JP5688798B2 - α−1,3−分枝シクロデキストランの使用方法 - Google Patents

α−1,3−分枝シクロデキストランの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、α−1,3−分枝シクロデキストランの使用方法に関する。
α−1,3−分岐シクロデキストランは、数分子のD−グルコースがα−1,6−結合で環状に繋がったオリゴ糖であるシクロデキストランに、α−1,3−結合で分岐した1個ないし数個のD−グルコースがα−1,6−結合した分枝環状イソマルトオリゴ糖である。
7〜9分子のグルコースがα−1,6−結合により環状に繋がった環状イソマルトオリゴ糖(シクロデキストラン)は公知の物質である。シクロデキストランはバチルス属の微生物により産生されるサイクロデキストラングルカノトランスフェラーゼ(CITase)をデキストラン等の基質に反応させて生成するが、特許文献1(特開平6−197783号公報)には、医薬化合物や香気成分を包接する包接能を有することが開示されている。また、特許文献2(特開平8−59484号公報)には、シクロデキストランは、虫歯菌であるストレプトコッカス・ミュータンスが産生する不溶性グルカン生成酵素阻害をすることから、抗う蝕の目的で使用され得ることが記載されている。さらに、特許文献3(特開平7−8276号公報)には、当該物質を生成する新規な環状イソマルトオリゴ糖合成酵素(サイクロデキストラングルカノトランスフェラーゼ)が開示されている。
シクロデキストランは、上記の微生物が産生する環状イソマルトオリゴ糖合成酵素を利用して生産されており、環状イソマルトオリゴ糖合成酵素による反応液中にはその類縁物質などの副生物がほとんどなく、ほぼ純粋な物質として産生されるものと考えられていた。
ところで、特許文献4(特開平10−229876号公報)には、α−1,3−結合の分岐を有する分岐環状イソマルトオリゴ糖に作用し、枝分かれしたグルコースを切り出す新規なα−1,3−多分岐デキストラン水解酵素を、α−1,3−結合の分岐を有する分岐環状イソマルトオリゴ糖に作用させて、分枝のない環状イソマルトオリゴ糖を製造する方法が開示されている。この酵素の使用により、サイクロデキストラングルカノトランスフェラーゼを用いて得られた環状イソマルトオリゴ糖を含む反応液から、高い純度の環状イソマルトオリゴ糖が生産される。
特開平6−197783号公報 特開平8−59484号公報 特開平7−8276号公報 特開平10−229876号公報
ところで特許文献4には、1分子のグルコースがα−1,3−結合で枝分かれをした分岐環状イソマルトオリゴ糖から枝分かれしたグルコースが切り出されることが記載されているが、具体的にどのような構造を有する分岐環状イソマルトオリゴ糖からグルコースが切り出されたのか明らかにされていない。
また、α−1,3−結合の分岐を有する分岐環状イソマルトオリゴ糖は、環状イソマルトオリゴ糖の製造における副生物(いわゆる不純物である)とされており、当該分岐環状イソマルトオリゴ糖が有する作用もこれまでのところ明らかではない。
本願発明者らは、環状イソマルトオリゴ糖の製造過程において想定される副生物(不純物)を単離してその構造を特定すべく研究を進めたところ、不純物の多くはα−1,3−結合により1分子のグルコースが環状イソマルトオリゴ糖に結合したα−1,3−分岐環状イソマルトオリゴ糖(α−1,3−分岐シクロデキストラン)であることを突き止めた。また、当該α−1,3−分岐シクロデキストランはフラーレンの可溶化剤や抗う蝕剤として利用できることを見いだした。なお、これまでに1分子のグルコースがα−1,3で分岐した分岐シクロデキストランが具体的に単離され、構造決定がなされた旨の報告は知られていない。
すなわち、本発明の目的は、新規な可溶化剤や新規な抗う蝕剤として利用可能な1分子のグルコースがα−1,3−結合で枝分かれをした分岐シクロデキストランを提供することにある。
本発明のα−1,3−分枝シクロデキストランは、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合した構造を有する。
本発明によると、フラーレンを可溶化しうる新たな可溶化剤及び新規な抗う蝕剤が提供される。
図1は市販のシクロデキストラン混合物のHPEAC−PAD分析によるクロマトグラムである。 図2は市販のシクロデキストラン混合物のODSカラムによる分画を示す図であって、Aは7容量%メタノールで溶出させたHPLCクロマトグラム、BはFr5以降を8.5容量%メタノールで溶出させたHPLCクロマトグラムである。 図3は図2におけるFr6のODSカラムによるクロマトグラムである。 図4は図2におけるFr2−1から得られた分岐シクロデキストラン(CIb9)のTOF−MSスペクトルを示す図である。 図5は分画されたシクロデキストラン及び分枝シクロデキストランのH−MNRスペクトルを示す図である。 図6は各種デキストランから調製されたシクロデキストラン混合物のHPEAC−PAD分析によるクロマトグラムである。 図7はフラーレンの可溶化能を示す図である。 図8はデキストランスクラーゼ活性阻害効果を示す図である。
本発明の分枝シクロデキストランは、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストラン(シクロデキストラン)に結合した構造を有する。式1に示す分枝シクロデキストランは、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、8分子のグルコースからなるシクロデキストランに結合した構造を有する。
Figure 0005688798
以下の説明において、シクロデキストランとは、D−グルコースがα−1,6−結合により環状に結合した構造を有するオリゴ糖をいい、シクロデキストラン混合物や分枝鎖を有するシクロデキストランと称する場合など特別な場合を除いては、分枝鎖を有しないシクロデキストランの意味で用いられる。
また、以下の説明において分枝シクロデキストランは、D−グルコースがα−1,6−結合により環状に結合したシクロデキストランに、1分子のグルコースがα−1,3−結合で結合したオリゴ糖を言う。
本発明の分枝シクロデキストランは、分枝シクロデキストランのうち重合度が8〜11の分枝シクロデキストラン、すなわち重合度が7〜10のシクロデキストランに1分子のグルコースがα−1,3−結合で結合したオリゴ糖である。
