JP5690490B2 - 感光性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性組成物に関する。
従来、顔料を用いたカラーフィルタの製造法としては、染色法、電着法、インクジェット法、顔料分散法等が知られている。顔料分散法の場合、分散剤などにより顔料を分散してなる着色組成物に、バインダー樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー等を添加して感光化した感光性組成物をガラス基板上にコートして乾燥後、露光、現像を行うことにより着色パターンを形成する。その後、加熱し、パターンを固着して画素を形成する。これらの工程を色ごとに繰り返してカラーフィルタを形成させる。
このようなカラーフィルタの画像形成に用いられる感光性組成物には、十分な解像性、基板との密着性、低現像残渣等の特性が求められている。また、顔料分散法によりカラーフィルタを形成させる場合、光リソグラフィ工程に供される。したがって、このような感光性組成物には、現像工程での除去部分に残渣や地汚れが生じないこと、除去部分が十分な溶解性を有すること、パターンエッジのシャープさ等の画素形成性を上げること、が常に求められる。さらに、近年では、カラーフィルタの作製に用いられる基板が大型化しており、現像マージンが大きいことが求められるようになっている。
特に、ブラックマトリクスのように、光の全波長領域において高い遮光能力が要求される場合では、露光部分と未露光部分における架橋密度の差をつけることが著しく困難であり、露光された部分でも、光照射面側では十分に硬化したとしても、基底面側では十分に硬化しない等の問題が生じていた。
そこで、このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、バインダー樹脂として、カルボキシル基を有するノボラックエポキシアクリレートを使用した感光性着色樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、バインダー樹脂として、カルボキシル基を有するアクリル樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応物を使用した感光性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献3には、2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物とモノカルボン酸との反応物に酸無水物を反応させて得られるポリカルボン酸樹脂を含む樹脂組成物が開示されている。
特開平11−84126号公報 特開平1−289820号公報 特開2004−43573号公報
しかし、上記特許文献1〜3に記載された感光性着色樹脂組成物等であっても、感度が十分でなく、例えば、露光された感光性組成物のうち、その上層側(露光面側)に比べて下層側(基底面側)での硬化が不足し、現像時に、下層側の感光性組成物が現像液の侵食によるアンダーカットを受け、現像後に形成されたパターンがT字型のT−Top形状となる場合がある。現像後のパターンがT−Top形状になると、パターンの欠けによる直進性の低下をもたらす場合がある。
また、上記のように、現像後のパターンは、加熱(ポストベーク)を受けることにより固着されて永久膜となるが、パターンの上層側と下層側との間で硬化の程度に差が存在すると、ポストベークの間にパターンの表面にシワを生じる場合がある。さらに、現像後のパターンがポストベーク中の熱によって軟化してフローを発生させ、もともと矩形であったパターン上層部の形状がポストベーク後に丸く変形する場合もある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、現像後のパターンがT−Top形状となることを抑制し、かつ、ポストベーク後のパターンにシワを生じたり、フローを生じたりすることを抑制できる感光性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、アクリル樹脂微粒子が分散されたアクリル樹脂微粒子分散液を感光性組成物に添加することにより、パターンの下層側における硬化性が改善されて上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明は、光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)、及びアクリル樹脂微粒子が分散されたアクリル樹脂微粒子分散液(C)を含む感光性組成物を提供するものである。
本発明によれば、現像後のパターンがT−Top形状となることを抑制し、かつ、ポストベーク後のパターンにシワを生じたり、フローを生じたりすることを抑制できる感光性組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の感光性組成物は、紫外線等の活性エネルギー線の照射を受けることにより硬化するネガ型のレジスト組成物として好適に使用される。中でも、本発明の感光性組成物は、顔料等の光吸収性又は光遮蔽性材料を含んでも硬化性に優れるので、カラーフィルタ形成用のレジスト材料として好ましく使用され、特にブラックマトリクス形成用のレジストとして好ましく使用される。
本発明の感光性組成物がカラーフィルタの形成用レジストとして使用される場合、フォトリソグラフィ法によるパターニングを受けてもよいし、インクジェットプリント法によるパターニングを受けてもよい。本発明の感光性組成物がブラックマトリクス用途として使用される場合、インクジェットプリント法によって画素を区画する黒色の壁を形成させる撥インクブラックマトリクスとして使用されてもよいし、ブラックカラムスペーサ用レジスト又はBOA(Black on Array)用インクジェットレジストとして使用されてもよいし、通常のブラックマトリクス形成用のレジストとして使用されてもよい。
特に限定されないが、本発明の感光性組成物が撥インクブラックマトリクスとして使用される場合、そのブラックマトリクスの膜厚は、1.6〜3.0μm程度が例示される。また、本発明の感光性組成物がブラックカラムスペーサ用レジストやBOA用インクジェットレジストとして使用される場合、そのブラックマトリクスの膜厚は、1.5〜5μm程度が例示される。本発明の感光性組成物が通常のブラックマトリクスとして使用される場合、そのブラックマトリクスの膜厚は、1〜2μm程度が例示される。
本発明の感光性組成物は、光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)、及びアクリル樹脂微粒子が分散されたアクリル樹脂微粒子分散液(C)を含む。以下、各成分について説明する。
[光重合性化合物(A)]
本発明の感光性組成物で使用される光重合性化合物(A)(以下、単に「(A)成分」とも呼ぶ。)としては、エチレン性不飽和基を有する樹脂又はモノマーが好ましく、これらを組み合わせることがより好ましい。エチレン性不飽和基を有する樹脂とエチレン性不飽和基を有するモノマーとを組み合わせることにより、硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。なお、本明細書では、エチレン性不飽和基を有する化合物のうち、質量平均分子量が1000以上のものを「エチレン性不飽和基を有する樹脂」と称し、質量平均分子量が1000未満のものを「エチレン性不飽和基を有するモノマー」と称することとする。
<エチレン性不飽和基を有する樹脂>
エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カルドエポキシジアクリレート等が重合したオリゴマー類;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を好適に用いることができる。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応物を、さらに多塩基酸無水物(a3)と反応させることにより得られる樹脂を好適に用いることができる。
その中でも、下記式(1)で表される化合物が好ましい。この式(1)で表される化合物は、それ自体が高い光硬化性を示す点で好ましい。
Figure 0005690490
上記式(1)中、Xは、下記式(2)を表す。
Figure 0005690490
上記式(2)中、R1aは、それぞれ独立に、水素原子、エーテル結合、カルボニル基若しくはエステル結合で中断されてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、又はハロゲン原子を表し、R2aは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Wは、単結合又は下記式(3)を表す。
Figure 0005690490
また、上記式(1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を表す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を表す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(1)中、nは、0〜20の整数を表す。
エチレン性不飽和基を有する樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜110mgKOH/gであることがより好ましい。酸価を10mgKOH/g以上とすることにより、現像液に対する十分な溶解性が得られる。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、十分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができる。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。質量平均分子量を1000以上とすることにより、耐熱性、膜強度を向上させることができる。また、質量平均分子量を40000以下とすることにより、現像液に対する十分な溶解性を得ることができる。
<エチレン性不飽和基を有するモノマー>
エチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明の感光性組成物が撥インクブラックマトリクスのように撥インク性を求められる場合、(A)成分には、撥インク性化合物が含まれることが好ましい。撥インク性化合物としては、フッ素原子やケイ素原子を含む光重合性化合物が挙げられる。フッ素原子を含む光重合性化合物としては、エポキシ基含有アクリル系モノマーと、当該エポキシ基含有アクリル系モノマーと共重合可能なフッ素系モノマーとを少なくとも共重合させた共重合体に、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物と反応させた後、さらに多塩基酸無水物と反応させて得られるエポキシアクリレートが例示される。このようなフッ素原子を含む光重合性化合物は、特開2008−122806号公報に例示される。また、珪素原子を含む光重合性化合物としては、エチレン性不飽和基及びケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有するケイ素含有モノマーと、当該ケイ素含有モノマーと共重合可能なフッ素系モノマーとを少なくとも共重合させた共重合体が例示される。このようなケイ素原子を含む光重合性化合物は、特開2009−168949号公報に例示される。
(A)成分の含有量は、感光性組成物の固形分100質量部に対して25〜99.9質量部であることが好ましい。含有量を固形分100質量部に対して25質量部以上とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性が期待できる。
[光重合開始剤(B)]
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤(B)を含有する。光重合開始剤(B)(以下、「(B)成分」とも呼ぶ。)は、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させ、上記(A)成分を重合させる。
このような(B)成分としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエ−テル類;チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン等の硫黄化合物;2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等のイミダゾリル化合物;p−メトキシトリアジン等のトリアジン化合物;2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1オン等のアミノケトン化合物;エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、(B)成分として、オキシムエステル系の化合物が含まれることが感光性組成物の感度を十分に保ち、パターンの直進性を向上させる観点から好ましい。このようなオキシムエステル系の化合物は、下記式(4)で表されるものが好ましい。
Figure 0005690490
上記式(4)中、R1bは、−NO又は−COR5bを表す。また、R5bは、置換基を有していてもよい、複素環基、縮合環式芳香族基、又は芳香族基を表す。R2b〜R4bはそれぞれ独立して一価の有機基を表す。
5bで表される複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5員環又は6員環の複素環基が挙げられる。複素環基の例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素5員環基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基等の含窒素6員環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素含硫黄基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基等の含窒素含酸素基;チエニル基、チオピラニル基等の含硫黄基;フリル基、ピラニル基等の含酸素基;等が挙げられる。この中でも、窒素原子又は硫黄原子を1つ含むものが好ましい。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。縮合環が含まれる複素環基の例としてはベンゾチエニル基等が挙げられる。
5bで表される縮合環式芳香族基としては、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。また、R1bで表される芳香族基としては、フェニル基が挙げられる。
複素環基、縮合環式芳香族基、又は芳香族基は、置換基を有していてもよい。特にR5bが芳香族基である場合には、置換基を有していることが好ましい。このような置換基としては、−NO、−CN、−SO6b、−COR6b、−NR7b8b、−R9b、−OR9b、−O−R10b−O−R11b等が挙げられる。
