JP5677756B2 - 圧電磁器材料 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電材料に関し、具体的には、鉛を含まない圧電材料の改良技術に関する。
圧電材料としては、PZT(PbTiO−PbZrO)組成系セラミックスがよく知られている。PZTは、電気機械結合係数や圧電定数などの圧電特性に優れ、このPZTは、センサ、超音波モータ、フィルターなどの圧電素子に広く使用されている。
ところで、近年では、環境に対する要請から工業製品の「鉛フリー」化が急務となっている。当然、PZTも最終的に工業製品に使用されるため、圧電材料も、鉛(Pb)が含まれているPZTから、鉛を含まない他の圧電材料に置換していく必要がある。
そして、鉛を含まない圧電材料(非鉛圧電材料)としては、以下の特許文献1に記載されているような、KNa(1−x)NbOの化学式で表される化合物(KNN)にCoを含む添加物を添加したものがある。具体的にはCoを添加したKNN−Co系圧電材料であり、この圧電材料は、焼結性が高く、非鉛圧電材料として注目されている。また、圧電材料に関する一般的な技術については、以下の非特許文献1に詳しく記載されている。
特公昭56−12031号公報
FDK株式会社、"圧電セラミックス(技術資料)"、[online]、[平成22年2月9日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/cyber-j/pdf/BZ-TEJ001.pdf>
非鉛圧電材料として期待されている上記のKNN−Co系圧電材料は、緻密化が図られ生産性には優れているが、耐湿性に乏しい、ということが本発明者らによって明らかにされた。すなわち、高湿度環境下に晒されると圧電特性が劣化することが明らかになった。そのため、例えば、吸水した水分による抵抗値の低下に起因して、その圧電材料を使用した圧電素子の消費電力を増大させる可能性を含め、吸水性に由来する様々な弊害が予想される。
したがって、本発明は、環境に優しく、圧電特性に優れるとともに、緻密性と耐湿性を向上させて、高い信頼性を有するKNN系圧電材料を提供することを目的としている。
そして、上記目的を達成するための本発明は、焼結体により構成されて、一般式KxNa(1-x)Nb03で表される化合物を主成分として含んだ圧電材料であって、0.1≦x≦0.7であるとともに、ガラスが前記化合物の結晶粒の粒界に存在してなる構造を有し、
前記ガラスは、前記焼結体として焼成される前の粒子径が前記化合物の2倍以下である
ことを特徴としている。また、前記ガラスの軟化点温度が、前記化合物の結晶化温度よりも低い圧電磁器材料とすればより好ましい。
そして、前記ガラスは、Biを主成分として含むBi系ガラス、SiOを主成分としてLiOを含むLi系ガラス、ZnOを主成分として含むZn系ガラス、SiOを主成分として含むSi系ガラスから少なくとも1種以上選ばれる圧電材料も本発明の範囲としている。
また、前記ガラスが、前記Li系ガラスである場合、当該Li系ガラスの添加量は、前記化合物に対し0.1wt%よりも多く、10.0wt%以下であることがより好ましい。前記ガラスが、前記Bi系ガラスである場合は、その添加量が、前記化合物に対し0.08wt%よりも多く、12.4wt%以下であることがより好ましい。前記ガラスが、前記Zn系ガラスである場合は、その添加量が、前記化合物に対し0.07wt%よりも多く、13.3wt%以下であることがより好ましい。前記ガラスが、前記Si系ガラスである場合は、その添加量が、前記化合物に対し0.08wt%よりも多く、14.8wt%以下であることがより好ましい。
本発明によれば、環境に優しく、圧電特性に優れるとともに、高い信頼性を有する圧電材料を提供することができる。
一般的な圧電材料の概略構造図である。 圧電材料の製造方法を説明するための工程図である。 本発明の実施例における圧電材料の構造を示す図である。 圧電材料と添加物の粒子径を変化させて特性評価試験を行ったときの結果を示す図である。