本発明の分枝シクロデキストランは、例えば特許文献1に記載されたシクロデキストランを生成するバチルス属に属する微生物を用いて製造されうる。また、例えば特許文献3に記載されたバチルス・サーキュランスT−3040株培養液中のシクロデキストラン合成酵素(環状イソマルトオリゴ糖合成酵素)、T−3040株由来の組換えCITase(特開平8−66191号公報参照)、598K株由来の組換えCITase(特開2007−189905号公報参照)やバチルス・サーキュランスU−155株の組換えCITase(特開平9−234073参照)を用いて製造されうる。前記微生物やこれらのシクロデキストラン合成酵素を用いて製造した場合には、分枝シクロデキストランの他に分枝鎖を有しないシクロデキストランを含むシクロデキストラン混合物が得られる。本発明の分枝シクロデキストランはこのシクロデキストラン混合物から単離精製される。
シクロデキストリン混合物からの単離精製には、公知である各種の単離方法、例えばカラムクロマトグラフィや分取用高速液体クロマトグラフィが単独で使用され、あるいは必要に応じて公知の単離方法が組みあわせて使用される。これらのクロマトグラフィに使用されるカラムとしては、例えばODSカラムが例示される。より具体的には、シクロデキストラン混合物をカラムに吸着させた後、溶離液を当該カラムに流し、目的とする分枝シクロデキストランを含む画分(溶液)を分取する。
溶離液は、水または水と混和性のある有機溶媒と水との混合液が用いられうる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、γ−ブチルラクトン、プロピレンカーボネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンが挙げられる。溶離液が水と有機溶媒の混合液である場合、有機溶媒の濃度が例えば95容量%以下であり、好ましくは90容量%以下であり、好ましくは80容量%以下であり、好ましくは70容量%以下であり、好ましくは60容量%以下であり、好ましくは50容量%以下であり、さらに好ましくは40容量%以下、さらに好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下であり、望ましくは10容量%以下である。有機溶媒は1種のみならず2種以上であってもよい。
単離は室温で行えばよく、例えば1〜35℃、好ましくは10〜30℃で行う。もちろん、分離が行える条件であれば、1℃より低い環境下や35℃を超える環境下で操作することもできる。
目的とする分枝シクロデキストランを含む分画により得られた溶液から溶媒を除去する。溶媒の除去は公知の方法によればよく、大気圧若しくは減圧下で溶媒を留去する。減圧とは大気圧よりも低い気圧条件を意味し、例えば0.5気圧以下、好ましくは0.1気圧以下、より好ましくは0.01気圧以下で溶媒を留去する。留去は室温で行うか、必要により分枝シクロデキストランを含む溶液を加温して行う。加温する際の温度は、分枝シクロデキストランが分解されない温度であればよく、好ましくは90℃以下、好ましくは80℃以下、好ましくは70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。また、凍結乾燥により、溶媒を除去してもよい。凍結乾燥の条件も適宜定められる。
得られた分枝シクロデキストランは、7〜10分子のグルコースがα−1,6−結合により環状につながった構造を有しており、シクロデキストランと同様に包接能が期待される。そして、当該分枝シクロデキストランは、フラーレンを親水系溶媒に溶解するための可溶化剤として利用され得る。また、デキストランスクラーゼ活性阻害剤としても利用され得る。
フラーレンが溶解される親水系溶媒は、水又は水と混和性のある任意の有機溶媒であり、水と当該有機溶媒との混合液を含み得る。フラーレンを溶解する親水系溶媒は、好ましくは水である。有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、γ−ブチルラクトン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンが挙げられる。
水と有機溶媒との混合液の場合、有機溶媒の濃度が50容量%以下であり、好ましくは40容量%以下であり、好ましくは30容量%以下であり、好ましくは20容量%以下であり、より好ましくは10容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。有機溶媒は1種のみならず2種以上であってもよい。
本発明の分枝シクロデキストランを用いてフラーレンを溶解する場合には、重合度が8〜11である分枝シクロデキストランのいずれか1種を用いてもよく、また、2種以上を混合した混合物を用いてもよい。特に重合度が9である分枝シクロデキストラン、すなわち式1に示す1分子のグルコースがα−1,3−結合で、8分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランが最も好ましく用いられる。
フラーレンは、基本的には炭素原子のみから構成される安定炭素同位体であり、5員環と6員環からなる多面体球状構造を有する分子である。フラーレンの炭素数は通常60〜120であり、具体的には炭素数が60、70、76、78、82、84、90、94、96及びそれより大きなものの存在が確認されている。これらは単一でも混合物であってもよい。
フラーレンは、例えば黒鉛から希ガス(主としてHe、Ar等)でアーク放電、パルスレーザー照射等により炭素蒸気を調製し、そのガスを冷却する際に生成する炭素スス中から分離して製造される。本発明で用いられるフラーレンは、市販のものであっても、前記方法など公知の任意の方法によって製造されたものであってもよい。
フラーレンは本発明の分枝シクロデキストランによって親水系溶媒に可溶化され、フラーレンが可溶化された溶液が提供される。本明細書において可溶化されるとは、本発明の分枝シクロデキストランを含む親水系溶媒に溶解されうる単位容量当たりのフラーレン量が、当該分枝シクロデキストランを含まない親水系溶媒に溶解されうる単位容量当たりのフラーレン量よりも増大することを意味する。
可溶化剤である本発明の分枝シクロデキストランは前記親水系溶媒に溶解される。当該分枝シクロデキストランの濃度は、当該分枝シクロデキストランが溶解できる濃度であればよく、20℃において例えば0.01mg/ml以上であり、好ましくは0.05mg/ml以上であり、好ましくは0.1mg/ml以上であり、好ましくは0.5mg/ml以上であり、好ましくは1.0mg/ml以上であり、好ましくは2.0mg/ml以上であり、好ましくは5.0mg/ml以上である。また、当該分枝シクロデキストランの濃度は例えば100mg/ml以下であり、好ましくは50mg/mlであり、好ましくは10mg/ml以下である。