6bは、それぞれ独立にアルキル基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。R6bにおけるアルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
7b、R8bは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアルコキシ基のアルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、又はエステル結合により中断されていてもよい。また、R7bとR8bとが結合して環構造を形成していてもよい。R7b、R8bにおけるアルキル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
7bとR8bとが結合して形成し得る環構造としては、複素環が挙げられる。この複素環としては、少なくとも窒素原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環が挙げられる。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。複素環の例としては、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。これらの中でも、モルホリン環が好ましい。
9bは、水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。R9bにおけるアルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
10b、R11bは、それぞれ独立にアルキル基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。好ましい炭素数やその具体例は、上記R6bの説明と同様である。
これらの中でも、R5bとしては、ピロリル基、ピリジル基、チエニル基、チオピラリル基、ベンゾチエニル基、ナフチル基、置換基を有するフェニル基が好ましい例として挙げられる。
上記式(4)中、R2bは、一価の有機基を表す。この有機基としては、−R12b、−OR12b、−COR12b、−SR12b、−NR12b13bで表される基が好ましい。R12b、R13bは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。また、R12bとR13bとが結合して窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。
12b、R13bで表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、炭素数1〜5のものがより好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。また、このアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基を有するものの例としては、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピロキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基等が挙げられる。
12b、R13bで表されるアルケニル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、炭素数1〜5のものがより好ましい。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エテニル基、プロピニル基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。また、このアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基を有するものの例としては、2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)エテニル基等が挙げられる。
12b、R13bで表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、炭素数6〜10のものがより好ましい。アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
12b、R13bで表されるアラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、炭素数7〜12のものがより好ましい。アラルキル基の例としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルエテニル基等が挙げられる。
12b、R13bで表される複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられる。この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。複素環基の例としては、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
これらのR12b、R13bのうち、アルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
また、R12bとR13bとが結合して形成し得る環構造としては、複素環が挙げられる。この複素環としては、少なくとも窒素原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環が挙げられる。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。複素環の例としては、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。
これらの中でも、R2bとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基であることが最も好ましい。
上記式(4)中、R3bは、一価の有機基を表す。この有機基としては、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、下記式(5)で表される基、又は置換基を有していてもよい複素環基が好ましい。置換基としては、上記R5bの場合と同様の基が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
Figure 0005690490
上記式(5)中、R14bは、酸素原子で中断されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、sec−ペンチレン基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。これらの中でも、R14bはイソプロピレン基であることが最も好ましい。
上記式(5)中、R15bは、−NR16b17bで表される一価の有機基を表す(R16b、R17bは、それぞれ独立に一価の有機基を表す)。そのような有機基の中でも、R15bの構造が下記式(6)で表されるものであれば、オキシム系光重合開始剤の溶解性を向上することができる点で好ましい。
Figure 0005690490
上記式(6)中、R18b、R19bは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基である。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、R18b、R19bはメチル基であることが最も好ましい。
