JP2008153026A - 分散型無機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを備える照明装置 - Google Patents

分散型無機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを備える照明装置 Download PDF

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幹也 松浦
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Abstract

【課題】分散型無機エレクトロルミネセンス素子(以下分散型無機EL素子)の透明電極の導電性及び全光線透過率を向上させ、発光輝度を向上させる。
【解決手段】本発明の分散型無機EL素子は、基板1上に背面電極2、絶縁層3、発光層4、透明電極5を順次積層して構成し、素子全体を表面保護層6で覆ったものである。分散型無機EL素子の輝度向上のため、カーボンナノチューブで形成された透明導電膜を使用する。該導電膜は極めて高い導電性と優れた透過率を兼ね備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な製造方法による分散型無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、分散型無機EL素子という。)及びこれを備えることを特徴とする照明装置に関する。
EL素子は、高精細、高コントラスト、応答速度が速いといった特徴から液晶ディスプレイ用バックライト、各種インテリア用照明、車載用表示装置等への応用が期待されている。EL素子には発光層を蒸着等の手段で通常数μmの厚さに形成する薄膜型EL素子と、発光層をスクリーン印刷等の手段で通常数十μmの厚さに形成する分散型EL素子がある。このうち分散型EL素子は、製造設備が比較的単純であること、連続生産に適しており大量生産に有利であること、また近年需要が高まっている素子の大型化にも有利であること、などの特長がある。
分散型EL素子は発光材料に無機材料を使用する分散型無機EL素子が一般的である。
分散型無機EL素子は、図1に示すように、通常PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる基板の片面に、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電層を形成した透明電極と、バインダー中に蛍光体微粒子を分散してなる発光層と、バインダー中に誘電体微粒子を分散してなる絶縁層と、アルミニウムや銀等からなる背面電極を順次積層して構成されており、さらに防湿、耐久性向上を目的とした表面保護層が設けられている。
透明電極は基板上に減圧雰囲気下を要する真空製膜法、例えばスパッタ法や蒸着法、CVD法に代表される方法によって透明導電層を形成することで製造している。このような方法によれば、透明性に優れ、且つ高い導電性を備えた膜が得られる反面、減圧雰囲気で製膜形成を行う装置は、導入コストが高く、その後の運転コストも高くなる傾向が強く、更には広い面積に渡って均一な厚さの膜を形成しにくいという課題がある。本課題を克服するために特許文献1では、針状ITOゾルを用いた印刷プロセスによる分散型無機EL素子の作製が報告されている。しかしながら、本系では高い導電性を得るために5〜100μmの針状ITOを用いているため、得られた導電膜の透過率が低く、発光時の輝度の低下に繋がるといった課題があった。また近年のインジウムの価格高騰を背景に、ITOの代替材料が盛んに検討されている。特許文献2では、導電性ポリマーをPETフィルム上に塗布して得た導電フィルムを用いた分散型無機EL素子に関する報告がある。しかしながら、導電性ポリマーを用いた導電性フィルムでは、高い導電性と優れた透過率を兼ね備えることは困難であり、新たな導電性ポリマーの開発が必要とされている。その一方で、最近ではカーボンナノチューブ含有コーティングフィルムに関する報告もなされている(特許文献3)。
特許3359093号公報 特開2002-124391公報 特開2005-255985公報
しかしながら本発明者らの検討によれば、予め作製したカーボンナノチューブ含有コーティングフィルムを透明電極としてその上に蛍光体層を形成した場合、発光効率が低いことが判明した(比較例3)。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、資源枯渇の影響を受け難い導電材料を用い、且つ安価な製造プロセスで得られる、発光効率の高い高輝度な分散型無機EL素子を提供すると共に、この分散型無機EL素子を備える、多くの用途に有用な照明品位の高い照明装置を提供することである。
上記課題は下記発明によって達成された。
[1] 透明電極と背面電極との間に発光層が介在するEL素子であって、該透明電極はカーボンナノチューブを含む分散液を発光層の上に塗布することで形成される透明導電膜により構成されることを特徴とする分散型無機EL素子。
[2] 前記透明電極を構成する透明導電膜中のカーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである[1]に記載の分散型無機EL素子。
