JP5679234B2 - 湿式摩擦材 - Google Patents

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Description

本発明は、油中に浸した状態で対向面に高圧力をかけることによってトルクを得る湿式摩擦材であって、リング状の芯金にセグメントピースまたはリング形状に切断した摩擦材基材を全周両面若しくは片面に接着してなるセグメント摩擦材またはリングタイプ摩擦材に関するものである。
近年、湿式摩擦材として、材料の歩留まり向上による低コスト化、引き摺りトルク低減による車両での低燃費化を目指して、平板リング状の芯金(コアプレート)に、平板リング形状に沿ったセグメントピースに切断した摩擦材基材を油通路となる間隔をおいて、接着剤で順次並べて全周に亘って接着し、裏面にも同様にセグメントピースに切断した摩擦材基材を接着してなるセグメント摩擦材が開発されている。このようなセグメント摩擦材は、自動車等の自動変速機(Automatic Transmission、以下「AT」とも略する。)やオートバイ等の変速機に用いられる複数または単数の摩擦板を設けた摩擦材係合装置用として用いることができる。
一例として、自動車等の自動変速機には湿式油圧クラッチが用いられており、複数枚のセグメント摩擦材と複数枚のセパレータプレートとを交互に重ね合わせ、油圧で両プレートを圧接してトルク伝達を行うようになっており、非締結状態から締結状態に移行する際に生じる摩擦熱の吸収や摩擦材の摩耗防止等の理由から、両プレートの間に潤滑油(Automatic Transmission Fluid,自動変速機潤滑油、以下「ATF」とも略する。)を供給している。(なお、「ATF」は出光興産株式会社の登録商標である。)
しかし、湿式油圧クラッチの応答性を高めるためにセグメント摩擦材と相手材であるセパレータプレートとの距離は小さく設定されており、また湿式油圧クラッチの締結時のトルク伝達容量を充分に確保するために、セグメント摩擦材上に占める油通路の総面積は制約を受ける。この結果、湿式油圧クラッチの非締結時にセグメント摩擦材とセパレータプレートとの間に残留するATFが排出され難くなり、両プレートの相対回転によってATFによる引き摺りトルクが発生するという問題があった。
そこで、特許文献1においては、ATFによる冷却能力を維持しながらATFの排出を促進して引き摺りトルクを低減することを目的として、鉄系の金属板よりなる芯板の表裏両面に同心円状に2列に複数の摩擦材(セグメントピース)を配置することによって、芯金の半径方向に放射状に延びる第1の溝と芯金の円周方向に延びる第2の溝とを形成した湿式摩擦板の発明について開示している。これによって、潤滑油による冷却能力を維持しつつ、トルク伝達を要しない時の引き摺りトルクの発生を抑制することができるとしている。
また、特許文献2においては、平板リング状の芯金の表面に間隔を空けて同心円状に二枚のリング状摩擦材を配置して、各リング状摩擦材にそれぞれ複数の周方向溝と、それらの周方向溝に平板リング状の芯金の内縁または外縁から連通する径方向溝とを設けたインナクラッチプレートと、そのインナクラッチプレートを用いた駆動力伝達装置の発明について開示している。これによって、インナクラッチプレートとそれと摩擦係合するアウタクラッチプレートとの間により多くの潤滑油を導入することが可能となり、その動圧による各クラッチプレートの離間効果を向上させることができる結果、より効果的に引き摺りトルクの低減を図ることができるとしている。
特開2003−090369号公報 特開2008−106929号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術においては、半径方向に延びる溝と円周方向に延びる溝とを摩擦材全域に設けているため、セグメントピースまたはリング状摩擦材が相手材であるセパレータプレートまたはアウタクラッチプレートと摩擦接触する面積(以下、「ライニング面積」という。)が大幅に減少してしまう。この結果、締結時のトルク伝達容量を充分に確保することができなくなるとともに、耐熱性及び耐剥離性が低下してしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、セグメント摩擦材またはリングタイプ摩擦材であって、ライニング面積をトルク伝達容量及び耐熱性・耐剥離性に影響しない程度に広く保ちながら、非締結時における潤滑油の排出を一層促進して、相対回転数の広い範囲に亘って優れた引き摺りトルクの低減効果を得ることができる湿式摩擦材を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明に係る湿式摩擦材は、リング形状の芯金に前記リング形状に沿って、複数個のセグメントピースに切断された摩擦材基材が互いに間隔をおいて該間隔に油溝を形成するように全周両面若しくは全周片面に接着されてなるセグメント摩擦材、またはリング形状の芯金の全周両面若しくは全周片面にリング形状の摩擦材基材が接着されて互いに間隔をおいて複数個の島状部分が形成されることで該間隔に油溝を形成するリングタイプ摩擦材であって、前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分の表面に、前記リング形状の全周に対し、前記油溝に対して交差する方向に引き摺りトルク低減溝を配した部分と配さない部分とを設けたものである。
ここで、リングタイプ摩擦材においては「間隔」の部分が凹んでおり、島状部分が突出していて相手材と摩擦接触するものであり、「間隔」の部分を凹ませて島状部分を形成する方法としては、摩擦材基材を抄紙する段階で形成する方法、プレス加工、切削加工等があり、更に切削加工としては、刃物による切削加工、レーザ光による切削加工等がある。
また、「引き摺りトルク低減溝を配した部分と配さない部分とを設けた」とは、リング形状の芯金に設けられたセグメントピースまたは島状部分がリング形状の円周全域に亘ってセグメントピースまたは島状部分の端から端までに油溝に対して交差する方向に引き摺りトルク低減溝を設けるのではなく、セグメントピースまたは島状部分の一つずつが、油溝に対して交差する方向に引き摺りトルク低減溝を配した部分と配さない部分とが少なくとも1箇所ずつあるか、油溝に対して交差する方向に引き摺りトルク低減溝を配した部分のみか、または引き摺りトルク低減溝を配さない部分のみによって、リング形状の円周方向の一部にリング形状の径方向の全域に亘って引き摺りトルク低減溝が配されていない部分を設けるようにセグメントピースまたは島状部分が構成されているという意味である。
言い換えれば、セグメント摩擦材またはリングタイプ摩擦材をリング形状の全周について見た場合に径方向には、セグメントピースまたは島状部分の表面に引き摺りトルク低減溝が設けられていない部分が必ず1箇所以上存在するということである。
更に、セグメントピースまたは島状部分のうち少なくとも1個については、引き摺りトルク低減溝が、間隔(油溝)に面する一方の端面から間隔に面する他方の端面まで貫通していることが好ましい。
請求項2の発明に係る湿式摩擦材は、請求項1の構成において、前記引き摺りトルク低減溝は、前記セグメント摩擦材または前記リングタイプ摩擦材のリング形状の全周に複数箇所設けられたものである。
請求項3の発明に係る湿式摩擦材は、請求項2の構成において、前記引き摺りトルク低減溝は、前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分の少なくとも1つおきに設けられたものである。
請求項4の発明に係る湿式摩擦材は、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の前記引き摺りトルク低減溝が、前記引き摺りトルク低減溝が隣り合う2以上のセグメントピースまたは隣り合う2以上の島状部分に設けられたものである。
請求項5の発明に係る湿式摩擦材は、請求項2乃至請求項4の何れか1つの構成において、セグメントピースまたは島状部分の表面に形成された前記複数の引き摺りトルク低減溝の中心が、前記セグメント摩擦材または前記リングタイプ摩擦材の円周を略等分する位置に設けられたものである。
ここで、「複数の引き摺りトルク低減溝の中心」とは、引き摺りトルク低減溝が設けられたセグメントピースまたは島状部分に隣り合うセグメントピース若しくは島状部分には溝がなく孤立してセグメントピース若しくは島状部分に設けられた引き摺りトルク低減溝、または隣り合う2以上のセグメントピース若しくは島状部分に亘る一連の引き摺りトルク低減溝の、長さ方向の中心線と幅方向の中心線との交点を意味する。
また、「円周を略等分する位置」とは、引き摺りトルク低減溝が2箇所に設けられた場合には引き摺りトルク低減溝の中心同士が円周について互いに円周の中心(リング形状の中心)に対し約180度の角度を成す位置であり、3箇所に設けられた場合には引き摺りトルク低減溝の中心同士が円周について互いに円周の中心(リング形状の中心)に対し約120度の角度を成す位置であり、4箇所に設けられた場合には引き摺りトルク低減溝の中心同士が円周について互いに円周の中心(リング形状の中心)に対し約90度の角度を成す位置であり、5箇所に設けられた場合には引き摺りトルク低減溝の中心同士が円周について互いに円周の中心(リング形状の中心)に対し約72度の角度を成す位置である。
なお、引き摺りトルク低減溝は、その幅がセグメントピースまたは島状部分の半径方向の幅の6%〜60%の範囲内であることが好ましく、13%〜40%の範囲内であることがより好ましい。
また、引き摺りトルク低減溝は、その深さがセグメントピースまたは島状部分の厚さの10%〜70%の範囲内であることが好ましく、30%〜50%の範囲内であることがより好ましい。
請求項1の発明に係る湿式摩擦材は、リング形状の芯金にリング形状に沿って、複数個のセグメントピースに切断された摩擦材基材が互いに間隔をおいて間隔に油溝を形成するように全周両面若しくは全周片面に接着されてなるセグメント摩擦材、またはリング形状の芯金の全周両面若しくは全周片面にリング形状の摩擦材基材が接着されて互いに間隔をおいて複数個の島状部分が形成されることで間隔に油溝を形成するリングタイプ摩擦材であって、複数個のセグメントピースまたは複数個の島状部分の表面に、リング形状の全周に対し、油溝に対して交差する方向に引き摺りトルク低減溝を配した部分と配さない部分とを設けたものである。
かかる構成によって、湿式油圧クラッチ等の摩擦材係合装置の非締結時に湿式摩擦材とセパレータプレート等の相手材が相対回転した場合に、両者の間の潤滑油が複数個のセグメントピース間の間隙(油溝)または複数個の島状部分間の間隙(油溝)から外周側に排出されるとともに、セグメントピースまたは島状部分の表面に設けられた油溝に対して交差する方向に形成された引き摺りトルク低減溝から、円周方向に潤滑油が排出される。それとともに、一部の潤滑油はセグメントピースまたは島状部分の表面に設けられた引き摺りトルク低減溝を乗り越えて(引き摺りトルク低減溝から溢れ出して)、湿式摩擦材の表面に油膜を形成しながら排出される。