3bで表される複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5員環又は6員環の複素環基が挙げられる。複素環基の例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素5員環基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基等の含窒素6員環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素含硫黄基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基等の含窒素含酸素基;チエニル基、チオピラニル基等の含硫黄基;フリル基、ピラニル基等の含酸素基;等が挙げられる。この中でも、窒素原子又は硫黄原子を1つ含むものが好ましい。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。縮合環が含まれる複素環基の例としてはベンゾチエニル基等が挙げられる。
また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上記R5bの場合と同様の基が挙げられる。
上記式(4)中、R4bは、一価の有機基を表す。この中でも、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、R4bはメチル基であることが最も好ましい。
これらの(B)成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、感光性組成物に含まれる(B)成分中、上記式(4)で表されるオキシムエステル系の光重合開始剤が1.0質量%以上含まれていることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましい。最も好ましいのは100質量%である。
感光性組成物中における(B)成分の含有量は、溶剤以外の固形成分の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは1〜45質量部である。含有量を50質量部以下にすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また0.1質量部以上にすることにより光硬化不良を抑制することができる。
[アクリル樹脂微粒子分散液(C)]
本発明の感光性組成物は、アクリル樹脂微粒子が分散されたアクリル樹脂微粒子分散液(C)(以下、単に「(C)成分」とも呼ぶ。)を含む。本発明の感光性組成物が(C)成分を含むことにより、本発明の感光性組成物から作製されたパターンは、露光による硬化が下層部分まで進むので、現像後にT−Top形状になることや、ポストベーク後のシワの発生が抑制される。また、本発明の感光性組成物が(C)成分を含むことにより、本発明の感光性組成物から作製されたパターンは、ポストベーク中のフローを原因とする形状の低下が抑制される。
上記の効果のうち、パターンがT−Top形状となることの抑制効果については、感光性組成物に含まれるアクリル樹脂微粒子が透明粒子であることにより、露光時の光の透過率が向上し、パターンの下層まで硬化が進むためと推測される。また、さらなる理由として、形成されたパターンに含まれるアクリル樹脂微粒子はフィラーでもあるので、このフィラーがパターンの内部に充填されることによって、形成されたパターンへの現像液による侵食が抑制されるためと推測される。
上記の効果のうち、パターンへのシワの発生の抑制効果については、パターンの下層まで硬化が進み、パターンの上層部と下層物の間の硬化密度の差が小さくなるためと推測される。また、レジスト膜中に熱収縮のないアクリル微粒子が存在することで上層部と下層部の熱収縮率の差が小さくなっていることも寄与していると考えられる。さらに、上記の効果のうち、ポストベーク中における形状低下の抑制効果については、アクリル樹脂微粒子のフィラー効果によって、膜の耐熱性が向上してパターンのフロー性が低下するためと推測される。
つまり、上記の各効果は、感光性組成物に添加されたアクリル樹脂微粒子による、光透過性の向上効果と、フィラー効果とが組み合わさって発現されるものと推測される。
本発明の感光性組成物で使用される(C)成分は、分散されたアクリル樹脂微粒子を含む分散液である。通常、アクリル樹脂微粒子は、溶液中における重合反応によって球状の微粒子として形成され、その後乾燥工程を経て粉末となる。この乾燥工程において、アクリル樹脂微粒子は、凝集して平均粒子径が数μm〜数十μmとなる凝集体を形成する。また、乾燥工程を経なかったとしても、合成されたアクリル樹脂微粒子は、反応溶液中で凝集して平均粒子径が数μmとなる凝集体を形成する。本発明では、この凝集したアクリル樹脂微粒子を、液体中で粉砕し、分散されたアクリル樹脂微粒子を含む分散液とした上で使用する。これにより、アクリル樹脂微粒子は、微粒子化された状態で感光性組成物に添加されることとなり、上記で述べたような、光透過性の向上効果とフィラー効果とを十分に発揮することができる。
上記のように、(C)成分は、液体中でアクリル樹脂微粒子を分散させることによって作製される。アクリル樹脂微粒子を分散させる方法は、特に限定されず、公知の方法を使用することができる。このような方法としては、アクリル樹脂微粒子を液体中に添加してから、ディスパー等による撹拌法、ホモミキサーにより分散させる方法、ペイントコンディショナー法、サンドグラインダー法、ビーズミル法、ボールミル法、ロールミル法、ストーンミル法、ジェットミル法、ホモジナイザー法、高圧分散法等が例示される。この分散処理を行うことによってアクリル樹脂の粒子が微粒子化されるため、感光性組成物の塗布特性と製品の基板における平坦性や製造工程上のろ過性が向上する。アクリル樹脂の粒子を分散処理する際には、分散剤、分散助剤又は分散樹脂等を適宜併用するのが好ましい。
なお、サンドグラインダー法を使用して分散処理を行う場合は、0.1mmから数mm径のガラスビーズ又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。そして、分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定することが好ましい。なお、分散時間は、顔料分散液の組成、サンドグラインダー装置の大きさ等により適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
(C)成分に含まれるアクリル樹脂微粒子の分散平均粒子径は、20〜500nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましい。アクリル樹脂微粒子の分散平均粒子径が20nm以上であることにより、フィラー効果を発揮した上、分散安定性を維持することができ、アクリル樹脂微粒子の分散平均粒子径が500nm以下であることにより、塗布時の表面平滑性の維持とレジスト製造時のろ過性を確保することができる。
アクリル樹脂微粒子を分散させる際に使用する液体としては有機溶剤(以下、溶剤と呼ぶ。)が挙げられる。使用される溶剤は特に限定されず、感光性組成物へ一般的に使用されるものであればよい。このような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
感光性組成物におけるアクリル樹脂微粒子の添加量は、感光性組成物の固形分の合計に対して1〜60質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましい。感光性組成物におけるアクリル樹脂微粒子の使用量が固形分の合計に対して1質量%以上であることにより、アクリル樹脂微粒子による光透過性の向上効果とフィラー効果とを得ることができる。また、感光性組成物におけるアクリル樹脂微粒子の使用量が固形分の合計に対して60質量%以下であることにより、感光性組成物の塗布時の表面平滑性の低下を抑制することができる。感光性組成物におけるアクリル樹脂微粒子の添加量が上記範囲にとなるように、(C)成分の使用量を調節することが好ましい。
