JP5683849B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
そのような部分に使用されるレジストとしては、マスクを通して感光すると、光が照射された部分のみが固まり、現像により未露光部が剥離されるいわゆるネガ型レジストが多用されている。
液晶表示装置技術においては、カラーフィルターの着色層と透明電極層の両層間にカラーフィルターの着色層の保護および平坦化のために、カラーフィルター用保護膜と呼ばれる樹脂がコーティングされている。
例えば、半透過型液晶表示装置の場合、カラーフィルター保護膜用の感光性樹脂を用い、部分的なパターン露光、現像というフォトリソグラフィー法により、保護膜の膜厚差を設け、反射表示部の液晶層間の厚さを透過表示部の液晶層間の厚さの半分にすることで透過表示部と反射表示部の光路長を同一にし、最適な光学特性を得る技術が知られている。
併せて、基板とカラーフィルター保護膜との接地面積が小さくなってきたことから、さらなる密着性と弾性回復特性が要求されてきている。
しかしながら、密着性を改善しようとすると弾性回復特性が低下することが知られている。
そのため、従来使用されていたガラス基板に変わり、樹脂性の基板を使用する試みがなされてきている。
樹脂基板の変形や黄変を避け、かつ製造コストを下げるために、保護膜形成工程のポストベーク処理時の温度を下げると、形成された保護膜の弾性回復特性が低下したり、基板との密着性に問題が生じるという課題があった。
そのため、上記の特許文献2のような改良では、10μm以下のサイズのカラーフィルター保護膜のパターン、すなわち高解像度のカラーフィルター保護膜を得ようとしてパターニングサイズを小さくする際に、弾性回復特性や基板との密着性が不十分であるという課題を有している。
すなわち、本発明は、カルボキシル基およびスルホ基からなる群から選ばれる1種以上の官能基、またはこれらの塩を含有する多官能(メタ)アクリレートモノマー、光ラジカル重合開始剤(B)、エポキシ基および/またはアルコキシ基を2個以上を分子内に有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、および酸発生剤(E)を必須成分として含有するアルカリ現像可能なネガ型の感光性樹脂組成物であることを特徴とするカラーフィルター保護膜用感光性樹脂組成物(Q)である。さらに、本発明で、光照射による硬化物を200℃以下でポストベークさせて形成されたカラーフィルター保護膜の弾性回復率が50%以上であることを特徴とするカラーフィルター保護膜用感光性樹脂組成物(Q);およびこれを硬化させて形成されたカラーフィルターの着色層の保護および平坦化のために設けられたカラーフィルター保護膜である。
・感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性に優れている。
・感光性樹脂組成物は、解像度に優れている。
・カラーフィルター保護膜は、基板との密着性に優れ、かつ弾性回復特性に優れている。
・光照射による硬化後、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、本発明で得られるカラーフィルター保護膜は、基板との密着性に優れ、かつ弾性回復特性に優れている。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、光照射による硬化後、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、基板との密着性、および弾性回復特性に優れたカラーフィルター保護膜を与えることができる。また、本発明で必須の特定の酸性基は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、およびリン酸エステル基である。
また、「(メタ)アクリロイル基中の炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量」は、単に「(メタ)アクリロイル基濃度」と略称することもある。
公知のカチオンとしては、アルカリ金属イオン(カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン等)、4級アンモニウムイオン(テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム等)、アミジニウムカチオン(イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン等)等が好ましい。
これら(a1)のうち、硬化物と基板との密着性向上、および酸性基の導入のし易さの観点から、側鎖に水酸基を有する末端がエポキシ基のエポキシ化物とアクリル酸とのエステル化物が好ましい。
これら(a2)のうち、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性の観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびジペンタエリスリトールのトリアクリレートが好ましく、硬化物と基板との密着性向上、および酸性基の導入のし易さの観点から、ペンタエリスリトールのトリアクリレートがさらに好ましい。
これら(a3)のうち、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性の観点から、ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサアクリレート、およびジペンタエリスリトールのプロピレン付加物のペンタアクリレートが好ましく、硬化物と基板との密着性向上、および酸性基の導入のし易さの観点から、ジペンタエリスリトールのペンタアクリレートがさらに好ましい。
