JP2013210040A - セグメントタイプ摩擦材 - Google Patents

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Abstract

【課題】セグメントピース形状の改良を行うことにより、ATFの充満した環境下での摩擦界面のATFの潤滑量を大幅に増やすことができること。
【解決手段】平板リング形状の芯金2に平板リング形状に沿ってセグメントピース30に切断された摩擦材が全周両面若しくは全周片面に接着されて隣り合うセグメントピース30相互の間隙によって複数の油溝40が形成されてなるセグメントタイプ摩擦材1において、前記複数の油溝40が形成されてなる中心線L−Gに対して、隣り合う前記セグメントピース30相互を傾きαの角度15°≦ α ≦45°の範囲で傾斜させた傾向切断線31及び傾向切断線33で切断し、傾向切断線31及び傾向切断線33で切断してなる隣り合うセグメントピース30相互の傾きαが一直線とならず、その間に仮想基準幅Wを形成した仮想基準面WU及び仮想基準面WDからなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、油中に浸した状態で対向面に高圧力をかけることによってトルクを得る平板リング状の芯金に、セグメントピースに切断した湿式摩擦材を全周両面若しくは片面に接着してなるセグメントタイプ摩擦材に関するものである。
近年、湿式摩擦材として、材料の歩留まり向上による低コスト化、引き摺りトルク低減による車両での低燃費化を目指して、平板リング状の芯金に平板リング形状に沿ったセグメントピースに切断した摩擦材基材を油溝となる間隔をおいて接着剤で順次並べて全周に亘って接着し、裏面にも同様にセグメントピースに切断した摩擦材基材を接着してなるセグメントタイプ摩擦材が開発されている。このようなセグメントタイプ摩擦材は、自動車等の自動変速機(Automatic Transmission、以下「AT」とも略する。)やオートバイ等の変速機に用いられる複数または単数の摩擦板を設けた摩擦材係合装置用として用いることができる。
一例として、自動車等の自動変速機には湿式油圧クラッチが用いられており、複数枚のセグメントタイプ摩擦材と複数枚のセパレータプレートとを交互に重ね合わせ、油圧で両プレートを圧接してトルク伝達を行うようになっており、非締結状態から締結状態に移行する際に生じる摩擦熱の吸収や摩擦材の摩耗防止等の理由から、両プレートの間に潤滑油(Automatic Transmission Fluid,自動変速機潤滑油、以下「ATF」とも略する。)を供給している。(「ATF」は出光興産株式会社の登録商標であるが、ここでは、当該登録商標とは無関係に自動変速機潤滑油のことを「ATF」と略する。)
しかし、油圧クラッチの応答性を高めるためにセグメントタイプ摩擦材と相手材であるセパレータプレートとの距離は小さく設定されており、また油圧クラッチの締結時のトルク伝達容量を充分に確保するために、セグメントタイプ摩擦材上に占める油通路の総面積は制約を受ける。この結果、油圧クラッチの非締結時にセグメントタイプ摩擦材とセパレータプレートとの間に残留するATFが排出され難くなり、両プレートの相対回転によってATFによる引き摺りトルクが発生するという問題があった。
そこで、特許文献1においては、隣り合うセグメントピースの間に形成される油溝を区画形成し、油溝の間隔を内周側から外周側へ向かう途中で狭くすることを特徴とする湿式摩擦部材の発明について開示している。これによって、内周側から外周側へ流れるATFは、油溝の間隔が変化するポイントで堰き止められて、一部のATFがセグメントピースの表面に溢れ出てセグメントピースの表面を流れるため、ATFによる冷却効果が向上して耐熱性が向上するとともに、引き摺りトルクを低下させることができるとしている。
また、特許文献2に記載の発明においては、セグメントピースの芯金とは逆方向のRが付けられた2辺が内周及び外周となるように接着されているため、内周に油溝方向に向かって上がるRが付くとともに、油溝となる間隙の外周開口部の幅が内周開口部の幅よりも大きくなることによって、セグメントタイプ摩擦材の空転によるATFの排出性が大きく向上し、ATFによる引き摺りトルクが大幅に低減されるとしている。
更に、特許文献3に記載の発明においては、セグメントタイプ摩擦材においてセグメントピースの内周側の角を所定角度で切り落とすことによって、ATに組み込まれた場合に非締結状態においてセグメントタイプ摩擦材が回転したとき、内周側から供給されるATFがセグメントピースの切り落とされた部分に当接することによって、ATFが積極的に摩擦材基材の摩擦面に供給されて、セパレータプレートと摩擦面との接触が抑制され、ATFによる引き摺りトルクが大幅に低減されるとしている。
また、特許文献4においては、セグメントタイプ摩擦材において、セグメントピースの側面(油溝を構成する面)に当接するATFの油圧が大きくなってセグメントピースが剥がれるのを防止するために、セグメントピースの4箇所のコーナーにRを付け、またはセグメントピースの4箇所のコーナーを面取りする発明について開示している。これによって、耐剥離性が大きく向上するとともに、4箇所のコーナーの形状が適切な場合には、ATFによる引き摺りトルクが低減されるという効果も得られるものと考えられる。
更に、特許文献5においては、セグメントタイプ摩擦材において、当該セグメントタイプ摩擦材が回転することにより、前記セグメントタイプ摩擦材の外周に溜まる潤滑油の流通によって発生する引き摺りトルクを、前記複数の油溝に挟まれた前記セグメントピースの外周側を削除して前記潤滑油が前記セグメントタイプ摩擦材の外周に対し流通しやすくすることで低減させる技術を開示している。