この結果、湿式摩擦材と相手材との間の余分な潤滑油が効率よく排出されるとともに、湿式摩擦材の表面に形成された油膜によって湿式摩擦材と相手材とが確実に離間して、非締結時における引き摺りトルクが大幅に低減される。特に、相対回転数が高く、遠心力によって潤滑油が外周側に偏在して湿式摩擦材と相手材との間の潤滑油量が少なくなった場合において、より効果的に引き摺りトルクを低減することができる。そして、セグメントピースまたは島状部分の表面に引き摺りトルク低減溝を配した部分と配さない部分とが設けられているため、ライニング面積の減少を最小限に抑えることができる。したがって、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術のような、ライニング面積の大幅な減少に伴う弊害の発生を抑制できる。
更に、セグメントピース同士または島状部分同士の間隔を所定の大きさに保ったまま、セグメントピースまたは島状部分の数を減少させることによって、ライニング面積を増加させることができる。これによって、セグメントピースまたは島状部分の一部の表面に引き摺りトルク低減溝を設けた場合でも、従来の湿式摩擦材と同等以上のライニング面積を確保することが可能となる。したがって、ライニング面積の減少に伴う弊害は全くなく、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の作用によって引き摺りトルクが確実に低減される。
このようにして、ライニング面積をトルク伝達容量及び耐熱性・耐剥離性に影響しない程度に広く保ちながら、非締結時における潤滑油の排出を一層促進して、相対回転数の広い範囲に亘って優れた引き摺りトルクの低減効果を得ることができる湿式摩擦材となる。
請求項2の発明に係る湿式摩擦材においては、引き摺りトルク低減溝がセグメント摩擦材またはリングタイプ摩擦材のリング形状の全周に複数設けられたことから、請求項1に係る発明の効果に加えて、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝による湿式摩擦材と相手材との離間効果や潤滑油の排出効果が局在化することなく、湿式摩擦材の全周に亘って現れるため、より安定した引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
ここで、「全周に複数設けられ」の中でも、特に、確実により安定した引き摺りトルクの低減効果を得ることができることから、円周の3箇所以上であることが好ましい。
請求項3の発明に係る湿式摩擦材においては、引き摺りトルク低減溝は、複数個のセグメントピースまたは複数個の島状部分の少なくとも1つおきに設けられている。
この結果、湿式摩擦材と相手材間に余分な潤滑油がなく湿式摩擦材と相手材とが確実に離間して、非締結時における引き摺りトルクが大幅に低減される。特に、相対回転数が高く、遠心力によって潤滑油が外周側に偏在して湿式摩擦材と相手材との間の潤滑油量が少なくなった場合において、より効果的に引き摺りトルクを低減することができる。そして、セグメントピースまたは島状部分の表面に設けられた引き摺りトルク低減溝は、複数個のセグメントピースまたは複数個の島状部分のうちの一部のみに設けられているため、ライニング面積の減少を最小限に抑えることができる。
請求項4の発明に係る湿式摩擦材は、引き摺りトルク低減溝が隣り合う2以上のセグメントピースまたは隣り合う2以上の島状部分に設けられたことから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の発明の効果に加えて、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝による湿式摩擦材と相手材との離間効果、潤滑油排出効果がより大きく現れて、より大きい引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
請求項5の発明に係る湿式摩擦材においては、セグメントピースまたは島状部分の表面に形成された複数の引き摺りトルク低減溝の中心が、セグメント摩擦材またはリングタイプ摩擦材の円周を略等分する位置に設けられたことから、請求項2乃至請求項4に係る発明の効果に加えて、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝による湿式摩擦材と相手材との離間効果が、湿式摩擦材の全周に亘って均一に現れるため、更に安定した引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
なお、引き摺りトルク低減溝の幅を、セグメントピースまたは島状部分の半径方向の幅の6%〜60%の範囲内とすることによって、湿式摩擦材の締結時における高いトルク伝達効率と、非締結時における低い引き摺りトルクとを確実に両立することができるため好ましい。
すなわち、引き摺りトルク低減溝の幅がセグメントピースまたは島状部分の半径方向の幅の6%未満であると、表面に引き摺りトルク低減溝を設けることによる引き摺りトルクの低減効果を充分に得ることができず、また引き摺りトルク低減溝の幅がセグメントピースまたは島状部分の半径方向の幅の60%を超えると、締結時における湿式摩擦材と相手材との接触面積が小さくなって、充分に高いトルク伝達効率を得ることが困難となる。
なお、引き摺りトルク低減溝の幅がセグメントピースまたは島状部分の半径方向の幅の13%〜40%の範囲内であると、より確実に湿式摩擦材の締結時における高いトルク伝達効率と、非締結時における低い引き摺りトルクとを両立することができるため、より好ましい。
また、引き摺りトルク低減溝の深さがセグメントピースまたは島状部分の厚さの10%〜70%の範囲内とすることによって、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝に潤滑油が流れ込むことによって引き摺りトルク低減溝の周囲のセグメントピースまたは島状部分の表面に潤滑油が溢れ出して、湿式摩擦材と相手材との間隔が確保され、引き摺りトルクが上昇する事態を確実に防止することができるため好ましい。
すなわち、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さがセグメントピースまたは島状部分の厚さの10%未満であると引き摺りトルク低減溝に潤滑油が流れ込み難くなってしまい、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さがセグメントピースまたは島状部分の厚さの70%を超えると、通常の油溝として機能してしまいセグメントピースまたは島状部分の表面に潤滑油が溢れ出す効果が得られ難くなる。したがって、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さはセグメントピースまたは島状部分の厚さの10%〜70%の範囲内であることが好ましい。
なお、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さがセグメントピースまたは島状部分の厚さの30%〜50%の範囲内であると、より確実に表面に設けられた引き摺りトルク低減溝に潤滑油が流れ込むとともに、より確実にセグメントピースまたは島状部分の表面に潤滑油が溢れ出す効果が得られるため、より好ましい。
このように引き摺りトルク低減溝は湿式摩擦材と相手材との間の離間を適切な間隔にするために、湿式摩擦材と相手材の間に余分な潤滑油が存在するときはスムースに潤滑油を排出し、潤滑油が少ないときは潤滑油を湿式摩擦材の表面に供給する機能を有するものである。
図1(a)は比較例1のセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図1(b)は比較例2のセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図である。 図2(a)は比較例3のセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図2(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図3(a)は本実施の形態1の実施例1に係るセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図3(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図4(a)は本実施の形態1の実施例2に係るセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図4(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図5は本実施の形態1の実施例2の変形例に係るセグメント摩擦材の一部を拡大して示す部分平面図である。 図6は本実施の形態1の実施例2の他の変形例に係るセグメント摩擦材の一部を拡大して示す部分平面図である。 図7(a)は本実施の形態1の実施例3に係るセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図7(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図8(a)は本実施の形態1の実施例4に係るセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図8(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図9は比較例1、比較例2及び比較例3のセグメント摩擦材における相対回転数と引き摺りトルクの関係を比較して示す図である。 図10は本発明の実施の形態1に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材(実施例1乃至実施例4)における相対回転数と引き摺りトルクの関係を、比較例1及び比較例3のセグメント摩擦材と比較して示す図である。 図11は本発明の実施の形態1に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材(実施例1乃至実施例4)及び比較例3のセグメント摩擦材における引き摺りトルクの低減効果を、比較例1のセグメント摩擦材と比較した低減率として示す図である。 図12は本発明の実施の形態1に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材(実施例1乃至実施例4)及び比較例3のセグメント摩擦材におけるライニング面積を、比較例1のセグメント摩擦材と比較した面積率として示す図である。 