JP4633772B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、光照射を含む工程により硬化し、アルカリ現像可能な液晶表示素子用の突起形成に用いられる感光性樹脂組成物と、該組成物を用いて形成した液晶表示素子用の突起に関するものである。
液晶ディスプレイは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御して表示側基板の透過光又は反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
液晶パネルの駆動方式には、TN(Twisted Nemachic)方式、IPS(In−Place−Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、単純マトリックス方式、アクティブマトリックス方式など種々の駆動方式がある。
さらに近年、液晶ディスプレイにおけるコントラストおよび視野角の改良の観点から、VA(Vertical Alignment)方式の中でも、特にMVA(Multi−domain Vertically Aligned)型LCD(垂直配向型液晶ディスプレイ)が開発されている。
このMVA型LCDは、負の誘電率異方性を有するネガ型液晶と垂直方向の配向膜を組み合わせた複屈折モードを利用したものであり、電圧を印加していない状態でも、配向膜に近い位置にある液晶の配向方向がほぼ垂直に維持されるため、コントラスト、視野角などに優れている。
このMVA型液晶ディスプレイにおいては、1つの画素領域で液晶が複数の配向方向をとりうるようにするための手段として、光の入射側電極基板上の同一画素領域内に、電極のスリットとは異なる位置に斜面を有する突起(半凸レンズ形状等)を形成している。
この突起形成に用いられる感光性樹脂組成物としては、非常に高い液晶配向性および電圧保持特性とアルカリ液に対する現像特性が求められる。この要望に対し、フェノール性水酸基を含有する親水性ポリマーを用いたものが検討されている(特許文献−1、2)。
しかしながら、この感光性樹脂組成物は、アルカリ液に対する現像特性が非常に悪い問題があった。
特開2004−333964号公報 特開2005−221974号公報
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、アルカリ現像性が良好な感光性樹脂組成物であって、かつ、その硬化物が優れた液晶配向性と電圧保持特性を有する液晶表示素子用の突起形成、特に垂直配向型液晶表示素子用の突起形成に用いられる感光性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する親水性樹脂(A)、ポリシロキサン(B)、および光ラジカル重合開始剤(C)を含有するアルカリ現像可能な液晶表示素子用の突起形成に用いられる感光性樹脂組成物(Q);及びこれを光照射を含む工程により硬化させて形成された液晶表示素子用の突起である。
本発明の感光性樹脂組成物及びそれから得られた垂直配向型液晶表示素子用の突起は、以下の効果を奏する。
・感光性樹脂組成物はアルカリ現像性に優れている。
・液晶表示素子用の突起は液晶配向性に優れている。
・液晶表示素子用の突起は電圧保持特性に優れている。
本発明の感光性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する親水性樹脂(A)[以下において、親水性樹脂(A)又は単に(A)と表記する場合がある]、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するポリシロキサン(B)[以下において、単に(B)と表記する場合がある]、および光ラジカル重合開始剤(C)[以下において、単に(C)と表記する場合がある]を含有し、アルカリ現像性に優れ、かつ液晶配向性、電圧保持特性に優れる液晶表示素子用の突起を提供するものである。
本発明の液晶表示素子用の突起は液晶分子の配向のために使用されるものであり、カラーフィルタ基板と薄膜トランジスタ(TFT)基板の両基板間に液晶層の厚みを保つために使用されるフォトスペーサとは目的および用途が全く異なるものである。
即ちフォトスペーサは、基板間の画素を避けた位置に、例えば柱状の形状で形成することで、液晶表示品質即ち液晶分子の配向性にはできるだけ影響を及ぼさないようにしつつ、両基板間の間隔を均一に精度よく保つ機能のみを目的とするのに対し、本発明の突起は、基板上にドーム状の突起物として形成することで、基板間に封入された液晶を突起表面に配向させ、1つの画素領域で液晶分子が複数の配向方向をとりうるようにし、好ましい光学特性を実現させるためのものである。
なお、上記及び以下において、例えば「(メタ)アクリレート」などの(メタ)を付した表現は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」などを意味する。
以下において、本発明の感光性樹脂組成物の必須構成成分である(A)〜(C)について、順に説明する。
本発明における親水性樹脂(A)における親水性の指標はHLBにより規定され、一般にこの数値が大きいほど親水性が高いことを示す。
(A)のHLB値は、(A)の樹脂骨格(例えば、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂など)によって好ましい範囲が異なるが、好ましくは4〜19、さらに好ましくは5〜18、特に好ましくは6〜17である。4以上であればフォトスペーサの現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。なお、本発明におけるHLBは、小田法によるHLB値であり、親水性−疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
また、(A)の溶解度パラメーター(以下、SP値という。)は、好ましくは7〜14、さら好ましくは8〜13、特に好ましくは11〜13である。7以上であるとさらに現像性が良好に発揮でき、14以下であると硬化物の耐水性がさらに良好である。
本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE, FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」
SP値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(分散性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
(A)は1分子中に平均で少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する。(メタ)アクリロイル基を有することにより光硬化性を良好に発揮することができる。
(A)が含有する(メタ)アクリロイル基の量は(メタ)アクリロイル基濃度(mmol/g)で示される。
(A)中の好ましい(メタ)アクリロイル基の濃度は、1.0〜5.0mmol/g、さらに好ましくは2.0〜4.0mmol/gである。
本発明における(メタ)アクリロイル基の濃度は、二重結合へのアミンの付加反応(マイケル付加)を利用した滴定法により測定できる。方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いてアセトン約10mlを加え溶解する。
(ii)モルホリン標準液[モルホリンとメタノールを1:4(容量比)で混合したもの]10mlを加え、さらに50%酢酸標準液[酢酸とイオン交換水を1:1(容量比)で混合したもの]1.5mlを加えてよく振とうした後、室温で15分間放置する。
(iii)アセトニトリル15ml及び無水酢酸10mlを上記三角フラスコに加えよく振と
うする。
(iv)記録式自動滴定装置を用いて、0.5mol/Lの塩酸・メタノール滴定用溶液を用いて滴定する。(v)同時に空試験を実施し、下式にて決定する。