例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸付加物ナトリウム塩、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸付加物テトラエチルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸付加物エチルメチルイミダゾリウム塩、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸付加物エチルメチルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基と無水コハク酸を反応させてペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸付加物を製造することができる。
例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとクロロ硫酸を反応させてジペンタエリスリトールペンタアクリレートスルホン酸エステルを製造することができる。
例えば、グリセリンジアクリレートと無水リン酸を反応させてグリセリンジアクリレートのリン酸エステルを製造することができる。
例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートとモノデシルリン酸エステルを反応させてペンタエリスリトールトリアクリレートのモノデシルリン酸エステルを製造することができる。
例えば、酸性基を有する多官能(メタ)アクリレートが固体状の場合には、得られた酸性基を有する多官能(メタ)アクリレートをろ過し、水、有機溶媒等の溶媒で洗浄して乾燥することにより精製することができる。
また、得られた酸性基を有する多官能(メタ)アクリレートがオイル状の場合には、このオイル状物と溶媒とが2相に分かれるときは溶媒を分液することにより、溶媒に溶解している場合には溶媒を蒸発除去することにより、精製することができる。あるいは、酸性基を有する多官能(メタ)アクリレートが含まれる反応液に水を加え、必要に応じてアルカリ成分を加えて溶解し、有機溶媒相と水相に分離した後に、水相より酸析や塩析等の方法により沈殿物を得、得られた沈殿物を濾過して採取し有機溶媒で洗浄して乾燥させることにより精製することもできる。
このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン誘導体(B1)、アシルフォスフィンオキサイド誘導体(B2)、チタノセン誘導体(B3)、トリアジン誘導体(B4)、ビスイミダゾール誘導体(B5)、O−アシルオキシム(オキシムエステル)誘導体(B6)、ベンゾフェノン誘導体(B7)、チオキサントン誘導体(B8)、α−ジケトン誘導体(B9)、アントラキノン誘導体(B10)、アクリジン誘導体(B11)、およびこれらを2種以上含有する混合物が挙げられる。
すなわち、カチオン重合性化合物(C)はエポキシ基を少なくとも2個以上、アルコキシ基を2個以上、またはエポキシ基1個以上とアルコキシ基1個以上を分子内に有する。
これらは、メチロール基がすべてエーテル化されているか、又は部分的にエーテル化され、メチロール基が残存しているものも使用できる。メチルエーテル化メラミン、エチルエーテル化メラミン、ブチルエーテル化メラミン等のアルキルエーテル化メラミンが挙げられる。これらのなかで、メチルエーテル化メラミンが硬化性の観点から好ましい。
この−CH2OR7基中のR7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表し、A1〜A4中に含まれるR7は同一であっても異なっていてもよい。
さらにこのR7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表す。A1〜A4中のR7は同一であっても異なっていてもよい。硬化性および弾性回復特性の観点から、−CH2OR7であることが好ましい。
また、硬化性および弾性回復特性のさらなる向上の観点から、R7はアルキル基、またはグリシジル基であることが好ましく、グリシジル基であることが特に好ましい。
化合物(C21)が架橋剤として働くためには、グリシジル基とアルコキシ基の合計が少なくとも2個以上必要であり、−CH2OR7基の2〜4個のR7のうち、アルキル基またはグリシジル基の合計の数は2〜4個必要である。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、およびエチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)が挙げられる。
本発明の必須成分である2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)は、例えば下記一般式(3)で表されるシラン化合物(d1)を必須構成単量体とし、そのアルコキシ基[一般式(3)中のOR10の部分]の一部または全部が縮合反応して高分子化した縮合物が挙げられる。ただし、それ以外の化学構造を有する加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物であってもよい。
一方、フェノキシ基は一般に加水分解しない。
グリシドキシアルキル基は下記一般式(5);
メルカプトアルキル基は−R11−SH;アミノアルキル基は−R11−NH2で表される。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
R8として好ましいものは硬化性の観点から(メタ)アクリロイルアルキル基およびグリシドキシアルキル基である。
直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよびn−ドデシル基が挙げられ、分岐アルキル基としてはイソプロピル、イソブチル、sec−ブチルおよび2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル基およびこれらの重水素、フッ素もしくは塩素の各置換体;アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチルおよびこれらの重水素、フッ素もしくは塩化物;並びに、アルキルアリール基としてはメチルフェニルおよびエチルフェニル基等が挙げられる。
Si原子に結合するOR10基の数は(3−m)個であって、具体的には3または2個である。
