本発明の取引情報管理装置の詳細を図示した実施形態に基づいて説明する。
〈概要構成〉
取引情報管理装置が適用される複数の店舗の集合体として、ショッピングセンタなどの大型商業施設内に複数のテナントを収容する場合について考察する。ショッピングセンタ以外の形態としては、ホームセンタなどの1つの建物内に他のテナントを収容する場合などが考えられる。
ショッピングセンタでは、全体の集客力を向上させるためのポイントサービスや買い物に連動した駐車料金サービスなどを実施するために、各店舗に統一した会員カードを顧客に発行する場合がある。
会員カードは、プラスチックカードに磁性体の帯が添付された磁気ストライプカード、ICチップが埋め込まれたICカードなどがあり、磁気ストライプやICチップなどに顧客を識別するための会員番号が記録されている。
このような会員カードに記録されている会員番号により顧客を識別して、この顧客と各店舗の取引情報を収集する構成を説明する。
図1は、ショッピングセンタにおける取引情報管理システム10の概要構成を示す説明図である。
取引情報管理システム10は、ショッピングセンタの運営主体側で管理する店舗サーバ11、各店舗に設置されるPOS端末12、ショッピングセンタの入口付近などに設置される店頭端末13などを備えており、それぞれネットワークにより接続されている。
店頭端末13は、たとえば、ショッピングセンタの入口付近、駐車場との連絡通路などに設置されており、会員カードに対応するデータリーダを備えている。このショッピングセンタに来店した顧客が、自分の会員カードに記録されている情報を店頭端末13のデータリーダを介して読み込ませることが可能となっている。店頭端末13は、会員カードから読み込んだ顧客の会員番号と、その時刻を来店情報として店舗サーバ11に送信する。
各店舗には、それぞれPOS端末12が設置されており、顧客が店舗において買い物をした場合に、商品のコード番号、代金、時刻などが入力される。会員カードを所持している顧客の場合には、磁気ストライプやICチップに記憶されている会員番号がPOS端末12を介して入力される。POS端末12は、店舗コード、顧客の会員番号、購入商品コード、購入金額、購入時刻などを含む取引情報を生成し、店舗サーバ11に送信する。
店舗サーバ11は、会員情報を格納する会員情報データベース、顧客の来店情報を格納する来店情報データベース、顧客と店舗との取引情報を格納する売上情報データベースを含む記憶装置14を備えている。
記憶装置14に格納される会員情報データベースは、顧客を識別するための会員番号、顧客の氏名、住所、年齢、家族構成、その他の個人情報を項目として含み、会員カードを発行する際に顧客からの申請に基づいて入力されたデータを保持している。
記憶装置14に格納される来店情報データベースは、顧客の会員番号、来店時刻などの項目を含み、顧客が来店時に店頭端末13を介して入力された来店情報を各項目のデータとして格納する。
記憶装置14に格納される売上情報データベースは、店舗を識別するための店舗コード、顧客を識別するための会員番号、購入商品の商品コード、購入金額、購入時刻などの項目を含み、POS端末12から送信されてくる取引情報を各項目のデータとして格納する。
店舗サーバ11は、一般的なパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどのコンピュータシステムと、このコンピュータシステム上で動作するアプリケーションプログラムによって、取引情報管理装置が構成される。
図2は、店舗サーバに構成される取引情報管理装置の機能ブロック図の一例を示す。
取引情報管理装置20は、取引情報収集部21、目的店舗特定部22、貢献度集計部23、還元情報算出部24を備えている。
取引情報収集部21は、少なくとも取引金額の情報を含む顧客と店舗との取引情報を店舗毎に収集する。
目的店舗特定部22は、複数の店舗のうち顧客がどの店舗を主目的としているかを示す目的店舗を特定する。この目的店舗特定部22は、たとえば、店頭端末13において顧客が入力する来店目的情報に基づいて、目的店舗を特定することができる。また、目的店舗特定部22は、顧客がショッピングセンタに来店した来店時刻、顧客の各店舗における取引情報に基づく顧客行動履歴情報と、ショッピングセンタ内の各店舗の立地条件情報に基づいて、顧客の目的店舗を特定することもできる。
貢献度集計部23は、顧客の取引情報に含まれる取引金額をその顧客の目的店舗の集客貢献金額として集計する。
還元情報算出部24は、貢献度集計部23の集計結果に基づいて店舗毎の還元額を算出する。この還元情報算出部24は、店舗毎に算出された還元情報に基づいて、対応する店舗の賃料の割引を行うことが可能である。
図3は、取引情報管理装置20が実行する取引情報管理処理のフローチャートである。
ステップS301において、取引情報管理装置20は、顧客の来店目的情報を収集する。
取引情報管理装置20は、インターネット、LAN(Local Area Network)などを通じて店頭端末12及び各店舗のPOS端末13と接続されて、各種データの送受信を行う通信部(図示せず)を備えており、店頭端末13から送信されてくる来店情報およびPOS端末12から送信されてくる取引情報をそれぞれ来店情報データベースおよび売上情報データベースに格納している。
目的店舗特定部22は、記憶装置14に格納されている顧客の来店情報と、記憶装置14に格納されている売上情報のうち該当する顧客の各店舗での取引情報に基づいて、顧客の目的店舗を特定する。
店頭端末13において、顧客の来店目的である店舗を入力できるようにした場合には、店頭端末13から店舗サーバ11に送信される来店情報中に顧客の来店目的情報を含むことができる。したがって、目的店舗特定部22はこの来店情報中に含まれる来店目的情報から、顧客の主な目的である目的店舗を特定することができる。
また、店頭端末13において顧客が来店の主目的である店舗の情報を入力しなかった場合や、店頭端末13に主目的とする店舗情報の入力機能を有していない場合には、目的店舗特定部22は、来店情報に含まれる来店時刻と、顧客の取引情報とに基づいて、その顧客の来店からの行動履歴情報を特定して、この顧客行動履歴情報に基づいて目的店舗を特定することができる。このとき、目的店舗特定部22は、各店舗のショッピングセンタ内における立地条件を考慮して、目的店舗を特定することができる。
ステップS302において、取引情報管理装置20は、売上集計処理を実行する。取引情報収集部21は、各店舗のPOS端末12から店舗毎の顧客との取引情報を収集し、記憶装置14の売上情報データベースに格納する。
ステップS303において、取引情報管理装置20は、顧客の取引情報のうち各店舗での購入金額を集計し、その顧客の目的店舗の集客貢献金額として算出する集計処理を行う。
ステップS304において、取引情報管理装置20は、算出された集客貢献金額に基づいて、各店舗の賃料に対する割引額を算出し、各店舗のテナント料を算出するテナント料算出処理を実行する。
〈来店目的情報の収集処理〉
目的店舗特定部22が顧客の目的店舗を特定する際に、顧客が店頭端末13に対して入力する来店目的情報を用いる場合について、以下に説明する。
この場合、店頭端末13では、会員カードの情報を読み取るカードリーダと、顧客に対して画面表示を行うディスプレイと、ディスプレイに一体に設けられたタッチパネルまたは入力キーとを備えるものとし、顧客に対して来店目的に関する入力を促す画面表示を行い、入力される主目的の店舗を来店目的情報として店舗サーバ11に送信する。店頭端末13では、顧客の目的店舗、またはその他の店舗で使用可能なクーポン券を発行するか、または割引特典や金券との交換が可能なポイントを付与することで、店頭端末13において顧客が来店した旨の入力を行うことへのインセンティブを与えることができる。
図4は、店頭端末13における来店目的情報収集処理のフローチャートである。
ステップS401において、店頭端末13は初期画面表示を行う
入り口や駐車場からの連絡通路付近に店頭端末13が設置されており、顧客が来店した際に、店頭端末13に来店した旨の情報を入力することができるように、店頭端末13は会員カードの情報を入力することを促す初期画面を表示する。
図5は、店頭端末13に表示される初期画面の一例の説明図である。
初期画面500は、来店を歓迎する旨の表示を行うとともに、カードリーダに会員カードの情報を読み込ませることを促すための表示を行う画面構成となっている。
ステップS402において、店頭端末13は、カードリーダにより会員カードの情報を読み込む。カードリーダは、会員カードの種類に応じて、磁気カードリーダ、ICカードリーダなどを適宜採用することができ、店頭端末13は、少なくともカードリーダに記録されている会員番号をカードリーダにより読み取り、顧客を識別するための顧客IDとして取得する。
ステップS403において、店頭端末13は、ショッピングセンタの店舗一覧画面を表示する。
図6は、店頭端末13に表示される店舗一覧画面の一例を示す説明図である。
