JP5679330B2 - タイル押え、これを用いたpc板およびpc板の製造方法、並びにタイルの型枠先付け工法 - Google Patents
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Description
このPC板先付け工法では、裏面に、深さ2mm〜5mmで且つ幅5mm〜10mmのあり溝を、300mmのピッチで複数条形成した大形セラミックタイルを用意する。そして、大形セラミックタイルのあり溝間に、断面「C」字状の弾性アンカーを握着嵌合し、且つあり溝とその周辺とに弾性接着剤を塗着して弾性層を形成し、これにPCコンクリートを打設してPC板を得るようにしている。
これにより、硬化収縮によるPCコンクリートの亀裂が防止されると共に、接着強度を格段に高めることができる。
また、PCのコンクリートにおいて、鉄筋のかぶり厚不足やジャンカの発生により、弾性アンカーを設けてもタイルの経時的な剥がれを確実に防止することができない問題があった。
図4(b)は第2変形例であり、この変形例に係るアンカー3Bは、両軸端にフランジ部24,24を有するピンで構成されている。この場合、アンカー3Bは、一方のフランジ部で押え部材に溶着されており、PCコンクリート31にアンカリングされる他方のフランジ部24により、引抜き強度の強度アップが図られている。
図4(c)は第3変形例であり、この変形例に係るアンカー3Cは、押え部材2の一部を裏側に切り起すようにして形成されている。アンカー3Cの先端部は、「L」字状に折り曲げられており、この先端屈曲部26により、引抜き強度の強度アップが図られている。
このPC板30Aでも、各タイル11の四周がタイル押え1Aにより押えられるようにPCコンクリート31にアンカリングされるため、タイル11がPCコンクリート31から剥離することがない。
同様に、図9(c)に示す第3実施形態のPC板30Bは、矩形のPCコンクリート31と、PCコンクリート31の表面に馬踏み目地の目地割りで直付けした複数のタイル11と、タイル11の目地に沿って配置した上記のタイル押え1Bと、を備えている。この場合のタイル押え1Bは、その押え部材2Bにより半数のタイル11が表面の短辺側縁部13bを、残りの半数のタイル11が左右の中間位置を押え、この状態で複数のアンカー3はPCコンクリート31に埋め込まれている。
なお、タイル押え1Bにおいて、一対の連接横格子4c,4cを省略した形態としてもよい。また、タイル押え1Bを、複数の縦格子4aと、これと別体の一対の連接横格子4c,4c、或いはこれに相当する帯状部材(樹脂材で可)とで構成し、両者を両面粘着テープ等で粘着した形態としてもよい。この場合には、PC板30Bを製作した後、一対の連接横格子4c,4c(これに相当する帯状部材)を取り去るようにすることが好ましい。
また、各縦格子4aにアンカー3をねじ止め、或いはフッキングする形態(相対的に着脱自在)としてもよい。係る場合には、施工後のPC板30Bにおいて、タイル11にひび割れ等が生じたときに、縦格子4aを外してタイル11の張替え補修を容易に行うことができる。
なお、タイル押え1Cにおいて、一対の連接縦格子4d,4dを省略した形態等の第3実施形態と同様の変形例を適用することも可能である。また、各横格子4bにアンカー3をねじ止め等する形態も適用可能である。さらに、図示しないが、このタイル押え1Cは、直張りする複数のタイル11が馬踏み目地であっても適用可能であり、かかる場合にも各タイル11の表面の長辺側縁部13cを一括して押えることになる。
そこで、図13および図14を参照して、専用のタイル11Aを上記タイル11の変形例として説明する。このタイル11Aは、第1および第2実施形態のPC板30,30Aに用いるものであり、上記の市販品とは表側の形態が異なっている。変形例のタイル11Aは、「二丁掛」や「三丁掛」等のサイズを有し、裏面側には裏あし15(JIS A 5209)が形成されている。タイル11Aの表側は、タイル押え1,1Aにより押えられる四周縁部13aが段部となっており、この部分に押え部材2,2Aの押え部6aが重なるように配設される。すなわち、タイル11Aの表面とタイル11Aに接する押え部材2,2Aの押え部6aの表面とが面一になるように、タイル11Aの表面の四周縁部13aが押え部材(タイル押え1,1A)2,2Aの厚み分、段部形状に形成されている。
これにより、タイル押え1,1Aを設けても意匠性良好なタイル表面を構成することができ、PC板先付け工法による意匠性に優れたPC板30を構成することができる。また、このPC板30を外壁等に適用した場合に、外壁清掃が煩雑になることもない。なお、特に図示しないが、第3および第4実施形態のPC板30B,30Cに用いるタイル11では、前者が表面の短辺側縁部13bを、後者が表面の長辺側縁部13cを、それぞれ段部形状に形成することが好ましい。
タイルセット工程では、先ずタイルセット部材51の押えセット部51aにタイル押え1をセットする。実際には、タイル押え1をタイルセット部材51に載置する作業となる。続いて、各タイル(単体)11を、タイルセット部材51のタイルセット部51bおよび上記の小ブロック53間に嵌め込むようにセットする。なお、小ブロック53は、最終的にPCコンクリート31に埋め込まれる。
コンクリート打設工程では、PC用型枠52内に所望の鉄筋54を配筋した後、PCコンクリート31を流し込む。流し込んだPCコンクリート31は十分に締め固めた後、養生に移行する。
セット部材除去工程では、PCコンクリート31の硬化を待って、PC用型枠52を上下反転させ、PC用型枠52およびタイルセット部材51の順でこれらを取り外す(離型)。そして、必要があれば、完成したPC板30の表面(タイル側)を洗浄する。
この場合、タイルセット部材51へのタイル押え1およびタイル11のセットでは、置き目地法や目地ます法(例えば、発泡スチロール製の目地ます)を用い、或いはタイル押え1および複数のタイル11をプラスチックフィルムで連結するタイルユニット法を用いることが、好ましい。
セット部材取付け工程では、コンクリート61打設用に既に施工されたコンクリート型枠62の内側に、接着剤や両面粘着テープにより(図示省略)、各タイルセット部材51を固定する。