さらに好ましいのは、アルコキシ基を3個有する(メタ)アクリロイロキシアルキル基含有3官能シラン化合物、およびアルコキシ基を3個有するグリシドキシアルキル基含有3官能シラン化合物であり、特に好ましいのは、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
R15として好ましいのはメチル基およびエチル基である。
nが1、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
nが2、すなわちアルコキシ基を2個有する2官能シラン化合物としては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシランおよびフェニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
ポリシロキサン(D)の均一なネットワークの形成の観点から、これらのうち好ましくは、nが1、すなわち3官能シラン化合物である。
添加する水は通常イオン交換水または蒸留水を用いる。また、分子量調整の目的で1個のアルコキシ基を有するシラン化合物を添加することもできる。1個のアルコキシ基を有するシラン化合物としては、例えばフェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランが挙げられる。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,February,1974,Vol.14,No.2,Robert F. Fedors.(147〜154頁)」
このような多官能(メタ)アクリレート(F)としては、公知の多官能(メタ)アクリレートモノマーであれば、とくに限定されずに用いられ、2官能(メタ)アクリレート(F1)、3官能(メタ)アクリレート(F2)、4〜6官能(メタ)アクリレート(F3)、およびこれらを2種以上含有する混合物が挙げられる。
これら(F1)のうち、硬化物と基板との密着性向上の観点から、ポリプロピレングリコールジアクリレート、側鎖に水酸基を有する末端がエポキシ基のエポキシ化物とアクリル酸とのエステル化物が好ましい。
これら(F2)のうち、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性の観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートが好ましく、基板との密着性と光硬化反応性の観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレートがさらに好ましい。
これら(F3)のうち、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性の観点から、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、およびプロピレン付加物のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく、基板との密着性と光硬化反応性の観点から、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートがさらに好ましい。
感光性アクリルオリゴマー(F4)としては、Mnが1,000以下であって、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
すなわち、感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づく酸価が通常10〜110mgKOH/g、好ましくは25〜90mgKOH/g、さらに好ましくは40〜80mgKOH/g、特に好ましくは50〜75mgKOH/gである。この範囲であると、現像性がさらに良好に発揮されやすく、硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いて中性メタノール・アセトン溶液[アセトンとメタノールを1:1(容量比)で混合したもの]を加え溶解する。
(ii)フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液で滴定する。指示薬の微紅色が30秒続いたときを中和の終点とする。
(iii)次式を用いて決定する。
酸価(mgKOH/g)=(A×f×5.61)/S
ただし、Aは0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液のmL数、fは0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液の力価、Sは試料採取量(g)[但し、試料が溶剤を含む場合は溶剤を除いた量(g)]を表す。
すなわち、感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づく(メタ)アクリロイル基中の炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量が、通常6.5〜10.0mmol/gであり、好ましくは7.0〜10.0mmol/g、さらに好ましくは7.5〜9.5mmol/g、特に好ましくは8.0〜9.5mmol/gである。この範囲であれば弾性回復特性を良好に発揮できる。
具体的な測定法は以下の通りである。
(2)モルホリン標準液[モルホリンとメタノールを1:4(容量比)で混合したもの]10mlを加え、さらに、50%酢酸標準液[酢酸とイオン交換水を1:1(容量比)で混合したもの]1.5mlを加えてよく振動した後、室温で15分間放置する。
(3)アセトニトリル15ml及び無水酢酸10mlを上記三角フラスコに加えよく振る。
(4)記録式自動滴定装置を用いて、0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液を用いて滴定する。
(5)同時に空試験を実施し、下式にて算出する。
