JP2012014931A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ現像性、露光感度、および解像度に優れ、その硬化物が、低温処理を採用した場合でも、基板との密着性および弾性回復特性に優れている有機EL素子用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 親水性エポキシ樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、エポキシ基および/またはアルコキシ基を2個以上を分子内に有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、光ラジカル重合開始剤(E)、および酸発生剤(F)を含有するアルカリ現像可能なネガ型の感光性樹脂組成物で、光照射による硬化物を200℃以下でポストベークさせて形成された有機EL素子用スペーサの弾性回復率が50%以上であることを特徴とする有機EL素子用感光性樹脂組成物(Q)である。
【選択図】 なし

Description

近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略称する。)ディスプレイが脚光をあびており、その製造プロセスにおいて感光性樹脂が多用されている。例えば、有機EL表示素子の画素間の隔壁や有機TFT(薄膜トランジスタ)アレイの各TFTを仕切る隔壁に相当する部分は、感光性レジスト組成物の塗膜硬化物であり、フォトリソグラフィにより形成される画素パターンにも感光性レジスト組成物が使用されている。
そのような部分に使用されるレジストとしては、マスクを通して感光すると、光が照射された部分のみが固まり、現像により未露光部が剥離されるいわゆるネガ型レジストが多用されている。
有機EL表示素子においては、単位画素で分割された発光層と封止基板の両層間に、この厚みを保ちつつ発光層の保護するために、スペーサと呼ばれる柱状の樹脂パターンが配置されている。
例えば、感光性樹脂を用い、部分的なパターン露光、現像というフォトリソグラフィー法により、所望の位置、例えば、画素間に位置する格子パターン状のブラックマトリクス上に、柱状の樹脂製パターンを形成する方法が提案されている。このようなスペーサは、画素上に重ならない位置に形成できるので、画素内にスペーサが混在して生じる光漏れといった表示品質に悪影響を及ぼす問題がなくなり、表示品質の向上が望める。
このような有機EL素子用スペーサには、有機EL素子に曲げ応力や押圧力等が加わって基板が変形した場合に、発光層表面が対向する封止基板に接触させないような優れた弾性回復特性および基板(ガラス基板、透明電極基板、封止基板など)との密着性が求められる。
優れた弾性回復特性を有する有機EL素子用スペーサを形成する材料として、モノマー量を多くすることによって改良する提案がなされている(例えば特許文献1)。
しかしながら、上記提案のような多官能モノマーを多く使用した場合、有機EL素子用スペーサと透明電極基板やガラス基板(以下、基板と略する。)との密着性が悪化するという問題があった。
また、近年、有機EL素子の小型化・高精細化が進み、表示品質を保持するために画素サイズが小さくなってきたことから、露光感度、解像度としては、10μmあるいはそれ以下のサイズでのパターニングが要求されてきている。
併せて、基板と有機EL素子用スペーサとの接地面積が小さくなってきたことから、さらなる密着性と弾性回復特性が要求されてきている。
しかしながら、密着性を改善しようとすると弾性回復特性が低下することが知られている。
また、近年、携帯型のパソコン、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の普及に伴い、表示品質の要求性能がますます厳しくなってきているとともにカラー液晶表示装置の軽量化や製造コストの低減の要求が高まってきている。
そのため、従来使用されていたガラス基板に変わり、樹脂性の基板を使用する試みがなされてきている。
しかしながら、従来知られている有機EL素子用感光性樹脂組成物を、樹脂基板上にスペーサを形成するために使用すると、スペーサ形成工程のポストベーク処理時に高温が必要なため、基板の変形や黄変が起こる問題があった。
樹脂基板の変形や黄変を避け、かつ製造コストを下げるために、スペーサ形成工程のポストベーク処理時の温度を下げると、形成されたスペーサの弾性回復特性が低下したり、基板との密着性に問題が生じるという課題があった。
これらの課題を解決する特性を有する有機EL素子用スペーサを形成する材料として、水酸基と特定の不飽和結合を有する重合性化合物とカルボン酸と特定の不飽和結合を有する重合性化合物からなる共重合体を使用する方法(特許文献2)や、特定のオニウム系のリン酸塩とエチレン性不飽和結合の重合性化合物を併用する方法(特許文献3)により、ポストベーク処理時の温度が200℃以下でも、弾性回復特性や基板との密着性を改良する提案がなされている。
ところで、高解像度にするためにはさらなる弾性回復特性や基板との密着性が必要とされるが、そのために有機EL素子用スペーサのサイズを小さくすると、弾性回復特性および基板との密着性が低下してしまうということが知られている。
そのため、上記の特許文献2のような改良では、10μm以下のサイズの有機EL素子用スペーサのパターン、すなわち高解像度の有機EL素子用スペーサを得ようとしてパターニングサイズを小さくする際に、弾性回復特性や基板との密着性が不十分であるという課題を有している。
このように、これまで用いられているアルカリ現像可能なネガ型の感光性樹脂組成物について、光照射による硬化後、200℃以下の低温でポストベーク処理を採用した場合でさえも優れた弾性回復特性および基板への密着性を発揮できるものは知られていない。
特開2002−174812号公報 特開2009−216728号公報 特開2009−75284号公報
そこで、アルカリ現像性が良好で、高感度、高解像度であり、かつ、光照射による硬化後、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、その硬化物と基板との密着性に優れ、かつ優れた弾性回復特性を有する有機EL素子用感光性樹脂組成物を提供し、さらに、基板との密着性に優れ、かつ優れた弾性回復特性を有する有機EL素子用スペーサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上のカルボキシル基を有する親水性エポキシ樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、エポキシ基および/またはアルコキシ基を2個以上を分子内に有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、光ラジカル重合開始剤(E)、および酸発生剤(F)を必須成分とし、アルカリ現像性、解像度、に優れるネガ型の有機EL素子用感光性樹脂組成物(Q)である。さらに、本発明で、光照射による硬化物を200℃以下でポストベークさせて形成された有機EL素子用スペーサの弾性回復率が50%以上であることを特徴とする有機EL素子用感光性樹脂組成物(Q);およびこれを硬化させて形成された有機ELの発光層の保護のために設けられた有機EL素子用スペーサである。
本発明の感光性樹脂組成物及びそれから得られた有機EL素子用スペーサは、以下の効果を奏する。
・感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性に優れている。
・感光性樹脂組成物は、解像度に優れている。
・光照射による硬化後、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、本発明で得られる有機EL素子用スペーサは、基板との密着性に優れ、かつ弾性回復特性に優れている。
本発明の有機EL素子用感光性樹脂組成(Q)は分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上のカルボキシル基を有する親水性エポキシ樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、エポキシ基および/またはアルコキシ基を2個以上を分子内に有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、光ラジカル重合開始剤(E)、および酸発生剤(F)を必須成分として含有し、アルカリ現像性、解像度、に優れるネガ型の有機EL素子用感光性樹脂組成物(Q)である。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、光照射による硬化後、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、基板との密着性、および弾性回復特性に優れた有機EL素子用スペーサを与えることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」の(メタ)を付した表現は「アクリレートまたはメタクリレート」を意味する。
また、「(メタ)アクリロイル基中の炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量」は、単に「(メタ)アクリロイル基濃度」と略称することもある。
以下において、本発明の感光性樹脂組成物の必須構成成分である(A)〜(F)について、順に説明する。
本発明の必須成分である親水性エポキシ樹脂(A)は、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上のカルボキシル基を必須成分として有する親水性エポキシ樹脂である。
本発明の親水性エポキシ樹脂(A)における親水性の指標はHLBにより規定され、一般にこの数値が大きいほど親水性が高いことを示す。
親水性エポキシ樹脂(A)のHLB値は、親水性エポキシ樹脂(A)の樹脂骨格(例えば、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂等)によって好ましい範囲が異なるが、好ましくは4〜14、さらに好ましくは5〜13、特に好ましくは6〜12である。4以上であれば有機EL素子用スペーサの現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、14以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
ここでの「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212項に記載されている小田法による計算値として知られているものであり、グリフィン法による計算値ではない。
HLB値は有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
また、親水性エポキシ樹脂(A)の溶解度パラメーター(以下、SP値という。)[(単位は(cal/cm1/2]は、好ましくは7〜14、さら好ましくは8〜13、特に好ましくは11〜13である。7以上であるとさらに現像性が良好に発揮でき、14以下であると硬化物の耐水性がさらに良好である。
