JP2019131504A - カプセル及びその製造方法、並びにカプセル入り化粧料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】油性ビタミン等の親油性成分の分解を防止し、安定的に配合した化粧料の提供。【解決手段】(A)高分子ゲル化剤及び(B)水溶性多価金属塩、(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分及び(E)少なくとも下記一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類を含有した乳化分散液を内包するカプセル、及びびそのカプセルを、分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させたカプセル入り化粧料。【選択図】なし

Description

本発明は、油性ビタミン、ビタミン誘導体及びビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤、不飽和脂肪酸等の変質し易い親油性成分を安定的に配合した化粧料及びその化粧料の製造方法に関するものであり、具体的には該親油性成分を内包したカプセルとそのカプセルを配合したカプセル入り化粧料に関する。
近年、化粧料は、実効果が求められており、肌に対して実効果のある成分が多く開発されている。油性ビタミンの一種、ビタミンEであるトコフェロールは抗酸化性能を有することが知られており、ビタミンAであるレチノールは、保湿作用に優れていることが知られている。
また、抗酸化性能を有するビタミン誘導体、ビタミン前駆物質及び補酵素は、アンチエイジングや美白成分として多く用いられている。例えば、ビタミンC誘導体であるテトラヘキシルデカン酸L−アスコルビルは、肌に適用した際に肌上で加水分解し、強い酸化防止の作用とメラニン生成抑制作用を有する水溶性のL−アスコルビン酸(ビタミンC)を生成する。
また、紫外線によって活性酸素が皮膚に過剰な状態で持続すると、長期的に生体膜リン脂質の不飽和脂肪酸などと反応して過酸化脂質が生成する。この生成された過酸化脂質によって、動脈硬化、発癌、膜の破壊、蛋白変性、皮膚炎症、浮腫などの誘発が懸念されているため、紫外線防止を目的とした紫外線吸収剤が用いられる。さらに、抗炎症剤のグリチルレチン酸ステアリルは皮膚の消炎やかぶれ防止、ニキビの予防に用いられる。また、不飽和脂肪酸であるパルミトイル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸は自らが酸化されることにより抗酸化作用を示す。
上記の油性ビタミン、ビタミン誘導体及びビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤、不飽和脂肪酸等は酸素により容易に変質する親油性成分である。該親油性成分を配合した化粧料においては、例えば、テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビルは化粧料中では安定していることが求められ、化粧料を肌に適用した際には、肌上で加水分解して酸化防止作用とメラニン生成抑制作用を有する水溶性のL−アスコルビン酸(ビタミンC)を生成することが必要である。もし、テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビルが化粧料中で水溶性のL−アスコルビン酸に分解してしまうと、L−アスコルビン酸は、水溶性基質中で容易に酸化されてジハイドロアスコルビン酸となって力価が顕著に低下し、茶褐色に変色や、臭気が発生することもあるので、化粧料の性能と外観や臭気の点で問題となる。
前述の容易に変質する親油性成分の分解は、主に酸素と熱によって促進される。酸素は化粧料に配合される水に溶解しているので、容易に変質する親油性成分と酸素を含む水との接触を防ぐことによって該親油性成分の分解を防止する方法が検討されている。
例えば、特許文献1では、高級アルコール、油性成分、多糖類及び容易に変質する親油性成分を含有する化粧料において、新規な乳化技術を使用することで、容易に変質する親油性成分を溶解した油性成分を水中で安定な乳化状態に維持して水相との接触を遮断する方法が開示されている。しかし、この方法では乳化工程において、70℃以上に加熱する工程があり、熱により容易に変質する親油性成分が変質する恐れがあった。
特開2009−234951号公報
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、油性ビタミン、ビタミン誘導体及びビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤、不飽和脂肪酸等の容易に変質する親油性成分の分解を防止し、該親油性成分を安定的に配合した化粧料を得ることを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決するために容易に変質する親油性成分と酸素を含む水との接触を効果的に防ぐ方法であって、該親油性成分の加熱による変質を回避する方法を鋭意研究した。その方法として、高分子ゲル化剤の水溶液を多価金属塩の水溶液中に滴下して形成されるカプセルの利用を検討し、該カプセル中に、容易に変質する親油性成分を溶解した油性成分を内包させることを試みたが、高分子ゲル化剤水溶液と容易に変質する親油性成分を溶解した油性成分を均一に混合して該油性成分をカプセル内に内包させることは困難であり、カプセルを形成するための高分子ゲル化剤の膜に油性成分が混入してしまって均一で強固な膜が得られず、カプセルが形成できない、あるいは形成できた場合でも短時間で壊れてしまう等の問題があった。
そこで、本発明者は、高分子ゲル化剤水溶液と容易に変質する親油性成分を溶解した油性成分を、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含み、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とする多糖類を用いて乳化し、水中油型エマルションを作成した。該多糖類を用いて乳化することによって、該水溶液中で該油性成分を均一な分散混合状態に維持することができ、かつ、油相と水相を完全に分離でき、水相が連続相となるため、該乳化分散液を多価金属塩の水溶液中に滴下しても高分子ゲル化剤の膜が速やかに形成されて、しかも油性成分が混入することが無く、均一で強固な膜を有するカプセルを得られることを見出した。