ただし、Aは試料の滴定に要した0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液のml数、Bは空試験に要した0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液のml数、fは0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液の力価、Sは試料採取量(g)[試料が溶剤を含む場合は溶剤を除いた量(g)]を表す。
密着性向上の観点から、感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づく水酸基濃度が、1.5〜5.0mmol/gが好ましく、2.0〜5.0mmol/gがさらに好ましく、2.5〜5.0mmol/gが特に好ましい。この範囲であると、感光性樹脂組成物(Q)の硬化物と基板との密着性および耐水性をさらに良好に発揮することができる。
この水酸基としては、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基内の水酸基、スルホン酸基内の水酸基、燐酸基内の水酸基等が挙げられる。これらの水酸基のうち、アルコール性水酸基、およびカルボキシル基内の水酸基が好ましく、さらに好ましくはアルコール性水酸基である。
具体的な測定法は以下の通りである。
ジンを1:4(容量比)で混合したもの]5mlに溶解させる。
(ii)100℃にて2時間加熱後、1mlの水を加え、よく振動した後、室温で10分間放置する。
(iii)フェノールフタレインを指示薬、KOH水溶液(0.5mol/L)を滴定液として、滴定を行う。
(iv)同一試料について、酸価を測定する。
(v)同時に空試験を実施し、下式にて水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=(B−A)×f×28.05/S+C
ただし、Aは試料の滴定に要した0.5mol/Lの水酸化カリウム滴定用溶液のml数、Bは空試験に要した0.5mol/Lの水酸化カリウム滴定用溶液のml数、fは0.5mol/Lの水酸化カリウム滴定用溶液の力値、Sは試料採取量(g[試料が溶剤を含む場合は溶剤を除いた量(g)]、Cは酸価[測定方法は前述の通り]を表す。
(vi)上式で得られた水酸基価を用いて、水酸基濃度を以下の式で算出する。
水酸基濃度(mmol/g)=水酸基価/56.1
その他の成分としては、無機微粒子、増感剤、重合禁止剤、溶剤、増粘剤、表面調整剤、およびその他の添加剤(例えば、無機顔料、シランカップリング剤、染料、蛍光増白剤、黄変防止剤、酸化防止剤、消泡剤、消臭剤、芳香剤、殺菌剤、防菌剤、および防かび剤等)が挙げられる。
従って、本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、特にディスプレイのカラーフィルターの着色層の保護および平坦性向上のために設けられるカラーフィルター保護膜用の感光性樹脂組成物として適している。
そして、加圧が大きいほど、弾性回復率は小さくなる。
しかし、圧力を0.5mN/μm2に上げると弾性回復率は大幅に低下する。
さらに、200℃以下、例えば150℃でポストベーク処理を採用した場合、0.5mN/μm2の圧力条件下では30%程度の回復弾性率しか得られない。
弾性回復率が70%以上であると弾性回復特性がさらに良好に発揮でき、カラーフィルターの着色層を保護するカラーフィルター保護膜として実用上問題なく使用できる可能性が高い。45%以下の場合、密着性はさらに向上するが、弾性回復特性が低く、カラーフィルターの着色層を保護できない実用上問題となる可能性が高い。
本発明のカラーフィルター保護膜は、上記の感光性樹脂組成物(Q)を硬化させて形成され、ディスプレイのカラーフィルターの着色層の保護および平坦性向上のために設けられるカラーフィルター保護膜である。
このようなカラーフィルター保護膜には、着色層(画素部)に配合される色材の色調に影響を与えないような優れた無色透明性、着色層の保護のために硬度、弾性回復特性、および着色層や透明電極層との密着性、が求められる。
カラーフィルター保護膜の形成は、通常、以下(1)〜(5)の工程で行われる。
膜厚は、通常0.1〜7μm、好ましくは1〜3μmである。
活性光線としては、例えば、可視光線、紫外線、およびレーザー光線が挙げられる。光線源としては、例えば、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、および半導体レーザーが挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cm2、生産コストの観点から20〜100mJ/cm2がさらに好ましく、20〜60mJ/cm2が特に好ましい。露光を行う工程においては、感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分が反応して光硬化反応する。
ポストベークの時間は5分〜2時間である。
ポストベークを行うことにより、カラーフィルター保護膜の弾性回復特性がさらに良好になる。
この後加熱(ポストベーク)工程においては、感光性樹脂組成物中の熱硬化性官能基を有する成分が反応して熱硬化するものと推定される。熱硬化性官能基としては、例えば、(C)または(D)のうちの加水分解性アルコキシ基、および(A)または(D)のうちの(メタ)アクリロイル基のうちで上記の露光工程で残存した微量の(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
特開2001−316372号公報に記載の方法に従い、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノメチル炭酸塩を合成した。
カルボキシル基を有する多官能アクリレート多塩基酸[商品名「アロニックスM−520」、東亞合成(株)社製](A−1)と、上記の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノメチル炭酸塩を当モルで混合し、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム多官能アクリレートカルボキシレート塩(A−3)を得た。