[3] 前記透明電極を構成する透明導電膜中のカーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブである[1]に記載の分散型無機EL素子。
[4] 前記透明電極を構成する透明導電膜の表面抵抗値が2000Ω/□以下で且つ75%以上の全光線透過率を持つことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子を備えることを特徴とする照明装置。
上記[1]に記載の発明で、透明電極は、カーボンナノチューブを含む分散液を発光層の上に塗布することで形成される透明導電膜により構成されるため、蛍光体と透明電極の密着性が向上し、界面抵抗値が低下するため、発光効率が高まり、分散型無機EL素子の発光輝度が向上する。また、減圧雰囲気下を要する真空成膜法を用いる必要がないため、安価な製造プロセスでの素子の製造が可能になる。またポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する。)フィルムなどの基板層がないため、構成が単純化でき、界面の密着性低下による輝度低下などの耐久性の面からも有利である。
上記[2]に記載の発明で、透明電極が単層カーボンナノチューブよりなることで、透明電極の全光線透過率が向上し、分散型無機EL素子の発光輝度が向上する。
上記[3]に記載の発明で、透明電極が多層カーボンナノチューブよりなることで、チューブの欠損による輝度の低下、輝度ムラなどを抑制できる。
上記[4]に記載の発明で、透明電極を構成する透明導電膜の表面抵抗値が2000Ω/□以下で、かつ、75%以上の全光線透過率であることから、導電性と透明性が高度に両立するため分散型無機EL素子の発光輝度が向上する。
また上記[5]に記載の発明は、本発明の無機EL素子を備えることで、輝度が均一で明るく、照明品位の高い照明装置である。
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明の分散型無機EL素子は、基板1上に背面電極2、絶縁層3、発光層4、透明電極5を順次積層して構成し、素子全体を表面保護層6で覆ったものである。
<背面電極>
光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用できる。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作製する素子の形態、作製工程の温度等により適時選択されるが、導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。一般的に、PETフィルム上にアルミニウムが蒸着されたフィルムを用いることが好ましい。
<絶縁層>
本発明のEL素子は、基本的に発光層を、少なくとも一方が透明な、対向する一対の電極で挟持した構成を持つ。発光層と電極の間に絶縁層を形成することが好ましい。
絶縁層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものが用いられる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、KNbO3、PbNbO3、Ta2O5、BaTa2O6、LiTaO3、Y2O3、Al2O3、ZrO2、AlON、ZnSなどが用いられる。これらは均一な膜として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いられても良い。
<発光層>
発光層は、蛍光体粒子をバインダーに分散したものを用いる。バインダーとしては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。これらの樹脂に、BaTiO3やSrTiO3などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー、遊星型混練機、ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。本発明で用いる好ましい蛍光体粒子の量は、バインダー量1に対して重量比で4.2〜20であり、特に好ましいのは4.5〜10である。
発光層と絶縁層は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などを用いて塗布することが好ましい。特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。例えば、スクリーン印刷法は、蛍光体や誘電体の微粒子を高誘電率のポリマー溶液に分散した分散液を、スクリーンメッシュを通して塗布する。メッシュ数、乳剤膜厚、印刷速度、スキージの硬さ、塗布回数を選択することにより膜厚を制御できる。分散液を変えることで、発光層や誘電体層のみならず、背面電極なども形成でき、更にスクリーンの大きさを変えることで大面積化が容易である。
<蛍光体粒子>
本発明に用いる分散型無機EL蛍光体粒子は、焼成法、尿素溶融法、噴霧熱分解法、水熱合成法を好ましく用いることができる。
本発明に利用可能な蛍光体粒子を、硫化亜鉛を母体として、固相法で形成する場合、先ず液相法で10〜50nmの微粒子粉末を作製し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物や共付活剤を混入させて融剤とともに坩堝にて900〜1300℃の高温で30分〜10時間、第1の焼成を行い、粒子を得る。