特開2001−295859号公報 特開2005−069411号公報 特開2005−282648号公報 特開2004−150449号公報 特開2009−068689号公報
しかしながら、上記特許文献1乃至特許文献3に記載の技術においては、ATFがセグメントタイプ摩擦材の芯金の内周側から供給されることを前提としており、実機においてハブ孔からのATFの供給がない仕様の場合や、外周に油溜まりを発生して攪拌トルクが大きくなる場合においては、引き摺りトルクを低減する効果がまだまだ小さく、車両における大幅な低燃費化を実現するのは困難であるという問題点があった。
また、上記特許文献4に記載の技術においては、セグメントピースが剥がれるのを防止することのみを目的としているために、実施の形態に示されているセグメントピースの4箇所のコーナーのRや面取りが小さ過ぎて引き摺りトルクを低減する効果を得ることができず、引き摺りトルクを低減するための、セグメントピースの4箇所のコーナーのRや面取りの大きさの、適切な範囲が示されていない。更に、引き摺りトルクを低減するためには必ずしも要求されない、セグメントピースの4箇所のコーナーの全てを、R加工または面取り加工しなければならないという問題点があった。
そして、上記特許文献5に記載の技術においては、セグメントピースの外周側が削除されることによって、潤滑油がセグメントタイプ摩擦材の外周に対し流通しやすくなっており、これによってセグメントタイプ摩擦材の回転時に外周に溜まる潤滑油との相互作用によって発生する引き摺りトルクを低減させるものである。しかし、上記特許文献5に記載の技術は、昨今、燃費向上、応答性向上の理由から多板湿式摩擦材での発進クラッチ(以下、単に『WSC』という)の需要が大きくなってきているがその使用には対応できない。
即ち、WSCは従来のA/T用等の湿式多板摩擦材とは異なり、ロックアップ摩擦材の様なATFの充満した環境下で使用され、その要求特性もスリップ耐熱、μ−Vジャダー性、引き摺りトルク等が求められている。しかし、ATFの充満した環境下での要求特性確保においては、摩擦界面のATFの潤滑を大きくする必要があるが、それに対応できない。
そこで、本発明は、湿式摩擦材のセグメントピース形状の改良を行うことにより、ATFの充満した環境下での摩擦界面のATFの潤滑量を、特に、油溝を流通するATFの潤滑量を大幅に増やすことができるセグメントタイプ摩擦材を提供することを課題とするものである。
請求項1の発明にかかるセグメントタイプ摩擦材は、平板リング形状の芯金に前記平板リング形状に沿ってセグメントピースに切断された摩擦材が全周両面若しくは全周片面に接着されて隣り合う前記セグメントピース相互間の間隙によって油溝が複数形成されてなるセグメントタイプ摩擦材において、前記油溝を平面としたとき、前記隣り合う前記セグメントピースの一つが前記油溝を形成する端部の外側が半径方向の途中から前記油溝の半径方向の中心線に対して反回転方向の傾きαを持った傾向切断線によって切断され、前記隣り合う前記セグメントピースの他の一つが前記油溝を形成する端部の内側が半径方向の途中から前記油溝の半径方向の中心線に対して反回転方向の傾きαを持った傾向切断線によって切断され、更に、前記傾向切断線の傾きαが、前記2つの傾向切断線が一直線とならないように切断されて、前記隣り合う前記セグメントピース相互間の外側と内側に仮想傾斜面が形成され、その間に所定の間隔の仮想基準幅Wを形成してなる仮想基準面とを具備するものである。
ここで、上記セグメントピース相互間の間隙とは、隣接するセグメントピース相互間の対向するセグメントピース端部の形状を意味するものである。
また、上記平板リング形状の芯金に前記平板リング形状に沿ってセグメントピースに切断された摩擦材が全周両面若しくは全周片面に接着されて隣り合う前記セグメントピース相互間の間隙によって半径方向に油溝が複数形成されてなるセグメントタイプ摩擦材とは、平板リング形状の芯金の全周両面若しくは全周片面に対して、前記平板リング形状に沿って接合されたセグメントピースを具備し、しかも、隣り合う前記セグメントピース相互間の間隙によって複数の油溝が形成されているものである。
更に、半径方向の油溝の中心線とは、セグメントタイプ摩擦材が形成する円の中心から放射方向の線であり、換言すれば、油溝の周方向幅の中心を通る直径方向の線である。そして、反回転方向とはセグメントタイプ摩擦材が回転する方向と反対の方向のことであり、中心線に対して、この反対方向にセグメントピースの油溝を形成する端部を半径方向の途中から傾きαだけ傾斜させた傾向切断線に沿って外側または内側を切断するものである。このように隣り合う前記セグメントピースの外側と内側が切断されることでセグメントピース相互間の外側と内側に仮想傾斜面が形成されることになる。
請求項2の発明にかかるセグメントタイプ摩擦材の前記仮想傾斜面を形成する傾向切断線の傾きαは、15°以上、45°以下の範囲である。
請求項3の発明にかかるセグメントタイプ摩擦材の前記傾向切断線の傾きαは、前記油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅内における位置で、中心線上を縦軸Yとし、縦軸Yに直交する円周方向を横軸Xの直角座標としたとき、Y≧0でY=αX−W/2と、Y≦0でY=αX+W/2で≦切断したものである。
ここで、上記傾向切断線の傾きαは、油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅内における位置で、縦軸をY、横軸をX軸からなるX−Y軸からなる直角座標としたとき、Yが正のときY=αX−W/2で表され、Yが負のときY=αX+W/2で表わされる切断線を有するものであればよい。そして、Yが正のとき前記セグメントピースの外側が切断され、Yが負のとき前記セグメントピースの内側が切断される。