店頭端末13に表示される店舗一覧画面600は、ショッピングセンタ内の各店舗がその位置に応じて表示される。この例では、店頭端末13は、ディスプレイ画面にタッチパネルを備えており、店舗一覧画面600上の該当する店舗を指でタッチすることにより、その店舗の詳細画面を表示することができる。ショッピングセンタが複数階にわたる構成である場合には、現在位置のフロアについての店舗一覧の表示を行い、他の階の表示を行うための操作ボタンを店舗一覧画面上に設けることも可能である。
店頭端末13は、店舗一覧画面600に表示される店舗のうちから、顧客の来店目的である店舗にタッチして来店目的情報の入力を促す表示を行う。
ステップS404において、店頭端末13は、顧客が入力する来店目的情報を受け付ける。
店頭端末13は、店舗一覧画面600上の顧客がタッチした位置に対応する店舗を来店目的情報として受け付ける。図6に示す例において、顧客がタッチした位置がAの電器店である場合には、店頭端末13は、このAの電器店を識別するための店舗IDを来店目的情報とする。
ステップS405において、店頭端末13は、来店目的情報として特定された店舗内の詳細情報やその店舗における特典情報を表示するための店舗詳細画面の表示を行う。
図7は、店頭端末13に表示される店舗詳細画面の一例を示す説明図である。
店頭端末13に表示される店舗詳細画面700は、店舗内のレイアウトを表示するレイアウト表示部701、当該店舗で設定する顧客に対する特典を表示する特典表示部702を備えている。
図7の例では、Aの電器店における店舗レイアウトがレイアウト表示部701に表示されており、商品毎のコーナーをタッチすることによって指示することが可能となっている。顧客がタッチすることによって指示入力したコーナーにおいて、特典が設定されている商品や本日のお奨め商品についての情報が特典表示部702に表示される。特典表示部702には、クーポン券の発行を指示するための操作ボタン703が表示され、この操作ボタン703をタッチすることにより、クーポン券発行を指示することができる。
ステップS405において、店頭端末13は、顧客が本日1回目の操作であるか否かを判別する。
店頭端末13は、同一の会員番号の顧客による操作が本日1回目であると判断した場合にはステップS407に移行し、そうでないと判断した場合にはステップS408に移行する。
ステップS407において、店頭端末13は、顧客を識別するための顧客IDに対応する来店回数情報を1回に設定し、ステップS410に移行する。
ステップS408において、店頭端末13は、顧客の前回の来店時刻からの間隔が所定時間以上であるか否かを判別する。
店頭端末13は、顧客の前回の来店時刻と現在時刻との間隔が所定時間以上であると判断した場合にはステップS409に移行し、そうでない場合にはステップS412に移行する。店頭端末13は、顧客がクーポン券などの特典を不正に受けることを目的として店頭端末13に対する操作を防止するために、操作がなされた時間間隔に対する閾値として適当な時間を所定時間として設定することができ、たとえば、3時間、5時間、8時間などに設定することができる。このような操作時刻の時間間隔による判断に代えて、当日中における複数回の店頭端末での来店処理を禁止することも可能であり、この場合には、店頭端末13は同一日付における来店処理がすでになされている場合には、ステップS412に移行することも可能である。さらに、当日中にクーポン券や特典が既に発行されている顧客に対しては、来店情報の受付を行わないようにすることもできる。
ステップS412において、店頭端末13は、NG画面表示を行う。この場合、店頭端末13は、顧客が前回店頭端末13の操作を行った時刻から所定時間以内に再度店頭端末13の操作を行ったと判断して、顧客が不正に特典を享受することを防止するために、正常な操作が行われなかった旨のNG表示画面を表示し、初期画面表示を行うステップS401に移行する。
ステップS409において、店頭端末13は、顧客を識別するための顧客IDに対応する来店回数情報をインクリメントする。
ステップS410において、店頭端末13は、クーポン券や割引特典、ポイント加算などの特典を発行する。たとえば、店頭端末13は、クーポン券発行用のプリンタを備えることができ、クーポン券発行の指示があった場合に、対応するクーポン券をプリンタにより印刷して発行することができる。
図8は、顧客に対して発行されるクーポン券の一例を示す説明図である。
図7の店舗詳細画面700に表示される操作ボタン703が操作された場合に、店頭端末13は該当するクーポン券800を発行する。
図8に示すクーポン券800の例は、クーポン券の識別番号、顧客の会員番号、特典を受けることができる商品名、QRコードなどが印刷されたものである。
ステップS411において、店頭端末13は、顧客を識別するための顧客IDと、来店時刻とを関係付けた来店情報を生成する。
店頭端末13は、記憶装置14に格納された会員情報データベースに含まれる会員情報と関連付けて、来店した顧客の来店情報を生成する。店舗サーバ11では、顧客が会員登録を行った際の会員情報を会員情報データベースに格納して管理している。
図9は、会員情報データベースに格納される会員情報テーブルの説明図である。
図示した例では、会員情報テーブル900は、会員番号、氏名、電話番号、最終来店日時、最終買物日時、来店回数(当日)、ポイント残高などの項目を含んでいる。
顧客が会員登録を行う際に、氏名、年齢、電話番号、住所、メールアドレス、年齢、家族構成、その他の個人情報が入力されて、個人情報レコードを構成するが、図示した例における会員情報テーブル900では、これら個人情報のうち氏名、電話番号により個人情報を特定できるようにしている。
また、会員番号は、ユニークな英数字や記号の組合せで構成されており、当該ショッピングセンタを利用する顧客を識別することが可能となっている。
顧客がショッピングセンタに来店した際には、店舗サーバ11は、店頭端末13により生成された来店情報に基づいて、最終来店日時及び来店回数(当日)の項目に格納されるデータを更新する。また、顧客がいずれかの店舗において買物を行った場合には、店舗サーバ11は、該当する店舗のPOS端末12から送信される取引情報に基づいて、最終買物日時の項目に格納されるデータを更新する。
顧客がポイント加算の対象となる所定の行動を行った場合やポイントに対応するサービスを受けた場合には、店舗サーバ11は、POS端末13からの取引情報や店頭端末13からの来店情報に基づいて、ポイント残高の項目のデータを更新する。
図10は、店頭端末13が生成する来店情報のテーブルの一例を示す説明図である。
来店情報テーブル1000は、来店日、来店時刻、会員番号、目的店舗、目的商品、来店回数などの項目を含む。店頭端末13は、顧客が店頭端末13を操作して来店情報を入力する毎に来店情報を生成するものであって、顧客が店頭端末13に会員カードの情報を読み込ませた日時、会員カードに記録されている会員番号、店舗一覧画面600上で顧客が指示入力を行った目的店舗に対応する店舗コード、店舗詳細画面700上で顧客が指示入力を行った目的商品に対応する商品名、本日の来店回数情報などをそれぞれの項目のデータとする来店情報を生成する。
店頭端末13は、生成した来店情報を、逐次、店舗サーバ11に送信することも可能であり、また、生成した来店情報を所定の記憶部に格納しておき、所定時刻に一括して店舗サーバに送信することも可能である。また、店頭端末13は、店舗サーバ11からの要求に応じて、所定の記憶部に蓄積された来店情報を店舗サーバ11に送信することも可能である。
取引情報管理装置20では、店頭端末13から送信される来店情報を記憶装置14の来店情報データベースに格納する。取引情報管理装置20の目的店舗特定部22は、来店情報に含まれる来店目的情報から、顧客の主な目的である店舗の店舗コードを特定することができる。
〈取引情報の収集処理〉
取引情報管理装置20は、各店舗のPOS端末12から店舗毎の顧客との取引情報を収集し、記憶装置14の売上情報データベースに格納する。各店舗のPOS端末12では、顧客による商品購入があれば逐次取引情報を店舗サーバ11に送信することができ、所定の記憶部に取引情報を蓄積しておき、所定時刻に店舗サーバ11に送信することもできる。また、POS端末12は、店舗サーバ11からの要求に応じて、取引情報を一括して送信することも可能である。
図11は、POS端末12で生成される取引情報のテーブルの一例を示す説明図である。
取引情報テーブル1100は、売上日、時刻、会員番号、店舗コード、購入商品、購入金額、来店回数などの項目を備えている。
POS端末12では、会員カードに記録されている情報を読み取るためのカードリーダを備えており、会員カードを所持する顧客については、会員カードに記録されている情報のうち少なくとも会員番号を読み取る。会員カードの表面に会員番号が表示されている場合には、POS端末12のキー入力部を介して店員が会員番号を入力することも可能である。POS端末12は、現在の日時、顧客の会員番号、店舗を識別するための店舗コード、購入商品の商品名、購入金額、来店回数などを、取引情報テーブルの各項目のデータとした取引情報を生成し、これを店舗サーバ11に送信する。