二重結合濃度(mmol/g) = f × (A−B) / 2S
ただし、A:試料の滴定に要した0.5mol/L塩酸・メタノール滴定用溶液のm
L数。
B:空試験に要した0.5mol/L塩酸・メタノール滴定用溶液のmL数。
f:0.5mol/L塩酸・メタノール滴定用溶液の力価。
S:試料採取量(g)
(A)は1分子中に少なくとも平均で1個のカルボキシル基を有する。
(A)が含有するカルボキシル基の量は酸価で示される。
(A)の酸価は、10mgKOH/g以上であると、現像性がさらに良好に発揮されやすく、500mgKOH/g以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
本発明における酸価はアルカリ性滴定溶液を用いた指示薬滴定法により測定できる。
方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いて中性メタノール・アセトン溶液[アセトンとメタノールを1:1(容量比)で混合したもの]を加え溶解する。
(ii)フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液で滴定する。指示薬の微紅色が30秒続いたときを中和の終点とする。
(iii)次式を用いて決定する。
酸価(KOHmg/g)=(A×f×5.61)/S
ただし、A:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液のmL数。
f:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液の力価
S:試料採取量(g)
(A)としては、エポキシ樹脂を変成してなる親水性樹脂(A1)(以下、単に(A1)と表記する場合がある)、親水性ビニル系ポリマー(A2)、親水性ポリエステル樹脂(A3)、親水性ポリアミド樹脂(A4)、親水性ポリカーボネート樹脂(A5)および親水性ポリウレタン樹脂(A6)などが挙げられる。(A)は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、感光性樹脂組成物の光硬化反応性の観点と液晶配向性の観点から、好ましいのは(A1)である。
(A1)の好ましい製造法は、エポキシ樹脂(A10)(以下、単に(A10)と表記する場合がある)中のエポキシ基に、(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸を反応させてエポキシ基を開環させて水酸基を生成させ、該水酸基の一部に多価カルボン酸もしくは多価カルボン酸無水物(e)(以下、単に(e)と表記する場合がある)を反応させる方法である。
(A10)としては、脂肪族エポキシ樹脂[例えばエポトートYH−300、PG−202、PG−207(いずれも東都化成社製)など]や脂環式エポキシ樹脂[例えばCY−179、CY−177、CY−175(いずれも旭化成エポキシ社製)など]や芳香族エポキシ樹脂[例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニール型エポキシ樹脂おおびグリシジル変性ポリビニルフェノールなど]が挙げられる。
(A10)のうち好ましいのは硬化性の観点から芳香族エポキシ樹脂である。
(A1)の製造に使用される(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸としては、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。
(A1)の製造に使用される多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物(e)としては、不飽和多価カルボン酸(例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸など)およびそれらの無水物(例えば、無水マレイン酸など)、並びに飽和多価(2〜6価)カルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸およびオクタデセニルコハク酸などの脂肪族飽和多価カルボン酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸およびナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸)およびそれらの無水物(例えば、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ペンタデセニル無水コハク酸およびオクタデセニル無水コハク酸などの脂肪族飽和多価カルボン酸無水物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物およびナフタレンテトラカルボン 酸無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物)が挙げられる。好ましいのは、反応性及び現像性の観点から飽和多価カルボン酸無水物である。
(A1)の製造における、(メタ)アクリル酸/(A10)の仕込み重量比は、好ましいのは(A1)の(メタ)アクリロイル基の濃度が1.0mmol/g以上となるような(メタ)アクリル酸の仕込み重量比である。アクリル酸/(A10)の重量比は上記の観点から、好ましくは0.072以上/1、さらに好ましくは0.079〜0.72/1である。また、メタクリル酸の重量比は上記の観点から、好ましくは0.092以上/1、さらに好ましくは0.10〜0.92/1である。
(A10)と(メタ)アクリル酸の反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは5〜30時間である。また、必要により触媒(例えば、トリフェニルホスフィンなど)およびラジカル重合禁止剤(ヒドロキノン、p−メトキシフェノールなど)を用いてもよい。
また、(A10)の(メタ)アクリル酸付加物の重量に対する、多価カルボン酸もしくは多価カルボン酸無水物(e)の仕込み当量は、(A1)の酸価が、好ましくは10〜500mgKOH/gとなるような仕込み当量であり、例えば、(e)が2価カルボン酸もしくはその無水物である場合、[(e)の仕込み当量(ミリ当量)]/[(A10)の(メタ)アクリル酸付加物の重量(g)]は、上記の観点から、好ましくは0.18〜8.9ミリ当量/g、さらに好ましくは0.53〜7.1ミリ当量/gである。
(A10)の(メタ)アクリル酸付加物と(e)との反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは3〜10時間である。
(A1)のMnは、感光性樹脂組成物としての光硬化反応性と現像性の観点から、通常500〜3,0000、好ましくは1,000〜1,0000、特に好ましくは1,500〜5,000である。
(A1)のHLB値は、好ましくは4〜14、さらに好ましくは5〜13、特に好ましくは6〜12である。(A1)のHLBが4以上であれば、現像性が良好に発揮でき、14以下であれば後述のポリシロキサン(B)との相溶性が確保できる。
(A1)のSP値は、後述の(B)のSP値との差を−4.0〜4.0に設定し易いという観点、現像性の観点および耐水性の観点から、好ましくは9〜14、さらに好ましくは10〜13、特に11〜13である。
本発明において感光性樹脂組成物(Q)中の成分として含まれるポリシロキサン(B)としては、加水分解性アルコキシ基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン である。親水性ポリマー(A)との相溶性の観点と、電圧保持特性の観点から、好ましい。
加水分解性アルコキシ基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン()としては、一般式(2)で示される加水分解性アルコキシ基を、1分子中に2個以上有するものが挙げられる。