請求項4の発明にかかるセグメントタイプ摩擦材の前記傾向切断線の傾きαは、油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅の1/2の位置で、中心線上を縦軸Y、縦軸Yに直交する円周方向を横軸をXの直角座標としたとき、Y≧0のときY=αX−W/2とY≦0のときY=αX+W/2の切断としたものである。
ここで、上記傾向切断線の傾きαは、油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅の1/2の位置で、縦軸をY、横軸をXのX軸、Y軸からなる直角座標としたとき、Yが正のときY=αX−W/2で表され、Yが負のときY=αX+W/2で表わされる切断線を有するものであればよい。そして、Yが正のとき前記セグメントピースの外側が切断され、Yが負のとき前記セグメントピースの内側が切断される。
請求項1の発明のセグメントタイプ摩擦材は、平板リング形状の芯金に前記平板リング形状に沿ってセグメントピースに切断された摩擦材が全周両面若しくは全周片面に接着されて隣り合う前記セグメントピース相互間の間隙によって油溝が複数形成されてなるセグメントタイプ摩擦材において、前記油溝を平面としたとき、前記隣り合う前記セグメントピースの一つが前記油溝を形成する端部の外側が半径方向の途中から前記油溝の半径方向の中心線に対して反回転方向の傾きαを持った傾向切断線によって切断され、前記隣り合う前記セグメントピースの他の一つが前記油溝を形成する端部の内側が半径方向の途中から前記油溝の半径方向の中心線に対して反回転方向の傾きαを持った傾向切断線によって切断され、更に、前記傾向切断線の傾きαが、前記2つの傾向切断線が一直線とならないように切断されて、前記隣り合う前記セグメントピース相互間の外側と内側に仮想傾斜面が形成され、その間に所定の間隔の仮想基準幅Wを形成してなる仮想基準面とを具備するものである。
したがって、ATFの流れをコントロールするのに、セグメントタイプ摩擦材にプレス溝を形成するものではなく、平板リング形状の芯金表面を油溝の底とする油路であるから、直接芯金を冷却し、そしてATFは内側の仮想傾斜面から外側の仮想傾斜面へと排出されるが仮想傾斜面が反回転方向の傾きαを持って切断されているために内側から外側へと抜けやすく高回転時のATFの排出性を向上させている。
請求項2の発明のセグメントタイプ摩擦材において、前記仮想傾斜面の傾きαを15°≦ α ≦45°としたものであり、この傾きαの角度は15°未満であるとATFの排出能力が十分発揮できなくなり、耐熱性UPの効果が得られず、逆に45°を越えるとATFの剪断抵抗が大きくなり、引き摺りトルクに影響がでる。
請求項3の発明のセグメントタイプ摩擦材において傾向切断線の傾きαは、前記油溝の半径方向の中心線上の幅内の位置で、中心線上を縦軸Yとし、縦軸Yに直交する円周方向を横軸Xの直角座標としたとき、Y≧0でY=αX−W/2と、Y≦0でY=αX+W/2の傾向切断線によって内側の仮想傾斜面と外側の仮想傾斜面が形成されていることから内側の仮想傾斜面からATFが滑らかに外側の仮想傾斜面を流通して排出される。
請求項4の発明のセグメントタイプ摩擦材において、傾向切断線の傾きαは、前記油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅の1/2の位置で、中心線上を縦軸Yとし、縦軸Yに直交する円周方向を横軸Xの直角座標としたとき、Y≧0でY=αX−W/2と、Y≦0でY=αX+W/2で切断したものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、セグメントタイプ摩擦材の内周側のATF量と外周側のATF量のバランスが取れ、μ−V特性及び引き摺りトルク特性を良好とした摩擦材が得られる。
図1は従来例として比較する基本的な従来例のセグメントタイプ摩擦材の全体を示す平面図である。 図2(a)は本発明の実施の形態にかかるセグメントタイプ摩擦材の全体の平面図で、(b)は要部拡大図である。 図3は本発明の実施の形態にかかるセグメントタイプ摩擦材の要部構成を示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態にかかるセグメントタイプ摩擦材の要部構成の示す説明図である。 図5は本発明の実施例と従来例との温度上昇の測定結果を示す特性図である。 図6は本発明の実施例と従来例とのμ−V特性の測定結果を示す特性図である。 図7は本発明の実施例と従来例との芯金の引き摺りトルクの測定結果を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同一の記号及び同一の符号は、実施の形態中の同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
図1に示されるように、従来例のセグメントタイプ摩擦材1は、平板リング形状の鋼板製の芯金2に、湿式摩擦材用の通常の摩擦材基材を切り出した複数のセグメントピース3を、接着剤(熱硬化性樹脂)を使用して均一幅の油溝4の間隔を空けて並べて貼り付け、仕様によっては、芯金2の裏面にも同様に接着剤で貼り付けている。ここで、セグメントピース3の左右外周角部には切欠きが設けられるもの、面取りされたものもある。
厳密に表現すれば、従来例のセグメントタイプ摩擦材1においては、複数の油溝4に挟まれたセグメントピース3の外周側角部の両方が切欠き加工または面取り加工され、複数の油溝4はその全てが左右対称の形状であって、複数の油溝4の全ての外周開口部が左右対称の形状で切欠きまたは面取りされ、複数の油溝4は、その最も細い部分の幅の2〜4倍以上の幅に拡がっている。仕様によっては、複数の油溝4の外周開口及び/または内周側開口で同様に、その最も細い部分の幅の2〜4倍以上の幅に拡がっているものもある。