〈集客貢献金額の集計〉
取引情報管理装置20の貢献度集計部23は、目的店舗特定部22により特定された目的店舗、POS端末13から収集された取引情報に基づいて、顧客の取引情報のうち目的店舗以外の店舗の売上額を集計して、目的店舗の集客貢献金額とする。
図12は、集客貢献金額の集計処理のフローチャートである。
ステップS1201において、取引情報管理装置20は、来店情報データベースに格納されている来店情報に対して所定の項目をキーとしてソーティングを行う。ここでは、顧客がショッピングセンタに来店した際に、その顧客の主な目的とする店舗の他店への売上貢献度を算出することを目的とすることから、貢献度集計部23は、来店情報データベースの来店情報に対して、会員番号、来店回数、来店日、来店時刻の各項目をキーとしてソーティングを行う。
ステップS1202において、取引情報管理装置20は、取引情報データベースに格納されている売上情報データベースの取引情報に対して所定の項目をキーとしてソーティングを行う。ここでは、顧客の来店情報に含まれる目的店舗に対して、該当する顧客が買い物を行った金額を算出することを目的としていることから、貢献度集計部23は、来店情報と同様に、売上情報データベースの取引情報に対して、会員番号、来店回数、売上日、売上時刻の各項目をキーとしてソーティングを行う。
ステップS1203において、取引情報管理装置20は、次の来店情報を読み込む。貢献度集計部23は、ソーティングされた来店情報から次の来店情報を読み込む。
ステップS1204において、取引情報管理装置20は、次の取引情報を読み込む。貢献度集計部23は、ソーティングされた取引情報から次の取引情報を読み込む。
ステップS1205において、取引情報管理装置20は、読み込まれた来店情報と取引情報の会員番号及び来店回数を比較する。たとえば、貢献度集計部23が、来店情報及び取引情報を、会員番号及び来店回数の各項目をキーとして昇順にソーティングしているとする。貢献度集計部23は、読み込まれた来店情報の会員番号及び来店回数と、取引情報の会員番号及び来店回数とを比較して、来店情報の会員番号及び来店回数が大きい配列順であった場合には、ステップS1204に移行し、そうでない場合にはステップS1206に移行する。
ステップS1204において、取引情報管理装置20は、次に取引情報を読み込む。貢献度集計部23は、現在読み込まれている来店情報と取引情報が、同一会員番号または同一来店回数のデータではないと判断し、ソーティングされた売上情報データベース内の次の取引情報を読み込む。
ステップS1205において、取引情報管理装置20は、読み込まれた来店情報と取引情報の会員番号及び来店回数を比較する。ステップS1204と同様に、来店情報及び取引情報が会員番号及び来店回数の各項目をキーとして昇順にソーティングされているものとし、貢献度集計部23は、読み込まれた来店情報の会員番号及び来店回数と、取引情報の会員番号及び来店回数とを比較する。貢献度集計部23は、取引情報の会員番号及び来店回数が大きい配列順であった場合には、ステップS1207に移行し、そうでない場合にはステップS1208に移行する。
ステップS1207において、取引情報管理装置20は、次に来店情報を読み込む。貢献度集計部23は、現在読み込まれている来店情報と取引情報が、同一会員番号または同一来店回数のデータではないと判断し、ソーティングされた来店情報データベース内の次の来店情報を読み込む。
ステップS1208において、取引情報管理装置20は、現在読み込まれている取引情報の該当する店舗が、顧客の目的店舗であるか否かを判別する。ステップS1205及びステップS1206の判定処理において、いずれも'no'と判断されていることから、現在読み込まれている来店情報と取引情報の会員番号及び来店回数は一致するものと想定される。したがって、貢献度集計部23は、現在読み込まれている取引情報が、来店情報に該当する顧客が行った一連の行動としていずれかの店舗で買い物をした取引情報であると判断する。その上で、貢献度集計部23は、現在読み込まれている取引情報が顧客の目的店舗における取引情報であるか否かを判別する。貢献度集計部23は、来店情報に含まれる目的店舗の項目の店舗コードと、取引情報に含まれる店舗コードを比較して、一致していればステップS1204に移行して次の取引情報の読み込みを行い、一致していなければステップS1209に移行する。
ステップS1209において、取引情報管理装置20は、目的店舗である店舗の集客貢献金額を加算する。貢献度集計部23は、顧客の主な目的とする目的店舗に対する集客貢献金額の項目を備える集客貢献金額集計テーブルに対して、現在読み込まれている取引情報の購入金額を該当する店舗コードの集客貢献金額に加算する。
図13は、集客貢献金額集計テーブルの一例を示す説明図である。
図13に示す集客貢献金額集計テーブル1300は、目的店舗、売上店舗、集客貢献金額、備考の各項目を備えている。
目的店舗欄には、来店情報に含まれる目的店舗の店舗コードが格納される。
売上店舗欄には、取引情報に含まれる店舗コードが格納される。
集客貢献金額欄には、取引情報に含まれる購入金額が格納される。
備考欄には、目的店舗が売上店舗の売り上げに貢献した金額である旨の備考が適宜格納される。
貢献度集計部23は、現在読み込まれている来店情報と取引情報に基づいて、取引情報が顧客の目的店舗のものでない場合に、取引情報の購入金額を目的店舗の集客貢献金額欄に追加する。
なお、図13に示す集客貢献金額集計テーブルでは、目的店舗毎に小計を算出するようにしており、さらに、他店への貢献金額を全店で集計するようにしている。
ステップS1209において、現在読み込まれている取引情報についての処理が終了した場合には、ステップS1204に移行して、次の取引情報について処理を実行する。
このようにして、貢献度集計部23は、全ての来店情報及び取引情報について、顧客の目的店舗について他店への貢献度を示す集客貢献金額を集計する。
〈テナント料算出処理〉
前述したような貢献度集計部23で集計された集客貢献金額に基づいて、各店舗に対してインセンティブを用意することができる。たとえば、集客貢献金額の割合に基づいて各店舗のテナント料に対して割引を行う場合を例として、以下に説明する。
図14は、テナント料算出処理のフローチャートである。
ステップS1401において、取引情報管理装置20は、各店舗の売上額を集計する。ここで、取引情報管理装置20の還元情報算出部24が、各店舗のテナント料の算出と、貢献度集計部23で集計された集客貢献金額に基づくテナント料割引額の算出を実行するものとする。
還元情報算出部24は、売上情報データベースに格納されている取引情報に対して、店舗コードをキーとして同一店舗コードを有する取引情報の購入金額を集計し、該当する店舗の売上総額を算出する。
ステップS1402において、取引情報管理装置20は、各店舗のテナント料を算出する。還元情報算出部24は、各店舗の売上総額に基づいて、売上比例分のテナント料を算出する。各店舗におけるテナント料は、固定料金型と、売上歩合型と、これらを組み合わせた組合せ型とが存在することは、前述した通りである。還元情報算出部24は、テナント料の全額が固定料金であるような契約を行っている店舗を除いて、売上に連動して料金が変動する売上歩合型のテナント料金分を算出する。還元情報算出部24は、各店舗の売上総額から固定料金分を差し引いた金額に対して、所定の料率を掛けた額を売上歩合型分のテナント料を算出し、固定料金分との和を求めることによって各店舗のテナント料を算出する。あるいは、還元情報算出部24は、各店舗の売上総額に対して所定の料率を掛けた額を売上比例分のテナント料として算出し、固定料金分のテナント料との和を求めることによって各店舗のテナント料を算出する。売上の全額に対して所定の料率を掛けたテナント料設定を行っている店舗の場合には、所定の料率を掛けない固定料金分の額が0になるだけである。また、売上額が所定額を超える場合に、料率が変化するような料金設定になっているような場合には、還元情報算出部24は、この料金設定に沿ったテナント料の算出方法を実行する。
ステップS1403において、取引情報管理装置20は、集客貢献割引額を算出する。集客貢献割引額は、ショッピングセンタの運営主体により店舗への還元を行うために設定される割引額であり、例えば、売上比例分のテナント料総額に比例する額を集客貢献割引額とすることができる。還元情報算出部24は、各店舗における売上比例分のテナント料金を集計し、この売上比例分のテナント料総額に所定の料率を掛けた額を集客貢献割引額として算出する。
