JP5679124B2 - アルコール混合燃料を使用する内燃機関の排気ガス浄化方法、及び当該方法を使用する排気ガス浄化装置 - Google Patents

アルコール混合燃料を使用する内燃機関の排気ガス浄化方法、及び当該方法を使用する排気ガス浄化装置 Download PDF

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本発明は、内燃機関の排気ガス浄化方法及び当該方法を使用する排気ガス浄化装置に関する。より具体的には、本発明は、例えばエタノール等のアルコールを含む混合燃料を使用するFFV(フレックス燃料車:Flexible Fuel Vehicle)等に搭載される内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを浄化する方法及び当該方法を使用する排気ガス浄化装置に関する。
昨今の地球環境保護に対する意識の益々の高まりから、「バイオマスエタノール」や「バイオエタノール」と称される植物由来のアルコールを従来のガソリンに混合し、例えば車両等に搭載される内燃機関の燃料として利用することが盛んになってきている。バイオマスエタノールの原料としては、糖質又はデンプン質を多く含む植物資源が好適とされており、現時点では、例えば、サトウキビに由来するモラセス(主に南米)、トウモロコシ(主に米国)、及び甜菜(主に欧州)等がバイオマスエタノールの主な原料となっている。また、これら以外の植物を原料とするバイオマスエタノールの開発も進められている。これらの植物は大気中のCOを吸収しているため、これらの植物を原料とする燃料を燃焼させてCOが発生しても、地球全体のCOの絶対量を増やす訳ではないという「カーボンニュートラル」と称される考え方に基づき、バイオマスエタノールは地球環境に優しい燃料として位置付けられている。
前述のようにバイオエタノールと従来のガソリンとを混合して得られるアルコール混合燃料を内燃機関の燃料として使用することができる車両としては、例えば、エタノールフレックス燃料車等のフレックス燃料車(FFV)が挙げられる。例えば、エタノールFFVは、種々の比率で混合されたエタノール及びガソリンを含んでなるアルコール混合燃料を内燃機関の燃料として使用することができる。
一方、ガソリンを燃料とする内燃機関を搭載する従来の車両では、内燃機関の始動直後(冷間始動時)の排気ガス浄化触媒が未だ十分に加温されていない状態において、排気ガスに含まれる未燃焼のガソリン(ハイドロカーボン)が十分に除去されないまま、大気中に排出されることを防止すべく、排気ガス浄化装置に吸着剤を組み込み、冷間始動時の排気ガスに含まれるハイドロカーボンを当該吸着剤に一時的に吸着させ、排気ガス浄化触媒が十分に加温されてから、当該吸着剤から脱離したハイドロカーボンを排気ガス浄化触媒に接触させて、排気ガスを浄化する方法が採られている。
また、上記のように吸着剤と排気ガス浄化触媒とを含む排気ガス浄化装置において、排気ガスに含まれる所定の成分(ハイドロカーボンや水)が吸着剤に吸着される際に発生する熱を利用して、排気ガス浄化触媒の昇温を促進し、排気ガス浄化性能を高めようとする試みも提案されている。具体的には、吸着剤と排気ガス浄化触媒とを基材に担持して、排気ガスに含まれる所定の成分が吸着剤に吸着される際に発生する熱を排気ガス浄化触媒に直接伝えることにより、排気ガス浄化触媒を速やかに昇温させる排気ガス浄化装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、上記排気ガス浄化装置において、排気ガスの流れの上流側と下流側とで吸着剤の担持量が異なるように構成したり、アルミノシリケートを含む吸着剤を用い、当該アルミノシリケートにおけるSiO/Alモル比が、排気ガスの流れの下流側よりも上流側において大きくなるように構成したりして、排気ガスの流れの下流側から上流側に亘って、より均一に排気ガス浄化触媒が昇温されるようにする手法も開示されている。
上記ガソリンを燃料とする内燃機関を搭載する従来の車両と同様の課題は、FFVにおいても認識されている。しかしながら、上記と同様にハイドロカーボン用の吸着剤を排気ガス浄化装置に組み込んだのでは、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールが十分に当該吸着剤に吸着されず、結果として、冷間始動時等における排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを十分に除去することができない。
そこで、当該技術分野においては、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く除去することができるFFV用排気ガス浄化装置を提供するための種々の試みがなされている。例えば、排気ガスの流れにおける上流側から順に、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをアルデヒドに転化する第1触媒とアルデヒドを酸化浄化する第2触媒とを設け、更に、各触媒の上流側に、アルコールを吸着する第1吸着剤とアルデヒドを吸着する第2吸着剤とをそれぞれ設けることにより、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く除去することができる排気ガス浄化装置が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
また、上記排気ガス浄化装置において、第1吸着剤及び第2吸着剤が何れもゼオライトを含んでなり、第1吸着剤を構成するゼオライトの方が第2吸着剤を構成するゼオライトよりも大きいSiO/Alモル比を有するように構成することにより、第1吸着剤の耐熱性を高めると同時に、第2吸着剤におけるアルデヒド及びアルコールの吸着を促進する手法も開示されている。
しかしながら、アルコールはゼオライトの酸点に吸着され易いため、上記第1吸着剤を構成する大きいSiO/Alモル比を有するゼオライトでは、アルコールを十分に吸着することができない。また、内燃機関から排出される排気ガスには水が多量に含まれるため、ゼオライトにおいて脱アルミニウム反応が起こり、アルコールの有効吸着量が減少する。その結果、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールが十分に吸着されず、大気中に放出されることに繋がる。