Figure 0004633772
式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびsec−ブチル基などが挙げられ、好ましいのはメチル基およびエチル基である。
一般式(1)で示される加水分解性アルコキシ基は、ポリシロキサンのいずれの部分に存在してもよく、例えば、分子末端にのみ、または分子中の繰り返し単位に存在していてもよい。
(B1)は、低分子シラン化合物の縮合、およびポリシロキサンへのアルコキシ基の導入などによって得られる。
(B1)のうち、低分子シラン化合物の縮合によって得られるものとしては、一般式(1)で表されるシラン化合物(b1)を必須構成単量体とし、そのアルコキシ基[一般式(1)中のOR3]の一部が縮合反応して高分子化した縮合物が挙げられる。
Figure 0004633772
式中、R1は、アルキル基の炭素数が1〜6の、(メタ)アクリロイロキシアルキル基、グリシドキシアルキル基、メルカプトアルキル基及びアミノアルキル基からなる群から選ばれる1種以上の有機基、R2は炭素数1〜12の脂肪族飽和炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、R3は炭素数1〜4のアルキル基、mは0または1である。
1は(c1)の縮合反応工程では反応せずに、縮合反応後もポリシロキサン(C)中に残存し、本発明の感光性樹脂組成物が熱硬化する際の熱硬化反応に寄与する官能基である。
1として好ましいものは光硬化性の観点から(メタ)アクリロイロキシアルキル基および熱硬化性の観点からグリシドキシアルキル基である。
2のうち、脂肪族飽和炭化水素基としては、直鎖アルキル基、分岐アルキル基および脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。
直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよびn−ドデシル基およびこれらの重水素置換体、分岐アルキル基としてはイソプロピル、イソブチル、sec−ブチルおよび2−エチルヘキシル基など、並びに環式飽和炭化水素基としてはシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基およびメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基およびアルキルアリール基が挙げられる。
アリール基としてはフェニル、ビフェニル、ナフチル基およびこれらの重水素、フッ素もしくは塩素の各置換体;アラルキル基としてはトリル、キシリル、メシチルおよびこれらの重水素、フッ素もしくは塩化物;並びに、アルキルアリール基としてはメチルフェニルおよびエチルフェニル基などが挙げられる。
2のうち好ましいのは硬化反応性の観点から直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびアリール基、さらに好ましいのは直鎖アルキル基およびアリール基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびsec−ブチル基などが挙げられ、好ましいのは熱硬化反応性の観点からメチル基およびエチル基である。
一般式(1)において、R1として(メタ)アクリロイロキシアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・3−メタクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン等
1としてグリシドキシアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等
1としてメルカプトアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等
1としてアミノアルキル基を有するシラン化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
mが0、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物・・・N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等
mが1、すなわちアルコキシ基を2個有する3官能シラン化合物・・・N−2アミノエチルγーアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2アミノエチルγーアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等
(c1)のうち、さらに好ましいのは、アルコキシ基を3個有する(メタ)アクリロイロキシアルキル基含有3官能シラン化合物、およびアルコキシ基を3個有するグリシドキシアルキル基含有3官能シラン化合物であり、特に好ましいのは、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
(B1)としては、シラン化合物(b1)のみからなる単独縮合重合体、並びに(c1)および(b1)と共縮合可能な1種類以上の他のシラン化合物(b2)の共縮合体が挙げられる。
他のシラン化合物(b2)としては、一般式(3)で表されるシラン化合物が挙げられる。
2 nSi(OR34n (3)
式中、R2は炭素数1〜12の脂肪族飽和炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であり、R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。
2およびR3は上記で例示したものが挙げられる。
2のうち好ましいのは直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびアリール基、さらに好ましいのは直鎖アルキル基およびアリール基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基およびこれらの併用である。
3として好ましいのはメチル基およびエチル基である。
一般式(3)において、nが0、すなわちアルコキシ基を4個有する4官能シラン化合物としては、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシラン等が挙げられる。
nが1、すなわちアルコキシ基を3個有する3官能シラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
nが2、すなわちアルコキシ基を2個有する2官能シラン化合物としては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシランおよびフェニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
ポリシロキサン(B1)の均一なネットワークの形成の観点から、これらのうち好ましくは、nが1、すなわち3官能シラン化合物である。
他のシラン化合物(b2)の仕込み割合は、硬化反応性の観点から好ましくは(b1)1モルに対し、他のシラン化合物(b2)の合計が0.1〜6.0モル、さらに好ましくは、0.2〜4.0モルが良好である。
上記のシラン化合物(b1)の縮合物(B11)は、例えば、乾燥雰囲気下で、シラン化合物(b1)中に所定量の水および必要により触媒を攪拌しながら約10分〜60分かけて滴下し、その後副生するアルコールの沸点以下の温度(例えば0〜150℃)で1〜12時間かけて熟成することにより得ることができる。