ステップS1404において、取引情報管理装置20は、テナント料割引額を算出する。還元情報算出部24は、貢献度集計部23により算出された各店舗の集客貢献金額に基づいて、各店舗に対する集客貢献割引額の割当額を算出し、各店舗のテナント料割引額を算出する。たとえば、還元情報算出部24は、集客貢献金額の総額に対する各店舗の集客貢献金額の割合を算出し、集客貢献割引額に掛けることによって、各店舗のテナント料割引額とすることができる。または、集客貢献金額にテナント毎の割引料率を掛けて、テナント料割引額としても良い。
ステップS1405において、取引情報管理装置20は、テナント料割引額計算リストの印刷処理を行う。
図15は、テナント料割引額計算リストの一例を示す説明図である。
テナント料割引額計算リスト1500は、店舗コードに対応するテナント名、該当する店舗における売上総額、該当する店舗を目的店舗とした顧客が他店舗で買い物をした際の売上合計額である集客貢献金額、定額分のテナント料、売上比例分のテナント料、集客貢献割引額と集客貢献金額に基づいて算出した各店舗のテナント料割引額、テナント料割引額を差し引いたテナント料の各項目を含んでいる。
図15に示す例では、還元情報算出部24は、自店舗における売上額に対して所定の料率(たとえば、1%)を掛けた金額を売上比例分のテナント料として算出している。還元情報算出部24は、売上比例分のテナント料総額を算出し、この売上比例分のテナント料総額に対して所定の料率(たとえば、30%)を掛けた金額を集客貢献割引額としている。
還元情報算出部24は、各店舗の集客貢献金額を集客貢献金額の総額で割った各店舗の集客貢献金額の割合と、集客貢献割引額とを掛けてテナント料割引額を算出している。
ステップS1406において、取引情報管理装置20は、売上貢献リストの印刷処理を実行する。
還元情報算出部24は、各店舗が他店舗の売り上げにどのように貢献しているかを示すために、店舗毎の集客貢献金額を売上貢献リストとして出力することが可能である。
図16は、売上貢献リストの一例を示す説明図である。
図16に示す売上貢献リスト1600の例では、左端に位置して店舗コードに対応するテナント名が配置されており、この各店舗に対して売上に貢献した目的店舗がマトリクス形態で配置されている。
例えば、Aの電器店が他店B〜Eの売上に貢献した集客貢献金額は、データの左端列に記録されており、Bの食料品ストアが他店A、C〜Eの売上に貢献した集客貢献金額はその右の列に記録されており、以下順に集客貢献金額のデータが店舗毎に記録されている。
各店舗が他店の売上に貢献した集客貢献金額の総額は下端行に記録されており、各店舗が他店舗から売上の貢献を受けた額の総額は右端列に記録されている。
たとえば、Aの電器店が他店舗の売上に貢献した集客貢献金額の合計は左端列の下端行に示されているように9,300,000円であり、図15における集客貢献金額と一致している。
また、他店からの売上の貢献を受けている金額については、右端列のデータを参照することによって判断することができ、図示した例では、Aの電器店が最も他店からの恩恵を受けているとも言える。ただし、各店舗の規模や販売している商品の単価によって、他店の売上に対する貢献度は変わってくるものと考えられるが、図16に示すような売上貢献リストを生成することによって、店舗間の売上貢献に関する分析の参考となると考えられる。
図15に示すテナント料割引額計算リスト及び図16に示す売上貢献リストは、取引情報管理装置20に接続されたプリンタを介して紙媒体に印刷することを想定しているが、液晶ディスプレイなどのモニタに表示することも可能であり、表形式のデータとして所定の記憶領域に記憶させておいて反復して閲覧できるようにすることも可能である。
〈他の例による来店目的情報の収集処理1〉
前述した実施例では、店頭端末13において顧客が入力する来店目的情報に基づいて、その顧客の目的店舗を特定しているが、目的店舗特定部22により顧客の行動履歴を分析してその顧客が主な目的とする目的店舗を特定することができる。目的店舗特定部22が、顧客の行動履歴に応じてその顧客の目的店舗を特定する場合について以下に説明する。
図17は、来店目的情報の収集処理の他の例を示すフローチャートである。
ステップS1701において、取引情報管理装置20は、顧客の来店情報を収集する。
前述した実施例と同様に、ショッピングセンタの入口付近、駐車場との連絡通路などに店頭端末13が設置されており、このショッピングセンタに来店した顧客が、自分の会員カードに記録されている情報を店頭端末13のデータリーダを介して読み込ませることが可能になっているものとする。店頭端末13は、会員カードから読み込んだ顧客の会員番号と、その時刻を来店情報として店舗サーバ11に送信する。店舗サーバ11側では、店頭端末13から送信される来店情報を、来店情報データベースに格納して保持している。店頭端末13が複数ある場合には、来店情報には、店頭端末13を識別するための端末IDも同時に記録されているものとする。
このような場合、目的店舗特定部22は、記憶装置14に格納されている来店情報を読み込む。
ステップS1702において、取引情報管理装置20は、顧客と店舗との間の取引情報を収集する。前述したように、顧客が商品を購入した際の取引情報は、各店舗に設置されたPOS端末12から店舗サーバ11に送信されて、記憶装置14の売上情報データベースに格納されている。目的店舗特定部22は、このような記憶装置14に格納されている取引情報を収集する。
ステップS1703において、取引情報管理装置20は、顧客の行動履歴情報を作成する。目的店舗特定部22は、来店情報と各店舗における取引情報とを会員番号、日付及び時刻に基づいてソーティングした行動履歴情報を作成する。したがって、目的店舗特定部22は、来店情報中の来店時刻、各店舗における商品購入を行った時刻、購入商品、購入金額が、店頭端末13の端末ID及び店舗コードのデータ収集場所と関連付けられ、会員番号とその時刻情報とに基づいてソーティングされた行動履歴レコードの集合である行動履歴情報を作成する。
ステップS1704において、取引情報管理装置20は、行動履歴情報のうちから来店情報に対応する行動履歴レコードを読み込む。目的店舗特定部22は、行動履歴情報中からデータ収集場所が店頭端末13であるような行動履歴レコードを読み込む。この場合、顧客がこのショッピングセンタに来店した際に、最初に店頭端末13に会員カードに記録された情報を読み込ませることを前提としており、目的店舗特定部22は、来店情報を同一顧客の最初の行動履歴レコードと見なす。
ステップS1705において、取引情報管理装置20は、次の行動履歴レコードを読み込む。
ステップS1706において、取引情報管理装置20は、読み込んだ行動履歴レコードが取引情報であるか否かを判別する。目的店舗特定部22は、読み込んだ行動履歴レコードが店舗における商品の購入情報であるか否を判定し、商品購入の取引情報でないと判断した場合にはステップS1705に移行して次の行動履歴レコードの読み込みを行い、商品購入の取引情報であると判断した場合にはステップS1707に移行する。
ステップS1707において、取引情報管理装置20は、行動履歴レコードとして読み込んだ来店情報と取引情報の会員番号が一致するか否かを判別する。目的店舗特定部22は、行動履歴レコードとして先に読み込んだ来店情報の会員番号と、後で読み込んだ取引情報の会員番号が一致するか否かを判別し、一致していなければステップS1704に移行して次の来店情報に対応する行動履歴レコードを読み込む。目的店舗特定部22は、行動履歴レコードとして先に読み込んだ来店情報の会員番号と、後で読み込んだ取引情報の会員番号が一致していると判断した場合には、ステップS1708に移行する。
ステップS1708において、取引情報管理装置20は、行動履歴レコードとして読み込んだ来店情報と取引情報の時間差が所定時間未満であるか否かを判別する。目的店舗特定部22は、行動履歴レコードとして先に読み込んだ来店情報の時刻情報と、後で読み込んだ取引情報の時刻情報とを比較して、その時間差が所定時間N以上であれば、ステップS1704に移行して次の来店情報に対応する行動履歴レコードを読み込む。目的店舗特定部22は、行動履歴レコードとして先に読み込んだ来店情報の時刻情報と、後で読み込んだ取引情報の時刻情報との時間差が所定時間N未満であると判断した場合には、ステップS1709に移行する。
ここでは、顧客が来店して目的とする店舗に最初に向かう確率が高いことが前提となっており、目的店舗特定部22は、たとえば、ショッピングセンタに到着後に10分以内に買い物を行った店舗が、その顧客の主な目的とする目的店舗である確率が高いと推定する。
ステップS1709において、取引情報管理装置20は、行動履歴レコードとして読み込んだ取引情報の店舗の立地条件を検索する。
図18は、ショッピングセンタ内の店舗配置の一例を示す説明図である。
図18に示す例では、第1通路部分1801〜第4通路部分1804が中央で接続された十字形状の通路に沿って複数の店舗が配置されており、第3通路部分1803の端部に第1出入口1805が設けられており、第4通路部分1804の端部に第2出入口1806が設けられている。また、第1出入口1805には第1店頭端末13aが設定されており、第2出入口1806には第2店頭端末13bが設置されているものとする。