第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。
次いで、得られた中間体粉末に第2の焼成を施す。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で、また短時間の30分〜3時間の加熱をする。
これらの焼成により蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、微粒子で且つより多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。
また、第1の焼成物に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。衝撃力を加える方法としては、中間蛍光体粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させて衝突させる方法、超音波を照射する方法などを好ましく用いることができる。これらの方法により、5nm以下の間隔で10層以上の積層欠陥を有する粒子を形成することができる。
その後、該中間蛍光体を、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに表面に付着した硫化銅を、KCNで洗浄して除去する。続いて該中間蛍光体を乾燥してEL蛍光体を得る。
また、硫化亜鉛の場合などは、蛍光体結晶中に多重双晶構造を導入するため、蛍光体の粒子形成方法として、水熱合成法を用いることも好ましい。水熱合成法では、粒子は、よく撹拌された水溶媒に分散されており、且つ粒子成長を起こす亜鉛イオン及び/又は硫黄イオンは、反応容器外から、水溶液で制御された流量で、決められた時間で添加する。従って、この系では粒子は水溶媒中で自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは水中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、粒子内部における付活剤若しくは共付活剤の濃度分布を変化させることが可能で、サイズ分布の狭い単分散な硫化亜鉛粒子を得ることが可能となる。核形成過程と成長過程の間に、オストワルド熟成工程を入れることが粒子サイズの調節及び、多重双晶の実現のために好ましい。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として、尿素溶融法を用いることも好ましい。尿素溶融法は、蛍光体を合成する媒体として溶融した尿素を用いる方法である。尿素を融点以上の温度に維持して溶融状態にした液中に、蛍光体母体や付活剤を形成する元素を含む物質を溶解する。必要に応じて、反応剤を添加する。例えば、硫化物蛍光体を合成する場合は、硫酸アンモニウム、チオ尿素、チオアセトアミドなどの硫黄源を添加して沈殿反応を起こさせる。その融液を450℃程度まで徐々に昇温すると、蛍光体粒子や蛍光体中間体が、尿素由来の樹脂中に均一分散した固体が得られる。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物を母体として蛍光体粒子が合成できる。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として、噴霧熱分解法を用いることも好ましい。蛍光体の前駆体溶液を、霧化器を用いて微小液滴化して、液滴内での凝縮や化学反応または液滴周囲の雰囲気ガスとの化学反応により、蛍光体粒子または蛍光体中間生成物を合成できる。液滴化の条件を好適にすることで、微粒子化、微量不純物の均一化、球形化、狭粒子サイズ分布化した粒子を得ることができる。微小液滴を生成する霧化器としては、2流体ノズル、超音波霧化器、静電霧化器を用いることが好ましい。霧化器によって生成した微小液滴を、キャリアガスで電気炉などに導入し、加熱することで、脱水・縮合し、さらに液滴内物質同士の化学反応や焼結、または雰囲気ガスとの化学反応により目的とする蛍光体粒子または蛍光体中間生成物を得る。得られた粒子を、必要に応じて追加焼成する。例えば、硫化亜鉛蛍光体を合成する場合は、硝酸亜鉛とチオ尿素の混合液を霧化し、800℃程度で、不活性ガス(例えば窒素)中で熱分解して、球形の硫化亜鉛蛍光体を得る。出発溶液の混合溶液中に、Mn、Cu及び希土類元素などの微量不純物を溶解させておけば、これらの不純物は発光中心として作用する。
蛍光体粒子の付活剤として銅、マンガン、銀、金及び希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。
共付活剤として塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。
<カーボンナノチューブ>
本発明で利用できるカーボンナノチューブは、直線及び屈曲多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、直線及び屈曲2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、直線及び屈曲単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、及びこれらの組み合わせたものからなる群から選択されるカーボンナノチューブであり、中でも全光線透過率の高さという観点からは2層カーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。またカーボンナノチューブの欠損抑制という観点からは2層以上の多層カーボンナノチューブであることが好ましく、3層以上であることがより好ましい。