反応において添加する水の量をXモル、シラン化合物(b1)中のアルコキシ基のモル数をYとした場合、X/Yが小さすぎると縮合物の収量と分子量が低下する。一方、X/Yが大きすぎる場合は分子量が大きくなりすぎて保存安定性が低下する傾向にある。このことから、0.1<X/Y<5の範囲、好ましくは0.3<X/Y<3の範囲で行うことが好ましい。添加する水は通常イオン交換水または蒸留水を用いる。また、分子量調整の目的で1個の加水分解性アルコキシ基を有するシラン化合物を添加することもできる。1個の加水分解性アルコキシ基を有するシラン化合物としては、例えばフェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
触媒としては蟻酸、酢酸、蓚酸、乳酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、ピロメリット酸、p―トルエンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフォン酸などの1価、2価もしくは3価の有機酸;塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、塩素酸および過塩素酸などの無機酸;アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、第4級アルキルアンモニウムの水酸化物や炭酸塩および1〜3級アミン類などのアルカリ塩;第4級アルキルアンモニウムハロゲン化物;次亜塩素酸ナトリウム;スズ、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウムおよび硼素などのケイ素以外の金属のアルコキシドおよびそれらのキレート錯体;などをあげることができ、この中で有機酸、無機酸、金属アルコキシド、金属アルコキシドのキレート化合物など酸性触媒が好ましく、有機酸が特に好ましい。
触媒の添加量は(b1)100重量部に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは、0.001〜1重量部である。触媒の添加方法は特に規定されないが好ましくは水溶液として加える。また、好ましい反応温度は20℃〜100℃である。
2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するポリシロキサン(B1)のうち、ポリシロキサンへのアルコキシ基の導入によって得られるものとしては、1分子中に加水分解性アルコキシ基および他の反応性官能基を有するシラン化合物(b3)と、該反応性官能基と反応しうる官能基を1分子中に2個以上有するポリシロキサン(b4)との反応物(B12)が挙げられる。
(b3)における他の反応性官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基及びグリシジル基などが挙げられる。
(b3)としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(b4)中の官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基およびメルカプト基等が挙げられ、例えば、(b3)中の他の反応性官能基がグリシジル基の場合は、(b4)中の官能基はカルボキシル基またはアミノ基であることが好ましく、(b3)中の他の反応性官能基がメルカプト基の場合は、(b4)中の官能基はグリシジル基またはカルボキシル基であることが好ましい。
(b4)としては、例えば、カルボキシル基を両末端に有するポリシロキサン、アミノ基を両末端に有するポリシロキサン、およびグリシジル基を両末端に有するポリシロキサンなどが挙げられる。
(B12)の製造方法としては、例えば、カルボキシル基を両末端に有するポリシロキサンに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて得られる。
この場合の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは5〜30時間である。また、必要により触媒(例えば、トリフェニルホスフィンなど)を用いることもできる。
得られた(B)は、必要に応じ、所定の溶剤を加え希釈することができる。突起形成用の感光性樹脂組成物としての適切な溶剤による希釈をこの段階で行うことが好ましい。溶剤としては後述の(D4)が挙げられる。(D4)はポリシロキサン(B)100重量部に対して、0〜1,000重量部、好ましくは40〜250重量部用いられる。
(B)は、相溶性及び現像性の観点から、親水性ポリマー(A)とのSP値の差が好ましくは−4.0〜4.0、さらに好ましくは−2.0〜3.8、特に好ましくは−0.5〜3.6、最も好ましくは0〜3.4である。
(B)のSP値は、前述の(A)のSP値との差を−4.0〜4.0に設定し易いという観点から、好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜12、特に8〜11、とりわけ8〜10.5である。
(B)のSP値を上記の好ましい範囲にするには、例えば以下の方法で行うことができる。
(1)目的の化学組成を上記文献に記載の各原子団に分解して、それぞれの原子団の蒸発エネルギーとモル体積からSPを計算する。
(2)SP値が、好ましい下限未満であれば、蒸発エネルギーが比較的大きくモル体積が比較的小さい種類の原子団(例えば、水酸基、カルボキシル基など)の導入、さらには、その数を増した分子設計を行う。
(3)SP値が、好ましい上限を超えるのであれば、蒸発エネルギーが比較的小さくモル体積が比較的大きい種類の原子団(例えば、メチル基、アルキレン基など)の導入、さらには、その数を増した分子設計を行う。
(B)のMnは、硬化物となったときの電圧保持特性の観点から、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜50,000、特に好ましくは2,000〜20,000である。
感光性樹脂組成物(Q)中の1つの成分として用いられる光ラジカル重合開始剤(C)としては例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ミヒラーズケトン、ベンジル−2,4,6−(トリハロメチル)トリアジン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9ーアクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、ジメチルベンジルケタール、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、トリブロモメチルフェニルスルホン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。(C)は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)は、市販のものが容易に入手することができ、例えば2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンとしては、イルガキュア907、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンとしては、イルガキュア369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明における感光性樹脂組成物(Q)は、上記の(A)、(B)及び(C)を含有してなり、(Q)の固形分の合計重量に基づくそれぞれの成分の含有量は以下の通りである。
(A)の含有量は、50〜98%(以下において、特に限定しない限り%は重量%を表す)が好ましく、さらに好ましくは60〜97%、特に好ましくは70〜96%である。
50%以上であればさらに良好に現像性を発揮でき、98%以下であれば硬化物の電圧保持特性がさらに良好になる。なお、本発明における「固形分」とは、溶剤以外の成分をいう。