一般的に、出入口に近い店舗ほど購入機会が多くなり、出入口から遠い店舗ほど購入機会が少なくなることから、出入口に近い店舗ほど立地条件が良く、出入口から遠い店舗ほど立地条件が悪いと言える。各店舗のショッピングセンタ内における配置に基づいて、立地条件を数値化して設定しておくことができる。
図19は、数値化された店舗の立地条件テーブルの一例を示す説明図である。
立地条件テーブル1900は、各店舗の店舗名、出入口に対する立地条件の各項目を備えており、出入口から遠いほど立地条件の数値が高くなるようにしている。
たとえば、図18に示すような店舗配置において、第1通路部分1801の最も奥に位置する店舗Aでは、第1出入口1805及び第2出入口1806のいずれからも遠いことから、立地条件はいずれも"4"に設定されている。また、第1出入口1805に近い店舗Mでは、第1出入口1805に対する立地条件は"1"に設定されており、第2出入口1806に対する立地条件は"2"に設定されている。このように、出入口からの距離に応じて各店舗の立地条件を数値化して、立地条件テーブル1900が作成されており、所定の記憶領域に格納されている。
目的店舗特定部22は、先に読み込んだ来店情報のデータ収集場所と、後で読み込んだ取引情報のデータ収集場所に基づいて、その取引情報の店舗の立地条件を特定する。
ステップS1710では、取引情報管理装置20は、取引情報の店舗が目的店舗である確度を求める。前述したように、出入口に近い店舗ほど購入機会が多くなることから、出入口付近に位置する店舗での買い物は、顧客の衝動的な行動の結果である可能性がある。これに対して、出入口から離れた位置にある店舗で買い物がなされた場合には、その顧客の主な来店目的である可能性が高くなる。このことから、前述したような立地条件に対して、その店舗が目的店舗である可能性を確度として設定しておくことができる。
図20は、立地条件と目的店舗である確度との関係を示す確度テーブルの説明図である。
確度テーブル2000は、立地条件、確度の各項目を備えており、立地条件と目的店舗である確度との関係が対応付けて格納されている。
確度テーブル2000の備考欄には、たとえば、出入口の近くであるか否か、メイン通路に面しているか否かなどの説明を付している。図18に示すように、第1出入口1805と第2出入口1806とを結ぶ第3通路部分1803、第4通路部分1804をメイン通路とする時、このメイン通路に面している店舗が目的店舗である確度が低く、メイン通路に面していない店舗が目的店舗である確度が高くなることが考えられる。確度テーブル2000は、このような点を考慮して、立地条件に対応する確度を設定するものであって、その他の条件を考慮してさらに詳細な確度テーブルを設定することも可能である。
目的店舗特定部22は、顧客の来店情報のデータ収集場所と、取引情報のデータ収集場所により、その店舗が目的店舗である確度を求める。
ステップS1711において、取引情報管理装置20は、特定した顧客の目的店舗に応じて来店目的情報を作成する。
図21は、来店情報と取引情報に応じて作成される行動履歴情報テーブルの一例を示す説明図である。
行動履歴情報は、会員番号、来店時刻及び店頭端末13の端末IDなどを含む来店情報と、会員番号、売上時刻、店舗コード、購入商品などを含む取引情報をそれぞれ1つの行動履歴レコードとしてマージしており、会員番号、来店日、時刻情報によってソーティングされている。
行動履歴情報テーブル2100は、会員番号、データ収集場所、来店日、時刻、購入商品の各項目を備えている。
行動履歴レコードが、ショッピングセンタの出入口に設置された店頭端末13により収集された来店情報である場合には、データ収集場所の項目には該当する店頭端末13の端末IDが格納される。この時、時刻情報には顧客が来店した来店時刻が格納される。
行動履歴レコードが、各店舗に設置されたPOS端末12から送信された取引情報である場合には、データ収集場所の項目には該当する店舗コードが格納され、顧客が購入した商品についての情報が購入商品の項目に格納される。
この実施例では、顧客が来店から最初の買い物を行った店舗について、その店舗が目的店舗であるか否かを判定している。したがって、同一の会員番号を有する行動履歴レコードのうち、時系列で来店情報の次にある行動履歴レコードを抽出し、これが来店時刻から所定時間以内であるかを判定し、さらに、立地条件から目的店舗である確度が高いか否かを判定して、目的店舗を特定している。
図21に示される行動履歴情報では、会員番号1234の顧客の行動履歴レコードとして、第1出入口1805に設置された第1店頭端末13aにより来店情報が収集されており、次に店舗Aに設置されたPOS端末12によりテレビを購入したことを示す取引情報が収集されている。この会員番号1234の顧客の来店時刻は13時25分であり、その5分後である13時30分に店舗Aにおいてテレビを購入していることから、来店時刻から所定時間(10分)以内に商品購入を行った店舗Aが目的店舗である確率が高い。
図19の立地条件テーブル1900によれば、会員番号1234の顧客が最初の商品購入を行った店舗Aは、顧客の来店情報にある第1出入口1805との関係から、その立地条件は"4"である。
図20の確度テーブル2000によれば、立地条件"4"の店舗は、目的店舗である確度が"1.0"に設定されている。したがって、目的店舗特定部22は、この会員番号1234の顧客の目的店舗を店舗Aとし、その確度を"1.0"とする来店目的レコードを生成して来店目的情報として出力する。
顧客の主な来店目的とする目的店舗を特定することができれば、前述した実施例と同様にして、目的店舗が他の店舗の売上に貢献した集客貢献金額を集計することが可能となる。
なお、図21に示す行動履歴情報において、会員番号1567の顧客の行動履歴レコードとして、第2出入口1806に設置された第2店頭端末13bにより来店情報が収集されており、次に店舗Bに設置されたPOS端末12により玉子を購入したことを示す取引情報が収集されている。この会員番号1567の顧客の来店時刻は13時00分であり、その40分後である13時40分に店舗Bにおいて玉子を購入していることから、来店時刻から所定時間(10分)以上経過した後に商品購入を行っている。
この場合、会員番号1567の顧客が最初に商品購入を行った店舗Bを目的店舗とせず、この顧客の購入行動による集客貢献金額が発生しなかったこととする。
さらに、図21に示す行動履歴情報において、会員番号2235の顧客の行動履歴レコードとして、第1出入口1805に設置された第1店頭端末13aにより来店情報が収集されており、次に店舗Cに設置されたPOS端末12からの取引情報には、商品情報としてランチを示す取引情報が収集されている。この会員番号2235の顧客の来店時刻は13時30分であり、その5分後である13時35分に店舗Cにおいてランチをしていることから、目的店舗特定部22は、この店舗Cをこの顧客の目的店舗と見なす。
図19の立地条件テーブル1900によれば、会員番号2235の顧客が最初の商品購入を行った店舗Cは、顧客の来店情報にある第1出入口1805との関係から、その立地条件は"3"である。さらに、図20の確度テーブル2000によれば、立地条件"3"の店舗は、目的店舗である確度が"0.8"に設定されている。したがって、目的店舗特定部22は、この会員番号2235の顧客の目的店舗を店舗Cとし、その確度を"0.8"とする来店目的レコードを生成して来店目的情報として出力する。
図22は、来店目的情報テーブルの一例を示す説明図である。
来店目的情報テーブル2200は、来店日、時刻、会員番号、目的店舗、購入商品、確度の各項目を備えている。
前述したように、目的店舗特定部22により顧客の目的店舗を特定できた場合には、その顧客の会員番号と、目的店舗として特定した店舗の店舗コード、購入日時、購入商品、確度について、来店目的情報テーブルに各データを格納した来店目的レコードを生成する。
貢献度集計部23において、集客貢献金額を集計する際には、目的店舗が特定された顧客の取引情報を収集し、各顧客の目的店舗以外の店舗における購入金額を該当する目的店舗の集客貢献金額として集計することができる。このとき、貢献度集計部23は、各店舗の売上金額に、目的店舗の確度を乗算してこれを集客貢献金額として集計することができる。
図23は、目的店舗が特定された顧客に対応する取引情報を抽出した例を示す説明図である。
たとえば、図22に示される来店目的情報のうち、会員番号1234の顧客の目的店舗として特定された店舗Aの確度が1.00であることから、この顧客が他の店舗での商品購入を行った購入金額は全額集客貢献金額として加算される。
