JP4231076B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このような不具合を解決する特性を有するフォトスペーサを形成する材料として、近年、さらに新たな提案(特許文献−2)がされている。この提案では、全固形分中の多官能モノマー量を50〜70%にすることによって改良を図っている。しかしながら、多官能モノマーを大量に使用した場合アルカリ現像性が悪化するという問題があった。
すなわち本発明は、親水性ポリマーエポキシ系ポリマー(A2)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するポリシロキサン(C)、及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有し、該ポリシロキサン(C)が下記一般式(1)で表されるシラン化合物(c1)を必須構成単量体とする縮合物である、アルカリ現像可能なフォトスペーサ用感光性樹脂組成物(Q);及びこれを、光照射を含む工程により硬化させて形成された液晶セル内のギャップ保持のために設けられたフォトスペーサである。
・感光性樹脂組成物はアルカリ現像性に優れている。
・フォトスペーサは柔軟性に優れ、かつ弾性回復特性に優れている。
なお、上記及び以下において、例えば「(メタ)アクリレート」などの(メタ)を付した表現は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」などを意味する。
(A)のHLB値は、(A)の樹脂骨格(例えば、ビニル系樹脂、エポキシ系系樹脂、ポリエステル系樹脂など)によって好ましい範囲が異なるが、好ましくは4〜19、さらに好ましくは5〜18、特に好ましくは6〜17である。4以上であればフォトスペーサの現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。なお、本発明におけるHLBは、小田法によるHLB値であり、親水性−疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE, FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」
SP値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(分散性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
(A)の酸価は、好ましくは10〜500mgKOH/gである。10mgKOH/g以上であると、現像性がさらに良好に発揮されやすく、500mgKOH/g以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いて中性メタノール・アセトン溶液[アセトンとメタノールを1:1(容量比)で混合したもの]を加え溶解する。
(ii)フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液で滴定する。指示薬の微紅色が30秒続いたときを中和の終点とする。
(iii)次式を用いて決定する。
酸価(KOHmg/g)=(A×f×5.61)/S
ただし、A:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液のmL数。
f:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液の力価
S:試料採取量(g)
(A2)は、光硬化反応性の観点から、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する方が好ましい。
(A20)のうち好ましいのは硬化性の観点から芳香族エポキシ樹脂である。
(A2)の製造に使用される(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸としては、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。
(A2)の製造に使用される多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物(e)としては、前述の(a)のうちの不飽和多価カルボン酸およびそれらの無水物、並びに飽和多価(2〜6価)カルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸およびオクタデセニルコハク酸などの脂肪族飽和多価カルボン酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸およびナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸)およびそれらの無水物(例えば、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ペンタデセニル無水コハク酸およびオクタデセニル無水コハク酸などの脂肪族飽和多価カルボン酸無水物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物およびナフタレンテトラカルボン 酸 無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物)が挙げられる。 好ましいのは、反応性及び現像性の観点から飽和多価カルボン酸無水物である。
(A20)と(メタ)アクリル酸の反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは5〜30時間である。また、必要により触媒(例えば、トリフェニルホスフィンなど)およびラジカル重合禁止剤(ヒドロキノン、p−メトキシフェノールなど)を用いてもよい。
また、(A20)の(メタ)アクリル酸付加物の重量に対する、多価カルボン酸もしくは多価カルボン酸無水物(e)の仕込み当量は、(A2)の酸価が、好ましくは10〜500mgKOH/gとなるような(e)の仕込み当量であり、例えば、(e)が2価カルボン酸もしくはその無水物である場合、(e)の仕込み当量/(A200)の(メタ)アク
リル酸付加物の重量は、上記の観点から、好ましくは0.18〜8.9ミリ当量/g、さらに好ましくは0.53〜7.1ミリ当量/gである。
(A20)の(メタ)アクリル酸付加物と(e)との反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは3〜10時間である。
のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
(B)中の(B4)の含有量は好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。
R1として好ましいものは硬化性の観点から(メタ)アクリロイロキシアルキル基およびグリシドキシアルキル基である。
直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよびn−ドデシル基およびこれらの重水素置換体、分岐アルキル基としてはイソプロピル、イソブチル、sec−ブチルおよび2−エチルヘキシル基など、並びに環式飽和炭化水素基としてはシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基およびメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基およびアルキルアリール基が挙げられる。
アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル基およびこれらの重水素、フッ素もしくは塩素の各置換体;アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチルおよびこれらの重水素、フッ素もしくは塩化物;並びに、アルキルアリール基としてはメチルフェニルおよびエチルフェニル基などが挙げられる。
R2のうち好ましいのは硬化反応性の観点から直鎖アルキル基、分岐アルキル基および アリール基、さらに好ましいのは直鎖アルキル基およびアリール基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
R3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびsec−ブチル基などが挙げられ、好ましいのは熱硬化反応性の観点からメチル基およびエチル基である。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・3−メタクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン等
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・N−2アミノエチルγーアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等
さらに好ましいのは、アルコキシ基を3個有する(メタ)アクリロイロキシアルキル基含有3官能シラン化合物、およびアルコキシ基を3個有するグリシドキシアルキル基含有3官能シラン化合物であり、特に好ましいのは、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
他のシラン化合物(c2)としては、一般式(2)で表されるシラン化合物が挙げられる。
R2nSi(OR3)4−n (2)
式中、R2は炭素数1〜12の脂肪族飽和炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であり、R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。
R2のうち好ましいのは直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびアリール基、さらに好ま
しいのは直鎖アルキル基およびアリール基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
R3として好ましいのはメチル基およびエチル基である。
nが1、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
nが2、すなわちアルコキシ基を2個有する2官能シラン化合物としては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシランおよびフェニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
ポリシロキサン(C)の均一なネットワークの形成の観点から、これらのうち好ましくは、nが1、すなわち3官能シラン化合物である。
触媒の添加量は(c1)および(c2)の合計100重量部に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは、0.001〜1重量部である。触媒の添加方法は特に規定されないが好ましくは水溶液として加える。また、好ましい反応温度は20℃〜100℃である。
(C)のSP値は、前述の(B)のSP値との差を−2.0〜2.0に設定し易いという観点から、好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜12、特に8〜11、とりわけ8〜10.5である。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素および酸化アルミニウム等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウム等が挙げられる。
これらのうちで、耐熱透明性および耐薬品性の観点から、金属酸化物が好ましく、さらに好ましくは、酸化ケイ素および酸化チタン、特に酸化ケイ素が好ましい。
無機微粒子は、体積平均一次粒子径が1〜200nm、透明性の観点から、好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜120nm、特に好ましくは5〜20nmのものである。
(E5)としては、下記の(i)スルホン化合物、(ii)スルホン酸エステル化合物、(iii)スルホンイミド化合物、(iv)ジスルホニルジアゾメタン(v)ジスルホニルメタンおよび(vi)オニウム塩が挙げられる。
(i)スルホン化合物
フェナシルフェニルスルホン、4−トリスフェナシルスルホン−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンおよびこれらのα−ジアゾ化合物等
(ii)スルホン酸エステル化合物
ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、α−メチロールベンゾイントシレートおよびα−メチロールベンゾインドデシルスルホネート等
(iii)スルホンイミド化合物
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロオクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(ベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド等
(iv)ジスルホニルジアゾメタン化合物
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタンおよびビス(1、4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン等(v)オニウム塩
スルホニウム塩〔ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、アリルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート塩等〕、ヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等)、ホスホニウム塩(エチルトリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート等)、ジアゾニウム塩(フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等)、アンモニウム塩(1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート等)、およびフェロセン〔(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート等〕等
また感光性樹脂組成物は、通常、室温で液状であり、その粘度は、25℃で0.1〜10,000mPa・s、好ましくは1〜8,000mPa・sである。
本発明のフォトスペーサは、上記の感光性樹脂組成物(Q)を光照射を含む工程により硬化させて形成された液晶セル内のギャップ保持のために設けられるフォトスペーサである。
フォトスペーサは、カラーフィルタ基板とTFT基板とを貼り合わせた時に液晶セルのギャップを決めるものであり、表示品質にとって重要な役割を果たす。フォトスペーサの高さは、通常2〜5μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、その均一性が要求される。また、高さの他、フォトスペーサに要求される形状、大きさ、密度等は液晶表示装置の設計によって適宜決定される。