本発明によれば、カプセルの形成工程において、容易に変質する親油性成分を過度に加熱する工程は無く、また、容易に変質する親油性成分はカプセルに内包された乳化分散液中の油滴中に、油性成分に溶解されて存在するため、カプセル外の酸素を含む水との接触を完全に遮断することができるのである。本発明のカプセルを用いれば、容易に変質する親油性成分の酸素や熱による分解を防止できるため、このカプセルを、分散安定化剤を含有する水溶液中に分散させてカプセル入り化粧料を調製しても、容易に変質する親油性成分は化粧料中で安定性を維持できるのである。
このように、本発明によれば、従来の技術では到達できなかった、容易に変質する親油性成分の優れた分解防止が可能となり、該親油性成分を安定的に配合した化粧料を得ることができる。
すなわち、請求項1に係る発明は、(A)高分子ゲル化剤及び(B)水溶性多価金属塩により形成され、(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分及び(E)少なくとも下記の一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類を含有した乳化分散液を内包することを特徴とするカプセルである。
Figure 2019131504
請求項2に係る発明は、前記(A)高分子ゲル化剤が、カラギーナン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、グアーガム、アラビアガム、ジェランガムおよびその塩からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1記載のカプセルである。
請求項3に係る発明は、前記(D)容易に変質する親油性成分が、油性ビタミン、ビタミン誘導体、ビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤及び不飽和脂肪酸からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載のカプセルである。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させたことを特徴とするカプセル入り化粧料である。
請求項5に係る発明は、(E)少なくとも下記の一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類及び(A)高分子ゲル化剤を含む水溶液を調製する工程と、前記水溶液に(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分を乳化分散させ乳化分散液を調製する工程と、前記乳化分散液を(B)水溶性多価金属塩の水溶液に滴下しカプセルを調製する工程と、を有することを特徴とするカプセルの製造方法である。
Figure 2019131504
請求項6に係る発明は、請求項5記載の製造方法によって製造されたカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させる工程を有することを特徴とするカプセル入り化粧料の製造方法である。
尚、上記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)を、それぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分と記すことがある。
本発明のカプセルを用いることにより、油性ビタミン、ビタミン誘導体、ビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤及び不飽和脂肪酸等の容易に変質する親油性成分の分解を効果的に防止できるので、該カプセルを分散安定化剤の水溶液中に分散させた化粧料においても、該親油性成分の分解に起因する化粧料の性能低下、変色等の外観の劣悪化、臭気の発生等を防止できる。
本発明のカプセルは、(A)高分子ゲル化剤及び(B)水溶性多価金属塩により形成される。
本発明に用いられる(A)高分子ゲル化剤としては、一般に利用されている天然あるいは合成高分子ゲル化剤が用いられる。例えば、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、デキストリン、スクレログルカン、シゾフイラン、カードラン、ジェランガム、ファーセレラン、寒天、グルコマンナン、アミロペクチン、ローカストビーンガム、タマリンドガム、グアーガム、アラビアガム、ペクチン、プルラン及びキサンタンガム等の多糖類;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸フタル酸セルロース等のセルロース類;ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー及びメタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ゼラチンやコラーゲン等のタンパク質等が挙げられる。好ましくは、カラギーナン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、グアーガム、アラビアガム、ジェランガム及びその塩である。これらはいずれも水溶性高分子であり、そのいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる(A)高分子ゲル化剤の配合量は、前記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する乳化分散液全量に対して、通常、0.2〜2.5重量%である。好ましくは、0.5〜2.0重量%であり、より好ましくは1.0〜2.0重量%である。(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計配合量に対して、(A)高分子ゲル化剤の配合量が0.2重量%未満では形成したカプセルに十分な強度が得られない場合があり、2.5重量%を超えると配合量の増加に見合うだけの強度の向上効果が小さく、経済的でない場合がある。
本発明に用いられる(B)水溶性多価金属塩は、水溶性金属塩であれば特に限定されることなく、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウムなどを挙げることができる。なお、水溶性多価金属塩は、二つ以上のものを同時に用いてもよいが、単独で用いるのが好ましい。