図13(a)は図3(b)のA−A断面を示す図、図13(b)は本発明の実施の形態1に係るセグメント摩擦材(実施例2)における引き摺りトルク低減溝の断面形状を示す図、図13(c)は本発明の実施の形態1の第1変形例に係るセグメント摩擦材における引き摺りトルク低減溝の断面形状を示す図、図13(d)は本発明の実施の形態1の第2変形例に係るセグメント摩擦材における引き摺りトルク低減溝の断面形状を示す図、図13(e)は本発明の実施の形態1の第3変形例に係るセグメント摩擦材における引き摺りトルク低減溝の断面形状を示す図、図13(f)は本発明の実施の形態1の第4変形例に係るセグメント摩擦材における引き摺りトルク低減溝の断面形状を示す図、図13(g)は本発明の実施の形態1の第5変形例に係るセグメント摩擦材における引き摺りトルク低減溝の断面形状を示す図である。 図14(a)は本実施の形態1の実施例5に係るセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図14(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図15(a)は本実施の形態1の実施例6に係るセグメント摩擦材の全体構造を示す平面図、図15(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図16は本実施の形態1の実施例の変形例に係るセグメント摩擦材の一部を拡大して示す部分平面図である。 図17は本実施の形態1の実施例の他の変形例に係るセグメント摩擦材の一部を拡大して示す部分平面図である。 図18(a)は比較例4のリングタイプ摩擦材の全体構造を示す平面図、図18(b)はその一部を拡大して示す部分平面図、図18(c)は図18(b)のB−B断面図である。 図19(a)は本実施の形態2の実施例7に係るリングタイプ摩擦材の全体構造を示す平面図、図19(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図20(a)は本実施の形態2の実施例8に係るリングタイプ摩擦材の全体構造を示す平面図、図20(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図21(a)は本実施の形態2の実施例9に係るリングタイプ摩擦材の全体構造を示す平面図、図21(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。 図22(a)は本実施の形態2の実施例10に係るリングタイプ摩擦材の全体構造を示す平面図、図22(b)はその一部を拡大して示す部分平面図である。
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L,1M,1N,1P,1Q,21A,21B,21C,21D セグメント摩擦材
2 芯金
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3J,3K,3L,3M,3N、3P,3Q セグメントピース
4,24 間隔(油溝)
5,5A,5B,5C,5D,5E,5F,5G,5H,5J,5K,5L,5M,5N,5P,5Q,25A,25B,25C,25D 引き摺りトルク低減溝
23,23A,23B,23C,23D 島状部分
26A,26B,26C,26D リング形状の摩擦材基材
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、各実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
本発明に係る湿式摩擦材を実施するためには、リング形状の芯金と、芯金に接着されるセグメントピースに切断された摩擦材基材、またはリング形状の摩擦材基材が必要となる。芯金の材質は金属に限られるものではないが、強度や耐熱性等の点から金属製であることが好ましく、特に鋼板等の鉄系材料であることが好ましい。芯金の形状としては、平板リング形状を始めとして、平板でなく波打ちを有するリング形状等を用いることができる。芯金のリング形状の大きさ(内径及び外径)は、摩擦接触するセパレータプレート等の相手材の大きさに応じて、任意に設定することができる。
摩擦材基材としては、一般に、繊維成分とフィラー成分とを含有する抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱硬化させてなるものが用いられる。ここで、繊維成分としては、アラミド繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、炭素繊維等を単独でまたは組み合わせて用いることができる。特に、セルロース繊維(パルプ)とアラミド繊維を組み合わせて用いることが好ましい。また、フィラー成分としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、珪藻土、クレー、マイカ等を単独でまたは組み合わせて用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等を単独でまたは組み合わせて用いることができる。特に、入手しやすく低コストであることから、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂を用いることが好ましい。
更に、摩擦材基材をセグメントピースに切断する方法またはリング形状とする方法としては、刃物による切断、レーザ光を用いた切断、打ち抜き等の方法を用いることができる。得られたセグメントピースまたはリング形状の摩擦材基材を芯金に接着する方法としては、接着剤による接着等の方法を用いることができる。ここで、接着剤としては、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、リング形状の摩擦材基材に島状部分を形成する方法としては、プレス加工、切削加工等によることができ、更に切削加工としては刃物による切削加工、レーザ光による切削加工等がある。そして、リング形状の摩擦材基材に形成される島状部分の数、または芯金の片面当りに接着されるセグメントピースの数は、要求される摩擦特性等に応じて任意に設定することができる。
更に、本発明を実施するためには、複数個のセグメントピースまたは複数個の島状部分のうちの一部のみの表面に引き摺りトルク低減溝を設ける必要があり、引き摺りトルク低減溝を設ける方法としては、プレス加工、切削加工等の方法によることができ、更に切削加工としては刃物による切削加工、レーザ光による切削加工等がある。引き摺りトルク低減溝を設けるタイミングとしては、摩擦材基材の抄紙時でも良いし、製造した摩擦材基材を切断する前でも良いし後でも良く、また、芯金に接着した後でも良い。
以下、本発明の実施の形態及び具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1と関連する比較例の湿式摩擦材について図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る湿式摩擦材について図3乃至図13を参照して説明する。本実施の形態1は、本発明に係る湿式摩擦材のうち、リング形状の芯金にリング形状に沿って複数個のセグメントピースに切断された摩擦材基材が互いに間隔をおいて全周両面に接着されてなるセグメント摩擦材に関するものである。
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係るセグメント摩擦材と関連する比較例1,2,3のセグメント摩擦材の構造を示す平面図である。
図1(a)に示されるように、比較例1のセグメント摩擦材11Aは、平板リング形状を有する鉄材からなる芯金2の両面にそれぞれ40枚ずつのセグメントピース13Aを、ATFの流通路となる間隔14Aを空けて、全周に亘って接着したものである。芯金2の外径φは181mm、芯金2の厚さは0.8mm、互いに向かい合ったセグメントピース13A同士の外径φ1は180mm、内径φ2は165mmである。
また、セグメントピース13Aの円周方向の幅(横方向の長さ)は11.5mm、半径方向の幅(縦方向の長さ)は7.5mm、セグメントピース13Aの厚さは0.4mm、間隔14A(油溝)の幅は2mmである。そして、セグメントピース13Aの外周側の左右の角部は、C面13Aaとなっている。すなわち、セグメントピース13Aの外周側の左右の角部は面取りされている。
これに対して、図1(b)に示されるように、比較例2のセグメント摩擦材11Bは、平板リング形状を有する芯金2の両面にそれぞれ30枚ずつのセグメントピース13Bを、ATFの流通路となる間隔14Bを空けて、全周に亘って接着したものである。間隔(油溝)14Bの幅は間隔14Aと同じく2mmであるため、このようにセグメントピース13Bの枚数を40枚から30枚に減らすことによって、セグメントピース13Bの円周方向の幅(横方向の長さ)は16mmと大きくなる。
なお、セグメントピース13Bの半径方向の幅(縦方向の長さ)は、セグメントピース13Aと同じく7.5mmである。また、セグメントピース13Bの外周側の左右の角部も、C面13Baとなっている。すなわち、セグメントピース13Bの外周側の左右の角部は面取りされている。
この結果、後述するように、比較例2のセグメント摩擦材11Bは、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較してライニング面積は広くなるが、ATFの流通路となる間隔14Bの数が40本から30本に減少するため、非締結時における引き摺りトルクは増大する。
一方、図2(a)に示されるように、比較例3のセグメント摩擦材11Cは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、それぞれ30枚ずつの円周方向に沿って表面に溝15の設けられたセグメントピース13Cを、ATFの流通路となる間隔14Cを空けて、全周に亘って接着したものである。間隔(油溝)14Cの幅は間隔14A,14Bと同じく2mmであり、セグメントピース13Bと同じく、セグメントピース13Cの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mmである。
そして、図2(b)に示されるように、溝15の幅は2mmである。また、セグメントピース13Cの外周側の左右の角部も、C面13Caとなっている。すなわち、セグメントピース13Cの外周側の左右の角部は面取りされている。
このようなセグメント摩擦材11Cにおいては、間隔(油溝)14CからATFが排出され、溝15から円周方向に沿ってATFが排出されるとともに、一部のATFは溝15を乗り越えてセグメントピース13Cの表面に油膜を形成する。
この結果、後述するように、比較例3のセグメント摩擦材11Cは、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較して非締結時における引き摺りトルクは低減されるが、溝15の面積分だけ相手材と接触する面積が減少するため、ライニング面積は減少する。
