JP5686970B2 - 可塑化系および該系を含むタイヤ用のゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤトレッドの製造をとりわけ意図するゴム組成物に関する;本発明は、さらに詳細には、そのような組成物を可塑化するのに使用することのできる可塑化系に関する。
知られているように、タイヤトレッドは、低転がり抵抗性、高耐摩耗性並びに乾燥道路および湿潤道路双方上での高グリップ性のような多数の多くの場合相反する技術的要件を満たさなければならない。
諸性質における、とりわけ、転がり抵抗性および耐摩耗性の見地からのこの妥協は、近年、とりわけ乗用車用に意図するエネルギー節減性の“グリーンタイヤ”に関連して、補強用として説明されている特定の無機充填剤によって、とりわけ、補強力の点から、通常のタイヤ級カーボンブラックと対抗し得る高分散性シリカ(HDS)によって主として補強されていることを特徴とする新規な弱ヒステリシスゴム組成物の使用によって改善することができた。従って、今日、これらの補強用無機充填剤は、タイヤトレッドにおいてカーボンブラックと次第に置換わりつつあり、これらの補強用無機充填剤はもう1つの既知の特長、即ち、降雨、積雪または氷結道路上でのタイヤグリップ性を増進させるという特長を有するのでなおさらである。
しかしながら、グリップ性/耐摩耗性の妥協点の改善は、タイヤが、充填剤としてシリカまたはカーボンブラックを含むトレッドのいずれを含むにしろ、タイヤ設計者の不変の最大の関心事のままである。
タイヤトレッドの耐摩耗性および/またはグリップ性を増進させるために、例えば、特許または特許出願 US-A-3 927 144号、GB-A-2 178 046号、JP-A-61-190538号、JP-A-09-328577号、WO-A-91/18947号、WO-A-02/088238号、WO-A-02/072688号およびWO-A-02/072689号に記載されているように、とりわけ、そのゴム組成物中で可塑化用炭化水素樹脂を使用することが知られている。
上記の解決法に対する改良は、上記可塑化用炭化水素樹脂を他の特定の可塑剤と組合せることによって得られている。
とりわけ、タイヤトレッドの耐摩耗性をさらに増進させるために、MESまたはTDAEタイプの非芳香族オイルをポリリモネンのようなテルペン炭化水素樹脂またはC5留分/ビニル芳香族コポリマー炭化水素樹脂と組合せて含む可塑化系が提供されている(出願WO-A-2005/087859号およびWO-A-2006/061064号参照)。
実際上、研究の継続中に、本出願法人は、炭化水素樹脂とMESオイルとの組合せと比較して、タイヤの耐摩耗性をタイヤの湿潤グリップ性に悪影響を与えることなくさらに改良するのを可能にする、可塑化用炭化水素樹脂をベースとする新規な可塑化系を見出した。
従って、本発明の第1の主題は、少なくとも1種のジエンエラストマー、1種の補強用充填剤および1種の可塑化系を含むゴム組成物であり、上記可塑化系が、組合せて、下記を含むことを特徴とする:
‐ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い可塑化用炭化水素樹脂;および、
‐下記の式(I)に相応するトリ-またはピロメリット酸エステル:
Figure 0005686970
(式中、R基は、同一または異なるものであって、炭化水素基を示し;R'基は、水素またはCOOR基を示す)。
また、本発明は、それ自体、ジエンゴム組成物を可塑化するのに使用することができ、Tgが0℃よりも高い可塑化用炭化水素樹脂と式(I)の化合物を組合せて含む可塑化系、さらにまた、そのような系のタイヤジエンゴム組成物の可塑化における使用にも関する。
本発明のもう1つの主題は、改良された耐摩耗性を示すゴム組成物(この組成物はジエンエラストマー、補強用充填剤および可塑化系をベースとする)の製造方法であり、該方法は、下記の工程:
‐ジエンエラストマー中に、ミキサー内で、補強用充填剤、可塑化系を混入し、
全てを、1回以上、110℃〜190℃の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
‐混ぜ合せた混合物を100℃よりも低い温度に冷却する工程;
‐その後、架橋系を混入する工程;
‐全てを110℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
‐そのようにして得られたゴム組成物を押出加工またはカレンダー加工する工程;
を含み、そして、上記可塑化系が、少なくとも、下記を含むことを特徴とする:
‐ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い1種の可塑化用炭化水素樹脂;および、
‐上記の式(I)に相応するトリ-またはピロメリット酸エステル。
本発明のもう1つの主題は、本発明に従う組成物の、任意の自動車接地系、例えば、タイヤ、タイヤの内部安全支持体、車輪、ゴムスプリング、弾性接合部、他の懸架要素および振動ダンパーを意図するゴム製の最終物品または半製品の製造における使用である。
本発明の特定の主題は、本発明に従う組成物の、タイヤ類またはこれらのタイヤ用に意図するゴム製の半製品の製造における使用であり;これらの半製品は、好ましくは、トレッド、クラウン補強用プライ、側壁、カーカス補強用プライ、ビーズ、プロテクター、下地層、ゴムブロック、並びに他の内部ゴム類、とりわけタイヤの上記各領域間の結合または界面を与えることを意図するデカップリングゴムからなる群から選ばれる。
本発明のさらに特定の主題は、本発明に従う組成物の、タイヤトレッドの製造における使用である。
本発明のもう1つの主題は、本発明に従うトレッドを含むときのタイヤそれ自体および半製品、とりわけタイヤトレッドである。
本発明のタイヤは、とりわけ、乗用車、SUV (スポーツ用多目的車)類、二輪車(とりわけ、オートバイ)、航空機のような;バン類、重量車両(即ち、地下鉄、バス、重量道路輸送車両(トラック、トラクター、トレーラー)、または重量農業用車両もしくは地ならし機のような道路外車両)から選ばれる産業用車両;および、他の輸送または操作用車両のような自動車に装着することを意図する。
本発明およびその利点は、以下の説明および典型的な実施態様に照らして容易に理解し得るであろう。
I. 測定および試験
上記ゴム組成物は、以下で示すように、硬化の前後において特性決定する。
I-1. ムーニー可塑度
フランス規格NF T-43-005(1991年)に記載されているような振動(oscillating)稠度計を使用する。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って実施する:生状態(即ち、硬化前)の組成物を100℃に加熱した円筒状の室内で成形する。1分間の予熱後、ローターが試験片内で2回転/分で回転し、この運動を維持するための仕事トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー可塑度(ML 1 + 4)は、“ムーニー単位”(MU、1MU = 0.83ニュートン.メートル)で表す。
I-2. 流動度測定
測定は、規格DIN 53529:パート3 (1983年6月)従い、振動ディスクレオメーターにより150℃で実施する。時間の関数としての流動度測定トルクの変化によって、加硫反応の結果としての組成物の剛化の変化を説明する。測定値を規格DIN 53529:パート2 (1983年3月)従い処理する:tiは、誘導時間、即ち、加硫反応を開始するのに必要な時間であり;tα(例えば、t90)は、α%、即ち、最低トルクと最高トルクとの差のα%(例えば、90%)の転換を達成するのに必要な時間である。30%転換と80%転換の間で算出した最初の位数であり、加硫速度の評価を可能にするK(min-1として表す)として記録した転換速度定数も測定する。