アクリル樹脂微粒子を構成するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸化合物の重合体又は共重合体である。当該アクリル樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、(メタ)アクリル酸化合物と(メタ)アクリル酸化合物以外の重合性不飽和化合物との共重合体であってもよい。アクリル樹脂が共重合体である場合、2以上の重合性不飽和基を有する架橋性モノマーと、1つの重合性不飽和基を有する非架橋性モノマーとを組み合わせることが好ましい。これらのモノマーは、適切な溶剤及び重合開始剤の存在下で加熱撹拌して重合させることにより、アクリル樹脂微粒子となる。
架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸−2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸−1−ブテニル、(メタ)アクリル酸−2−ブテニル、(メタ)アクリル酸−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸−1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸−2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸−3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸−o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸−2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノレン酸ビニル等の不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル等のヒドロキシ(アルコキシ)含有(メタ)アクリル酸エステル類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらのモノマーは、アクリル樹脂にオキセタニル基を導入するためのオキセタニル基を有してもよい。これらの架橋性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、全モノマー中の架橋性モノマーの量が5〜20質量%であることが好ましい。
非架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの非架橋性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、単分散性の良い微粒子が得られるという点で、疎水性の非架橋性モノマーを併用することが好ましい。疎水性の非架橋性モノマーとは、20℃における水への溶解度が、2.0×10−3g/cm以下のモノマーを表し、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。疎水性の非架橋性モノマーは、非架橋性モノマー全体の0〜50質量%であることが好ましい。
重合開始剤としては、高分子鎖の末端をカチオン性にすることができるものが好ましく、カチオン性の水溶性アゾ重合開始剤が挙げられる。このような重合開始剤としては、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。ラジカル重合開始剤は、架橋性モノマー及び非架橋性モノマーの合計量に対して、0.1〜0.3質量%であることが好ましい。
架橋性モノマーと非架橋性モノマーとを重合させる際の溶剤としては、上記モノマーを均質に溶解させることができ、かつ合成されたアクリル樹脂が不溶となるものが好ましい。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、等のケトン類;上記溶剤と水との混合溶剤等が挙げられるが、特にメタノール、エタノール、またはこれらと水の混合溶剤が好ましい。さらにこれらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。全溶剤の量は、上記モノマー全量が全溶剤に対して、10〜30質量%となることが好ましい。また、全溶剤中の水の量は0〜70質量%が好ましい。
(C)成分に含まれるアクリル樹脂微粒子は、既に述べたように、光透過性の向上効果とフィラー効果とにより、パターンの形状を改善させ、パターンにおけるシワの発生を抑制する。これに加えて、(C)成分に含まれるアクリル樹脂微粒子は、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキセタニル基及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を有することが好ましい。アクリル樹脂微粒子にこれらの置換基が含まれることにより、ポストベーク後のパターンの硬化密度が向上し、被膜硬度、基板への密着性、耐湿熱性等の各種特性が向上する。アクリル樹脂微粒子にこれらの置換基を導入するには、これらの置換基を有するモノマーを選択して、重合又は共重合させればよい。他に、これらの置換基をアクリル樹脂微粒子に導入する方法として、公知の合成法を使用してもよい。例えば、アクリル樹脂微粒子に(メタ)アクリロイル基を導入する方法として、次の3つの方法が挙げられる。1つ目は、アクリル樹脂の主鎖にカルボキシル基を導入し、そのカルボキシル基にグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル化合物を反応させる方法である。2つ目は、アクリル樹脂の主鎖にエポキシ基を導入し、そのエポキシ基にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させる方法である。3つ目は、アクリル樹脂の主鎖に水酸基を導入し、その水酸基にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させる方法である。
例えば、アクリル樹脂微粒子に(メタ)アクリロイル基が含まれることにより、感光性組成物の露光感度が向上し、現像時の溶解速度が上昇する。また、アクリル樹脂微粒子にグリシジル基等の脂環式エポキシ基が含まれることにより、パターンの膜強度や基板への密着性が向上する。また、アクリル樹脂微粒子にヒドロキシル基やカルボキシル基が含まれることにより、現像時の溶解速度が向上する。この場合、さらにアミン系の分散安定剤と組み合わせることにより、感光性組成物中のアクリル樹脂微粒子の分散安定性を向上させることができる。
アクリル樹脂微粒子の屈折率は、1.40〜1.65であることが好ましく、1.45〜1.60であることがより好ましい。アクリル樹脂微粒子の屈折率が1.65以下であることにより、感光性組成物膜への露光時に光の反射を抑制することができる。また、アクリル樹脂微粒子の屈折率が1.40以上であることにより、感光性組成物の感度を良好にすることができる。
[着色剤(D)]
本発明の感光性組成物には、さらに着色剤が含まれてもよい。本発明の感光性組成物は、着色剤が含まれることにより、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ用レジストとして好ましく使用される。また、上記着色剤としてカーボンブラック等の遮光剤が含まれることにより、本発明の感光性組成物は、例えば、ブラックマトリクス形成用のレジストとして好ましく使用される。
