-8)等が挙げられ、一般式3dで表される構造単位の好ましい例としては、下記の(f-9)〜(f-16)等が挙げられる。
Figure 2005153390
主鎖を形成する原子が炭素以外の原子を含む場合の、フッ素を含有する構造単位を含む主鎖の例として、例えば、以下の具体例のように、複数の構造単位がそれぞれ酸素原子で連結されているような構造が挙げられる。
Figure 2005153390
ラジカル重合性基は、紫外線、熱または電子線等のエネルギー付与や活性ラジカルの付加によって固体化する重合性の二重結合を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基(ビニルエステル類やビニルエーテル、スチレン誘導体など)、内部二重結合性基(マレイン酸など)が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、重合反応性が高いことから、アクリロイル基、メタクリロイル基が更に好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
ラジカル重合性基を含有する構造単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが、下層との密着力が弱くなる傾向がある。そのため含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般にラジカル重合性基を含有する構造単位は含フッ素重合性ポリマー中の10〜70モル%を占めることが好ましく、20〜60モル%を占めることがより好ましく、30〜60モル%を占めることが特に好ましい。
ラジカル重合性基を含有する構造単位の好ましい形態としては、下記の一般式4で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2005153390
一般式4中、R10、R11はおのおの独立して、水素原子、塩素原子、フッ素原子を表し、水素原子、フッ素原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
12は、水素原子、塩素原子、フッ素原子、置換基を有していても良いアルキル基、カルボキシル基を表し、水素原子、フッ素原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
L3は炭素数1〜20の連結基を表し、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を連結基内に有していても良く、水酸基やアルコキシ基などの置換基を有していても良い。炭素数2〜8のアルキレン基、環状構造を内部に含むアルキレン基、フェニレン基、アルキレン鎖内部に連結基としてO、Nを有するアルキレン基、水酸基やアルコキシ基などの置換基を有するアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素原子数が6〜10の環状構造を内部に含むアルキレン基、フェニレン基、構成する炭素原子数が3〜10のアルキレン鎖内部に連結基としてO、Nを有するアルキレン基、構成する炭素原子数が3〜10の水酸基やアルコキシ基などの置換基を有するアルキレン基がさらに好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基、構成する炭素原子数が3〜10のアルキレン鎖内部に連結基としてO、Nを有するアルキレン基、構成する炭素原子数が3〜10の水酸基やアルコキシ基などの置換基を有するアルキレン基が特に好ましい。
L2、L4はそれぞれ独立して、一般式1の1b記載のL1と同義である。
pは0または1である。
Xは水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、適度な硬化反応性の観点から、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式4で示される構造単位の具体例を以下に例示する。
Figure 2005153390
Figure 2005153390
Figure 2005153390
ラジカル重合性基を含有する構造単位は、側鎖にラジカル重合性基を有するモノマーの重合により製造することも可能であるが、重合反応中に側鎖のラジカル重合性基が反応してしまうと不溶のゲルになりやすいことから、側鎖にラジカル基を有さない共重合体を予め製造した後に、重合性基を導入して形成するのが好ましい。
ラジカル重合性基の導入法として、(メタ)アクリロイル基を例に説明する。導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(6)3-クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。
これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(2),(3)の手法によってラジカル重合性基を導入する方法、グリシジル基を含有するポリマーに対して(4)の手法によってラジカル重合性基を導入する方法、及び(5)の手法によってラジカル重合性基を導入する方法が好ましく、水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(3)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入する方法、グリシジル基を含有するポリマーに対して(4)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入する方法、及び(5)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入する方法がより好ましい。
前記含フッ素重合性ポリマーは前記フッ素を含有する構造単位および前記ラジカル重合性基を含有する構造単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、防塵・防汚性等種々の観点から適宜、その他の構造単位(他のセグメントを構成する構造単位や、セグメントの連結部位となる構造単位)などを含んでも良い。
前記その他の構造単位を構成するモノマーは特に限定はなく前記フッ素を含有する構造単位および前記ラジカル重合性基を含有する構造単位を構成するモノマーと共重合しうるものであれば、如何なるものも使用でき、官能基を含まなくても含んでいても良い。