===圧電材料===
圧電材料は、図1(A)に示したように、母材となる化合物の結晶粒10同士がモザイク状につなぎ合わされた構造を有している。上述したように、一般式KNa(1−x)Nb0(以下、KNN)で表される化合物は、鉛を含まず、環境性能に優れた圧電材料の母材として期待されているが、図1(B)の円20内に拡大して示したように、その結晶粒10同士の結合構造が粗であり、隣接する結晶粒10間の境界(粒界)11から水分が吸収されてしまう可能性がある。また、KNNにCoを添加した従来の圧電材料では、緻密化が図られ生産性には優れているが、高湿度環境下に晒されると圧電特性が劣化する、ということが判明した。
しかし、母材、すなわちKNNの構造自体を安易に稠密にしようとすれば、KNN本来の圧電特性が損なわれる可能性もある。そこで、本発明者は、圧電物質であるKNN自体ではなく、圧電素子に組み込まれる状態の圧電材料、すなわち、圧電物質の原料に添加物を混合して焼結させてなる最終生成物が、吸水しにくい(非吸水)性能や耐湿性能を向上させるための構造を有していれば、KNN本来の圧電性能を維持できると考えた。本発明は、このような考察に基づいて鋭意研究した結果得られたものである。
===圧電材料の作製手順===
本発明の実施例における圧電材料は、KNNを主成分として含み、この圧電物質であるKNNに添加物を加えて焼結することで得られる。そして、KNNにおけるKとNaの組成比、添加物の種類、添加物の重量比などの作製条件が異なる複数の圧電材料をサンプルとして作製した。また、作製条件が同じサンプルを複数作製し、同じ作製条件のサンプルで吸水試験や耐湿試験を行い、その試験結果の平均値で非吸水性能や耐湿性能を評価した。そして、本発明の実施例となる圧電材料について、KNNにおけるxの値や、添加物の添加量などを、その評価結果に基づいて規定した。
図2に、サンプルとなる圧電材料の作製手順を示した。まず、圧電材料の母材となるKNNの原料を所定量秤量して配合し(s1)、ボールミル中に、その原料と溶媒となるアルコール(エタノールなど)を入れて湿式混合する(s2)。それによって、KNNの原料が混合されるとともに粉体状に粉砕される。そして、この混合物を大気中にて800℃〜1000℃の温度で1時間(h)〜3h仮焼成し(s3)、KNNを固相反応によって生成する。すなわち、この製造手順では、添加物を含めた圧電材料の原料を全て混合するのではなく、母材だけの粉体をまず生成している。
つぎに、添加物の原料を所定量秤量するとともに、先に仮焼成によって得たKNNの粉末に添加物としてガラスを加える(s4)。この添加物となるガラスは、最終的に、非吸水性能や耐湿性能に優れた構造を有する圧電材料に得るための最も重要な要素である。そして、この時点で、圧電材料を構成する全原料が混合された状態となる。なお、ガラスを添加しないサンプルについては、この手順(s4)をスキップさせる。
この全原料の混合物にバインダーとしてPVA水溶液を加えて混合することで、適宜な大きさの粒子径の粉末に造粒し(s5)、その造粒された粉末を目的とする形状に成形する(s6)。そして、上記成形物を所定温度下(例えば、300℃〜500℃程度)に置いて、バインダーを除去したのち、大気中で900℃〜1200℃の温度で1h焼成し(s7,s8)圧電セラミックスを得る。
なお、上記手順では、仮焼成によって得たKNNの粉末に添加物としてガラスを加え(s4)、その上で造粒(s5)していたが、仮焼成後のKNNの粉末とガラスの原材料とを個別に粉砕して異なる粒子径にした上で、バインダーを加えて混合してもよい。それによって、焼成前におけるKNNとガラスの原材料とが異なる粒子径で造粒することができる。いずれにしても、仮焼成後のKNNの粉末とガラスの原材料とを粉砕して、これらを混合しバインダーを加えて焼成すればよい。