I-3. ショアA硬度
硬化後の組成物のショアA硬度は、規格ASTM D 2240-86に従って評価する。
I-4. 引張試験
これらの試験は、弾性応力および破壊時諸特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF T 46-002に従って行う。“公称”割線モジュラス(即ち、MPaでの見掛け応力)または“真”の割線モジュラス(この場合試験片の真の断面まで減じる)を、10%伸び(それぞれ“M10”および“E10”と表す)、100%伸び(それぞれ“M100”および“E100”)および300%伸び(それぞれ“M300”および“E300”)において、2回目の伸びで(即ち、順応サイクル後に)測定する。これらの引張測定は、全て、フランス規格NF T 40-101 (1979年12月)に従い、温度(23±2℃)および湿度(50±5%相対湿度)の標準条件下において実施する。破壊応力(MPaでの)および破壊時伸び(%での)も23℃の温度で測定する。
I-5. 動的特性
動的特性は、規格ASTM D 5992-96に従って、粘度アナライザー(Metravib VA4000)において測定する。単純な交互正弦剪断応力に、10Hzの周波数で、40℃の温度で供した加硫組成物のサンプル(厚さ4mmおよび400mm2の断面積を有する円筒状試験片)の応答を記録する。歪み振幅掃引を、0.1%から50%まで行い(外方向サイクル)、次いで50%から1%まで行う(戻りサイクル);tan(δ)maxと表す損失係数の最高値を、戻りサイクルにおいて記録する。
I-6. タイヤに関する試験
A) 転がり抵抗性
転がり抵抗性は、ISO 87-67 (1992年)の方法に従い、試験ドラムにおいて測定する。任意に100と設定した対照の値よりも高い値が、改良された結果、即ち、低い転がり抵抗性を示す。
B) 耐摩耗性
タイヤを、特定の自動車において、走行による磨耗がトレッド溝内に位置させた磨耗指標に達するまで、実際の道路上走行に供する。任意に100と設定した対照の値よりも高い値が、改良された結果、即ち、高い走行マイレージを示す。
C) 湿潤グリップ性
湿潤グリップ性を評価するには、多数の屈曲部を有し且つ地面湿潤を保つように噴霧しているサーキット上での制限速度条件下での特定の自動車走行に適合させたタイヤの挙動を分析する。サーキット全体を走行するのに必要な最短時間を記録する。任意に100と設定した対照の値よりも高い値が、改良された結果、即ち、短い走行時間を示す。
II. 発明の詳細な説明
本発明に従うゴム組成物は、とりわけタイヤまたはタイヤトレッドの製造において使用することができ、少なくとも1種のジエンエラストマー、1種の補強用充填剤および1種の特定の可塑化系を含む。
特に明確に断らない限り、本特許出願において示すパーセントは質量%である。
II.1 ジエンエラストマー
用語“ジエン”エラストマーまたはゴムは、知られているとおり、ジエンモノマー類(共役型であり得るまたはあり得ない2個の炭素-炭素二重結合を担持するモノマー類)に少なくとも一部由来する1種(1種以上と理解すべきである)のエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
これらのジエンエラストマーは、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”または“本質的に飽和”に分類し得る。用語“本質的に不飽和”とは、一般に、15%(モル%)よりも多いジエン起源(共役ジエン類)の単位量を有する共役ジエンモノマー類に少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい;従って、例えば、ブチルゴムまたはジエン類とEPDMタイプのα-オレフィン類とのコポリマーのようなジエンエラストマーは、上述の定義に属さず、“本質的に飽和”のジエンエラストマー(常に15%未満である低いまたは極めて低いジエン起原単位量)として説明し得る。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、用語“高不飽和”ジエンエラストマーは、とりわけ、50%よりも多いジエン起源(共役ジエン類)の単位量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
これらの定義を考慮すると、本発明に従う組成物において使用することのできるジエンエラストマーなる用語は、とりわけ、下記を意味するものと理解されたい:
(a) 4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られた任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエン類相互或いは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られる任意のコポリマー;
(c) エチレンおよび3〜6個の炭素原子を有するα-オレフィンと6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーとの共重合によって得られる3成分コポリマー、例えば、エチレンおよびプロピレンと、とりわけ1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンのような上記タイプの非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマー;
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、とりわけ、塩素化または臭素化形。
上記用語は任意のタイプのジエンエラストマーに当てはまるけれども、タイヤ技術における熟練者であれば、本発明は、好ましくは、とりわけ上記のタイプ(a)または(b)の本質的に不飽和のジエンエラストマー類において使用するものであることを理解されたい。
以下のものは、共役ジエン類としてとりわけ適している:1,3-ブタジエン;2-メチル-1,3-ブタジエン;例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエンまたは2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエンのような2,3-ジ(C1〜C5アルキル)-1,3-ブタジエン類;アリール-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンまたは2,4-ヘキサジエン。以下のものは、例えば、ビニル芳香族化合物として適している:スチレン;オルソ-、メタ-およびパラ-メチルスチレン;“ビニルトルエン” 市販混合物;パラ-(tert.ブチル)スチレン;メトキシスチレン類;クロロスチレン類;ビニルメシチレン;ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
上記のコポリマー類は、99〜20質量%のジエン単位と1〜80質量%のビニル芳香族単位を含有し得る。これらのエラストマーは、使用する重合条件、とりわけ、変性剤および/またはランダム化剤の存在または不存在並びに使用する変性剤および/またはランダム化剤の量に依存する任意のミクロ構造を有し得る。これらのエラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得;分散液または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤(star-branching agent)或いは官能化剤によってカップリング化および/または星型枝分れ化或いは官能化し得る。