本発明に用いられる(B)水溶性多価金属塩の水溶液濃度は0.1〜15質量%である。好ましくは0.5〜10.0質量%である。その水溶液の濃度が0.1重量%未満では形成したカプセルに十分な強度が得られない場合があり、15重量%を超えると配合量の増加に見合うだけの強度の向上効果が小さく、経済的でない場合がある。
本発明において、カプセルに内包される乳化分散液は、(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分及び(E)少なくとも下記の一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類を含有する。
Figure 2019131504
本発明に用いられる(C)油性成分としては、例えば、スクワラン、パラフィン(炭素数16から炭素数50までのn−炭化水素単独あるいはそれらの混合物)、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボカド油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、シア脂、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ホホバ油、ミツロウ(蜜蝋)、水添パーム油、バチルアルコール、フィトステロール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(2−オクチルドデシル・フィトステリル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(2−オクチルドデシル・ベヘニル・フィトステリル)、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等があげられる。(C)油性成分は(D)容易に変質する親油性成分を溶解し、カプセルに内包される乳化分散液中で油中水型エマルションの微細な油滴として分散状態で存在する。そのため、(D)容易に変質する親油性成分を経時的に析出させることなく溶解する性能が求められ、(D)容易に変質する親油性成分との相性、特に極性が近い油性成分を選択することが望ましい。
本発明に用いられる(D)容易に変質する親油性成分としては、油性ビタミン、ビタミン誘導体、ビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤及び不飽和脂肪酸が挙げられる。例えば、油性ビタミンとしてビタミンA、ビタミンEであり、ビタミン誘導体及びビタミン前駆物質としてカロチン、アスタキサンチン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、パルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル、酢酸トコフェロールであり、補酵素としてα−リポ酸、ユビキノンであり、油性紫外線吸収剤として4−tert−ブチル−4′−メトキシベンゾイルメタン、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、ジイソプロピル桂皮酸メチルであり、抗炎症剤としてグリチルレチン酸ステアリルであり、不飽和脂肪酸としてリノール酸、リノレン酸である。
本発明に用いられる(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分の合計配合量は、前記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する乳化分散液全量に対して、通常、1重量%〜70重量%である。好ましくは、30重量%〜60重量%であり、より好ましくは40重量%〜50重量%である。(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分の合計配合量が1%未満では、(A)高分子ゲル化剤及び(E)多糖類が、(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分の配合量に対して過剰となり、経済的でない。また、70重量%を超えると、(E)多糖類が、(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分の配合量に対して過少となり十分な乳化分散効果が得られない場合がある。
本発明に用いられる(E)少なくとも下記一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類は、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含み、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とする多糖類である。
Figure 2019131504
上記一般式(1)の多糖類は、例えばアルカリゲネスレータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の産生物として得ることができる。この多糖類は、アルカシーラン(商品名、INCI name:Alcaligenes Polysacchaides、伯東社製)として市販されている。
この多糖類を使用することで、(D)容易に変質する親油性成分を溶解した(C)油性成分の油滴を乳化分散状態でカプセル内部に完全に内包することができ、かつカプセルの強度を向上させることができる。この多糖類は、特開2007−070304号公報に開示されているように、油滴表面に粒子構造をした該多糖類を付着させ、水相−乳化分散剤相−油相の三相構造を形成させてエマルションを形成する新規な乳化法(三相乳化法)を用いることで、乳化分散液の長期安定化を図ることができるため、機械的に微粒子化した、(D)容易に変質する親油性成分を溶解した(C)油性成分の油滴の表面に該多糖類が付着することで該油滴の乳化分散を安定化することができる。
本発明の(E)多糖類の配合量は、前記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する乳化分散液全量に対して、通常、0.01重量%〜1重量%、好ましくは0.02重量%〜0.5重量%、より好ましくは0.05重量%〜0.2重量%である。(E)多糖類の配合量が0.01重量%未満では十分な乳化分散効果が得られない場合があり、(E)多糖類の配合量が1重量%を超えると多糖類の配合量増加に見合うだけの乳化分散効果の向上が小さく、経済的でない。