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン46部(0.2モル部)、ジフェニルジメトキシシラン160部(0.65モル部)とイオン交換水45g(2.5モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを6.7kPaの減圧下で2時間かけて除去し、アクリレート変性ポリシロキサン(D−1)(Mn:2,100)を得た。
国際公開05/116038号パンフレットの実施例に記載の方法に従い、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの50重量%プロピレンカーボネート溶液(E−2)を合成した。
特開2009−75284号公報の合成例1に記載の方法に従い、メタクリル酸、メタクリル酸トリシクロデカン−8−イル、スチレン、ブタジエンおよびメタクリル酸グリシジルを反応させて、これらのメタクリル酸系共重合体の30重量%ジエチレングリコールメチルエチルエーテル溶液(G−1)を合成した。
特開2009−186838号公報の実施例1に記載の方法に従い、メタクリル酸、ジメチルブチロラクトンアクリレートおよびメタクリル酸グリシジルから、これらのメタクリル酸系共重合体の30重量%1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液(G−2)を合成した。
実施例1〜10及び比較例1〜5
表1と表2の配合部数に従い、ガラス製の容器に各成分を仕込み、均一になるまで攪拌し、さらに有効成分の濃度が35%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して希釈し、本発明の実施例1〜10の感光性樹脂組成物、および比較例1〜5の感光性樹脂組成物を得た。
(A−1):カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート:「アロニックスM520」(東亞合成(株)社製)
(A−2):カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート:「アロニックスM510」(東亞合成(株)社製)
(A−4):リン酸基を有する多官能(メタ)アクリレート:「ライトエステルP−2M」(共栄社化学(株)社製)
(B−1):光ラジカル重合開始剤:「イルガキュア907」(2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(B−2):光ラジカル重合開始剤:「イルガキュアOX02」(エタノン,1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9,H,−カルバゾール−3−イル)−,1−(O−アセチルオキシム):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(B−3):光ラジカル重合開始剤:「イルガキュア379」(2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(B−4):光ラジカル重合開始剤:「CGI242」(1−(9−(2−メチルベンゾイル)−9,H,−カルバゾール−3−イル)−1−(9−(2−メチルベンゾイル)−9,H,−カルバゾール−3−イル)−エタノン,1−(O−アセチルオキシム):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(C−1)カチオン重合性化合物:「サイメル303」(三井サイテック(株)社製)
(C−2)カチオン重合性化合物:「デナコールEX−411」(ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル:ナガセケムテックス(株)社製)
(F−1):多官能(メタ)アクリレート:「DPCA−120」(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)社製)
(F−2):多官能(メタ)アクリレート:「NKエステルA−TMM−3Lnew」(ペンタエリスリトールトリアクリレート:新中村化学(株)社製)
(F−3):多官能(メタ)アクリレート:「DA600」(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物:三洋化成工業(株)社製)
感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、仕上り膜厚が2.5μmになるようにスピンコートし、80℃で3分間乾燥した。直径6〜20μmの開口部を多数有するパターンのフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を60mJ/cm2照射した。なお、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いてシャワー現像30秒間を行った。水洗を施したのち、230℃で30分間ポストベークしてカラーフィルター保護膜のパターンを基板上に多数形成した。
上記操作で得た基板を写真撮影し、画像データ処理により、基板上の残留物を定量的に確認した。判定基準は以下の通りである。
○:基板上の残留物が認められるが5%未満
△:基板上の残留物の基板を覆う面積が5%〜75%未満
×:基板上の残留物の基板を覆う面積が75%以上
感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、仕上り膜厚が2.5μmになるようにスピンコートし、80℃で3分間乾燥した。直径6μm〜20μmの開口部を有するパターンのフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を60mJ/cm2照射した。なお、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いてシャワー現像60秒間を行った。水洗を施したのち、230℃で30分間ポストベークして保護膜のパターンを基板上に多数形成した。