また、前記含フッ素重合性ポリマーが本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)の場合(前記第1セグメントと前記第2セグメントに分離できる構造の場合)には、第1セグメントには前記フッ素を含有する構造単位の他に、ラジカル重合性基を含有しないその他の構造単位(以後、「構造単位A」という)を含んでも良い。構造単位Aはラジカル重合性基以外の官能基を含まなくても含んでいても良いが、撥水性を妨げない点から、親水性の官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基など)を有さないものが好ましい。
更に、第2セグメントには前記ラジカル重合性基を含有する構造単位の他に、ラジカル重合性基を含有しないその他の構造単位(以後、「構造単位B」という)を含んでも良い。構造単位Bは前記ラジカル重合性基を含有する構造単位の原料モノマーあるいはラジカル重合性基を導入する前の構造単位の原料モノマーと共重合するものであれば如何なるものも使用できる。構造単位Bはラジカル重合性基以外の官能基を含まなくても含んでいても良いが、基材への密着性、あるいは、硬化反応性の添加剤と反応しうるような官能基を含むものが好ましい。
前記その他の構造単位を構成するモノマーの例のうち、官能基のないものとして、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するアクリレートなど)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸アリル、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N,N-ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N‐ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができ、オレフィン類、アクリル酸エステル類(エステル基が炭素数4以上のアクリレート、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するアクリレートなど)、メタクリル酸エステル類(エステル基が炭素数4以上のメタクリレート、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するメタクリレート等)、スチレン誘導体、ビニルエーテル類が特に好ましい。
官能基を含むものとして、エポキシ基含有ビニルモノマー(アクリル酸グリシジル、1,2−エポキシシクロヘキシル基を含有するメタクリレート、グリシジルビニルエーテル等)、水酸基含有ビニルモノマー(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、N−ヒドロキシアクリルアミド、p−ヒドロキシメチルスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、シランカップリング基含有ビニルモノマー(3−トリメトキシシリルプロピルアクリレート、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレート等)、アミノ基含有ビニルモノマー(3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルアクリルアミド等)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)等を挙げることができる。
前記その他の構造単位を構成するモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、該その他の構造単位を用いる場合、該その他の構造単位合計で含フッ素重合性ポリマー中の65モル%以下の範囲で導入されていることが好ましく、40モル%以下の範囲であることがより好ましく、30モル%以下の範囲であることが特に好ましい。
上記含フッ素重合性ポリマーの数平均分子量は、1500〜500,000であるのが好ましく、重合度は10〜1,000であるのが好ましい。より好ましくは、平均分子量は、1500〜200,000であり、重合度は10〜500である。とりわけ、平均分子量は、1500〜100,000であることが好ましく、重合度は10〜200であることが好ましい。
本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)の具体例を以下に示す。前記のとおり、本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)は、それぞれ第1セグメントと第2セグメントとに分けられない構造のポリマーである。続けて、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)の具体例を示す。前記のとおり、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)は、それぞれ上述した第1セグメントと第2セグメントとに分けられるポリマーである。
Figure 2005153390
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本発明に用いられる含フッ素化合物(前記含フッ素重合性ポリマー(I)(II)を含む)の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基等を導入することにより行うことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、p.124−154に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
前記ゾル成分と前記(b)含フッ素化合物との配合割合は、前記ゾル成分100質量部に対して、前記(b)含フッ素化合物2000〜50質量部とするのが、 撥水性と耐磨耗性の点で好ましく、1000〜500とするのが更に好ましい。
[(c)無機微粒子]
本発明の重合性樹脂組成物は、無機微粒子を含有することが好ましい。
そして、本発明のインクジェット記録ヘッドにおいては、前記ゾル成分は、無機微粒子を併用する場合に特に効果を発揮するので、好ましい。ゾル成分等に含まれるシランカップリング部位が無機微粒子表面に吸着および/または反応し、無機微粒子と有機素材との親和性が向上するため、撥水性のポリマーと混合した場合でも、粒子に存在するゾル成分等とポリマーの親油性基同士の相溶性のために理想的な分散状態が期待でき、乾燥・硬化後にも親和性あるいは相互作用により、力学特性が優れた膜となる。
