JP5517369B2 - 冷陰極電子源及びその製造方法並びに電界放出型フラットパネルディスプレイ及びランプ - Google Patents
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Description
疎領域の局所的な存在及び突出した構造の存在は、電子顕微鏡写真で確認できる。図2A及びBは、活性化を行っていない電子放出部の電子顕微鏡撮影像であり、図3A及びBは、活性化を行った本発明の実施の形態における電子放出部の電子顕微鏡撮影像である。図3A及びBにおいて、疎領域の局所的な存在及び突出した構造の存在が認められる。なお、この疎な部分の面積、位置、間隔や、突出した構造の数などは特に限定されず、効果が認められる程度に電子放出部に存在すればよい。活性化処理の方法としては後述のとおり、種々の方法が適用できる。
アノード電極としても同様のものを使用できる。
さらに、カソード電極はアルミニウム、または表面にアルミニウムの層を有する基板であり、金属酸化物が酸化チタンであることが好ましく、またはカソード電極が表面に導電性酸化チタンの層を有する基板であり、金属酸化物が酸化チタンであることが好ましい。基板は特に限定されず、例えば、ガラスである。
固定化物質を使用することにより、電子放出部の金属酸化物の一部と基板とが固定化物質によって結着されて、電子放出部が動作中に帯電するなどして剥離することが防がれ、長時間安定したエミッション電流を与えることができ、好ましい。
金属酸化物と固定化物質の添加割合や溶媒は特に限定されず、金属酸化物や固定化物質の種類に応じて適宜、実験的に決定される。
熱処理雰囲気としては、大気、不活性ガス、真空などが利用でき、カソード基板などに酸化による劣化が起こりうる場合には不活性ガス雰囲気や真空での熱処理が適している。 一方で電子放出源組成物が有機物を含む場合には熱処理による有機物の酸化分解除去が必要であり、この場合には大気中での熱処理が適している。そのため異なる雰囲気の焼成を組み合わせて、多段階の熱処理を行ってもよい。
図5は、二極型FELの構成例であり、図6は、ゲート電極を有するFELの構成例である。図5及び図6において、9は蛍光体層、10はAl蒸着膜、11は電子放出部、12はカソード電極、13は絶縁性支持基盤、14はガラス、15は電源、16は絶縁層、17はゲート電極である。
平均長軸径1.68μm、平均短軸径0.13μmのルチル型針状酸化チタン(FTL−100、石原産業製)を、アンモニアガス中で800℃の温度で1時間焼成し、体積抵抗0.021Ωcmの針状導電性酸化チタンを得た。この針状導電性酸化チタンのX線回折測定を行ったところ、ルチル型の二酸化チタンのピークに加えてチタンの低級酸化物及び/又は窒化物のピークも得られた。また、電子顕微鏡観察により、元の針状酸化チタンの形状を保持していることを確認した。さらに元素分析の結果、窒素/酸素=0.705(モル)と窒素を含有していることがわかった。得られた針状導電性酸化チタンをAgペーストと混合してITO基板に塗布し、表面にテープを貼った後に剥がす所謂テープピーリング処理によって、一部の針状導電性酸化チタンが基板に垂直に配向した本発明の冷陰極電子源を作製した。ZnO蛍光膜が塗布されたITO基板を、前記冷陰極電子源と125μmの間隔で平行に配置した。そして蛍光膜をアノード、冷陰極電子源をカソードとなるように電源を接続して10−5Paに真空封止し、電界放出型発光素子(素子A)を得た。素子Aに電圧を印加すると蛍光膜が発光し、電界5V/μmからエミッションが開始することが確認された。エミッションした電子による電流を測定し、ファウラー−ノルドハイム(Fowler−Nordheim)の式によってF−Nプロットをとると5V/μm以上の電界領域で直線性を示したため、前記エミッションが電界放出であることが確認された。
平均長軸径5.15μm、平均短軸径0.27μmの針状酸化チタン(FTL−300、石原産業製)を、アンモニアガス中で800℃の温度で1時間焼成し、体積抵抗0.044Ωcmの針状導電性酸化チタンを得た。実施例1と同様の方法で本発明の冷陰極電子源及び電界放出型発光素子(素子B)を作製しF−Nプロットをとると5V/μm以上の電界領域で直線性を示したため、前記エミッションが電界放出であることが確認された。
針状導電性酸化チタンに代えて平均長軸径1.10μm、平均短軸径0.015μmの針状導電性酸化スズ(FS−10P、石原産業製)を用いた以外は実施例1と同様に処理して本発明の冷陰極電子源及び電界放出型発光素子(素子C)を作成しF−Nプロットをとると5V/μm以上の電界領域で直線性を示したため、前記エミッションが電界放出であることが確認された。
平均長軸径1.68μm、平均短軸径0.13μmの針状形状を有する酸化チタン(FTL−100、石原産業製)を水中に分散し、この分散液中にAl基板を沈めて静置することで、Al基板上に針状酸化チタンを堆積した。この導電性を有さない針状酸化チタン膜に波長248nmのKrFエキシマレーザーを3MW/cm2のパワー密度、パルス幅20nsでワンショット照射し、本発明の冷陰極電子源を作製した。ZnO蛍光膜が塗布されたITO基板を、前記冷陰極電子源と250μmの間隔で平行に配置した。そして蛍光膜をアノード、冷陰極電子源をカソードとなるように電源を接続して10−5Paに真空封止し、電界放出型発光素子(試料D)を得た。
レーザー光のパワー密度を7MW/cm2とすること以外は実施例1と同様にして本発明の冷陰極電子源(試料E)を得た。試料Eに電圧を印加すると電界が2V/μmでエミッションが開始し、F−Nプロットからこのエミッションがフィールドエミッションであることが確認された。電界8V/μmにおけるエミッション電流は1mA/cm2であった。