本発明の感光性組成物に使用される着色剤としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
本発明の感光性組成物に使用される遮光剤としては、黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀、錫等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛、金属合金又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラック、銀錫(AgSn)合金を用いることがより好ましい。上記のオキシム系光重合開始剤を用いることにより、遮光性の高い黒色顔料を用いたとしても、パターン直進性に優れた感光性組成物を得ることができる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等公知のカーボンブラックを用いることができるが、チャンネルブラックやファーネスブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを用いてもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして用いた場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
また、着色剤(遮光剤)を均一に分散させるために分散剤を併用することが好ましい。分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤(遮光剤)として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料の総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲であることがより好ましい。上記の無機顔料及び有機顔料は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた溶液とした後、感光性組成物に添加することが好ましい。
なお、本発明の感光性組成物における着色剤の使用量は、感光性組成物の固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜50質量%がさらに好ましい。上記の範囲にすることにより、目的とするパターンでブラックマトリクスや各着色層を形成することができ、好ましい。
例えば1.2μmといった薄膜のブラックマトリクスを形成する場合には、被膜1μmあたりのOD値が4以上となるように感光性組成物における黒色顔料の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける被膜1μmあたりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。また、インクジェットプリント用撥インクブラックマトリクスやブラックカラムスペーサのように厚膜のブラックマトリクスを形成する場合には、形成させた被膜全体としてのOD値が4以上となるように、被膜1μmあたりのOD値を適宜調整することが好ましい。
[溶剤]
本発明の感光性組成物には、溶剤が含まれることが好ましい。感光性組成物に溶剤が含まれることにより、塗布性等の特性を向上させることができる。本発明の感光性組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上述の(A)成分、(B)成分に対して優れた溶解性を示すとともに、黒色顔料等の不溶性成分の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤は、本発明の感光性組成物に含まれる固形分の合計100質量部に対して50〜500質量部の範囲で用いることができる。
[その他の成分]
本発明の感光性組成物は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。具体的には、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
本発明の感光性組成物に使用される熱重合禁止剤としてはヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等を用いることができる。また、消泡剤としてはシリコーン系、フッ素系化合物を、界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の各種熱重合禁止剤を用いることができる。
[感光性組成物の調製方法]
本発明の感光性組成物は、上記各成分を全て撹拌機で混合することにより得られる。なお、得られた混合物が均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
[パターン形成方法]
本発明の感光性組成物を用いてパターンを形成するには、まず、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて、基板上に感光性組成物を塗布する。
次いで、塗布された感光性組成物を乾燥させて塗膜を形成する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間〜数日放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分〜数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれの方法を用いてもよい。
次いで、この塗膜に、ネガ型のマスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm程度が好ましい。
次いで、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
次いで、現像後のパターンに対して200℃程度でポストベークを行う。この際、形成されたパターンを全面露光することが好ましい。
上記のように部分露光及び現像によってパターンを作製する方法の他に、例えば、インクジェットプリンタを使用して、基板上に本発明の感光性組成物を所望のパターン形状となるように吐出させ、次いで、乾燥、露光及びポストベークを経てパターンを形成させてもよい。
このようにして形成されたパターンは、液晶ディスプレイにおけるカラーフィルタ、ブラックマトリクス、スペーサ等として用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は質量部を意味する。
[光重合性化合物]
・樹脂Aの合成
まず、500mL四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(7)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
Figure 0005690490
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂Aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
この樹脂Aは、上記式(1)で表される化合物に相当し、エチレン性不飽和基を有する樹脂である。この樹脂を3−メトキシブチルアセテートにて固形分濃度50質量%に調整して使用した。なお、後述する表1及び表2における樹脂Aの添加量は、樹脂Aの固形分量を表す。