無機微粒子の形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましく用いられるが、球状が分散性がよくより好ましい。また、無機微粒子の種類についても特に制限されるものではないが、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNi等が挙げられる。
樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物中の全固形分に対して30質量%以下の範囲であることが好ましく、20質量%以下の範囲であることがより好ましく、10質量%以下の範囲であることが特に好ましい。
無機微粒子の凝集、沈降を抑制する目的で、分散安定化剤を併用しても良い。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤および、前記ラジカル重合性基含有のゾル成分も含め、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。分散安定化剤の添加量は特に制限されるものではないが、例えば、無機微粒子100質量部に対して、1質量部以上の値とするのが好ましい。また、分散安定化剤の添加方法も特に制限されるものではない。
無機微粒子の平均粒径は0.001〜2μmであることが好ましく、0.001〜0.5μmであることがより好ましく、0.001〜0.2μmであることが更に好ましく、0.005〜0.05μmであることが特に好ましい。微粒子の粒径はなるべく均一(単分散)であることが好ましい。
次に重合性樹脂組成物について説明する。
[重合性樹脂組成物]
本発明のインクジェット記録ヘッドに用いられる重合性樹脂組成物は、前述の(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、又は(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンと、(b)含フッ素化合物と、必要に応じて用いられる(c)無機微粒子とを溶剤に溶解あるいは乳化、分散させてなる組成物であり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
−溶剤−
重合性樹脂組成物に含まれる溶剤としては、前記ゾル成分や含フッ素化合物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または乳化、分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。
安全性の高いものを用いることが好ましい。安全性が高い溶剤とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶剤であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。更に、適度な時間で皮膜を形成させるために、室温から150℃の加熱により、揮発するものが好ましい。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
−その他の成分−
本発明の樹脂膜形成用重合性組成物は、通常、液の形態をとり、前記重合性基含有のゾル成分を必須の構成成分とし、必要に応じて重合開始剤や貯蔵安定剤、および各種添加剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
1)重合開始剤および増感剤
重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
光重合開始剤としては、光により発生したラジカルや他の活性種が前記モノマー中の重合性二重結合と反応するものであれば特に制限はないが、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等が一般的に知られ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
具体的には、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル ナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)のp.65−148に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用しても良い。
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるもので、一般にアミン類が用いられる。アミン類の添加により硬化速度が速くなるのは、第一に水素引き抜き作用により光重合開始剤に水素を供給するためであり、第二に生成ラジカルが大気中の酸素分子と結合して反応性が悪くなるのに対して、アミンが組成中に溶け込んでいる酸素を捕獲する作用があるためである。
増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
増感剤は必ず用いる必要がある成分ではないが、用いる場合使用量は、通常全固形分中10質量%以下であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。光開始剤と増感剤の選定や組み合わせ、及び配合比に関しては使用する紫外線硬化モノマー、使用装置によって適宜選定すればよい。
重合開始剤の添加量としては、炭素-炭素二重結合の重合を開始できる量であれば良いが、一般的には樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
2)貯蔵安定剤
貯蔵安定剤は保存中の好ましくない重合を抑制するもので、組成物に溶解するものを用いる。例としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
使用量は用いる重合開始剤の活性やビニル重合性基の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、一般的には0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。0.005質量%以上とすることにより保存安定性が向上し、1質量%以下とすることにより皮膜形成後の重合反応(硬化)がスムーズに起こる。
3)添加剤