(B)の含有量は、1.5〜45%が好ましく、さらに好ましくは2.5〜37%、特に好ましくは3.5〜29%である。1.5%以上であれば液晶配向性がさらに良好に発揮でき、45%以下であれば現像性がさらに良好に発揮できる。
(C)の含有量は、0.01〜8%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜7%である。0.01%以上であれば光硬化反応性がさらに良好に発揮でき、8%以下であれば解像度がさらに良好に発揮できる。
感光性樹脂組成物(Q)において、(A)の合計重量に対する(C)の含有量は、硬化性の観点から、0.02〜10%であることが好ましく、さらに0.05〜8%であることが好ましい。
感光性樹脂組成物(Q)は、必要によりさらにその他の成分(D)を含有していてもよい。
(D)としては、無機微粒子(D1)、増感剤(D2)、重合禁止剤(D3)、溶剤(D4)、酸発生剤(D5)、多官能(メタ)アクリレートモノマー(D6)並びにその他の添加剤(D7)(例えば、無機顔料、シランカップリング剤、染料、蛍光増白剤、黄変防止剤、酸化防止剤、消泡剤、消臭剤、芳香剤、殺菌剤、防菌剤及び防かび剤等)が挙げられる。
無機微粒子(D1)としては、金属酸化物および金属塩が使用できる。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素および酸化アルミニウム等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウム等が挙げられる。
これらのうちで、耐熱透明性および耐薬品性の観点から、金属酸化物が好ましく、さらに好ましくは、酸化ケイ素および酸化チタン、特に酸化ケイ素が好ましい。
無機微粒子は、体積平均一次粒子径が1〜200nm、透明性の観点から、好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜120nm、特に好ましくは5〜20nmのものである。
感光性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく(D1)の含有量は、通常0〜50%、好ましくは1〜45%、特に好ましくは2〜40%である。50%以下であれば現像性がさらに良好に発揮でき、2〜40%であれば、特に弾性回復特性が優れる。
増感剤(D2)としては、ニトロ化合物(例えば、アントラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン,ベンズアントロン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニル等のカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン及び2−ニトロフルオレン等)、芳香族炭化水素(例えば、アントラセン及びクリセン等)、硫黄化合物(例えば、ジフェニルジスルフィド等)及び窒素化合物(例えば、ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−ニトロ−2−アミノトルエン及びテトラシアノエチレン等)等が用いられる。
光重合開始剤(D)の重量に基づく増感剤(D2)の含有量は、通常0.1〜100%、好ましくは0.5〜80%、特に好ましくは1〜70%である。
重合禁止剤(D3)としては、特に限定はなく、通常の反応に使用するものが用いられる。具体的には、ジフェニルヒドラジル、トリ−p−ニトルフェニルメチル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ニトロベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド及び塩化銅(II)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく重合禁止剤(D3)の含有量は、0〜1.0%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5%、特に好ましくは0.02〜0.1%である。
溶剤(D4)としては、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノアルキルエーテルおよびプロピレングリコールモノアルキルエーテルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなど)、およびエステル類(ブチルアセテート、エチレングリコールアルキルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)が挙げられる。上記溶剤のうち好ましいのはケトン類およびエステル類である。
溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物(Q)の重量に基づいて、30〜90%が好ましく、さらに好ましくは30〜80%である。なお、溶剤の配合量には前述の(A)および(B)の製造に使用される溶剤も含まれる。
酸発生剤(D5)は光又は熱で酸を発生する化合物であり、光又は熱硬化反応の促進のために添加されるものである。
(D5)としては、下記の(i)スルホン化合物、(ii)スルホン酸エステル化合物、(iii)スルホンイミド化合物、(iv)ジスルホニルジアゾメタン(v)ジスルホニルメタンおよび(iv)オニウム塩が挙げられる。
(i)スルホン化合物
フェナシルフェニルスルホン、4−トリスフェナシルスルホン−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンおよびこれらのα−ジアゾ化合物等
(ii)スルホン酸エステル化合物
ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、α−メチロールベンゾイントシレートおよびα−メチロールベンゾインドデシルスルホネート等
(iii)スルホンイミド化合物
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロオクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(ベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド等
(iv)ジスルホニルジアゾメタン化合物
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタンおよびビス(1、4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン等
(iv)オニウム塩
スルホニウム塩〔ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、アリルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート塩等〕、
ヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等)、ホスホニウム塩(エチルトリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート等)、ジアゾニウム塩(フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等)、アンモニウム塩(1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート等)、およびフェロセン〔(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート等〕等
(D5)のうち、好ましいのは好ましくはスルホンイミド化合物およびジスルホニルジアゾメタン化合物であり、さらに好ましくは、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンである。