本発明の比較対象としての従来例は、試験条件としては、相対回転数=0〜1600rpm、ATF油温=40℃、ATF油量=500mL/min(軸芯潤滑なし)、ディスクサイズが図1に示される外周φ1=185/2mm,内周φ2=175/2mmにおいて試験し、ディスク枚数=7枚(したがって、相手材の鋼板ディスクは8枚)、パッククリアランス=0.25mm/枚で行った。試験の結果を、図5乃至図7に示す。
本実施の形態にかかるセグメントタイプ摩擦材1においては、図2に示されるように、平板リング形状の鋼板製の芯金2に、湿式摩擦材用の摩擦材を切り出して形成した複数のセグメントピース30を、熱硬化性樹脂等からなる接着剤を使用して油溝40の等間隔を空けて並べて貼り付けたもので、仕様によっては芯金2の裏面にも同様に接着剤で貼り付けている。なお、本実施の形態のセグメントタイプ摩擦材1においては、複数の油溝40に挟まれたセグメントピース30の各角は面取り加工され、複数の全油溝40は同一形状となっている。ここで、ディスクサイズは図1に示されている外周φ1、内周φ2と同じである。
湿式摩擦材用の摩擦材を切断してなる複数のセグメントピース30は、芯金2の中心位置Gから半径方向、即ち、放射状に均一幅の油溝40の特定の間隔Wである仮想基準幅Wが形成されている。この放射状の仮想基準幅Wは、芯金2の中心位置Gから半径方向に放射状に延びた中心線L−Gを中心に両側に同一幅の溝となっている。ここで、放射状に仮想基準幅Wという均一間隔を有する油溝40は、仮想の形態であるから、実施の形態での説明では、平面的に捉えて、この均一間隔Wで形成される面積を仮想基準面WU、仮想基準面WDと呼ぶこととし、後述する傾斜切断基準点Hよりも外周側の面積を仮想基準面WU、内周側の面積を仮想基準面WDとする。
なお、本実施の形態では、芯金2の中心位置Gから半径方向に放射状に延びた中心線L−Gに仮想基準幅Wの中心を設定しているが、本発明を実施する場合には、図4に示すようにこの仮想基準幅Wを油溝40の中心位置G、つまり、傾斜切断基準点Hを基点として半径方向の放射状の中心線L−Gに対して、所定の角度βだけ傾斜させることもできる。
このように所定の角度βだけその中心線を傾斜させた仮想基準幅Wは、締結状態の複数のセグメントピース30の回転方向に対し、逆方向に傾斜させた方が好適である。芯金2の中心位置Gから半径方向の中心線L−Gを基準に仮想基準幅Wを形成した場合には、セグメントピース30の外側の半径φ1から内側の半径φ2を差し引いた幅が、セグメントピース30の半径方向の幅h、即ち、セグメント幅hが油溝40をATFが流通する際の最短距離となり、ATFの流速が角度βに無関係であると仮定すると、セグメントピース30を冷却する時間が最短の時間の油路となる。
しかし、仮想基準幅Wを芯金2の中心位置Gを通る中心線L−Gに対して、所定の角度βだけ傾斜させて形成すると、それだけセグメントピース30とATFとの接触距離が長くなり、また、芯金2を移動するATFの移動距離が長くなり、ATFの流速が角度βに無関係であると仮定すると、その距離が長くなる分だけセグメントピース30を冷却する時間が長くなり、この角度βによってもセグメントピース30の冷却能力を高めることができる。
なお、本実施の形態においては、複数のセグメントピース30相互間に形成する仮想基準幅Wを、芯金2の中心位置Gを通る中心線L−Gに対して、所定の角度β=0°の実施の形態として説明する。仮想基準幅Wは、中心線L−Gに対して両側が同じ幅W/2で、仮想基準幅Wは両者の和となっている。
この仮想基準幅Wを形成するセグメントピース30相互間には、セグメントピース30の反回転方向側の端部には、中心線L−Gに平行する辺であり仮想基準幅Wを形成する基準切断線34が外周側に形成され、また、セグメントピース30の回転方向側の端部には、中心線L−Gに平行する辺である仮想基準幅Wを形成する基準切断線32が内周側に形成されている。即ち、基準切断線32と基準切断線34、及びそれら基準切断線32と基準切断線34との延長線が互いに平行し、その間が仮想基準幅Wとなっている。
また、全セグメントピース30は、セグメント幅hに対する1/2の位置に傾斜切断基準位置h/2を置いており、仮想基準幅Wの中心の中心線L−Gと傾斜切断基準位置h/2の交点に傾斜切断基準点Hを設けている。したがって、基準切断線34は傾斜切断基準位置h/2からセグメントピース30の外側の半径φ1までとなり、基準切断線32は傾斜切断基準位置h/2からセグメントピース30の内側の半径φ2までとなっている。
また、基準切断線34側の傾斜切断基準点Hの傾斜切断基準位置h/2からセグメントピース30の内周までは、反回転方向側に傾きαだけ傾けた傾向切断線33となっている。同様に、基準切断線32側の傾斜切断基準位置Hの傾斜切断基準位置h/2からセグメントピース30の外周までは、反回転方向側に傾きαだけ傾けた傾向切断線31となっている。この傾きαは、X−Y直角座標軸(平面上の直交座標系)においてΔy/Δxで表されるものである。
この傾きαは角度で説明すると、15°≦ α ≦45°までが使用される。本発明者らの実験によると、傾きαの角度15°未満であると、ATFの排出能力が十分発揮できなくなり、耐熱性向上の効果が得られず、逆に、45°を越えるとATFの剪断抵抗が大きくなり、引き摺りトルクに悪い影響がでてくる。
ここにおいては、複数のセグメントピース30相互間に形成する仮想基準幅Wは、3〜8mmの間で大きな影響力の変化は確認できなかった。また、遠心力で排出されるATFの流速は、所定の角度β=15°以内であれば、単位面積当たりの冷却能力が確保され、また、セグメントピース表面の油膜が厚くなり、ジャダー性が悪くならないことが確認された。