本発明の油滴の乳化分散をさらに安定化させる乳化補助成分を添加しても良い。乳化補助成分としては、糖及びその誘導体、親水性ポリマー、低分子多価アルコール、界面活性剤等がある。
糖及びその誘導体としては、ハチミツ、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、ペンタエリスリトール、フルクトース、デキストリン及びその誘導体、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ブドウ糖、POEメチルグルコシド、加水分解水添デンプン、グルコシドトレハロース等がある。
親水性ポリマーは、例えば、キサンタンガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、カードラン、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲンなどの天然高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースアルミニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸アルミニウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシフロピルメチルセルロースなどの半合成高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマ一、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子などであり、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどの無機鉱物などを併用することもある。これら親水性ポリマーは、配合により本発明のカプセルの強度を向上させることができるため、配合することが望ましい。
低分子多価アルコールとしては、1,2−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ペンタンジオール、オクタンジオール等が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩及びアルケニル硫酸塩、アルキルフェニル硫酸塩及びアルケニルフェニル硫酸塩、アルキルフェニルポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩及びアルケニルフェニルポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩、(ジ)アルキルスルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩(アシル−N−メチルタウリン類)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン重縮合物等が挙げられ、塩としてはアルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、鉄塩、アンモニウム塩が好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、レシチン及びその誘導体、アルキルアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン、ホスホベタインおよびスルホベタイン、グリシン系ベタイン、イミダゾリウム系ベタイン、アミンオキシド等が挙げられる。
本発明のカプセルの製造方法は、(E)少なくとも下記の一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類及び(A)高分子ゲル化剤を含む水溶液を調製する工程と、前記水溶液に(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分を乳化分散させ乳化分散液を調製する工程と、前記乳化分散液を(B)水溶性多価金属塩の水溶液に滴下しカプセルを調製する工程と、を有する。
Figure 2019131504
(E)少なくとも一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類及び(A)高分子ゲル化剤を含む水溶液を調製する工程は、水に多糖類と高分子ゲル化剤を溶解する工程であって、通常は、加温した水に多糖類と高分子ゲル化剤を加えて撹拌し溶解させて水溶液を調製する。ここで使用する水は硬度成分が少ないことが望ましく、通常は、軟化水、イオン交換水、精製水、純水のいずれかを使用する。
前記水溶液に(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分を乳化分散させ乳化分散液を調製する工程は、前記水溶液を撹拌しながら油性成分及び容易に変質する親油性成分を添加し、用いた乳化装置や液量により異なるが、10分〜60分そのまま撹拌を継続して乳化分散液を調製する工程であって、容易に変質する親油性成分を溶解した油性成分の油滴の油水界面に多糖類が配位して安定した乳化分散状態である、前述の水相−乳化分散剤相−油相の三相構造が完成する。この工程では、液温を50℃以下に保ち、過度な加温を行わないので、(D)容易に変質する親油性成分の熱による分解劣化を防ぐことができる。
前記乳化分散液を(B)水溶性多価金属塩の水溶液に滴下しカプセルを調製する工程は、水溶性多価金属塩を所定濃度で溶解した水溶液を緩やかに撹拌しているところに、前記乳化分散液を細いパイプ(内径が0.1〜2mm程度)から、1滴ずつ滴下する。滴下により乳化分散液中の水相に存在する高分子ゲル化剤と水溶性多価金属塩が反応して高分子の架橋が開始され、高分子ゲル膜が形成されて球状のカプセルになる。滴下された液滴は外表面の水相(連続相)に存在する高分子ゲル化剤から水溶性多価金属塩と反応して速やかに不溶化するため、(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分及び(E)少なくとも一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類によって形成された油滴を含む高い安定性の乳化分散液はカプセルに内包される。カプセルの大きさは前記した滴下パイプの内径で決まるが、0.2〜5mm程度である。このカプセルを水溶性多価金属塩水溶液から取り出し、水で適切に洗浄後、網等ですくって水を切ることで本発明のカプセルを得ることができる。また、カプセルに影響を与えなければ、他の工程を加えてもよい。尚、この工程は、通常、常温で行われるため、(D)容易に変質する親油性成分の熱による分解劣化を防ぐことができる。また、この工程で使用する水は硬度成分が少ないことが望ましく、通常は、軟化水、イオン交換水、精製水、純水のいずれかを使用する。