基材との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、反応性基(エポキシ基、オキセタン基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基など)を2つ以上有する化合物、反応性シランカップリング剤、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤、あるいは導電性微粒子(ITO(SnO2をドープしたIn23),ATO(SbをドープしたSnO2),Sb23,SbO2,In23,SnO2、導電性ZnO、AZO(ALをドープした酸化亜鉛)、五酸化アンチモン亜鉛等の導電性金属酸化物微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム等の導電性窒化物、金、銀、銅等の金属粒子など)を添加することもできる。これらを添加する場合には樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物中の全固形分に対して30質量%以下の範囲であることが好ましく、20質量%以下の範囲であることがより好ましく、10質量%以下の範囲であることが特に好ましい。
添加剤としてラジカル重合性基以外の反応性基を含有する化合物を用いる場合や前記含フッ素重合性ポリマーにラジカル重合性以外の反応性基を含む場合にはラジカルを発生する重合開始剤だけではなくカチオン重合開始剤や架橋反応の促進剤を併用することが好ましい。
また、防汚性、耐水性等の特性をさらに強化させる目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物全固形分の20質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10質量%以下の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは5質量%以下の場合である。
上述のように、本発明のインクジェット記録ヘッドには上述の重合性樹脂組成物が用いられる。本発明の重合性樹脂組成物は、ゾル成分と含フッ素化合物に、さらに前記貯蔵安定剤を含有することが好ましい。
次に、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、記録ヘッドの撥インク処理部に、溶剤と、ゾル成分と、(b)含フッ素化合物とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物を塗工する工程、及び塗工後に溶媒を蒸発させて形成した塗工膜に、活性化エネルギー線又は熱を加えて重合性ポリマーの架橋体を形成させる工程を行って該架橋体による樹脂膜を形成することにより実施できる。
(樹脂膜形成方法)
前記樹脂膜の形成方法について説明する。
上述の重合性樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成するには、ノズルプレート表面に塗布やディップコートなどにより、樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物の膜を形成し、活性エネルギー線あるいは熱によって架橋反応を行う。用いるノズルプレートの材質は、金属、セラミックス、シリコン、ガラス、プラスチック等従来公知のものが使用できる。
活性エネルギー線としてはα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを使用することができる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。
紫外線や可視光線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどが使用できる。
通常ラジカルによるビニル重合性基の重合反応は、酸素により阻害されるが、本発明の樹脂膜形成用重合性組成物はビニル重合性基を側鎖に導入して、重合性基の運動性を保持している点と適度な含有率のために重合性に優れるので、常温の空気下での重合反応性でも十分な硬化が可能である。しかしながら、重合反応処理時に、酸素濃度を下げたり、加熱したりする条件で実施することも可能である。
加熱を行う場合には30〜200℃程度の温度範囲が好ましく、より好ましくは30〜150℃であり、更に好ましくは30〜120℃であり、特に好ましくは30〜100℃の場合である。加熱時間は30秒〜100時間の範囲が好ましく、より好ましくは1分〜1時間であり、特に好ましくは2分〜15分である。
なお、上述した各工程以外の工程は、従来のインクジェット記録ヘッドの製造方法に準じて行うことができる。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、記録用の液体を吐出する吐出口を有するインクジェット記録ヘッドであって、少なくとも吐出口周辺部に撥インク処理されて形成された記録ヘッドの撥インク処理部を有し、該撥インク処理部が前記重合性樹脂組成物の架橋体であることを特徴とする。すなわち、該撥インク処理部が、上述の重合性樹脂組成物を架橋させてなる架橋体を含んでなるものである。ここで、重合性樹脂組成物を架橋させてなる架橋体とは、重合性樹脂組成物を塗工した後乾燥させて溶剤を蒸発させて形成した樹脂膜に活性エネルギー線や熱等を加えて、重合性樹脂組成物中の重合性ポリマーを重合させることにより架橋構造を形成させてなる架橋体を意味する。
<撥インク処理部の形成>
上記撥インク処理部は、後述する基体に直接、又は、他の層を介して上記重合性樹脂組成物の塗布液を塗布して構築することが好ましい。
該塗布液は、上記重合性樹脂組成物の溶液、必要に応じて無機化合物の超微粒子分散物や添加剤を塗布用分散媒に各々所定の濃度に混合・希釈して調整される。
該塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜25μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は15kgf/cm2以下、より好ましくは10kgf/cm2以下、更には2kgf/cm2以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物の濾過部材と同様のものが挙げられる。
又、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明において、樹脂膜は、後述する基体上に上記重合性樹脂組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いる、或は樹脂膜塗設側と反対の基体面側より光照射しても良い。塗膜層内の深さ方向での膜硬化が表面近傍と遅滞無く進行し均一な硬化状態の樹脂膜が得られる。
ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。光重合の場合の照射する紫外線の照射強度は、0.1〜500mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