図23の例によれば、会員番号1234の顧客は、目的店舗である店舗A以外に、店舗Bにおいて牛肉を1500円で購入している。したがって、店舗Bにおいて会員番号1234の顧客が商品購入を行った購入金額1500円に確度1.00を掛けた1500円が、この顧客の目的店舗である店舗Aの集客貢献金額として加算される。
また、図22に示される来店目的情報のうち、会員番号2235の顧客の目的店舗として特定された店舗Cの確度が0.80であることから、この顧客が他の店舗での商品購入を行った購入金額に0.8を掛けた金額が、集客貢献金額として加算される。
図23によれば、会員番号2235の顧客は、目的店舗である店舗C以外に、店舗Aにおいてパソコンを70000円で購入している。したがって、店舗Aにおいて会員番号2235の顧客が商品購入を行った購入金額70000円に確度0.80を掛けた56000円が、この顧客の目的店舗である店舗Cの集客貢献金額として加算される。
立地条件テーブルや確度テーブルは、ショッピングセンタ内の店舗配置により種々の設定が可能であり、また運用時に適宜調整して適用することが可能である。
このように、顧客の来店時刻から商品購入までの時間差、店舗の立地条件などに基づいて顧客の目的店舗を特定すれば、店頭端末13において顧客が来店目的情報を入力しなかった場合であっても、顧客が主な目的とする店舗を特定することができる。また、目的店舗を特定するための条件は適宜調整可能であることから、運用上において最適な設定を選択することが可能である。
〈他の例による来店目的情報の収集処理2〉
目的店舗特定部22が、顧客が商品購入を行った複数の店舗から目的店舗を特定する場合について、以下に説明する。
この実施例では、来店目的情報の収集処理1と同様に、図18に示す店舗配置とし、各店舗の立地条件についても、図19と同様に設定されるものとする。
図24は、店舗の立地条件と目的店舗である確度との対応を示す確度テーブルの説明図である。
確度テーブル2400は、立地条件、確度の各項目を備えており、立地条件と目的店舗である確度との関係が、顧客が何番目に取引を行った店舗であるかに基づいて設定されている。この例では、顧客がショッピングセンタに来店してから、1番目〜3番目に取引を行った店舗について、それぞれ立地条件と対応させて確度を設定している。
確度テーブル2400の備考欄は、図20に示す例と同様に、たとえば、出入口の近くであるか否か、メイン通路に面しているか否かなどの説明を付している。
目的店舗特定部22は、同一の顧客による行動履歴情報を参照して、出入口における来店情報、各店舗における取引情報の時刻情報の時間差に基づいて、目的店舗を特定することができる。たとえば、目的店舗特定部22は、来店からの時間差、その前に立ち寄った店舗からの時間差を考慮して、顧客が取引を行った所定数の店舗について、確度テーブル2400に基づいてその確度を決定し、目的店舗を特定することができる。
図25は、目的店舗である確度が高いと推定される出入口及び直前の取引情報からの時間差の閾値を示す時間差テーブルの一例の説明図である。
時間差テーブル2500は、出入口及び他の店舗からの該当する店舗までの時間差をマトリクス状に設定するものである。たとえば、ある顧客が第1出入口1805から来店し、店舗Aでの取引情報の時刻情報が、来店情報の時刻情報から、時間差テーブル2500に設定されている所定時間以内であれば、目的店舗特定部22は、確度テーブル2400の1番目に来た店舗の確度を、店舗Aが目的店舗である確度として設定する。同様にして、2番目以降の取引情報を有する店舗については、直前の取引情報との時間差が、確度テーブル2400の閾値を超えていなければ、目的店舗として確度テーブル2400の確度を決定する。
図26は、来店目的情報の収集処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
ステップS2601において、取引情報管理装置20は、顧客の来店情報を収集する。
前述した実施例と同様に、ショッピングセンタの入口付近、駐車場との連絡通路などに店頭端末13が設置されており、このショッピングセンタに来店した顧客が、自分の会員カードに記録されている情報を店頭端末13のデータリーダを介して読み込ませることが可能になっているものとする。店頭端末13は、会員カードから読み込んだ顧客の会員番号と、その時刻を来店情報として店舗サーバ11に送信する。店舗サーバ11側では、店頭端末13から送信される来店情報を、来店情報データベースに格納して保持している。店頭端末13が複数ある場合には、来店情報には、店頭端末13を識別するための端末IDも同時に記録されているものとする。
このような場合、目的店舗特定部22は、記憶装置14に格納されている来店情報を読み込む。
ステップS2602において、取引情報管理装置20は、顧客と店舗との間の取引情報を収集する。前述したように、顧客が商品を購入した際の取引情報は、各店舗に設置されたPOS端末12から店舗サーバ11に送信されて、記憶装置14の売上情報データベースに格納されている。目的店舗特定部22は、このような記憶装置14に格納されている取引情報を収集する。
ステップS2603において、取引情報管理装置20は、顧客の行動履歴情報を作成する。目的店舗特定部22は、来店情報と各店舗における取引情報とを会員番号、日付及び時刻に基づいてソーティングした行動履歴情報を作成する。したがって、目的店舗特定部22は、来店情報中の来店時刻、各店舗における商品購入を行った時刻、購入商品、購入金額が、店頭端末13の端末ID及び店舗コードのデータ収集場所と関連付けられ、会員番号とその時刻情報とに基づいてソーティングされた行動履歴レコードの集合である行動履歴情報を作成する。
ステップS2604において、取引情報管理装置20は、行動履歴情報のうちから来店情報に対応する行動履歴レコードを読み込む。目的店舗特定部22は、行動履歴情報中からデータ収集場所が店頭端末13であるような行動履歴レコードを読み込む。この場合、顧客がこのショッピングセンタに来店した際に、最初に店頭端末13に会員カードに記録された情報を読み込ませることを前提としており、目的店舗特定部22は、来店情報を同一顧客の最初の行動履歴レコードと見なす。
ステップS2605において、取引情報管理装置20は、読み込んだ来店情報のうち時刻情報をワーク変数WKに設定し、来店順をカウントするための変数cntに1を設定する。
ステップS2606において、取引情報管理装置20は、次の行動履歴レコードを読み込む。
ステップS2607において、取引情報管理装置20は、読み込んだ行動履歴レコードが取引情報であるか否かを判別する。目的店舗特定部22は、読み込んだ行動履歴レコードが店舗における商品の購入情報であるか否を判定し、商品購入の取引情報でないと判断した場合にはステップS2605に移行して次の行動履歴レコードの読み込みを行い、商品購入の取引情報であると判断した場合にはステップS2608に移行する。
ステップS2608において、取引情報管理装置20は、先に読み込んだ行動履歴レコードと後に読み込んだ行動履歴レコードの会員番号が一致するか否かを判別する。目的店舗特定部22は、先に読み込んだ行動履歴レコードの会員番号と、後で読み込んだ行動履歴レコードの会員番号が一致するか否かを判別し、一致していなければステップS2604に移行して次の来店情報に対応する行動履歴レコードを読み込む。目的店舗特定部22は、先に読み込んだ行動履歴レコードの会員番号と、後で読み込んだ行動履歴レコードの会員番号が一致していると判断した場合には、ステップS2609に移行する。
ステップS2609において、取引情報管理装置20は、現在対象となっている行動履歴レコードの来店順が所定数以上であるか否かを判別する。目的店舗特定部22は、来店順をカウントするための変数cntが所定数n以上であるか否か判別し、変数cntの値が所定数n以上であると判断した場合にはステップS2604に移行して次の来店情報に対応する行動履歴レコードを読み込む。目的店舗特定部22は、変数cntの値が所定数n未満であると判断した場合にはステップS2610に移行する。来店順位が3番目までの取引情報について、目的店舗として集客貢献金額を算出する場合には、目的店舗特定部22は、所定数nを「3」としてこの処理を実行する。
ステップS2610において、取引情報管理装置20は、店舗間の時間差Nを検索する。目的店舗特定部22は、時間差テーブル2500を参照し、先に読み込んだ行動履歴レコードのデータ収集場所と後で読み込んだ行動履歴レコードのデータ収集場所とに基づいて、適用する時間差の閾値Nを読み込む。
ステップS2611において、取引情報管理装置20は、行動履歴レコードの時間差が閾値N未満であるか否かを判別する。目的店舗特定部22は、読み込んだ取引情報の時刻情報から、ワーク変数WKの値を減算し、時間差テーブル2500から読み込んだ閾値Nと比較する。目的店舗特定部22は、取引情報の時刻情報からワーク変数WKを減算した値が閾値N未満でなければステップS2604に移行し、閾値N未満であればステップS2612に移行する。