フォトスペーサの形成は、通常、以下(1)〜(5)の工程で行われる。
(1)基板の着色層上に設けられた透明共通電極上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布する工程。
塗布方法としては、ロールコート、スピンコート、スプレーコートおよびスリットコート等が挙げられ、塗布装置としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
膜厚は、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
乾燥温度としては、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは12〜90℃、特に15〜60℃、とりわけ20〜50℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜10分、さらに好ましくは1〜8分、特に好ましくは2〜5分である。乾燥は、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物であれば、直径5〜10μm程度(面積20〜100μm2程度)のマスク開口部であっても、精度良く、すなわち直径6〜12μm(面積30〜120μm2)の範囲でパターンを形成することができる。
活性光線としては、可視光線、紫外線、レーザー光線等が挙げられる。光線源としては、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、半導体レーザー等が挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cm2である。露光を行う工程においては、感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分が反応して光硬化反応する。
現像液は、通常、アルカリ水溶液を用いる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウムおよびヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機アルカリの水溶液が挙げられる。これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。現像液の温度は、好ましくは25〜40℃である。現像時間は、膜厚や感光性樹脂組成物の溶解性に応じて適宜決定される。
ポストベークの温度としては、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜240℃、特に好ましくは180〜230℃である。ポストベークの時間は5分〜6時間、好ましくは15分〜4時間、特に好ましくは30分〜3時間である。
ベークは、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
ポストベークを行うことにより、フォトスペーサの弾性回復特性がさらに良好になる。
後加熱工程においては、感光性樹脂組成物中の熱硬化性官能基を有する成分が反応して熱硬化するものと推定される。
熱硬化性官能基としては、例えば、(B)のうちの加水分解性アルコキシ基、グリシジル基、メルカプト基またはアミノ基、並びに(A)または(B)のうちの(メタ)アクリロイル基のうちで上記の露光工程で残存した微量の(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
フォトスペーサの柔軟性は、圧力がかかった時の「総変形量」によって評価することができる。総変形量の大きい方が柔軟性に優れる。
フォトスペーサの弾性回復特性は、圧力がかかった時の「弾性回復率」によって評価することができる。弾性回復率の高い方が弾性回復率に優れる。
25℃において、一定の速度で所定の圧力をかけ、1秒間保持した後、一定の速度で圧力を除荷した時の荷重と変形量とのヒステリシス曲線(図1)から総変形量T0(μm)を求め、さらに塑性変形量T1(μm)を求めて、所定の圧力における弾性回復率(%)を下式で算出する。
弾性回復率(%)=[(T0−T1)/T0]×100
圧力としては、0.2mN/μm2、0.4mN/μm2、0.6mN/μm2および0.8mN/μm2の異なる4種の圧力でヒステリシス曲線を測定し、それぞれにおいて上記弾性回復率を求める。
以下、実施例および製造例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。
<製造例 A−1>
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EOCN−1020」(日本化薬製、エポキシ当量200)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート245部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸76部(1.07モル部)、トリフェニルホスフィン2部、およびp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部(0.60モル部)を仕込み、さらに90℃5時間反応させ、冷却後にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて固形分含有量を調整し、カルボキシル基およびアクリロイル基を有する親水性エポキシ系ポリマー(A−1)(Mn:2,200、SP値:11.26、HLB値:6.42、酸価:91mgKOH/g)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(固形分含有量は25%)。
なお、MnはGPC測定機器(HLC−8120GPC、東ソー(株)製)、カラム(TSKgel GMHXL2本+TSKgel Multipore HXL−M、東ソ(株)製)を用いて、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。また、SP値、HLB値、弱酸価は、前述のようにして求めた。以下の製造例および比較例についても同様の測定法である。
<製造例C−1>
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン46部(0.2モル部)、ジフェニルジメトキシシラン160部(0.65モル部)とイオン交換水45g(2.5モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを50mmHgの減圧下で2時間かけて除去した。その後、シクロヘキサノンで固形分含有量が25%となるように希釈し、ポリシロキサン(C−1)(Mn:2,100、粘度:20mPa・s、SP値:9.36)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。また、粘度は25℃の定温下にてBL型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。以下の製造例および比較例についても同様の測定法である。
製造例C−1と同様のコルベンに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン170部(0.82モル部)、フェニルトリメトキシシラン40部(0.20モル部)、ジフェニルジメトキシシラン30部(0.12モル部)とイオン交換水40g(2.2モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを50mmHgの減圧下で2時間かけて除去した。その後、シクロヘキサノンで固形分含有量が25%となるように希釈し、ポリシロキサン(C−2)(Mn:7,800、粘度:70mPa・s、SP値:8.69)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。