<インクジェット記録ヘッドの撥インク処理部>
本発明のインクジェット記録ヘッドは、従来公知の微小液滴を噴射する液体吐出ヘッドであれば何れでもよい。例えば、Pond Stephen F.「Inkjet Technology and Product Development Strategies」(TorreyPines、2000年刊)、甘利武司監修「インクジェットプリンター技術と材料」((株)シーエムシー、1998年刊)、(「インクジェット記録とプリンター記録方式とプリントヘッドの開発」((株)シーエムシー、2000年刊)等に記載の各種記録方式のヘッドが挙げられる。具体的には、帯電制御型、加圧振動型等のコンティニアス方式、電気−機械変換方式(ピエゾ型等)、電気−熱変換方式(バブルジェット型)、静電吸引方式、超音波方式等のオンデマンド方式が挙げられる。
上記撥インク処理部が形成される周辺部は、上記のような各種記録ヘッドの、少なくともインク滴吐出口周縁とすることが好ましい。例えば、インクを吐出する吐出口とこの吐出口に連通するインク路とを有するインクジェット記録ヘッドと、前記インク路にインクを供給するためのインク供給部材とを有する記録ヘッドユニットと、前記インク供給部材によって前記インク路に供給されるインクを貯留するためのインクタンク部とを備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、例えば、吐出部(ノズル)形成部材のノズル孔先端の周縁部を撥インク処理部とするのが好ましい。然し、記録方式やヘッドの構造等により、これに限定されるものではない。
[撥インク処理部の形成方法]
撥インク処理の実施は、ノズルプレートにノズルを穿孔する前及び後の何れの時に行ってもよい。
ノズルプレートに穿孔されるノズル径は、インク滴吐出口の大きさが、直径15〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜60μmである。
これらのノズルの穿孔方法としては、例えばプレス加工、電鋳加工、エキシマレーザー加工、フォトファブリケーション方法等が挙げられる。
又、ノズル穿孔後に撥インク処理を行う場合には、ノズル孔内部をレジストで塞ぎ、処理した後レジストを取り除く方法、ノズルに気体流を流しながら処理する方法等が好ましく行われる。又、撥インク処理用の重合性樹脂組成物がインク滴吐出口からノズル孔内部へ入り込む位置及び入り込む量を精密に制御する方法として、マスキング方法も好ましい。
又、撥インク処理後にノズルプレートをヘッド部に接着する場合は、該プレートの裏面を撥インク処理しないことが好ましい。
本発明の發インク処理部(硬化膜)の厚みは、特に限定はされないが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。
本発明に供されるノズルプレートは、従来公知の基体が用いられる。例えば、金属、セラミックス、シリコン、ガラス、プラスチック等で形成される。例えば、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、金等の単一もしくはニッケルーリン合金、スズ−銅−リン合金(リン青銅)、銅−亜鉛合金、ステンレス鋼40 等の合金、や、熱硬化、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性のある有機樹脂材料(例えば、熱硬化性ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ABS 樹脂(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン供重合)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、サルファイド等)各種の感光性樹脂で形成された材料等が挙げられる。
又、これらの材料を積層に貼り合わせて用いることも出来る。例えば、有機樹脂材料と、金属やセラミックス等の高剛性の無機材料とを接合することでノズルプレート全体の剛性を高めることができる。すなわち、有機樹脂材料のヤング率は100〜300Kg/mm2程度であり、金属の8000〜15000Kg/mm2、セラミックスの10000〜20000Kg/mm2に比較すると、はるかに小さいため、有機樹脂材料だけではインクジェットの駆動圧力に対して追随して変形することがあり、圧力損失が生じてインク滴速度Vjが低下するが、樹脂材料の下に高剛性材料を薄膜接着剤(接着層)で張り合わせることで全体剛性を向上させる。
プレートの厚みは、加工強度、加工に要するエネルギー負荷、ヘッドとしての軽量性等から30〜50μm程度が好ましい。
撥インク処理部の樹脂膜が形成される基体の面、すなわち前記撥インク処理部における重合性樹脂組成物が塗布される面の撥インク処理前の表面形状は、凹凸を形成していることが、撥インク処理部の樹脂膜とのアンカー効果により該樹脂膜との密着性が保持され、該樹脂膜の強度が向上されるので、好ましい。
撥インク処理部の樹脂膜が形成される基体の面の表面形状は、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μmとなる範囲であることが好ましい。より好ましくは、Raが0.01〜0.3μm以下、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.15以上、最大高さ(Ry)0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.001〜0.5μmである。
この範囲において、撥インク処理部の樹脂膜の均一な塗布性と密着性を良好に保持することが出来、好ましい。
さらに又、基体に直接撥インク処理部の樹脂膜を形成する代わりに、後記する中間層を介する場合にも、撥インク処理部の樹脂膜が形成される中間層の表面に凹凸形状を付与した後に該重合性樹脂組成物を塗設することが好ましい。好ましい表面凹凸状態は、上記したと同様の範囲である。
<中間層>
撥インク処理部には、上記のノズルプレート(基体)と撥インク処理により形成される樹脂膜との間に少なくとも1層の中間層を設けてもよい。該中間層は、密着性、ハードコート性、プライマー性、導電性等の機能を持たせることが好ましい。
中間層としては、密着性を持つことが好ましく、無機層、有機層、無機−有機ハイブリッド層の何れでもよく、密着性の観点から基体と撥インク処理部の組み合わせで適宜に選択される。中間層は、ハードコート性(鉛筆硬度が2以上、好ましくは3以上となる層)を併せ持つことが好ましい。更に、導電性が付与されることも好ましい。