たとえば、第1出入口1805から来店した顧客が店舗Aにおいて最初の商品購入を行った場合、行動履歴レコードとしては、第1出入口1805に設置された第1店頭端末13aにより収集された来店情報が最初の行動履歴レコードとなり、この来店情報の時刻情報がワーク変数WKに設定される。次に、目的店舗特定部22は、店舗Aに設置されたPOS端末12から収集された取引情報を行動履歴レコードとして読み込む。目的店舗特定部22は、時間差テーブル2500を参照して、第1出入口2805から店舗Aまでの時間差の閾値である”10:00”を変数Nに設定する。目的店舗特定部22は、行動履歴レコードの店舗Aでの購入時刻から、ワーク変数WKに設定されている先の行動履歴レコードの時刻情報を差し引いた時間差を演算し、これが変数N未満であるか否かを判断する。目的店舗特定部22は、第1出入口1805を通過してから店舗Aで商品購入するまでの時間差が閾値である10分未満であれば、店舗Aがその顧客の目的店舗である確立が高いと判断してステップS2612の処理を行う。また、目的店舗特定部22は、第1出入口1805を通過してから店舗Aで商品購入するまでの時間差が閾値である10分以上であれば、店舗Aはその顧客の目的店舗でないと判断してステップS2604に移行して次の行動履歴レコードの読み込みを行う。
ステップS2612において、取引情報管理装置20は、行動履歴レコードとして読み込んだ取引情報の店舗の立地条件を検索する。目的店舗特定部22は、たとえば、図19に示すような立地条件テーブルを参照し、顧客の来店情報のデータ収集場所と、取引情報のデータ収集場所に基づいて、その取引情報の店舗の立地条件を特定する。たとえば、図18に示すような店舗配置であり、図19に示すような各店舗の立地条件が設定されており、第1出入口1805から来店した顧客が店舗Aにおいて商品購入を行った場合、目的店舗特定部22は、立地条件テーブル1900から店舗Aの立地条件を”4”であると特定する。
ステップS2613において、取引情報管理装置20は、取引情報の店舗が目的店舗である確度を求める。目的店舗特定部22は、図24に示すような立地条件と目的店舗である確度との関係を示す確度テーブル2400を参照して、取引情報の店舗が目的店舗である確度を読み込む。目的店舗特定部22は、来店順位を示す変数cntの値と、取引情報の店舗の立地条件とに基づいて、確度テーブル2400から該当する確度情報を読み出す。たとえば、顧客が第1出入口1805から来店して、店舗Aにおいて最初の商品購入を行った場合には、目的店舗特定部22は、店舗Aの立地条件”4”と、変数cnt=1の条件に基づいて、確度”1.0”を得る。
ステップS2614において、取引情報管理装置20は、特定した顧客の目的店舗に応じて来店目的情報を作成する。目的店舗特定部22は、取引情報の店舗がその顧客の目的店舗であると特定した場合に、その取引情報の時刻情報、顧客の会員番号、目的店舗、来店順位、購入商品、目的店舗である確度などの情報を来店目的情報として出力する。
ステップS2615において、取引情報管理装置20は、後で読み込んだ取引情報の時刻をワーク変数WKに設定し、来店順位を示す変数cntをインクリメントし、ステップS2606に移行する。
ステップS2603において、作成される行動履歴情報の一例を図27に示す。
図27は、来店情報と取引情報に応じて作成される行動履歴情報の一例を示す説明図である。
行動履歴情報は、会員番号、来店時刻及び店頭端末13の端末IDなどを含む来店情報と、会員番号、売上時刻、店舗コード、購入商品などを含む取引情報をそれぞれ1つの行動履歴レコードとしてマージしており、会員番号、来店日、時刻情報によってソーティングされている。
行動履歴情報テーブル2700は、会員番号、データ収集場所、来店日、時刻、購入商品の各項目を備えている。
行動履歴レコードが、ショッピングセンタの出入口に設置された店頭端末13により収集された来店情報である場合には、データ収集場所の項目には該当する店頭端末13の端末IDが格納される。この時、時刻情報には顧客が来店した来店時刻が格納される。
行動履歴レコードが、各店舗に設置されたPOS端末12から送信された取引情報である場合には、データ収集場所の項目には該当する店舗コードが格納され、顧客が購入した商品についての情報が購入商品の項目に格納される。
図27に示される行動履歴情報では、会員番号1234の顧客の行動履歴レコードとして、第1出入口1805に設置された第1店頭端末13aにより来店情報が収集されており、次に店舗Aに設置されたPOS端末12によりテレビを購入したことを示す取引情報が収集され、次いで、店舗Bに設置されたPOS端末12により牛肉を購入したことを示す取引情報が収集されている。この会員番号1234の顧客の来店時刻は13時25分であり、その5分後である13時30分に店舗Aにおいてテレビを購入している。
図25の時間差テーブル2500によれば、第1出入口1805から店舗Aまでの時間差の閾値が10分であり、第1出入口1805における来店時刻から店舗Aでの取引情報の時刻までの時間差が5分であることから、目的店舗特定部22は、店舗Aを目的店舗として特定する。
目的店舗特定部22は、立地条件テーブル1900を参照して、顧客が来店した第1出入口1805に対する店舗Aの立地条件”4”を得る。さらに、目的店舗特定部22は、確度テーブル2400を参照し、店舗Aの立地条件”4”と、来店順位cntの値1に基づいて、確度1を得る。
目的店舗特定部22は、この顧客の来店日時、会員番号、目的店舗の店舗コード、来店順位、購入商品、目的店舗である確度などの来店目的情報を含む来店目的レコードを生成する。
図28は、来店目的情報の一例を示す説明図である。
前述したような手順により、目的店舗特定部22は、顧客の目的店舗として特定した店舗とその取引情報とを含む来店目的レコードとして、来店日、時刻、顧客の会員番号、目的店舗の店舗コード、来店順位、購入商品、目的店舗である確度の各項目のデータを出力する。図28の例では、目的店舗特定部22は、会員番号1234の顧客が目的店舗を店舗Aとする取引を行い、店舗Aの目的店舗である確度が1.00とする来店目的レコードを生成する。
目的店舗特定部22は、店舗Aにおける行動履歴レコードの時刻情報をワーク変数WKに設定し、来店順位を示す変数cntに1を加えて2に設定する。
目的店舗特定部22は、図27に示される行動履歴情報から、時刻13:50に店舗Bにおいて牛肉を購入した旨の取引情報を行動履歴レコードとして読み込む。目的店舗特定部22は、時間差テーブル2500を参照して、店舗Aから店舗Bまでの時間差の閾値”5:00”を得る。
行動履歴レコードでは、顧客が店舗Aで商品購入を行った時刻が13時30分であり、店舗Bで商品購入を行った時刻が13時50分であり、この時間差20分が閾値5分を超えていることから、目的店舗特定部22は店舗Bがこの顧客の目的店舗ではないとみなして、次の来店情報の読み込み処理に移行する。
さらに、図27に示される行動履歴情報では、会員番号1567の顧客の行動履歴レコードとして、第2出入口1806に設置された第2店頭端末13bにより来店情報が収集されており、次に店舗Bに設置されたPOS端末12により玉子を購入したことを示す取引情報が収集され、次いで、店舗Dに設置されたPOS端末12により雑誌を購入したことを示す取引情報が収集されている。この会員番号1567の顧客の来店時刻は13時00分であり、その5分後である13時05分に店舗Bにおいて玉子を購入している。
図25の時間差テーブル2500によれば、第2出入口1806から店舗Bまでの時間差の閾値が8分であり、第2出入口1805における来店時刻から店舗Bでの取引情報の時刻までの時間差が5分であることから、目的店舗特定部22は、店舗Bをこの顧客の目的店舗として特定する。
目的店舗特定部22は、立地条件テーブル1900を参照して、顧客が来店した第2出入口1806に対する店舗Bの立地条件”3”を得る。さらに、目的店舗特定部22は、確度テーブル2400を参照し、店舗Bの立地条件”3”と、来店順位cntの値1に基づいて、確度0.8を得る。
目的店舗特定部22は、会員番号1567の顧客の目的店舗が店舗Bであり、店舗Bの目的店舗である確度が0.8とする来店目的レコードを生成する。
目的店舗特定部22は、店舗Bにおける行動履歴レコードの時刻情報をワーク変数WKに設定し、来店順位を示す変数cntに1を加えて2に設定する。
目的店舗特定部22は、図27に示される行動履歴情報から、時刻13:15に店舗Bにおいて雑誌を購入した旨の取引情報を行動履歴レコードとして読み込む。目的店舗特定部22は、時間差テーブル2500を参照して、店舗Aから店舗Bまでの時間差の閾値”12:00”を得る。
行動履歴レコードでは、顧客が店舗Bで商品購入を行った時刻が13時05分であり、店舗Dで商品購入を行った時刻が13時15分であり、この時間差10分が閾値12分未満であることから、目的店舗特定部22は店舗Dについてもこの顧客の目的店舗であるとみなす。