感光性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく(D5)の含有量は、10%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜7%、特に好ましくは0.05〜5%である。0.001%以上であれば電圧保持特性がさらに良好に発揮でき、10%以下であれば現像性がさらに良好に発揮できる。
多官能(メタ)アクリレートモノマー(D6)としては、公知の多官能(メタ)アクリレートモノマーであれば、とくに限定されずに用いられ、2官能(メタ)アクリレート(D61)、3官能(メタ)アクリレート(D62)および4〜6官能(メタ)アクリレート(D63)が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレート(D61)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
3官能(メタ)アクリレート(D62)としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等が例示される。
4〜6官能(メタ)アクリレート(D63)としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が例示される。
(D6)のうち好ましいものは、(D62)及び(D63)、さらに好ましくはジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびこれらの併用である。市場から容易に入手できる(D6)としては、例えば、アロニックスM−403(東亞合成(株)製)、ライトアクリレートPE−3A(共栄社化学(株)製)、ネオマーDA−600(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
(Q)の固形分の重量に基づく(D6)の含有量は、20%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15%、特に好ましくは1〜10%である。0.5%以上であれば、硬化物の光硬化反応性がさらに好ましくなり、20%以下であれば、さらに液晶配向性が良好になる。
(D)の含有量の合計は、感光性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常80%以下、好ましくは70%以下である。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、例えば、プラネタリーミキサーなどの公知の混合装置により、上記の各成分を混合等することにより得ることができる。
また感光性樹脂組成物は、通常、室温で液状であり、その粘度は、25℃で0.1〜100mPa・s、好ましくは1〜20mPa・sである。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、現像性に優れ、かつその硬化物は液晶配向性および電圧保持特性に優れているので、液晶表示素子用の突起形成用、特に垂直配向型液晶表示素子用の突起形成用の感光性樹脂組成物として適している。
以下において本発明の液晶表示素子用の突起について説明する。
本発明の液晶表示素子用の突起は、上記の感光性樹脂組成物(Q)を光照射を含む工程により硬化させて形成された、液晶配向制御のために設けられる突起である。
本発明の突起の好ましい形成工程は、光照射の後、アルカリ現像してパターン形成し、さらにポストベークを行う工程である。
突起の形成は、通常、以下(1)〜(5)の工程で行われる。
(1)液晶表示素子の基板の着色層上に設けられた透明共通電極上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布する工程。
塗布方法としては、ロールコート、スピンコート、スプレーコートおよびスリットコート等が挙げられ、塗布装置としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
膜厚は、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
(2)塗布された感光性樹脂組成物層を、必要に応じて熱を加えて乾燥させる(プリベーク)工程。
乾燥温度としては、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは12〜90℃、特に15〜60℃、とりわけ20〜50℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜10分、さらに好ましくは1〜8分、特に好ましくは2〜5分である。乾燥は、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
(3)所定のフォトマスクを介して、活性光線により感光性樹脂組成物層の露光を行う工程。使用されるフォトマスクの開口部の大きさは、好ましくは直径4〜15μm以上、さらに好ましくは直径6〜12μmであり、4〜15μmであれば精度良くパターンを形成することができる。例えば、開口部が直径4〜15μmであれば、直径6〜18μm程度のパターンを得ることができる。
活性光線としては、可視光線、紫外線、レーザー光線等が挙げられる。光線源としては、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、半導体レーザー等が挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cm2である。
露光を行う工程においては、感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する成分が反応して光硬化反応する。
(4)続いて未露光部を現像液で除去し、現像を行う工程。
現像液は、通常、アルカリ水溶液を用いる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウムおよびヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機アルカリの水溶液が挙げられる。これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。現像液の温度は、好ましくは25〜40℃である。現像時間は、膜厚や感光性樹脂組成物の溶解性に応じて適宜決定される。
(4)後加熱(ポストベーク)工程
ポストベークの温度としては、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜240℃、特に好ましくは180〜230℃である。ポストベークの時間は5分〜6時間、好ましくは15分〜4時間、特に好ましくは30分〜3時間である。
ベークは、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
ポストベークの際には、突起の形状が、活性光線による露光後には円柱状であったものが、一部溶融しながら硬化が進行するため、ドーム状の形状になり、液晶表示素子用として好ましい形状やサイズ(例えば、高さ1.0〜2.0μm、下底径8.0〜12.0μm)になりやすい。
後加熱工程においては、感光性樹脂組成物中の熱硬化性官能基を有する成分が反応して熱硬化するものと推定される。
熱硬化性官能基としては、例えば、(B)のうちの加水分解性アルコキシ基、グリシジル基、メルカプト基またはアミノ基、並びに(A)または(B)のうちの(メタ)アクリロイル基のうちで上記の露光工程で残存した微量の(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
上記の工程により形成された突起の高さは、0.1〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.5μm、特に好ましくは1.0〜2.0μmである。