本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,February,1974,Vol.14,No.2,Robert F. Fedors.(147〜154頁)」
本発明の親水性エポキシ樹脂(A)が有する親水基としては、必須のカルボキシル基以外に、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エポキシ基、ポリエーテル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、燐酸基、燐酸エステル基等が挙げられる。さらに、より多くのカルボキシル基を含有してもよい。これらの親水基のうち、アルカリ現像性の観点から、エポキシ基、スルホン酸基、および追加のカルボキシル基が好ましく、さらに好ましくはカルボキシル基である。
親水性エポキシ樹脂のカルボキシル基の含有量は酸価で示される。親水性エポキシ樹脂(A)の酸価は、好ましくは10〜500mgKOH/g、さらに好ましくは15〜300mgKOH/g、特に好ましくは20〜150mgKOH/gである。この範囲であると、現像性がさらに良好に発揮されやすく、硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
本発明における酸価はアルカリ性滴定溶液を用いた指示薬滴定法により測定できる。方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いて中性メタノール・アセトン溶液[アセトンとメタノールを1:1(容量比)で混合したもの]を加え溶解する。
(ii)フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液で滴定する。指示薬の微紅色が30秒続いたときを中和の終点とする。
(iii)次式を用いて決定する。
酸価(mgKOH/g)=(A×f×5.61)/S
ただし、Aは0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液のmL数、fは0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液の力価、Sは試料採取量(g)[但し、試料が溶剤を含む場合は溶剤を除いた量(g)]を表す。
分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性エポキシ樹脂(A)の好ましい製造法は、原料のエポキシ樹脂(A)中のエポキシ基に、(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸(a)を反応させてエポキシ基を開環させて水酸基を生成させ、この(A)の(メタ)アクリル酸付加物の水酸基の一部に多価カルボン酸もしくは多価カルボン酸無水物(e)を反応させる方法である。
エポキシ樹脂(A)としては、脂肪族エポキシ樹脂[例えばエポトートYH−300、PG−202、PG−207(いずれも東都化成社製)等]や脂環式エポキシ樹脂[例えばCY−179、CY−177、CY−175(いずれも旭化成エポキシ社製)など]や芳香族エポキシ樹脂[例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジル変性ポリビニルフェノール等]が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、硬化性の観点から、芳香族エポキシ樹脂である。
親水性エポキシ樹脂(A)の製造に使用される前記の(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸(a)としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸等が挙げられる。
(A)の製造に使用される多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物(e)としては、不飽和多価カルボン酸およびそれらの無水物、並びに飽和多価(2〜6価)カルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等の脂肪族飽和多価カルボン酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸)、それらの無水物(例えば、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ペンタデセニル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸等の脂肪族飽和多価カルボン酸無水物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、反応性及び現像性の観点から、飽和多価カルボン酸無水物である。
前述の(A)の製造における、(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸(a)/(A)の仕込み重量比は、好ましいのは(A)の(メタ)アクリロイル基の濃度が1.0mmol/g以上となるような仕込み重量比である。
(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸/(A)の重量比は上記の観点から、好ましくは0.072以上/1、さらに好ましくは0.079〜0.72/1である。また、(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸の重量比は上記の観点から、好ましくは0.092以上/1、さらに好ましくは0.10〜0.92/1である。
前述の(A)と(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸(a)の反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは5〜30時間である。また、必要により触媒(例えば、トリフェニルホスフィンなど)およびラジカル重合禁止剤(ヒドロキノン、p−メトキシフェノール等)を用いてもよい。
また、前述の(A)の(メタ)アクリル酸付加物の重量に対する、多価カルボン酸もしくは多価カルボン酸無水物(e)の仕込み当量は、(A)の酸価が、好ましくは10〜500mgKOH/gとなるような(e)の仕込み当量であり、例えば、(e)が2価カルボン酸もしくはその無水物である場合、(e)の仕込み当量/(A)の(メタ)アクリル酸付加物の重量は、上記の観点から、好ましくは0.18〜8.9ミリ当量/g、さらに好ましくは0.53〜7.1ミリ当量/gである。
原料の(A)の(メタ)アクリル酸付加物と(e)との反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは3〜10時間である。
前述の(A)の数平均分子量(以下、Mnという。)は、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性と現像性の観点から、通常500〜3,000、好ましくは1,000〜2,800、特に好ましくは1,500〜2,500である。
なお、MnはGPC測定機器(HLC−8120GPC、東ソー(株)製)、カラム(TSKgel GMHXL2本+TSKgel Multipore HXL−M、東ソー(株)製)を用いて、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(F)に基づく(A)の含有量は、通常10〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。この範囲であるとアルカリ現像性および基板との密着性が良好に発揮できる。
本発明の第2の必須成分である多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)は、公知の多官能(メタ)アクリレートモノマーであれば、とくに限定されずに用いられ、2官能(メタ)アクリレート(B1)、3官能(メタ)アクリレート(B2)、4〜6官能(メタ)アクリレート(B3)、およびこれらを2種以上含有する混合物が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレート(B1)としては、2価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート];2価アルコールのポリアルキレンオキサイドと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート];3価以上の多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンのジ(メタ)アクリレート];3価以上の多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物に無水カルボン酸を付加させて得られるカルボン酸変性物[例えばグリセリンのカルボン酸変性のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのカルボン酸変性のジ(メタ)アクリレート];直鎖状の脂肪族ジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えば1,4−ブタンジオールのジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールのジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールのジ(メタ)アクリレート];側鎖を有する脂肪族ジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えば3−メチル−1,5−ペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート];脂環式炭化水素のジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばジメチロール−トリシクロデカンのジ(メタ)アクリレート];芳香族炭化水素のジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート];多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート];多価アルコールと(メタ)アクリル酸とヒドロキシカルボン酸のエステル化物[例えばヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート];側鎖に水酸基を有する末端がエポキシ基のエポキシ化物とアクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。
これら(B1)のうち、硬化物と基板との密着性向上の観点から、ポリプロピレングリコールジアクリレート、側鎖に水酸基を有する末端がエポキシ基のエポキシ化物とアクリル酸とのエステル化物が好ましい。
