JPH11293031A - 防汚性被膜及びその形成方法 - Google Patents

防汚性被膜及びその形成方法

Info

Publication number
JPH11293031A
JPH11293031A JP9617098A JP9617098A JPH11293031A JP H11293031 A JPH11293031 A JP H11293031A JP 9617098 A JP9617098 A JP 9617098A JP 9617098 A JP9617098 A JP 9617098A JP H11293031 A JPH11293031 A JP H11293031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
group
coating
titanium oxide
photocatalytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9617098A
Other languages
English (en)
Inventor
Junko Noguchi
順子 野口
Yuji Eguchi
勇司 江口
Takuya Yara
卓也 屋良
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP9617098A priority Critical patent/JPH11293031A/ja
Publication of JPH11293031A publication Critical patent/JPH11293031A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒による汚染物質の分解機能を具備し、
且つ、高度に親水性の表面及び高度に撥水性の表面であ
り、更に可視光域の光をも上記光触媒機能の発現に利用
可能とした優れた防汚性被膜及びその形成方法を提供す
る。 【解決手段】 光触媒酸化チタンと親水性有機官能基を
含有する有機無機複合バインダーからなる防汚染性被膜
であって、上記親水性有機官能基が、アルコール性水酸
基、カルボキシル基及びその塩類、アミド基、スルホン
酸基及びその塩類、リン酸基及びその塩類もしくはリン
酸エステル基、ポリエチレングリコール残基の群から選
ばれる少なくとも1種であり、且つ、上記有機無機複合
バインダーが、親水性有機官能基を有するアルコキシシ
リル化合物と4官能アルコキシシリル化合物との縮合体
からなり、該親水性有機官能基を有するアルコキシシリ
ル化合物と4官能アルコキシシリル化合物の成分比(重
量)が20:80〜80:20であることを特徴とする
防汚性被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚性被膜及びそ
の形成方法に関し、更に詳しくは、光触媒酸化チタンを
含有する高度に親水性の防汚性被膜を基本とし、更に、
シリコーン系バインダー、特にフルオロアルキル基を含
有するシリコーン系バインダーを用いることにより上記
被膜に撥水性機能を付加し、パルス化された電圧を印加
するプラズマ処理を施すことにより、上記光触媒酸化チ
タンの光触媒機能の発現に可視光域の光をも利用可能な
らしめる防汚性被膜及びその形成方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、屋外に暴露されて用いられる
外装材等の建築材料、道路資材等の汚染防止のために、
これら表面に親水性層を形成する試みがなされている。
このようにこれらの建築材料や道路資材等の表面を親水
性とすることによって、疎水性の汚染物質や帯電による
浮遊粒子等の汚染物質の付着を防止し、更に、付着した
汚染物質の水洗を容易にしようとするものである。上記
建築材料や道路資材等の表面に親水性を付与する方法と
しては、例えば、アルコキシシラン化合物を添加した塗
料組成物を、これら基材の表面に塗工して親水性被膜層
を形成し、これが空気中の水分や降雨その他の水との接
触によって、徐々に加水分解を受けて親水性を発現する
という技術が知られている。しかしながら、上記塗料組
成物によって得られる親水性の程度は、対水接触角で4
0〜60度であって、それ程高い親水性の発現は認めら
れない。
【0003】又、特開平8−267646号公報には、
基材表面に、無機質の親水性物質と光触媒酸化チタン等
の光触媒機能を有する親水性物質からなる層が形成され
た防汚性部材が開示されている。又、特開平9−579
12号公報には、短時間で低下する親水性を、光触媒機
能を有する親水性物質からなる層の表面に、主にシリカ
或いはシラノール基含有シリコーン樹脂からなる親水性
物質からなる層を設けることによって補強しようとする
試みが開示されている。
【0004】上記光触媒酸化チタン等の光触媒機能を有
する親水性物質は、紫外線照射により伝導帯に電子を、
価電子帯に正孔を生成し、これによって酸化反応及び還
元反応を生起するものであって、この作用によって防
汚、殺菌機能の発現されるため近年非常に注目されいる
ものである。又、上記紫外線照射によって防汚性部材表
面が親水性化することも見出されており、降雨による付
着物の洗浄効果等にも関心が注がれている現状にある。
しかしながら、このような光触媒酸化チタンも可視光領
域の光を利用できないために太陽光の光量の数%しか利
用できないことや室内光ではエネルギーレベルが低いの
で、利用価値が小さいこと等の問題があり、実用化には
より一層光触媒活性を高めることが望まれていた。
【0005】上記問題に関して、特開平9−57912
号公報には、光触媒酸化チタンに低圧力下で、CH4
2 ガス雰囲気中でプラズマCVD(Chemikal
Vapor Deposit)法により炭化チタンの
薄膜を形成させている。上記炭化チタンの薄膜の形成に
よって、アセトアルデヒドの分解に関し、約2倍の活性
が付与される。しかし、特開平9−57912号公報に
開示された上記方法は、プラズマ処理に長時間を必要と
するために生産性が悪く、又、低圧力下で処理する必要
があるためにコーティングされた被膜に対する処理には
適していないという問題を有する。
【0006】又、特開平8−267646号公報に開示
された防汚性部材や特開平9−57912号公報に開示
された親水性表面を備えた複合材では、泥水のような水
に分散した親水性汚染物質が接触した場合、上記防汚性
部材表面が親水性であるために却って上記親水性汚染物
質を全表面に拡散させてしまうという新たな問題を提起
するものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、光触媒による汚染物質の分解機能を具備し、且
つ、高度に親水性の表面及び高度に撥水性の表面であ
り、更に可視光域の光をも上記光触媒機能の発現に利用
可能とした優れた防汚性被膜及びその形成方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の防
汚性被膜は、光触媒酸化チタンと親水性有機官能基を含
有する有機無機複合バインダーからなる防汚性被膜であ
って、上記親水性有機官能基が、アルコール性水酸基、
カルボキシル基及びその塩類、アミド基、スルホン酸基
及びその塩類、リン酸基及びその塩類もしくはリン酸エ
ステル基、ポリエチレングリコール残基の群から選ばれ
る少なくとも1種であり、且つ、上記有機無機複合バイ
ンダーが、親水性有機官能基を有するアルコキシシリル
化合物と4官能アルコキシシリル化合物との縮合体から
なり、該親水性有機官能基を有するアルコキシシリル化
合物と4官能アルコキシシリル化合物の成分比(重量)
が20:80〜80:20であることを特徴とするもの
である。
【0009】本発明において用いられる光触媒酸化チタ
ンは、前記するように、紫外線照射により伝導帯に電子
を、価電子帯に正孔を生成し、これによって酸化反応及
び還元反応を生起するものであって、この作用によって
防汚、殺菌等の機能を発現する酸化チタンを指し、上記
機能を発現するものであれば特に限定されるものではな