添加されるフラーレンの量は、前記親水系溶媒に溶解可能なフラーレンの量を超える量であればよく、任意に設定され得る。添加されるフラーレンの量は、例えば、溶媒100質量部に対して0.1質量部以上、0.2質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、または5質量部以上である。添加されるフラーレンの量は、例えば、溶媒100質量部に対して10質量部以下、5質量部以下、3質量部以下、または1質量部以下である。
フラーレンの可溶化をするに当たり、本発明の分枝シクロデキストランの溶液にフラーレンを添加する、あるいはフラーレンと本発明の分枝シクロデキストランを予め混合した後、これに溶媒を添加してフラーレンと本発明の分枝シクロデキストランと溶媒を含む混合液を得る。その混合液に超音波を投射する、あるいは攪拌するなどの機械的手段によって十分に混合する。超音波を投射する方法は、分枝シクロデキストランの溶液にフラーレンを均一に溶解させ得る方法である限り、その超音波の投射方法、周波数、出力、時間などの条件は特に限定されるものではない。超音波を投射する際の温度および圧力も、分枝シクロデキストラン及びフラーレンを含む溶液が、液体状態を保つ条件であればよい。例えば、分枝シクロデキストラン及びフラーレンを含む溶液をガラス容器に入れ、バス型ソニケーターを使用して、室温で超音波を投射することが行われる。
例えば、超音波発振機における定格出力は、超音波発振機の単位底面積当たり例えば0.1ワット/cm以上であり、好ましくは0.5ワット/cm以上であり、好ましくは1.0ワット/cm以上であり、より好ましくは10ワット/cm以上であり、より好ましくは50ワット/cm以上であり、さらに好ましくは100ワット/cm以上である。また、超音波発振機における定格出力は、超音波発振機の単位底面積当たり例えば1500ワット/cm以下である、好ましくは750ワット/cm以下であり、好ましくは約500ワット/cm以下であり、より好ましくは約300ワット/cm以下である。発振周波数は例えば10KHz以上であり、好ましくは15KHz以上であり、さらに好ましくは20KHz以上であって、望ましくは20から50KHzの範囲である。振幅は、例えば20μm以上であり、好ましくは30μm以上である。また、振幅は、好ましくは40μm以下である。また、超音波の投射時間は約1分間〜約3時間が好ましく、より好ましくは約3分間〜約30分間である。超音波を投射する際またはその前後に、ボルテックスミキサー、ホモジナイザー、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリットミキサーなどの撹拌装置を用いてもよい。混合液の温度は、溶解させる物質が分解または変質せず、溶媒が揮発しすぎない温度であれば任意の温度であり得る。混合液の温度は、例えば、5℃以上であり、好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上であり、さらに好ましくは20℃以上であり、最も好ましくは約25℃以上である。混合液の温度は、例えば、100℃以下であり、好ましくは90℃以下であり、さらに好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは70℃以下であり、最も好ましくは60℃以下である。
十分に混合された後、この溶液中の未溶解のフラーレンをろ過、遠心分離などにより取り除き、フラーレンが均質に溶解された溶液を得る。溶液から未溶解のフラーレンを取り除く方法は、フィルターによるろ過、遠心分離など、溶解したフラーレンとそうでないフラーレンとを分離できる限りにおいて特に限定されるものではない。フィルターによるろ過の場合、フィルターは溶解したフラーレンは通過し、未溶解のフラーレンは通過しない孔径を有するものを使用する。好ましくは、孔径1μm〜数百μm程度のフィルターを用いる。遠心分離の場合、溶解したフラーレンが上清に残り、未溶解のフラーレンが沈澱に分かれる条件を選択する。好ましくは、1,000〜7,000×g、5〜30分間と同等の遠心力をかけることにより分離する。このようにして、カーボンナノチューブが均質に溶解している溶液が得られる。
フラーレンが溶液中に均質に溶解していることは、フラーレン溶液を約7,000gで5〜30分間の遠心分離して沈殿が生じなければ溶解していると言える。また、フラーレン溶液中のフラーレンを遠心分離などにより回収し、溶媒で洗浄して回収物中に存在する分枝シクロデキストランを除いた後、原子間力顕微鏡を用いて確認することもできる。
溶液中に溶解しているフラーレンの量は、例えば、70,000×g、15分間遠心分離してフラーレンを回収し、その質量を測定することにより測定することができる。あるいは、フラーレンの濃度は、268nmでの吸光度と極めて良好な相関があり、本発明の分枝シクロデキストランやシクロデキストランはこの波長での吸収はほとんどない。それゆえ、フラーレンの濃度は、268nm付近での吸収を有する何らかの他の物質を含む場合以外は、溶液の268nmでの吸光度を測定することにより容易に決定される。
溶液中のフラーレンの濃度は、フラーレンが溶解可能である限り、任意に設定され得る。溶液中のフラーレンの濃度は、20℃において好ましくは1mg/L(約0.0001質量%)以上であり、好ましくは10mg/L(約0.001質量%)以上であり、より好ましくは30mg/L(約0.003質量%)以上であり、さらに好ましくは50mg/L(約0.005質量%)以上であり、さらに好ましくは100mg/L(約0.01質量%)以上であり、さらに好ましくは150mg/L(約0.015質量%)以上である。フラーレンが溶解し得る限り、フラーレンの溶液中に含まれるフラーレンの濃度に上限はないが、通常、その上限は100g/L(約10.0質量%)であり、70g/L(約7.0質量%)であり、50g/L(約5.0質量%)であり、30g/L(約3.0質量%)であり、10g/L(約1質量%)であり、5g/L(約0.5質量%)であり、2g/L(約0.2質量%)であり、1g/L(0.1質量%)以下であり得る。溶解度は、20℃における溶解度である。また、ここに示す濃度は、1mg/mlの分枝シクロデキストランを含む溶液を用いた場合である。