以下が適切である:ポリブタジエン類、とりわけ、4%〜80%の1,2-単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン類または80%よりも多いシス-1,4-単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン類;ポリイソプレン類;ブタジエン/スチレンコポリマー類、とりわけ、5質量%〜50質量%とりわけ20質量%〜40質量%のスチレン含有量、4%〜65%のブタジエン成分1,2-結合含有量(モル%)および20%〜80%のトランス-1,4結合含有量(モル%)を有するコポリマー類;ブタジエン/イソプレンコポリマー類、とりわけ、5質量%〜90質量%のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のガラス転移温度(Tg、ASTM規格 D3418に従って測定)を有するコポリマー類;または、イソプレン/スチレンコポリマー類、とりわけ、5%〜50質量%のスチレン含有量および−25℃〜−50℃のTgを有するコポリマー類。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマー類の場合、5質量%〜50質量%とりわけ10質量%〜40質量%のスチレン含有量、15質量%〜60質量%とりわけ20質量%〜50質量%のイソプレン含有量、5質量%〜50質量%とりわけ20質量%〜40質量%のブタジエン含有量、4%〜85%のブタジエン成分1,2-単位含有量(モル%)、6%〜80%のブタジエン成分トランス-1,4単位含有量(モル%)、5%〜70%のイソプレン成分1,2-+3,4-単位含有量(モル%)および10%〜50%のイソプレン成分トランス-1,4単位含有量(モル%)を有するコポリマー類、さらに一般的には、−20℃〜−70℃のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが、とりわけ適している。
要するに、本発明に従う組成物のジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(“BR”と略記する)類、合成ポリイソプレン(IR)類、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー類、イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマー類のブレンドからなる高不飽和ジエンエラストマーの群から選択する。そのようなコポリマー類は、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)類、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)類、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)類およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)類からなる群から選択する。
特定の実施態様によれば、ジエンエラストマーは、主として(即ち、50pceよりも多くにおいて)、SBR(エマルジョン中で調製したSBR (“ESBR”)または溶液中で調製したSBR (“SSBR”)のいずれか)、或いはSBR/BR、SBR/NR(またはSBR/IR)、またはBR/NR(またはBR/IR)ブレンド(混合物)である。SBRエラストマーの場合は、とりわけ、20質量%〜30質量%のスチレン含有量、15%〜65%のブタジエン成分ビニル結合含有量、15%〜75%のトランス-1,4結合含有量(モル%)および−20℃〜−55℃のTgを有するSBRを使用する;そのようなSBRは、有利には、好ましくは90%(モル%)よりも多いシス-1,4結合を有するBRとのブレンドとして使用し得る。
もう1つの特定の実施態様によれば、ジエンエラストマーは、主として(50pceよりも多くにおいて)、イソプレンエラストマーである。これは、とりわけ、本発明の組成物を、タイヤにおいて、ある種のトレッド類(例えば、産業用車両)、クラウン補強用プライ(例えば、作動プライ、保護プライまたはフーピングプライ)、カーカス補強用プライ、側壁、ビーズ、プロテクター、下地層、ゴムブロック、およびタイヤの上記領域間の界面を提供する他の内部ゴムのゴムマトリックスを構成させることを意図する場合である。
用語“イソプレンエラストマー”は、知られているとおり、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、各種イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマーのブレンドからなる群から選ばれたジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。イソプレンコポリマーのうちでは、とりわけ、イソブテン/イソプレンコポリマー(ブチルゴム;IIR)類、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)類、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)類またはイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)類が挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス-1,4ポリイソプレンである;これらの合成ポリイソプレンのうちでは、好ましくは90%よりも多い、より好ましくは98%よりも多いシス-1,4結合量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。
もう1つの特定の実施態様によれば、とりわけ、本発明をタイヤ側壁またはチューブレスタイヤの気密内部ゴム(または、他の空気不透過性部材)として意図する場合、本発明に従う組成物は、少なくとも1種の本質的に飽和のジエンエラストマー、とりわけ、少なくとも1種のEPDMコポリマーまたは1種のブチルゴム(必要に応じて塩素化または臭素化した)を、これらのコポリマーが単独でまたは上述したような高不飽和ジエンエラストマー、とりわけNRまたはIR、BRまたはSBRとのブレンドとして使用されるかどうかにかかわらず含み得る。
もう1つの好ましい本発明の実施態様によれば、上記ゴム組成物は、−65℃〜−10℃のTgを示す(1種以上)の“高Tg”ジエンエラストマーと、−110℃〜−80℃、より好ましくは−105℃〜−90℃のTgを示す(1種以上)の“低Tg”ジエンエラストマーとのブレンドを含む。高Tgエラストマーは、好ましくはS-SBR、E-SBR、天然ゴム、合成ポリイソプレン(好ましくは95%よりも多いシス-1,4-構造量(モル%)を示す)、BIR、SIR、SBIRおよびこれらエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる。低Tgエラストマーは、好ましくは少なくとも70%に等しい量(モル%)に従うブタジエン単位を含み;低Tgエラストマーは、好ましくは、90%よりも多いシス-1,4-構造量(モル%)を示すポリブタジエン(BR)からなる。
