以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、例えば「カチオン的及び/若しくは酸触媒的に」等のように「A及び/若しくはB」、「A及び/又はB」、「A並びに/又はB」等の記載は、「A及びBからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。ここでA及びBは任意の用語である。
<着色感光性組成物>
まず、本発明の第1の態様に係る着色感光性組成物について説明する。
本発明の第1の態様に係る着色感光性組成物は、
(P)カチオン的及び/若しくは酸触媒的に重合性並びに/又は架橋性の化合物と、
(A)上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩及び光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1つの感光剤と、
(B)着色剤と
を含有する。
以下、(P)カチオン的及び/若しくは酸触媒的に重合性並びに/又は架橋性の化合物と、(A)上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩及び光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1つの感光剤と、着色剤(B)と、その他の成分とについて、順に説明する。
[(P)カチオン的及び/若しくは酸触媒的に重合性並びに/又は架橋性の化合物]
カチオン的及び/若しくは酸触媒的に重合性並びに/又は架橋性の化合物(以下、「化合物(P)」ともいう。)は、例えばアルキル基又はアリール基含有カチオンにより、或いはプロトンによりカチオン重合され得る化合物を含む。それらの例としては、環状エーテル、とりわけエポキシ化合物やオキセタン化合物、更に、ビニルエーテル化合物、ヒドロキシ含有化合物が挙げられる。また、ラクトン化合物及び環状チオエーテル化合物並びにビニルチオエーテル化合物も使用され得る。
本明細書において、「エポキシ」は、特に別の記載をしない限り、一般に、オキシラニルのみならずオキセタニル及び脂環式エポキシをも含む。
更なる例としては、アミノプラスチック又はフェノール系レゾール樹脂が挙げられる。これらは、とりわけメラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂であるが、とりわけメラミン樹脂とのアクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はアルキド樹脂の混合物である。また、これらとしては、変性表面コーティング樹脂(例えば、アクリル変性ポリエステル樹脂やアクリル変性アルキド樹脂等)が挙げられる。用語の表面コーティング樹脂は、好ましくは、アミノ樹脂を含む。それらの例としては、エーテル化及び非エーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、グアニジン樹脂、ビウレット樹脂が挙げられる。エーテル化アミノ樹脂(例えば、メチル化メラミン樹脂又はブチル化メラミン樹脂(N−メトキシメチル−メラミン又はN−ブトキシメチル−メラミン)やメチル化/ブチル化グリコールウリル)を含む表面コーティングの硬化用酸触媒が特に重要である。
化合物(P)がエポキシ化合物である場合には、分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物は、従来から硬化性組成物に配合されているエポキシ基を有する種々の化合物から選択できる。エポキシ化合物は、非重合体であるエポキシ基を有する低分子化合物であってもよく、エポキシ基を有する重合体であってもよいが、非重合体が好ましい。エポキシ基を有する非重合体としては、着色感光性組成物を用いて形成される硬化物が熱重量安定性に優れる点から、芳香族基を含まない脂肪族エポキシ化合物が好ましい。脂肪族エポキシ化合物の中では、開環重合により逐次重合が進み、ポリマー化が促進される点で、脂環式エポキシ基を有する脂肪族エポキシ化合物が好ましい。
脂環式エポキシ基を有する脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、及びエポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂や、下記式(P−1)〜(P−5)で表される化合物が挙げられる。これらの脂肪族エポキシ化合物の具体例の中では、逐次重合が進み、ポリマー化が促進される点で、下記式(P−1)〜(P−4)で表される脂環式エポキシ化合物が好ましく、下記式(P−1)〜(P−2)で表される脂環式エポキシ化合物がより好ましい。これらの脂環式エポキシ化合物は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
(式(P−1)中、Zは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。R
a1〜R
a18は、水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
連結基Zとしては、例えば、2価の炭化水素基、−O−、−O−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CBr2−、−C(CBr3)2−、−C(CF3)2−、及び−Ra19−O−CO−からなる群より選択される2価の基及びこれらが複数個結合した基等を挙げることができる。
連結基Zである二価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素原子数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
Ra19は、炭素原子数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
式(P−1)で表される化合物としては、脱水素により共役系構造(特に、π電子共役系構造)をとりにくい化合物が、熱重量安定性に加え、透明性に優れた硬化物を得ることができる点で好ましく、特に、脂環式エポキシ化合物、具体的には、一分子内の2個の脂環式エポキシ基が4級炭素及び/又はヘテロ原子を含有する連結基を介して結合している化合物が好ましい。
また、化合物(P)としては、下記式(P−2)〜(P−5)で表される脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
(式(P−2)中、Ra1〜Ra12は、水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
(式(P−3)中、R
a1〜R
a10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
a2及びR
a8は、互いに結合してもよい。)
(式(P−4)中、R
a1〜R
a12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
a2及びR
a10は、互いに結合してもよい。)
(式(P−5)中、R
a1〜R
a12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
式(P−5)中、Ra1〜Ra12が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子と共にハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロポキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロポキシ−n−ブチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロポキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロポキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロポキシ基、3−エトキシ−n−プロポキシ基、3−n−プロポキシ−n−プロポキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロポキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
Ra1〜Ra18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、及び炭素原子数1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に着色感光性組成物を用いて得られる硬化物が機械的特性に優れる点からRa1〜Ra18が全て水素原子であるのがより好ましい。
式(P−2)〜(P−5)中、Ra1〜Ra12は、式(P−1)におけるRa1〜Ra12と同様である。式(P−2)及び式(P−4)において、Ra2及びRa10が、互いに結合する場合に形成される2価の基としては、例えば、−CH2−、−C(CH3)2−が挙げられる。式(P−3)において、Ra2及びRa8が、互いに結合する場合に形成される2価の基としては、例えば、−CH2−、−C(CH3)2−が挙げられる。
式(P−1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(P1−1a)(P1−1b)(P1−1c)で表される脂環式エポキシ化合物や、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン[=2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン]等を挙げることができる。
式(P−2)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(P1−2a)で表されるビシクロノナジエンジエポキシド、又はジシクロノナジエンジエポキシド等が挙げられる。
式(P−3)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、Sスピロ[3−オキサトリシクロ[3.2.1.02,4]オクタン−6,2’−オキシラン]等が挙げられる。
式(P−4)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジペンテンジオキシド、リモネンジオキシド、1−メチル−4−(3−メチルオキシラン−2−イル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等が挙げられる。
式(P−5)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
以上説明した脂環式エポキシ基を有する脂肪族エポキシ化合物以外に、化合物(P)として使用し得る、エポキシ基を有する非重合体の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−[2−(グリシジルオキシ)エトキシ]フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−[2−(グリシジルオキシ)エチル]フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)−3−メチルフェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル]−9H−フルオレン、及び9,9−ビス(6‐グリシジルオキシナフタレン−2−イル)−9H−フルオレン等のエポキシ基含有フルオレン化合物;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂、及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物は、EHPE−3150(株式会社ダイセル製)として市販される。
また、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニルメタクリレート、ビス−1−エチル−3−オキセタニルメチルエーテル、1,4−ビス−3−エチルオキセタン−3−イルメトキシメチルベンゼン、3−エチル−3−2−エチルへキシロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン等一官能又は二官能以上のオキセタン化合物も好適に挙げられる。
(エポキシ基を有する重合体)
エポキシ基を有する重合体は、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体であってもよく、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性を有する官能基を有する重合体に対して、例えばエピクロルヒドリンのようなエポキシ基を有する化合物を用いてエポキシ基を導入したものであってもよい。また、1,2−ポリブタジエンのような側鎖に不飽和脂肪族炭化水素基を有する重合体の部分酸化物もエポキシ基を有する重合体として好適に使用することができる。かかる部分酸化物は、側鎖に含まれる不飽和結合の酸化により生成したエポキシ基を含む。
入手、調製、重合体中のエポキシ基の量の調整等が容易であることから、エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体と、側鎖に不飽和脂肪族炭化水素基を有する重合体の部分酸化物と、が好ましい。
(エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物の重合体)
エポキシ基を有する重合体の中では、調製が容易であることや、着色感光性組成物の基材への塗布性等の点から、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体か、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体が好ましい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。また、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。着色感光性組成物を用いて形成される硬化物の透明性の点から、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの中では、鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルや、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