上記により得られた溶液は、フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを含み、かつ、分枝を有しないシクロデキストランを含まない溶液である。この溶液はフラーレン及び本発明の分枝シクロデキストラン以外に、公知である種々の物質を含みうる。例えば、ポリマーなどのフィルム形成用又は皮膜形成用材料、顔料、可塑剤、分散剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存安定剤、接着助剤、増粘剤、成形用の樹脂材料などが例示される。
フィルムなどの基材や皮膜形成用材料として、ポリビニルアルコール、プルラン、デキストラン、デンプンおよびデンプン誘導体、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、デオキシリボ核酸、リボ核酸、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、ゼラチンなどのポリマーが挙げられる。これらの物質の添加量は適宜定められる。
フラーレンは導電性物質である。従って、本発明の溶液は、その導電性を更に向上させるためにフラーレン以外の導電性物質をさらに含有し得る。導電性物質の例としては、炭素系物質(例えば、炭素繊維、導電性カーボンブラック、黒鉛など)、金属酸化物(例えば、酸化錫、酸化亜鉛など)、金属(例えば、銀、ニッケル、銅など)が挙げられる。これらの物質の添加量も適宜定められる。上記の例示された物質は本発明の溶液に添加しうる例であって、当該溶液に添加しうる物質は上記物質に限られるものではない。
本発明の分枝シクロデキストランは、フラーレンを含む乳化組成物の調製にも用い得る。本発明の乳化組成物は、フラーレンと、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを含み、かつ、好ましくは分枝を有しないシクロデキストランを含まない。ここで、好ましくは分枝を有しないシクロデキストランを含まないとは、実質的に分岐を有しないシクロデキストランを含まないとの意味であり、分岐を有しないシクロデキストランの存在比が分岐を有するシクロデキストランの1/10以下、好ましくは1/100以下、望ましくは1/1000以下であり得る。
乳化組成物は水と界面活性剤と油性成分を含む組成物であり、当業者が通常用いるエマルジョンの意味として把握される。本発明の乳化組成物はO/W型エマルジョンやW/O型エマルジョン、W/O/W型エマルジョンなど種々のタイプのエマルジョンを含み得る。乳化組成物は、水を主体とする水相と油性成分を主体とする油相が界面活性剤によって乳化されたものである。フラーレンは本発明の分枝シクロデキストランによって水に可溶化されるので、本発明は分枝シクロデキストランとフラーレンは水相に配合される。水相は、上記フラーレンが可溶化された溶液の調製方法と同様にして調製され得る。乳化組成物は、調製された水相、すなわち本発明に係るフラーレンが親水系溶媒に溶解した溶液と界面活性剤と油相との撹拌混合により調整される。乳化組成物の調製には、公知である任意の方法が採用されうる。
乳化組成物に用いられる界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤である。アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が例示される。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
油性成分は、当業者が通常用いる油分又は油剤の意味として把握される。油性成分は、天然油、合成油、半合成油のいずれの油性成分を含み、固体油、半固体油、液体油のいずれであってもよい。油性成分は炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類を含み得る。例えば、スクワラン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ等のロウ類;牛脂、牛骨脂、硬化牛脂、硬化油、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等の動物油;ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のラノリン誘導体、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類が例示される。
また、油性成分として、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール−2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルギリセリンエーテル(バチルアルコール)等の高級アルコール;アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール−2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油が例示される。
さらに油性成分として、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等のグリセライド;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコンゴム、シリコーン油等のシリコーン系油剤;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油が例示される。
本発明の乳化組成物は、フラーレンと、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストラン、水、油性成分及び界面活性剤以外に、公知である種々の物質を含みうる。例えば、炭素数が1〜6であるアルコール類、皮膜形成用材料、顔料、着色剤、可塑剤、分散剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存安定剤、増粘剤などが例示される。
フラーレンは、肌の細胞死抑制作用やその抗酸化力に基づく肌の老化抑制作用があることから、しわの予防効果や肌の老化防止効果が期待される。また、メラニンの抑制効果もあることから、美白効果も期待される。さらに、フラーレンは、その誘導体も含めて、活性酸素の消去能力を有するものとして注目されており、皮膚に対する安全性も期待できることから、医薬品、医薬部外品、化粧料の各分野において皮膚外用剤としての利用が期待されている。従って、本発明の分枝シクロデキストランは、フラーレン及び親水系溶媒を含む皮膚外用剤の調製にも用い得る。