平均長さ1.68μm、平均径0.13μmの針状形状をした酸化チタン(FTL−100、石原産業製)と平均粒子径1.1μmのガラスパウダーとを1:0.12の重量比で、分散剤を添加したトルエンとn−ブタノールの混合溶液中に分散し、アクリル樹脂を添加して塗料化し、アプリケーターを用いてITOガラス基板上に塗布した。塗料組成物中の有機物を、窒素雰囲気中500℃で一時間焼成して除去した。得られた酸化チタンの膜と125μmの間隔でITO基板を平行に配置した。酸化チタン膜がカソード、対向側のITO基板がアノードとなるように電源を接続し10−5Paに真空封止した。得られた電極間に3.5kV、パルス幅167μs、繰り返し周波数60Hzのパルス高電界を1秒間印加して活性化処理を行い、本発明の冷陰極電子源を得た。
平均長さ1.68μm、平均径0.13μmの針状形状をした酸化チタン(FTL−100、石原産業製)と平均粒子径1.1μmのガラスパウダーとを1:0.12の重量比で、分散剤を添加したトルエンとn−ブタノールの混合溶液中に分散し、アクリル樹脂を添加して塗料化し、アプリケーターを用いてITOガラス基板上に塗布した。塗料組成物中の有機物を、窒素雰囲気中400℃で一時間焼成して除去した。この導電性を有さない針状酸化チタン膜に波長248nmのKrFエキシマレーザーを1MW/cm2の低いパワー密度、パルス幅20nsでワンショット照射し、冷陰極電子源を得た。ZnO蛍光膜が塗布されたITO基板を、前記冷陰極電子源と125μmの間隔で平行に配置した。そして蛍光膜をアノード、冷陰極電子源をカソードとなるように電源を接続して10−5Paに真空封止し、電界放出型発光素子(試料G)を得た。試料Gに電圧を印加したが、8V/μmまで電圧を上げてもエミッションは確認されなかった。
基板を、アルミニウムを蒸着したガラス板とすること以外は実施例7と同様にして、本発明の冷陰極電子源(試料H)を得た。試料Hに電圧を印加すると電界が3V/μmでエミッションが開始し、F−Nプロットからこのエミッションがフィールドエミッションであることが確認された。電界5V/μmにおけるエミッション電流は10−2mA/cm2であった。
1.カソード電極およびその上に形成された電子放出部を有する冷陰極電子源において、電子放出部に活性化処理された金属酸化物を用いることを特徴とする冷陰極電子源。
2.活性化処理された金属酸化物の一部が固定化物質によってカソード電極に固定されていることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
3.金属酸化物が、活性化処理によりカソード電極上に疎な領域を有して堆積していることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
4.金属酸化物が、活性化処理により疎領域と密領域の境界において突出している部分を、少なくとも一つ有することを特徴とする3に記載の冷陰極電子源。
5.金属酸化物が酸化チタン及び/又は酸化錫であることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
6.金属酸化物の形状が針状であることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
7.金属酸化物が針状導電性酸化チタン及び/又は針状導電性酸化スズであることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
8.針状導電性酸化チタンが針状二酸化チタンを導電処理したものであることを特徴とする7に記載の冷陰極電子源。
9.導電処理がアンモニアガス雰囲気中での加熱還元処理であることを特徴とする8に記載の冷陰極電子源。
10.カソード電極の仕事関数と電子放出部の金属酸化物の仕事関数との差が2eV以下であることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
11.カソード電極の仕事関数と電子放出部の金属酸化物の仕事関数との差が0.5eV以下あることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
12.カソード電極がアルミニウム、または表面にアルミニウムの層を有する基板であり、金属酸化物が酸化チタンであることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
13.カソード電極が表面に導電性酸化チタンの層を有する基板であり、金属酸化物が酸化チタンであることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
14.固定化物質がガラス組成物であることを特徴とする2に記載の冷陰極電子源。
15.活性化処理がレーザー光による照射処理であることを特徴とする1に記載の冷陰極電子源。
16.活性化処理が高電界印加処理であることを特徴とする、1に記載の冷陰極電子源。
17.カソード電極上に形成された金属酸化物を活性化処理する工程を含むことを特徴とする冷陰極電子源の製造方法。
18.活性化処理が高電界印加処理であることを特徴とする17に記載の冷陰極電子源の製造方法。
19.印加する高電界の強度が8V/μm以上のパルス電界であることを特徴とする18に記載の冷陰極電子源の製造方法。
20.高電界印加処理が、カソード電極から一定の間隔をおいてアノード電極を配置し、アノード電極とカソード電極の何れか、若しくはその両方を走査しながら行うことを特徴とする17に記載の冷陰極電子源の製造方法。
21.活性化処理がレーザー光による照射処理であることを特徴とする17に記載の冷陰極電子源の製造方法。
22.レーザー光の照射密度が0.1〜20MW/cm 2 の範囲にあることを特徴とする21に記載の冷陰極電子源の製造方法。