3官能(メタ)アクリレート(B2)としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのカルボン酸変性のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら(B2)のうち、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性の観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートが好ましく、基板との密着性と光硬化反応性の観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレートがさらに好ましい。
4〜6官能(メタ)アクリレート(B3)としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカルボン酸変性のペンタ(メタ)アクリレート、これらのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら(B3)のうち、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性の観点から、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、およびプロピレン付加物のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく、基板との密着性と光硬化反応性の観点から、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートがさらに好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)のうち好ましいものは、(B2)および(B3)であり、さらに好ましいものは(A)、(C)〜(E)との相溶性の観点から後述の親水基を含有するもの及びそれと親水基を含有しないものとの混合物である。特に好ましくはジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれらの併用である。
市場から容易に入手できる(B)としては、例えば、アロニックスM−403(東亞合成(株)製:ペンタエリスリトールトリアクリレート)、ライトアクリレートPE−3A(共栄社化学(株)製:ペンタエリスリトールトリアクリレート)、ネオマーDA−600(三洋化成工業(株)製:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)のうち、親水基を含有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)が有する親水基としては、水酸基、アミノ基、ポリエーテル基等が挙げられる。これらの親水基のうち、水酸基、およびポリエーテル基が好ましく、さらに好ましくは水酸基である。
また、本発明における(B)は、前述の(B1)〜(B3)以外に、感光性アクリルオリゴマー(B4)を併用してもよい。
感光性アクリルオリゴマー(B4)としては、Mnが1,000以下であって、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
(B)中の(B4)の含有量は好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(F)に基づく(B)の含有量は、通常10〜80重量%以下、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%である。この範囲であるとアルカリ現像性、硬化物の弾性回復特性、基板との密着性が良好に発揮できる。
本発明において感光性樹脂組成物(Q)中の成分として含まれるカチオン重合性化合物(C)としては、エポキシ基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる1種または2種以上の反応性官能基を分子内に合計で2個以上有する化合物である。
すなわち、カチオン重合性化合物(C)はエポキシ基を少なくとも2個以上、アルコキシ基を2個以上、またはエポキシ基1個以上とアルコキシ基1個以上を分子内に有する。
カチオン重合性化合物(C)中のエポキシ基同士の反応またはアルコキシ基同士の重縮合反応といったカチオン性の反応による架橋が起こることで、高密着性と高弾性回復特性が発現する。また、エポキシ基とアルコキシ基との反応による架橋、エポキシ基またはアルコキシ基と親水性エポキシ樹脂(A)中の親水基との反応による架橋で、密着性および弾性回復特性のさらなる向上に効果があるものと推察される。
このようなカチオン重合性化合物(C)としては、下記一般式(1)で表わされるメラミン誘導体(C1)、脂肪族カチオン重合性化合物(C2)、芳香環を有するカチオン重合性化合物(C3)、脂環式構造を有するカチオン重合性化合物(C4)などが挙げられるが、前述のようにエポキシ基および/またはアルコキシ基を分子内に合計2個以上有する公知の化合物であれば、とくに限定されずに用いられる。
Figure 2012014931
[R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表し、アルキル基またはグリシジル基の合計の数は2〜6個である。]
上記一般式(1)で表わされる化合物中のR〜Rとしては、硬化性および弾性回復特性の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、およびグリシジル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜2のアルキル基である。
上記一般式(1)で表されるメラミン誘導体(C1)としては、例えば、メチロール化メラミンのメチロール基の一部又は全部を炭素数1〜8の1価アルコール[例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、および2−エチルヘキサノール]で、エーテル化した部分エーテル化又はフルエーテル化メラミン樹脂が挙げられる。
これらは、メチロール基がすべてエーテル化されているか、又は部分的にエーテル化され、メチロール基が残存しているものも使用できる。メチルエーテル化メラミン、エチルエーテル化メラミン、ブチルエーテル化メラミン等のアルキルエーテル化メラミンが挙げられる。これらのなかで、メチルエーテル化メラミンが硬化性の観点から好ましい。
脂肪族カチオン重合性化合物(C2)としては、例えば、Mn1,000以下の脂肪族エポキシ化合物[例えば、脂肪族アルコールまたはこれらのアルキレンオキシド(以下、AOと略記する。)付加物のポリグリシジルエーテル(以下、グリシジルエーテルはGEと略記する。)、炭素数8〜24の脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル(以下、グリシジルエステルはGSと略記する。)、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、およびグリシジル(メタ)アクリレートとその他のビニルモノマーとのコポリマー]、アルコキシ基およびエポキシ基を合計5官能以上有する脂肪族カチオン重合性化合物[例えば、ジペンタエリスリトールトリアルコキシのトリGE、ジペンタエリスリトールペンタアルコキシ]、および下記一般式(2)で表される化合物(C21)が挙げられる。
Figure 2012014931
式(2)中、A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子または−CHORを表す。
この−CHOR基中のRは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表し、A〜A中に含まれるRは同一であっても異なっていてもよい。
代表的な脂肪族エポキシ化合物としては、例えばエチレンジGE、ブチレンジGE、ヘキシルジGE、1,4−ブタンジオールジGE、1,6−ヘキサンジオールジGE、水素添加ビスフェノールAジGE、グリセリンのトリGE、トリメチロールプロパンのトリGE、ソルビトールのテトラGE、ペンタエリスリトールのペンタGE、ジペンタエリスリトールのヘキサGE、ジペンタエリスリトールのペンタGE、ポリエチレングリコールのジGE、ポリプロピレングリコールのジGE、脂肪族多価アルコール(プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)のAO付加物のポリGE、炭素数8〜24の脂肪族長鎖二塩基酸のジGS、高級脂肪酸のポリGS、およびエポキシ化大豆油が挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物(C21)中のA〜Aは、それぞれ独立に、水素原子または−CHORを表し、A〜Aのうち−CHORの数は2〜4個である。
さらにこのRは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表す。A〜A中のRは同一であっても異なっていてもよい。硬化性および弾性回復特性の観点から、−CHORであることが好ましい。
また、硬化性および弾性回復特性のさらなる向上の観点から、Rはアルキル基、またはグリシジル基であることが好ましく、グリシジル基であることが特に好ましい。
化合物(C21)が架橋剤として働くためには、グリシジル基とアルコキシ基の合計が少なくとも2個以上必要であり、−CHOR基の2〜4個のRのうち、アルキル基またはグリシジル基の合計の数は2〜4個必要である。
としては、硬化性および弾性回復特性の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、およびグリシジル基、さらに好ましくは、炭素数1〜2のアルキル基、およびグリシジル基、貯蔵安定性の観点から特に好ましくはグリシジル基である。
一般式(2)で表される代表的な化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールまたはグリセリンの水酸基の一部又は全部を炭素数1〜8の1価アルコール[例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、および2−エチルヘキサノール]および/またはグリシジル化合物[例えば、エピクロロヒドリン]で、エーテル化した部分エーテル化又はフルエーテル化した化合物が挙げられる。
これらは、水酸基がすべてエーテル化されているか、又は部分的にエーテル化され、水酸基が残存しているものも使用できる。例えば、メチルエーテル化グリセリン、グリシジルエーテル化ペンタエリスリトール、グリシジルエーテル化グリセリン等のアルキルエーテル化またはグリシジルエーテル化ペンタエリスリトール、およびアルキルエーテル化またはグリシジルエーテル化グリセリンが挙げられる。これらのなかで、グリシジルエーテル化ペンタエリスリトールが硬化性の観点から好ましい。