芳香族基を含み、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(a2−1)〜(a2−15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(a2−1)〜(a2−5)で表される化合物が好ましく、下記式(a2−1)〜(a2−3)で表される化合物がより好ましい。
上記一般式中、Ra20は水素原子又はメチル基を示し、Ra21は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra22は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を示し、tは0〜10の整数を示す。Ra21としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra22としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基が好ましい。
エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、及びエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体の何れも用いることができるが、エポキシ基を有する重合体中の、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
エポキシ基を有する重合体が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体である場合、他の単量体としては、不飽和カルボン酸、エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。着色感光性組成物の保存安定性や、着色感光性組成物を用いて形成される硬化物のアルカリ等に対する耐薬品性の点からは、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体は、不飽和カルボン酸に由来する単位を含まないのが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの中では着色感光性組成物を用いて形成される硬化物の透明性の点から、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(a3−3)〜(a3−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−3)又は(a3−4)で表される化合物がより好ましい。
上記一般式中、Ra23は水素原子又はメチル基を示し、Ra24は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra25は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。Ra24としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra25としては、メチル基、エチル基が好ましい。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
(側鎖に不飽和脂肪族炭化水素基を有する重合体の部分酸化物)
側鎖に不飽和脂肪族炭化水素を有する重合体は特に限定されないが、入手や合成が容易であること等から、側鎖にビニル基を有する1,2−ポリブタジエンが好ましい。1,2−ポリブタジエンを部分的に酸化することによって、側鎖にオキシラニル基とビニル基とを有する、エポキシ化ポリブタジエンが得られる。このようなエポキシ化ポリブタジエンにおけるオキシラニル基の比率は、オキシラニル基とビニル基との総モル数に対して10〜70モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、10〜40モル%がより好ましい。エポキシ化ポリブタジエンとしては、日本曹達株式会社より市販される、JP−100、及びJP−200を好適に使用することができる。
以上説明した、エポキシ基を有する重合体の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、ポリスチレン換算の質量平均分子量として、3,000〜30,000が好ましく、5,000〜15,000がより好ましい。
また、化合物(P)としては、下記式(P−6)で表される化合物が挙げられる。
(式(P−6)中、R
P31〜R
P33は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−NH−及びこれらの組み合わせからなる基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。E
1〜E
3は、エポキシ基、オキセタニル基、エチレン性不飽和基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、チオール基、カルボキシ基、水酸基及びコハク酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基又は水素原子である。但し、E
1〜E
3のうち少なくとも1つは、エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される少なくとも1種である。)
式(P−6)中、RP31とE1、RP32とE2、及びRP33とE3で表される基は、例えば、少なくとも1つが下記式(P−6a)で表される基であることが好ましく、少なくとも2つが、それぞれ、下記式(P−6a)で表される基であることがより好ましく、何れもが、それぞれ、下記式(P−6a)で表される基であることが更に好ましい。1つの化合物に結合する式(P−6a)で表される基は、同じ基であることが好ましい。
−L−C (P−6a)
(式(P−6a)中、Lは直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−NH−及びこれらの組み合わせからなる基であり、Cはエポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される少なくとも1種である。式(P−6a)中、LとCとが結合して環状構造を形成していてもよい。)
式(P−6a)中、Lとしての直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましく、また、Lとしてのアリーレン基としては、炭素原子数5〜10のアリーレン基が好ましい。式(P−6a)中、Lは、直鎖状の炭素原子数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、−O−、−C(=O)−、−NH−及びこれらの組み合わせからなる基であることが好ましく、メチレン基等の直鎖状の炭素原子数1〜3のアルキレン基及びフェニレン基の少なくとも1種、又は、これらと、−O−、−C(=O)−及びNH−の少なくとも1種との組み合わせからなる基が好ましい。
式(P−6a)中、LとCとが結合して環状構造を形成している場合としては、例えば、分岐鎖状のアルキレン基とエポキシ基とが結合して環状構造(脂環構造のエポキシ基を有する構造)を形成している場合、下記式(P−6b)又は(P−6c)で表される有機基が挙げられる。
(式(P−6b)中、R
P34は、水素原子又はメチル基である。)
以下、式(P−6)で表される化合物の例としてオキシラニル基、オキセタニル基、及び脂環式エポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有するエポキシ化合物の例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、化合物(P)としては、例えば、分子内に2以上のグリシジル基を有するシロキサン化合物(以下、「シロキサン化合物(S)」ともいう)を挙げることができる。
シロキサン化合物(S)は、得られる硬化物に、長期に亘って高温環境下に曝した場合の黄変防止性(=耐熱透明性)を付与することができ、分子内に2以上のグリシジル基を有し、更に、シロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格を有する化合物である。シロキサン化合物(S)におけるシロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格やポリシロキサン骨格(例えば、直鎖状又は分岐鎖状のシリコーン(直鎖状又は分岐鎖状ポリシロキサン)や、かご型やラダー型のポリシルセスキオキサン等)等を挙げることができる。
シロキサン化合物(S)としては、なかでも、硬化性に優れ、得られる硬化物が耐熱透明性に特に優れる点で、下記式(S−1)で表される環状シロキサン骨格を有する化合物(以下、「環状シロキサン」という場合がある)が好ましい。
式(S−1)中、R
B1、R
B2は、グリシジル基を含有する一価の基又はアルキル基を示す。但し、式(S−1)で表される化合物におけるn個のR
B1及びn個のR
B2のうち、少なくとも2個はグリシジル基を含有する一価の基である。また、式(S−1)中のnは3以上の整数を示す。尚、式(S−1)で表される化合物におけるR
B1、R
B2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、複数のR
B1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。複数のR
B2も同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記グリシジル基を含有する一価の基としては、−D−O−RB3で表されるグリシジルエーテル基[Dはアルキレン基を示し、RB3はグリシジル基を示す]が好ましい。上記D(アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等の炭素原子数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等を挙げることができる。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜18(好ましくは炭素原子数1〜6、特に好ましくは炭素原子数1〜3)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
式(S−1)中のnは3以上の整数を示し、なかでも、着色感光性組成物の硬化性、及び硬化物の耐熱性及び機械強度に優れる点で3〜6の整数が好ましい。
シロキサン化合物(S)が分子内に有するグリシジル基の数は2個以上であり着色感光性組成物の硬化性、硬化物の耐熱性及び機械強度の観点から2〜6個が好ましく、特に好ましくは2〜4個である。
シロキサン化合物(S)のエポキシ当量(JlS K7236に準拠)は着色感光性組成物の硬化性、及び硬化物の耐熱透明性に優れる点で100〜350が好ましく、特に好ましくは150〜300、最も好ましくは200〜270である。
本態様の着色感光性組成物には、シロキサン化合物(S)以外にも他のシロキサン化合物(例えば、脂環式エポキシ基含有環状シロキサン、特開2008−248169号公報に記載の脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、特開2008−19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等)を含有していてもよい。
シロキサン化合物(S)としては、より具体的には、下記式で表される、分子内に2以上のグリシジル基を有する環状シロキサン等を挙げることができる。また、シロキサン化合物(S)としては、例えば、商品名「X−40−2701」、「X−40−2728」、「X−40−2738」、「X−40−2740」(以上、信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。
第1の態様の着色感光性組成物において、化合物(P)の含有量は、着色感光性組成物全体(ただし、溶剤を除く。)に対して、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、15〜55質量%であることが更に好ましい。化合物(P)の含有量が上記範囲内であると、ベークが低温焼成であっても形成される着色硬化物の溶剤耐性が良好となる傾向がある。
[感光剤(A)]
第1の態様の着色感光性組成物は、(A)上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩及び光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1つの感光剤(以下、「感光剤(A)」ともいう。)]を含有する。
〔上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩〕
上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩(以下、「スルホニウム塩(Q)」ともいう。)は、上記一般式(a1)中のベンゼン環において、A1が結合する炭素原子に対してオルト位の炭素原子にメチル基が結合していることを特徴とする。スルホニウム塩(Q)は、上記の位置にメチル基を有するため、従来のスルホニウム塩と比較して、プロトンを発生しやすく、紫外線等の活性エネルギー線に対する感度が高い。
上記一般式(a1)において、R1及びR2の何れもが上記一般式(a2)で表される基であることが好ましい。R1及びR2は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(a1)において、R1及びR2が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、形成される環は、硫黄原子を含めて3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることがより好ましい。形成される環は多環でもよく、5〜7員環が縮合したものであることが好ましい。
上記一般式(a1)において、R3は上記一般式(a3)で表される基であることが好ましい。