上記のように、当該技術分野においては、アルコールを含む燃料を使用する内燃機関からの排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを十分に効率良く吸着することができる吸着剤に対する継続的な要求が存在する。
特開2009−274003号公報 特開2010−031820号公報
前述のように、当該技術分野においては、アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを完全に浄化して、大気中への放出を完全に防ぐことができる排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装置を提供する技術が未だ確立されていない。即ち、当該技術分野においては、アルコールを含む燃料を使用する内燃機関からの排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを十分に効率良く吸着することができる吸着剤に対する継続的な要求が存在する。
本発明は、かかる要求に応えるために為されたものである。即ち、本発明の1つの目的は、アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く吸着することができる吸着剤により、排気ガス浄化装置の浄化性能を高めることにある。
本発明の上記1つの目的は、
アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法であって、
SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第1吸着剤と、
SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第2吸着剤と、
アルコールを酸化により浄化する排気ガス浄化触媒と、
を備え、
前記第1吸着剤が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設され、且つ前記第2吸着剤が前記排気ガス浄化触媒よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設されており、
前記第1吸着剤のSiO/Alモル比が前記第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成されている、
排気ガス浄化装置において、
前記内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部を前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方に吸着させ、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤から脱離するアルコールの少なくとも一部を前記排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化する、
排気ガス浄化方法によって達成される。
本発明に係る排気ガス浄化方法によれば、アルコールを含む燃料を使用する内燃機関からの排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを、より効率良く除去することができる。
ゼオライトにおけるアルコール吸着量と床温との関係のSiO/Alモル比による違いを示す模式的なグラフである。 本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤のタンデム配置(a)並びに本発明のもう1つの実施態様に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤の層状配置(b)を表す模式図である。
前述のように、本発明は、アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く吸着することができる吸着剤により、排気ガス浄化装置の浄化性能を高めることを1つの目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置において、排気ガスの流れの上流側から順に、第1吸着剤、第2吸着剤、及び排気ガス浄化触媒を配設し、第1吸着剤及び第2吸着剤を所定の範囲のSiO/Alモル比を有するゼオライトによって構成し、且つ第1吸着剤を構成するゼオライトのSiO/Alモル比が第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成することにより、第1吸着剤及び第2吸着剤の全体としてのアルコール吸着量が増大し、結果として、冷間始動時等においても、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを、排気ガス浄化触媒によって、より効率良く除去することができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
即ち、本発明の第1の実施態様は、
アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法であって、
SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第1吸着剤と、
SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第2吸着剤と、
アルコールを酸化により浄化する排気ガス浄化触媒と、
を備え、
前記第1吸着剤が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設され、且つ前記第2吸着剤が前記排気ガス浄化触媒よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設されており、
前記第1吸着剤のSiO/Alモル比が前記第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成されている、
排気ガス浄化装置において、