また、本実施の形態では、セグメントピース30の外径から内径を差し引いたセグメント幅hの1/2の点、つまり、セグメントピース30の幅hの中央に傾斜切断基準点Hを置いている。したがって、そこに平面上の直交座標系のゼロ点を重ねると、傾向切断線31はY=αX−W/2で置き換えられ、また、傾向切断線33はY=αX+W/2で置き換えられ、第一象限と第三象限を通る傾きとなる。この傾向切断線31及び傾向切断線33は、本来のセグメントピース30から切り落とされる切断線となり、切断によって形成された外周側部分の仮想傾斜面ZU及び外周側仮想基準面WUによって外周側油路41が形成され、また切断によって形成された内周側部分の仮想傾斜面ZD及び内周側仮想基準面WDによって内周側油路42が形成されている。
更に説明すると、式X≧W/2の範囲で、式Y=αX−W/2が形成する面積は、図3で図示した網かけ部分の外周側の仮想傾斜面ZUとなる。同様に、式X≦−W/2の範囲で、式Y=αX+W/2が形成する面積は、図3で図示した網かけ部分の内周側の仮想傾斜面ZDとなる。したがって、仮想基準幅Wを有する外周側仮想基準面WUと外周側の仮想傾斜面ZUとの和が、外周側のATFの油路を形成し外周側油路41となる。また、内周側仮想基準面WDと内周側の仮想傾斜面ZDとの和が、内周側のATFの油路を形成し内周側油路42となる。ここで、基本的に仮想傾斜面ZUと仮想傾斜面ZDは略等しくなるように傾向切断線31及び傾向切断線33は傾きαを同じに設定しているが、これに限定するものではなく傾きαを変えることも有り得る。
次にATFの流れについて説明する。セグメントピース30と相手材が離れているときは、内周側のATFの油路を形成している内周側油路42に供給されたATFは、仮想傾斜面ZDから傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wを通過し、仮想傾斜面ZUを介して排出される。しかし、内周側油路42から供給されたATFの流れは、傾斜切断基準点H部分の幅が仮想基準幅Wと狭くなっているので、セグメントピース30の表面に皮膜を形成するが如く、セグメントピース30の表面にもATFが流れる。したがって、セグメントピース30の表面と相手材との間には、ATFが流れ安定した良いジャダー性が得られる。
また、セグメントピース30と相手材が軽く接触しているとき、或いは若干の圧力が加わってセグメントピース30を軽く圧縮しているときは、内周側のATFの油路を形成している内周側油路42に供給されたATFは、所定の圧力で仮想基準面WD及び仮想傾斜面ZDから傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wを通路として通過する。同時に、仮想傾斜面ZUの遠心力等の排出力によって、仮想基準面WU及び仮想傾斜面ZUのATFを傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wでの吸引力として作用する。このとき、回転方向に対して、ATFはその流体特性の慣性によって傾向切断線31に沿って主流が流れる。ここで、ATFの一部は、セグメントピース30と軽く接触している相手材との間にも侵入して流れ、セグメントピース30の表面にATFの薄い均一層を形成する。このように、セグメントピース30の表面と相手材との間には、薄い層のATF流が生じ、これによって安定した良いジャダー性が得られる。
この状態では、ATFが傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wを通過するときに、ATFの流速が最大となる。しかし、その後、仮想傾斜面ZUの面積が外周方向になるに従って広がるから、その流速が遅くなる。このときにも、ATFの慣性によって傾向切断線31側にATFの主流が形成される。したがって、ATFによるセグメントピース30の冷却時間が十分に得られる。また、内周側油路42に供給されたATFについては、仮想傾斜面ZDの面積が外周方向になるに従って狭くなるから、その流速が速くなるが、内周側油路42にATFが順次供給され、仮想傾斜面ZDの内周側では、仮想傾斜面ZUと同程度のセグメントピース30の冷却時間が得られるから、セグメントピース30の冷却効果が期待できる。
セグメントピース30と相手材が接触し、圧力が加わりつつあるときには、セグメントピース30の圧縮により、セグメントピース30が含浸しているATFを排出し、かつ、相手材との接合を可能とするから、セグメントピース30が含浸しているATFは、傾向切断線31及び基準切断線32並びに傾向切断線33及び基準切断線34から排出され、排出されたATFは内周側油路42から供給されたATFで冷却される。同時に、内周側油路42に供給されたATFは、所定の圧力で仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WDから傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wを通過し、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUの遠心力等の排出が、仮想傾斜面ZUのATFを傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wでの吸引として作用し、流れるATFによって、セグメントピース30の傾向切断線31及び基準切断線32並びに傾向切断線33及び基準切断線34側から冷却される。
同時に、セグメントピース30を貼着した芯金2及びその相手材の仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WD、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUの面がATFによって冷却され、芯金2及びその相手材によってセグメントピース30が直接冷却される。また、セグメントピース30の含浸するATFによって間接的に冷却される。