本発明の皮膚外用剤は、フラーレンと、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを含み、かつ、好ましくは分枝を有しないシクロデキストランを含まない。ここで、好ましくは分枝を有しないシクロデキストランを含まないとは、実質的に分岐を有しないシクロデキストランを含まないとの意味であり、分岐を有しないシクロデキストランの存在比が分岐を有するシクロデキストランの1/10以下、好ましくは1/100以下、望ましくは1/1000以下であり得る。
本発明の皮膚外用剤は、溶液(ローションタイプの組成物)、増粘溶液、ゲル、軟膏、乳剤(乳液)、パウダー、濃密パウダー又は固体剤のような種々の形態を含み得る。具体的な形態として、頬紅、クリーム(美顔用クリーム、ハンドクリーム、日焼け止めクリーム等)、クリームパウダー、アイライナー、アイシャドウ、ペンシル型眉墨、ファンデーション、ローション、マスカラ、マイクロエマルジョン、軟膏、ボディーソープ等が例示される。
親水系溶媒は、水又は水と混和性のある任意の有機溶媒であり得る。有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、γ−ブチルラクトン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンが挙げられる。親水系溶媒は、好ましくは水又は水とエタノールとの混合液である。フラーレンは本発明の分枝シクロデキストランによって親水系溶媒に可溶化されるので、本発明の分枝シクロデキストランとフラーレンは親水系溶媒に含まれ、上記フラーレンが可溶化された溶液の調製方法、つまり本発明に係るフラーレンが親水系溶媒に溶解した溶液の調整方法と同様にしてフラーレンが親水系溶媒に溶解される。本発明の皮膚外用剤は、公知である任意の製造方法に従って調製され得る。乳液やクリームの乳化組成物であれば、上記乳化組成物の調整方法に従って調整され得る。
本発明の皮膚外用剤は、フラーレンと、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストラン以外に、医薬品、医薬部外品、化粧品に配合され得る公知である種々の物質を含み得る。例えば、紫外線吸収剤、ビタミンA,ビタミンB群,ビタミンCやその誘導体,ビタミンEなどのビタミン類、酸化亜鉛などの収斂剤、殺菌剤や抗菌剤、抗生物質、鎮痒剤などの皮膚治療剤その他の治療用薬物、皮膚老化防止剤、しわ防止剤、美白剤、保湿剤、抗酸化剤、キレート剤、顔料、着色剤、緩衝剤が例示される。
本発明の乳化組成物又は皮膚外用組成物中における本発明の分枝シクロデキストランの配合量は、本発明の分枝シクロデキストランが配合可能である限り、任意に設定され得る。当該分枝シクロデキストランの配合量の下限は、例えば0.001mg/ml(g)(約0.0001質量%)であり、0.005mg/ml(g)(約0.0005質量%)であり、好ましくは0.01mg/ml(g)(約0.001質量%)であり、0.05mg/ml(g)(約0.005質量%)であり、0.1mg/ml(g)(約0.01質量%)であり、0.5mg/ml(g)(約0.05質量%)である。また、その上限は、例えば100mg/ml(g)(約10.0質量%)であり、50mg/ml(g)(約5.0質量%)であり、10mg/ml(g)(約1.0質量%)であり、5mg/ml(g)(約0.5質量%)、2mg/ml(g)(約0.2質量%)であり、1.0mg/ml(g)(約0.1質量%)であり得る。
本発明の乳化組成物又は皮膚外用組成物へのフラーレンの配合量は、フラーレンが配合可能である限り、任意に設定され得る。各組成物におけるフラーレンの配合量の下限は、例えば0.01mg/L(kg)(約0.000001質量%)であり、0.03mg/L(kg)(約0.000003質量%)であり、0.05mg/L(kg)(約0.000005質量%)あり、0.1mg/L(kg)(約0.00001質量%)であり、0.5mg/L(kg)(約0.0005質量%)であり、1mg/L(kg)(約0.001質量%)であり、5mg/L(kg)(約0.005質量%)であり、10mg/L(kg)(約0.01質量%である。また、フラーレンの配合量の上限はないが、通常、その上限は100g/L(kg)(約10.0質量%)であり、70g/L(kg)(約7.0質量%)であり、50g/L(kg)(約5.0質量%)であり、30g/L(kg)(約3.0質量%)であり、10g/L(kg)(約1質量%)であり、5g/L(kg)(約0.5質量%)であり、2g/L(kg)(0.2質量%)であり、1g/L(0.1質量%)であり得る。なお、フラーレンは、配合したフラーレンの全部又は一部が水相中溶解していればよく、配合したフラーレンの一部が油相に存在してもよい。
本発明の分枝シクロデキストランは、デキストリンスクラーゼの活性阻害作用を有し、抗う蝕剤として利用し得る。デキストリンスクラーゼはスクラーゼを基質としてデキストリンを生成する酵素である。口腔に存在するストレプトミュータンス菌はそれ自身が産生するデキストリンスクラーゼを利用してスクラーゼからデキストリンを合成し、う蝕の原因である歯垢を形成する。従って、デキストリンスクラーゼの活性を阻害すれば、う蝕は防止される。
本発明の抗う蝕剤は、本発明の分枝シクロデキストラン、すなわち、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを有効成分とする。当該分枝シクロデキストランは、そのまま口腔内に適用してもよく、有効量の分枝シクロデキストランを含む組成物として口腔内に適用してもよい。当該組成物は、口腔内に適用可能な形態であり、例えば、練り歯磨きや粉歯磨き、液状歯磨きなどの歯磨剤、含嗽剤、トローチ剤、スプレー剤、チューイングガムや飴などの菓子類である。これらの形態は、公知である種々の賦形剤と混合され、公知である任意の方法により製造され得る。また、本発明の抗う蝕剤は、有効成分である分枝シクロデキストランの他に、他の抗う蝕作用を有する有効成分、安定剤、保存剤、甘味剤、着色剤、着香料などを含み得る。