前記内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部を前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方に吸着させ、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤から脱離するアルコールの少なくとも一部を前記排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化する、
排気ガス浄化方法である。
上記のように、本実施態様に係る排気ガス浄化方法は、アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法である。
上記アルコールを含む燃料は、例えば、既存の内燃機関用燃料とアルコールとを混合して得られる燃料であり、具体例としては、前述のように、例えばバイオエタノール等のエタノールと従来のガソリンとを混合して得られるアルコール混合燃料が挙げられる。しかしながら、本実施態様に係る吸着剤は、エタノールとガソリンとの混合燃料のみに適用されるものではなく、エタノール以外の各種アルコールとガソリン以外の各種燃料との混合燃料にも本実施態様に係る吸着剤を適用することができる。また、上記内燃機関は、アルコールを含む燃料を内部(例えば、シリンダ内)で燃焼させて得られるエネルギーを運動エネルギーに変換する機関であり、特定の構成に限定されるものではない。従って、上記内燃機関は、例えば、レシプロエンジンであっても、ロータリーエンジンであってもよい。また、上記内燃機関は、例えば、4サイクルエンジンであっても、2サイクルエンジンであってもよい。
上記の如く、第1吸着剤及び第2吸着剤は、何れも、SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなる。第1吸着剤及び第2吸着剤を構成するゼオライトは、天然鉱物資源として産出される天然ゼオライトであってもよく、人工的に合成される合成ゼオライトであってもよい。本実施態様に係る排気ガス浄化方法において吸着剤として使用されるゼオライトは、吸着特性に基づいて、例えば、LTA型(A型)、MFI型(ZSM−5型)、FAU型(X型、Y型)、及びBEA型(β型)等の各種ゼオライトの中から適宜選択することができる。但し、第1吸着剤及び第2吸着剤を構成するゼオライトは、同じタイプのゼオライトであっても、異なるタイプのゼオライトであってもよい。
尚、上述のように、本実施態様に係る排気ガス浄化方法において吸着剤として使用されるゼオライトとしては、SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトが望ましい。ここで、SiO/Alモル比とは、ゼオライトにおけるシリカ(SiO)とアルミナ(Al)とのモル比であり、所謂「ケイバン比」に該当するものである。本実施態様に係る排気ガス浄化方法において吸着剤として使用されるゼオライトにおいては、このSiO/Alモル比が5以上、より好ましくは10以上であり、且つ50未満、より好ましくは30未満であることが望ましい。ゼオライトにおけるSiO/Alモル比が5未満である場合、例えば、ゼオライトにおける静電場が強くなり過ぎて、一旦吸着されたアルコール等の極性分子の脱離が困難となり、結果としてゼオライトの有効吸着量が低下するので望ましくない。逆に、ゼオライトにおけるSiO/Alモル比が50以上である場合、ゼオライトにおける酸点が少なくなり、アルコール等の極性分子を吸着する能力が低下するので望ましくない。
上記排気ガス浄化触媒は、アルコールを酸化によって浄化することができる限り、如何なる触媒であってもよい。即ち、上記排気ガス浄化触媒は、アルコールを酸化によって浄化することができる限り、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を浄化する酸化触媒であってもよく、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)を浄化する三元触媒であってもよい。また、上記排気ガス浄化触媒は、アルコールを二酸化炭素(CO)及び水(HO)まで完全に酸化するものであってもよく、あるいは、アルコールを部分酸化してアルデヒドとするものであってもよい。但し、後者の場合、アルデヒドの大気中への放出を防止するには、アルコールの部分酸化によって生成されるアルデヒドを二酸化炭素(CO)及び水(HO)まで完全酸化する触媒を別途設ける必要がある。
本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置においても、前述の従来技術に係る排気ガス浄化装置と同様に、第1吸着剤及び第2吸着剤は、排気ガス浄化触媒よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設される。これにより、例えば、冷間始動時等、排気ガス浄化触媒が未だ十分に加温されていない状態においても、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールが吸着剤に一時的に吸着され、排気ガス浄化触媒が十分に加温されてから、当該吸着剤から脱離したアルコールが排気ガス浄化触媒に接触し、当該排気ガス浄化触媒にによってアルコールが酸化され、排気ガスが浄化される。
上記において、排気ガス浄化触媒が十分に加温された状態とは、排気ガス浄化触媒がその触媒活性を十分に発揮し、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコール等の浄化対象成分を効率的に酸化することができる温度(触媒活性温度)に排気ガス浄化触媒が暖められている状態を指す。具体的な触媒活性温度の値は、排気ガス浄化触媒の構成や触媒となる物質の種類等によって異なるが、一般的には、触媒活性温度は、例えば150℃以上の温度である。
上述のような構成において、排気ガス浄化触媒並びに第1吸着剤及び第2吸着剤は、例えば、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって暖められる。即ち、排気ガスの流れにおいて上流側に配設される吸着剤の方が、下流側に配設される吸着剤よりも早く暖められ、且つ高い温度に維持されることになる。従って、上述のような構成においては、相対的に高い温度において、より多くのアルコールを吸着する吸着剤を上流側に配設し、相対的に低い温度において、より多くのアルコールを吸着する吸着剤を下流側に配設することが望ましい。