上記一般式(a1)において、A1は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記一般式(a2)において、R4は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記一般式(a2)において、m1は、環Z1の種類に応じて選択でき、例えば、0〜4の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数であってもよい。
上記一般式(a3)において、R5は、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記一般式(a5)で表される基であることが好ましく、上記一般式(a5)で表される基であることがより好ましい。
上記一般式(a3)において、R6は、アルキル基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキル基;又は上記一般式(a6)で表される基であることが好ましく、上記一般式(a6)で表される基であることがより好ましい。
上記一般式(a3)において、A2はS又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記一般式(a3)において、n1は0であることが好ましい。
上記一般式(a4)において、R7及びR8は独立に、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記一般式(a5)で表される基であることが好ましく、上記一般式(a5)で表される基であることより好ましい。R7及びR8は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(a4)において、R9及びR10の何れもが上記一般式(a2)で表される基であることが好ましい。R9及びR10は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(a4)において、R9及びR10が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、形成される環は、硫黄原子を含めて3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることがより好ましい。形成される環は多環でもよく、5〜7員環が縮合したものであることが好ましい。
上記一般式(a4)において、A3は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記一般式(a4)において、n2は0であることが好ましい。
上記一般式(a5)において、R11は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(a5)において、m2は、環Z2の種類に応じて選択でき、例えば、0〜4の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数であってもよい。
上記一般式(a6)において、R12は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記一般式(a6)において、m3は、環Z3の種類に応じて選択でき、例えば、0〜4の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数であってもよい。
上記一般式(a1)において、X−は、スルホニウム塩(Q)に活性エネルギー(熱、可視光、紫外線、電子線、及びX線等)を照射することにより発生する酸(HX)に対応する1価のアニオンである。スルホニウム塩(Q)を酸発生剤として用いる場合、X−としては、1価の多原子アニオンが好適に挙げられ、MYa −、(Rf)bPF6−b −、Rx1 cBY4−c −、Rx1 cGaY4−c −、Rx2SO3 −、(Rx2SO2)3C−、又は(Rx2SO2)2N−で表されるアニオンがより好ましい。また、X−は、ハロゲンアニオンでもよく、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
Mは、リン原子、ホウ素原子、又はアンチモン原子を表す。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
Rfは、水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びオクチル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等)及びシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は、もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて、80モル%以上が好ましく、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると、スルホニウム塩(Q)の光感応性が更に良好となる。特に好ましいRfとしては、CF3−、CF3CF2 −、(CF3)2CF−、CF3CF2CF2 −、CF3CF2CF2CF2 −、(CF3)2CFCF2 −、CF3CF2(CF3)CF−及び(CF3)3C−が挙げられる。b個のRfは、相互に独立であり、したがって、互いに同一でも異なっていてもよい。
Pはリン原子、Fはフッ素原子を表す。
Rx1は、水素原子の一部が少なくとも1個の元素又は電子求引基で置換されたフェニル基を表す。そのような1個の元素の例としては、ハロゲン原子が含まれ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。電子求引基としては、トリフルオロメチル基、ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。これらのうち、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が好ましい。c個のRx1は相互に独立であり、従って、互いに同一でも異なっていてもよい。
Bはホウ素原子、Gaはガリウム原子を表す。
Rx2は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、アルキル基及びフルオロアルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状の何れでもよく、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基は無置換であっても、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基(例えば、上記一般式(a2)〜(a6)に関する後述の説明中で例示するものが挙げられる。)、ニトロ基等が挙げられる。
また、Rx2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基における炭素鎖は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。特に、Rx2で表されるアルキル基又はフルオロアルキル基における炭素鎖は、2価の官能基(例えば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、イミド結合、スルホニル結合、スルホニルアミド結合、スルホニルイミド結合、ウレタン結合等)を有していてもよい。
Rx2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基が上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基を有する場合、上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基の個数は、1個であっても2個以上であってもよい。
Sは硫黄原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表す。
aは4〜6の整数を表す。
bは、1〜5の整数が好ましく、更に好ましくは2〜4の整数、特に好ましくは2又は3である。
cは、1〜4の整数が好ましく、更に好ましくは4である。
MYa −で表されるアニオンとしては、SbF6 −、PF6 −又はBF4 −で表されるアニオン等が挙げられる。
(Rf)bPF6−b −で表されるアニオンとしては、(CF3CF2)2PF4 −、(CF3CF2)3PF3 −、((CF3)2CF)2PF4 −、((CF3)2CF)3PF3 −、(CF3CF2CF2)2PF4 −、(CF3CF2CF2)3PF3 −、((CF3)2CFCF2)2PF4 −、((CF3)2CFCF2)3PF3 −、(CF3CF2CF2CF2)2PF4 −又は(CF3CF2CF2CF2)3PF3 −で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CF3CF2)3PF3 −、(CF3CF2CF2)3PF3 −、((CF3)2CF)3PF3 −、((CF3)2CF)2PF4 −、((CF3)2CFCF2)3PF3 −又は((CF3)2CFCF2)2PF4 −で表されるアニオンが好ましい。
Rx1 cBY4−c −で表されるアニオンとしては、好ましくは
Rx1 cBY4−c −
(式中、Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、cは1〜4の整数を示す。)
であり、例えば、(C6F5)4B−、((CF3)2C6H3)4B−、(CF3C6H4)4B−、(C6F5)2BF2 −、C6F5BF3 −又は(C6H3F2)4B−で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(C6F5)4B−又は((CF3)2C6H3)4B−で表されるアニオンが好ましい。
Rx1 cGaY4−c −で表されるアニオンとしては、(C6F5)4Ga−、((CF3)2C6H3)4Ga−、(CF3C6H4)4Ga−、(C6F5)2GaF2 −、C6F5GaF3 −又は(C6H3F2)4Ga−で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(C6F5)4Ga−又は((CF3)2C6H3)4Ga−で表されるアニオンが好ましい。
Rx2SO3 −で表されるアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン及びブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン又はp−トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
(Rx2SO2)3C−で表されるアニオンとしては、(CF3SO2)3C−、(C2F5SO2)3C−、(C3F7SO2)3C−又は(C4F9SO2)3C−で表されるアニオン等が挙げられる。
(Rx2SO2)2N−で表されるアニオンとしては、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、(C3F7SO2)2N−又は(C4F9SO2)2N−で表されるアニオン等が挙げられる。
一価の多原子アニオンとしては、MYa −、(Rf)bPF6−b −、Rx1 cBY4−c −、Rx1 cGaY4−c −、Rx2SO3 −、(Rx2SO2)3C−又は(Rx2SO2)2N−で表されるアニオン以外に、過ハロゲン酸イオン(ClO4 −、BrO4 −等)、ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO3 −、ClSO3 −等)、硫酸イオン(CH3SO4 −、CF3SO4 −、HSO4 −等)、炭酸イオン(HCO3 −、CH3CO3 −等)、アルミン酸イオン(AlCl4 −、AlF4 −等)、ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF6 −)、カルボン酸イオン(CH3COO−、CF3COO−、C6H5COO−、CH3C6H4COO−、C6F5COO−、CF3C6H4COO−等)、アリールホウ酸イオン(B(C6H5)4 −、CH3CH2CH2CH2B(C6H5)3 −等)、チオシアン酸イオン(SCN−)及び硝酸イオン(NO3 −)等が使用できる。
これらのX−のうち、カチオン重合性能の点では、MYa −、(Rf)bPF6−b −、Rx1 cBY4−c −、Rx1 cGaY4−c −及び(Rx2SO2)3C−で表されるアニオンが好ましく、SbF6 −、PF6 −、(CF3CF2)3PF3 −、(C6F5)4B−、((CF3)2C6H3)4B−、(C6F5)4Ga−、((CF3)2C6H3)4Ga−及び(CF3SO2)3C−がより好ましく、Rx1 cBY4−c −が更に好ましい。
上記一般式(a2)、(a5)、及び(a6)において、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
上記一般式(a1)〜(a6)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