本発明の分枝シクロデキストランの適用量はその効果が発揮されるように適宜調整されうる。例えば、口腔内の濃度が0.001mM以上であり、好ましくは0.01mM以上であり、好ましくは0.05mM以上であり、好ましくは0.1mM以上であり、好ましくは1mM以上であり、好ましくは5mM以上であり、好ましくは10mM以上であり、好ましくは20mM以上であり、好ましくは25mM以上である。また、口腔内濃度が例えば1M以下であり、好ましくは0.5M以下であり、好ましくは0.25M以下であり、好ましくは100mM以下であり、好ましくは75mM以下であり、好ましくは50mM以下である。本発明の抗う蝕剤の有効成分は、重合度が8〜11である分枝シクロデキストランのいずれか1種であってもよく、2種以上であってもよい。
組成物中の配合量は、組成物1g中、例えば0.01μg以上であり、好ましくは0.1μg以上であり、好ましくは1μg以上であり、好ましくは10μg以上であり、好ましくは0.1mg以上であり、好ましくは1mg以上であり、好ましくは10mg以上であり、好ましく20mg以上であり、好ましくは50mg以上である。また、その配合量は、組成物1g中、例えば、900mg以下であり、好ましくは700mg以下であり、好ましくは500mg以下であり、好ましくは300mg以下であり、100mg以下である。
以上の説明においては、本発明の分枝シクロデキストランを利用してフラーレンを可溶化する方法並びに抗う蝕剤として使用する方法について説明したが、本発明の分枝シクロデキストリンの用途は上記用途に限られず、種々の組成物に配合され得るのは言うまでもない。
以下、本発明について下記実施例に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
図1は市販されているシクロデキストラン混合物(株式会社シー・アイ・バイオ 商品名「CIリッチ」 Lot.0907002)(Cimix)のHPAEC−PAD分析によるクロマトグラムである。シクロデキストラン混合物を1mg/mlの濃度で含む水溶液の25μlをCarboPacPA−100カラム(250mm×2mmI.D.、DIONEX)に注入し、下記の条件でHPAEC−PAD分析した。
(分析条件)
装置:Dionex ICS−3000システム
検出方法:PAD
溶離液:100mMNaOH/0−5mMNaOAc(濃度勾配0−60min)
流量:1.0ml/min
温度:35℃
市販のシクロデキストラン混合物には、公知である分枝を有しないシクロデキストランに由来すると思われるピーク(CI−7、CI−8、CI−9、CI−10、CI−11、CI−13)の他に、分枝を有するシクロデキストランに由来すると思われるピーク(CIb−9、CIb−10、CIb−11)が見られた。これらのピークは下記の分析によりそれぞれ分枝を有しないシクロデキストラン及び分枝を有するシクロデキストランに由来するものと同定された。
(市販シクロデキストランからの分画)
分取カラムクロマトグラフィ及びリサイクリングHPLCシステムを用いて、シクロデキストラン混合物からシクロデキストラン及び分枝シクロデキストランを分取した。前記シクロデキストラン混合物の水溶液を、ODSカラム(DaisopakSP−120−5−ODS−BP、250mm×20mmI.D.、ダイソー(株))に導入し、7容量%メタノール水溶液で溶出させて1〜5番目のピーク画分(Fr1〜Fr4)を分取し、その後8.5容量%メタノール水溶液で溶出させて6〜13番目のピーク画分(Fr5〜11)を分取して、各画分を得た(図2参照。なお、10〜13番目(Fr8〜11)のピークは示されていない。)。
次に、図2に示したFr6の画分をリサイクリングHPLCシステム(島津製作所社製)を使用してさらに分画した。Fr6として得られた溶液をODSカラム(前述のダイソー(株)のカラムと同じ)に導入し、10容量%メタノール水溶液で溶出した。第3サイクルにて現れた1〜4番目のピーク(Fr6−1〜Fr6−4)を分取して、各画分を得た(図3参照)。また、Fr7の画分もリサイクリングHPLCシステムを使用してさらに分画し、第3サイクルにて現れた1〜4番目のピーク(Fr7−1〜Fr7−4)を分取して、各画分を得た(図示せず)。
(TOS−MS測定)
上記で得られた各画分の溶液を凍結乾燥して、シクロデキストラン及び分枝シクロデキストランを得た。TOF−MSにより、得られたシクロデキストラン及び分枝シクロデキストランの質量分析を行い、各シクロデキストランを構成する糖の重合度を算出した。TOF−MS測定は以下の方法で行った。サンプルの少量を50μlのマトリックス溶液(0.1M DHBA/10容量%メタノール)に懸濁し、0.8μlをサンプルスライドに滴下してドライヤーで乾燥させた。このサンプルスライドを、TOF−MS分析装置(DALTONICS autoflex2、Bruker社製)で分析した。図4に、その一例として、Fr2−1から得られた分枝シクロデキストラン(CIb−9)のスペクトルを示す。
その結果、Fr1の化合物の重合度は8、Fr2−1の化合物の重合度は9、Fr2−2の化合物の重合度は9、Fr3の化合物の重合度は10、Fr4の化合物の重合度は7、Fr6−4の化合物の重合度は11、Fr7−3の化合物の重合度は13、Fr10の化合物の重合度は10、Fr11の化合物の重合度は11であることが分かった。
(NMR測定)
分取されたシクロデキストラン及び分枝シクロデキストランをそれぞれDOに溶解し(10mg/0.6ml)、400MHz NMR装置(JNM AL−400、JEOL社製)を用いて80℃でH NMR測定を行った。その結果を図5に示す。なお、図5にはFr6−4、Fr7−3、Fr11画分のチャートは示されていない。各画分には、そのアノメリック領域のメインピークが4.95ppmに観察された。この4.95ppmのピークは→6)−α−Glc−(1→残基に由来する。また、Fr2−1及びFr3の画分には、4.95ppmのメインピーク以外に、5.29ppmと4.97ppmの小さなピークが観察された。さらにH−H二次元NMRスペクトル(COSYスペクトル、HOHAHAスペクトル)と13C−H二次元NMRスペクトル(HMQCスペクトル、HMBCスペクトル)を用いてH NMRスペクトルのピークの帰属を行った。また、既報のH NMR分析(Norman W. H. Cheetham, Gwen J. Walker, Barbara J. Pearce, Eva Fiala-Beer and Catherine Taylor, Structures of water-soluble α- -glucans synthesized from sucrose by glucosyltransferases isolated from Streptococcus sobrinus culture filtrates. Carbohydrate Polymers 14, 3)により、5.29ppmのピークはα−Glc−(1→残基に由来するピークであり、4.97ppmのピークは→3,6)−α−Glc−1(→残基に由来するピークであると帰属された。また、図5中H−1〜H−6'はグルコース残基を構成する1位から6位の各炭素原子に結合した水素原子を意味している。