目的店舗特定部22は、立地条件テーブル1900を参照して、顧客が来店した第2出入口1806に対する店舗Dの立地条件”4”を得る。さらに、目的店舗特定部22は、確度テーブル2400を参照し、店舗Dの立地条件”4”と、来店順位cntの値2に基づいて、確度0.5を得る。
目的店舗特定部22は、会員番号1567の顧客の目的店舗が店舗Dであり、店舗Dの目的店舗である確度が0.5とする来店目的レコードを生成する。
このようにして、目的店舗特定部22は、各顧客の来店目的レコードを生成して図28に示すような来店目的情報を出力する。
図29は、目的店舗が特定された顧客に対応する取引情報を抽出した例を示す説明図である。
たとえば、図28に示される来店目的情報のうち、会員番号1234の顧客の目的店舗として特定された店舗Aの確度が1.00であることから、この顧客が他の店舗での商品購入を行った購入金額は全額集客貢献金額として加算される。
図29の例によれば、会員番号1234の顧客は、目的店舗である店舗A以外に、店舗Bにおいて牛肉を1500円で購入している。したがって、店舗Bにおいて会員番号1234の顧客が商品購入を行った購入金額1500円に確度1.00を掛けた1500円が、この顧客の目的店舗である店舗Aの集客貢献金額として加算される。
また、図28に示される来店目的情報のうち、会員番号1567の顧客の目的店舗として特定された店舗Bの確度が0.80であることから、この顧客が他の店舗での商品購入を行った購入金額に0.8を掛けた金額が、集客貢献金額として加算される。
図29によれば、会員番号1567の顧客は、目的店舗である店舗B以外に、店舗Dにおいて雑誌を500円で購入している。したがって、店舗Dにおいて会員番号1567の顧客が商品購入を行った購入金額500円に確度0.80を掛けた400円が、この顧客の目的店舗である店舗Bの集客貢献金額として加算される。
また、図28の来店目的情報2800によれば、店舗Dについても会員番号1567の顧客の目的店舗として特定されており、店舗Dがこの顧客の目的店舗である確度は0.5である。図29によれば、会員番号1567の顧客は、店舗D以外に、店舗Bにおいて玉子を1000円で購入している。したがって、店舗Bにおいて会員番号1567の顧客が商品購入を行った購入金額1000円に確度0.80を掛けた800円が、この顧客の目的店舗である店舗Dの集客貢献金額として加算される。
集客貢献金額に基づいて、各店舗のテナント料を割り引く構成は、前述の実施例と同様であり、ここでは詳細は省略する。
この実施例においても、ショッピングセンタ内の店舗配置などに基づいて立地条件テーブルや確度テーブルの設定を変更することが可能であり、また運用時に適宜調整して適用することが可能である。また、何番目の来店順位までを目的店舗の候補として、来店目的情報の収集処理を行うかについても、適宜設定することが可能であり、顧客が商品購入を行った全ての店舗について、目的店舗であるか否かの検証を行うこともできる。
このように、複数の店舗について、その来店順位に応じて顧客の主な目的とする店舗を特定することで、複数の店舗をその顧客の目的店舗として特定することが可能であり、目的店舗である確度を用いて集客貢献金額を算出していることから、店舗への還元額をきめ細かく設定することが可能である。
〈他の実施形態〉
(A)前述した実施例では、大規模なショッピングモールに複数のテナントが収容された場合を想定して、集客貢献度に応じたテナント料の割引を行うことについて説明した。
運営主体の形態としては、デパート、ホームセンタ、量販店などの複数の店舗を収容して、テナント契約を行っているような場合に適用することができる。
また、インターネットを介して提供される仮想ショッピングモールに適用することも可能である。仮想ショッピングモールにおいても、出店する各店舗は運営主体にテナント料の支払いを行っており、その契約形態は固定賃料型、売上歩合型、及び組合せ型の各料金体系が存在する。
仮想ショッピングモールでは、フロントページからカテゴリやリンクをたどって各店舗のコンテンツに到達できる。各店舗において表示されるコンテンツは、商品毎にその商品紹介を行って顧客からの発注を受け付ける画面構成を備えている。
たとえば、顧客がこのショッピングモールのフロントページに到達した後、最初に商品購入を行った店舗を目的店舗とすることができる。この後、この顧客が、他の店舗において商品購入を行った場合に、この店舗の売上を目的店舗の集客貢献金額として集計し、テナント料の割引などの還元を行う。顧客がたどったコンテンツ間のリンク構造に基づいて、フロントページから店舗までの距離、各店舗間の距離を特定し、前述したような実体的なショッピングセンタの実施形態を適用することも可能である。
また、仮想ショッピングモールから送信するメールマガジンなどの電子メールに、当該ショッピングモールへのリンクを添付して送信し、ユーザから仮想ショッピングモールへのアクセスがあった場合に、リンク元のメールがどの店舗からのものが識別できるようにすることができる。たとえば、店舗から送信する電子メールに、URL"http://www.abc.ne.jp/mail/u/l?p=xyz"というURLをハイパーリンクとして埋め込んでおく。URLの最後に挿入された"p=xyz"は、電子メールを送信した店舗を識別するためのパラメータである。ユーザがこのリンクを介して仮想ショッピングモールにアクセスした場合に、パラメータ"p=xyz"によりリンクが添付された電子メールを送信した店舗が識別できる。仮想ショッピングモールを運営するサーバ側において、このパラメータから目的店舗を特定することができる。
また、仮想ショッピングモールに含まれる店舗が、他のサイトに当該ショッピングモールのバナー広告を出す際に、前述と同様にしてURLの最後に店舗を識別するためのパラメータを挿入しておくことができる。この場合、ユーザがバナー広告をクリックしてアクセスした場合に、どの店舗のバナー広告からアクセスしたかを識別することができ、この店舗を目的として特定するこができる。
(B)顧客の行動履歴情報の収集方法として、会員カードの他、クレジットカード、電子マネーなどを利用することもできる。これらカード類に記録されている情報を店頭端末13やPOS端末12、またはその他のショッピングセンタ内に設置された端末を用いて収集し、店舗サーバ11側で収集して、顧客の行動履歴情報を作成することができる。
この場合、顧客を識別するための顧客IDが各カード類によって異なるため、複数のカード類を使用する顧客については、それぞれの顧客IDを関連付けておく必要がある。
また、ショッピングセンタ側で発行する会員カードにRFIDタグを埋め込んでおき、ショッピングセンタ内の各所に設置したRFIDリーダにより各顧客の行動履歴情報を収集することもできる。
(C)前述した実施形態では、目的店舗に特定された店舗の集客貢献金額として、他店舗における取引情報の取引金額を集計しているが、目的店舗に特定された店舗における取引金額についても集客貢献金額に集計することもできる。この場合には、ショッピングセンタ全体の売上総額に対する集客貢献度を、店舗毎に評価することが可能となる。
また、前述した実施形態では、取引金額に応じた集客貢献金額を集計し、この集客貢献金額に比例するテナント割引額を決定している。この点は、本発明を説明するために便宜的にこのような構成にしたものであって、店舗毎に異なる賃貸借契約がなされているような場合には、これに応じて店舗毎に異なるテナント料割引額の算出方法を用いることができる。たとえば、売上額に対して所定の料率を掛けた額を賃料として徴収する売上歩合型である店舗と、固定賃料と一部売上歩合型とを組み合わせた組合せ型である店舗において、それぞれ異なる係数を設定しておく。集客貢献金額に対して、その店舗の賃貸借契約の形態に基づいて設定されている係数を掛け、それぞれの店舗に対するテナント料割引額を算出することができる。例えば、固定賃料と一部売上歩合型とを組み合わせた組合せ型の賃貸借契約をしている店舗に対して、テナント料割引額を算出する際の係数を大きく設定しておく。運営主体は、このように固定賃料分のテナント料が確実に得られる店舗を優遇することで、このような賃貸借契約をする店舗の誘致を多くし、収益が低下するリスクを回避することができる。
また、固定賃料の賃貸借契約をしている店舗であっても、他店舗への集客貢献度が高いと考えられる場合があることから、同様に、テナント料割引額を算出してこれを適用することが可能である。この場合にも、売上歩合型及び組合せ型の賃貸借契約をしている店舗に比して、収益低下のリスクを回避できることから、テナント料割引額を算出する際の係数を大きくすることが可能である。
(D)店舗の集合体としては、店頭端末が存在しないような場合もある。このような場合には、顧客の行動履歴情報は、主に店舗に設置されたPOS端末12から得られることとなる。このような場合には、顧客が商品購入を行った最初の取引情報に対応する店舗を目的店舗とすることができる。
また、前述したような各店舗の立地条件と来店順位とを考慮して、目的店舗である確度を算出することも可能である。