上記一般式(a1)〜(a6)において、アルキル基としては、炭素原子数1〜18の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、及びn−オクタデシル等)、炭素原子数3〜18の分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、及びイソオクタデシル等)、並びに炭素原子数3〜18のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び4−デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。特に、上記一般式(a1)、(a2)、及び(a4)〜(a6)において、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基とは、アルキル基及びハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、上記の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基における少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子で置換した基(モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等)等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基のうち、R1、R2、R9、又はR10については、トリフルオロメチル基が特に好ましく、R4、R6、R11、又はR12については、メチル基が特に好ましい。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アルコキシ基としては、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アルキルカルボニル基におけるアルキル基としては、上述の炭素原子数1〜18の直鎖アルキル基、炭素原子数3〜18の分岐鎖アルキル基又は炭素原子数3〜18のシクロアルキル基が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、炭素原子数2〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2−メチルプロピオニル、ヘプタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、シクロペンタノイル基、及びシクロヘキサノイル基等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールカルボニル基としては、炭素原子数7〜11のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数2〜19の直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数7〜11のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールチオカルボニル基としては、炭素原子数7〜11のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アシロキシ基としては、炭素原子数2〜19の直鎖又は分岐鎖アシロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、テトラデシルカルボニルオキシ、及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールチオ基としては、炭素原子数6〜20のアリールチオ基(フェニルチオ、2−メチルフェニルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、2−クロロフェニルチオ、3−クロロフェニルチオ、4−クロロフェニルチオ、2−ブロモフェニルチオ、3−ブロモフェニルチオ、4−ブロモフェニルチオ、2−フルオロフェニルチオ、3−フルオロフェニルチオ、4−フルオロフェニルチオ、2−ヒドロキシフェニルチオ、4−ヒドロキシフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ、4−(フェニルチオ)フェニルチオ、4−ベンゾイルフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−メチルチオフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−メチルチオフェニルチオ、4−(4−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(2−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−メチルベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−エチルベンゾイル)フェニルチオ4−(p−イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ、及び4−(p−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アルキルチオ基としては、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリール基としては、炭素原子数6〜10のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル、及びナフチル等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)において、複素環式脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数2〜20(好ましくは4〜20)の複素環式炭化水素基(ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、複素環式炭化水素基としては、炭素原子数4〜20の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、セレノフェニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールオキシ基としては、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アルキルスルフィニル基としては、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、tert−ペンチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールスルフィニル基としては、炭素原子数6〜10のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル、トリルスルフィニル、及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、アルキルスルホニル基としては、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert−ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル、及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)〜(a6)において、アリールスルホニル基としては、炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル、トリルスルホニル(トシル基)、及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては、HO(AO)q−(式中、AOは独立にエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、qは1〜5の整数を表す。)で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。
上記一般式(a2)〜(a6)において、置換されていてよいアミノ基としては、アミノ基(−NH2)及び炭素原子数1〜15の置換アミノ基(メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、n−プロピルアミノ、メチル−n−プロピルアミノ、エチル−n−プロピルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、イソプロピルメチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、n−プロピルフェニルアミノ、及びイソプロピルフェニルアミノ等)等が挙げられる。
上記一般式(a3)及び(a4)において、アルキレン基としては、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐鎖アルキレン基(メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、2−エチルヘキサン−1,6−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、及びヘキサデカン−1,16−ジイル基等)等が挙げられる。
スルホニウム塩(Q)は、例えば、下記スキームに従って合成することができる。具体的には、下記式(b1)で表される1−フルオロ−2−メチル−4−ニトロベンゼンに、水酸化カリウム等の塩基の存在下で、下記式(b2)で表される化合物を反応させて、下記式(b3)で表されるニトロ化合物を得、次いで、還元鉄の存在下で還元を行って、下記式(b4)で表されるアミン化合物を得る。このアミン化合物とMaNO2(式中、Maは金属原子、例えば、ナトリウム原子等のアルカリ金属原子を示す。)で表される亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを反応させてジアゾ化合物を得、次いで、このジアゾ化合物とCuX’(式中、X’は臭素原子等のハロゲン原子を示す。以下、同じ)で表されるハロゲン化第一銅とHX’で表されるハロゲン化水素とを混合し、反応を進行させて、下記式(b5)で表されるハロゲン化物を得る。このハロゲン化物及びマグネシウムからグリニャール試薬を調製し、次いで、クロロトリメチルシランの存在下で、このグリニャール試薬と下記式(b6)で表されるスルホキシド化合物とを反応させて、下記式(b7)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。更に、このスルホニウム塩をMb+X”−(式中、Mb+は金属カチオン、例えば、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを示し、X”−はX−で表される1価のアニオン(ただし、ハロゲンアニオンを除く。)を示す。)で表される塩と反応させて塩交換を行うことにより、下記式(b8)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。なお、下記式(b2)〜(b8)において、R1〜R3及びA1は、上記一般式(a1)と同様である。
上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩(Q)のカチオン部の具体例としては、以下のものが挙げられる。上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩(Q)のアニオン部の具体例としては、上記X−の説明で挙げたもの等、従来公知のものを挙げることができる。上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩(Q)は上記スキームに従って合成することができ、必要に応じ更に塩交換することにより、カチオン部を所望のアニオン部と組み合わせることができ、特に、Rx1 cBY4−c −(式中、Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、cは1〜4の整数を示す。)で表されるアニオンとの組み合わせが好ましい。
る。
スルホニウム塩(Q)は、カチオン重合性化合物への溶解を容易にするため、あらかじめカチオン重合を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
そのような溶剤としては、カーボネート(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等);エステル(酢酸エチル、乳酸エチル、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等);エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等);及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられ、単独又は2種以上で用いることができる。
その他、従来公知のケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、炭化水素系溶剤を用いてもよい。また、プロトン性溶剤及び/又は塩基性溶剤として知られる溶剤を用いてもよい。
プロトン性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの一価アルコールおよびエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールのようなアルコール類;酢酸、ギ酸、(メタ)アクリル酸のようなカルボン酸類;エチレンジアミン、ジエチルアミンのようなアミン類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類;フェノール、p−ブチルフェノールのようなフェノール類;アセチルアセトン、マロン酸ジエチルのような活性メチレン化合物が挙げられる。
塩基性溶剤としては、例えば、上記のアミン類及び上記の窒素含アミド類の例の他、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
(併用オニウム塩)
第1の態様の着色感光性組成物は、上記スルホニウム塩(Q)及び後記の光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1つの感光剤(A)とともに、上記スルホニウム塩(Q)以外の従来型のオニウム塩(併用オニウム塩ともいう。)を含有していてもよい。
かかるオニウム塩としては、例えば、上記式(a1)におけるX−で表される1価のアニオンと、上記式(a1)におけるX−以外のカチオンとは異なるオニウムイオンとからなるオニウム塩等が挙げられ、スルホニウム塩(本明細書において、「スルホニウム塩(Q’)」ともいう。)が好ましい。X−で表される1価のアニオンとしては、上述のRx1 cBY4−c −が好ましい。
R
x1 cBY
4−c −で表される1価のアニオンを有するスルホニウム塩(Q’)としては、例えば下記式(a1’)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
(式中、R
1、R
2、R
3、A
1、R
x1、Y及びcは上述のとおり。)
上記式(a1’)で表されるスルホニウム塩(Q’)のカチオン部の具体例としては、以下のものが挙げられる。
スルホニウム塩(Q’)としては、また、上記式(a1)(但し、式中、R1及びR2は独立に、下記式(a2’)で表される基を示す。)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
(式中、環Z
1及びm1は上述のとおりであり、R
4’はアリール基を示す。)
かかるスルホニウム塩(Q’)のカチオン部の具体例としては、以下のものが挙げられる。
スルホニウム塩(Q’)のカチオン部の具体例としては、また、以下のものが挙げられる。