いが、例えば、アナターゼ結晶型のものが好適に用いら
れる。
【0010】又、上記光触媒酸化チタンの粒径は、特に
限定されるものではないが、例えば、5〜200nm程
度のものが、被膜に透明性を付与し得る観点から好適に
用いられる。このような光触媒酸化チタンは、粉末或い
はゾルの状態で市販されているが、代表的なものとし
て、例えば、石原産業社製、商品名「ST−01」(粉
末)、「STS−01」(硝酸安定型水分散ゾル)、多
木化学社製、商品名「M−6」(水分散ゾル)、堺化学
社製、商品名「CSB」(水分散ゾル)等が挙げられ
る。
【0011】又、上記親水性有機官能基を含有する有機
無機複合バインダーのアルコール性水酸基、カルボキシ
ル基及びその塩類、アミド基、スルホン酸基及びその塩
類、リン酸基及びその塩類もしくはリン酸エステル基、
ポリエチレングリコール残基の群から選ばれる親水性有
機官能基は、例えば、アミノ基や硝酸基及びその塩類等
の上記以外の親水性有機官能基に比して、得られる光触
媒機能を有する防汚性被膜表面の親水性の長期の持続性
について特に顕著な優位性を有するものである。
【0012】上記親水性有機官能基を含有する有機無機
複合バインダーとは、上記親水性有機官能基を有するア
ルコキシシリル化合物と4官能アルコキシシリル化合物
との縮合体からなり、該親水性有機官能基を有するアル
コキシシリル化合物と4官能アルコキシシリル化合物の
成分比(重量)が20:80〜80:20である。上記
親水性有機官能基を有するアルコキシシリル化合物の成
分比が20重量%未満であると、得られる光触媒機能を
有する防汚性被膜表面の親水性が低下し、80重量%を
超えると、防汚性被膜の機械的強度が低下する。
【0013】又、親水性有機官能基を有するアルコキシ
シリル化合物と4官能アルコキシシリル化合物の成分比
を上記のようにすることによって、光触媒酸化チタンの
周囲に無機成分のシロキサン部分が会合し、光触媒酸化
チタンと上記親水性有機官能基とを分離するものである
ので、光触媒酸化チタンによる光酸化反応による有機無
機複合バインダーの分解が阻止され、上記のように防汚
性被膜表面の親水性の長期の持続性が保持されるものと
推定される。
【0014】上記光触媒酸化チタンと親水性有機官能基
を含有する有機無機複合バインダーを配合した被膜形成
組成物の光触媒酸化チタンと上記有機無機複合バインダ
ーの重量比は、好ましくは上記光触媒酸化チタン100
重量部に対して有機無機複合バインダー50〜250重
量部である。50重量部未満では、上記被膜形成組成物
の成膜性が低下し、塗工が難しくなり、250重量部を
超えると、光触媒機能が低下し、得られる防汚性被膜の
防汚性が低下する。
【0015】上記光触媒酸化チタンと親水性有機官能基
を含有する有機無機複合バインダーからなる被膜形成組
成物は、水又は極性有機溶媒で希釈して用いられてもよ
い。上記極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、iso-プロパノール、n
−ブタノール、iso-ブタノール、tert−ブタノール、se
c-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等
が挙げられる。
【0016】上記光触媒酸化チタンと親水性有機官能基
を含有する有機無機複合バインダーを配合した被膜形成
組成物を、各種基材表面に被膜状に形成し、加熱硬化す
ることによって、各種基材表面に光触媒機能が付与され
る。上記被膜形成組成物を基材表面に被膜状に形成する
手段は、特に限定されるものではないが、例えば、ディ
ップコート法、スピンコート法、ロールコート法、グラ
ビアコート法、フローコート法、カーテンコート法等が
挙げられる。
【0017】上記被膜形成組成物を各種基材表面に被膜
状に形成するに際して、上記基材面に、コロナ放電処
理、プラズマ処理、紫外線照射処理、薬品処理、プライ
マー処理等の表面処理がほどこされてもよい。
【0018】上記基材表面に形成された被膜形成組成物
は、室温付近の低温から200℃程度の範囲の温度で硬
化される。上記硬化温度は、用いられる基材の耐熱性や
被膜の性状等を考慮して決定される。上記被膜の厚さ
は、上記基材の用途やその使用条件等を考慮して決定さ
れるものであるが、例えば、加熱硬化後の厚さで0.0
5〜5μmである。上記加熱時間は、上記硬化温度によ
って変動するが、例えば、120℃の高温を用いれば数
分〜数時間程度である。
【0019】請求項2記載の発明の防汚性被膜は、光触
媒酸化チタンとフルオロアルキル基を含有するシリコー
ン系バインダーからなることを特徴とするものである。
【0020】本発明において用いられる光触媒酸化チタ
ンは、請求項1記載の発明において用いられた光触媒酸
化チタンと同じである。上記フルオロアルキル基を含有
するシリコーン系バインダーとは、フルオロアルキル基
を有する加水分解性シラン化合物と4官能加水分解性シ
ラン化合物が加水分解し、共重合したフルオロアルキル
基を含有するオルガノポリシロキサンであって、配合さ
れている光触媒酸化チタンを結着して被膜を形成し得る
機能を有するものである。
【0021】上記フルオロアルキル基を有する加水分解
性シラン化合物としては、特に限定されるものではない
が、例えば、上記式(2)に示されるような、1,1,
1−トリフルオロメチルトリメトキシシラン、パーフル
オロヘキシルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロ
オクチルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロ
オクチルエチルトリアミノシラン、パーフルオロオクチ
ルエチルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0022】上記フルオロアルキル基を有する加水分解
性シラン化合物と4官能加水分解性シラン化合物との縮
合体からなり、該親水性有機官能基を有する加水分解性
シラン化合物と4官能加水分解性シラン化合物の成分比
(重量)が20:80〜80:20である。上記フルオ
ロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物の成分比
が20重量%未満であると、得られる光触媒機能を有す
る防汚性被膜表面の親水性が低下し、80重量%を超え
ると、得られる防汚染性被膜の機械的強度が低下する。
【0023】又、フルオロアルキル基を有する加水分解
性シラン化合物と4官能加水分解性シラン化合物の成分
比を上記のようにすることによって、光触媒酸化チタン
の周囲に無機成分のシロキサン部分が会合し、光触媒酸
化チタンと上記フルオロアルキル基とを分離するもので
あるので、光触媒酸化チタンによる光酸化反応による有
機無機複合バインダーの分解が阻止され、上記のように
防汚性被膜表面の撥水性及び親水性の双方共に高いレベ
ルで長期持続性が保持されるものと推定される。
【0024】上記光触媒酸化チタンとフルオロアルキル
基を含有するシリコーン系バインダーを配合した被膜形
成組成物の光触媒酸化チタンとフルオロアルキル基を含
有するシリコーン系バインダーの重量比は、請求項1記
載の発明の光触媒酸化チタンと親水性有機官能基を含有
する有機無機複合バインダーの重量比と同様、光触媒酸
化チタン100重量部に対してフルオロアルキル基を含
有する有機無機複合バインダー50〜250重量部であ
ることが好ましく、その理由についても同様である。
又、上記光触媒酸化チタンとフルオロアルキル基を含有
するシリコーン系バインダーからなる被膜形成組成物か
ら、防汚性被膜を形成する手段についても、請求項1記
載の発明の防汚性被膜と同様である。
【0025】請求項3記載の発明の防汚性被膜は、光触
媒酸化チタンとシリコーン系バインダーからなる被膜の
表面に、撥水性被膜が形成されるか或いは撥水性基が導
入されてなることを特徴とするものである。
【0026】本発明において用いられる光触媒酸化チタ
ンは、請求項1記載の発明において用いられた光触媒酸