セグメントピース30と相手材が接触し、所定の圧力が継続的に加わっているとき、セグメントピース30の圧縮により、セグメントピース30が含浸しているATFを排出し、相手材との接合をしたものであることから、排出されたセグメントピース30からのATFは、傾向切断線31及び基準切断線32並びに傾向切断線31及び基準切断線34から排出される。同時に、内周側油路42に供給されたATFは、所定の圧力で仮想傾斜面ZDから傾斜切断基準点Sの最小幅の仮想基準幅Wを通過し、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUと流れる。このとき、芯金2及び相手材を介してATFが冷却を行うものである。特に、冷却面積は、仮想基準幅Wとセグメント幅hとの積である仮想基準面WU及び仮想基準面WDと、外周側の仮想傾斜面ZU及び内周側の仮想傾斜面ZDとの和が、芯金2及び相手材がセグメントピース30を冷却する面積となる。
ここで、セグメントピース30と相手材との間に締結状態に近い圧力が加わり、セグメントピース30の圧縮により、セグメントピース30が含浸しているATFを排出し、相手材との接合を行うとする。このとき、内周側油路42に供給されたATFは、所定の圧力で仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WDから傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wを通過し、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUに加わる遠心力等の排出力により、仮想傾斜面ZUのATFを傾斜切断基準点Hの最小幅の仮想基準幅Wでの吸引として作用し、流れ出るATFによって、セグメントピース30の傾向切断線31及び基準切断線32並びに傾向切断線33及び基準切断線34側から冷却される。同時に、セグメントピース30を接着した芯金2及びその相手材の仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WD、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUの面がATFによって冷却され、芯金2及びその相手材によってセグメントピース30が直接冷却される。また、セグメントピース30の含浸するATFによって間接的に冷却される。
このように構成した本実施の形態のセグメントタイプ摩擦材は、試験条件としては、相対回転数=0〜1600rpm、ATF油温=40℃、ATF油量=500mL/min(軸芯潤滑なし)、ディスクサイズが図1に示される外側の半径φ1=185/2mm,内側の半径φ2=175/2mmにおいて試験し、ディスク枚数=7枚(したがって、相手材の鋼板ディスクは8枚)、パッククリアランス=0.25mm/枚で行った。試験の結果を、図5乃至図7に示す。
図5は本発明の実施例と従来例との温度測定結果であり、耐熱性の試験結果であり、セグメントピース30の温度上昇はt=150〜300[sec]で定常状態となっており、本実施例が従来例のセグメントピース30よりも25°程度以上低い温度上昇に抑えることができた。
比較した従来例としては、平板リング形状の芯金2に、湿式摩擦材用の通常の摩擦材基材を切り出した複数のセグメントピース3を、接着剤を使用して均一幅の油溝4の間隔を空けて並べて貼り付けたものであるから、この温度上昇の低減は、本実施例による形態によって決定されたものと解釈される。また、無駄なスリップが生じ難いことがわかる。
図6(a)は従来例のμ−V特性であり、図6(b)は本発明の実施例のμ−V特性である。この試験ではエンジン側フライホイル回転数とクラッチ板回転数の差をほぼ2秒間にN=0〜1200[rpm]の変化を与えた。クラッチの結合する圧力、即ち、セグメントピース30を貼着した芯金2と相手材の間の圧力は、P=約100[KPa]であり、伝達トルクとして従来例はT=約90[N・m]、実施例ではT=約80[N・m]と低下しているが、実用的範囲内の値であり、かつ、必要であれば、ディスク枚数の変更で伝達トルクを大きくできる。
更に、図7は、追加従来例して環状になっているリング状摩擦材と、従来例と本発明の実施例の引き摺りトルクの特性図である。本発明の実施例の引き摺りトルクは20%程度、詳しくは、リング状の摩擦材に比較して10〜25%程度、従来例として挙げたセグメントタイプ摩擦材では10〜20%程度軽減されていることが分る。
このように、本発明の実施の形態のセグメントタイプ摩擦材は、平板リング形状の芯金2に平板リング形状に沿ってセグメントピース30に切断された摩擦材が全周両面若しくは全周片面に接着されて隣り合うセグメントピース30相互の間隙によって複数の油溝40が形成されてなるセグメントタイプ摩擦材1において、前記複数の油溝40が形成されてなる中心線L−Gに対して、隣り合う前記セグメントピース30相互を基準切断線32及び基準切断線34の傾斜切断基準点Hの傾斜切断位置にて傾きαの角度15°≦ α ≦45°の範囲で傾斜させた傾向切断線31及び傾向切断線33で切断し、傾向切断線31及び傾向切断線33で切断してなる隣り合うセグメントピース30相互の傾きαが一直線とならず、その間に仮想基準幅Wを形成した仮想基準面WU及び仮想基準面WDからなるものである。