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、上記ゴム組成物は、例えば、30〜100pce、とりわけ50〜100pceの高Tgエラストマーを、0〜70pce、とりわけ0〜50pceの低Tgエラストマーとのブレンドとして含む;もう1つの例によれば、上記ゴム組成物は、100pceの全体において、1種以上の溶液中で調製したSBRを含む。
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、本発明に従う組成物のジエンエラストマーは、90%よりも多いシス-1,4-構造量(モル%)を示すBR(低Tgエラストマーとして)とS-SBRまたはE-SBR(高Tgエラストマーとして)とのブレンドを含む。
本発明の組成物は、単独のジエンエラストマーまたは数種のジエンエラストマーのブレンドを含み得、これら単独または複数のジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと、実際にはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーとさえ組合せ使用することが可能である。
II-2. 補強用充填剤
タイヤ類の製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの補強用充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、シリカのような補強用無機充填剤、またはこれら2つのタイプの充填剤のブレンド、とりわけカーボンブラックとシリカとのブレンドを使用することができる。
全てのカーボンブラック、とりわけ、タイヤにおいて通常使用されるHAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。さらに詳細には、後者のうちでは、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラック類のような100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類(ASTM級)を、さらにまた、目標とする用途次第で、より高級シリーズのブラック類(例えば、N660、N683またはN722)も挙げることができる。カーボンブラックは、マスターバッチの形で、イソプレンエラストマー中にすでに混入させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO-A-2006/069792号およびWO-A-2006/069793号に記載されているような官能化ポリビニル芳香族有機充填剤を挙げることができる。
用語“補強用無機充填剤”とは、本特許出願においては、定義により、カーボンブラックに対比して“白色充填剤”、“透明充填剤”または“非黒色充填剤”としてさえも知られており、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤ製造を意図するゴム組成物を補強し得、換言すれば、通常のタイヤ級カーボンブラックとその補強役割において置換わり得る、その色合およびその起源(天然または合成)の如何にかかわらない任意の無機または鉱質充填剤を意味するものと理解すべきである;そのような充填剤は、一般に、知られているとおり、その表面でのヒドロキシル(-OH)基の存在に特徴を有する。
補強用無機充填剤を供給する物理的状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な濃密化形のいずれの形状であれ重要ではない。勿論、補強用無機充填剤なる用語は、種々の補強用無機充填剤、とりわけ、下記で説明するような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤の混合物を意味することも理解されたい。
シリカ質タイプの鉱質充填剤、とりわけシリカ(SiO2)、またはアルミナ質タイプの鉱質充填剤、とりわけアルミナ(Al2O3)が、補強用無機充填剤としてとりわけ適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、とりわけ、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/gであるBET表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降または焼成シリカであり得る。高分散性(“HD”)沈降シリカとしては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi-Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;または、出願 WO 03/16837号に記載されているような高比表面積を有するシリカ類が挙げられる。
本発明の組成物を、低転がり抵抗性を有するタイヤトレッド用に意図する場合、使用する補強用無機充填剤は、とりわけシリカである場合、好ましくは45〜400m2/g、より好ましくは60〜300m2/gのBET表面積を有する。
好ましくは、補強用充填剤全体(カーボンブラックおよび/またはシリカのような補強用無機充填剤)の量は、20〜200pce、より好ましくは30〜150pceであり、最適量は、知られている通り、目標とする特定の用途によって異なる:例えば、自転車タイヤに関して期待される補強レベルは、継続的に高速走行し得るタイヤ、例えば、モーターサイクルタイヤ、乗用車用タイヤ、または重量車両のような実用車両用タイヤに関して要求される補強レベルよりも勿論低い。
本発明の好ましい実施態様によれば、30〜150pce、より好ましくは50〜120pceの無機充填剤、とりわけシリカおよび任意構成成分としてのカーボンブラックを含む補強用充填剤を使用する;カーボンブラックは、存在する場合、好ましくは20pce未満、より好ましくは10pce未満(例えば、0.1〜10pce)の量で使用する。
補強用無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングさせるためには、知られている通り、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学および/または物理的性質の十分な結合を与えることを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)、とりわけ、二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
とりわけ、例えば、出願 WO03/002648号(またはUS 2005/016651号)およびWO03/002649号(またはUS 2005/016650号)に記載されているような、その特定の構造によって“対称形”または“非対称形”と称されるシランポリスルフィドを使用する。
下記の一般式(III)に相応する“対称形”シランポリスルフィドは、以下の定義に限定されることなく、とりわけ適している:
(III) Z-A-Sx-A-Z
(式中、xは、2〜8 (好ましくは2〜5)の整数であり;
Aは、2価の炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、とりわけC1〜C10、とりわけC1〜C4アルキレン基、特にプロピレン)であり;
Zは、下記の式の1つに相応する:
Figure 0005686970
(式中、R1基は、置換されているかまたは置換されてなくて、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキルまたはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、とりわけC1〜C4アルキル基、とりわけメチルおよび/またはエチル)を示し;