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。オキシム系の光重合開始剤の中で、特に好ましいものとしては、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(ピロール−2−イルカルボニル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、及び1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
光重合開始剤としては、また、下記式(d1)で表されるオキシム系化合物を用いることも好ましい。
(R
d1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、n1は0〜4の整数であり、n2は0又は1であり、R
d2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、R
d3は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
式(d1)中、Rd1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rd1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2〜4の整数である場合、Rd1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
Rd1がアルキル基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、Rd1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd1がアルコキシ基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、Rd1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rd1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rd1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3〜10が好ましく、炭素原子数3〜6がより好ましい。Rd1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rd1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rd1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。Rd1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rd1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rd1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。Rd1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rd1がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7〜20が好ましく、炭素原子数7〜10がより好ましい。またRd1がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11〜20が好ましく、炭素原子数11〜14がより好ましい。Rd1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rd1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rd1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rd1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rd1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rd1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rd1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rd1と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rd1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rd1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rd1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、及び炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rd1がフェニル基に結合する位置は、Rd1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
Rd2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rd2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
Rd2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Rd2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rd1と同様である。
Rd2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rd2の中では、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、下記式(d2)又は(d3)で表される基が好ましく、下記式(d2)で表される基がより好ましく、下記式(d2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
(R
d4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0〜4の整数である。)
(R
d5及びR
d6は、それぞれ、1価の有機基である。)
式(d2)におけるRd4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(d2)においてRd4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
Rd4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(d2)において、n3は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rd4の結合する位置は、Rd4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(d3)におけるRd5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rd5の好適な例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
Rd5の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(d3)におけるRd6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rd6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rd6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
Rd4、Rd5、又はRd6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd4、Rd5、又はRd6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rd4、Rd5、又はRd6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(d1)におけるRd3は、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。Rd3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(d1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記式(d1−1)で表される芳香族化合物を、下記式(d1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記式(d1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(d1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(d1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで式(d1−4)のオキシム化合物中のヒドロキシ基をアシル化して、下記式(d1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。アシル化剤としては、下記式(d1−5)で表される酸無水物((Rd3CO)2O)、又は下記式(d1−6)で表される酸ハライド(Rd3COHal、Halはハロゲン。)を用いるのが好ましい。なお、下記式(d1−2)において、Halはハロゲンであり、下記式(d1−1)、(d1−2)、(d1−3)、(d1−4)、及び(d1−7)において、Rd1、Rd2、Rd3、及びn1は、式(d1)と同様である。
式(d1)で表されるオキシムエステル化合物は、n2が1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記式(d2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記式(d2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(d2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記式(d2−3)で表されるケトオキシム化合物中のヒドロキシ基をアシル化して、下記式(d2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。アシル化剤としては、下記式(d2−4)で表される酸無水物((Rd3CO)2O)、又は下記式(d2−5)で表される酸ハライド(Rd3COHal、Halはハロゲン。)を用いるのが好ましい。なお、下記式(d2−1)、(d2−3)、(d2−4)、(d2−5)、及び(d2−6)において、Rd1、Rd2、Rd3、及びn1は、式(d1)と同様である。
また、式(d1)で表されるオキシムエステル化合物は、n2が1であり、Rd1がメチル基であって、Rd1が結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、Rd1がパラ位に結合する場合、例えば、下記式(d2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記式(d2−7)において、Rd2は、式(d1)と同様である。
式(d1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
また、下記式(d4)で表されるオキシムエステル化合物も、光重合開始剤として好ましい。
(R
d7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
d8及びR
d9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
d8とR
d9とは相互に結合して環を形成してもよく、R
d10は1価の有機基であり、R
d11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0〜4の整数であり、n5は0又は1である。)
このため、式(d4)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(d5)で表される化合物が好適である。
(R
d7、R
d8、R
d9、R
d10、n4、及びn5は、式(d4)と同様である。)
式(d4)及び(d5)中、Rd7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rd7は、式(d4)中のフルオレン環上で、−(CO)n5−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(d4)中、Rd7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(d4)で表される化合物が1以上のRd7を有する場合、式(d4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRd7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rd7が複数である場合、複数のRd7は同一であっても異なっていてもよい。
Rd7が有機基である場合、Rd7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rd7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