・樹脂B及びモノマー
メタクリル酸:ベンジルメタクリレート=20:80の共重合体であるエチレン性不飽和基を有する樹脂(新中村化学株式会社製、製品名NCF−2、質量平均分子量10000)を樹脂Bとした。さらに、エチレン性不飽和基を有するモノマー(モノマー)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬株式会社製)を使用した。なお、後述する表1及び表2における樹脂Bの添加量は、樹脂Bの固形分量を表す。
[光重合開始剤]
チバスペシャリティケミカルズジャパン株式会社製のイルガキュアOXE−02を光重合開始剤とした。
[アクリル樹脂微粒子分散液(アクリルビーズ分散液)]
・アクリルビーズ分散液1
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を有する反応容器に、メタノール89.6部、メチルメタクリレート9.0部、ベンジルメタクリレート1.0部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。反応容器を60℃に加熱後、アゾ系重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、製品名V−50)0.025部をイオン交換水0.5部に溶解したものを添加し、8時間加熱撹拌した後、ベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製、製品名ナイパーBW)を0.1部添加し、さらに2時間加熱撹拌を行い、固形分10質量%、粒径2.07μm、変動係数24.0%のアクリル樹脂微粒子の分散した分散液を得た。続いて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30.0部を加え、分水管を装着し70〜90℃でメタノール及び水あわせて90.1部を留去し、溶剤置換した固形分25質量%のアクリル樹脂微粒子分散液を得た。
このアクリル樹脂微粒子分散液をサンドグラインダーにより分散処理(条件:径0.3mmのジルコニアビーズを使用、温度80度以下に制御、分散剤としてビックケミー社製BYK−167を対粒子比2質量%添加、分散時間1時間)し、さらに、溶剤を留去して濃縮することにより、分散平均粒子径138nm、固形分11質量%のアクリルビーズ分散液1を得た。なお、後述する表1及び2におけるアクリルビーズ分散液1(アクリル分散液1)の添加量は、当該分散液に含まれる固形分量(アクリル樹脂微粒子及び分散剤)を表す。
・アクリルビーズ分散液2〜6
モノマーとして、メチルメタクリレート(MMA)9.0部、ベンジルメタクリレート(BzMA)0.5部及びメタクリル酸(MAA)0.5部を使用したこと以外はアクリルビーズ分散液1と同様の手順にて、アクリルビーズ分散液2を得た。また、同様に、MMA9.0部、BzMA0.5部及びグリシジルメタクリレート0.5部を使用してアクリルビーズ分散液3を、MMA9.0部、BzMA0.5部及び脂環式エポキシアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、サイクロマーM−100)0.5部を使用してアクリルビーズ分散液4を、MMA9部、BzMA0.5部及びアリルメタクリレート0.5部を使用してアクリルビーズ分散液6を、それぞれ得た。また、MMA9部及び2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)1部を共重合させた後に、さらにHEMA由来のヒドロキシル基をアクリル酸と反応させて、アクリル樹脂中にアクリロイル基を導入させたこと以外は、上記と同様の手順にてアクリルビーズ分散液5を得た。このときに使用したアクリル酸は、共重合に使用したHEMAと同じモル数である。なお、後述する表1及び2におけるアクリルビーズ分散液2〜6(アクリル分散液2〜6)の添加量は、当該分散液に含まれる固形分量(アクリル樹脂微粒子及び分散剤)を表す。
・アクリルビーズ分散液7〜10
モノマーとして、MMA7部及びスチレン3部を使用したこと以外はアクリルビーズ分散液1と同様の手順にて、アクリルビーズ分散液7を得た。また、同様に、MMA3部及びスチレン7部を使用してアクリルビーズ分散液8を、MMA3部及びBzMA7部を使用してアクリルビーズ分散液9を、MMA7部及びトリシクロデカニルメタクリレート3部を使用してアクリルビーズ分散液10を、それぞれ得た。各アクリルビーズ分散液に含まれるアクリル樹脂微粒子の屈折率は、アクリルビーズ分散液7が1.54、アクリルビーズ分散液8が1.58、アクリルビーズ分散液9が1.55、アクリルビーズ分散液10が1.47だった。なお、後述する表2におけるアクリルビーズ分散液7〜10(アクリル分散液7〜10)の添加量は、当該分散液に含まれる固形分量(アクリル樹脂微粒子及び分散剤)を表す。
[シリカビーズ分散液]
コロイダルシリカ(シリカビーズ)が分散したシリカゾルである日産化学工業株式会社製、スノーテックスPS−SOをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶剤中にプレミックスしたのちサンドグラインダーにより分散処理(条件:径0.3mmのジルコニアビーズを使用、温度80度以下に制御、分散剤としてビックケミー社製BYK−167を対粒子比3質量%添加、分散時間2時間)し、シリカビーズ分散液1とした。シリカビーズ分散液1に含まれるシリカビーズ濃度は、10質量%である。同様の手順にて、日産化学工業株式会社製、スノーテックスPS−Mを分散処理したものをシリカビーズ分散液2とし、日産化学工業株式会社製、スノーテックスPS−MOを分散処理したものをシリカビーズ分散液3とした。なお、後述する表1及び2におけるシリカビーズ分散液1〜3(シリカ分散液1〜3)の添加量は、当該分散液に含まれる固形分量(シリカビーズ及び分散剤)を表す。
[着色剤]
カーボンブラックの25質量%分散液(御国色素株式会社製、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)をカーボン分散液とした。また、フタロシアニンブルーの20質量%分散液(サカタインクス株式会社製、カラーインデックスNo. C.I.ブルー15−6、溶剤PGMEA)をブルー分散液とした。なお、後述する表1及び2におけるカーボン分散液及びブルー分散液の添加量は、当該分散液に含まれる固形分量を表す。
[溶剤及び界面活性剤]
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:3−メトキシブチルアセテート:シクロヘキサノン=50:30:20(質量比)の混合溶剤を使用した。また、界面活性剤は、共栄社化学株式会社製、グラノール400を使用した。
[感光性組成物の調製]
以上の各材料を表1及び表2に記載する割合にて混合し、実施例1〜5、参考例1〜14、及び比較例1〜7の感光性組成物を調製した。なお、表1及び表2における各数値の単位は、質量部である。また、表1及び表2において、「アクリル分散液」及び「シリカ分散液」は、それぞれアクリルビーズ分散液及びシリカビーズ分散液を意味する。
Figure 0005690490
Figure 0005690490
得られた感光性組成物を厚さ1mmの清浄な表面を有するガラス基板上にスピンコーター(TR25000:東京応化工業株式会社製)を用いて乾燥膜厚が2.3μmとなるように塗布し、90℃で2分間乾燥して感光性組成物の膜(感光層)を形成した。次いで、この膜にネガマスクを介して紫外線(波長365nm、照射量100mJ ORC社製照度計 UV−35換算)を選択的に照射した。そして、東京応化工業株式会社製 現像液 N−A3K(炭酸ナトリウム系現像液)を20倍純水希釈した液で25℃、60分間スプレー現像することにより、線幅20μmのラインを含むパターンを作製した。その後、220℃で30分間、循環式オーブンにてポストベークを行った。