かかる構造を有する比較例1乃至比較例3のセグメント摩擦材と比較して、本実施の形態1に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材の構造について、図3乃至図8を参照して説明する。
図3(a)に示されるように、本実施の形態1の実施例1に係るセグメント摩擦材1Aは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、セグメントピース3とセグメントピース3Aを合わせて合計30枚のセグメントピースをそれぞれ、ATFの流通路となる間隔4を空けて、全周に亘って接着したものである。セグメントピース3,3Aの円周方向の幅(横方向の長さ)は16mm、半径方向の幅(縦方向の長さ)は7.5mm、セグメントピース3,3Aの厚さは0.4mm、間隔4(油溝)の幅は2mmである。そして、図3(b)に示されるように、セグメントピース3,3Aの外周側の左右の角部は、C面3a,3Aaとなっている。すなわち、セグメントピース3,3Aの外周側の左右の角部は面取りされている。
セグメントピース3,3Aは、繊維成分とフィラー成分とを含有する抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱硬化させてなる摩擦材基材を、図3(a),(b)に示される所定の形状に打ち抜いて製造されたものである。ここで、繊維としてはアラミド繊維及びパルプを使用し、フィラーとしては珪藻土、グラファイト及びカーボンファイバーを使用した。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂を使用している。以下の各実施例に係るセグメントピースも、同様にして製造される。このようにして製造されたセグメントピース3,3Aが、接着剤としての熱硬化性樹脂によって芯金2の両面に接着されている。
実施例1に係るセグメント摩擦材1Aが比較例1乃至比較例3のセグメント摩擦材と異なるのは、30枚のセグメントピースがセグメントピース3及びセグメントピース3Aの二つの構成部材から構成され、そのうちの一の構成部材であるセグメントピース3Aが連続して5枚隣り合い、このセグメントピース3Aの表面のみに引き摺りトルク低減溝が設けられている点である。更に、5枚ずつのセグメントピース3Aに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Aの中心点5Aaとリング形状に沿って接着されたセグメントピース3,3Aの円周の中心O(リング形状の芯金2の中心でもある)とを結ぶ直線に略直交する方向に沿って間隔(油溝)4に交差する一連の引き摺りトルク低減溝5Aが、セグメント摩擦材1Aの円周の3箇所に設けられている点である。図3(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Aの幅は2mmであり、深さは0.15mmである。
引き摺りトルク低減溝5Aは、芯金2の両面にそれぞれ30枚のセグメントピース3を接着し、接着剤としての熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)を加熱硬化させた後に、プレス加工によって形成される。この引き摺りトルク低減溝5Aが形成されたセグメントピース3がセグメントピース3Aとなり構成部材の一つを構成する。以下の各実施例に係る引き摺りトルク低減溝も、同様にして形成される。
そして、円周の3箇所に設けられた、5枚ずつのセグメントピース3Aに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Aの中心点5Aaは、円周について互いに円周の中心Oに対し約120度の角度を成す位置にある。すなわち、3箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝5Aは、セグメント摩擦材1Aの円周を略等分する位置に設けられている。
このように本実施の形態1の実施例1に係るセグメント摩擦材1Aには5枚ずつのセグメントピース3Aの表面に、中央3枚が幅方向の全域に亘って、そして両側の2枚が幅方向の一部に引き摺りトルク低減溝5Aが設けられている。したがって、セグメントピース3Aの両側2枚の一部及びセグメントピース3には引き摺りトルク低減溝5Aが設けられていないことになる。
次に、図4(a)に示されるように、本実施の形態1の実施例2に係るセグメント摩擦材1Bは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、セグメントピース3とセグメントピース3Bを合わせて合計30枚のセグメントピースをそれぞれ、ATFの流通路となる間隔4を空けて、全周に亘って接着したものである。セグメントピース3,3Bの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、セグメントピース3,3Bの厚さは0.8mm、間隔(油溝)4の幅は2mmである。そして、図4(b)に示されるように、セグメントピース3,3Bの外周側の左右の角部は、C面3a,3Baとなっている。すなわち、セグメントピース3,3Bの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例2に係るセグメント摩擦材1Bが実施例1に係るセグメント摩擦材1Aと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝5Aの中心点5Aaと円周の中心Oを結ぶ直線に略直交する方向に沿った引き摺りトルク低減溝ではなく、円周方向に沿って間隔(油溝)4に交差する一連の引き摺りトルク低減溝5Bが30枚のセグメントピース3,3Bのうち、セグメントピース3Bの表面の一部に、セグメント摩擦材1Bの円周の3箇所に設けられている点である。図4(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Bの幅は2mmであり、深さは0.15mmである。
このように実施例2に係るセグメント摩擦材1Bも実施例1に係るセグメント摩擦材1Aと同様に引き摺りトルク低減溝5Bはセグメントピース3Bのみに設けられ、セグメントピース3には設けられていないことから、リング形状の全周に対し配された部分と配されない部分が設けられていることになる。
そして、円周の3箇所に設けられた、5枚ずつのセグメントピース3Bに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Bの中心点5Baは、円周について互いに円周の中心Oに対し約120度の角度を成す位置にある。すなわち、3箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝5Bは、セグメント摩擦材1Bの円周を略等分する位置に設けられている。
図5は、実施例2の変形例であり、セグメント摩擦材1Lは、一連の引き摺りトルク低減溝5Lの中心点5Laと円周の中心O(図4(a)参照)を結ぶ直線(半径方向)に略直交する方向に沿った引き摺りトルク低減溝ではなく、円周方向に沿って間隔(油溝)4に交差する一連の引き摺りトルク低減溝5Lが30枚のセグメントピース3,3Lのうち、セグメントピース3Lの表面の一部に、セグメント摩擦材1Lの円周の3箇所に設けられている。図5に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Lの幅は2.5mmであり、深さは0.1mmである。セグメントピース3Cの外周側の左右の角部は、面取りされていない角部3Laとなっている。
引き摺りトルク低減溝5Lの幅およびセグメントピース3Cの外周側の左右の角部の面取りがされていないこと以外は実施例2と同じである。
このように、セグメントピース3Lの外周側の左右の角部は面取りされていない構造とすることができる。この変形例では、セグメントピース3Lの外周側の左右の角部3Laは面取りされていない構造とし、セグメントピース3の外周側の左右の角部3aは面取りされている構造とするものである。もちろん、セグメントピース3Lの外周側の左右の角部3La及びセグメントピース3の外周側の左右の角部3aは、同様に、面取り構造とすることができ、面取り構造としないこともできる。
図6は、実施例2の他の変形例であり、セグメント摩擦材1Mは、円周方向に沿って間隔(油溝)4に交差する一連の引き摺りトルク低減溝5Mが30枚のセグメントピース3,3Mのうち、セグメントピース3Mの表面の一部に、セグメント摩擦材1Mの円周の3箇所に2条設けられている。図6に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Mの幅は2本の幅が1.5mmであり、その間隔が1.5mmであり、深さは0.1mmである。セグメントピース3Mの外周側の左右の角部は、面取りされている角部3Maとなっている。
すなわち、セグメントピース3Mには、引き摺りトルク低減溝5Mは2条の外側の引き摺りトルク低減溝5M1及び内側の引き摺りトルク低減溝5M2によって構成されている。もちろん、引き摺りトルク低減溝5Mは2条以上の外側の引き摺りトルク低減溝によって構成することもできる。特に、実施例2の他の変形例においては、複数条の引き摺りトルク低減溝によってその値を任意に設定することができる。なお、引き摺りトルク低減溝5Mの形状以外は実施例2と同様である。
また、図7(a)に示されるように、本実施の形態1の実施例3に係るセグメント摩擦材1Cは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、セグメントピース3とセグメントピース3Cを合わせて合計30枚のセグメントピースをそれぞれ、ATFの流通路となる間隔4を空けて、全周に亘って接着したものである。セグメントピース3,3Cの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、セグメントピース3,3Cの厚さは0.8mm、間隔(油溝)4の幅は2mmである。そして、図7(b)に示されるように、セグメントピース3,3Cの外周側の左右の角部は、C面3a,3Caとなっている。すなわち、セグメントピース3,3Cの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例3に係るセグメント摩擦材1Cが実施例1に係るセグメント摩擦材1Aと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝5Cの中心点5Caと円周の中心Oとを結ぶ直線に略直交する方向に沿った一連の引き摺りトルク低減溝5Cが、30枚のセグメントピース3,3Cのうち、セグメントピース3Cの表面のみに、セグメント摩擦材1Cの円周の3箇所ではなく5箇所に設けられている点である。また、図7(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Cの幅は1mmであり、セグメント摩擦材1Aの引き摺りトルク低減溝5Aよりも細くなっている。つまり引き摺りトルク低減溝の設置箇所を増加させた分だけ引き摺りトルク低減溝5Cの溝幅を細くしている。なお、引き摺りトルク低減溝5Cの深さは0.15mmである。