本発明で利用できるカーボンナノチューブは、触媒を用いる熱分解法(気相成長法と類似の方法)、アーク放電法、及びレーザー蒸発法、HiPco法(High-Pressure carbon monoxide process)など従来公知のいずれかの製造方法を用いて作製可能である。例えば、レーザーアブレーション法では、金属触媒を添加した黒鉛材料を、1200℃程度に加熱し、アルゴンガスをゆっくりと流しながらパルスレーザーを集光させて炭素材料を蒸発させる。本手法では、生成物中の単層カーボンナノチューブの収率を60%程度まで高効率合成することができる。また、COを炭素源とした触媒反応によって単層カーボンナノチューブは作製することができる。この際、単層カーボンナノチューブの生成の鍵となるのは金属触媒の微粒子化であり、アルミナ、シリカ、MgOやゼオライトに金属触媒を担持させ、これらと炭素源の組み合わせにより、純度の高い単層カーボンナノチューブが得られる。本発明において、カーボンナノチューブで構成された透明電極の導電性及び透過率をより高めるためには、カーボンナノチューブの純度及び結晶性がより高いことが好ましい。
合成されたカーボンナノチューブ中には、アモルファスカーボン、炭素ナノ粒子、フラーレン、金属微粒子が含まれる。これらを取り除くためには、大気下での焼成処理や、過酸化水素、硝酸、塩酸、硫酸などと超音波分散ろ過を組み合わせた精製処理を行うことが好ましい。より好ましくはペルオキソニ硫酸カリウムで精製処理を行うことが好ましい。
<カーボンナノチューブ分散液>
一般に、カーボンナノチューブを溶媒に分散させようとすると、カーボンナノチューブ同士の強い相互作用(ファンデルワールス力)によって、カーボンナノチューブが束状及び縄状になってしまい均一に分散させることが困難である。本発明において、カーボンナノチューブを均一に分散させるために、カーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤と混合し、超音波で処理して、分散液を作製する。好ましくは、これらのカーボンナノチューブ分散液を超遠心分離機で分離またはガラス繊維濾紙やメンブレンフィルターでろ過して、微細なカーボンナノチューブのみが分散した溶媒とする。
本発明で用いられるカーボンナノチューブを分散させる溶媒としては、具体的に、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド類、及びこれらを組み合わせたものからなる群から選択される溶媒であり、好ましくは水、IPAである。
本発明で用いられる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系、多価アルコールと脂肪酸エステル系、この両者を併せ持つ系のいずれかであっても良いが、特に好ましくは、ポリオキシエチレン系のものが用いられる。ポリオキシエチレン系界面活性剤の例としては、脂肪酸のポリオキシエチレン・エーテル、高級アルコールのポリオキシエチレン・エーテル、アルキル・フェノール・ポリオキシエチレン・エーテル、ソルビタン・エステルのポリオキシエチレン・エーテル、ひまし油のポリオキシエチレン・エーテル、ポリオキシ・プロピレンのポリオキシエチレン・エーテル、脂肪酸のアルキロールアマイドなどがある。多価アルコールと脂肪酸エステル系界面活性剤の例としては、モノグリセライト型界面活性剤、ソルビトール型界面活性剤、ソルビタン型界面活性剤、シュガーエステル型界面活性剤などがある。
これら非イオン性界面活性剤の添加量は、カーボンナノチューブの配合量、溶媒の種類によって適宜定めることができるが、分散液重量基準で0.005〜10%であれば、カーボンナノチューブの十分な分散効果を得ることができる。非イオン性界面活性剤の添加量が少なすぎると、カーボンナノチューブに対する界面活性剤の量が不足するため、一部のナノチューブは凝集して沈殿物が生じてしまう。また、多すぎると、得られる透明電極の導電性が低下する。
また、カーボンナノチューブの配合量は、分散性が得られる限り特に限定されるものではないが、分散液重量基準で0.1%以下、特に50ppm〜0.05%であることが好ましい。カーボンナノチューブの配合量が多くなりすぎると、それに伴って必要な界面活性剤も多く必要となるため、上記したようにかえって透明電極の導電性が低下する。
本発明で用いられる超音波処理で用いられる超音波は20kHz、150W及び28kHz、140Wを用いて、約30分処理することによって良好な分散効果を得ることができたが、本発明の超音波の条件はこれに限定されるものではない。配合されるカーボンナノチューブの量、溶媒の種類等によって、適宜定めることが可能である。