本発明者は、前述の目的を達成すべく鋭意研究の結果、5以上且つ50未満のSiO/Alモル比を有するゼオライトにおいて、相対的に低いSiO/Alモル比を有するゼオライトの方が、相対的に高い温度において、より多くのアルコールを吸着し、一方、相対的に高いSiO/Alモル比を有するゼオライトの方が、相対的に低い温度において、より多くのアルコールを吸着することを見出した。
従って、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置においては、上述のように、第1吸着剤が第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設され、且つ第2吸着剤が排気ガス浄化触媒よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されており、且つ第1吸着剤のSiO/Alモル比が第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成される。ここで、第1吸着剤のSiO/Alモル比及び第2吸着剤のSiO/Alモル比を具体的にどの程度の値とするかについては、例えば、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの濃度や、排ガス浄化装置に組み込まれる第1吸着剤及び第2吸着剤の量や暖機時の温度等、内燃機関及び排ガス浄化装置の構成等に応じて、適宜定めることができる。
尚、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置における「排気ガスの流れにおいて上流側」とは、換言すれば、内燃機関から排出される排気ガスがより早く到達する側、あるいは内燃機関から排出される排気ガスの流路において、内燃機関の排気ポートからの排気ガスの道のりがより短い側を意味する。逆に、「排気ガスの流れにおいて下流側」とは、換言すれば、内燃機関から排出される排気ガスがより遅く到達する側、あるいは内燃機関から排出される排気ガスの流路において、内燃機関の排気ポートからの排気ガスの道のりがより長い側を意味する。
従って、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置においては、第1吸着剤が第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されるが、第1吸着剤と第2吸着剤との相対的な位置関係は、内燃機関から排出される排気ガスの流路(例えば、排気管)において、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも内燃機関に近い側に配設されている態様(所謂「タンデム配置」)のみならず、例えば、基材上に第2吸着剤を含む第1層が配設され、当該第1層の上に第1吸着剤を含む第2層が積層されてなる吸着剤の積層体が排気ガスの流路(例えば、排気管)内に配設されている態様(所謂「層状配置」)をも含む、広い概念によって規定される。後者の層状配置においては、吸着剤の積層体を担持する基材から見て、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも排気ガスの流路に近い側に配置される。これにより、内燃機関から排出される排気ガスは、第2吸着剤と接触する前に第1吸着剤と接触することになる。即ち、この場合も、第1吸着剤は第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されている。
上記構成により、本実施態様に係る排気ガス浄化方法においては、内燃機関から排出される排気ガスは、第2吸着剤と接触する前に第1吸着剤と接触する。その結果、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部は、先ず第1吸着剤に吸着される。排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールのうち、第1吸着剤に吸着されなかったアルコールは、第1吸着剤の下流側に配設された第2吸着剤に吸着される。尚、第1吸着剤に一旦吸着されたアルコールが第1吸着剤から脱離して、第2吸着剤に吸着される場合も想定されるが、本実施態様に係る排気ガス浄化方法においては、かかる吸着様式を排除するものではない。
即ち、本実施態様に係る排気ガス浄化方法においては、上記のように、内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部を第1吸着剤及び第2吸着剤の少なくとも一方に吸着させる。この際、第1吸着剤は第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されていることから、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも、より高い温度の排気ガスと接触する。また、上述のように、例えば、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも早く暖められ、且つ高い温度に維持されることになる。
本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置においては、上記のような状況に対応して、相対的に高い温度において、より多くのアルコールを吸着する、相対的に低いSiO/Alモル比を有するゼオライトによって第1吸着剤を構成し、相対的に低い温度において、より多くのアルコールを吸着する、相対的に高いSiO/Alモル比を有するゼオライトによって第2吸着剤を構成している。本実施態様に係る排気ガス浄化方法においては、このように異なる性状を有するゼオライトを含んでなる第1吸着剤と第2吸着剤とを組み合わせて用いることにより、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く吸着することができる。
やがて、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって第1吸着剤及び第2吸着剤が暖められ、これらの吸着剤がアルコールを保持することができる上限温度に達すると、これらの吸着剤に吸着されていたアルコールが脱離して、排気ガス中に再び排出される。この時点では、第1吸着剤及び第2吸着剤よりも更に下流に配設されている排気ガス浄化触媒もまた、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって暖められており、触媒活性が高まっている。従って、第1吸着剤及び第2吸着剤から脱離するアルコールの少なくとも一部が排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化される。