そして、図7(a)に示されるように、円周の5箇所に設けられた、5枚ずつのセグメントピース3Cに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Cの中心点5Caは、円周について互いに円周の中心Oに対し約72度の角度を成す位置にある。すなわち、5箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝5Cは、セグメント摩擦材1Cの円周を略等分する位置に設けられている。
このように実施例3に係るセグメント摩擦材1Cはリング形状の円周上に実施例1に比べて2箇所多く一連の引き摺りトルク低減溝5Cを設けているが、セグメントピース3及び一連の引き摺りトルク低減溝5Cを構成する5枚のセグメントピース3Cの両側2枚の一部には引き摺りトルク低減溝5Cが設けられていないことから、リング形状の全周に対して引き摺りトルク低減溝5Cを有しない部分が配されることとなる。その際実施例1と比べるとリング形状の全周に対して引き摺りトルク低減溝5Cを有しない部分が少なくなることになる。このため前述したように引き摺りトルク低減溝5Cの溝幅を細くすることでセグメント摩擦材1Cの全周におけるライニング面積つまり摩擦面の減少を抑えることができる。
更に、図8(a)に示されるように、本実施の形態1の実施例4に係るセグメント摩擦材1Dは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、セグメントピース3とセグメントピース3Dを合わせて合計30枚のセグメントピースをそれぞれ、ATFの流通路となる間隔4を空けて、全周に亘って接着したものである。セグメントピース3,3Dの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、セグメントピース3,3Dの厚さは0.8mm、間隔(油溝)4の幅は2mmである。そして、図8(b)に示されるように、セグメントピース3,3Dの外周側の左右の角部は、C面3a,3Daとなっている。すなわち、セグメントピース3,3Dの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例4に係るセグメント摩擦材1Dが実施例3に係るセグメント摩擦材1Cと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝5Cの中心点5Caと円周の中心Oを結ぶ直線に略直交する方向に沿った引き摺りトルク低減溝ではなく、円周方向に沿った一連の引き摺りトルク低減溝5Dが30枚のセグメントピース3,3Dのうち、セグメントピース3Dの表面のみに、セグメント摩擦材1Dの円周の5箇所に設けられている点である。図8(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Dの幅は1mmであり、引き摺りトルク低減溝5Dの深さは0.15mmである。
そして、円周の5箇所に設けられた、5枚ずつのセグメントピース3Dに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Dの中心点5Daは、円周について互いに円周の中心Oに対し約72度の角度を成す位置にある。すなわち、5箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝5Dは、セグメント摩擦材1Dの円周を略等分する位置に設けられている。
このように、実施例4に係るセグメント摩擦材1Dが実施例3に係るセグメント摩擦材1Cと異なるのは引き摺りトルク低減溝5Dの円周方向の形状でありリング形状の全周に対する引き摺りトルク低減溝5Dを配した部分と配さない部分に対しては実施例3と同じである。
以上説明した本実施の形態1の実施例1乃至実施例4に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dについて、比較例1乃至比較例3のセグメント摩擦材11A,11B,11Cと比較して、相対回転数と引き摺りトルクの関係を試験によって検証した。
試験条件としては、相対回転数=500rpm〜5000rpm、ATF油温=40℃、ATF油量=2000mL/min(軸心潤滑)、ディスクサイズが図1(a)に示される外周φ1=180mm,内周φ2=165mmにおいて試験し、ディスク枚数=3枚(したがって、相手材の鋼板ディスク(セパレータプレート)は4枚)、パッククリアランス=0.25mm/枚で行った。
試験は、比較例1乃至比較例3のセグメント摩擦材11A,11B,11Cのみについてと、実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1D及び比較例1,3のセグメント摩擦材11A,11Cについてとの、二回に分けて実施した。試験の結果を、図9及び図10に示す。
まず、図9に示されるように、比較例2のセグメント摩擦材11Bは、相対回転数の低い領域(500rpm〜)から高い領域(〜5000rpm)の全範囲に亘って、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較して、引き摺りトルクが大きくなっている。これは、図1(a)と(b)を比較して分かるように、比較例2のセグメント摩擦材11Bは、比較例1のセグメント摩擦材11Aよりも、ATFの流通路となる間隔14Bの数が少ないことから、軸心から外周に向かって供給されるATFの排出性に劣るためと考えられる。
一方、図9に示されるように、比較例3のセグメント摩擦材11Cは、相対回転数の低い領域(500rpm〜)から高い領域(〜5000rpm)の全範囲に亘って、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較して、引き摺りトルクが大幅に小さくなっている。これは、図2(a),(b)に示されるように、比較例3のセグメント摩擦材11Cの片面30枚ずつのセグメントピース13Cの全ての表面に設けられた溝15の作用によって、ATFの排出が一層促進されるとともに、溝15を乗り越えた一部のATFによってセグメントピース13Cの表面に油膜が形成されるためと考えられる。
しかしながら、このように非締結時の引き摺りトルクが小さい比較例3のセグメント摩擦材11Cにも、ライニング面積が狭いという問題点がある。比較例1乃至比較例3のセグメント摩擦材11A,11B,11Cのライニング面積について、本実施の形態1の実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dと比較して、表1に示す。
Figure 0005679234
表1は、比較例1のセグメント摩擦材11Aのライニング面積を100%とした場合の、その他のセグメント摩擦材のライニング面積を面積率として示したものである。表1に示されるように、比較例2のセグメント摩擦材11Bは間隔14Bの数が少ないため、ライニング面積が広く、ライニング面積率が107%となっている。一方、比較例3のセグメント摩擦材11Cは、片面30枚ずつのセグメントピース13Cの全ての表面に溝15が設けられているため、ライニング面積が狭く、ライニング面積率が86%となっている。
かかる狭いライニング面積を有する比較例3のセグメント摩擦材11Cにおいては、場合によっては締結時のトルク伝達容量を充分に確保することができなくなるとともに、耐熱性及び耐剥離性が低下してしまうという問題点がある。
これに対して、表1に示されるように、実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dは、ライニング面積率がそれぞれ101%,100%,102%,100%であって、比較例1のセグメント摩擦材11Aのライニング面積とほぼ同一である。これは、片面30枚ずつのセグメントピース3,3A,3B,3C,3Dの一部のみに引き摺りトルク低減溝5A,5B,5C,5Dが設けられているためである。したがって、実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dにおいては、ライニング面積が狭いことに起因する上述のような問題点は生じない。
図10に示されるように、これらの実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dにおいては、相対回転数の低い領域(500rpm〜)から高い領域(〜5000rpm)の全範囲に亘って、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較して、引き摺りトルクが大幅に小さくなっている。このように、片面30枚ずつのセグメントピース3,3A,3B,3C,3Dの一部のみに設けられた引き摺りトルク低減溝5A,5B,5C,5Dの作用によって、非締結時の引き摺りトルクを大幅に低減することができる効果があることが明らかになった。
この効果は、リング形状の径方向に設けられた油溝を流れるATFが、油溝に対して交差する方向、つまり一連の引き摺りトルク低減溝の中心点と円周の中心とを結ぶ直線に略直交する方向に沿って、または円周方向に沿って一部の油溝の途中に設けた新たな排出路を流れることで、ATFの排出が促進されるとともに、一部のATFがセグメントピースの表面に設けられた引き摺りトルク低減溝を乗り越えて(引き摺りトルク低減溝から溢れ出て)、セグメント摩擦材の表面に油膜を形成するためと考えられる。
また、潤滑油の排出促進によって摩擦材への潤滑油の循環が良くなり冷却効果が上がるため耐熱性が向上する。更に、相手材との間の潤滑油量が離間に必要な量以上になることが少なくなることから、摩擦材表面との間に発生する剪断抵抗が抑えられ、耐剥離性も向上する。
図11は、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較した、比較例3のセグメント摩擦材11C及び実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dの引き摺りトルク低減率を、相対回転数500rpm〜5000rpmの範囲内の平均値として示した棒グラフである。図11に示されるように、実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dは、いずれも比較例3のセグメント摩擦材11Cと同等程度の引き摺りトルク低減効果を有している。
特に、実施例2に係るセグメント摩擦材1Bが、大きい引き摺りトルク低減効果を有していることが分かる。また、実施例1と実施例2、及び実施例3と実施例4の結果から一連の引き摺りトルク低減溝の中心点と円周の中心とを結ぶ直線に略直交する方向に沿った引き摺りトルク低減溝が設けられた実施例1,3に係るセグメント摩擦材1A,1Cよりも、円周方向に沿った引き摺りトルク低減溝が設けられた実施例2,4に係るセグメント摩擦材1B,1Dの方が、より引き摺りトルク低減率において優れている。したがって、複数枚のセグメントピースの一部のみの表面に、円周方向に沿った引き摺りトルク低減溝を設けることがより好ましい。