芳香環を有するカチオン重合性化合物(C3)としては、例えば、少なくとも1個の芳香環を有するフェノール、またはそのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する。)付加物の(ポリ)グリシジルエーテル[フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびこれらのAO付加物の(ポリ)グリシジルエーテル等]、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−、p−、m−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、および炭素数1〜8のアルコキシ基を有するジアルコキシベンゼンが挙げられる。
脂環式構造を有するカチオン重合性化合物(C4)としては、炭素数7以上かつ数平均分子量1,500以下の指環式エポキシ化合物[例えば、少なくとも1個のシクロヘキセン環あるいはシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキシド含有化合物またはシクロペンテンオキシド含有化合物]、および炭素数1〜8のアルコキシ基を有する指環式炭化水素[例えばジエトキシシクロヘキサン、ジt−ブトキシシクロヘキサン、ジオクトキシシクロペンタン]が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、およびエチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)が挙げられる。
これらのカチオン重合性化合物(C1)〜(C4)の中で、現像性、硬化性、弾性回復特性および密着性の観点から、好ましくは、ジペンタエリスリトールのヘキサGE、上記一般式(1)で表される化合物(C1)および上記一般式(2)で表される化合物(C21)であり、さらに好ましくは化合物(C1)および化合物(C21)であり、特に好ましくは化合物(C1)である。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(F)の合計に基づく(C)の含有量は、通常5〜60重量%、好ましくは5〜45重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。この範囲であると弾性回復特性および基板との密着性が良好に発揮でき、現像性も良好に発揮できる。
本発明の必須成分である2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)は、例えば下記一般式(3)で表されるシラン化合物(d1)を必須構成単量体とし、そのアルコキシ基[一般式(3)中のOR10の部分]の一部または全部が縮合反応して高分子化した縮合物が挙げられる。ただし、それ以外の化学構造を有する加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物であってもよい。
Figure 2012014931
なお、ここでいう「加水分解性アルコキシ基」とは、炭素数1〜8のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が挙げられる。
一方、フェノキシ基は一般に加水分解しない。
上記の一般式(3)中、Rは、(メタ)アクリロイルアルキル基、グリシドキシアルキル基、メルカプトアルキル基、およびアミノアルキル基(アルキル基の炭素数は1〜6)からなる群から選ばれる1種の有機基である。また、Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12の脂環式飽和炭化水素基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基;R10は炭素数1〜4のアルキル基である。mは0または1である。
式(3)中のRは、(メタ)アクリロイルアルキル基、グリシドキシアルキル基、メルカプトアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選ばれる1種の有機基であり、そのアルキレン基部分の炭素数は1〜6である。
ここで、(メタ)アクリロイルアルキル基は下記一般式(4);グリシドキシアルキル基は下記一般式(5);メルカプトアルキル基は−R11−SH;アミノアルキル基は−R11−NHで表される。
Figure 2012014931
式(4)中のR12は水素原子またはメチル基である。−R11−は炭素数1〜6のアルキレン基である。
Figure 2012014931
式(5)中の−R13−は炭素数1〜6のアルキレン基である。
一般式(3)において、R中に(メタ)アクリロイルアルキル基を有するシラン化合物の具体例としては、mが0または1の以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
中にグリシドキシアルキル基を有するシラン化合物の具体例としては、mが0または1の以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
中にメルカプトアルキル基を有するシラン化合物の具体例としては、mが0または1の以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
中にアミノアルキル基を有するシラン化合物の具体例としては、mが0または1の以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物としては、N−2アミノエチルγーアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
はこのシラン化合物(d1)の縮合反応工程では反応せずに、縮合反応後もシロキサン化合物(D)中に残存し、本発明の感光性樹脂組成物が露光時または熱硬化する際の硬化反応に寄与する官能基である。
として好ましいものは硬化性の観点から(メタ)アクリロイルアルキル基およびグリシドキシアルキル基である。
式(3)中のRは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12の脂環式飽和炭化水素基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。そして、その個数mは0または1である。
のうち、脂肪族飽和炭化水素基としては、直鎖アルキル基、分岐アルキル基が挙げられる。
直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよびn−ドデシル基が挙げられ、分岐アルキル基としてはイソプロピル、イソブチル、sec−ブチルおよび2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
脂環式飽和炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、およびメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
のうち、芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基およびアルキルアリール基等が挙げられる。
アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル基およびこれらの重水素、フッ素もしくは塩素の各置換体;アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチルおよびこれらの重水素、フッ素もしくは塩化物;並びに、アルキルアリール基としてはメチルフェニルおよびエチルフェニル基等が挙げられる。
のうち好ましいのは硬化反応性の観点から直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびアリール基であり、さらに好ましいのは直鎖アルキル基およびアリール基である。特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
式(3)中のR10としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびsec−ブチル基等が挙げられ、好ましいのは熱硬化反応性の観点からメチル基およびエチル基である。
Si原子に結合するOR10基の数は(3−m)個であって、具体的には3または2個である。
一般式(3)で表されるシラン化合物(d1)のうち、硬化反応性の観点から好ましいのは、一般式(3)におけるRが(メタ)アクリロイルアルキル基またはグリシドキシアルキル基を有するシラン化合物である。
さらに好ましいのは、アルコキシ基を3個有する(メタ)アクリロイロキシアルキル基含有3官能シラン化合物、およびアルコキシ基を3個有するグリシドキシアルキル基含有3官能シラン化合物であり、特に好ましいのは、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)としては、一般式(3)で表されるシラン化合物(d1)のみからなる単独縮合重合体、並びに(d1)および(d1)と共縮合可能な1種類以上の他のシラン化合物の共縮合体が挙げられる。
このような他のシラン化合物としては、下記一般式(6)で表されるシラン化合物が挙げられる。
14 Si(OR154−n (6)
式(6)中、R14は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であり、R15は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。
14のうち好ましいのは直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびアリール基、さらに好ましいのは直鎖アルキル基およびアリール基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
15として好ましいのはメチル基およびエチル基である。
一般式(6)において、nが0、すなわちアルコキシ基を4個有する4官能シラン化合物としては、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシラン等が挙げられる。
nが1、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
nが2、すなわちアルコキシ基を2個有する2官能シラン化合物としては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシランおよびフェニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
ポリシロキサン(D)の均一なネットワークの形成の観点から、これらのうち好ましくは、nが1、すなわち3官能シラン化合物である。
他のシラン化合物の仕込み割合は、硬化反応性の観点から好ましくは(d1)1モルに対し、他のシラン化合物の合計が0.1〜6.0モル、さらに好ましくは、0.2〜4.0モルが良好である。