本発明で使用されるフィルターは、ガラス繊維フィルター、メンブレンフィルターなどが用いられる。その際、保留粒子径は、目的に応じて適宜定めることができる。保留粒子径とは、JIS3801で規定された硫酸バリウムなどを自然ろ過したときの漏洩粒子径により求めたものであるが、実質的には、フィルターの平均細孔径に相当する。例えば、透明電極の透過率を高めるためには、フィルターの保留粒子径が小さいものほど良いが、一般には保留粒子径0.1〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.0μmのものを用いることができる。
<透明電極>
本発明で用いられる透明電極は、上述のようにして作製したカーボンナノチューブ分散液を発光層の上に、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法などを用いて直接塗布することが好ましい。特に、スプレー塗布法を用いることがより好ましい。例えば、スプレー塗布法では、必要に応じて基板を加熱しながら、分散液を塗布する。噴霧量、時間を選択することにより膜厚を制御できる。透明導電膜の膜厚が、10nm〜500nm、特に10nm〜100nmの範囲内にあることが好ましい。スパッタ法や蒸着法などに代表される真空プロセスを必要としないため、低廉簡便に、しかも効率良く製膜することができる。また、従来、分散型無機EL素子の多くは、ITOフィルムが透明電極として用いられているため、蛍光体と透明電極との密着性は比較的低いものであった。本発明では発光層の上に直接透明電極を塗布することにより、従来に比べて蛍光体と電極との密着性が高まり、輝度の向上に繋がる。
実施例1
単層カーボンナノチューブ(CNI社製:Super Purified HiPco grade)25mgと、ポリオキシエチレン系の界面活性剤(和光社製、TritonX-100)125mgを含む水溶液50mLとを混合し、プローブ型超音波分散機(株式会社SMT製、UH−600S)を用いて30分間照射を行った。次に、この分散液をガラス繊維濾紙(アドバンテック社製、GC-50、保留粒子径0.5μm)でろ過し、カーボンナノチューブ含有分散液を得た。本分散液を用いてPETフィルム(東レ製ルミラーS10)上にスプレーコートして得た透明導電膜は、表面抵抗が2000Ω/□、全光線透過率(スガ試験機株式会社製、HGM−2PPを用いて測定)80%であった。
得られたカーボンナノチューブ分散液を用いて、分散型無機EL素子を試作した。先ず、片面にアルミニウムを蒸着したPETフィルム(アルミニウム厚さ100nm、PET厚さ50μm)のアルミニウム蒸着面に、絶縁層としてチタン酸バリウムペースト(デュポン製7153)を100メッシュスクリーンを用いてスクリーン印刷し、120℃、30分間乾燥した(絶縁層厚さ15μm)。
絶縁層の上に、蛍光体粒子(オスラムシルバニア製 GG45)及び高誘電バインダー(デュポン製7155)からなるペーストを200メッシュスクリーンを用いて印刷し、120℃、30分間乾燥した(蛍光体層厚さ35μm)。その上に上記カーボンナノチューブ分散液をスプレーにより塗工し、上記と同様の透明導電膜を形成した。
透明導電膜及びPETフィルムのアルミニウム蒸着面の一端に電圧印加用リード線をそれぞれ接続した。そしてフッ素フィルムで包み防湿ラミネート加工をして分散型無機EL素子を作製した。
上記のように作製された分散型無機EL素子の透明導電膜の一端に接続した電圧印加用リード線と、PETフィルムのアルミニウム蒸着面の一端に接続した電圧印加用リード線との間に100V、400Hzの交流電圧を印加し、EL素子を発光させ、その輝度を色彩輝度計(トプコン社製 BM7)にて測定したところ、その発光輝度は101cd/m2であった。
実施例2
単層カーボンナノチューブ(CNI社製:Super Purified HiPco grade)を酸処理により精製した後に、その精製後のカーボンナノチューブ25mgと、ポリオキシエチレン系の界面活性剤(TritonX-100)125mgを含む水溶液50mLと混合し、プローブ型超音波分散機を用いて30分間照射を行った。次に、この分散液をガラス繊維濾紙(GC-50、保留粒子径0.5μm)でろ過し、カーボンナノチューブ含有分散液を得た。本分散液を用いてPETフィルム(東レ製ルミラーS10)上にスプレーコートして得た透明導電膜は、表面抵抗が1000Ω/□、全光線透過率83%であった。
透明電極として上記透明導電膜を用いた以外は、実施例1と同様にして分散型無機EL素子を作製し、EL素子を発光させたところ、その発光輝度は112cd/m2 であった。
実施例3
屈曲2層カーボンナノチューブの調製:
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.01gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテクス社製)0.11gとをエタノール(和光社製)7mLに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液にTS-1A(エヌイーケムキャット社製、Si/Ti=50)1gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、120℃でエタノールを除去し、300℃で1時間焼成することにより、金属担持触媒を得た。