以上のように、本実施態様に係る排気ガス浄化方法においては、冷間始動時等、排気ガス浄化触媒の触媒活性が未だ高まっていない状態においては、上述のような第1吸着剤と第2吸着剤との組み合わせにより、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く吸着する。その後、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって排気ガス浄化触媒が暖められ、触媒活性が高まった後には、新たに排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールのみならず、第1吸着剤及び第2吸着剤から脱離するアルコールもまた、排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化される。結果として、本実施態様に係る排気ガス浄化方法によれば、アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを、より効率良く除去することができる。
ところで、前述のように、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置においては、第1吸着剤が第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されるが、第1吸着剤と第2吸着剤との相対的な位置関係は、前述の「タンデム配置」のみならず、「層状配置」とすることができる。
従って、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係る排気ガス浄化方法であって、
前記第1吸着剤と前記第2吸着剤とが積層されており、
前記第1吸着剤の方が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流路に近い側に配置されている、
排気ガス浄化方法である。
上記のように、本実施態様においては、第1吸着剤と第2吸着剤とが積層されており、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも排気ガスの流路に近い側に配置されている。前述のように、かかる構成は、例えば、基材上に第1吸着剤を含む第1層を配設し、当該第1層の上に第2吸着剤を含む第2層を積層して得られる吸着剤の積層体を排気ガスの流路(例えば、排気管)内に配設することによって実現することができる。
上記構成においては、吸着剤の積層体を担持する基材から見て、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも排気ガスの流路に近い側に配置される。これにより、内燃機関から排出される排気ガスは、第2吸着剤と接触する前に第1吸着剤と接触することになる。即ち、この場合もまた、第1吸着剤は第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されている。
尚、上記のような層状配置においては、内燃機関から排出される排気ガスの流路(例えば、排気管)において、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも内燃機関に近い側に配設されるタンデム配置と比較して、排気ガス浄化装置において吸着剤が占める部分の排気ガスの流れ方向における寸法を、より小さく構成することができる。従って、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置は、タンデム配置を採用する排気ガス浄化装置と比較して、より小型化することができる。
また、前述のように、本実施態様に係る排気ガス浄化方法において吸着剤として使用されるゼオライトは、吸着特性に基づいて、例えば、LTA型(A型)、MFI型(ZSM−5型)、FAU型(X型、Y型)、及びBEA型(β型)等の各種ゼオライトの中から適宜選択することができる。これらの各種ゼオライトの中では、FAU(フォージャサイト)型のゼオライトが特に望ましい。具体的には、フォージャサイト型ゼオライトは、5以上且つ50未満のSiO/Alモル比の範囲において、相対的に低いSiO/Alモル比を有するゼオライトの方が、相対的に高い温度において、より多くのアルコールを吸着し、一方、相対的に高いSiO/Alモル比を有するゼオライトの方が、相対的に低い温度において、より多くのアルコールを吸着するという特性を、より顕著に発現する。
従って、本発明の第3の実施態様は、
本発明の前記第1又は前記第2の実施態様の何れか1つに係る排気ガス浄化方法であって、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがフォージャサイト型ゼオライトである、
排気ガス浄化方法である。
更に、フォージャサイト型ゼオライトの中では、Y型ゼオライトが特に望ましい。具体的には、Y型ゼオライトは、5以上且つ50未満のSiO/Alモル比の範囲において、相対的に低いSiO/Alモル比を有するゼオライトの方が、相対的に高い温度において、より多くのアルコールを吸着し、一方、相対的に高いSiO/Alモル比を有するゼオライトの方が、相対的に低い温度において、より多くのアルコールを吸着するという特性を、更により顕著に発現する。
従って、本発明の第4の実施態様は、
本発明の前記第3の実施態様に係る排気ガス浄化方法であって、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがY型ゼオライトである、
排気ガス浄化方法である。
ところで、前述のように、内燃機関から排出される排気ガスには水が多量に含まれるため、ゼオライトにおいて脱アルミニウム反応が起こり、アルコールの吸着に寄与する酸点が減少し、アルコールの有効吸着量が減少する虞がある。その結果、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールが十分に吸着されず、大気中に放出されることに繋がる虞がある。