Rd7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rd7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rd7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rd7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rd7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。Rd7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rd7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rd7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。Rd7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rd7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rd7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rd7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rd7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、Rd7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。Rd7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rd7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rd7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rd7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rd7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rd7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rd7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rd7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
Rd7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rd7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rd7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rd7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rd7としては、ニトロ基、又はRd12−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rd12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rd12として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rd12として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rd7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rd7が水素原子であり且つRd10が後述の式(d4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(d4)中、Rd8及びRd9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rd8とRd9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rd8及びRd9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rd8及びRd9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
Rd8及びRd9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。Rd8及びRd9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd8及びRd9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd8及びRd9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rd7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rd7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rd7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
Rd8及びRd9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rd8及びRd9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rd8及びRd9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
Rd8及びRd9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
Rd8及びRd9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rd8及びRd9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rd8とRd9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rd8とRd9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rd8とRd9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
Rd8とRd9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRd8及びRd9の中でも好適な基の例としては、式−A1−A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rd8及びRd9が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rd8及びRd9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
Rd8及びRd9の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Rd8及びRd9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
Rd10の好適な有機基の例としては、Rd7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rd7について説明したものと同様である。また、Rd10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rd7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rd10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rd10としては、−A3−CO−O−A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A3−CO−O−A4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
d10について説明したが、R
d10としては、下記式(d4a)又は(d4b)で表される基が好ましい。
(式(d4a)及び(d4b)中、R
d13及びR
d14はそれぞれ有機基であり、n6は0〜4の整数であり、R
d13及びR
d14がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
d13とR
d14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1〜8の整数であり、n8は1〜5の整数であり、n9は0〜(n8+3)の整数であり、R
d15は有機基である。)
式(d4a)中のRd13及びRd14についての有機基の例は、Rd7と同様である。Rd13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rd13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rd13はメチル基であるのが最も好ましい。Rd13とRd14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(d4a)で表される基であって、Rd13とRd14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記一般式(d4a)中、n6は0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記一般式(d4b)中、Rd15は有機基である。有機基としては、Rd7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rd15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記一般式(d4b)中、n8は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記一般式(d4b)中、n9は0〜(n8+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記一般式(d4b)中、n7は1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(d4)中、Rd11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rd11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rd7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(d4)中、Rd11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(d4)で表される化合物は、前述の式(d5)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N−OH)を、>C=N−O−CORd11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rd11は、式(d4)中のRd11と同様である。
オキシム基(>C=N−OH)の、>C=N−O−CORd11で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(d5)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
−CORd11で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rd11CO)2Oで表される酸無水物や、Rd11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
一般式(d4)で表される化合物は、n5が0である場合、例えば、下記スキーム3に従って合成することができる。スキーム3では、下記式(d3−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。Rd7がニトロ基又は1価の有機基である場合、式(d3−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をRd8及びRd9で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基Rd7を導入して得ることができる。9位をRd8及びRd9で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、Rd8及びRd9がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
式(d3−1)で表されるフルオレン誘導体に、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−Rd10で表されるアシル基を導入し、式(d3−3)で表されるフルオレン誘導体が得られる。を、−CO−Rd10で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤は、ハロカルボニル化合物であってもよく、酸無水物であってもよい。アシル化剤としては、式(d3−2)で表されるハロカルボニル化合物が好ましい。式(d3−2)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上にアシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
次いで、得られる式(d3−3)で表されるフルオレン誘導体中の−CO−Rd10で表される基を、−C(=N−OH)−Rd10で表される基に変換し、式(d3−4)で表されるオキシム化合物を得る。−CO−Rd10で表される基を、−C(=N−OH)−Rd10で表される基に変換する方法は特に限定されないが、ヒドロキシルアミンによるオキシム化が好ましい。式(d3−4)のオキシム化合物と、下式(d3−5)で表される酸無水物((Rd11CO)2O)、又は下記式(d3−6)で表される酸ハライド(Rd11COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(d3−7)で表される化合物を得ることができる。
なお、式(d3−1)、(d3−2)、(d3−3)、(d3−4)、(d3−5)、(d3−6)、及び(d3−7)において、Rd7、Rd8、Rd9、Rd10、及びRd11は、式(d4)と同様である。