更に、幅1mmの一連の引き摺りトルク低減溝が円周の5箇所に設けられた実施例3,4に係るセグメント摩擦材1C,1Dよりも、幅2mmの一連の引き摺りトルク低減溝が円周の3箇所に設けられた実施例1,2に係るセグメント摩擦材1A,1Bの方が、より引き摺りトルク低減率において優れている。したがって、複数枚のセグメントピースの一部のみの表面に、円周の少ない箇所に幅の広い一連の引き摺りトルク低減溝を設けることがより好ましい。
図12は、比較例1のセグメント摩擦材11Aと比較した、比較例3のセグメント摩擦材11C及び実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dのライニング面積率を示した棒グラフである。図12に示されるように、実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dは、いずれも比較例1のセグメント摩擦材11Aと同等のライニング面積を有しており、比較例3のセグメント摩擦材11Cはライニング面積が狭いことが分かる。
更に、セグメントピースの表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の断面形状について、図13を参照して説明する。図13(a)に示されるように、本実施の形態の実施例1に係るセグメント摩擦材1Aにおいては、引き摺りトルク低減溝5Aの断面形状は略コの字形状であり、その深さH2は上述したように0.15mmであって、セグメントピース3Aの厚さH1=0.4mmの37.5%である。また、引き摺りトルク低減溝5Aの幅W2は上述したように2mmであり、セグメントピース3Aの半径方向の幅W1=7.5mmの26.7%である。
本発明者らが更に鋭意実験研究を重ねた結果、引き摺りトルク低減溝の深さH2はセグメントピースの厚さH1の10%〜70%の範囲内、より好ましくは30%〜50%の範囲内であれば良く、また引き摺りトルク低減溝の幅W2は0.5mm〜4.5mmの範囲内、すなわちセグメントピースの半径方向の幅W1の6%〜60%の範囲内、より好ましくは1mm〜3mmの範囲内、すなわちセグメントピースの半径方向の幅W1の13%〜40%の範囲内であれば良いことが明らかになった。
すなわち、引き摺りトルク低減溝の幅W2がセグメントピースの半径方向の幅W1の6%未満であると、表面に引き摺りトルク低減溝を設けることによる引き摺りトルクの低減効果を充分に得ることができず、また引き摺りトルク低減溝の幅W2がセグメントピースの半径方向の幅W1の60%を超えると、締結時におけるセグメント摩擦材とセパレータプレートとの接触面積が小さくなって、充分に高いトルク伝達効率を得ることが困難となる。
なお、引き摺りトルク低減溝の幅W2がセグメントピースの半径方向の幅W1の13%〜40%の範囲内であると、より確実にセグメント摩擦材の締結時における高いトルク伝達効率と、非締結時における低い引き摺りトルクとを両立することができるため、より好ましい。
また、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さH2がセグメントピースの厚さH1の10%未満であると引き摺りトルク低減溝に潤滑油が流れ込み難くなってしまい、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さH2がセグメントピースの厚さH1の70%を超えると、通常の油溝として機能つまり潤滑油を流通させる流通路としての機能のみとなりやすく、セグメントピースの表面に潤滑油が溢れ出す効果が得られ難くなり湿式摩擦材とセパレータプレート等の相手材との離間距離を適切な間隔に維持できなくなる。したがって、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さH2はセグメントピースの厚さH1の10%〜70%の範囲内であることが好ましい。なお、表面に設けられた引き摺りトルク低減溝の深さH2がセグメントピースの厚さH1の30%〜50%の範囲内であると、より確実に表面に設けられた引き摺りトルク低減溝に潤滑油が流れ込むとともに、より確実にセグメントピースの表面に潤滑油が溢れ出す効果が得られるため、より好ましい。
更に、引き摺りトルク低減溝の断面形状についても、図13(a),(b)に示される本実施の形態の実施例1,2に係るセグメント摩擦材1A,1Bにおけるような略コの字形状に限られるものではなく、図13(c)に示されるような略V字形状の引き摺りトルク低減溝5E、図13(d)に示されるような略U字形状の引き摺りトルク低減溝5F、図13(e)に示されるような両側面にテーパーの付いた形状の引き摺りトルク低減溝5G、図13(f)に示されるような両側面に階段状のテーパーの付いた形状の引き摺りトルク低減溝5H等、様々な断面形状とすることができる。
図13(b)に示される本実施の形態の実施例2に係るセグメント摩擦材1Bにおけるように、引き摺りトルク低減溝5Bの両側面をセグメントピース3Bの表面に対して垂直に切断し、また、図13(d)に示されるような略U字形状の引き摺りトルク低減溝5Fとを合成した図13(g)に示されるような両側面に垂直的な段差を形成した弧状の底を有する引き摺りトルク低減溝5N、すなわち、深さ方向の途中まで一定幅の溝5Naで、そこから最深部までの部分は湾曲面5Nbとなる断面形状とすることができる。このように、引き摺りトルク低減溝5,5A,5B,5C,5D,5E,5F,5G,5H,5L、5M,5Nは、後述する引き摺りトルク低減溝5J,5K5P,5Qと共に、特定の断面形状に特定されるものではない。
すなわち、本実施の形態1の第1変形例,第2変形例,第3変形例,第4変形例に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材1E,1F,1G,1H,1Nにおいても、本実施の形態1の実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dと同等の引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
次に、本実施の形態1の実施例5及び実施例6に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材について、図14及び図15を参照して説明する。
図14(a)に示されるように、本実施の形態1の実施例5に係るセグメント摩擦材1Jは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、セグメントピース3とセグメントピース3Jを合わせて合計30枚のセグメントピースをそれぞれ、ATFの流通路となる間隔4を空けて、全周に亘って接着したものである。セグメントピース3,3Jの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、セグメントピース3,3Jの厚さは0.8mm、間隔(油溝)4の幅は2mmである。
そして、図14(b)に示されるように、セグメントピース3,3Jの外周側の左右の角部は、C面3a,3Jaとなっている。すなわち、セグメントピース3,3Jの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例6に係るセグメント摩擦材1Jが実施例4に係るセグメント摩擦材1Dと異なるのは、円周方向に沿った引き摺りトルク低減溝5Jが30枚のセグメントピース3,3Jのうちの15枚のセグメントピース3Jの表面のみに設けられ、セグメントピース3とセグメントピース3Jとが交互に配置されている点である。即ち、引き摺りトルク低減溝5Jは、複数個のセグメントピース3,3Jの1つおきに設けられている。
図14(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Jの幅は2mmであり、引き摺りトルク低減溝5Jの深さは0.15mmである。
そして、円周の15箇所に設けられた、1枚ずつのセグメントピース3Jの間隔(油溝)4に面した一方の端から他方の端までに亘る引き摺りトルク低減溝5Jの中心点5Jaは、円周について互いに円周の中心Oに対して約24度の角度を成す位置にある。すなわち、15箇所に設けられた引き摺りトルク低減溝5Jは、セグメント摩擦材1Jの円周を略等分する位置に設けられている。
この結果、湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材1Jと相手材としてのセパレータプレートとが確実に離間して、非締結時における引き摺りトルクが大幅に低減されるとともに、セグメント摩擦材1Jと相手材との離間効果が、セグメント摩擦材1Jの全周に亘って均一に現れるため、更に安定した引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。そして、セグメントピースの表面に設けられた引き摺りトルク低減溝は、30枚のセグメントピースのうちの15枚のみに設けられているため、ライニング面積の減少を最小限に抑えることができる。
更に、図15(a)に示されるように、本実施の形態1の実施例6に係るセグメント摩擦材1Kは、平板リング形状を有する芯金2の両面に、それぞれ30枚ずつのセグメントピース3Kを、ATFの流通路となる間隔4を空けて、全周に亘って接着したものである。セグメントピース3Kの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、セグメントピース3Kの厚さは0.8mm、間隔(油溝)4の幅は2mmである。
そして、図15(b)に示されるように、セグメントピース3Kの外周側の左右の角部は、C面3Kaとなっている。すなわち、セグメントピース3Kの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例6に係るセグメント摩擦材1Kが実施例5に係るセグメント摩擦材1Jと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝5Kが30枚のセグメントピース3Kの全ての表面に、セグメント摩擦材1Kの円周の9箇所に設けられている点である。図15(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Kの幅は1mmであり、引き摺りトルク低減溝5Kの深さは0.15mmである。
そして、円周の9箇所に設けられた、3枚または4枚ずつのセグメントピース3Kに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Kの中心点5Kaは、円周について互いに円周の中心Oに対して約40度の角度を成す位置にある。すなわち、9箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝5Kは、セグメント摩擦材1Kの円周を略等分する位置に設けられている。