化チタンと同じである。
【0027】上記シリコーン系バインダーは、加水分解
性シラン化合物が加水分解し、重合して調製されたオル
ガノポリシロキサンであり、配合されている光触媒酸化
チタンを結着して被膜を形成し、基材に接着し得る機能
を有するものである。上記加水分解性シラン化合物とし
ては、上記性能を有するものであれば特に限定されるも
のではないが、下記式(1)に示されるような、例え
ば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等
の反応性有機珪素化合物が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】上記光触媒酸化チタンとシリコーン系バイ
ンダーを配合した被膜形成組成物の光触媒酸化チタンと
シリコーン系バインダーの重量比は、請求項1記載の発
明の光触媒酸化チタンと親水性有機官能基を含有する有
機無機複合バインダーの重量比と同様、光触媒酸化チタ
ン100重量部に対してフルオロアルキル基を含有する
有機無機複合バインダー50〜250重量部であること
が好ましく、その理由についても同様である。
【0030】又、上記光触媒酸化チタンとシリコーン系
バインダーからなる被膜形成組成物から、防汚性被膜を
形成する手段についても、請求項1記載の発明の防汚性
被膜と同様である。
【0031】次いで、上記基材表面に形成された光触媒
機能を有する被膜表面に、撥水性被膜が形成されるか或
いは撥水性基が導入される。上記撥水性被膜の形成手段
或いは撥水性基の導入手段は、特に限定されるものでは
ないが、例えば、下記式(2)に示されるような、1,
1,1−トリフルオロメチルトリメトキシシラン、パー
フルオロヘキシルエチルトリメトキシシラン、パーフル
オロオクチルエチルトリメトキシシラン、2−パーフル
オロオクチルエチルトリアミノシラン、パーフルオロオ
クチルエチルトリクロロシラン等のフルオロアルキル基
を有し、加水分解して重合し、フルオロアルキルポリシ
ロキサンを形成し得る反応性有機珪素化合物を、上記光
触媒機能を有する被膜表面に被膜状に形成し、加熱硬化
する方法、フッ素を含有する反応性ガスを処理用ガスと
して用いるプラズマ処理法によって上記光触媒機能を有
する被膜表面に反応させる方法等が挙げられる。
【0032】
【化2】
【0033】上記撥水性被膜形成組成物は、必要に応じ
て水又は有機溶媒で希釈して用いられてもよい。上記有
機溶媒は、特に限定されるものではなく、上記フルオロ
アルキル基を有する反応性有機珪素化合物の溶解性等を
考慮して決定されればよい。又、上記水又は有機溶媒に
よる希釈率は、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0034】上記撥水性被膜形成組成物を上記光触媒機
能を有する被膜表面に被膜状に形成する手段は、特に限
定されるものではないが、例えば、上記光触媒機能を有
する被膜形成と同様に、ディップコート法、スピンコー
ト法、ロールコート法、グラビアコート法、フローコー
ト法、カーテンコート法等が挙げられる。又、上記撥水
性被膜形成に際して、予め光触媒機能を有する被膜表面
に紫外線を照射して表面処理が施されてもよい。
【0035】上記光触媒機能を有する被膜表面を予め紫
外線照射することによって、該表面を高親水性と高親油
性を共に満足するので、上記撥水性被膜形成組成物を上
記光触媒機能を有する被膜表面に極薄い膜厚に均一に塗
布することが容易となる。上記紫外線の線源は、光触媒
酸化チタンを励起し得るものであれば特に限定されるも
のではなく、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、BLB
(ブラックライトブルー)蛍光灯等が挙げられる。
【0036】上記撥水性被膜形成組成物は、被膜形成
後、室温付近の低温から200℃程度までの範囲の温度
で硬化される。上記硬化温度は、用いられる基材の耐熱
性や被膜の性状等を考慮して決定される。上記被膜の厚
さは、上記基材の用途やその使用条件等を考慮して決定
されるものであるが、例えば、加熱硬化後の厚さで0.
001〜1μmである。
【0037】フッ素を含有する反応性ガスをプラズマ処
理法によって上記光触媒機能を有する被膜表面に反応さ
せる方法は、特に限定されるものではなく、通常プラズ
マ処理法による表面処理に用いられるプラズマ処理装置
及びプラズマ処理方法に準拠して行わればよい。上記プ
ラズマ処理装置としては、例えば、図1に示すように、
電源装置1、放電電極2及び3、ガス導入管4及び5、
真空チャンバー6及び真空排気装置(図示せず)等から
なり、このような装置は(株)サムコインターナショナ
ル研究所或いはナノテック(株)等から販売されてい
る。
【0038】尚、21は、放電電極2に設けられた処理
用ガス噴出孔であり、31は、放電電極3表面を被覆し
ている固体誘電体であり、該固体誘電体31で被覆され
た放電電極3上に被処理防汚性被膜が載置される。又、
51は、上記ガス導入管5から供給される希釈ガスを噴
出するリング状ヘッドである。7は、ガス排出口であ
り、8は、上記真空チャンバー6の排気口である。
【0039】上記プラズマ発生手段としては、例えば、
上記放電電極2及び3間に直流電流、高周波電流等の印
加、もしくはマイクロ波放電、電子サイクロトロン共鳴
等によって上記フッ素を含有する反応性ガスをプラズマ
分解する方法、熱フィラメントによって熱分解する方法
等によってフッ素を含有する反応性ガスをプラズマ化
し、上記光触媒機能を有する被膜表面に反応させる。上
記プラズマ発生雰囲気は、1×10-4〜100Torr
の範囲内の低圧で行われる方法、少なくとも一方の電極
を固体誘電体で被覆した対向電極を用いて大気圧近傍の
圧力下で行われる方法が挙げられる。
【0040】上記プラズマ発生雰囲気としては、低圧で
あればある程、均質なプラズマの発生がみられるが、余
り低圧に過ぎて設定すると高価な真空チャンバーや真空
排気装置が必要となり、プラズマ処理コストが高価なも
のとなり、逆に、高圧に過ぎる設定を行うと、上記発生
するプラズマは、熱プラズマになり、アーク放電に移行
してしまい、均質なプラズマ処理どころか、処理被膜に
孔があく等の損傷を受けるおそれがあるので、好ましく
は上記1×10-4〜100Torrの範囲で処理され
る。より好ましくは1×10-2〜100Torrの範囲
である。この範囲の圧力では、直流電圧或いは高周波電
圧の印加が可能であり、使用するプラズマ処理装置が簡
便なものですみ、処理圧力が比較的高い状態でもグロー
放電プラズマ発生によって均質なプラズマ処理が可能で
ある。
【0041】更に、少なくとも一方の電極を固体誘電体
で被覆した対向電極を用いれば、大気圧近傍の圧力下
で、その圧力調整がより容易な、更に簡便なプラズマ処
理装置の使用が可能となり、且つ、均質なプラズマ処理
が可能である。上記大気圧近傍の圧力とは、700〜8
00Torrの範囲であるが、上記固体誘電体で少なく
とも一方を被覆した対向電極を用いれば、100〜80
0Torrの範囲まで均質なプラズマ処理が可能であ
る。
【0042】上記プラズマ処理の電極構造と印加電圧の
関係は、低圧下では、平行平板型、同軸円筒型、曲面対
向平板型、双曲面対向平板型等の場合、直流電圧或いは
交流電圧、特に高周波電圧は容量結合方式で印加され
る。尚、高周波電圧の場合、外部電極を用いて誘導形式
でも印加が可能である。又、大気圧近傍の圧力下では、
例えば、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、
同軸円筒型、曲面対向平板型、双曲面対向平板型等、電
極の形状は特に限定されないが、対向する電極の少なく
とも一方は、固体誘電体で被覆される。
【0043】上記固体誘電体としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガ
ラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニ
ウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム等の金属酸化物
等が挙げられる。上記電極間に印加される交流電圧は、
正弦波形のものの他、パルス化されたものが用いられて
もよい。
【0044】上記電極間の距離は、プラズマ処理雰囲気
圧力、被処理被膜の厚さ、基材の性状等を考慮して適宜
決定されるが、長過ぎると、プラズマ密度が低下し、プ
ラズマ処理効率が低下するので可及的短いことが好まし
い。
【0045】本発明において、上記フッ素を含有する反
応性ガスをプラズマ処理法によって上記光触媒機能を有
する被膜表面に反応させる方法で用いられる処理ガスと
しては、フッ素含有化合物である。上記フッ素含有化合
物は、例えば、四フッ化炭素、六フッ化エタン、六フッ
化プロピレン、八フッ化シクロブタン、1,1,1−三
フッ化プロピレン、1,1,1,3−四フッ化プロピレ
ン等のフッ化炭素化合物もしくはフッ化炭化水素化合
物、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二
塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物もしく
はフッ化炭化水素化合物の塩化物、六フッ化硫黄等が挙
げられる。特に、フッ化水素等の有害ガスを生成するお
それのない四フッ化炭素、六フッ化エタン、六フッ化プ
ロピレン、八フッ化シクロブタンは、安全衛生、環境等
の観点から好適に用いられる。
【0046】上記処理ガスは、不活性ガスで希釈して用
いられてもよい。上記不活性ガスとしては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ヘリウム、ネオン、アル
ゴン、キセノン等の希ガス、窒素ガス等が挙げられる。
これらは単独でも、2種以上が混合されて用いられても
よい。上記処理ガスと不活性ガスの混合比は、用いられ
るガスの種類等によって適宜決定される。
【0047】パルス電圧が印加される場合、上記プラズ
マ処理雰囲気の処理ガスと不活性ガスの混合比は任意で
あってもよいが、パルス電圧以外の電圧が印加される場
合には、処理ガス濃度は、好ましくは0.01〜10体
積%、より好ましくは0.1〜5体積%である。上記処
理ガス濃度が10体積%を超えると、プラズマが発生し
にくくなる。
【0048】上記プラズマ処理に要する投入電力は、電
極面積や形状にもよるが、例えば、低圧グロー放電プラ
ズマ処理の場合、好ましくは5〜200W(1〜10k
V/cm)である。又、大気圧近傍下でのプラズマ処理
の場合、電界強度が1〜100kV/cm程度になるよ
うに電圧を印加するのが好ましい。上記投入電力は、い
ずれも低過ぎるとプラズマ処理に時間がかかり非能率で
あり、逆に高過ぎると被膜や基材が焼損等を受けるおそ
れがある。
【0049】上記プラズマ処理に要する時間は、叙上の
プラズマ処理条件や被処理被膜の組成や厚さ、基材の性
状等によって適宜決定されるが、通常、1〜30秒程度
である。このようにして光触媒機能を有する被膜表面
に、フッ素を含有する処理ガスをプラズマ処理法によっ
て反応させ、親水性であった光触媒機能を有する被膜表
面にフッ素を含有する基を導入し、或いはフッ素を含有
する撥水性被膜を形成して、光触媒機能による汚染物質
の分解機能を具備したまま、泥水等の水性汚染物質の付
着を防止し得る撥水性の表面を形成することができるの
である。
【0050】請求項4記載の発明の防汚性被膜の形成方
法は、炭素含有ガス及び不活性ガスの混合ガスからなる
大気圧近傍の雰囲気下で、光触媒酸化チタンを含有する
被膜表面をプラズマ処理することを特徴とするものであ
る。
【0051】上記大気圧近傍の雰囲気下とは、100〜
800Torrの雰囲気がこのましい。又、プラズマ処
理は、少なくとも一方の電極が固体誘電体で被服されて
いる対向電極間に、光触媒酸化チタンを含有する被膜を
上記炭素含有ガス及び不活性ガスの混合ガスに触れるよ
うに位置させ、上記対向電極間にパルス化された電圧を
印加することが好ましい。
【0052】上記炭素含有ガス及び不活性ガスの混合ガ
スは、炭素含有ガス及び希ガスのみからなる混合ガスで
あってもよいが、炭素含有ガス、希ガス及び水素含有ガ
スからなる混合ガスであってもよい。又、炭素含有ガス
及び水素含有ガスがそれぞれが別の化合物として用いら
れてもよいが、炭素と水素を併せて有する1個の化合物
が用いられてもよい。
【0053】上記炭素含有ガスを具体的に例示すると、
メタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル系ガス類、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等
のアルカン系ガス類、エチレン、プロピレン、ブテン、
ペンテン等のアルケン系ガス類、ペンタジエン、ブタジ
エン等のアルカジエン系ガス類、アセチレン、メチルア
セチレン等のアルキン系ガス類、ベンゼン、トルエン、
キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン等の
芳香族炭化水素系ガス類、シクロプロパン、シクロヘキ
サン等のシクロアルカン系ガス類、シクロペンテン、シ
クロヘキセン等のシクロアルケン系ガス類、一酸化炭
素、二酸化炭素等の含酸素炭素化合物系ガスなどが挙げ
られ、これらの少なくとも1種が使用できる。
【0054】上記の炭素含有ガスを二種以上使用する場
合、一つの構成成分として二酸化炭素ガスを使用するこ
とが好ましく、その割合は、二酸化炭素ガス以外の炭素
含有ガス/二酸化炭素ガスの混合比率として、1/1〜
1/3(容量比)であることが好ましい。二酸化炭素ガ
スの比率が上記の範囲であると、光触媒酸化チタンを含
有する被膜上に形成されるダイヤモンド状炭素薄膜の形
成速度が向上するので有利である。
【0055】炭素含有ガスのガス雰囲気中に占める濃度
は、2〜80容量%が好ましい。濃度が2容量%未満の
場合は、ダイヤモンド状炭素薄膜の形成速度が低下し、
80容量%を超えると、得られる薄膜がグラファイト状
となる。
【0056】酸素や水素は放電中で原子状となり、ダイ
ヤモンドと同時に生成するグラファイトを選択的に除去
する効果を有する。酸素や水素をガス雰囲気に存在させ
るためには、前記した有機化合物のガスを用いる以外
に、酸素ガスや水素ガスを用いてもよい。酸素ガス又は
水素ガスを用いる場合は、酸素ガス又は水素ガスのガス
雰囲気中に占める濃度は、70容量%を超えないことが
好ましい。70容量%を超える場合は、逆に、得られる
薄膜がグラファイト状となる。
【0057】又、上記炭素含有ガス及び水素含有ガス
は、希ガスで希釈される。希釈ガスを使用することは、
特に安全性の観点から好ましい。本発明で使用される希
釈ガスとしては、希ガスの少なくとも1種がが用いられ
る。具体的に例示すれば、ヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、キセノン等が挙げられる。希ガスのガス雰囲気中に
占める濃度は、20〜90容量%が好ましい。上記濃度
が、20容量%未満の場合は、得られる薄膜がグラファ
イト状となり、90容量%を超えると、ダイヤモンド状
炭素薄膜の形成速度が低下する。
【0058】更に、放電時のガス雰囲気にジボラン(B
3 BH3 )、ホスフィン(PH3、CH3 PH2
ど)等のボロン元素、燐元素を含有するガスを加えて薄
膜を形成することにより、半導体としての特性を向上さ
せることもできる。
【0059】本発明において、プラズマ処理の行われる
雰囲気圧力は、100〜800Torrの大気圧近傍の
圧力から100Torrまでの範囲の圧力である。特
に、700〜780Torrの範囲が好ましく、圧力調
整が容易で、装置が簡便なものとなる。
【0060】本発明のプラズマ発生方法は、一対の対向
電極を有し、当該電極の対向面の少なくとも一方に固体
誘電体が被覆されている装置において行われる。プラズ
マが発生する部位は、上記電極の一方に固体誘電体を被
覆した場合は、固体誘電体と電極の間、上記電極の双方