上記の工程は、形状およびサイズ(高さや上底・下底径)の制御が容易であり、パターン形状、耐熱性、耐溶剤性および透明性等に優れた微細な突起を安定して生産性よく形成することができ、かつ液晶配向性および電圧保持率特性等に優れた液晶表示素子をもたらすことができる。
[実施例]
以下、実施例および製造例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。
[親水性樹脂(A)の製造]
<製造例1>
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂EOCN―102S(日本化薬製 エポキシ当量200)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート245部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸76部、トリフェニルホスフィン2部、およびp−メトキシフェノール 0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部を仕込み、さらに90℃5時間反応させ、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで固形分含有量が25%となるように希釈し、アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性樹脂(A−1:Mn:2,200、SP値:11.26、HLB値:6.42、酸価:91mgKOH/g、アクリロイル基濃度:2.86mmol/g)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(固形分含量は25%)。
なお、MnはGPC測定機器(HLC−8120GPC、東ソー(株)製)、カラム(TSKgel GMHXL2本+TSKgel Multipore HXL−M、東ソ(株)製)を用いて、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。また、SP値、HLB値、酸価、アクリロイル基濃度は、前述のようにして求めた。以下の製造例および比較例についても同様の測定法である。
<製造例2>
製造例1と同様のコルベンに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂EPPN―201(日本化薬製 エポキシ当量190)190部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート238部を仕込み、110℃まで加熱して均一溶解させた。続いて、アクリル酸76部、トリフェニルホスフィン2部、およびp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部を仕込み、さらに90℃5時間反応させ、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで固形分含有量が25%となるように希釈し、アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性樹脂(A−2:Mn:2,300、SP値:11.91、HLB値:6.81、酸価:94mgKOH/g、アクリロイル基濃度:2.94mmol/g)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(固形分含量は25%)。
<比較製造例1>
製造例1と同様のコルベンに、クレゾールノボラック樹脂(旭有機材(株)社製EP−4020G)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート238部を仕込み、110℃まで加熱して均一溶解させた。続いて、ジブチル錫ジラウリレート0.1部、イソシアナトエチルメタクリレート20部を仕込み、60℃にて5時間反応させ、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで固形分含有量が25%となるように希釈し、アクリロイル基を有する親水性樹脂(A−1’:Mn:2,100、SP値:13.46、HLB値:6.41、酸価:0mgKOH/g、アクリロイル基濃度:1.34mmol/g)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(固形分含量は25%)。
<比較製造例2>
製造例1と同様のコルベンに、イソボルニルメタクリレート50部(33モル%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部(33モル%)、メタクリル酸20部(34モル%)、およびシクロヘキサンノン150部を仕込み、80℃まで加熱した。系内の気相部分を窒素で置換したのち、あらかじめ作成しておいたアゾビスイソブチロニトリル(V−60:和光純薬製、以下AIBNと称す)5部をシクロヘキサノン50部に溶解した溶液55部を80℃のコルベン中に10分間で滴下し、さらに同温度で3時間反応させ、カルボキシル基を有する親水性ポリマー(A−2’)(Mn:8,800、SP値:11.86、HLB値:11.98、酸価:102mgKOH/g)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。
[ポリシロキサン(B)の製造]
<製造例B−1>
加熱冷却・攪拌措置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン46部(0.2モル部)、ジフェニルジメトキシシラン160部(0.65モル部)とイオン交換水45g(2.5モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを50mmHgの減圧下で2時間かけて除去した。その後、シクロヘキサノンで固形分含有量が25%となるように希釈し、ポリシロキサン(B−1)(Mn:2,100、粘度:20mPa・s、SP値:9.36)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。また、粘度は25℃の定温下にてBL型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。以下の製造例および比較例についても同様の測定法である。
<製造例B−2>
製造例B−1と同様のコルベンに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン170部(0.82モル部)、フェニルトリメトキシシラン40部(0.20モル部)、ジフェニルジメトキシシラン30部(0.12モル部)とイオン交換水40g(2.2モル部)と、シュウ酸0.1部(0.001モル部)を仕込み、60℃、6時間の条件で加熱撹拌し、さらにエバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを50mmHgの減圧下で2時間かけて除去した。その後、シクロヘキサノンで固形分含有量が25%となるように希釈し、ポリシロキサン(B−2)(Mn:7,800、粘度:70mPa・s、SP値:8.69)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含有量は25%)。
<実施例1〜6および比較例1〜4>
[感光性樹脂組成物の製造]
表1の配部数[それぞれの成分の見かけの重量部、なお( )内は、熱硬化性樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく各成分の固形分の重量%(小数点以下1桁を四捨五入)を表す。]に従い、ガラス製の容器に各親水性樹脂の溶液、ポリシロキサンの溶液を仕込み、さらに下記の(C−1)、(D−6)を仕込み、均一になるまで攪拌し、さらに追加の溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を添加して実施例の感光性樹脂組成物(Q1)〜(Q6)、および比較例の感光性樹脂組成物(Y1)〜(Y4)を製造した。なお、表1中の略号のうち上記以外のものは以下の通り。