内径32mmの石英管の中央部に石英ウールを置き、先に調製した金属塩を担持した金属担持触媒1gを充填した。石英管の下部よりアルゴンガスを600mL/minで供給し、石英管を管状電気炉で炉内温度を800℃へ昇温した。次いで、アセチレンを5mL/minで導入して30分間反応させることにより屈曲2層カーボンナノチューブを得た。
分散型無機EL素子の作製:
上記で得られた屈曲2層カーボンナノチューブ25mgと、ポリオキシエチレン系の界面活性剤(TritonX-100)125mgを含む水溶液50mLとを混合し、プローブ型超音波分散機を用いて30分間照射を行った。次に、この分散液をガラス繊維濾紙(GC-50、保留粒子径0.5μm)でろ過し、カーボンナノチューブ含有分散液を得た。本分散液を用いてPETフィルム(東レ製ルミラーS10)上にスプレーコートして得た透明導電膜は、表面抵抗が5000Ω/□、全光線透過率80%であった。
透明電極として上記透明導電膜を用いた以外は、実施例1と同様にして分散型無機EL素子を作製し、EL素子を発光させたところ、その発光輝度は96cd/m2 であった。
比較例1
ITO導電ペースト(住友金属鉱山製SC120)を150メッシュスクリーンを用いてPETフィルム(東レ製ルミラーS10)上にスクリーン印刷し、120℃、30分間乾燥した。得られた透過性導電膜は表面抵抗が1000Ω/□、全光線透過率58%であった。
比較例2
ITO導電ペーストを用いて、分散型無機EL素子を試作した。先ず、片面にアルミニウムを蒸着したPETフィルム(アルミニウム厚さ100nm、PET厚さ50μm)のアルミニウム蒸着面に、絶縁層としてチタン酸バリウムペースト(デュポン製7153)を100メッシュスクリーンを用いてスクリーン印刷し、120℃、30分間乾燥した(絶縁層厚さ15μm)。
絶縁層の上に、蛍光体粒子(オスラムシルバニア製 GG45)及び高誘電バインダー(デュポン製7155)からなるペーストを200メッシュスクリーンを用いて印刷し、120℃、30分間乾燥した(蛍光体層厚さ35μm)。その上に透光性導電膜としてITO導電ペースト(住友金属鉱山製SC120)を150メッシュスクリーンを用いてスクリーン印刷し、120℃、30分間乾燥した。
透光性導電膜及びPETフィルムのアルミニウム蒸着面の一端に電圧印加用リード線をそれぞれ接続した。そしてフッ素フィルムで包み防湿ラミネート加工をして分散型無機EL素子を作製した。
上記の様に作製された分散型無機EL素子の透光性導電膜一端に接続した電圧印加用リード線と、PETフィルムのアルミニウム蒸着面の一端に接続した電圧印加用リード線との間に100V、400Hzの電圧を印加し、EL素子を発光させ、その輝度を色彩輝度計(トプコン社製 BM7)にて測定したところ、その発光輝度は82cd/m2であった。
比較例3
実施例2で作製したカーボンナノチューブで構成された透明導電膜をもつPETフィルムの透明導電膜上に、蛍光体粒子(オスラムシルバニア製 GG45)及び高誘電バインダー(デュポン製7155)からなるペーストを200メッシュスクリーンを用いて印刷し、120℃、30分間乾燥した(蛍光体層厚さ35μm)。絶縁層としてチタン酸バリウムペースト(デュポン製7153)を100メッシュスクリーンを用いて積層印刷し、120℃、30分間乾燥した(絶縁層厚さ15μm)。これに背面電極として銀ペーストを印刷し、透明電極と背面電極に電圧を供給するためのリード線を付設した後、全体を封止フィルムで封止してEL素子を得た。上記のように作製された分散型無機EL素子の透明電極一端に接続した電圧印可用リード線と、背面電極の一端に接続した電圧印可用リード線との間に100V、400Hzの電圧を印可し、EL素子を発光させ、その輝度を色彩輝度計(トプコン社製 BM7)にて測定したところ、その発光輝度は94cd/m2であった。
上記比較例3から、カーボンナノチューブ含有フィルム上に発光層を形成した場合、発光効率が低いことがわかる。
このように本発明は、カーボンナノチューブ含有フィルムを所定の方法により発光層上に形成したときにのみ発光特性の優れたEL素子が得られるという当業者に全く予想外の構成及び効果の組合せに基づくものであることが理解できる。
図1は本発明の分散型無機EL素子の一例の断面図である。
符号の説明
1.基板
2.背面電極
3.絶縁層
4.発光層
5.透明電極
6.表面保護層

Claims (5)

  1. 透明電極と背面電極との間に発光層が介在するEL素子であって、該透明電極はカーボンナノチューブを含む分散液を発光層の上に塗布することで形成される透明導電膜により構成されることを特徴とする分散型無機EL素子。
  2. 前記透明電極を構成する透明導電膜中のカーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである請求項1に記載の分散型無機EL素子。
  3. 前記透明電極を構成する透明導電膜中のカーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブである請求項1に記載の分散型無機EL素子。
  4. 前記透明電極を構成する透明導電膜の表面抵抗値が2000Ω/□以下で、かつ、75%以上の全光線透過率を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散型無機EL素子を備えることを特徴とする照明装置。
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