に固体誘電体を被覆した場合は、固体誘電体同士の間の
空間である。
【0061】上記電極としては、銅、アルミニウム等の
金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等
からなるものが挙げられる。上記対向電極は、電界集中
によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の
距離が略一定となる構造であることが好ましい。この条
件を満たす電極構造としては、平行平板型、円筒対向平
板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型等
が挙げられる。
【0062】上記固体誘電体は、上記電極の対向面の一
方又は双方に設置する。この際、固体誘電体と設置され
る側の電極が密着し、且つ、接する電極の対向面を完全
に覆うようにする。固体誘電体によって覆われずに電極
同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電
が生じるためである。
【0063】上記固体誘電体としては、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラス
チック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸
化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン
酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0064】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであるこ
とが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに
高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こ
りアーク放電が発生するためである。
【0065】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮し
て決定されるが、1〜50mmであることが好ましい。
1mm未満では、電極間の間隔を置いて設置するのに充
分でない。50mmを超えると、均一な放電プラズマを
発生させることが困難である。
【0066】図2にパルス電圧波形の例を示す。波形
(A)、(B)はインパルス型、波形(C)は方形波
型、波形(D)は変調型の波形である。図2には電圧印
加が正負の繰り返しであるものを挙げたが、正又は負の
いずれかの極性側に電圧を印加するタイプのパルスを用
いてもよい。
【0067】本発明に於けるパルス電圧波形は、ここで
挙げた波形に限定されないが、パルスの立上がり時間及
び立下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電
離が効率よく行われる。
【0068】特に、パルスの立上がり時間及び/又は立
下がり時間が40ns〜100μsであることが好まし
く、より好ましくは50ns〜5μsである。40ns
未満では現実的でなく、100μsを超えると放電状態
がアークに移行し易く不安定なものとなる。尚、ここで
いう立上がり時間とは、電圧変化が連続して正である時
間、立下がり時間とは、電圧変化が連続して負である時
間を指すものとする。
【0069】更に、パルス波形、立上がり時間、周波数
の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。このよう
な変調は高速連続製造を行うのに適している。
【0070】パルス電界の周波数は、1kHz〜100
kHzであることが好ましい。1kHz未満であると処
理に時間がかかり過ぎ、100kHzを超えるとアーク
放電が発生し易くなる。
【0071】又、パルス継続時間は、1μs〜1000
μsであることが好ましく、より好ましくは3μs〜2
00μsである。1μs未満であると放電が不安定なも
のとなり、1000μsを超えるとアーク放電に移行し
易くなる。ここに於いて、上記のパルス継続時間とは、
図3中に例を示してあるが、ON、OFFの繰り返しか
らなるパルス電界における、パルスが連続する時間をい
う。図3(a)のような間欠型のパルスでは、パルス継
続時間はパルス幅時間と等しいが、図3(b)のような
波形のパルスでは、パルス幅時間と異なり、一連の複数
のパルスを含んだ時間をいう。
【0072】更に、放電を安定させるためには、放電時
間1ms内に、少なくとも1μs継続するOFF時間を
有することが好ましい。
【0073】上記放電は電界の印加によって行われる。
電界の大きさは適宜決められるが、本発明に於いては、
電極間の電界強度が1〜100kV/cmとなる範囲に
することが好ましい。電界強度が1kV/cm未満であ
るとダイヤモンド薄膜形成に時間がかかりすぎ、100
kV/cmを超えるとアーク放電が発生し易くなる。
又、上記パルス電圧の印加に於いて、直流を重畳しても
よい。
【0074】図4に、このようなパルス電界を印加する
際の電源のブロック図を示す。更に、図5に、電源の等
価回路図を示す。図5にSWと記されているのはスイッ
チとして機能する半導体素子である。上記スイッチとし
て500ns以下のターンオン時間及びターンオフ時間
を有する半導体素子を用いることにより、上記のような
電界強度が1〜100kV/cmであり、且つ、パルス
の立上がり時間及び立下がり時間が40ns〜100μ
sであるような高電圧、且つ、高速のパルス電界を実現
することができる。
【0075】以下、図5の等価回路図を参照して、電源
の原理を簡単に説明する。+Eは、正極性の直流電圧供
給部、−Eは、負極性の直流電圧供給部である。SW1
〜SW4 は、上記のような高速半導体素子から構成され
るスイッチ素子である。D1 〜D4 はダイオードを示し
ている。I1 〜I4 は電流の流れ方向を表している。
【0076】第一に、SW1 がONにすると、正極性の
負荷が電流I1 の流れ方向に充電する。次に、SW1
OFFになってから、SW2 を瞬時にONにすることに
より、充電された電荷が、SW2 とD4 を通ってI3
方向に充電される。また次に、SW2 がOFFになって
から、SW3 をONにすると、負極性の負荷が電流I2
の流れ方向に充電する。次に、SW3 がOFFになって
から、SW4 を瞬時にONにすることにより、充電され
た電荷が、SW4 とD2 を通ってI4 の方向に充電され
る。上記一連の操作を繰り返し、図5の出力パルスを得
ることができる。表1にこの動作表を示す。
【0077】
【表1】
【0078】この回路の利点は、負荷のインピーダンス
が高い場合であっても、充電されている電荷をSW2
4 又はSW4 とD2 を動作させることによって確実に
放電することができる点、及び、高速ターンオンのスイ
ッチ素子であるSW1 、SW 3 を使って高速に充電を行
うことができる点にあり、このため、図6のように立上
がり時間、立下がり時間の非常に早いパルス信号を得る
ことができる。
【0079】上記の方法により得られる放電において、
対向電極間の放電電流密度は、0.2〜300mA/c
2 であることが好ましい。
【0080】上記放電電流密度とは、放電により電極間
に流れる電流値を、放電空間に於ける電流の流れ方向と
直交する方向の面積で除した値をいい、電極として平行
平板型のものを用いた場合には、その対向面積で上記電
流値を除した値に相当する。本発明では、電極間にパル
ス電界を形成するため、パルス状の電流が流れるが、こ
の場合には、そのパルス電流の最大値、つまりピーク−
ピーク値を、上記の面積で除した値をいう。
【0081】大気圧近傍の圧力下でのグロー放電では、
放電電流密度がプラズマ密度を反映し、ダイヤモンド状
炭素薄膜の製造を左右する値であることが、本発明者ら
の研究により明らかにされており、電極間の放電電流密
度を前記した0.2〜300mA/cm2 の範囲とする