有機層、或は無機−有機ハイブリッド層から成る場合に、中間層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能モノマーや多官能オリゴマー或いは加水分解性官能基含有の有機金属化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。更に前記の撥インク処理部の重合性樹脂組成物の微粒子を適宜併用することでハードコート性が向上する。更に、前記の導電性微粒子を含有することで導電性が付与できる。
中間層の膜厚は0.001〜2μmが好ましく0.01〜0.5μmがより好ましい。
中間層が、本発明の撥インク処理部の直下の層の場合には、該層の表面は、凹凸を形成していることが好ましい。
撥インク処理部の樹脂膜とのアンカー効果により該樹脂膜との密着性が保持され、撥インク樹脂膜の強度が向上される。
中間層の好ましい表面形状は、前記した撥インク処理部の樹脂膜が形成される基体の面の表面形状の値と同様の範囲である。
[凹凸形状付与の方法]
上記のような微細な凹凸形状を、撥インク処理部の樹脂膜が形成される、基体または中間層の面に形成する方法は、従来公知の基体表面の形状を改質する、中間層自身が形成されたときに表面状態が微細な凹凸状となる中間層とする、或はこれらを組み合わせる方法を用いることが出来る。
基体表面の形状改質方法としては、例えば、ドライエッチング方法、基体が有機層の場合には更にエンボス版或は貼型用シートから凹凸をフィルム表面に転写するエンボス加工方法等が挙げられる。
ドライエッチング方法としては、例えば、水町浩、鳥羽山 満、監修「表面処理技術ハンドブック−接着・塗装から電子材料まで−」第2編第3節((株)エヌ・ティー・エス、2000年刊行)、田附重夫等編、「高分子のビーム加工−光・プラズマ・放射線の利用−」((株)シーエムーシー、1986年刊行)、上條栄治監修、「プラズマ・イオンビーム応用とナノテクノロジー」第1章〜第4章((株)シーエムーシー、2002年刊行)等に記載のグロー放電エッチング、フレームプラズマエッチング、コロナ放電エッチング、電子線エネルギー照射エッチング等が挙げられる。
又、エンボス加工方法としては、平板版プレス、連続ベルト版プレス、ロール版プレスのいずれも採用できる。この内、帯状物の連続加工として連続ベルト版プレスとロール版プレスが、さらにプレス圧やプレス温度の自由度の観点でロール版プレスが最も好ましい。
表面凹凸となる中間層としては、例えば、加水分解性基含有の有機金属化合物の加水分解から得られるゾル−ゲル反応物を塗布し、加熱或はプラズマ照射にして得られる金属酸化物膜、光及び/又は熱硬化性化合物と微粒子を含む組成物と塗設して得られる硬化膜等が挙げられる。
<撥インク処理部の特性>
(表面の形状)
撥インク処理部の表面、すなわちノズル孔の吐出口がある面の形状が、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が1μm以下、最大高さ(Ry)が3μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が15μm以下となる範囲であることが好ましい。更には、(Ra)が0.01〜0.5μm、最大高さ(Ry)2μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.02〜10μm以下となる範囲であることが好ましい。
このような表面状態とすることで、ゴムや布等からなるワイパを用いてノズル開口面を拭くワイピングに対して、撥インク処理部の撥インク性が充分に保持される。
(帯電防止性)
撥インク処理部の表面に帯電圧を与えその減衰を測定したとき、帯電量が初期の1/2となるのに要する時間(以下、帯電圧半減期と記す)が60秒以下であることが、該撥インク処理部を設けた後の帯電防止性の効果が充分となり、ワイピング操作等での塵埃の付着防止効果が減少しないため、好ましい。
特に、帯電圧半減期が30秒以下である場合は効果が高く望ましい。
帯電圧半減期を測定する具体的な方法を以下に記す。まず物品の表面の帯電圧を静電位計でモニターしながら、直流コロナ放電によって表面を帯電させる。放電と共に帯電圧が上昇しある電位で飽和するのでこの電位を飽和電圧とし、放電を止め、その瞬間から帯電圧が飽和電圧の1/2となるまでの時間を測定する。
<インクジェット記録装置>
上記重合性樹脂組成物は微小液滴を噴射するインクジェット記録ヘッドの撥インク処理部の形成に供することが出来る。このような撥インク処理部を有するインクジェット記録ヘッドは、インクジェット記録方式のいずれの記録ヘッドにも用いることが出来る。具体的には、前記した記録ヘッドの項に記載の刊行物等に記載の内容が挙げられる。
更には、本発明は、インクジェット記録装置以外の小さいノズルを通して微小液滴を射出する適宜の装置であって、ノズルプレート上に撥液特性を必要とする適宜の機器に適用し得る。これらの該液としては塗料(ワニス)、溶媒、医薬流体等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「%」は、特に断りがない限り、「質量%」を表す。
(合成例)
<重合性基含有のゾル液a−1の調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 48g、アルミニウムジイソプロポキシド エチルアセトアセテート 0.84g、メチルエチルケトン 60g、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.06g、水 11.1gを加え混合したのち、60℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し透明なゾル液a−1を得た。
質量平均分子量は1700であり、オリゴマー成分以上の成分を100%とした場合の質量平均分子量が1000から20000の成分は100%であり、T3/T2の値は1.1であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
<重合性基含有のゾル液a−2の調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン29.5g、エタノール 62.5g、イオン交換水 3.4g、2N塩酸 3gを加え混合したのち、40℃で3時間反応させた後室温まで冷却し、エタノールを30g加え、透明なゾル液a−2を得た。質量平均分子量は1300であり、質量分子量が1000から20000の成分は100%であり、T3/T2の値は0.6であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