このようにして製造される本発明のカプセルでは、内包された(D)容易に変質する親油性成分が油性成分に溶解して油滴としてカプセル内に分散されているので、カプセル外の酸素と接触することは無く、また、カプセル製造工程において過度の加熱工程を経ないため、酸素や熱による該親油性成分の分解を効果的に防止できるのである。
本発明のカプセル入り化粧料は、本発明のカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させたことを特徴とする。
本発明で用いる(F)分散安定化剤は、化粧料中に本発明のカプセルを安定して分散させるために適切な粘度の水溶液が得られる物質であれば特に制限は無く、一般的に増粘剤として知られている物質が使用できる。例えば、各種のアクリル酸重合体等の合成高分子やキサンタンガム等の天然高分子、また、本発明の(E)成分の多糖類であるアルカシーラン(商品名、INCI name:Alcaligenes Polysacchaides、伯東社製)も使用できる。
分散安定化剤を含有する水溶液における(F)分散安定化剤の溶解濃度は、該水溶液に分散するカプセルの性状や、該水溶液に含まれる(F)分散安定化剤以外の各種成分によって変化するため、予備試験を行って適切な濃度を定めることが望ましい。
本発明のカプセル入り化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要によりさらに、薬品類、医薬部外品類、化粧品類などに配合される成分である精製水、温泉水、深層水、増粘剤、色素、保湿剤、エモリエント剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、抗炎症(消炎)剤、皮膚(細胞)賦活化剤、抗菌剤、経皮吸収促進剤、清涼剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、褪色防止剤、緩衝剤などが任意に加えられる。
本発明のカプセル入り化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、種々の形態の製剤とすることができるが、通常は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の外用剤として用いることが好ましい。
本発明のカプセル入り化粧料の製造方法は、本発明の製造方法によって製造されたカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させる工程を有することを特徴とする。
本発明の製造方法によって製造されたカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させる工程は、次の手順で構成される。
まず、製造される化粧料が具備すべき性能に応じて、通常、化粧料に用いられる各種成分を水に溶解した水溶液を調製する。この時、必要に応じて、適切な加温や撹拌を行う。該水溶液の液温を40℃以下に維持しながら、本発明の製造方法によって製造されたカプセルを該水溶液に添加した後、分散安定化剤を添加し、緩やかな撹拌を継続して、カプセルを分散させる。これにより、本発明の製造方法によって製造されたカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させた本発明のカプセル入り化粧料を得る。尚、必要に応じて、酸又はアルカリを用いて化粧料のpHを調整する。また、この工程で使用する水は硬度成分が少ないことが望ましく、通常は、軟化水、イオン交換水、精製水、純水のいずれかを使用する。
この工程でも、カプセルに内包された(D)容易に変質する親油性成分は、化粧料中に分散されたカプセルの外の酸素と接触することは無く、また、上記のカプセル入り化粧料の製造工程においても過度の加熱工程を経ないため、酸素や熱による該親油性成分の分解を効果的に防止できる。従って、該親油性成分に起因する化粧料の性能低下、変色等の外観の劣悪化、臭気の発生等を防止できるのである。
本発明のカプセル入り化粧料は、主に外用剤として皮膚に塗布され、塗布時の物理的圧力によってカプセルは壊れて内包されていた乳化分散液が皮膚上に展開するが、油相は多数の微細な油滴から成っているので、皮膚上に一面に油膜を張ることは無く、油っぽさやベタツキの少ない化粧料となる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
1.カプセル性能評価試験
本発明のカプセルは、(D)容易に変質する親油性成分を溶解した(C)油性成分の油中水型乳化分散液を内包することを特徴としている。従って、カプセルの性能は、カプセル製造時に乳化分散液を完全に内包できるか否かで評価されるが、乳化分散の安定性が高ければ、その乳化分散液を完全に内包できる。本発明のカプセルとそれ以外のカプセルを製造し、その性能を比較する試験を行った。
(1)カプセル配合成分
カプセル製造時に用いた配合成分を下記に示した。
(A)高分子ゲル化剤
(A−1):アルギン酸ナトリウム
(「キミカアルギンIL−2」(商品名);キミカ社製)
(A−2):カラギーナン(「WR−78−J」(商品名);CPケルコ社製)
(A−3):ジェランガム
(「KELCOGEL CG−LA」(商品名);CPケルコ社製)
(B)水溶性多価金属塩
(B−1):塩化カルシウム二水和物(試薬、特級;関東化学社製)
(C)油性成分
(C−1):スクワラン(「クラレスクワランN」(商品名);クラレ社製)
(C−2):オレフィンオリゴマー
(「ノムコートHPD−C」(商品名);日清オイリオグループ社製)
(C−3):ミリスチン酸イソプロピル
(「クロダモルIPM」(商品名);クローダジャパン社製)
(C−4):オリブ油(「クロピュアOL」(商品名);クローダジャパン社製)