ことにより、均一且つ高電子密度である放電プラズマを
発生して良好なダイヤモンド状炭素薄膜の製造結果を得
ることができる。
【0082】請求項1記載の発明の防汚性被膜は、叙上
のように光触媒酸化チタンと親水性有機官能基を含有す
る有機無機複合バインダーからなるものであるので、該
表面は高い親水性を長期にわたって保持するものであ
り、付着した汚染物質も水洗によって容易に除去するこ
とができるものである。上記防汚性被膜が高い親水性を
長期にわたって保持し得るのは、有機無機複合バインダ
ーの分子構造上、シロキサン部分が光触媒酸化チタン取
り囲む位置に会合し、上記親水性有機官能基部分は、こ
れと背反する表面位置に起立して存在するので、光触媒
酸化チタンの酸化還元反応を受けにくく、親水性有機官
能基が有する性能を充分に発揮できるものと推定され
る。
【0083】請求項2記載の発明の防汚性被膜は、叙上
のように光触媒酸化チタンとフルオロアルキル基を含有
するシリコーン系バインダーからなるものであるので、
屋外で使用される物品や構造物の表面に接触する水性汚
染物質が該表面に濡れ拡がって汚染することなく、撥い
てしまい、該表面が有する光触媒機能による酸化還元反
応によって、付着した汚染物質も分解され、常に美麗な
表面を保持し得るものである。上記防汚性被膜が表示用
道路資材に適用される場合には、その有する交通の安全
確保機能を長期にわたって保持し得るものであり、住宅
用外装材に適用される場合には、その有する美麗な表面
を保持し、長期にわたって快適な環境を提供し得るもの
である。
【0084】請求項3記載の発明の防汚性被膜は、叙上
のように光触媒酸化チタンとシリコーン系バインダーか
らなる被膜表面に、撥水性被膜が形成されるか或いは撥
水性基が導入されてなるものであるので、屋外で使用さ
れる物品や構造物の表面に接触する水性汚染物質が該表
面に濡れ拡がって汚染することなく、撥いてしまい、該
表面が有する光触媒機能による酸化還元反応によって、
付着した汚染物質も分解され、常に美麗な表面を保持し
得るものである。上記防汚性被膜が表示用道路資材に適
用される場合には、その有する交通の安全確保機能を長
期にわたって保持し得るものであり、住宅用外装材に適
用される場合には、その有する美麗な表面を保持し、長
期にわたって快適な環境を提供し得るものである。
【0085】請求項4記載の発明の防汚性被膜の形成方
法は、叙上のように炭素含有ガス及び不活性ガスからな
る混合ガスからなる大気圧近傍の雰囲気下で、光触媒酸
化チタンを含有する被膜表面をプラズマ処理するもので
あるので、得られる防汚性被膜の光触媒活性を高度に向
上させることができ、可視光域の光を有効に利用できる
ようになるので、紫外線の微弱な場所に設置された物品
や構造物に適用される場合でも、その有する光触媒機能
を充分に利用することが可能となる。上記可視光域の光
を有効に利用できるのは、光触媒酸化チタンを含有する
被膜上に形成されたダイヤモンド状炭素薄膜の積層によ
って得られる光触媒機能膜の吸収帯が可視光域にシフト
することによるものと推定される。
【0086】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。
【0087】(実施例1)ポリエチレングリコール#4
00を10g(0.025mol)と3−トリエトキシ
シリルプロピルイソシアネート12.35g(0.05
mol)を均一に混合し、ジラウリン酸ジ−n−ブチル
錫0.1gを添加して反応させ、親水性有機官能基とし
てポリエチレングリコール残基を有するアルコキシシラ
ン化合物を調製した。
【0088】〔光触媒被膜の調製〕酸化チタンコーティ
ング剤(石原産業社製、商品名「STS−01」)を蒸
留水で希釈して濃度10重量%の酸化チタンゾルを調製
した。上記光触媒酸化チタンゾル28.8gに、上記ポ
リエチレングリコール残基を有するアルコキシシラン化
合物1.91g、テトラエトキシシラン5g及びエチル
セロソルブ21.89gを添加して混合し、アルコキシ
シリル基を加水分解して、濃度10重量%の親水性被膜
形成用組成物を調製した。上記親水性被膜形成用組成物
の親水性有機官能基(リン酸エステル基)を有するアル
コキシシラン化合物と四官能のテトラエトキシシランの
成分比(重量)は、50:50である。上記親水性被膜
形成用組成物を無アルカリスライドグラス上にスピンコ
ーティング法によって塗布し、80℃で1時間加熱して
硬化させて厚さ0.3μmの光触媒被膜を調製した。
【0089】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に高
圧水銀灯を120W/cm2 の照度で1分間照射して防
汚性被膜を作製した。
【0090】(実施例2)実施例1で調製した光触媒酸
化チタンゾル28.8gに、テトラエトキシシラン5
g、エチルセロソルブ21.62g及びジエチルホスフ
ェートエチルトリエトキシシラン(親水性有機官能基と
してリン酸エステル基を含有)2.18gを添加して混
合し、アルコキシシリル基を加水分解して、濃度10重
量%の親水性被膜形成用組成物を調製した。上記親水性
被膜形成用組成物の親水性有機官能基(リン酸エステル
基)を有するアルコキシシラン化合物と四官能のテトラ
エトキシシランの成分比(重量)は、50:50であ
る。
【0091】上記親水性被膜形成用組成物を用いて、実
施例1と同様にして基材無アルカリスライドグラス上に
厚さ0.3μmの防汚性被膜を作製した。
【0092】(比較例1)テトラブトキシチタン10
g、3N塩酸2.65g及びエチルセロソルブ10.8
5gを混合し、加水分解を行って濃度10重量%の光触
媒酸化チタン被膜形成用組成物を調製した。、アルコキ
シシリル基を加水分解して、濃度10重量%の親水性被
膜形成用組成物を調製した。
【0093】上記親水性被膜形成用組成物を無アルカリ
スライドグラス上にスピンコーティング法によって塗布
し、500℃で1時間加熱して硬化させ、厚さ0.2μ
mの光触媒被膜を調製し、高圧水銀灯を120W/cm
2 の照度で1分間照射して防汚性被膜を作製した。得ら
れた防汚性被膜は、X線回折の測定結果から結晶型はア
ナターゼ型であった。
【0094】実施例1、2及び比較例1で得られた防汚
性被膜の性能を評価するため、対水接触角を、以下に示
す方法で試験した。上記対水接触角の2データより総合
的に親水性について、○、×で評価した。又、実用性能
として、汚染物質の水洗浄性の良否を○、×で評価し
た。試験結果は表2に示す。
【0095】1.対水接触角 協和界面科学社製、接触角計(商品名「CA−X15
0」)によって対水初期接触角及び経時接触角を測定し
た。
【0096】
【表2】
【0097】(実施例3) 〔光触媒被膜の調製〕実施例1で調製した光触媒酸化チ
タンゾル10gに、テトラエトキシシラン1.74g、
エタノール3.26g及びテトラエトキシシラン1.7
4gを添加して混合し、アルコキシシリル基を加水分解
(1時間)し、更に、パーフルオロオクチルエチルトリ
メトキシシラン0.57g及びエタノール4.43gを
添加、混合して更に加水分解を行い、濃度10重量%の
光触媒被膜形成用組成物を調製した。上記光触媒被膜形
成用組成物を用いて、実施例1と同様にして基材無アル
カリスライドグラス上に、スピンコーティング法により
塗布し、80℃で1時間加熱して硬化させ、厚さ0.3
μmの光触媒被膜を作製した。
【0098】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に高
圧水銀灯を120W/cm2 の照度で1分間照射して防
汚性被膜を作製した。
【0099】(比較例2)実施例1で調製した光触媒酸
化チタンゾル10gに、テトラエトキシシラン3.47
g及びエタノール6.53gを添加して混合し、アルコ
キシシリル基を加水分解(1時間)し、濃度10重量%
の光触媒被膜形成用組成物を調製した。上記光触媒被膜
形成用組成物を用いて、実施例1と同様にして基材無ア
ルカリスライドグラス上に、スピンコーティング法によ
り塗布し、80℃で1時間加熱して硬化させ、厚さ0.