したがって、少なくとも、セグメントピース30を貼着した芯金2及びその相手材は、仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WD、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUの面がATFによって冷却され、芯金2及びその相手材によってセグメントピース30が直接冷却され、また、その状態によっては、セグメントピース30の含浸するATFによって間接的に冷却される。
このように、本発明の実施の形態では、ATFの流れをコントロールするのに、セグメントタイプ摩擦材1にプレス溝を形成するものではなく、平板リング形状の芯金2の表面を油溝40の底とするものであるから、直接芯金2を冷却し、高回転時のATFの排出性を向上させている。また、傾きαの角度を15°≦ α ≦45°とし、この傾きαの角度は15°未満であるとATFの排出能力が十分発揮できなくなり、耐熱性向上の効果が得られず、逆に傾きαの角度が45°を越えるとATFの剪断抵抗が大きくなり、引き摺りトルクに影響がでる。
また、基準切断線32及び基準切断線34の傾斜切断位置はセグメントピース30の油溝40を形成する端部に傾斜切断基準点Hを合わせて適宜決めることができるが、この位置がセグメントピース30の内外周で大きくずれると内外周の油量バランスが崩れμ-V特性に影響が出る。通常、セグメントピース30のセグメント幅hに対してh/2が最適であり、カット部の傾きαの位置は、セグメントピース30の直径方向の外周部、その内周部を同一とするものである。
本発明のセグメントタイプ摩擦材1の耐熱性は、仮想傾斜面ZD及び仮想傾斜面ZUの形成により、セグメントピース30の面積が減ることから、同一条件では単位面積当たりの発熱量が上がることになる。しかし、ATFの流量は、セグメントピース30相互によって作られる平行溝の仮想基準幅Wの断面積、外周側油路41及び内周側油路42の断面積で決まるが、本願発明のセグメントタイプ摩擦材1は発熱量増加分の冷却効果を、セグメントピース30相互を傾きαに傾斜した直線で切断した面積変化に左右される流速変化によって行っている。また、セグメントピース30相互の内径側からATFが流れ込む際に働くセグメントピース30と相手材との引き離し方向の力は、セグメントピース30の外周側の吸引効果により、セグメントピース30表面の油膜が厚くなったり、不安定になったり、負勾配になってジャダー性が悪化することはない。
ATFで充満され、回転方向の決まっているWSCの環境下において、セグメントピース30相互を傾きαに傾斜した直線で切断した面積変化に左右される流速変化によってATFの流れを調整することにより耐熱性を上げ、また、セグメントピース30の外周側から回転に伴いATFを効率良く排出できるから、μ−V特性及び引き摺りトルク特性を満足させることができる。特に、セグメントピース30相互によって作られる平行溝の仮想基準幅Wの断面積によってATFの流量が制限されるとき、前記ATFはセグメントピース30の表面を流れ、相手材との間に相当の接触圧が加わるまで、ATFはセグメントピース30を流れることになる。
また、本実施の形態のセグメントタイプ摩擦材1は、傾向切断線31及び傾向切断線33で切断した隣り合うセグメントピース30相互の傾きαが一直線とならず、その間に間隔Wを形成した仮想基準幅Wは、切断していないセグメントピース30相互の端部、つまり、基準切断線32、基準切断線34とこれらの延長線が均一幅の特定の間隔として存在するものである。
したがって、隣り合うセグメントピース30相互の間隙は、基準切断線32及び基準切断線34からなる切断していないセグメントピース30相互の端部とこれらを延長させた両者の仮想基準幅Wの間隔と、傾きαの傾向切断線31及び傾向切断線33で切断した隣り合うセグメントピース30相互の切断部分の和としたものであるからこのように傾向切断線31で切断したセグメントピース30と傾向切断線33で切断したセグメントピース30を相互に隣り合わせることで、ATFの移動速度を速くし、効率良く排出することが出来る。結果的に、セグメントピース30相互の間隔Wが維持され、内径側で徐々に間隔が狭くなり、外径側で徐々に間隔が広くなるものであるから、内側の半径φ2側でATFが加圧され、外側の半径φ1側で吸引が行われるものであるから、μ−V特性及び引き摺り特性に影響され難くなる。
傾向切断線31及び傾向切断線33の切断部の切断した隣り合うセグメントピース30相互の傾きαは、セグメントピース30の一方の外側と他方の内側がそれぞれ基準切断線32、34の傾向切断基準点Hにおける傾向切断位置を基点として半径方向の油溝40の中心線L−Gから反回転方向に傾きαだけ傾斜させて切断してなるものである。
したがって、前記切断した隣り合うセグメントピース30相互間の傾きαは、油溝40の半径方向の中心線L−Gから回転方向の反対方向にセグメントピース30の外側が傾きαだけ傾斜させて切断したものであり、その切断で形成される油溝40は、セグメントピース30相互間には内周側から外周側に沿って仮想基準幅Wが維持され、傾きαの平行線での切断となり、ATFの移動速度を速くし、セグメントピース30相互の発熱量増加に対する冷却効果を、面積変化に従う流速変化によって高効率に行うことができる。
本実施の形態のセグメントタイプ摩擦材は、傾向切断線31及び傾向切断線33の傾きαは、油溝40の半径方向の中心線L−G上のセグメントピース30の半径方向の幅h内に収まる位置、つまり、傾斜切断基準点Hに原点を置き、半径方向に縦軸Yを、円周方向に横軸Xの直角座標としたとき、Y≧0のときY=αX−W/2と、Y≦0のときY=αX+W/2の切断としたものである。
したがって、ATFの移動速度とその圧力の関係で冷却効果を上げ、同時に、μ−V特性及び引き摺り特性を良好とした摩擦材が得られる。