また、スキーム3において、式(d3−2)、式(d3−3)、及び式(d3−4)それぞれに含まれるRd10は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(d3−2)、式(d3−3)、及び式(d3−4)中のRd10は、スキーム3として表される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。Rd10が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(d4)で表される化合物は、n5が1である場合、例えば、下記スキーム4に従って合成することができる。スキーム4では、下記式(d4−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。式(d4−1)で表されるフルオレン誘導体は、スキーム3と同様の方法によって、式(d3−1)で表される化合物に、フリーデルクラフツ反応によって−CO−CH2−Rd10で表されるアシル基を導入して得られる。アシル化剤としては、式(d3−8):Hal−CO−CH2−Rd10で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。次いで、式(d4−1)で表される化合物中の、Rd10とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、下式(d4−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されないが、塩酸の存在下に下記一般式(d4−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、下記式(d4−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(d4−4)で表される酸無水物((Rd11CO)2O)、又は下記式(d4−5)で表される酸ハライド(Rd11COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(d4−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(d4−1)、(d4−3)、(d4−4)、(d4−5)、及び(d4−6)において、Rd7、Rd8、Rd9、Rd10、及びRd11は、式(d4)と同様である。
n5が1である場合、式(d4)で表される化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン中での異物の発生をより低減できる傾向がある。
また、スキーム4において、式(d3−8)、式(d4−1)、及び式(d4−3)それぞれに含まれるRd10は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(d3−8)、式(d4−1)、及び式(d4−3)中のRd10は、スキーム4として表される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。Rd10が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(d4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−43〜PI−82が挙げられる。
上記一般式(a1)で表されるスルホニウム塩及び光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1つの感光剤(A)の含有量は、着色感光性組成物全体(ただし、溶剤を除く。)質量に対して0.001〜30質量%であることが好ましく、0.01〜20質量%であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量を上記の範囲とすることにより、低温焼成で得られる着色硬化物の溶剤耐性が良好となる傾向がある。
また、光重合開始剤に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
[着色剤(B)]
第1の態様の着色感光性組成物は、着色剤(B)を含む。
また、着色剤(B)を有彩色の着色剤とすることで、カラーフィルター形成用の着色感光性組成物とすることができる。
着色剤(B)が有彩色の着色剤である場合、有彩色から選択される異なる数種の色相を組み合わせてカラーフィルタを構成することにより、カラー画像を表示可能な表示素子を得ることができる。
着色感光性組成物が、前述の化合物(P)と、感光剤(A)と、着色剤(B)とを組み合わせて含むことにより、着色硬化物形成時の着色硬化物の変色が抑制され、所望する色相の着色硬化物を形成することができる。
従来から、広く使用されているカラーフィルタの例としては、RGB(レッド、グリーン、ブルー)の原色系フィルタや、CMYG(シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン)系の補色系のフィルタが挙げられる。
着色剤(B)としては、着色硬化物をカラーフィルタとして使用する場合における、カラーフィルタの耐光性及び耐候性の点から、有機顔料が好ましい。有機顔料は、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
なお、着色剤(B)は、色相調整の目的で、黒、白等の無彩色の着色剤を少量含んでいてもよい。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、ピグメントグリーン58、ピグメントグリーン59、ピグメントグリーン60;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
着色剤(B)は染料を用いてもよい。染料を用いる場合、単独でも使用可能であるが、顔料と組み合わせることがより好ましい。使用できる染料としては、例えば、ブリリアントグリーン、アリザリングリーン、メチルグリーン、ファストグリーン、ブリリアントブルー、ブリリアントクレシルブルー、パテントブルー、フェノールブルー、テトラブロモフェノールブルー、ブロモフェノールブルー、メチレンブルー、ソルベントブルー35を挙げることができるが、これに限定はされない。
着色剤(B)は、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空過熱法又はこれらの組み合わせにより精製されていてもよい。
また、着色剤(B)を遮光剤とすることで、ブラックマトリックス形成用の着色感光性組成物とすることができる。
着色剤(B)を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料や紫顔料を用いることが好ましい。黒色顔料や紫顔料の例としては、カーボンブラック、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
カーボンブラックとしては、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックも好ましい。カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
以上説明した酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックの中では、着色感光性組成物を用いて形成される遮光性の硬化膜の比誘電率が低い点で、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易且つ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4−アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1〜200mmolが好ましく、5〜100mmolがより好ましい。
酸性基を導入されたカーボンブラックは、樹脂による被覆処理を施されていてもよい。樹脂により被覆されたカーボンブラックを含む着色感光性組成物を用いる場合、遮光性及び絶縁性に優れ、表面反射率が低い遮光性の硬化膜を形成しやすい。なお、樹脂による被覆処理によって、感光性樹脂組成物を用いて形成される遮光性の硬化膜の誘電率に対する悪影響は特段生じない。カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックの質量と樹脂の質量の合計に対して、1〜30質量%が好ましい。
また、遮光剤としてはペリレン系顔料も好ましい。ペリレン系顔料の具体例としては、下記式(e−1)で表されるペリレン系顔料、下記式(e−2)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(e−3)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を、ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
式(e−1)中、R
e1及びR
e2は、それぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキレン基を表し、R
e3及びR
e4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
式(e−2)中、R
e5及びR
e6は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜7のアルキレン基を表す。
式(e−3)中、R
e7及びR
e8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。R
e7及びR
e8がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記の式(e−1)で表される化合物、式(e−2)で表される化合物、及び式(e−3)で表される化合物は、例えば、特開昭62−1753号公報、特公昭63−26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。すなわち、ペリレン−3,5,9,10−テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
組成物中においてペリレン系顔料を良好に分散させるためには、ペリレン系顔料の平均粒子径は10〜1000nmであるのが好ましい。
遮光剤は、色調の調製の目的等で、上記の黒色顔料や紫顔料とともに、赤、青、緑、黄等の色相の色素を含んでいてもよい。黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素は、公知の色素から適宜選択することができる。例えば、黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素としては、上記の種々の顔料を用いることができる。黒色顔料や紫顔料以外の他の色相の色素の使用量は、遮光剤の全質量に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
上記の着色剤を組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
組成物における着色剤(B)の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、着色感光性組成物全体(ただし、溶剤を除く。)の質量に対して、5〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、25〜50質量%が更に好ましい。
なお、着色剤(B)は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性組成物に添加することが好ましい。公知の分散剤としては、ポリマー分散剤が好ましく、例えば、アクリル系共重合体分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリエステル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤等が挙げられる。中でもポリウレタン系分散剤が好ましい。これらポリマー分散剤を使用すると、着色剤(B)の分散性及び分散安定性を改善し、色相、コントラスト比、耐熱性を向上させることができる。
[その他の成分]
第1の態様の着色感光性組成物はアルカリ可溶性樹脂を更に含有するか、又はアルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマーを更に含有していてもよい。
〔アルカリ可溶性樹脂〕
アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシ基、フェノール水酸基、又はスルホ基(−SO3H)等のアルカリ可溶性基を有する従来公知の樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性基を有する樹脂の骨格は特に限定されず、例えば、カルド構造を有する樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、(ヒドロキシ)スチレン系樹脂、又はポリシロキサン若しくはポリシラン等のケイ素含有樹脂等が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、カルド構造を有する樹脂、フェノール性水酸基を有する樹脂、ポリイミド樹脂、及びエポキシ樹脂よりなる群から選択される樹脂を含有することが好ましい。
第1の態様の着色感光性組成物におけるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和基を有するものであってもよく、エチレン性不飽和基を有さないものであってもよい。
なお、本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
その中でも、下記式(f−1)で表される樹脂が好ましい。この式(f−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
上記一般式(f−1)中、Xfは、下記式(f−2)で表される基を示す。
上記一般式(f−2)中、Rf1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Rf2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Wfは、単結合又は下記式(f−3)で表される基を示す。