3μmの光触媒被膜を作製した。
【0100】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に高
圧水銀灯を120W/cm2 の照度で1分間照射して防
汚性被膜を作製した。
【0101】実施例3及び比較例2で得られた防汚性被
膜の性能を評価するため、対水初期接触角及び対ヘキサ
デカン接触角(ヘキサデカン溶液を用いる以外は対水接
触角と同じ)について先に示した方法で試験した。又、
実用性能として、汚染物質の水洗浄性の良否を○、×で
評価した。試験結果は表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】(実施例4) 〔光触媒被膜の調製〕酸化チタンコーティング剤(石原
産業社製、商品名「ST−K03」、固形分濃度10重
量%、酸化チタン/無機バインダー比(重量)=50:
50)を無アルカリスライドグラス上にスピンコーティ
ング法によって塗布し、80℃で1時間加熱して硬化さ
せた。
【0104】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に高
圧水銀灯を120W/cm2 の照度で30秒間照射し、
次いで、0.1%濃度の2−パーフルオロオクチルエチ
ルトリアミノシラン溶液(溶媒:ビストリフルオロベン
ゼン)をスピンコーティング法によって塗布し、室温で
2時間放置して硬化させ防汚性被膜を作製した。
【0105】(実施例5) 〔光触媒被膜の調製〕実施例1で調製した酸化チタン酸
化チタンゾル10gに、テトラエトキシシラン3.47
g及びエタノール6.53gの混合溶液を添加し、1時
間加水分解を行い、固形分濃度10重量%の防汚性被膜
形成用組成物を得た。上記防汚性被膜形成用組成物を実
施例1と同様にして光触媒被膜を調製した。
【0106】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に、
サムコ インターナショナル研究所社製、プラズマ放電
処理装置を用い、プラズマ処理用ガス:四フッ化炭素、
プラズマ処理圧力:1Torr、電極間距離:2.5c
m、プラズマ処理時間:10秒、使用電力5Wの条件で
プラズマ処理を行い、防汚性被膜を作製した。
【0107】(実施例6) 〔光触媒被膜の調製〕実施例1で調製した濃度10重量
%の酸化チタンゾル10gに、メチルトリエトキシシラ
ン2.66g及びエタノール7.34gの混合溶液を添
加し、1時間加水分解を行い、固形分濃度10重量%の
防汚性被膜形成用組成物を得た。上記防汚性被膜形成用
組成物を実施例1と同様にして光触媒被膜を調製した。
【0108】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に、
サムコ インターナショナル研究所社製、プラズマ放電
処理装置を用い、プラズマ処理用ガス:1%六フッ化プ
ロピレン/ヘリウム、プラズマ処理圧力:760Tor
r、電極間距離:2mm、固体誘電体:TiO2 、プラ
ズマ処理時間:10秒、使用電力100Wの条件でプラ
ズマ処理を行い、防汚性被膜を作製した。
【0109】(比較例3)実施例5で調製した光触媒被
膜に、高圧水銀灯を120W/cm2 の照度で1分間照
射して防汚性被膜を作製した。
【0110】(比較例4)光触媒酸化チタンが添加され
ていないポリエチレンテレフタレートフィルムからなる
防汚性被膜を作製した。
【0111】実施例4〜6、比較例3、4で得られた防
汚性被膜の性能を評価するため、初期接触角、泥水付着
性及び排ガス汚染の洗浄性の各項目について以下に示す
方法で試験した。試験結果は表4に示す。
【0112】1.初期接触角 協和界面科学社製、接触角計(商品名「CA−X15
0」)によって対水初期接触角を測定した。
【0113】2.泥水防汚性 関東ローム(微粒)の泥水付着性試験用ダスト8種の5
%水分散液(疑似汚染物質)に、基材無アルカリスライ
ドグラス上に得られた防汚性被膜を1秒間浸漬し、垂直
に引き上げる。基材の裏面(防汚性被膜の積層されてい
ない面)の上記疑似汚染物質を除去した後、防汚性被膜
上に付着した疑似汚染物質の量を、試験前と試験後の色
差を、東京電色社製、カラーアナライザー(商品名「T
C−1800MK−II」)によって測定した。泥水防
汚性の評価は、上記色差が2未満のものをその程度によ
って◎と○(良好)で評価し、2以上のものを×(不
良)と評価した。
【0114】3.排ガス汚染の洗浄性 自動車の排気ガスの吹出口に防汚性被膜を直交して置
き、色差が約12になるまで表面に排気ガスを吹きあて
た後、高圧水銀灯により120W/cm2 の照度で2分
間照射し、次いで流水に1分間さらし、排ガス汚染の洗
浄性を前項の泥水防汚性試験と同様に色差によって測定
した。評価基準も泥水防汚性試験と同じである。
【0115】
【表4】
【0116】(実施例7) 〔光触媒被膜の調製〕実施例2で調製した光触媒酸化チ
タンゾル10gに、テトラエトキシシラン3.47g及
びエタノール6.53gを添加して混合し、アルコキシ
シリル基を加水分解(1時間)して、濃度10重量%の
光触媒被膜形成用組成物を調製した。上記光触媒被膜形
成用組成物を用いて、実施例1と同様にして基材無アル
カリスライドグラス上に、スピンコーティング法により
塗布し、110℃で1時間加熱して硬化させ、厚さ0.
3μmの光触媒被膜を作製した。
【0117】〔防汚性被膜の作製〕上記光触媒被膜に、
流量0.2SLMのC2 2 と流量9.8SLMのN2
の混合ガスを立上がり速度5μs、印加電圧Vp-p 15
kV、放電周波数8kHz及び放電時間15秒間の条件
でプラズマ処理して防汚性被膜を作製した。
【0118】(比較例5)実施例7で調製した光触媒被
膜に、特開平9−87857号公報の実施例記載の方法
に準じてメタン水素プラズマ処理を15秒間行って防汚
性被膜を作製した。
【0119】(比較例6)実施例7で調製した光触媒被
膜に、プラズマ処理を施すことなく防汚性被膜とした。
【0120】実施例7及び比較例5、6で得られた防汚
性被膜の性能を評価するため、これらの防汚性被膜上
に、サラダ油を塗布量が0.1mg/cm2 となるよう
に塗布し、BLB蛍光灯を光源として3.0mW/cm
2 の強度で分解試験を行った。併せて、BLB蛍光灯に
替えて、通常の照明用蛍光灯を光源として同様にサラダ
油の分解試験を行った。試験結果は以下の通であった。
【0121】実施例7で得られた防汚性被膜は、BLB
蛍光灯照射による分解試験では、比較例5及び比較例6
で得られた防汚性被膜の1.8倍の速度で分解したが、
比較例5で得られた防汚性被膜は、比較例6で得られた
防汚性被膜と同じであり、プラズマ処理の効果が認めら
れなかった。又、通常の照明用蛍光灯照射による分解試
験では、比較例5、6で得られた防汚性被膜は、サラダ
油の分解は全く起こらなかったが、実施例7で得られた
防汚性被膜は、BLB蛍光灯照射による分解試験の1/
30の速度ではあったが、サラダ油を分解し、可視光域
の光をも汚染物質の分解除去に利用できることを示して
いる。
【0122】
【発明の効果】請求項1記載の発明の防汚性被膜は、叙
上のように構成されているので、表面は高い親水性を長
期にわたって保持するものであり、付着した汚染物質も
水洗によって容易に除去することができるものである。
上記防汚性被膜が高い親水性を長期にわたって保持し得
るのは、有機無機複合バインダーの分子構造上、シロキ
サン部分が光触媒酸化チタン取り囲む位置に会合し、上
記親水性有機官能基部分は、これと背反する表面位置に
起立して存在するので、光触媒酸化チタンの酸化還元反
応を受けにくく、親水性有機官能基が有する性能を充分
に発揮できるものと推定される。
【0123】請求項2記載の発明の防汚性被膜は、叙上
のように構成されているので、屋外で使用される物品や
構造物の表面に接触する水性汚染物質が該表面に濡れ拡
がって汚染することなく、撥いてしまい、該表面が有す
る光触媒機能による酸化還元反応によって、付着した汚
染物質も分解され、常に美麗な表面を保持し得るもので
ある。上記防汚性被膜が表示用道路資材に適用される場
合には、その有する交通の安全確保機能を長期にわたっ
て保持し得るものであり、住宅用外装材に適用される場
合には、その有する美麗な表面を保持し、長期にわたっ
て快適な環境を提供し得るものである。
【0124】請求項3記載の発明の防汚性被膜は、叙上
のように構成されているので、屋外で使用される物品や
構造物の表面に接触する水性汚染物質が該表面に濡れ拡
がって汚染することなく、撥いてしまい、該表面が有す
る光触媒機能による酸化還元反応によって、付着した汚
染物質も分解され、常に美麗な表面を保持し得るもので
ある。上記防汚性被膜が表示用道路資材に適用される場
合には、その有する交通の安全確保機能を長期にわたっ
て保持し得るものであり、住宅用外装材に適用される場
合には、その有する美麗な表面を保持し、長期にわたっ
て快適な環境を提供し得るものである。
【0125】請求項4記載の発明の防汚性被膜の形成方
法は、叙上のように構成されているので、得られる光触
媒機能膜の光触媒活性を高度に向上させることができ、
可視光域の光を有効に利用できるようになるので、紫外
線の微弱な場所に設置された物品や構造物に適用される
場合でも、その有する光触媒機能を充分に利用すること
が可能となる。上記可視光域の光を有効に利用できるの
は、光触媒酸化チタンを含有する被膜上に形成されたダ
イヤモンド状炭素薄膜の積層によって得られる防汚性被
膜の吸収帯が可視光域にシフトすることによるものと推
定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防汚性被膜を形成する際に用いられる
プラズマ処理装置の一例につき、その構造の概略を説明
するための説明図である。
【図2】パルス電界の例を示す電圧波形図である。
【図3】パルス継続時間の説明図である。
【図4】パルス電界を発生させる電源のブロック図であ
る。
【図5】パルス電界を発生させる電源の等価回路図であ
る。
【図6】パルス電界の動作表に対応する出力パルス信号
の図である。
【符号の説明】
1 電源装置(交流電源) 2、3 放電電極 21 処理用ガス噴出孔 31 固体誘電体 4 処理用ガス導入管 5 希釈ガス導入管 51 リング状ヘッド 6 真空チャンバー 7 ガス排出口 8 排気口 SW スイッチ D ダイオード I 電流
フロントページの続き (72)発明者 湯浅 基和 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒酸化チタンと親水性有機官能基を
    含有する有機無機複合バインダーからなる防汚染性被膜
    であって、上記親水性有機官能基が、アルコール性水酸
    基、カルボキシル基及びその塩類、アミド基、スルホン
    酸基及びその塩類、リン酸基及びその塩類もしくはリン
    酸エステル基、ポリエチレングリコール残基の群から選
    ばれる少なくとも1種であり、且つ、上記有機無機複合