本実施の形態のセグメントタイプ摩擦材1は、傾向切断線31及び傾向切断線33による切断部の切断した隣り合うセグメントピース30相互の傾きαは、油溝40の半径方向の中心線L−Gの線上のセグメントピース30の半径方向のセグメント幅hの1/2の位置、つまりセグメントの幅方向の中央の位置を原点としたとき、Y≧0のときY=αX−W/2と、Y≦0のときY=αX+W/2の切断線で切り落としたものである。
したがって、内周側のATF量と外周側のATF量のバランスが良く、ATFの移動速度とその圧力の関係で冷却効果を上げ、同時に、μ−V特性及び引き摺りトルク特性を良好とした摩擦材が得られる。
本発明の実施の形態では、従来の湿式摩擦材に対するプレス加工を行う工法ではプレス端面の密度が高くなり、μ−V特性や、ジャダー性に悪影響がでてしまう。しかし、本発明の実施の形態では、湿式摩擦材からなるセグメントピース30の形状の改良を行うことによりATFの充満した環境下で、摩擦界面のATFの潤滑油量を大幅に増やすことができる。
したがって、本発明の実施の形態では、特に、ATFで充満され、回転方向の決まっているWSC環境下で耐熱特性、μ−V特性、引き摺りトルク特性を満足させるには、回転に対してATFを効率良く排出する必要があり、本実施の形態ではそれを満たすことができるから、WSCの仕様環境においても、耐熱特性、μ−V特性、引き摺りトルク特性の要求特性を同時に満たすことができる。
本発明の実施の形態のセグメントタイプ摩擦材の耐熱性は、セグメントピース30の面積が減ることから、同一条件であれば、単位面積あたりの発熱量が上がることになる。しかし、セグメントピース30とセグメントピース30を接着した芯金2及びその相手材は、仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WD、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUの面がATFの通り道となるから、直接セグメントピース30並びに芯金2及びその相手材によってセグメントピース30が冷却され、十分な冷却効果が得られる。
また、仮想傾斜面ZD及び仮想基準面WDが形成する体積に供給されるATFの油圧によって、セグメントピース30に接合する相手材が近づくのを防止し、また、仮想傾斜面ZU及び仮想基準面WUの面が形成する体積から排出力が生じ、セグメントピース30に接合する相手材が近づくように積極的に作用するから、摩擦材表面の油膜が薄く安定になり良好なジャダー性及び引き摺りトルクが得られる。
本発明の実施の形態では、仮想基準幅Wが角度β=0とし、中心線L−Gを中心とするものであるが、本発明を実施する場合には中心線L−Gから所定の角度β≠0とすることもできる。
また、傾向切断線31及び傾向切断線33は、縦軸をY、横軸をXの直角座標とし、Y>0のときY=αX−W/2と、Y<0のときY=αX+W/2としたものであるが、傾きα1、傾きα2を等しくない近似した値とし、Y>0のときY=α1X−W/2と、Y<0のときY=α2X+W/2とすることもできる。
そして、傾向切断線31及び傾向切断線33の傾きαは、傾向切断線31及び傾向切断線33の全長の平均が傾きαであればよい。
1 セグメントタイプ摩擦材
2 芯金
30 セグメントピース
31 傾向切断線
32 基準切断線
33 傾向切断線
34 基準切断線
40 油溝
41 外周側油路
42 内周側油路
H 傾斜切断基準点
ZU 仮想傾斜面
ZD 仮想傾斜面
WU 仮想基準面
WD 仮想基準面
α 傾き
β 角度
W 仮想基準幅

Claims (4)

  1. 平板リング形状の芯金に前記平板リング形状に沿ってセグメントピースに切断された摩擦材が全周両面若しくは全周片面に接着されて隣り合う前記セグメントピース相互間の間隙によって油溝が複数形成されてなるセグメントタイプ摩擦材において、
    前記油溝を平面としたとき、前記隣り合う前記セグメントピースの一つが前記油溝を形成する端部の外側が半径方向の途中から前記油溝の半径方向の中心線に対して反回転方向の傾きαを持った傾向切断線によって切断され、
    前記隣り合う前記セグメントピースの他の一つが前記油溝を形成する端部の内側が半径方向の途中から前記油溝の半径方向の中心線に対して反回転方向の傾きαを持った傾向切断線によって切断され、
    更に、前記傾向切断線の傾きαが、前記2つの傾向切断線が一直線とならないように切断されて、前記隣り合う前記セグメントピース相互間の外側と内側に仮想傾斜面が形成され、その間に所定の間隔の仮想基準幅Wを形成してなる仮想基準面とを具備することを特徴とするセグメントタイプ摩擦材。
  2. 前記仮想傾斜面を形成する前記傾向切断線の傾きαは、15°以上、45°以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のセグメントタイプ摩擦材。
  3. 前記仮想傾斜面を形成する前記傾向切断線の傾きαは、前記油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅内における位置に原点を置き、中心線上を縦軸Y、縦軸Yに直交する円周方向を横軸Xの直角座標としたとき、Y≧0でY=αX−W/2と、Y≦0でY=αX+W/2の切断線としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセグメントタイプ摩擦材。
  4. 前記仮想傾斜面を形成する傾向切断線の傾きαは、前記油溝の半径方向の中心線上の前記セグメントピースの半径方向の幅の1/2の位置で、中心線上を縦軸Y、縦軸Yに直交する円周方向を横軸Xの直角座標としたとき、Y≧0でY=αX−W/2と、Y≦0でY=αX+W/2の切断線としたことを特徴とする請求項3に記載のセグメントタイプ摩擦材。
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