R2基は、置換されているかまたは置換されてなくて、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルコキシルまたはC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくは、C1〜C8アルコキシルおよびC5〜C8シクロアルコキシル基から選ばれた、より好ましくはC1〜C4アルコキシル基、とりわけメトキシルおよびエトキシルから選ばれた基)を示す)。
上記式(III)に相応するアルコキシシランポリスルフィド類の混合物、とりわけ、商業的に入手可能な通常の混合物の場合、“x”指数の平均値は、好ましくは2〜5の間、より好ましくは4に近い分数である。しかしながら、本発明は、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x = 2)によっても有利に実施し得る。
シランポリスルフィドの例としては、とりわけ、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド類のような、ビス((C1〜C4)アルコキシル(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド類(とりわけ、ジスルフィド類、トリスルフィド類またはテトラスルフィド類)が挙げられる。とりわけ、これらの化合物のうちでは、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2を有するTESPTと略称されるビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2を有するTESPDと略称されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを使用する。また、好ましい例としては、特許出願WO 02/083782号(または、US 2004/132880号)に記載されているような、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド類(とりわけ、ジスルフィド類、トリスルフィド類またはテトラスルフィド類)、とりわけ、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドも挙げられる。
アルコキシシランポリスルフィド類以外のカップリング剤としては、とりわけ、特許出願WO 02/30939号(またはUS 6 774 255号)およびWO 02/31041号(またはUS 2004/051210号)に記載されているような、二官能性POS (ポリオルガノシロキサン)類またはヒドロキシシランポリスルフィド(上記式(III)において、R2 = OH)が挙げられる。
本発明に従うトレッドのゴム組成物においては、カップリング剤の含有量は、好ましくは4〜12pce、より好ましくは3〜8pceである。
当業者であれば、もう1つの性質、とりわけ有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面上に、充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位(とりわけ、ヒドロキシル)を含むかを条件として、この項において説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として使用し得ることを理解されたい。
II-3. 可塑化系
本発明のゴム組成物は、下記で詳述するように、Tgが0℃よりも高い可塑化用炭化水素樹脂と式(I)に相応するトリ-またはピロメリット酸エステルとを組合せて含む可塑化系を使用するという本質的な特徴を有する。
II-3-A. 可塑化用炭化水素樹脂
当業者にとっては知られている通り、名称“可塑化用樹脂”は、本特許出願においては、定義によれば、一方では、周囲温度(23℃)で固体であり(オイルのような液体可塑化用化合物とは対照的に)、他方では、意図するゴム組成物と相溶性であって(即ち、典型的には5pceよりも多い使用量において混和性であって)真の希釈剤として作用する化合物について当てはまる。
炭化水素樹脂は、当業者にとって周知のポリマーであり、“可塑化用”であるとして付加的に説明される場合、ジエンエラストマー組成物中で本来混和性である。
炭化水素樹脂は、本明細書の序論において触れた特許および特許出願において、さらにまた、例えば、R. Mildenberg、M. ZanderおよびG. Collin (New York, VCH, 1997, ISBN 3-527-28617-9)による“Hydrocarbon Resins”と題した著作物(その第5章は、とりわけタイヤゴム分野の用途に充てられている(5.5. "Rubber Tires and Mechanical Goods"))において広範囲に説明されている。
炭化水素樹脂は、脂肪族または芳香族であり得或いは脂肪族/芳香族タイプでもあり得る、即ち、脂肪族および/または芳香族モノマーをベースとし得る。炭化水素樹脂は、天然または合成であり得、オイル系であっても或いはなくてもよい(その場合、石油樹脂の名称でも知られている)。炭化水素樹脂は、好ましくは、専ら炭化水素である、即ち、炭化水素樹脂は、炭素および水素原子のみを含む。
好ましくは、可塑化用炭化水素樹脂は、下記の特徴の少なくとも1つ、より好ましくは全部を示す:
・20℃よりの高いTg;
・400〜2000g/モルの数平均分子量(Mn);
・3よりも低い多分散性指数(PI) (注:PI = Mw/Mn;Mwは質量平均分子量)。
さらに好ましくは、この可塑化用炭化水素樹脂は、下記の特徴の少なくとも1つ、さらにより好ましくは全部を示す:
・30℃よりの高いTg;
・500〜1500g/モルのMn;
・2よりも低いPI。
ガラス転移温度(Tg)は、規格ASTM D3418 (1999年)に従い、DSC (示唆走査熱量測定法)により既知の方法で測定する。
上記炭化水素樹脂のマクロ構造(Mw、MnおよびPI)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定する:溶媒 テトラヒドロフラン;温度 35℃;濃度 1g/l;流量 1ml/分;注入前に0.45μmの有孔度を有するフィルターにより濾過した溶液;ポリスチレン標準によるムーア(Moore)較正;直列の3本“Waters”カラムセット(“Styragel” HR4E、HR1およびHR0.5);示差屈折計(“Waters 2410”)およびその関連操作ソフトウェア(“Waters Empower”)による検出。
とりわけ好ましい実施態様によれば、上記可塑化用炭化水素樹脂は、シクロペンタジエン(CPDと略記する)またはジシクロペンタジエン(DCPDと略記する)のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマーまたはコポリマー樹脂、およびこれらの樹脂のブレンドからなる群から選ばれる。
好ましくは、上記のコポリマー樹脂のうちでは、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂のブレンドからなる群から選ばれるコポリマーを使用する。
用語“テルペン”は、この場合、知られている通り、α-ピネンモノマー、β-ピネンモノマーおよびリモネンモノマーを包含する;好ましくは、リモネンモノマーを使用する;この化合物は、知られている通り、3種の可能性ある異性体の形で存在する:L-リモネン(左旋性鏡像体)、D-リモネン(右旋性鏡像体)或いはジペンテン、右旋性鏡像体および左旋性鏡像体のラセミ体。