一方、セシウムイオン(Cs)を陽イオン(カチオン)として含有するゼオライトは、ナトリウムイオン(Na)やカルシウムイオン(Ca)等をカチオンとして含有する一般的なゼオライトと比較して、耐熱水性が高く、排気ガスに含まれる水に起因するアルコールの有効吸着量の減少を抑制することができる。
従って、本発明の第5の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第4の実施態様の何れか1つに係る排気ガス浄化方法であって、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがセシウムイオンを含有する、
排気ガス浄化方法である。
上記のように、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置においては、第1吸着剤及び第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがセシウムイオン(Cs)を含有する。セシウムイオン(Cs)を含有するゼオライトは、上述のように、ナトリウムイオン(Na)やカルシウムイオン(Ca)等を含有する一般的なゼオライトと比較して、耐熱水性が高く、排気ガスに含まれる水に起因するアルコールの有効吸着量の減少を抑制することができる。従って、セシウムイオン(Cs)を含有するゼオライトは、第1吸着剤及び第2吸着剤の何れに使用してもよいが、好ましくは、セシウムイオン(Cs)を含有するゼオライトは、第1吸着剤に使用することが望ましい。より好ましくは、セシウムイオン(Cs)を含有するゼオライトは、第1吸着剤及び第2吸着剤の両方に使用することが望ましい。
尚、セシウムイオン(Cs)をカチオンとして含有するゼオライトが、ナトリウムイオン(Na)やカルシウムイオン(Ca)等をカチオンとして含有する一般的なゼオライトと比較して、耐熱水性が高い理由としては、以下のメカニズムが考えられる。ゼオライトにセシウムイオン(Cs)をカチオンとして含有させると、ルイス塩基の発現によってゼオライトが塩基性となり、ゼオライトの疎水性が高まるので、高い極性を有する水分子による攻撃を受け難くなり、結果としてゼオライトの耐熱水性が高まるものと考えられる。
ところで、前述のように、昨今の地球環境保護に対する意識の益々の高まりから、例えば、バイオエタノールと従来のガソリンとを混合して得られるアルコール混合燃料を内燃機関の燃料として使用することができる車両として、例えば、エタノールフレックス燃料車等、種々の比率で混合されたエタノール及びガソリンを含んでなるアルコール混合燃料を内燃機関の燃料として使用することができるフレックス燃料車(FFV)が注目されている。従って、本実施態様に係る排気ガス浄化方法が適用される排気ガス浄化装置は、エタノールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置であることが望ましい。
即ち、本発明の第6の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第5の実施態様の何れか1つに係る排気ガス浄化方法であって、
前記アルコールがエタノールである、
排気ガス浄化方法である。
以上、本発明に係る排気ガス浄化方法の幾つかの実施態様について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの排気ガス浄化方法方法に留まるものではなく、これらの排気ガス浄化方法を使用する排気ガス浄化装置もまた、本発明の範囲に含まれる。これらの排気ガス浄化装置の詳細については、これまでに説明してきた各実施態様に係る排気ガス浄化方法についての説明から明らかであるので、ここでは改めて説明せず、それぞれの実施態様に係る排気ガス浄化装置の構成要件のみ以下に列挙する。
即ち、本発明の第7の実施態様は、
アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置であって、
SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第1吸着剤と、
SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第2吸着剤と、
アルコールを酸化により浄化する排気ガス浄化触媒と、
を備え、
前記第1吸着剤が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設され、且つ前記第2吸着剤が前記排気ガス浄化触媒よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設されており、
前記第1吸着剤のSiO/Alモル比が前記第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成されており、
前記内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部が前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方に吸着され、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤から脱離するアルコールの少なくとも一部が前記排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化される、
排気ガス浄化装置である。
また、本発明の第8の実施態様は、
本発明の前記第7の実施態様に係る排気ガス浄化装置であって、
前記第1吸着剤と前記第2吸着剤とが積層されており、
前記第1吸着剤の方が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流路に近い側に配置されている、
排気ガス浄化装置である。
加えて、本発明の第9の実施態様は、
本発明の前記第7又は前記第8の実施態様の何れか1つに係る排気ガス浄化装置であって、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがフォージャサイト型ゼオライトである、
排気ガス浄化装置である。
また、本発明の第10の実施態様は、
本発明の前記第9の実施態様に係る排気ガス浄化装置であって、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがY型ゼオライトである、