更に、円周の9箇所に設けられた、3枚または4枚ずつのセグメントピース3Kに亘る一連の引き摺りトルク低減溝5Kは、半径方向の位置がそれぞれ少しずれている。
また、一連の引き摺りトルク低減溝5Kがセグメントピース3Kの全ての表面に設けられているが、9箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝5Kは互いに離れている。したがって、セグメント摩擦材1Kは全周に対し引き摺りトルク低減溝5Kが配されない部分を有しライニング面積率の減少を抑えてトルク伝達容量に必要な摩擦面を確保することができる。
これらの本実施の形態1の実施例5,実施例6に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材1J,1Kにおいても、本実施の形態1の実施例1乃至実施例4に係るセグメント摩擦材1A,1B,1C,1Dと同等の引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
このようにして、本実施の形態1に係る湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L,1M,1N,においては、そのセグメント摩擦材1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L,1M,1N,の半径方向の全域に亘って引き摺りトルク低減溝を設けない部分をリング形状の全周に対し円周方向の一部に設け、この部分を除いて複数枚のセグメントピースの表面に引き摺りトルク低減溝を設けることによって、ライニング面積をトルク伝達容量及び耐熱性・耐剥離性に影響しない程度に広く保ちながら、非締結時における潤滑油の排出を一層促進して、相対回転数の広い範囲に亘って優れた引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
図16に示す実施例6の変形例に係るセグメント摩擦材1Pは、一連の引き摺りトルク低減溝5Pが30枚のセグメントピース3Pの全ての表面に、セグメント摩擦材1Pの円周の9箇所に設けられており、図15(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝5Pの幅は1mmであり、引き摺りトルク低減溝5Pの深さは0.15mmである。その一連の引き摺りトルク低減溝5Pの両端部5Pbは、その溝幅の中央を頂点とする鋭角に切断されている。なお、一連の引き摺りトルク低減溝5Pの両端部5Pbは、その溝幅の中央を頂点とする鈍角に形成することもできる。
また、図17に示す実施例6の他の変形例に係るセグメント摩擦材1Qは、引き摺りトルク低減溝5Qの幅は1mmであり、引き摺りトルク低減溝5Qの深さは0.15mmである。その一連の引き摺りトルク低減溝5Qの両端部5Qcは、図15に示す中心Oから放射線状に延びた線で切断されている。すなわち、引き摺りトルク低減溝5Qに対して直角に切断した両端部5Qcとなっている。なお、図16、図17に示す実施例6の変形例は引き摺りトルク低減溝5P、5Qの両端部の形状以外は実施例6と同じである。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2と関連する比較例の湿式摩擦材について図18を参照して、本発明の実施の形態2に係る湿式摩擦材について図19乃至図22を参照して説明する。本実施の形態2は、本発明に係る湿式摩擦材のうち、リング形状の芯金の全周両面にリング形状の摩擦材基材が接着されて複数個の島状部分を残してプレス加工若しくは切削加工されてなるリングタイプ摩擦材に関するものである。
図18は、本発明の実施の形態2に係るリングタイプ摩擦材と関連する比較例4のリングタイプ摩擦材の構造を示す平面図及び断面図である。
図18(a)に示されるように、比較例4のリングタイプ摩擦材31は、平板リング形状を有する芯金2の両面にそれぞれリング形状の摩擦材基材36を接着剤(熱硬化性樹脂)によって接着し、接着剤を加熱硬化させた後に、プレス加工によって片面30個ずつの島状部分23を、ATFの流通路となる間隔24を空けて、全周に亘って形成したものである。
芯金2の外径φは181mm、芯金2の厚さは0.8mm、リング形状の摩擦材基材36の外径φ3は180mm、内径φ4は165mmである。また、島状部分23の円周方向の幅(横方向の長さ)は16mm、半径方向の幅(縦方向の長さ)は7.5mm、間隔(油溝)24の幅は2mmである。そして、図18(b)に示されるように、島状部分23の外周側の左右の角部は、C面23aとなっている。すなわち、島状部分23の外周側の左右の角部は面取りされている。また、図18(c)の断面図に示されるように、島状部分23の厚さH3=0.5mm、間隔(油溝)24の深さH4=0.4mmである。
かかる構造を有する比較例4のリングタイプ摩擦材と比較して、本実施の形態2に係る湿式摩擦材としてのリングタイプ摩擦材の構造について、図19乃至図22を参照して説明する。
図19(a)に示されるように、本実施の形態2の実施例7に係るリングタイプ摩擦材21Aは、平板リング形状を有する芯金2の両面にそれぞれリング形状の摩擦材基材26Aを接着剤(熱硬化性樹脂)によって接着し、接着剤を加熱硬化させた後に、プレス加工によって片面当たり合計30個の島状部分23,23Aを、ATFの流通路となる間隔24を空けて、全周に亘って形成したものである。
島状部分23,23Aの円周方向の幅(横方向の長さ)は16mm、半径方向の幅(縦方向の長さ)は7.5mm、島状部分23,23Aの厚さは0.5mm、間隔(油溝)24の深さは0.4mm、幅は2mmである。そして、図19(b)に示されるように、島状部分23,23Aの外周側の左右の角部は、C面23a,23Aaとなっている。すなわち、島状部分23,23Aの外周側の左右の角部は面取りされている。
リング形状の摩擦材基材26Aは、繊維成分とフィラー成分とを含有する抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱硬化させてなる摩擦材基材を、リング形状に打ち抜いて製造されたものである。ここで、繊維としてはアラミド繊維及びパルプを使用し、フィラーとしては珪藻土、グラファイト及びカーボンファイバーを使用した。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂を使用している。以下の各実施例に係るリング形状の摩擦材基材も、同様にして製造される。
実施例7に係るリングタイプ摩擦材21Aが比較例4のリングタイプ摩擦材と異なるのは、30個の島状部分23,23Aのうち島状部分23Aが5個ずつ連なり、この5個ずつ連なった島状部分23Aの表面の一部に一連の引き摺りトルク低減溝25Aが、その中心点25Aaと円周の中心O(リング形状の芯金2の中心でもある)とを結ぶ直線に略直交する方向に沿ってリングタイプ摩擦材21Aの円周の3箇所に設けられている点である。図19(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝25Aの幅は2mmであり、深さは0.15mmである。
引き摺りトルク低減溝25Aは、プレス加工によって合計30個の島状部分23,23Aを形成する際に、同時にプレス加工によって形成される。以下の各実施例に係る引き摺りトルク低減溝も、同様にして形成される。そして、円周の3箇所に設けられた、5個ずつの島状部分23Aに亘る一連の引き摺りトルク低減溝25Aの中心点25Aaは、円周について互いに円周の中心Oに対し約120度の角度を成す位置にある。すなわち、3箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝25Aは、リングタイプ摩擦材21Aの円周を略等分する位置に設けられている。
次に、図20(a)に示されるように、本実施の形態2の実施例8に係るリングタイプ摩擦材21Bは、平板リング形状を有する芯金2の両面にそれぞれリング形状の摩擦材基材26Bを接着剤(熱硬化性樹脂)によって接着し、接着剤を加熱硬化させた後に、プレス加工によって片面当たり合計30個の島状部分23,23Bを、ATFの流通路となる間隔24を空けて、全周に亘って形成したものである。
島状部分23,23Bの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、島状部分23,23Bの厚さは0.5mm、間隔(油溝)24の深さは0.4mm、幅は2mmである。そして、図20(b)に示されるように、島状部分23,23Bの外周側の左右の角部は、C面23a,23Baとなっている。すなわち、島状部分23,23Bの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例8に係るリングタイプ摩擦材21Bが実施例7に係るリングタイプ摩擦材21Aと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝25Aの中心点25Aaと円周の中心Oを結ぶ直線に略直交する方向に沿った引き摺りトルク低減溝ではなく、円周方向(油溝24に交差する方向)に沿った一連の引き摺りトルク低減溝25Bが島状部分23,23B(合計30個)のうちの島状部分23Bの表面の一部に、リングタイプ摩擦材21Bの円周の3箇所に設けられている点である。図20(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝25Bの幅は2mmであり、深さは0.15mmである。
そして、円周の3箇所に設けられた、5個ずつの島状部分23Bに亘る一連の引き摺りトルク低減溝25Bの中心点25Baは、円周について互いに円周の中心Oに対し約120度の角度を成す位置にある。すなわち、3箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝25Bは、リングタイプ摩擦材21Bの円周を略等分する位置に設けられている。
また、図21(a)に示されるように、本実施の形態2の実施例9に係るリングタイプ摩擦材21Cは、平板リング形状を有する芯金2の両面にそれぞれリング形状の摩擦材基材26Cを接着剤(熱硬化性樹脂)によって接着し、接着剤を加熱硬化させた後に、プレス加工によって片面当たり合計30個の島状部分23,23Cを、ATFの流通路となる間隔24を空けて、全周に亘って形成したものである。