スチレン;α-メチルスチレン;オルソ-、メタ-またはパラ-メチルスチレン;ビニルトルエン;パラ(tert-ブチル)スチレン;メトキシスチレン類;クロロスチレン類、ビニルメシチレン;ジビニルベンゼン;ビニルナフタレン;またはC9留分(または、より一般的にはC8〜C10留分)に由来する任意のビニル芳香族モノマーは、例えば、ビニル芳香族モノマーとして適切である。好ましくは、ビニル芳香族化合物は、スチレンまたはC9留分(または、より一般的にはC8〜C10留分)に由来するビニル芳香族モノマーである。好ましくは、ビニル芳香族化合物は、検討中のコポリマー中では、モル画分として表して少量モノマーである。
さらにとりわけ好ましい実施態様によれば、上記可塑化用炭化水素樹脂は、(D)CPDホモポリマー樹脂、(D)CPD/スチレンコポリマー樹脂、ポリリモネン樹脂、リモネン/スチレンコポリマー樹脂、リモネン/(D)CPDコポリマー樹脂、C5留分/スチレンコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂のブレンドからなる群から選ばれる。
上記の好ましい樹脂は、当業者にとって周知であり、商業的に入手可能であり、例えば、下記に関しては販売されている:
・ポリリモネン樹脂:DRT社から品名“Dercolyte L120”(Mn=625g/モル;Mw=1010g/モル;PI=1.6;Tg=72℃)として、またはArizona Chemical Company社から品名“Sylvagum TR7125C”(Mn=630g/モル;Mw=950g/モル;PI=1.5;Tg=70℃)として;
・C5留分/ビニル芳香族、とりわけ、C5留分/スチレンまたはC5留分/C9留分コポリマー樹脂:Neville Chemical Company社から品名“Super Nevtac 78”、“Super Nevtac 85”または“Super Nevtac 99”として、Goodyear Chemicals社から品名“Wingtack Extra”として、Kolon社から品名“Hikorez T1095”および“Hikorez T1100”として、またはExxon社から品名“Escorez 2101”および“ECR 373”として;
・リモネン/スチレンコポリマー樹脂:DRT社から品名“Dercolyte TS 105”として、またはArizona Chemical Company社から品名“ZT115LT”および“ZT5100”として。
炭化水素樹脂の量は、好ましくは、5〜60pceである。上記下限値よりも低いと、目標とする技術的効果が不適切であることが判明し得ており、一方、60pceよりも多いと、生状態の組成物の粘着性が、混合装置に対して、ある場合には、工業的見地から全く許容し得なくなり得る。これらの理由により、炭化水素樹脂の量は、より好ましくは5〜40pce、さらにより好ましくは10〜30pceである。
II-3-B. トリ-またはピロメリット酸エステル
本発明の可塑化系のトリ-またはピロメリット酸エステルは、下記の式(I)に相応する:
Figure 0005686970
(式中、R基は、同一または異なるものであって、好ましくは1〜30個の炭素原子を有し、且つ、とりわけS、OおよびNから選ばれるヘテロ原子を含み得る任意の炭化水素基(または鎖)を示し;
R'基は、水素(トリメリット酸の場合)またはCOOR基(ピロメリット酸の場合)を示す)。
式(I)のトリ-またはピロメリット酸エステルは、プラスチックおよび各種の他のポリマー用の可塑剤として知られている。これらのエステルは、“Oils, Plasticizers and Other Rubber Chemicals”なる論文(chapter 8, section 8.2, pages 132-137, of Basic Rubber Testing (2003), Ed. Dick, John S., Publisher - ISBN: 0-8031-3358-8) に詳細に記載されており、さらにまた、いずれもタイヤゴム組成物に関する特許出願US-A-4 287 928号、EP-A-1 632 364号およびWO-A-02/088238号においては、他の可能性ある可塑剤の中で全く同等に簡単に触れられている。
しかしながら、本出願法人の知る限り、上記式(I)のエステル類は、とりわけそのようなゴム組成物においては、可塑化用炭化水素樹脂と組合せては決して使用されていない。
好ましくは、R基は、1〜30個の炭素原子を含む線状、枝分れまたは環状アルキルおよび6〜30個の炭素原子を含むアリール、アラルキルまたはアルカリルからなる群から選ばれる。
より好ましくは、R基は、1〜20個、さらにより好ましくは1〜15個の炭素原子を含む線状、枝分れまたは環状アルキル基を示す。
1〜15個の炭素原子を含むそのような好ましいR基の例としては、例えば、メチル、エチル、ブトキシエトキシエチル、ブトキシエトキシエチル、プロピル、プロペニル、ブチル、イソブチル、ジブチル、ジイソブチル、ベンジルブチル、ヘプチル、ヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、ベンジルオクチル、ジオクチル、ジイソオクチル、ノニル、イソノニル、エチルノニル、イソデシル、ジイソデシル、トリデシルまたはオクチルデシル基を挙げることができる。
好ましくは、下記の式(II)のトリメリット酸を使用する:
Figure 0005686970
(式中、R基は、同一または異なるものであって、1〜20個、より好ましくは1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基を示す)。
相応する好ましい分子量は、典型的には、252〜1051g/モル、より好ましくは252〜841g/モルの範囲内に含まれる。
そのような好ましいトリメリテートは、商業的に入手可能である:そのようなトリメリテートは、PVCのような硬質プラスチックの可塑化用として本質的に開発されてきた。例えば、Exxon Mobil社から販売されている“Jayflex”シリーズのトリメリテート類、とりわけ、トリメリテート“Jayflex TIOTM”(式IIにおいてR = C8H17)または“Jayflex TINTM”(式IIにおいてR = C9H19)を挙げることができる。
式(II)のこれらトリメリテートの他の例としては、BASF社からの“Palatinol”シリーズの可塑剤、例えば、“TOTM”(R = C8H17)、“TNTM”(R = C9H19)または“79TM-I”(トリエチルノニル);CP HALL社からの“Plasthall”;またはLonza社からの“Diplast”を挙げることができる。
とりわけ、共にRがC8H17基を示す式(II)のトリメリット酸トリオクチル(“TOTM”と略記する;または、トリメリット酸トリ(2-エチルヘキシル))またはトリメリット酸トリイソオクチル(“TIOTM”と略記する)、或いはこれら2つの化合物TOTMとTIOTMとの混合物を使用する。
本発明のゴム組成物においては、トリ-またはピロメリテートの量は、好ましくは、5〜60pceである。上記下限値よりも低いと、目標とする技術的効果が不適切であることが判明し得ており、一方、60pceよりも多いと、本発明の組成物をこれらタイヤトレッドに使用する場合、タイヤのグリップ性低下のリスクが存在する。これらの理由により、トリ-またはピロメリテートの量は、より好ましくは5〜40pce、さらにより好ましくは10〜30pceである。
本発明のゴム組成物中の本発明に従う可塑化系の全体量に関しては、その量は、好ましくは10〜100pce、より好ましくは20〜80pce(とりわけ20〜50pce)である。