排気ガス浄化装置である。
更に、本発明の第11の実施態様は、
本発明の前記第7乃至前記第10の実施態様の何れか1つに係る排気ガス浄化装置であって、
前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方を構成するゼオライトがセシウムイオンを含有する、
排気ガス浄化装置である。
更に、本発明の第12の実施態様は、
本発明の前記第7乃至前記第11の実施態様の何れか1つに係る排気ガス浄化装置であって、
前記アルコールがエタノールである、
排気ガス浄化装置である。
本発明の幾つかの実施態様に関して、添付図面等を参照しつつ以下に説明する。但し、以下に述べる説明はあくまでも例示を目的とするものであり、本発明の範囲が以下の説明に限定されるものと解釈されるべきではない。
1.ゼオライトにおけるアルコール吸着量と床温との関係
本実施例においては、異なるSiO/Alモル比を有する各種ゼオライトにセシウムイオン(Cs)をカチオンとして含有させ、これらのゼオライトにおけるアルコール吸着量と床温との関係を比較することにより、ゼオライトにおいてSiO/Alモル比がアルコール吸着特性に及ぼす影響を調べた。
(1)異なるSiO/Alモル比を有する各種ゼオライトの調製
異なるSiO/Alモル比を有する市販のY型ゼオライト(東ソー製)と塩化セシウムとから、セシウムイオン(Cs)をカチオンとして含有する各種ゼオライトを調製した。具体的には、以下の表1に示す量の各種原料ゼオライトと塩化セシウムとをそれぞれ計量し、所定量(300mL)の水に投入し、80℃において5時間に亘り加熱撹拌した。次いで、それおれのゼオライトを濾過及び水洗し、120℃において乾燥した後、ペレット化して、実施例1乃至3に係る、セシウムイオン(Cs)をカチオンとして含有する各種ゼオライトをそれぞれ得た。
Figure 0005679124
尚、本実施例においては、上記のように、異なるSiO/Alモル比を有するY型ゼオライトを使用し、且つセシウムイオン(Cs)をカチオンとして含有させたが、本発明に係る排気ガス浄化装置における吸着剤は、かかるゼオライトに限定されるものではない。即ち、本発明に係る排気ガス浄化装置における吸着剤は、Y型ゼオライト以外のゼオライトであってもよく、またセシウムイオン(Cs)以外のカチオンを含有していてもよい。
(2)各種ゼオライトのアルコール吸着量と床温との関係
上記のようにして調製した各種ゼオライトにおけるアルコール(エタノール)の吸着量を次のように測定した。先ず、上記のようにして調製した各種ゼオライトを電気路中で600℃において10分間に亘って加熱した後、3000ppmCのエタノールを含む窒素(N)ガスを各種ゼオライトに流し、それぞれのゼオライトについて得られた破過曲線から各種ゼオライトについてのエタノール吸着量を算出した。尚、エタノールを含む窒素(N)ガスを流している期間中、各ゼオライトの床温が一定となるように温度調節を行った。
上記のようにして算出された各種ゼオライトについてのエタノール吸着量を床温に対してプロットしたグラフを図1に示す。即ち、図1は、前述のように、ゼオライトにおけるアルコール吸着量と床温との関係のSiO/Alモル比による違いを示す模式的なグラフである。図1のグラフからも明らかであるように、相対的に高いSiO/Alモル比を有する実施例3及び2に係るゼオライトは、低い床温において大きいエタノール吸着量を示すのに対し、相対的に低いSiO/Alモル比を有する実施例1に係るゼオライトは、高い床温において大きいエタノール吸着量を示した。
前述のように、本発明に係る排気ガス浄化装置においては、第1吸着剤は第2吸着剤よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されることから、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも、より高い温度の排気ガスと接触する。また、例えば、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって、第1吸着剤の方が第2吸着剤よりも早く暖められ、且つ高い温度に維持されることになる。
従って、図1に示す結果からも、相対的に低いSiO/Alモル比を有する(即ち、相対的に高い温度において大きいエタノール吸着量を示す)ゼオライトを第1吸着剤に使用し、相対的に高いSiO/Alモル比を有する(即ち、相対的に低い温度において大きいエタノール吸着量を示す)ゼオライトを第2吸着剤に使用することが望ましいことが確認された。
2.第1吸着剤及び第2吸着剤の配置
本実施例においては、本発明に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤の配置構成の具体例として、前述のタンデム配置及び層状配置につき、図2を参照しながら説明する。図2は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤のタンデム配置(a)並びに本発明のもう1つの実施態様に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤の層状配置(b)を表す模式図である。尚、図2に示す白い矢印は何れも、内燃機関から排出される排気ガスの流れを表す。即ち、図2においては、向かって左側が、排気ガスの流れにおける上流側を表し、向かって右側が、排気ガスの流れにおける下流側を表す。
(1)タンデム配置
上記のように、図2(a)は、本発明の1つの実施態様に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤のタンデム配置を表す模式図である。図2(a)に示す配置構成においては、内燃機関から排出される排気ガスの流路内に配設されたハニカム基材30の表面において、排気ガスの流れにおける上流側の領域には第1吸着剤10が配置され、排気ガスの流れにおける下流側の領域には第2吸着剤20が配置されている。
上記のような配置構成においては、第1吸着剤10は第2吸着剤20よりも排気ガスの流れにおいて上流側に配設されることから、第1吸着剤10の方が第2吸着剤20よりも、より高い温度の排気ガスと接触する。また、例えば、内燃機関から排出される排気ガスの流路となる排気管からの伝導熱及び排気ガスそのものの熱によって、第1吸着剤10の方が第2吸着剤20よりも早く暖められ、且つ高い温度に維持されることになる。