(メチル化分析)
各画分から得られたシクロデキストラン及び分枝シクロデキストランのメチル分析を行った。なお、H NMR測定の結果、CIb−10は、Fr2−1と同じ結合様式を持つことが明らかとなっているため、メチル化分析には、分枝シクロデキストランを代表してFr2−1を用いた。試料をDMSOに溶解し、水酸化ナトリウムとよう化メチルを加え、100℃で2時間加熱してメチル化した。メチル化物はクロロホルム抽出により回収し、再度メチル化を行った。得られたメチル化物を、Sephadex LH-20(Pharmacia)カラム(溶離液:クロロホルム−メタノール容量比2:1)で分画した。得られたメチル化糖を、90質量%ギ酸(100℃、6時間)、続いて2M TFAを用いて加水分解した(100℃、6時間)。これを水素化ホウ素ナトリウムで還元し、ピリジンと無水酢酸を加えて110℃で2時間反応させてアセチル化した。得られた部分メチル化アルジトールアセテートをクロロホルムに溶解し、DB−225カラム(J&W Scientific, 0.25mm i.d.×30m)とEI検出器を装備したGC−MS装置(GCMS-QP5000、島津製作所)で分析した(キャリアガス:ヘリウム、カラ入口圧:100kPa(全流量34mL/min)、カラム温度:170℃(1min)から210℃まで3℃/minで昇温、気化室温度:230℃、検出器温度:230℃)。その結果、Fr2−2は、2,3,4−tri−−methyl−glucoseから得られたアルジトールアセテートのみが検出されたのに対し、Fr2−1は、2,3,4,6−tetra−、2,3,4−tri−、2,4−di−−methyl−glucoseから得られたアルジトールアセテートが検出された。H NMR測定の結果、各フラクションから得られたシクロデキストラン及び分枝シクロデキストランの結合様式は、α結合であることが分かっているため、メチル化分析の結果から、Fr2−2は、→6)−α−Glc−(1→残基のみからなることが分かった。また、Fr2−1は、非還元末端のα−Glc−(1→と、→3,6)−α−Glc−(1→残基を有することがわかった。
以上の結果から、図1に示されたようにシクロデキストラン混合物から検出された各ピークの帰属が決定された。
次に、各種デキストランから分枝シクロデキストランを調製した。
(シクロデキストラン混合物の調製)
4種類の市販デキストラン「Batch No.7527」、「Batch No.3527」、「Batch No.527」(いずれもFison Limited社製)、「T−10加水分解物」(T−10(Pharmacia Fine Chemicals社製)を、0.1N HClで2時間加水分解したサンプル)を原料として環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ(CITase:特許文献5に記載されたT−3040株由来の組換えCITase)を用いてシクロデキストラン混合物を調製した。10mM CaClを含む50mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)(500μL)にデキストラン10mgをそれぞれ溶解し、CITase6μgを加えて40℃で370分間反応させた。反応後、100℃で10分間加熱して酵素を失活させた。エタノール、続いて精製水を流したSep-Pak C18 カートリッジ(ウォーターズ社製)に反応液をそれぞれ流した後、精製水で洗浄し、次いで20容量%エタノールで生成されたシクロデキストラン混合物を溶出させた。得られた溶出液を減圧下で濃縮した後、濃縮液を凍結乾燥することによりシクロデキストラン混合物を得た。
(HPAEC−PADによる分枝シクロデキストランの同定)
得られたシクロデキストラン混合物について、実施例1と同様の条件でHPAEC−PAD分析を行い、溶出時間からシクロデキストラン混合物に含まれる成分の同定を行った(図7参照)。すべての反応物で、CI−7,CI−8,CI−9,CI−10に相当するピークが検出された。さらに、CIb−9,CIb−10,CIb−11に相当するピークも検出された。分枝シクロデキストランは、基質により存在比が異なり、T−10加水分解物を基質とした時より、Batch No.7527、Batch No.3527、Batch No.527を基質とした方が、より多くの分枝シクロデキストランを生成した。このことから、基質を変えることにより、分枝シクロデキストランの生成量を調整できることが分かった。
分取した分枝シクロデキストランの可溶化能について調べた。C60フラーレン(東京化成社製、B1641)の1mgを、1mg/mlのサンプル(可溶化剤)を含む水溶液の0.5mlに懸濁した。その後、4,000gで10分間(20℃)遠心分離して上清を分取した。上清中のC60フラーレン量は、上清を適宜希釈して268nmにおける吸光度を測定し、検量線を用いて定量した。検量線は以下の方法で作成した。1mg/mlのγシクロデキストリン(gCD)水溶液に可溶化した、C60フラーレン液を凍結乾燥して秤量し、加えたgCD質量との差から、可溶化したC60フラーレン質量を算出した。また、この水溶液を適宜希釈(C60フラーレン:0.5〜8μg/ml)して、268nmにおける吸光度を測定し、検量線を作成した。その結果を図7に示した。なお、C60フラーレンの添加量は過剰量であり、遠心分離した後には全ての溶液で沈殿を生じていた。
サンプルには、実施例1で用いられたシクロデキストラン混合物(Cimix)、実施例1で分離されたシクロデキストラン(CI−7,CI−8,CI−9)及び分枝シクロデキストラン(CIb−9,CIb−10)を用いた。また、参考のために、重合度の異なる3種類のシクロデキストリン(αシクロデキストリン(aCD),βシクロデキストリン(bCD),γシクロデキストリン(gCD))、高重合度シクロデキストリン(CASS,CAS,CAL)、市販デキストランT−10(DexT10:Pharmacia Fine Chemicals社製)、グルクロノキシランナトリウム塩(GX:江崎グリコ製)、カードラン(Curdl)、塩化ナトリウム、グルコース(Glc)、グルクロノキシランアンモニウム塩(GXNH4:江崎グリコ社製)を用いた。また、各サンプルは268nmに吸収を示さないことが確認されている。