本項において説明したトリ-またはピロメリテートは、全て周囲温度(23℃)において液体である。トリ-またはピロメリテートは、典型的には、−80℃よりも低いTgを示す。従って、本発明の特定の実施態様によれば、トリ-またはピロメリテートは、本発明のゴム組成物中に存在するジエンエラストマーの増量オイルとして全部または一部使用し得る。
II-4. 各種添加剤
また、本発明に従うゴム組成物は、例えば、他の可塑剤(本発明の可塑化系以外)、好ましくは非芳香族または極めて僅かに芳香族系の可塑剤、例えば、ナフテン系またはパラフィン系オイル、MESまたはTDAEオイル、グリセリンエステル(とりわけ、トリオレート)、とりわけナタネまたはヒマワリ植物油のような天然エステル;顔料;オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;疲労防止剤;補強用樹脂;メチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M);イオウまたはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドをベースとする架橋系;加硫促進剤;加硫活性化剤または戻り防止剤のような、タイヤまたはタイヤ用の半製品の製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の全部または1部を含み得る。
また、これらの組成物は、カップリング剤以外に、カップリング活性化剤、無機充填剤の被覆用の薬剤、またはゴムマトリックス中での充填剤の分散性の改善および組成物の粘度の低下により、公知の方法で、生状態における組成物の加工特性を改善することのできるより一般的な加工助剤も含有し得、これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シラン類;ポリオール類;ポリエーテル類;第1級、第2級または第3級アミン類;または、ヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサン類である。
II-5. ゴム組成物の製造
上記組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の2つの連続する製造段階、即ち、110℃〜190℃、好ましくは130℃〜180℃の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階)、並びに、その後の典型的には110℃よりも低い、例えば、40℃〜100℃の低めの温度で機械加工する第2段階(“生産”段階)を使用して製造し、この仕上げ段階において架橋系を混入する。
とりわけ改良された耐摩耗性を示すゴム組成物を製造する本発明に従う方法は、下記の工程:
‐ジエンエラストマー中に、第1段階(“非生産”段階)において、少なくとも1種の補強用充填剤および1種の可塑化系を混入し、全てを、1回以上、110℃〜190℃の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
‐混ぜ合せた混合物を100℃よりも低い温度に冷却する工程;
‐その後、第2段階(“生産”段階)において、架橋系を混入する工程;
‐全てを110℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
を含み、そして、上記可塑化系が、Tgが0℃よりも高い可塑化用炭化水素樹脂と上記の式(I)に相応するトリ-またはピロメリテート、好ましくは上記式(II)に相応するトリメリテート(式中、Rは、同一または異なるものであって、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を示す)とを組合せて含むことを特徴とする。
例えば、上記非生産段階は、1回の熱機械段階で実施し、その間に、第1工程において、全ての必須ベース成分(ジエンエラストマー、補強用充填剤およびカップリング剤、必要に応じての可塑化系)を、通常の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入し、次いで、第2工程において、例えば1〜2分後の混練後、架橋系を除いた他の添加剤、任意構成成分としてのさらなる被覆剤および加工助剤を導入する。そのようにして得られた混合物を冷却した後、その場合は、架橋系を開放ミルのような開放ミキサー内に導入し、低温(例えば、40℃〜100℃)に維持する。その後、混ぜ合せた混合物を、数分間、例えば、2〜15分間混合する(生産段階)。
架橋系は、好ましくは、イオウおよび促進剤をベースとする加硫系である。イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、とりわけ、2-メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(“MBTS”と略記する)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”と略記する)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”と略記する)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”と略記する)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”と略記する)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる化合物を使用し得る。好ましくは、スルフェンアミドタイプの一次促進剤を使用する。
さらに、この加硫系には、各種既知の二次促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(とりわけ、ジフェニルグアニジン)等を、上記第1非生産段階中および/または上記生産段階中に混入する。本発明の組成物をタイヤトレッドとして使用する場合、イオウの量は、例えば、0.5〜3.0pceであり、また、一次促進剤の量は、0.5〜5.0pceである。
その後、そのようにして得られた最終組成物を、とりわけ実験室での特性決定のためのシートまたはプラークの形にカレンダー加工するか、或いは例えば、乗用車用のタイヤトレッドとして使用し得るゴム形状要素の形に押出加工する。
加硫(即ち硬化)は、公知の方法で、一般的には130℃〜200℃の温度で、とりわけ硬化温度、使用する加硫系および検討中の当該組成物の加硫速度に応じて、例えば、5〜90分で変動し得る十分な時間で実施する。
本発明は、“生”状態(即ち、硬化前)および“硬化”または加硫状態(即ち、加硫後)双方の上述のゴム組成物に関する。
III. 本発明の実施例
III-1. ゴム組成物およびトレッドの製造
下記の試験を、以下の方法で実施する:加硫系を除いた、補強用充填剤、カップリング剤、可塑化系、ジエンエラストマーおよび各種他の成分を、70%まで満たし且つ約60℃の初期容器温度を有する密閉ミキサーに連続的に導入する。その後、熱機械加工(非生産段階)を1段階で実施し、この段階は、165℃の最高“落下”温度に達するまで合計で約3〜4分間続く。
そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、その後、イオウおよびスルフェンアミドタイプの促進剤を30℃の開放ミキサー(ホモ・フィニッシャー)において混入し、混ぜ合せた混合物を適切な時間(例えば、5〜12分間)混合する(生産段階)。
そのようにして得られた組成物を、その後、その物理的または機械的性質の測定のためのゴムのプラーク(2〜3mm厚)または薄シートの形にカレンダー加工するか、或いは乗用車タイヤ用のトレッドの形に押出加工する。