(C−5):ミツロウ(「ゴールデンブランドミツロウ」(商品名);三木化成社製)
(D)容易に変質する親油性成分
(D−1):テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル
(「NIKKOL VC−IP」(商品名);日光ケミカルズ社製)
(D−2):トコフェロール(ビタミンE)
(「イーミックス−D」(商品名);タマ生化学社製)
(D−3):アスタキサンチン
(「アスタリールオイル」(商品名);富士化学工業社製)
(D−4):レチノール(ビタミンA)
(「レチノール15D」(商品名);BASFジャパン社製)
(D−5):4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
(「パルソール1789」(商品名);DSM ニュートリションジャパン社製)
(D−6):グリチルレチン酸ステアリル
(「COグレチノール(商品名);丸善製薬社製)
(E)多糖類
(E−1):アルカシーラン(「アルカシーラン」(商品名);伯東社製)
(E−2):キサンタンガム(「ケルザンT」(商品名);三晶社製)
(2)本発明のカプセルの製造
カプセル1〜カプセル9(実施例1〜実施例9)の製造方法を下記に示した。
(カプセル1)
80℃の温水97.88gにアルカシーラン(E−1)0.12g、アルギン酸ナトリウム(A−1)2.0gを加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間撹拌して溶解した後、50℃に冷却した。ホモミキサー(IKA社製)16,000rpmで撹拌を続けながら、前記水溶液にスクワラン(C−1)30g、オレフィンオリゴマー(C−2)20g、ミリスチン酸イソプロピル(C−3)20g、オリブ油(C−4)20g、ミツロウ(C−5)4g、テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)6.0gを加え、5分間撹拌して乳化させ、乳化分散溶液を調製した。イオン交換水2000mlに塩化カルシウム二水和物(B−1)を100g溶解させた塩化カルシウム水溶液を緩やかにパドル撹拌している所に、前記乳化分散液をl00mL/分の速度で滴下した。1分間反応させた後、水で洗浄し、カプセル1を製造した。カプセル1を実施例1とする。
(カプセル2)
テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)をトコフェロール(ビタミンE)(D−2)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル2を製造した。カプセル2を実施例2とする。
(カプセル3)
テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)をアスタキサンチン(D−3)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル3を製造した。カプセル3を実施例3とする。
(カプセル4)
テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)をレチノール(ビタミンA)(D−4)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル4を製造した。カプセル4を実施例4とする。
(カプセル5)
テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)を4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(D−5)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル5を製造した。カプセル5を実施例5とする。
(カプセル6)
テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)をグリチルレチン酸ステアリル(D−6)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル6を製造した。カプセル6を実施例6とする。
(カプセル7)
アルギン酸ナトリウム(A−1)をカラギーナン(A−2)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル7を製造した。カプセル7を実施例7とする。
(カプセル8)
アルギン酸ナトリウム(A−1)をジェランガム(A−3)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル8を製造した。カプセル8を実施例8とする。
(カプセル9)
塩化カルシウム二水和物(B−1)を10gに変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル9を製造した。カプセル9を実施例9とする。
(3)本発明以外のカプセルの製造
カプセル10、カプセル11(比較例1、比較例2)の製造方法を下記に示した。
(カプセル10)
アルカシーラン(E−1)をキサンタンガム(E−2)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル10を製造した。カプセル10を比較例1とする。
(カプセル11)
アルカシーラン(E−1)をキサンタンガム(E−2)に変更し、テトラヘキシルデカン酸L−アスコルビル(D−1)をグリチルレチン酸ステアリル(D−6)に変更した以外は、カプセル1と同様な方法でカプセル11を製造した。カプセル11を比較例2とする。
(4)製造したカプセルの性能評価
前述のように、製造したカプセルの性能はカプセル製造時に乳化分散液を完全に内包できるか否かで評価される。ここで、カプセルに内包される乳化分散液の乳化安定性が不良の場合は、(D)容易に変質する親油性成分を溶解した(C)油性成分は、水相と完全に分離された油滴として乳化分散液中に安定的に存在することができず、油分として水相に混入する。このような状態で乳化分散液を水溶性多価金属塩の水溶液に滴下すると、水相に混入した油分は水溶性多価金属塩水溶液側に流れ出て、カプセル形成後の該水溶液の液面上に油膜を生じる。従って、水溶性多価金属塩水溶液の液面上に油膜が生じた場合は、カプセル製造時に乳化分散液を完全に内包できなかった(×表示)、油膜が生じなかった場合は、カプセル製造時に乳化分散液を完全に内包できた(〇表示)と評価できる。実施例1〜9及び比較例1、2について評価した結果を表1に示した。