<重合性基含有のゾル液a−3の調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン161g、シュウ酸 123g、エタノール415gを加え混合したのち、70℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し透明なゾル液a−3を得た。
質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分を100%とした場合の質量平均分子量が1000から20000の成分は100%であり、T3/T2の値は0.9であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
<重合性基含有のゾル液a−4の調製>
オルガノシランのゾル組成物a−1の調製において、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン29.5gをアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン19.5gとグリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.0gの混合物に変更する以外はオルガノシランのゾル組成物a−1の調製と同様の操作で透明なゾル液a−4を得た。質量平均分子量は1400であり、オリゴマー成分以上の成分を100%とした場合の質量平均分子量が1000から20000の成分は100%であり、T3/T2の値は1.0であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のオルガノシランは全く残存していなかった。
<重合性基含有のゾル液a−5の調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 40g、メチルイソブチルケトン 50.6g、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05g、水 9.2g、硫酸 0.17gを加え混合したのち、50℃で3時間反応させた後、室温まで冷却し透明なゾル液を得た。ゾル液に、水 50gと水酸化ナトリウム 0.13gの混合液を加え、全体が濁るように激しく攪拌したのち、静置して、分離した水相を除いた。次いで、飽和食塩水 40gで洗浄し、更に、無水硫酸マグネシウムで脱水処理した。
質量平均分子量は1700であり、オリゴマー成分以上の成分を100%とした場合の質量平均分子量が1000から20000の成分は100%であり、T3/T2の値は2.5であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
<ゾル液a−6の調製>
ゾル液a−3の調製において、反応条件70℃、4時間を100℃、9時間に変更した他は、ゾル液a−1の調製と同様にして白濁した比較用ゾル液b−2を得た。質量平均分子量は52万の分子量分布の広い成分が25%、質量平均分子量1800の成分が75%であり、T3/T2の値は1.8であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
<ゾル液a−7の調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 40g、メチルイソブチルケトン 50.6g、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05g、水 9.2g、硫酸 0.17gを加え混合したのち、50℃で3時間反応させた後、室温まで冷却し透明なゾル液を得た。ゾル液に、水 50gと水酸化ナトリウム 0.15gの混合液を加え、全体が濁るように激しく攪拌したのち、静置して、分離した水相を除いた。次いで、飽和食塩水 40gで洗浄し、更に、無水硫酸マグネシウムで脱水処理した。
質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分の質量部を100とした場合の質量平均分子量が1000から20000の成分の質量部は100であり、T3/T2の値は4.2であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
<比較用のゾル液b−1の調製>
ゾル液a−1の調製において、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを3−アセトキシプロピルテトラメトキシランに換えた他は、ゾル液a-1の調製と同様にして透明な比較用ゾル液b−1を得た。質量平均分子量は1400であり、オリゴマー成分以上の成分を100%とした場合の質量平均分子量が1000から20000の成分は100%であり、T3/T2の値は0.9であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料の3−アセトキシプロピルテトラメトキシランは全く残存していなかった
(重合性樹脂組成物)
下記表に示す各成分と共通する成分としてメトキシフェノール(貯蔵安定剤)を固形分に対して0.02質量%になるよう混合し、メチルエチルケトンで希釈した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、重合性樹脂組成物を調製した。
Figure 2005153390
SI:MEK-ST(商品名:日産化学(株)製、平均粒径約15nmのシリカゾル30%メチルエチルケトン分散物) 無機微粒子
IRG907:イルガキュア907(商品名:チバガイギー(株)製) 光ラジカル重合開始剤
IRG1870:イルガキュア1870(商品名:チバガイギー(株)製) 光ラジカル重合開始剤
DETX:カヤキュア−DETX(商品名:日本化薬(株)製) 光増感剤
EDA:N-エチルジエタノールアミン 重合促進剤
U:ウレア 膜物性制御
D110N:タケネートD110N(商品名:武田薬品工業(株)製、多官能イソシアネート化合物) 膜物性制御
TGE:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル 膜物性制御
PET4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(多官能アクリレート化合物) 膜物性制御
PAA:アクリル酸-ブチルアクリレートコポリマー(共重合モル比20:80、分子量6000) 膜物性制御
P2-1:ヘキサフルオロプロピレン/ヒドロキシプロピルビニルエーテル共重合体(モル比1:1)
P2-2:ポリ(1H,1H−パーフルオクチルアクリレート)構造を有するマクロモノマー/グリシジルメタクリレート 共重合体(60/30質量比)