B−3:片末端メタアクリロイル基変性ポリシロキサン(「X−22−174DX」:信越化学工業社製)(粘度:60mPa・s、SP値:7・95)、
C−1(光ラジカル重合開始剤):「イルガキュア907」(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、
D−6(多官能(メタ)アクリレート):「ネオマーDA−600」(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:三洋化成工業(株)製)(SP値:10.55)
Figure 0004633772
[現像性の評価]
感光性樹脂組成物(Q1)〜(Q6)、および(Y1)〜(Y4)を、それぞれガラス基板上に仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、25℃で5分間乾燥し、その後1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30秒間現像を行い、現像性を評価した。結果を表1に示す。評価基準は以下の通りである。
◎:目視により残留物無し。
○:目視により残留物わずかにあり。
△:目視により残留物が多い。
[垂直配向型液晶表示素子用の突起の作製]
感光性樹脂組成物(Q1)〜(Q6)、および(Y1)〜(Y4)を、それぞれITO(錫をドープした酸化インジウム)を製膜したガラス基板に、仕上り膜厚が2μmになるようにスピンコートし、25℃で5分間乾燥した。フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を100mJ/cm2照射した。尚、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。その後1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像をした。水洗を施したのち、230℃で60分間ポストベークして垂直配向型液晶表示素子用の突起をITO膜を有するガラス基板上に形成した。
[液晶配向性および電圧保持特性の測定]
上記の突起を形成したガラス基板に、液晶配向剤としてAL1H659(商品名)[JSR(株)製]を、液晶配向膜塗布用印刷機により塗布した。そののち、160℃で2時間乾燥して、膜厚0.05μmの被膜を形成した。
また、感光性樹脂組成物を塗布していないガラス基板に、液晶配向剤としてAL1H659を、上記と同様に塗布し、160℃で2時間乾燥して、膜厚0.05μmの被膜を形成した。
次いで、得られた両基板のそれぞれの液晶配向膜の外面に、エポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布し、両基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着したのち、接着剤を硬化させた。その後、液晶注入口より両基板間に、メルク社製液晶MLC−6608(商品名)を充填して、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止したのち、両基板の外面に偏光板を、その偏向方向が直交するように張り合わせて、垂直配向型液晶表示素子を作製した。
液晶配向性の評価は、電圧をオン・オフさせたとき、液晶セル中に異常ドメインが生じるかどうかを、偏光顕微鏡で観察して、異常ドメインが認められない場合を「良好」、異常ドメインが認められる場合を「不良」とした。
電圧保持特性の評価は、液晶表示素子に5Vの電圧を印加したのち、回路を開にし、その20ミリ秒後の保持電圧を測定して、その印加電圧(5V)に対する割合を算出した。
Figure 0004633772
表1、および表2から判るように、本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、現像性が良好でありかつ液晶配向性および電圧保持特性に優れた液晶表示素子用の突起を形成することができる。
比較例1では、使用された感光性樹脂組成物(Y1)中の親水性樹脂がカルボキシル基を含有していないため、アルカリ溶液に対する現像性が不十分である。
比較例2および4では、使用された感光性樹脂組成物(Y2、Y4)中の親水性樹脂がアクリロイル基を含有していないため、液晶配向性および電圧保持特性に劣る。また、比較例3では使用された感光性樹脂組成物(Y3)中にポリシロキサン(B)を含有していないため、液晶配向性および電圧保持特性に劣り、Y1〜Y4の感光性樹脂組成物を用いて作られる突起を有する液晶表示素子を用いて液晶パネルを作成すると、コントラスト、視野角などが悪化する。
本発明の感光性樹脂組成物は、液晶表示素子用の突起の形成、特に垂直配向型液晶表示素子用の突起の形成に好適に使用できる。
さらに、その他にも各種のレジスト材料、例えば、フォトソルダーレジスト、感光性レジストフィルム、感光性樹脂凸版、スクリーン版、光接着剤またはハードコート剤などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。
さらに、金属(例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅等)、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテルフタラート、ポリ(メタ)アクリレート)、紙、ガラス、ゴム及び木材等の各種材料に対するコーティング剤、塗料、印刷インキ及び接着剤としても使用でき、成型材料等としても応用できる。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する親水性樹脂(A)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するポリシロキサン(B)、および光ラジカル重合開始剤(C)を含有するアルカリ現像可能な液晶表示素子用の突起形成に用いられる感光性樹脂組成物(Q)。
  2. ポリシロキサン(B)が下記一般式(1)で表されるシラン化合物(c1)を必須構成単量体とする縮合物である請求項1記載の感光性樹脂組成物(Q)。
    Figure 0004633772
    [式中、R1は、アルキル基の炭素数が1〜6の、(メタ)アクリロイロキシアルキル基、グリシドキシアルキル基、メルカプトアルキル基、及びアミノアルキル基からなる群から選ばれる1種以上の有機基、R2は炭素数1〜12の脂肪族飽和炭化水素基または炭素
    数6〜12の芳香族炭化水素基、R3は炭素数1〜4のアルキル基、mは0または1である。]
  3. 親水性樹脂(A)がエポキシ樹脂を変成してなる親水性樹脂である請求項1または2記載の感光性樹脂組成物(Q)。
  4. 親水性樹脂(A)とポリシロキサン(B)との溶解度パラメーターの差が−4.0〜4.0である請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物(Q)。
  5. 感光性樹脂組成物の固形分の合計重量に基づいて、親水性樹脂(A)を50〜98重量%、ポリシロキサン(B)を1.5〜45重量%、並びに光ラジカル開始剤(C)を0.01〜8重量%含有する請求項1〜いずれか記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか記載の感光性樹脂組成物を、光照射を含む工程により硬化させて形成された液晶表示素子用の突起。
  7. 光照射を含む工程が、光照射の後、アルカリ現像してパターン形成し、さらにポストベークを行うことを特徴とする工程である請求項記載の液晶表示素子用の突起。
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