シロキサン化合物(D)は、例えば、乾燥雰囲気下で、シラン化合物(d1)および必要により使用される他のシラン化合物中に所定量の水および必要により触媒を攪拌しながら20〜100℃で約10分〜60分かけて滴下し、その後副生するアルコールの沸点以下の温度(例えば0〜150℃)で1〜12時間かけて熟成することにより縮合反応して得ることができる。
縮合反応において添加する水の量をXモル、シラン化合物(d1)および他のシラン化合物中のアルコキシ基のモル数をYとした場合、X/Yが小さすぎると縮合物の収量と分子量が低下する。一方、X/Yが大きすぎる場合は分子量が大きくなりすぎて保存安定性が低下する傾向にある。このことから、0.1<X/Y<5の範囲、好ましくは0.3<X/Y<3の範囲で行うことが好ましい。
添加する水は通常イオン交換水または蒸留水を用いる。また、分子量調整の目的で1個のアルコキシ基を有するシラン化合物を添加することもできる。1個のアルコキシ基を有するシラン化合物としては、例えばフェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランが挙げられる。
縮合反応の触媒としては蟻酸、酢酸、蓚酸、乳酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、ピロメリット酸、p―トルエンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフォン酸などの1価、2価または3価の有機酸;塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、塩素酸および過塩素酸などの無機酸;アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、第4級アルキルアンモニウムの水酸化物や炭酸塩および1〜3級アミン類などのアルカリ塩;第4級アルキルアンモニウムハロゲン化物;次亜塩素酸ナトリウム;スズ、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウムおよび硼素などのケイ素以外の金属のアルコキシドおよびそれらのキレート錯体;などをあげることができ、この中で有機酸、無機酸、金属アルコキシド、金属アルコキシドのキレート化合物など酸性触媒が好ましく、有機酸が特に好ましい。
触媒の添加量はシラン化合物(d1)および他のシラン化合物の合計100重量部に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは、0.001〜1重量部である。触媒の添加方法は特に規定されないが好ましくは水溶液として加える。また、好ましい反応温度は20℃〜100℃である。
本発明のシロキサン化合物(D)は、相溶性及び硬化物の弾性回復特性の観点から、前述の親水性エポキシ樹脂(A)とのSP値の差の絶対値が好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.5以下、とりわけ好ましくは1.0以下である。
また、シロキサン化合物(D)のSP値は、好ましくは7.0〜13.0、さらに好ましくは8.0〜12.0、特に好ましくは8.0〜11.0、とりわけ好ましくは8.0〜10.5である。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(F)の合計に基づく(D)の含有量は、通常1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。この範囲であると弾性回復特性性および基板との密着性がさらに良好に発揮でき、相溶性もさらに良好に発揮できる。
シロキサン化合物(D)のMnは、有機EL素子用スペーサとなったときの弾性回復特性と基板との密着性の観点から、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜50,000、特に好ましくは2,000〜20,000である。
光ラジカル重合開始剤(E)は、可視光線、紫外線、遠赤外線、荷電粒子線、X線などの放射線の露光により、重合性不飽和化合物の重合を開始しうるラジカルを発生する成分からなる。
このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン誘導体(E1)、アシルフォスフィンオキサイド誘導体(E2)、チタノセン誘導体(E3)、トリアジン誘導体(E4)、ビスイミダゾール誘導体(E5)、O−アシルオキシム(オキシムエステル)誘導体(E6)、ベンゾフェノン誘導体(E7)、チオキサントン誘導体(E8)、α−ジケトン誘導体(E9)、アントラキノン誘導体(E10)、アクリジン誘導体(E11)、およびこれらを2種以上含有する混合物が挙げられる。
アセトフェノン誘導体(E1)としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ジメチルベンジルケタール、メチルベンゾイルフォーメート、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン]が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド誘導体(E2)としては、例えば、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
チタノセン誘導体(E3)としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエンー1―イル)−ビス(2,6ージフルオロー3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
トリアジン誘導体(E4)としては、例えば、トリクロロメチルトリアジン、ベンジル−2,4,6−(トリハロメチル)トリアジンが挙げられる。
ビスイミダゾール誘導体(E5)としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体が挙げられる。
O−アシルオキシム(オキシムエステル)誘導体(E6)としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(Oーベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体(E7)としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンが挙げられる。
チオキサントン誘導体(E8)としては、例えば、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンが挙げられる。
α−ジケトン誘導体(E9)としては、例えば、カンファーキノンが挙げられる。
アントラキノン誘導体(E10)としては、例えば、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノンが挙げられる。
アクリジン誘導体(E11)としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9ーアクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパンが挙げられる。
これら(E1)〜(E11)のうち、合成の容易さの観点から、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンが好ましく、反応性の観点から2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンがさらに好ましい。
光ラジカル重合開始剤(E)は、市販のものが容易に入手することができ、例えば2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンとしては、イルガキュア907、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンとしては、イルガキュア369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(F)の合計に基づく光ラジカル重合開始剤(E)の含有量は、1〜15重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜12重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。1重量%以上であれば硬化反応性および弾性回復特性がさらに良好に発揮でき、15重量%以下であれば光露光時のマスク汚れの低減および相溶性がさらに良好に発揮できる。
本発明において感光性樹脂組成物(Q)中に必須成分として含まれる酸発生剤(F)としては、熱または光エネルギーを吸収して酸を発生する化合物であれば特に限定されずに用いることができる。このような酸発生剤(E)としては、下記のスルホン化合物(F1)、スルホン酸エステル化合物(F2)、スルホンイミド化合物(F3)、ジスルホニルジアゾメタン(F4)、およびオニウム塩(F5)が挙げられる。
スルホン化合物(F1)としては、フェナシルフェニルスルホン、4−トリスフェナシルスルホン−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンおよびこれらのα−ジアゾ化合物等が挙げられる。
スルホン酸エステル化合物(F2)としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、α−メチロールベンゾイントシレートおよびα−メチロールベンゾインドデシルスルホネート等が挙げられる。
スルホンイミド化合物(F3)としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロオクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(ベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられる。
ジスルホニルジアゾメタン化合物(F4)としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタンおよびビス(1、4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
オニウム塩(F5)としては、スルホニウム塩〔ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、アリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート等〕、ヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等)、ホスホニウム塩(エチルトリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート等)、ジアゾニウム塩(フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等)、アンモニウム塩(1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート等)、およびフェロセン〔(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート等〕等が挙げられる。