また、上記一般式(f−1)中、Yfは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記一般式(f−1)中、Zfは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記一般式(f−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
また、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
一方、エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂としては、不飽和カルボン酸と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物と脂環式基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂を用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−オキサテトラシクロ−[6.2.1.02,7 03,5]ウンデカニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
上記一般式中、Ra3は水素原子又はメチル基を示し、Ra4は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Ra4としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra5としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
このアルカリ可溶性樹脂中における上記不飽和カルボン酸に由来する構成単位の割合は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。また、上記エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。また、上記脂環式基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる樹脂のアルカリ溶解性を適度なものとしながら、着色感光性組成物の基板への密着性、着色感光性組成物の硬化後の強度を高めることができる。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
アルカリ可溶性樹脂を含有する場合、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、第1の態様の着色感光性組成物全体(ただし、溶剤を除く。)に対して5〜80質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましく、25〜40質量%であることが更に好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向があり、また、ベークが低温焼成であっても形成される着色硬化物の溶剤耐性が良好となる傾向がある。
〔多官能モノマー〕
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの多官能モノマーの中でも、着色感光性組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましく、6官能以上の多官能モノマーがより好ましい。
多官能モノマーを含有する場合、多官能モノマーの着色感光性組成物中の含有量は、着色感光性組成物全体(ただし、溶剤を除く。)の質量に対して1〜40質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜10質量%が更に好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向があり、また、ベークが低温焼成であっても形成される着色硬化物の溶剤耐性が良好となる傾向がある。
第1の態様の着色感光性組成物はアルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマーを含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマーの合計含有量は、着色感光性組成物全体(ただし、溶剤を除く。)質量に対して1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。上記の範囲とすることにより上記傾向を達成しやすい。
[有機溶剤]
第1の態様の着色感光性組成物は、塗布性の改善や、粘度調整のため、有機溶剤を含むことが好ましい。
有機溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート(MA)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピリジン、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア(TMU)等含窒素極性有機溶剤;等が挙げられる。その他、スルホニウム塩(Q)前記カチオン重合性化合物への溶解性のために挙げた溶剤が挙げられる。
これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。
また、各成分の溶解性や、着色剤(B)の分散性等の点で、有機溶剤が、含窒素極性有機溶剤を含むのも好ましい。含窒素極性有機溶剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアが好ましい。
これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
有機溶剤の含有量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。着色感光性組成物の粘度は0.005〜0.5Pa・s(5〜500cp)であることが好ましく、0.01〜0.05Pa・s(10〜50cp)であることがより好ましく、0.02〜0.03Pa・s(20〜30cp)であることがさらに好ましい。また、固形分濃度は5〜80質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
なお、本発明に係る着色感光性組成物には、必要に応じて、公知の添加剤(増感剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、消泡剤、流動調整剤、光安定剤、酸化防止剤、密着性付与剤、イオン補足剤、着色防止剤、非反応性の樹脂及びラジカル重合性化合物等)を含有させることができる。
本発明に係る着色感光性組成物は、上記の各成分を全て撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された着色感光性組成物が均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
<着色硬化物>
本発明の第2の態様に係る着色硬化物は、上述した第1の態様に係る着色感光性組成物を硬化した着色硬化物である。前記着色硬化物は着色硬化膜であることが好ましい。本発明に係る着色硬化物は、上述したように、溶剤耐性に優れる。
本発明に係る着色硬化物の膜厚としては特に制限はないが、0.5〜10μmが挙げられる。
該着色硬化物は、例えば、カラーフィルター、ブラックマトリックス等として好適である。
<着色硬化物の製造方法>
本発明の第3の態様に係る着色硬化物の製造方法は、
上述した第1の態様の着色感光性組成物を基板上に塗布することによる塗布膜を形成する工程、
前記塗布膜を露光する工程、及び
前記露光された塗布膜をベークする工程
を含む。
具体的には、上述した第1の態様の着色感光性組成物を、ロールコータ、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、スリットコーター、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて基板上に塗布する。基板の材料としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。
次いで、着色感光性樹脂組成物の塗膜を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、真空乾燥装置(VCD)を用いて室温にて減圧乾燥し、その後、ホットプレートにて50〜110℃、好ましくは60〜90℃の温度にて60〜180秒間乾燥する方法(プリベーク)が挙げられる。
次いで、この塗膜に、必要によりネガ型のマスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して露光する。照射するエネルギー線量は、着色感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm2であることが好ましい。
次いで、露光後の塗膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングしてもよい。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
次いで、現像後のパターンを例えば200℃未満の範囲、具体的に80〜160℃程度、耐熱性の低い表示素子や基材(着色硬化物の基材)等にも用いることができる点で、80〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃程度、さらに好ましくは80〜110℃程度でポストベークを行う。この際、形成されたパターンを全面露光することが好ましい。
ポストベーク時間としては、40〜120分間が好ましい。
以上により、必要により所定のパターン形状を有するカラーフィルター又はブラックマトリクスを形成することができる。
本発明の第4の態様に係る着色硬化物の製造方法は、上述した第1の態様に係る着色感光性組成物を重合及び/又は架橋させる工程を含む。
上述した第1の態様に係る着色感光性組成物は、加熱又は露光により重合及び/又は架橋させて硬化させることができる。前記加熱又は露光としては、熱、可視光、紫外線、電子線、及びX線等が挙げられる。
<表示素子>
本発明に係る表示素子は、上述のカラーフィルター又はブラックマトリックスを備える。この表示素子を製造するには、まず、一方の基板上に上記のカラーフィルター又はブラックマトリックスを形成し、次いで、電極、スペーサー等を順次形成する。そして、他方の基板上に電極等を形成し、両者を張り合わせて所定量の液晶を注入、封止すればよい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例3は参考例3と読み替えるものとする。
下記成分を用いて、下記表1に示した各実施例及び比較例の着色感光性組成物を調製した。表1の数字の単位は質量%である。
[アルカリ可溶性樹脂]
カルド構造を有する樹脂(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)
[多官能モノマー]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
[化合物(P)]
化合物(P)として、下記化合物(P1−1a)を用いた。
[光重合開始剤(A)]
光重合開始剤(A)として、下記化合物(A1)を用いた。
[スルホニウム塩(A)]
スルホニウム塩(A)として、下記の化合物(Q1)を用いた。
[顔料分散液]
着色剤(B)として、カーボンブラックを含むカーボン分散液(「CFブラック」(商品名:御国色素社製 固形分25% 溶剤:3−メトキシブチルアセテート))を用いた。
<前記アルカリ可溶性樹脂の合成>
上記カルド構造を有する樹脂の合成法は下記のとおりである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(f−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、カルド構造を有する樹脂を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、このカルド構造を有する樹脂は、上記一般式(f−1)で表される化合物に相当する。
<着色感光性組成物の調製>
下記表1に示した各成分及び有機溶剤(3−メトキシブチルアセテート(MA)、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア(TMU)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))を用いて、最終組成の溶剤組成比がMA/TMU/PGMEA=5/25/70(質量比)となるように下記表1に示した各実施例及び比較例の着色感光性組成物を調製した。なお、着色感光性組成物全体のうち溶剤比率は80質量%である。
<PGMEAに対する溶剤耐性試験>
各実施例及び比較例の着色感光性組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、80℃で120秒間プリベークを行い、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、塗膜に紫外線照射装置(ORC社製)を用いて紫外線(ブロードバンド光)を照射した。露光量は、30mJ/cm2とした。露光後の塗膜を100℃にて60分間ポストベークを行うことにより、溶剤耐性試験用基板を形成した。
前記溶剤耐性試験用基板を触針式表面形状測定器(製品名:Dektak−3ST、Veeco社製)を使用し、膜厚を測定し、同基板を25℃で100秒間プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に浸漬した後スピン乾燥し、更に浸漬とスピン乾燥とを2回繰り返した後、再度、基板の膜厚を測定した。(PGMEA浸漬後の膜厚/PGMEA浸漬前の膜厚×100)を残膜率として評価した。結果を下記表1に示す。
上記表1に示したように、化合物(P)を含有しない比較例1は、低温のポストベーク処理の場合、残膜率が5%未満であり、溶剤耐性が劣ることが分かる。
一方、実施例1〜5はいずれも残膜率が70%以上であり溶剤耐性に優れることが分かる。
また、実施例3〜5の結果から、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマーの合計含有量を減らし、化合物(P)の含有量を増やした方が溶剤耐性により優れることが分かる。