    バインダーが、親水性有機官能基を有するアルコキシシ
    リル化合物と4官能アルコキシシリル化合物との縮合体
    からなり、該親水性有機官能基を有するアルコキシシリ
    ル化合物と4官能アルコキシシリル化合物の成分比(重
    量)が20:80〜80:20であることを特徴とする
    防汚性被膜。
  2. 【請求項2】 光触媒酸化チタンとフルオロアルキル基
    を含有するシリコーン系バインダーからなることを特徴
    とする防汚性被膜。
  3. 【請求項3】 光触媒酸化チタンとシリコーン系バイン
    ダーからなる被膜の表面に、撥水性被膜が形成されるか
    或いは撥水性基が導入されてなることを特徴とする防汚
    性被膜。
  4. 【請求項4】 炭素含有ガス及び不活性ガスからなる混
    合ガスからなる大気圧近傍の雰囲気下で、光触媒酸化チ
    タンを含有する被膜表面をプラズマ処理することを特徴
    とする防汚性被膜の形成方法。
JP9617098A 1998-04-08 1998-04-08 防汚性被膜及びその形成方法 Pending JPH11293031A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9617098A JPH11293031A (ja) 1998-04-08 1998-04-08 防汚性被膜及びその形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9617098A JPH11293031A (ja) 1998-04-08 1998-04-08 防汚性被膜及びその形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11293031A true JPH11293031A (ja) 1999-10-26

Family

ID=14157863

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9617098A Pending JPH11293031A (ja) 1998-04-08 1998-04-08 防汚性被膜及びその形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11293031A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1147812A1 (en) * 2000-04-21 2001-10-24 Showa Denko Kabushiki Kaisha Photocatalytic powder, photocatalytic slurry, and polymer composition, coating agent, photocatalytic functional molded article and photocatalytic functional structure using the powder
US6683023B2 (en) 2000-04-21 2004-01-27 Showa Denko K.K. Photocatalytic powder and polymer composition
JP2004052423A (ja) * 2002-07-22 2004-02-19 Matsushita Electric Works Ltd 光触媒機能建材とその製造方法
KR100870213B1 (ko) 2007-09-21 2008-11-25 (주)켐웰텍 반사방지 광촉매 조성물 및 이를 적용한 유리기재
JP2010260551A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Ibaraki Univ Dlc膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器
JP2011073442A (ja) * 2009-09-02 2011-04-14 Canon Inc 液体吐出ヘッド

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1147812A1 (en) * 2000-04-21 2001-10-24 Showa Denko Kabushiki Kaisha Photocatalytic powder, photocatalytic slurry, and polymer composition, coating agent, photocatalytic functional molded article and photocatalytic functional structure using the powder
US6683023B2 (en) 2000-04-21 2004-01-27 Showa Denko K.K. Photocatalytic powder and polymer composition
US7335620B2 (en) 2000-04-21 2008-02-26 Showa Denko K.K. Photocatalytic powder, photocatalytic slurry, and polymer composition, coating agent, photocatalytic functional molded article and photocatalytic functional structure using the powder
JP2004052423A (ja) * 2002-07-22 2004-02-19 Matsushita Electric Works Ltd 光触媒機能建材とその製造方法
KR100870213B1 (ko) 2007-09-21 2008-11-25 (주)켐웰텍 반사방지 광촉매 조성물 및 이를 적용한 유리기재
JP2010260551A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Ibaraki Univ Dlc膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器
JP2011073442A (ja) * 2009-09-02 2011-04-14 Canon Inc 液体吐出ヘッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Teare et al. Pulsed plasma deposition of super-hydrophobic nanospheres
Kim et al. Surface treatment of metals using an atmospheric pressure plasma jet and their surface characteristics
TWI232229B (en) Method of forming an antifouling coating film, and antifouling product with the antifouling coating film
KR20070102482A (ko) 플루오로카본막 및 그 제조 방법
US20140120350A1 (en) Method for affixing water-and-oil-repellent layer to amorphous carbon film layer, and laminated body formed by said method
Guragain et al. Characterization of dielectric barrier discharge (DBD) produced in air at atmospheric pressure and its application in surface modification of high-density polyethylene (HDPE)
CN1756599A (zh) 光催化材料
Kim et al. Synthesis of superhydrophobic SiO2 layers via combination of surface roughness and fluorination
JPH11293031A (ja) 防汚性被膜及びその形成方法
JP2004051644A (ja) 光触媒性コーティング剤及び光触媒性複合材並びにその製造方法
Syafiq et al. Study on self-cleaning performance and hydrophobicity of TiO2/silane coatings
Psarski et al. Hydrophobic and superhydrophobic surfaces fabricated by plasma polymerization of perfluorohexane, perfluoro (2-methylpent-2-ene), and perfluoro (4-methylpent-2-ene)
JP5517369B2 (ja) 冷陰極電子源及びその製造方法並びに電界放出型フラットパネルディスプレイ及びランプ
JP2002346393A (ja) 光触媒体およびその製造方法
JPH04359031A (ja) 撥水撥油性フィルム及びその製造方法
Lau et al. A low power 50 Hz argon plasma for surface modification of polytetrafluoroethylene
Kostov et al. Surface modification of siloxane containing polyurethane polymer by dielectric barrier discharge at atmospheric pressure
JP2008189836A (ja) 撥水性領域のパターンを有する処理基材、その製造方法、および機能性材料の膜からなるパターンが形成された部材の製造方法
Kim et al. Surface analysis of fluorine-containing thin films fabricated by various plasma polymerization methods
Ghasemi et al. Surface modification of Raw and Frit glazes by non-thermal helium plasma jet
JP3191259B2 (ja) 基材表面の親水化方法
JP2001100008A (ja) 反射防止フィルム及びその製造方法
JP2010125357A (ja) 塗装物
JP4142908B2 (ja) 樹脂表面の粗化方法
KR100332366B1 (ko) 자외선 차단 및 자정효과를 나타내는 폴리머상의 광촉매코팅과 코팅을 위한 졸 제조방법