これら酸発生剤(F1)〜(F5)のうち、貯蔵安定性および低温反応性の観点から、スルホンイミド化合物(F3)、ジスルホニルジアゾメタン化合物(F4)、およびオニウム塩(F5)が好ましく、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、およびヘキサフルオロアンチモネートのスルホニウム塩がさらに好ましく、ヘキサフルオロアンチモネートのスルホニウム塩が特に好ましい。
感光性樹脂組成物(Q)の(A)〜(F)の合計に基づく(F)の含有量は、通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜5重量%である。10重量%以下であれば相溶性がさらに良好に発揮できる。
さらに、感光性樹脂組成物(Q)の酸価が特定の範囲にあると、現像性および感光性樹脂組成物(Q)の硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
すなわち、感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づく酸価が通常10〜110mgKOH/g、好ましくは25〜90mgKOH/g、さらに好ましくは40〜80mgKOH/g、特に好ましくは50〜75mgKOH/gである。この範囲であると、現像性がさらに良好に発揮されやすく、硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
さらに、感光性樹脂組成物(Q)の(メタ)アクリロイル基中の炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量(mmol/g)が高いほど、感光性樹脂組成物(Q)の硬化物の弾性回復特性がさらに良好に発揮できる。
すなわち、感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づく(メタ)アクリロイル基中の炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量が、通常6.5〜10.0mmol/gであり、好ましくは7.0〜10.0mmol/g、さらに好ましくは7.5〜9.5mmol/g、特に好ましくは8.0〜9.5mmol/gである。この範囲であれば弾性回復特性を良好に発揮できる。
ここで、本発明における(メタ)アクリロイル基中の炭素−炭素二重結合の含有量(mmol/g)とは、本発明の感光性樹脂組成物(Q)中のアクリロイル基またはメタアクリロイル基に起因する炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量(mmol/g)を指す。
この二重結合の濃度は、(メタ)アクリロイル基の二重結合へのアミンの付加反応(マイケル付加)を利用した滴定法により測定できる。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いてアセトン約10mlを加え溶解する。
(2)モルホリン標準液[モルホリンとメタノールを1:4(容量比)で混合したもの]10mlを加え、さらに、50%酢酸標準液[酢酸とイオン交換水を1:1(容量比)で混合したもの]1.5mlを加えてよく振動した後、室温で15分間放置する。
(3)アセトニトリル15ml及び無水酢酸10mlを上記三角フラスコに加えよく振る。
(4)記録式自動滴定装置を用いて、0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液を用いて滴定する。
(5)同時に空試験を実施し、下式にて算出する。
二重結合濃度(mmol/g)=f×(A−B)/2S
ただし、Aは試料の滴定に要した0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液のml数、Bは空試験に要した0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液のml数、fは0.5mol/Lの酢酸・メタノール滴定用溶液の力価、Sは試料採取量(g)[試料が溶剤を含む場合は溶剤を除いた量(g)]を表す。
さらに、感光性樹脂組成物(Q)中の水酸基濃度が高いほど、感光性樹脂組成物(Q)の硬化物と基板との密着性がさらに良好に発揮できる。
密着性向上の観点から、感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づく水酸基濃度が、1.5〜5.0mmol/gが好ましく、2.0〜5.0mmol/gがさらに好ましく、2.5〜5.0mmol/gが特に好ましい。この範囲であると、感光性樹脂組成物(Q)の硬化物と基板との密着性および耐水性をさらに良好に発揮することができる。
この水酸基濃度(mmol/g)とは、本発明の感光性樹脂組成物(Q)中の水酸基の含有量(mmol/g)を指す。
この水酸基としては、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基内の水酸基、スルホン酸基内の水酸基、燐酸基内の水酸基等が挙げられる。これらの水酸基のうち、アルコール性水酸基、およびカルボキシル基内の水酸基が好ましく、さらに好ましくはアルコール性水酸基である。
この水酸基濃度は、水酸基と無水フタル酸との脱水縮合反応を利用した無水フタル酸法(JIS K1557準拠)により得られる水酸基価から算出することで測定することができる。
具体的な測定法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、アセチル化剤[無水フタル酸とピリ
ジンを1:4(容量比)で混合したもの]5mlに溶解させる。
(ii)100℃にて2時間加熱後、1mlの水を加え、よく振動した後、室温で10分間放置する。
(iii)フェノールフタレインを指示薬、KOH水溶液(0.5mol/L)を滴定液として、滴定を行う。
(iv)同一試料について、酸価を測定する。
(v)同時に空試験を実施し、下式にて水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=(B−A)×f×28.05/S+C
ただし、Aは試料の滴定に要した0.5mol/Lの水酸化カリウム滴定用溶液のml数、Bは空試験に要した0.5mol/Lの水酸化カリウム滴定用溶液のml数、fは0.5mol/Lの水酸化カリウム滴定用溶液の力値、Sは試料採取量(g[試料が溶剤を含む場合は溶剤を除いた量(g)]、Cは酸価[測定方法は前述の通り]を表す。
(vi)上式で得られた水酸基価を用いて、水酸基濃度を以下の式で算出する。
水酸基濃度(mmol/g)=水酸基価/56.1
感光性樹脂組成物(Q)は、必要によりさらにその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、無機微粒子、増感剤、重合禁止剤、溶剤、増粘剤、表面調整剤、およびその他の添加剤(例えば、無機顔料、シランカップリング剤、染料、蛍光増白剤、黄変防止剤、酸化防止剤、消泡剤、消臭剤、芳香剤、殺菌剤、防菌剤、および防かび剤等)が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、例えば、プラネタリーミキサーなどの公知の混合装置により、上記の各成分を混合等することにより得ることができる。また感光性樹脂組成物は、通常、室温で液状であり、その粘度は、25℃で0.1〜10,000mPa・s、好ましくは1〜8,000mPa・sである。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)はアルカリ現像性が良好であり、その硬化物の弾性回復特性および基板との密着性に優れており、通常より低温の200℃以下のポストベーク処理を採用した場合でもその硬化物の弾性回復特性および基板との密着性に優れている。
従って、本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、特に有機ELの発光層の保護のために設けられる有機EL素子スペーサ用の感光性樹脂組成物として適している。
一般的に、有機EL素子用スペーサの弾性回復特性は、一定の圧力がかかった時の「弾性回復率」によって評価することができ、弾性回復率の値の高い方が弾性回復特性に優れる。
そして、加圧が大きいほど、弾性回復率は小さくなる。
ところで、従来から知られている感光性樹脂組成物を光照射で硬化させ、200℃より高い温度、例えば230℃でポストベーク処理を採用した場合、形成された有機EL素子用スペーサの0.3mN/μmの圧力条件下での弾性回復率は、通常70%程度得られる。
しかし、圧力を0.5mN/μmに上げると弾性回復率は大幅に低下する。
さらに、200℃以下、例えば150℃でポストベーク処理を採用した場合、0.5mN/μmの圧力条件下では30%程度の回復弾性率しか得られない。
しかし、本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、感光性樹脂組成物を光照射で硬化させ、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、形成された有機EL素子用スペーサの0.5mN/μmの圧力条件下での弾性回復率が、通常50%〜100%であり、好ましくは60〜100%であり、さらに好ましくは70〜100%であり、特に好ましくは80〜100%である。
弾性回復率が70%以上であると弾性回復特性がさらに良好に発揮でき、有機ELの発光層を保護する有機EL素子用スペーサとして実用上問題なく使用できる可能性が高い。45%以下の場合、密着性はさらに向上するが、弾性回復特性が低く、有機ELの発光層を保護できない実用上問題となる可能性が高い。
以下において本発明の有機EL素子用スペーサについて説明する。
本発明の有機EL素子用スペーサは、上記の感光性樹脂組成物(Q)を硬化させて形成され、有機ELの発光層の保護するために設けられる有機EL素子用スペーサである。
このような有機EL素子用スペーサには、有機EL素子に曲げ応力や押圧力等が加わって基板が変形した場合に、発光層表面が対向する封止基板に接触させないような優れた弾性回復特性および基板(ガラス基板、透明電極基板、封止基板など)との密着性が求められる。
有機EL素子用スペーサは、有機ELの発光層を保護するものであり、表示品質にとって重要な役割を果たす。有機EL素子用スペーサの高さは、通常2〜5μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、その均一性が要求される。また、高さの他、有機EL素子用スペーサに要求される形状、大きさ、密度等は表示装置の設計によって適宜決定される。
本発明の有機EL素子用スペーサの好ましい形成工程は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布後、光照射し、アルカリ現像してパターン形成し、さらにポストベークを行う工程である。
有機EL素子用スペーサの形成は、通常、以下(1)〜(5)の工程で行われる。