一方、本発明に係る排気ガス浄化装置においては、排気ガスの流れにおいて上流側に配置される第1吸着剤は、相対的に低いSiO/Alモル比を有する(即ち、相対的に高い温度において大きいエタノール吸着量を示す)ゼオライトを含んでなり、排気ガスの流れにおいて下流側に配置される第2吸着剤は、相対的に高いSiO/Alモル比を有する(即ち、相対的に低い温度において大きいエタノール吸着量を示す)ゼオライトを含んでなる。
従って、本発明に係る排気ガス浄化装置が備える第1吸着剤及び第2吸着剤を上記のような配置構成とすることにより、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く吸着することができ、結果として、かかる配置構成を有する第1吸着剤及び第2吸着剤を備える排気ガス浄化装置において、内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを、より効率良く除去することができる。
(2)層状配置
上記のように、図2(b)は、本発明のもう1つの実施態様に係る排気ガス浄化装置における第1吸着剤及び第2吸着剤の層状配置を表す模式図である。図2(b)に示す配置構成においては、内燃機関から排出される排気ガスの流路内に配設されたハニカム基材30の表面に第2吸着剤20の層が配置され、当該第2吸着剤20の層を覆うように第1吸着剤10の層が配置されている。かかる配置構成においては、第1吸着剤10は第2吸着剤20よりも排気ガスの流れに近い側に配設されることから、この場合もやはり、第1吸着剤10の方が第2吸着剤20よりも、より高い温度の排気ガスと接触する。
一方、本発明に係る排気ガス浄化装置においては、上記のような配置構成を有する第1吸着剤及び第2吸着剤を備える場合も、排気ガスの流れにおいて上流側に配置される第1吸着剤は、相対的に低いSiO/Alモル比を有する(即ち、相対的に高い温度において大きいエタノール吸着量を示す)ゼオライトを含んでなり、排気ガスの流れにおいて下流側に配置される第2吸着剤は、相対的に高いSiO/Alモル比を有する(即ち、相対的に低い温度において大きいエタノール吸着量を示す)ゼオライトを含んでなる。
従って、本発明に係る排気ガス浄化装置が備える第1吸着剤及び第2吸着剤を上記のような配置構成とした場合もまた、排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールをより効率良く吸着することができ、結果として、かかる配置構成を有する第1吸着剤及び第2吸着剤を備える排気ガス浄化装置において、内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールを、より効率良く除去することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施態様について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでも無い。
10…第1吸着剤、20…第2吸着剤、及び30…ハニカム基材。

Claims (2)

  1. アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法であって、
    SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第1吸着剤と、
    SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第2吸着剤と、
    アルコールを酸化により浄化する排気ガス浄化触媒と、
    を備え、
    前記第1吸着剤が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設され、且つ前記第2吸着剤が前記排気ガス浄化触媒よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設されており、
    前記第1吸着剤のSiO/Alモル比が前記第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成されている、
    排気ガス浄化装置において、
    前記内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部を前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方に吸着させ、
    前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤から脱離するアルコールの少なくとも一部を前記排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化する、
    排気ガス浄化方法。
  2. アルコールを含む燃料の燃焼エネルギーにより作動する内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置であって、
    SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第1吸着剤と、
    SiO/Alモル比が5以上且つ50未満のゼオライトを含んでなり、アルコールを吸着する第2吸着剤と、
    アルコールを酸化により浄化する排気ガス浄化触媒と、
    を備え、
    前記第1吸着剤が前記第2吸着剤よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設され、且つ前記第2吸着剤が前記排気ガス浄化触媒よりも前記排気ガスの流れにおいて上流側に配設されており、
    前記第1吸着剤のSiO/Alモル比が前記第2吸着剤のSiO/Alモル比よりも小さくなるように構成されており、
    前記内燃機関から排出される排気ガスに含まれる未燃焼のアルコールの少なくとも一部が前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤の少なくとも一方に吸着され、
    前記第1吸着剤及び前記第2吸着剤から脱離するアルコールの少なくとも一部が前記排気ガス浄化触媒による酸化によって浄化される、
    排気ガス浄化装置。
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