コンクリート打設工程では、コンクリート用型枠62内に所望の鉄筋54を配筋した後、コンクリート61を流し込む。流し込んだコンクリート61は十分に締め固めた後、養生に移行する。
セット部材除去工程では、コンクリート61の硬化を待って、コンクリート用型枠62およびタイルセット部材51の順でこれらを取り外す(離型)。そして、必要があれば、表面のタイル部分を洗浄する。
この場合も、コンクリート用型枠62の離型を行うと、コンクリート61の表面に複数のタイル11およびタイル押え1が直付けされた状態となり、タイル11が経時的に剥がれ落ちるのを確実に防止することができる。なお、この場合も、タイルセット工程とセット部材取付け工程とを逆の工程順で行なうようにしてもよい。
1B タイル押え 1C タイル押え
2 押え部材 2A 押え部材
2B 押え部材 2C 押え部材
3 アンカー 3A アンカー
3B アンカー 3C アンカー
4a 縦格子 4b 横格子
4c 連結横格子 4d 連結縦格子
5 開口部分 6a 押え部
6b 目地部 11 タイル
11A タイル 12a 縦目地
12b 横目地 13a 四周縁部
13b 短辺側縁部 13c 長辺側縁部
30 PC板 30A PC板
30B PC板 30C PC板
31 PCコンクリート 51 タイルセット部材
52 PC用型枠 61 コンクリート
62 コンクリート用型枠
Claims (11)
- タイルの先付け工法に用いられ、硬化後のコンクリートにアンカリングされてタイルの剥離を阻止するタイル押えであって、
所定の目地割りで配設された複数のタイルの表面縁部を一括して押える押え部材と、
前記押え部材の裏面に突設され、前記複数のタイルの目地の部分で、未硬化の前記コンクリートに埋め込まれるアンカーと、を備えたことを特徴とするタイル押え。 - 前記押え部材は、複数の縦目地および複数の横目地に沿って網目状に形成され、前記複数のタイルの表面における四周縁部を一括して押えることを特徴とする請求項1に記載のタイル押え。
- 前記押え部材は、複数の縦目地に沿って縦ストライプ状に形成され、前記複数のタイルの表面における短辺側縁部を一括して押えることを特徴とする請求項1に記載のタイル押え。
- 前記押え部材は、複数の横目地に沿って横ストライプ状に形成され、前記複数のタイルの表面における長辺側縁部を一括して押えることを特徴とする請求項1に記載のタイル押え。
- 前記各タイルに接する前記押え部材の押え代の幅が、1mmから5mmであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のタイル押え。
- PCコンクリートと、
前記PCコンクリート板の表面に、所定の目地割りに従って配置した複数のタイルと、
前記複数のタイルを一括して押えるようにして前記PCコンクリートにアンカリングされた請求項1ないし5のいずれかに記載のタイル押えと、を備えたことを特徴とするPC板。 - 前記各タイルの表面と前記各タイルに接する前記押え部材の押え代の表面とが面一になるように、前記各タイルの前記表面縁部が前記タイル押えの厚み分、段部形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のPC板。
- タイルのPC板先付け工法による、請求項6または7に記載のPC板の製造方法であって、
前記タイル押えおよび前記複数のタイルをセットするためのタイルセット部材を、PC用型枠に取り付けるセット部材取付け工程と、
前記タイルセット部材に、前記タイル押えおよび前記複数のタイルをセットするタイルセット工程と、
前記セット部材取付け工程および前記タイルセット工程の後、前記PC用型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリート打設工程の後、硬化した前記コンクリートから前記PC用型枠および前記タイルセット部材を取り外すセット部材除去工程と、を備えたことを特徴とするPC板の製造方法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のタイル押えの1以上と複数のタイルとを用いて行うタイルの型枠先付け工法であって、
前記タイルセット部材に、1以上の前記タイル押えおよび前記複数のタイルをセットするタイルセット工程と、
前記タイルセット部材を、施工後のコンクリート用型枠の内側に取り付けるセット部材取付け工程と、
前記タイルセット工程および前記セット部材取付け工程の後、前記コンクリート用型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリート打設工程の後、硬化したコンクリートから前記コンクリート用型枠および前記タイルセット部材を取り外すセット部材除去工程と、を備えたことを特徴とするタイルの型枠先付け工法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のタイル押えの1以上と複数のタイルとを用いて行うタイルの型枠先付け工法であって、
前記タイルセット部材に、1以上の前記タイル押えおよび前記複数のタイルをセットするタイルセット工程と、
前記タイルセット部材を、施工前のコンクリート用型枠の内側に取り付けるセット部材取付け工程と、
前記タイルセット工程および前記セット部材取付け工程の後、前記コンクリート用型枠を組み上げる型枠施工工程と、
前記型枠施工工程の後、前記コンクリート用型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリート打設工程の後、硬化したコンクリートから前記コンクリート用型枠および前記タイルセット部材を取り外すセット部材除去工程と、を備えたことを特徴とするタイルの型枠先付け工法。 - 前記各タイルの表面と前記各タイルに接する前記押え部材の押え代の表面とが面一になるように、前記各タイルの前記表面縁部が前記タイル押えの厚み分、段部形状に形成されていることを特徴とする請求項9または10に記載のタイルの型枠先付け工法。
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