(1)基板の着色層上に設けられた透明共通電極上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布する工程。塗布方法としては、ロールコート、スピンコート、スプレーコートおよびスリットコート等が挙げられ、塗布装置としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
膜厚は、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
(2)塗布された感光性樹脂組成物層を、必要に応じて熱を加えて乾燥させる(プリベーク)工程。乾燥温度としては、好ましくは10〜120℃、さらに好ましくは12〜90℃、特に15〜60℃、とりわけ20〜50℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜10分、さらに好ましくは1〜8分、特に好ましくは2〜5分である。乾燥は、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
(3)所定のフォトマスクを介して、活性光線により感光性樹脂組成物層の露光を行う工程。本発明の感光性樹脂組成物であれば、直径4〜10μm程度(面積12〜100μm程度)のマスク開口部であっても、精度良く、すなわち直径5〜12μm(面積20〜120μm)の範囲でパターンを形成することができる。
活性光線としては、例えば、可視光線、紫外線、およびレーザー光線が挙げられる。光線源としては、例えば、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、および半導体レーザーが挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cm、生産コストの観点から20〜100mJ/cmがさらに好ましく、20〜60mJ/cmが特に好ましい。露光を行う工程においては、感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分が反応して光硬化反応する。
(4)光照射後、未露光部を現像液で除去し、現像を行う工程。現像液は、通常、アルカリ水溶液を用いる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、およびヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機アルカリの水溶液が挙げられる。これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。現像液の温度は、好ましくは25〜40℃である。現像時間は、膜厚や感光性樹脂組成物の溶解性に応じて適宜決定される。
(5)後加熱(ポストベーク)工程。ポストベークの温度としては50〜280℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは120〜240℃、特に好ましくは140〜230℃である。
ポストベークの時間は5分〜2時間である。
ポストベークは、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
ポストベークを行うことにより、有機EL素子用スペーサの弾性回復特性がさらに良好になる。
この後加熱(ポストベーク)工程においては、感光性樹脂組成物中の熱硬化性官能基を有する成分が反応して熱硬化するものと推定される。熱硬化性官能基としては、例えば、(C)または(D)のうちの加水分解性アルコキシ基、および(A)、(B)または(D)のうちの(メタ)アクリロイル基のうちで上記の露光工程で残存した微量の(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1 [親水性エポキシ樹脂の溶液(A−1)の製造]
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EOCN―102S」(日本化薬(株)製 エポキシ当量200)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート245部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸76部(1.07モル部)、トリフェニルホスフィン2部及びp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。
反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部(0.60モル部)を仕込み、さらに90℃にて5時間反応させ、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて親水性エポキシ樹脂の含有量が50%となるように希釈して、アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性エポキシ樹脂の50%溶液(A−1)を得た。
なお、この樹脂固形分換算としてのGPCによる数平均分子量(Mn):2,200、SP値:11.3、HLB値:6.4、酸価:91mgKOH/gであった。
製造例2 [アクリレート変性ポリシロキサン(D−1)の製造]
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン46部(0.2モル部)、ジフェニルジメトキシシラン160部(0.65モル部)とイオン交換水45g(2.5モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを6.7kPaの減圧下で2時間かけて除去し、アクリレート変性ポリシロキサン(D−1)(Mn:2,100)を得た。
製造例3 [酸発生剤溶液(F−2)の製造]
国際公開05/116038号パンフレットの実施例に記載の方法に従い、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの50重量%プロピレンカーボネート溶液(F−2)を合成した。
比較製造例1 [比較例5に配合するメタクリル酸系共重合体の溶液(G−1)の製造]
特開2009−75284号公報の合成例1に記載の方法に従い、メタクリル酸、メタクリル酸トリシクロデカン−8−イル、スチレン、ブタジエンおよびメタクリル酸グリシジルを反応させて、これらのメタクリル酸系共重合体の30重量%ジエチレングリコールメチルエチルエーテル溶液(G−1)を合成した。
比較製造例2 [比較例6に配合するメタクリル酸系共重合体の溶液(G−2)の製造]
特開2009−186838号公報の実施例1に記載の方法に従い、メタクリル酸、ジメチルブチロラクトンアクリレートおよびメタクリル酸グリシジルから、これらのメタクリル酸系共重合体の30重量%1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液(G−2)を合成した。
[感光性樹脂組成物の製造]
実施例1〜8および比較例1〜6
表1と表2の配合部数に従い、ガラス製の容器に各成分を仕込み、均一になるまで攪拌し、さらに有効成分の濃度が35%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して希釈し、本発明の実施例1〜8の感光性樹脂組成物、および比較例1〜6の感光性樹脂組成物を得た。
Figure 2012014931
Figure 2012014931
なお、表1と表2中の記号は以下の通りである。
(B−1):多官能(メタ)アクリレート:「NKエステルA−TMM−3Lnew」(ペンタエリスリトールトリアクリレート:新中村化学(株)社製)
(B−2):多官能(メタ)アクリレート:「DA−600」(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物:三洋化成工業(株)社製)
(B−3):多官能(メタ)アクリレート:「DPCA−120」(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)社製)
(B−4):多官能(メタ)アクリレート:「アロニックスM−520」(東亞合成(株)社製)
(C−1)カチオン重合性化合物:「サイメル303」(三井サイテック(株)社製)
(C−2)カチオン重合性化合物:「デナコールEX−411」(ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル:ナガセケムテックス(株)社製)
(E−1):光ラジカル重合開始剤:「イルガキュア907」(2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(E−2):光ラジカル重合開始剤:「イルガキュアOX02」(エタノン,1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9,H,−カルバゾール−3−イル)−,1−(O−アセチルオキシム):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(E−3):光ラジカル重合開始剤:「イルガキュア379」(2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(E−4):光ラジカル重合開始剤:「CGI242」(1−(9−(2−メチルベンゾイル)−9,H,−カルバゾール−3−イル)−1−(9−(2−メチルベンゾイル)−9,H,−カルバゾール−3−イル)−エタノン,1−(O−アセチルオキシム):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)
(F−1)酸発生剤:「サンエイドSI−150L」(芳香族スルホニウムSbF 塩:三新化学工業(株)社製)
本発明の実施例1〜8の感光性樹脂組成物、および比較例1〜5の感光性樹脂組成物について、アルカリ現像性、基板との密着性、弾性回復特性、解像度を以下に示す方法で測定・評価した。その結果を表1と表2に示す。
[アルカリ現像性の評価]
感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、80℃で3分間乾燥した。直径6〜20μmの開口部を多数有するパターンのフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を60mJ/cm照射した。なお、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いてシャワー現像30秒間を行った。水洗を施したのち、230℃で30分間ポストベークして有機EL素子用スペーサを基板上に多数形成した。
スペーサが形成されたこれらのガラス基板の表面上の残留物(1%炭酸ナトリウム水溶液に溶け残りのオリゴマーやモノマーなどのゲル状、固形状)の付着量により、下記の判定基準で現像性を評価した。
上記操作で得た基板を写真撮影し、画像データ処理により、基板上の残留物を定量的に確認した。判定基準は以下の通りである。
◎:基板上の残留物なし
○:基板上の残留物が認められるが5%未満