Figure 2019131504
表1の結果より、実施例1〜9のように、多糖類にアルカシーラン(E−1)を用いた場合、カプセルを形成した後の水溶性多価金属塩水溶液の表面に油膜を生じなかったことから、乳化分散が良好であり、全ての(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分をカプセルに内包できていることがわかった。それに対して、比較例1、2のように、多糖類にキサンタンガム(E−2)を用いた場合、カプセルを形成した後の水溶性多価金属塩水溶液の表面に油膜を生じたことから、乳化分散不良であり、(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分をカプセルに内包しきれていないことがわかった。
2.カプセル入り化粧料の経時安定性評価試験
本発明のカプセル入り化粧料は、カプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させたことを特徴としている。本発明のカプセル入り化粧料とそれ以外の化粧料を製造して経時安定性試験を行い、化粧料の性能、外観及び臭気を比較した。
(1)カプセル入り化粧料配合成分
カプセル入り化粧料製造時に用いた配合成分を下記に示した。
(F)分散安定化剤
(F−1):カルボキシビニルポリマー(カルボマー)
(「ハイビスワコー104」(商品名);和光純薬社製)
(F−2):アルカシーラン(「アルカシーラン」(商品名);伯東社製)
(F−3):キサンタンガム(「ケルザンT」(商品名);三晶社製)
(その他の配合成分)
・グリセリン(試薬、特級;和光純薬社製)
・1,3−ブチレングリコール(試薬、特級;和光純薬社製)
・ステアリン酸ポリグリセル
(「NIKKOL Dacaglyn 1−SV」(商品名);日光ケミカルズ社製)
・エチルアルコール(試薬、特級;和光純薬社製)
・パラオキシ安息香酸エステル(「メッキンスM」(商品名);上野製薬社製)
(2)本発明のカプセル入り化粧料の製造
化粧料1〜化粧料7の製造方法を下記に示した。
(化粧料1)
グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ステアリン酸ポリグリセル、エチルアルコール、パラオキシ安息香酸エステルを精製水に加え、ホモミキサー(特殊機化工業社製)で8,000rpmで70℃にて5分間撹拌した。その溶液を40℃まで冷却した後、カプセル1を加え、ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて8,000rpmで5分間撹拌した。さらに、分散安定化剤であるカルボキシビニルポリマー(カルボマー)(F−1)を加えた後に緩やかにパドル撹拌を行い、カプセル1の分散液を作成した。その後、水酸化ナトリウムまたは硫酸を用いて、pHを7に調製し、化粧料1を製造した。
(化粧料2)
カプセル1をカプセル6に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料2を製造した。
(化粧料3)
カプセル1をカプセル7に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料3を製造した。
(化粧料4)
カプセル1をカプセル8に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料4を製造した。
(化粧料5)
カプセル1をカプセル9に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料5を製造した。
(化粧料6)
カルボキシビニルポリマー(カルボマー)(F−1)をアルカシーラン(F−2)に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料6を製造した。
(化粧料7)
カルボキシビニルポリマー(カルボマー)(F−1)をキサンタンガム(F−3)に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料7を製造した。
(3)本発明以外の化粧料の製造
化粧料8〜化粧料9の製造方法を下記に示した。
(化粧料8)
カプセル1をカプセル10に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料8を製造した。
(化粧料9)
カプセル1をカプセル11に変更した以外は、化粧料1と同様な方法で、化粧料9を製造した。
化粧料1〜化粧料9の配合を表2に示した。
Figure 2019131504
上記化粧料以外に、特開2009−234951号公報の実施例87の化粧料を化粧料10とした。その配合を表3に示した。
Figure 2019131504
化粧料10の製造方法は次の通りである。
(化粧料10)
1.区分cの多糖類(E−1)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散
させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した
(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1)。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8,000rpmに攪拌しな
がら、混合液1を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで
冷却して化粧料10を製造した。
(4)製造した化粧料の経時安定性評価
表2、及び表3に示した化粧料1〜化粧料10について経時安定性試験を行った。
化粧料1〜7をそれぞれ実施例10〜16、化粧料8〜10をそれぞれ比較例3〜5とした。試験方法は次の通りである。
化粧料50gをガラス容器に入れ、密栓して、−10℃(24時間)〜50℃(24時間)のサイクル恒温槽に入れ、3ヶ月後の安定性、外観、臭気の評価と(D)容易に変質する親油性成分濃度の測定を行った。安定性と外観は目視観察、臭気は官能試験によって評価し、容易に変質する親油性成分の濃度は高速液体クロマトグラフィー法にて測定した。
(安定性の評価)