島状部分23,23Cの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、島状部分23,23Cの厚さは0.5mm、間隔(油溝)24の深さは0.4mm、幅は2mmである。そして、図21(b)に示されるように、島状部分23,23Cの外周側の左右の角部は、C面23a,23Caとなっている。すなわち、島状部分23,23Cの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例9に係るリングタイプ摩擦材21Cが実施例7に係るリングタイプ摩擦材21Aと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝25Cの中心点25Caと円周の中心Oとを結ぶ直線に略直交する方向(油溝24に交差する方向)に沿った一連の引き摺りトルク低減溝25Cが、30個の島状部分23,23Bのうち、構成の一部である島状部分23Bの表面のみに、リングタイプ摩擦材21Cの円周の3箇所ではなく5箇所に設けられている点である。また、図21(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝25Cの幅は1mmであり、リングタイプ摩擦材21Aの引き摺りトルク低減溝25Aよりも細くなっている。なお、引き摺りトルク低減溝25Cの深さは0.15mmである。
そして、図21(a)に示されるように、円周の5箇所に設けられた、5個ずつの島状部分23Cに亘る一連の引き摺りトルク低減溝25Cの中心点25Caは、円周について互いに円周の中心Oに対し約72度の角度を成す位置にある。すなわち、5箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝25Cは、リングタイプ摩擦材21Cの円周を略等分する位置に設けられている。
更に、図22(a)に示されるように、本実施の形態2の実施例10に係るリングタイプ摩擦材21Dは、平板リング形状を有する芯金2の両面にそれぞれリング形状の摩擦材基材26Dを接着剤(熱硬化性樹脂)によって接着し、接着剤を加熱硬化させた後に、プレス加工によって片面当たり合計30個の島状部分23,23Dを、ATFの流通路となる間隔24を空けて、全周に亘って形成したものである。
島状部分23,23Dの円周方向の幅は16mm、半径方向の幅は7.5mm、島状部分23,23Dの厚さは0.5mm、間隔(油溝)24の深さは0.4mm、幅は2mmである。そして、図22(b)に示されるように、島状部分23,23Dの外周側の左右の角部は、C面23a,23Daとなっている。すなわち、島状部分23,23Dの外周側の左右の角部は面取りされている。
実施例10に係るリングタイプ摩擦材21Dが実施例7に係るリングタイプ摩擦材21Cと異なるのは、一連の引き摺りトルク低減溝25Cの中心点25Caと円周の中心Oを結ぶ直線に略直交する方向に沿った引き摺りトルク低減溝ではなく、円周方向に沿った一連の引き摺りトルク低減溝25Dが30個の島状部分23,23Dのうち、島状部分23Dの表面の一部に、リングタイプ摩擦材21Dの円周の5箇所に設けられている点である。図22(b)に示されるように、引き摺りトルク低減溝25Dの幅は1mmであり、引き摺りトルク低減溝25Dの深さは0.15mmである。
そして、円周の5箇所に設けられた、5個ずつの島状部分23Dに亘る一連の引き摺りトルク低減溝25Dの中心点25Daは、円周について互いに円周の中心Oに対し約72度の角度を成す位置にある。すなわち、5箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝25Dは、リングタイプ摩擦材21Dの円周を略等分する位置に設けられている。
これらの本実施の形態2に係るリングタイプ摩擦材21A,21B,21C,21Dについて、上述した実施の形態1の場合と同様な条件で、相対回転数と引き摺りトルクの大きさとの関係を評価したところ、比較例4のリングタイプ摩擦材31に比較して、広い相対回転数の範囲(500rpm〜5000rpm)に亘って、引き摺りトルクの低減効果が大きいことが実証された。
この効果は、リング形状の径方向に設けられた油溝を流れるATFが、油溝に交差する方向に設けた、つまり一連の引き摺りトルク低減溝の中心点と円周の中心とを結ぶ直線に略直交する方向に沿って、または円周方向に沿って一部の油溝の途中に設けた新たな排出路を流れることで、ATFの排出が促進されるとともに、一部のATFが島状部分の表面に設けられた引き摺りトルク低減溝を乗り越えて(引き摺りトルク低減溝から溢れ出て)、リングタイプ摩擦材の表面に油膜を形成するためと考えられる。
このようにして、本実施の形態2に係るリングタイプ摩擦材21A,21B,21C,21Dにおいては、リングタイプ摩擦材の半径方向の全域に亘って引き摺りトルク低減溝を設けない部分を円周方向の一部に設け、この部分を除いて複数個の島状部分の表面に引き摺りトルク低減溝を設けることによって、ライニング面積をトルク伝達容量及び耐熱性・耐剥離性に影響しない程度に広く保ちながら、非締結時における潤滑油の排出を一層促進して、相対回転数の広い範囲に亘って優れた引き摺りトルクの低減効果を得ることができる。
上記各実施の形態においては、芯金の両面にセグメントピースまたはリング形状の摩擦材基材を貼り付けた場合について説明したが、仕様によっては、芯金の片面のみにセグメントピースまたはリング形状の摩擦材基材を貼り付けても良い。
また、上記各実施の形態においては、芯金の片面にセグメントピースを30枚ずつ貼り付けた場合及び島状部分を30個ずつ形成した場合のみについて説明したが、芯金の片面当りのセグメントピースの枚数は30枚に限られるものではなく、また島状部分の数も30個に限られるものではなく、何枚でも何個でも自由に設定することができる。
また、上記各実施の形態においては、引き摺りトルク低減溝の幅を1mm、2mmまたは2.5mm、引き摺りトルク低減溝の深さを0.15mmとした場合について説明したが、引き摺りトルク低減溝の幅及び深さはこれらに限られるものではなく、引き摺りトルクと要求されるトルク伝達容量との相反する関係が成り立つ範囲内で変更することができる。特に、引き摺りトルク低減溝の幅がセグメントピースまたは島状部分の半径方向の幅の6%〜60%の範囲内であることが好ましく、13%〜40%の範囲内であることがより好ましい。また、引き摺りトルク低減溝の深さがセグメントピースまたは島状部分の厚さの10%〜70%の範囲内であることが好ましく、30%〜50%の範囲内であることがより好ましい。
更に、上記各実施の形態においては、一連の引き摺りトルク低減溝を円周の3箇所、5箇所、9箇所または引き摺りトルク低減溝を15箇所に設けた場合について説明したが、これらに限られるものではなく、一連の引き摺りトルク低減溝を円周の2箇所、4箇所または6箇所以上に設けることもできる。
また、上記各実施の形態においては、引き摺りトルク低減溝を円周の複数箇所の1枚ずつのセグメントピースまたは一連の引き摺りトルク低減溝を隣り合う3枚,4枚または5枚のセグメントピースまたは5個の島状部分に亘って設けた場合について説明したが、これらに限られるものではなく、引き摺りトルク低減溝を円周の複数箇所の1個ずつの島状部分に設けることもでき、一連の引き摺りトルク低減溝を隣り合う2枚または6枚以上のセグメントピースまたは2個,3個,4個,6個以上の島状部分に亘って設けることもできる。
更に、上記各実施の形態においては、引き摺りトルク低減溝をプレス加工によって形成しているが、これに限られるものではなく、刃物による切削加工、レーザ光による切削加工等の他の方法によって引き摺りトルク低減溝を形成しても良い。同様に、リングタイプ摩擦材において島状部分を形成する方法も、プレス加工に限られるものではなく、刃物による切削加工、レーザ光による切削加工等の他の方法を用いることもできる。
また、上記各実施の形態においては、セグメントピースまたはリング形状の摩擦材基材を芯金に接着した後に引き摺りトルク低減溝を形成しているが、引き摺りトルク低減溝を形成するタイミングもこれに限られるものではなく、摩擦材基材の抄紙時でも良いし、製造した摩擦材基材を切断する前でも良いし後でも良い。
また、上記各実施の形態のセグメントピースまたはリング形状の摩擦材基材の島状部分の左右の角部は面取り加工がされているが、R加工や、角部をそのまま残すこともあり得る。
本発明を実施するに際しては、湿式摩擦材としてのセグメント摩擦材及びリングタイプ摩擦材のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係、製造方法等については、上記各実施の形態及び各実施例に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。

Claims (5)

  1. リング形状の芯金に前記リング形状に沿って、複数個のセグメントピースに切断された摩擦材基材が互いに間隔をおいて該間隔に油溝を形成するように全周両面若しくは全周片面に接着されてなるセグメント摩擦材、またはリング形状の芯金の全周両面若しくは全周片面にリング形状の摩擦材基材が接着されて互いに間隔をおいて複数個の島状部分が形成されることで該間隔に油溝を形成するリングタイプ摩擦材であって、
    前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分が、前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分の表面に前記油溝に対し交差する引き摺りトルク低減溝を配した部材または部分と、配さない部材または部分とにより構成されることにより、前記リング形状の全周に対して、前記引き摺りトルク低減溝が複数箇所設けられ、かつ、前記引き摺りトルク低減溝の幅が前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分の半径方向の幅の6%〜60%の範囲内であり、前記引き摺りトルク低減溝の深さが前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分の厚さの30%〜50%の範囲内であることを特徴とする湿式摩擦材。
  2. 前記引き摺りトルク低減溝は、前記複数個のセグメントピースまたは前記複数個の島状部分の少なくとも1つおきに設けられたことを特徴とする請求項に記載の湿式摩擦材。
  3. 前記引き摺りトルク低減溝が、隣り合う2以上のセグメントピースまたは隣り合う2以上の島状部分に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝として前記リング形状の全周に対して複数箇所設けられていることを特徴とする請求項1に記載の湿式摩擦材。
  4. 前記複数箇所の引き摺りトルク低減溝が、前記複数箇所の引き摺りトルク低減溝または前記複数箇所に設けられた一連の引き摺りトルク低減溝の中心点と前記リング形状の芯金の中心とを結ぶ直線に略直交する方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の湿式摩擦材。
  5. セグメントピースまたは島状部分の表面に形成された前記複数の引き摺りトルク低減溝の中心が、前記セグメント摩擦材または前記リングタイプ摩擦材の円周を略等分する位置に設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の湿式摩擦材。
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