なお、比較例1はアルカリ現像性が悪く、パターンを形成できなかったため、ポストベーク以降の処理は行わず、以下の評価も行っていない。
実施例1〜10の感光性樹脂組成物、および比較例1〜5の感光性樹脂組成物を用いて作製したパターンの下底径は、マスクの大きさに応じてそれぞれ7〜21μmの範囲、上底径は4〜19μmの範囲であった。
LCDの小型化・高精細化に伴い、基板上に作製されるカラーフィルター保護膜のパターンのサイズに10μmあるいはそれ以下のサイズが要求されるようになってきた。ところが、基板と保護膜のパターンとの接地面積が小さいほど、高い密着性が必要となる。すなわち密着性が高い保護膜のパターンほど、パターンの下底径が小さくなっても、擦りなどによって剥がれにくくなる性能に優れる。そこで密着性は、パターンの下底径を直径15μmと8μmの2水準に設定し、以下の綿棒こすり試験によって評価することとした。
アセトンに浸した綿棒を、縦横にそれぞれ10往復、2cm/秒の速度で、パターンを形成した基板に擦りつけた後、基板上に存在していた任意のパターン100個の剥離状態を光学顕微鏡で観察し、密着性を評価した。
判定基準は以下の通りである。
◎:剥がれたパターンの個数0個
○:剥がれたパターンの個数1〜3個
△:剥がれたパターンの個数4〜89個
×:剥がれたパターンの個数90〜100個
LCDの小型化・高精細化が進み、画素サイズが小さくなってきたことから、解像度として、10μmあるいはそれ以下のサイズでのパターニングが要求されるようになってきた。すなわち解像度が高いパターンほど、マスクの残しパターンが小さくなっても、マスクの残しパターンと同じ大きさのパターンを形成できる性能に優れる。
そこで解像度は、マスクの残しパターンを直径10μmに設定し、以下の試験によって評価することにした。
○:11μm未満
△:11〜13μm
×:13μm以上
保護膜のパターンの弾性回復特性は、一定の圧力がかかった時の「弾性回復率」によって評価することができる。弾性回復率(%)の値の高い方が弾性回復特性に優れる。
また、保護膜のパターンにかかる圧力が大きいときに、弾性回復率の値が高い方が弾性回復特性に優れる。
本発明において、弾性回復特性は以下の方法で、0.3mN/μm2および0.5mN/μm2の2水準の圧力条件下での弾性回復率を測定して評価することができる。
圧力としては、0.3mN/μm2または0.5mN/μm2の圧力でヒステリシス曲線を測定し、弾性回復率を算出し、弾性回復特性を評価した。
弾性回復率の判定基準は以下の通りである。
◎:80%以上
○:70〜80%
△:60〜70%
×:60%未満
一方、感光性樹脂組成物が本特許の必須成分である特定の酸性基またはこれらの塩を含有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用していない比較例1では、現像残留物が多くパターンを形成できない。
また、本発明の必須成分のカチオン重合性化合物を使用していない比較例2では、基板との密着性および弾回復特性が低く、満足しない。本発明の必須成分のポリシロキサン化合物を使用していない比較例3では、基板との密着性および弾性回復特性が低く、満足しない。また多官能(メタ)アクリレートモノマーは使用しているが本発明の必須成分の酸性基を含む多官能(メタ)アクリレートモノマーおよびシロキサン化合物を使用しない比較例4や5では、基板との密着性および弾性回復特性が低く、満足しない。また、比較例1〜5のいずれも、低温処理を採用した場合、基板との十分な密着性および弾性回復特性が不十分である。
さらに、低温処理を採用した場合でも、基板との密着性、および弾性回復特性が優れているため、フレキシブルディスプレイ用のオーバーコート剤、有機EL素子の隔壁、有機EL素子の感光性絶縁膜、有機EL素子の防湿バリア膜用オーバーコート剤、タッチパネル用オーバーコート剤などの用途の感光性樹脂組成物としても有用である。
Claims (6)
- カルボキシル基およびスルホ基からなる群から選ばれる1種以上の官能基、またはこれらの塩を含有する多官能(メタ)アクリレートモノマー、光ラジカル重合開始剤(B)、エポキシ基および/またはアルコキシ基を2個以上を分子内に有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、および酸発生剤(E)を必須成分として含有するアルカリ現像可能なネガ型の感光性樹脂組成物であることを特徴とするカラーフィルター保護膜用感光性樹脂組成物(Q)。
- 光照射による硬化物を200℃以下でポストベークさせて形成されたカラーフィルター保護膜の弾性回復率が50%以上である請求項1記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 該シロキサン化合物(D)がさらに(メタ)アクリロイル基を含有する請求項1または2記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 該カチオン重合性化合物(C)が、下記一般式(1)で表されるカチオン重合性化合物(C1)および一般式(2)で表されるカチオン重合性化合物(C21)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 感光性樹脂組成物のカルボキシル基およびスルホ基からなる群から選ばれる1種以上の官能基、またはこれらの塩を含有する多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび(B)〜(E)の合計に基づいて、該多官能(メタ)アクリレートモノマーを30〜80重量%、該ラジカル重合開始剤(B)を3〜12重量%、該カチオン重合性化合物(C)を5〜45重量%、該シロキサン化合物(D)を1〜30重量%、該酸発生剤(E)を1〜10重量%をそれぞれ含有する請求項1〜4のいずれか記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか記載の感光性樹脂組成物を硬化させて形成されたカラーフィルター保護膜。
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