この結果によると、シクロデキストラン混合物はシクロデキストランや分枝シクロデキストランよりもフラーレンの可溶化能は低いと言えるが、シクロデキストラン混合物から単離精製したシクロデキストラン(CI−7,CI−8,CI−9)や分枝シクロデキストラン(CIb−9,CIb−10)は、フラーレンを包接して可溶化するシクロデキストリンとほぼ同等の可溶化能を示した。特に、CIb−9はgCDや他のシクロデキストランと比べて約2倍の可溶化能を示した。
(フラーレンの可溶化能2)
C70フラーレン(Strem Chemicals, Inc.製)の0.6mgを、1mg/mlのサンプルを含む水溶液の0.3mlに懸濁した。その後、実施例2と同様に操作を行い、各サンプルの可能化能を測定した。なお、C70フラーレンの添加量は過剰量であり、遠心分離した後には全ての溶液で沈殿を生じていた。
サンプルには、実施例1で分離されたシクロデキストラン(CI−8、CI−9)及び分枝シクロデキストラン(CIb−9,CIb−10)、γシクロデキストリン(gCD)を用いた。この結果から、分離された分枝シクロデキストランは分枝を有しないシクロデキストラン(CI−8,CI−9)に比べてC70フラーレンの可溶化能が高いと言える。
このように分枝シクロデキストランはフラーレンを可溶化する性質を有し、分枝を有しないシクロデキストランと同様に各種の物質を包接する可能性があると言える。
(デキストランスクラーゼ阻害活性)
Leuconostoc mesenteroides由来デキストランスクラーゼ(シグマ・アルドリッチ社製)の0.18units/mlと試験サンプル(0.125mM)を、40mM酢酸緩衝液(pH=5.2)中で、30℃で60分間インキュベートした。同体積の100mg/mlスクロース水溶液を加えて、さらに30℃で20分間インキュベートした。水酸化ナトリウム水溶液を最終濃度が0.2Mとなるように加えて反応を停止した。反応液中の還元糖量を、Park-Johnson法により定量した。スクラーゼ活性は、試験サンプルがない時に生じる還元糖量を100%とし、これに対する相対量で示した。その結果を図8に示す。分枝を有するシクロデキストランは、分枝を有しないシクロデキストランとほぼ同様のデキストランスクラーゼ阻害活性を示した。このように、本発明の分枝シクロデキストランはう蝕の発生を防止する抗う蝕剤として利用し得る。
次に本発明の分岐シクロデキストランを用いた各種化粧品を製造した。
(乳液の調製)
油相部として(1)ステアリン酸2.0、(2)セチルアルコール1.5、(3)デカメチルペンタシクロシロキサン3.0、(4)ジメチルポリシロキサン(6cs)5.0、(5)イソステアリン酸ポリグリセリル3.0、(6)ワセリン0.5、(7)ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル2.0及び水相部として(8)分枝シクロデキストラン(重合度9)0.001、(9)C60フラーレン0.01、(10)カルボキシビニルポリマー0.2、(11)1,3−ブチレングリコール5.0、(12)グリセリン3.0、(13)水酸化カリウム1.0、(14)適量のメチルパラベン、(15)残部の精製水から乳液100を調製した(各質量部)。(15)に(8)を溶かした溶液に(9)を加えて、超音波を投射してフラーレンの溶液を作製した。この溶液に(10)〜(14)を加え70℃で混合し、これに油相部(1)〜(7)を混合溶解したものを添加して乳化を行い、冷却処理をして乳液を得た。
(ローションの調製)
(1)エタノール10.0、(2)グリセリン1.5、(3)クエン酸ナトリウム0.09、(4)クエン酸0.02、(5)パラオキシ安息香酸メチル0.05、(6)C70フラーレン0.005、(7)分枝シクロデキストラン0.01、(8)適量の香料、(9)残部の精製水から化粧水100を調製した。(9)に(7)を溶かした溶液に(6)を加えて、超音波を投射してフラーレンの溶液を得た。ここに(1)〜(5)(8)を加えて混合溶解して化粧水を得た。
本発明は新規な分枝シクロデキストラン及びその用途を提供し、例えば、当該分枝シクロデキストランはフラーレンの可溶化剤及び抗う蝕剤として利用され得る。

Claims (9)

  1. フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを混合する工程を含むフラーレンが親水系溶媒に溶解した溶液の調製方法。
  2. フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、8分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを混合する工程を含むフラーレンが親水系溶媒に溶解した溶液の調製方法。
  3. フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランα−1,3−分枝シクロデキストランを含むフラーレンが可溶化された溶液。
  4. フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、8分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを含むフラーレンが可溶化された溶液。
  5. フラーレンと、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを含むシクロデキストランを含まない乳化組成物。
  6. フラーレンを含む乳化組成物の調整方法であって、
    フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを混合する工程を含む調整方法。
  7. フラーレンと、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを含む皮膚外用剤。
  8. フラーレンを含む皮膚外用剤の調整方法であって、
    フラーレンと、親水系溶媒と、1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを混合する工程を含む調整方法。
  9. 1分子のグルコースがα−1,3−結合で、7分子から10分子のグルコースからなる環状デキストランに結合したα−1,3−分枝シクロデキストランを有効成分とする抗う蝕剤。
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