III-2. ゴム試験およびタイヤ走行試験
これらの試験の目的は、従来技術の2種の対照組成物との比較において、本発明に従うゴム組成物の改良された性能を実証することである。
このために、シリカおよびカーボンブラックで補強したジエンエラストマー(SSBRとBRとのブレンド)をベースとするC-1およびC-2と記す2種の組成物を製造する。2種の組成物は、トレッドの製造およびこれらのトレッドを含むタイヤでの走行試験の実施を可能にするのに十分に大きいミキサー内で製造する。
試験する2種の組成物は、第1の可塑剤としての同一の可塑化用炭化水素樹脂(ポリリモネン)と第2の可塑剤としての2つの他のタイプの化合物とを組合せて含む使用可塑化系以外は同一である。
‐組成物C-1:ポリリモネン樹脂+MESオイル;
‐組成物C-2:ポリリモネン樹脂+トリメリテート。
本明細書の序論において説明しているように、組成物C-1は、耐磨耗性の点でのその優れた性能の裏付けをさらになお提供している本出願法人における参照組成物である。MES(“軽度抽出溶媒和物(Medium Extracted Solvates)”)オイルは、DAE(“留出芳香族抽出物(Distillate Aromatic Extracts)”)オイルの名称で知られている高レベルの芳香族物質を含む通常の石油系芳香族オイルとの比較において、極めて低レベルのポリ芳香族物質(ほぼ20〜50倍低い)に特徴を有する“非芳香族”タイプのオイルである。
従って、本発明に従う可塑化系を含む組成物C-2は、それ自体本発明に従う。
表1および2は、上記2種の組成物の構成(表1:“pce”即ちエラストマー(1種以上)の100質量部当りの質量部で表した各種成分量)および硬化(150℃で30分)前後のこれら組成物の諸性質を示している;加硫系は、イオウおよびスルフェンアミドからなる。
表2における各種結果を検証すると、測定した諸ゴム特性は、硬化前後において、組成物間で互いに実質的に同等であることが示されている。
従って、これらのゴム特性においては、下記で詳細に説明するように、本発明の組成物において観察されている改良された性能を当業者が予測するのを可能にするものは何もなかった。
その後、2種の組成物を、通常に製造し、トレッドの構成ゴム組成物、即ち、対照タイヤ(T-1と記す)用の組成物C-1並びに本発明のタイヤ(T-2と記す)用の組成物C-2は別にして全ての点で同一である、195/65 R15のサイズ(速度格付け H)を有するラジアルカーカス乗用車タイヤのトレッドとして試験した。
各タイヤを、前出の項I-6の説明に従って試験した(グリップ試験においては“Renault Laguna”車;耐摩耗性試験においては“Mercedes C200”車)。
得られた回転結果は、下記の表3に示している。
上記の結果は、本発明のタイヤT-2が、耐磨耗の基準に関しての参照を構成さえしているT-1タイヤおよびその可塑化系(ポリリモネン+MESオイル) (前出の出願WO-A-2005/087859号参照)に対して極めて有意に増強された(+7%)耐摩耗性によって、諸性質の最良の妥協点を提供していることを明白に実証している。この改良が、他の性質、とりわけ、湿潤グリップ性に対して悪影響を及ぼすことなく得られていることは、特筆すべきことである。
他の対照タイヤ(T-3)を、ポリリモネン樹脂とエステル可塑剤群のもう1つの可塑剤、この場合、例えば、前出の出願WO-A02/088238号に記載されているようなオレイン酸アルキル(CP HALL社からの“Plasthall 7049”)とを組合せて使用することによって製造した。
耐磨耗試験は、本発明に従うT-2タイヤにおいては、T-3タイヤと比較して17%高い耐摩耗性を示しており、同一の可塑化用炭化水素樹脂の存在下でのエステルタイプの他の可塑剤を上回る上記トリメリテート可塑剤の優位性を完全に確証している。
結論として、本発明の新規な可塑化系は、タイヤゴム組成物に、他の特性とりわけ湿潤グリップ特性に悪影響を及ぼすことなく改良された耐摩耗性でもって諸性質のとりわけ有利な妥協点を提供している。
表1
Figure 0005686970
(1) 25%のスチレン、64%の1,2-ポリブタジエン単位および25%のトランス-1,4-ポリブタジエン単位を含むSSBR (Tg = -18℃);
(2) 4.3%の1,2-、2.7%のトランス-1,4-、93%のシス-1,4-を含むBR (Tg = -106℃);
(3) Rhodia社からのシリカ“Zeosil 1165MP”、“HDS”タイプ (BETおよびCTAB:約160 m2/g);
(4) カップリング剤 TESPT (Rhodia社からの“Si69”);
(5) カーボンブラックN234 (ASTM級);
(6) ポリリモネン樹脂(DRT社からの“Dercolyte L120”)
(7) MESオイル (Shell社からのCatenex SNR);
(8) トリメリット酸トリオクチル(Lonza社からの“Diplast TM/ST”);
(9) ジフェニルグアニジン (Flexsys社からの“Perkacit DPG”)
(10) N-(1,3-ジメチルブチル)-N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン (Flexsys社からの“Santoflex 6-PPD”);
(11) CBS (Flexsys社からの“Santocure)
表2
Figure 0005686970
表3
Figure 0005686970
(100よりも高い値が、基礎点100の対照T-1と対比して改良された性能を示す)。

Claims (7)

  1. 少なくとも1種のジエンエラストマー、1種の補強用充填剤および1種の可塑化系を含み;前記可塑化系が、下記を含むことを特徴とするタイヤに使用するためのゴム組成物: ‐ガラス転移温度(Tg)が0℃よりも高い可塑化用炭化水素樹脂;および、
    ‐下記の式(I)に相応するトリメリテート
    Figure 0005686970
    (式中、R基は、同一または異なるものであって、8個の炭素原子を含む線状または枝分れのアルキル基を示し;R'基は、水素示す)。
  2. 前記トリメリテートが、トリメリット酸トリオクチル(TOTM)、トリメリット酸トリイソオクチル(TIOTM)およびこれら化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項記載のゴム組成物。
  3. 前記トリメリテートの量が、5〜60pce(エラストマー100質量部当りの質量部)である、請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. 前記可塑化用炭化水素樹脂が、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマーまたはコポリマー樹脂、およびこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記可塑化用炭化水素樹脂の量が、5〜60pce(エラストマー100質量部当りの質量部)である、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  6. 前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、合成ポリイソプレン、天然ゴム、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載のゴム組成物を含むトレッドを有するタイヤ。
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