製造例C−1と同様のコルベンに、メチルトリメトキシシラン46部(0.34モル部)、フェニルトリメトキシシラン160部(0.80モル部)とイオン交換水45g(2.5モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを50mmHgの減圧下で2時間かけて除去した。その後、シクロヘキサノンで固形分含有量が25%となるように希釈し、比較のポリシロキサン(C−1’)(Mn:9,400、粘度:250mPa・s、SP値:8.49)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。
製造例C−1と同様のコルベンに、トリメチルモノメトキシシラン119部(1.14モル部)とイオン交換水45g(2.5モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを50mmHgの減圧下で2時間かけて除去した。その後、シクロヘキサノンで固形分含有量が25%となるように希釈し、比較のポリシロキサン(C−2’)(Mn:350、粘度:4mPa・s、SP値:6.75)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。
[感光性樹脂組成物の製造]
表1の配合例に従い、ガラス製の容器に各親水性ポリマーの溶液、ポリシロキサンの溶液を仕込み、さらに下記の(B−1)、(D−1)、及び(E−1)を仕込み、均一になるまで攪拌し、さらに追加の溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を添加して実施例の感光性樹脂組成物(Q1)、(Q2)および比較例の感光性樹脂組成物(Y1)〜(Y4)を製造した。なお、表1中の( )内は、それぞれの成分の感光性樹脂組成物中における固形分換算での含有量を表す。
C−3’:片末端グリシジル基変性ポリシロキサン(「X−22−173DX」:信越化学工業社製)(粘度:65mPa・s、SP値:6.66)
D−1(光ラジカル重合開始剤):「イルガキュア907」(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、
E−1(酸発生剤):N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド
感光性樹脂組成物(Q1)、(Q2)、および(Y1)〜(Y4)を、それぞれガラス基板上に仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、25℃で5分間乾燥し、その後1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30秒間現像を行い、現像性を評価した。結果を表1に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:目視により残留物無し。
○:目視により残留物わずかにあり。
△:目視により残留物が多い。
[フォトスペーサの作製]
感光性樹脂組成物(Q1)、(Q2)、および(Y1)〜(Y4)を、それぞれガラス基板上に、仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、25℃で5分間乾燥した。フォトスペーサ形成用のフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を100mJ/cm2照射した。尚、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。その後1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像をした。水洗を施したのち、230℃で60分間ポストベークしてフォトスペーサをカラーフィルタ上に形成した。フォトスペーサの上底面積は150μm2、下底面積は400μm2であった。
[総変形量、弾性回復率の測定]
上記のようにして得られたフォトスペーサの総変形量、弾性回復率をフィッシャースコープH−100(フィッシャーインストルメンツ社製)装置を用いて測定した。
なお、断面が正方形の平面圧子(50μm×50μm)の平坦圧子を用いた。結果を表2および3に示す。
比較例1〜3では、使用された感光性樹脂組成物(Y1)〜(Y3)中のポリシロキサンが官能基または2個以上のアルコキシ基を有していないため必要とされる架橋反応が十分に進行しない。このような場合、分子間での「ずり」が大きくなるため、弾性回復率が小さくなる。このようなフォトスペーサを用いて液晶パネルを作成すると、セルギャップが均一とならずに表示品質が悪化する。
比較例4では、使用された感光性樹脂組成物(Y4)にポリシロキサンが含まれず、総変形量が小さく、柔軟性に劣る。このようなフォトスペーサを用いて液晶パネルを作成すると、セルギャップが均一とならずに表示品質が悪化する。
さらに、その他にも各種のレジスト材料、例えば、フォトソルダーレジスト、感光性レジストフィルム、感光性樹脂凸版、スクリーン版、光接着剤またはハードコート剤などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。
さらに、金属(例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅等)、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテルフタラート、ポリ(メタ)アクリレート)、紙、ガラス、ゴム及び木材等の各種材料に対するコーティング剤、塗料、印刷インキ及び接着剤としても使用でき、成型材料等としても応用できる。
T1: 塑性変形量
T2: 弾性変形量
Claims (6)
- 親水性エポキシ系ポリマー(A2)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するポリシロキサン(C)、及び光ラジカル重合開始剤(D)を含有し、該ポリシロキサン(C)が下記一般式(1)で表されるシラン化合物(c1)を必須構成単量体とする縮合物である、アルカリ現像可能なフォトスペーサ用感光性樹脂組成物(Q)。
- (c1)が、一般式(1)におけるR1が(メタ)アクリロイロキシアルキル基であるシラン化合物である請求項1記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と2個以上の加水分解性アルコキシ基を有する化合物(C)との溶解度パラメーターの差が−2.0〜2.0であるである請求項1または2記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するポリシロキサン(C)の含有量が、感光性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて5〜30重量%である請求項1〜3のいずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)。
- 請求項1〜4のいずれか記載の感光性樹脂組成物を光照射を含む工程により硬化させて形成されたフォトスペーサ。
- 光照射を含む工程が、光照射の後、アルカリ現像してパターン形成し、さらにポストベークを行うことを特徴とする工程である請求項5記載のフォトスペーサ。
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