O:カプセルの分散状態が保たれて、油分の浮きは無い。
△:カプセルが上面に集まっているが、油分の浮きは無い。
×:表面に油分が浮く。
(外観の評価)
○:変色無し
×:変色有り
(臭気の評価)
○:臭気無し
×:臭気有り
(容易に変質する親油性成分濃度の測定)
製造直後と3ヶ月間の経時安定性試験を経た後の化粧料について、濾過によりカプセルを回収し、回収したカプセルをホモジナイザーで粉砕した後、遠心分離により、(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分の回収を行った。回収した(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分をエタノールにより希釈した後、下記条件にて高速液体クロマトグラフィーを行い、下記式より(D)容易に変質する親油性成分の残存率を算出した。
容易に変質する親油性成分残存率(%)=(B/A)×100
A=0日後(製造直後)の容易に変質する親油性成分濃度(mg/L)
B=3ヶ月間の経時安定性試験を経た後の容易に変質する親油性成分濃度(mg/L)
(テトラヘキシルデカン酸Lーアスコルビルの測定条件)
カラム:NH2P−50 4E(Shodex製)
溶離液:アセトニトリル100%溶液
溶離液流量:1.0mL/min
検出器:多波長検出器
測定波長:223nm
(グリチルレチン酸ステアリルの測定条件)
カラム:ODS(C18)(ShodeX製)
溶離液:メタノール100%溶液
溶離液流量:1.0mL/min
検出器:多波長検出器
測定波長:250nm
3ヶ月間の経時安定性試験を経た後の化粧料の安定性、外観、臭気の評価、及び容易に変質する親油性成分の残存率を表4に示した。
Figure 2019131504
表4の結果より、3ヶ月間の経時安定性試験を経た後の化粧料の安定性、外観、臭気、及び容易に変質する親油性成分の残存率を評価した。(C)油性成分と(D)容易に変質する親油性成分を完全に内包したカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させた本発明のカプセル入り化粧料の実施例である実施例10〜16では、安定性、外観及び臭気の評価において、安定性では、カプセルが上面に集まっているが油分の浮きは無いという評価(△)があるものの、外観の変色は認められず、臭気は無かった。また、テトラヘキシルデカン酸Lーアスコルビル及びグリチルレチン酸ステアリル等の容易に変質する親油性成分についても、3ヶ月後の残存率が85%以上であり、本発明のカプセル入り化粧料では、容易に変質する親油性成分の分解、化粧料の変色、及び化粧料の臭気発生を防止できることが示された。中でも、化粧料の分散安定化剤にアルカシーランを配合した場合(実施例15)、カプセルの分散状態が保たれて油分の浮きは無く、外観の変色も認められず、異臭の発生も無く、最も安定であったことから、分散安定化剤としてアルカシーランを選択すると本発明の効果が、最も得られることが示された。それに対して、(C)油性成分と(D)容易に変質する親油性成分であるテトラヘキシルデカン酸Lーアスコルビルを内包しきれていないカプセルを用いた比較例3では、安定性は同等程度であったが、外観の変色が認められ、また、臭気の発生が有り、容易に変質する親油性成分の3ヶ月後の残存率が50%以下であった。同様に、(C)油性成分と(D)容易に変質する親油性成分であるグリチルレチン酸ステアリルを内包しきれていないカプセルを用いた比較例4では、安定性は同等程度であり、外観の変色も認められず、臭気の発生も無かったが、容易に変質する親油性成分の3ヶ月後の残存率が60%以下であった。また、比較例5では、臭気は無かったが、外観の変色が認められ、容易に変質する親油性成分の3ヶ月後の残存率が70%以下であった。比較例5は、高級アルコール、油性成分、多糖類及び容易に変質する親油性成分を含有する化粧料において、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有することによって安定な乳化状態が得られる化粧料であるが、その製造方法では、容易に変質する親油性成分を80℃にて加温溶解する工程があるため、該親油性成分が熱によって分解・変質したと判断される。
本発明の、容易に変質する親油性成分を内包したカプセルを利用することにより、該親油性成分を安定的に配合した化粧料が得られる。

Claims (6)

  1. (A)高分子ゲル化剤及び(B)水溶性多価金属塩により形成され、(C)油性成分、(D)容易に変質する親油性成分及び(E)少なくとも下記の一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類を含有した乳化分散液を内包することを特徴とするカプセル。
    Figure 2019131504
  2. 前記(A)高分子ゲル化剤が、カラギーナン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、グアーガム、アラビアガム、ジェランガムおよびその塩からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1記載のカプセル。
  3. 前記(D)容易に変質する親油性成分が、油性ビタミン、ビタミン誘導体、ビタミン前駆物質、補酵素、油性紫外線吸収剤、抗炎症剤及び不飽和脂肪酸からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載のカプセル。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させたことを特徴とするカプセル入り化粧料。
  5. (E)少なくとも下記の一般式(1)の繰り返し単位で表される多糖類及び(A)高分子ゲル化剤を含む水溶液を調製する工程と、前記水溶液に(C)油性成分及び(D)容易に変質する親油性成分を乳化分散させ乳化分散液を調製する工程と、前記乳化分散液を(B)水溶性多価金属塩の水溶液に滴下しカプセルを調製する工程と、を有することを特徴とするカプセルの製造方法。
    Figure 2019131504
  6. 請求項5記載の製造方法によって製造されたカプセルを、(F)分散安定化剤を含有する水溶液中に存在させる工程を有することを特徴とするカプセル入り化粧料の製造方法。
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