23.金属酸化物と固定化物質とを含むペーストをカソード電極上に塗布する工程を含むことを特徴とする1に記載の冷陰極電子源の製造方法。
24.塗布方法が、スクリーン印刷、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、ドクターブレード法、アプリケーター法の何れかであることを特徴とする23に記載の冷陰極電子源の製造方法。
25.金属酸化物と固定化物質とを含むことを特徴とする電子放出源組成物。
26.固定化物質がガラス組成物であることを特徴とする25に記載の電子放出源組成物。
27.1に記載の冷陰極電子源を用いた電界放出型フラットパネルディスプレイ。
28.1に記載の冷陰極電子源を用いた電界放出型ランプ。
Claims (22)
- カソード電極およびその上に形成された電子放出部を有する冷陰極電子源において、電子放出部に活性化処理された金属酸化物を用い、当該活性化処理が金属酸化物の中に新たにエミッションに寄与する部位を形成し、且つエミッションに寄与しない部位又は悪影響を及ぼす部位を取り除く処理であり、金属酸化物が針状導電性酸化チタン及び/又は針状導電性酸化スズであり、針状導電性酸化チタンが針状二酸化チタンを導電処理したものであることを特徴とする冷陰極電子源。
- 活性化処理がレーザー光による照射処理又は高電界印加処理であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電子源。
- 導電処理がアンモニアガス雰囲気中での加熱還元処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷陰極電子源。
- 活性化処理された金属酸化物の一部が固定化物質によってカソード電極に固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- 金属酸化物が、活性化処理によりカソード電極上に疎な領域を有して堆積していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- 金属酸化物が、活性化処理により疎領域と密領域の境界において突出している部分を、少なくとも一つ有することを特徴とする請求項5に記載の冷陰極電子源。
- カソード電極の仕事関数と電子放出部の金属酸化物の仕事関数との差が2eV以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- カソード電極の仕事関数と電子放出部の金属酸化物の仕事関数との差が0.5eV以下あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- カソード電極がアルミニウム、または表面にアルミニウムの層を有する基板であり、金属酸化物が酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- カソード電極が表面に導電性酸化チタンの層を有する基板であり、金属酸化物が酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- 固定化物質がガラス組成物であることを特徴とする請求項4又は請求項4を引用する請求項5〜10のいずれか一項に記載の冷陰極電子源。
- カソード電極上に形成された電子放出部である金属酸化物を活性化処理する工程を含み、当該活性化処理が金属酸化物の中にエミッションに寄与する部位を形成し、且つエミッションに寄与しない部位又は悪影響を及ぼす部位を取り除く処理であり、金属酸化物が針状導電性酸化チタン及び/又は針状導電性酸化スズであり、針状導電性酸化チタンが針状二酸化チタンを導電処理したものであることを特徴とする冷陰極電子源の製造方法。
- 活性化処理がレーザー光による照射処理又は高電界印加処理であることを特徴とする、請求項12に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 活性化処理がレーザー光による照射処理であることを特徴とする請求項13に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- レーザー光の照射密度が0.1〜20MW/cm2の範囲にあることを特徴とする請求項14に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 活性化処理が高電界印加処理であることを特徴とする請求項13に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 印加する高電界の強度が8V/μm以上のパルス電界であることを特徴とする請求項16に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 高電界印加処理が、カソード電極から一定の間隔をおいてアノード電極を配置し、アノード電極とカソード電極の何れか、若しくはその両方を走査しながら行うことを特徴とする請求項16又は17に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 金属酸化物と固定化物質とを含むペーストをカソード電極上に塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 塗布方法が、スクリーン印刷、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、ドクターブレード法、アプリケーター法の何れかであることを特徴とする請求項19に記載の冷陰極電子源の製造方法。
- 請求項1に記載の冷陰極電子源を用いた電界放出型フラットパネルディスプレイ。
- 請求項1に記載の冷陰極電子源を用いた電界放出型ランプ。
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