△:基板上の残留物の基板を覆う面積が5%〜75%未満
×:基板上の残留物の基板を覆う面積が75%以上
[スペーサの作製]
感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に、仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、80℃で3分間乾燥した。直径6μm〜20μmの開口部を有するパターンのフォトマスクを通して高圧水銀灯の光を60mJ/cm照射した。なお、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。
その後、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いてシャワー現像60秒間を行った。水洗を施したのち、230℃で30分間ポストベークしてスペーサを基板上に多数形成した。
なお、比較例1はアルカリ現像性が悪く、スペーサを形成できなかったため、ポストベーク以降の処理は行わず、以下の評価も行っていない。
また、上記スペーサとは別に、ポストベーク処理温度を、それぞれ200℃、150℃、100℃および50℃に変更した以外は上述の230℃でのスペーサの作製と同様にしてそれぞれの基板上にスペーサを多数形成した。
スペーサの下底径はスペーサが基板と接する部分の直径をレーザー顕微鏡(商品名、カラー3Dレーザー顕微鏡 VK−8700:キーエンス(株)社製)を用いて測定した。
実施例1〜8の感光性樹脂組成物、および比較例1〜6の感光性樹脂組成物を用いて作製したスペーサの下底径は、マスクの大きさに応じてそれぞれ7〜21μmの範囲、上底径は4〜19μmの範囲であった。
[密着性の評価]
LCDの小型化・高精細化に伴い、基板上に作製される有機EL素子用スペーサのサイズに10μmあるいはそれ以下のサイズが要求されるようになってきた。ところが、基板とスペーサとの接地面積が小さいほど、高い密着性が必要となる。すなわち密着性が高いスペーサほど、スペーサの下底径が小さくなっても、擦りなどによって剥がれにくくなる性能に優れる。そこで密着性は、スペーサの下底径を直径15μmと8μmの2水準に設定し、以下の綿棒こすり試験によって評価することとした。
上述のスペーサの作製と同様にして基板上にスペーサを多数形成した。これらのスペーサの中から下底径がそれぞれ15μmおよび8μmのスペーサについて、任意のスペーサ100個を判定の対象として選んだ。
アセトンに浸した綿棒を、縦横にそれぞれ10往復、2cm/秒の速度で、スペーサを形成した基板に擦りつけた後、基板上に存在していた任意のスペーサ100個の剥離状態を光学顕微鏡で観察し、密着性を評価した。
判定基準は以下の通りである。
◎:剥がれたスペーサの個数0個
○:剥がれたスペーサの個数1〜3個
△:剥がれたスペーサの個数4〜89個
×:剥がれたスペーサの個数90〜100個
[解像度の評価]
LCDの小型化・高精細化が進み、画素サイズが小さくなってきたことから、解像度として、10μmあるいはそれ以下のサイズでのパターニングが要求されるようになってきた。すなわち解像度が高いスペーサほど、マスクの残しパターンが小さくなっても、マスクの残しパターンと同じ大きさのスペーサを形成できる性能に優れる。
そこで解像度は、マスクの残しパターンを直径10μmに設定し、以下の試験によって評価することにした。
感光性樹脂組成物を、フォトマスクとして直径10μmの開口部を有するパターンのフォトマスクを使用した以外はスペーサの作製と同様にして、スペーサを基板上に多数形成した。レーザー顕微鏡にてスペーサの下底径を測定し、これを解像度の評価とした。下底径が小さいほど解像度が高いといえる。
スペーサの下底径による判定基準は以下の通りである。結果を表1と表2に示す。
○:11μm未満
△:11〜13μm
×:13μm以上
[弾性回復特性の評価]
スペーサの弾性回復特性は、一定の圧力がかかった時の「弾性回復率」によって評価することができる。弾性回復率(%)の値の高い方が弾性回復特性に優れる。
また、スペーサにかかる圧力が大きいときに、弾性回復率の値が高い方が弾性回復特性に優れる。
本発明において、弾性回復特性は以下の方法で、0.3mN/μmおよび0.5mN/μmの2水準の圧力条件下での弾性回復率を測定して評価することができる。
上述のようにして得られたスペーサについて、フィッシャースコープH−100(フィッシャーインストルメンツ社製)硬度測定器を用い、断面が正方形の平面圧子(50μm×50μm)により、25℃において、一定の負荷速度(圧力が0.3mN/μmの場合0.010mN/μm・秒、圧力が0.5mN/μmの場合0.017mN/μm・秒)で、30秒かけて所定の圧力まで圧力をかけ、5秒間保持した後、一定の除荷速度(圧力が0.3mN/μmの場合0.010mN/μm・秒、圧力が0.5mN/μmの場合0.017mN/μm・秒)で30秒かけて圧力を0まで除荷し、5秒間保持した時の荷重とスペーサ変形量とのヒステリシス曲線から総変形量T(μm)を求め、さらに塑性変形量T(μm)を求めて、所定の圧力における弾性回復率(%)を下式で算出する。
弾性回復率(%)=[(T−T)/T]×100
圧力としては、0.3mN/μmまたは0.5mN/μmの圧力でヒステリシス曲線を測定し、弾性回復率を算出し、弾性回復特性を評価した。
弾性回復率の判定基準は以下の通りである。
◎:80%以上
○:70〜80%
△:60〜70%
×:60%未満
本発明の有機EL素子用感光性樹脂組成物は実施例1〜8で示す通り、アルカリ現像性、露光感度、解像度、基板との密着性、および弾性回復特性のすべての点で優れている。また、光照射による硬化後、200℃以下の低温処理を採用した場合でも、本発明で得られる有機EL素子用スペーサは、基板との密着性に優れ、かつ弾性回復特性に優れている。
一方、感光性樹脂組成物が本特許の必須成分の親水性エポキシ樹脂を使用していない比較例1では、現像残留物が多くスペーサを形成できない。
また、本発明の必須成分の多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用していない比較例2では、弾性回復特性が低く、満足しない。本発明の必須成分のカチオン重合性化合物を使用していない比較例3では、基板との密着性および弾回復特性が低く、満足しない。本発明の必須成分のポリシロキサン化合物を使用していない比較例4では、基板との密着性および弾性回復特性が低く、満足しない。また多官能(メタ)アクリレートモノマーは使用しているが本発明の必須成分の親水性エポキシ樹脂、カチオン重合性化合物およびシロキサン化合物を使用しない比較例5や6では、基板との密着性および弾性回復特性が低く、満足しない。また、比較例1〜6のいずれも、低温処理を採用した場合、基板との十分な密着性および弾性回復特性が不十分である。
本発明の有機EL素子用感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性、露光感度、解像度、基板との密着性、および弾性回復特性が優れているため、カラーフィルタのオーバコート剤、さらにその他のレジスト材料、例えば、フォトソルダーレジスト、液晶ディスプレイ用の感光性スペーサ、感光性レジストフィルム、光接着剤、またはハードコート剤などの用途の感光性樹脂組成物としても有用である。
さらに、低温処理を採用した場合でも、基板との密着性、および弾性回復特性が優れているため、フレキシブルディスプレイ用のオーバーコート剤、有機EL素子の隔壁、有機EL素子の感光性絶縁膜、有機EL素子の防湿バリア膜用オーバーコート剤、タッチパネル用オーバーコート剤などの用途の感光性樹脂組成物としても有用である。

Claims (5)

  1. 分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上のカルボキシル基を有する親水性エポキシ樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、エポキシ基および/またはアルコキシ基を2個以上を分子内に有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、光ラジカル重合開始剤(E)、および酸発生剤(F)を必須成分として含有するアルカリ現像可能なネガ型の感光性樹脂組成物で、光照射による硬化物を200℃以下でポストベークさせて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子用スペーサの弾性回復率が50%以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用感光性樹脂組成物(Q)。
  2. 該シロキサン化合物(D)がさらに(メタ)アクリロイル基を含有する請求項1記載の感光性樹脂組成物(Q)。
  3. 該カチオン重合性化合物(C)が下記一般式(1)で表されるカチオン重合性化合物(C1)および一般式(2)で表されるカチオン重合性化合物(C21)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の感光性樹脂組成物(Q)。
    Figure 2012014931
    [R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表し、アルキル基またはグリシジル基の合計の数は2〜6個である。]
    Figure 2012014931
    [A〜Aはそれぞれ独立に、水素原子または−CHORを表す。Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはグリシジル基を表し、A〜A中のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、A〜Aのうち−CHORの数は2〜4個であり、さらに2〜4個のRのうち、アルキル基またはグリシジル基の合計の数は2〜4個である。]
  4. 感光性樹脂組成物の(A)〜(F)の合計に基づいて、該親水性エポキシ樹脂(A)を10〜70重量%、該多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を20〜80重量%、該カチオン重合性化合物(C)を5〜45重量%、該シロキサン化合物(D)を1〜30重量%、該光ラジカル重合開始剤を3〜12重量%、該酸発生剤(F)を1〜10重量%をそれぞれ含有する請求項1〜3のいずれか記載の感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の感光性樹脂組成物を硬化させて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子用スペーサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20170032318A (ko) 2014-07-18 2017-03-22 아사히 가라스 가부시키가이샤 네거티브형 감광성 수지 조성물, 수지 경화막, 격벽 및 광학 소자

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