(実施例1)
図1に示すインクジェット記録ヘッドを作成した。ここで、図1は、本発明のインクジェット記録ヘッドの要部を示す一部拡大断面図である。図1に示すインクジェット記録ヘッドは、ノズル孔2が配置されたノズルプレート1表面上に、撥水性樹脂膜3が設置されてなる。そして、具体的には、本実施例においては、予めノズルプレート1のノズル孔部分をプレートの裏面側からポジレジストで保護し、ノズルプレート1の表面に、前記樹脂膜形成用重合性組成物を乾燥後の膜厚が1.5μmになるよう塗布し、メタルハライドランプにより紫外線を300mJ/cm2照射し、表2に示すような加熱処理を行って硬化膜を作成した後、レジストを除去して製造した。本実施例は、予めノズル孔を作成した後に撥水性樹脂膜を設置したが、ノズル孔のないノズルプレートに撥水性樹脂膜を設置した後に、ノズル孔を設けても良い。
Figure 2005153390
製作したノズルプレートを用いたインクジェットヘッドは、全ノズルからインク滴が安定して吐出することを確認した。更に、以下のような耐久試験を行った。
耐久性:耐久性の評価として、ノズルプレートの表面をウレタンゴムでウエットワイピングし、キズ、ハガレの観察を実施した。キズ、ハガレがないものをA、少しキズがあるがハガレがないものをB、ハガレがあるものをCとした。
撥インク性:インクに55℃の雰囲気下で3日間の浸漬を行い、撥インク性を調査した。浸漬前と殆ど変化がないものをA、撥インク性が少し劣化したが実用に耐えられる範囲のものをB、撥インク性が著しく劣化し実用に耐えられないものをCとした。
表2の結果から明らかなように、本発明の樹脂膜形成用の重合性組成物を用いることで、加熱処理なしあるいは100℃以下の穏やかな熱処理を行うことで、吐出適性と耐久性、撥インク性に優れた撥水性樹脂膜を形成でき、特に無機微粒子を添加した場合や含フッ素ポリマーがラジカル重合性ポリマーの場合に耐久性に優れている。
(実施例2)
前記図1のノズルプレート1の表面に、予めエポキシ樹脂で中間層を設けた後に、重合性組成物P−32を塗布し、90℃20分の加熱処理を行って撥水性樹脂膜を形成した。前記実施例1と同様にして評価を行ったところ、吐出適性に優れ、密着性、撥インク性ともにAと優れていた。
図1は、本発明のインクジェット記録ヘッドの要部を示す一部拡大断面図である。
符号の説明
1 ノズルプレート
2 ノズル孔
3 撥水性樹脂膜

Claims (10)

  1. 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、
    (a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物と、
    (b)含フッ素化合物
    とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、
    (a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンと、
    (b)含フッ素化合物
    とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記重合性基がラジカル重合性基であり、前記(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/もしくはその部分縮合物は、その質量平均分子量が300以上の成分を100質量%とした場合、質量平均分子量が1000〜20000の成分が80質量%以上であり、かつ、T3/T2の値が、0.2から3.0の値であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記重合性基がラジカル重合性基であり、前記(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンは、その質量平均分子量が300以上の成分を100質量%とした場合、質量平均分子量が1000〜20000の成分が80質量%以上であり、かつ、T3/T2の値が、0.2から3.0の値であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記重合性基を含有するオルガノシランが下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
    Figure 2005153390
    (R21は水素もしくはメチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素、塩素を表す。Yは単結合もしくはエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基を表す。Lは2価の連結鎖を表す。nは0または1を表す。R22は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xhは水酸基または加水分解可能な基を表す。)
  6. 前記重合性樹脂組成物が、無機微粒子を更に含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記含フッ素化合物が、重合性基含有フッ素ポリマーであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. (a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、又は(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンと、(b)含フッ素化合物と、(c)無機微粒子とを少なくとも含有することを特徴とする撥水処理用の重合性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜8の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    記録ヘッドの撥インク処理部に、溶剤と、(a)重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、又は(a)’重合性基を含有するポリオルガノシロキサンと、(c)含フッ素化合物とを少なくとも含有する重合性樹脂組成物を塗工する工程、及び
    塗工後に溶媒を蒸発させて形成した塗工膜に、活性化エネルギー線又は熱を加えて重合性ポリマーの架橋体を形成させる工程を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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