上記のようにして得られた上記各実施例、各参考例、及び各比較例のパターンについて、T−Top形状抑制性、パターン形状、表面シワ、基板密着性、現像時の溶解速度、膜強度、露光感度、及びクラックの各項目について評価を行った。各評価基準は、以下の通りであり、評価結果を表3及び表4に示す。
[T−Top形状抑制性]
現像後のパターンについて、露光表面側の線幅に対して基底面側の線幅が細くなるT−Top形状の抑制性を走査型電子顕微鏡(SEM)でパターン断面の形状から評価した。評価基準は、以下の通りである。なお、表3及び表4における「T−Top抑制性」とは、「T−Top形状抑制性」を意味する。
◎:T−Top形状が観察されない
○:実用上問題にならない程度のT−Top形状が観察される
△:T−Top形状となることにより、パターンの直進性が低下する
×:T−Top形状となることにより、パターンの直進性が著しく低下する
[パターン形状]
上述の通り、ポストベーク処理によってパターンの流動(フロー)が発生し、パターンの矩形性が低下する場合がある。そこで、ポストベーク後のパターンについて、パターントップ部分の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)でパターン断面の形状から評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:パターントップ部分が矩形を維持している
○:パターンの角部分で実用上問題ない程度の僅かなフローが観察される
△:フローが発生し、パターンのトップ部分がやや丸くなっている
×:フローが発生し、パターンのトップ部分が著しく丸くなっている
[表面シワ]
ポストベーク後のパターンの表面におけるシワの発生具合を顕微鏡にて観察した。評価基準は、以下の通りである。
◎:パターンの表面にシワが観察されない
○:パターンの表面に実用上問題ない程度の僅かなシワが観察される
△:パターンの表面にシワがやや目立つ
×:パターンの表面にシワが著しく目立つ
[基板密着性]
ポストベーク後のパターンについて、PCT試験(Pressure Cooker Test)を行った。PCT試験の条件は、パターンを形成した基板を120℃、100%RH、2気圧の条件で2時間放置し、その後、パターンの表面に碁盤目状の傷を付けて粘着テープ(セロハンテープ、ニチバン株式会社製)による剥離試験(クロスハッチテスト)を行い、基板の表面からのパターンの剥がれ具合を観察して行った。評価基準は、以下の通りである。
◎:全く剥離が観察されない
○:僅かに剥離が観察される
△:剥離がやや目立つ
×:剥離が著しく目立つ
[溶解速度]
露光されていない箇所の現像時における溶解性について評価を行った。評価は、現像が開始されてから未露光部分の膜がすべて溶解して基板が露出するまでの時間を測定することにより行った。評価基準は、以下の通りである。
◎:基板が露出するまでの時間が40秒以下である
○:基板が露出するまでの時間が41〜60秒である
△:基板が露出するまでの時間が61〜80秒である
×:基板が露出するまで81秒以上を必要とする
[膜強度]
ポストベーク後のパターンについて鉛筆硬度を測定し、パターンの膜強度を評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:鉛筆硬度が5H以上である
○:鉛筆硬度が3H以上5H未満である
△:鉛筆硬度が2H以上3H未満である
×:鉛筆硬度が2H未満である
[感度]
上記の条件にて、感光性組成物に露光を行った際の感度を評価した。20μmラインのマスクを使用して100mJで露光して現像した後のラインパターンがマスクに対してBiasがどのくらいあるかを測定した。評価基準は、以下の通りである。
◎:Biasが+2.0μm以上である
○:Biasが+0.5μm以上+2.0μm未満である
△:Bias0.0μm以上+0.5μm未満である
×:Biasが0.0μm未満(マイナスBias)である
[クラック]
上記の条件にてパターニングを行った際、パターンにおけるクラックの発生状態を評価した。評価基準は、以下の通りである。
○:現像後のパターンにクラックが観察されない
×:現像後のパターンにクラックが観察された
Figure 0005690490
Figure 0005690490
表3及び表4に示すように、各実施例及び各参考例の感光性組成物は、T−Top形状抑制性、パターン形状及び表面シワの3項目についてバランス良く適性を備えることがわかる。このことは、各実施例及び各参考例の感光性組成物がアクリル樹脂微粒子の分散液を含むことによるフィラー効果と光透過性の向上効果とによってもたらされると推察される。このようなバランスの良い適性は、シリカ微粒子を含むか、微粒子を含まない比較例1〜7の感光性組成物では観察されない。
また、参考例6の感光性組成物は、他の実施例、参考例と比較をすると、現像時の溶解性が良好であることがわかる。これは、参考例6の感光性組成物にカルボキシル基を含むアクリル樹脂微粒子が使用されたためと考えられる。同様に、実施例の感光性組成物は、他の実施例、参考例と比較をすると、基板への密着性に優れることがわかる。これは、実施例の感光性組成物にエポキシ基を含むアクリル樹脂微粒子が使用されたためと考えられる。同様に、実施例及びの感光性組成物は、それぞれ脂環式エポキシアクリレートを由来とする基及びアクリロイル基が含まれることにより、溶解速度、膜強度及び感度がバランス良く改善されたと考えられる。これらのことから、アクリル樹脂微粒子がエポキシ樹脂、カルボキシル基等の置換基を有することによって、感光性組成物の適性が改良されることが理解される。

Claims (4)

  1. 光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)、アクリル樹脂微粒子が分散されたアクリル樹脂微粒子分散液(C)、及び着色剤(D)を含み、
    前記アクリル樹脂微粒子分散液(C)に含まれるアクリル樹脂微粒子が、エポキシ基オキセタニル基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を有し、
    前記着色剤(D)が遮光剤である感光性組成物。
  2. 前記アクリル樹脂微粒子分散液(C)に含まれるアクリル樹脂微粒子の分散平均粒子径が20〜500nmである請求項記載の感光性組成物。
  3. 前記光重合性化合物(A)が、エポキシ化合物(a1)と、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応物を、さらに多塩基酸無水物(a3)と反応させることにより得られる樹脂を含む請求項1または2記載の感光性組成物。
  4. 光重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)、アクリル樹脂微粒子が分散されたアクリル樹脂微粒子分散液(C)、及び着色剤(D)を含み、
    前記アクリル樹脂微粒子分散液(C)に含まれるアクリル樹脂微粒子が、(メタ)アクリロイル基を置換基として有し、
    前記光重合性化合物(A)が、エポキシ化合物(a1)と、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応物を、さらに多塩基酸無水物(a3)と反応させることにより得られる樹脂を含み、
    前記着色剤(D)が遮光剤である感光性組成物。
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