最後に、その圧電セラミックスを、直径Φ≧15mm、厚さt=1.0mmとなる円板状に加工するとともに、その円板の両面にAg電極を焼き付けたのち(s9,s10)、120℃のシリコンオイル中において、4Kv/mmの電界で分極処理を施し、圧電材料とした(s11)。
また、圧電セラミックスの加工(s9)後、同じ条件で製造した複数のサンプルの一部は、非吸水性能の評価用として、電極の焼き付け(s10)を行わず、120℃の温度で1h乾燥させ(s12)、重量を測定した後、煮沸した水の中に投入して1h放置して、吸水させた(s13,s14)。
ところで、圧電材料の作製手順としては、上記非特許文献1の第15頁に記載されている通常の圧電材料の作製手順(上記非特許文献1、第15頁参照)と同様に、最初に全ての原料を配合する手順もある。実際に、この手順で圧電材料を作製したが、上記手順で作製した圧電材料と比較すると、圧電特性に若干のバラツキがあった。したがった、より安定した特性を得るためには、上記手順で圧電材料を作製する方が望ましい。
===圧電材料の種類===
上述した手順により作製した圧電材料は、KNNにおけるKとNaの組成比、添加物の有無、添加物の種類、添加物の添加量など応じて複数種類用意した。また、添加物としては、従来の圧電材料に使用されているCoと、本発明の実施例の圧電材料に使用した各種ガラスがある。以下に、そのガラスの組成と各サンプルの作製条件を示した。
<ガラスの組成>
作製したサンプルの一部には、Coではなくガラスが添加されている。サンプルに用いたガラスは、工業用途として一般に市販されているものであり、ここでは、Bi主成分として含むガラス(以下、Bi系ガラス)、SiOを主成分としてLiOを含むガラス(以下、Li系ガラス)、ZnOを主成分として含むガラス(以下、Zn系ガラス)、およびSiOを主成分として含むガラス(以下、Si系ガラス)のいずれかである。参考までに、以下に、各ガラスの組成を示した。
・Bi系ガラス
Bi:60mol%、B:30mol%、CuO:7mol%、SiO:3mol%
・Li系ガラス
SiO:50mol%、LiO:20mol%、B:20mol%、CaO:5 BaO:5mol%
・Zn系ガラス
ZnO:45mol%、MgO:27mol%、B:25mol%、SiO:3mol%
・Si系ガラス
SiO:80mol%、B:18mol%、Al:2mol%
<サンプル条件>
上述したように、KNNは、KNa(1−x)Nb0の組成式で表され、KNNの原材料の配分に応じてxの値が変わる。そこで、本実施例では、xの値が異なる各種KNNに対し、添加物の有無、添加物の種類、および添加物の添加量を変えたサンプルを74種類作製した。以下の表1〜3に、当該74種類のサンプルのxおよび添加物の種類とその添加量を示した。また、各サンプルの初期特性として、電気機械結合係数Kr、機械的品質係数Qm、および誘電率ε33の初期値を示した。なお、表中では、添加物となるBi系ガラス、Li系ガラス、Zn系ガラス、およびSi系ガラスを、それぞれBi、Li、Zn、およびSiで示している。
表1にサンプル1〜28についての組成や初期特性を示した。
表2にサンプル29〜52についての組成や初期特性を示した。
表3にサンプル53〜74についての組成や初期特性を示した。
上記表1〜3において、サンプル1、29,53がKNN自体の性能を評価するためのサンプルであり、サンプル2がKNNを母材としてCoを添加した従来の圧電材料である。そして、それ以外のサンプルが添加物としてガラスを採用した新規な圧電材料である。
なお、圧電材料の作製に際し、上記造粒の手順では、KNNの平均粒子径が0.8μmとなるように調整した。また、ガラスについては、平均粒子径1.5μmとなるように調整した。また、以下では、粒子径は平均粒子径を示すものとする。
===非吸水性能・耐湿性能の評価===
上記表1〜3に示した各サンプルを恒温槽にて85℃、85%RHの環境下に100h放置して耐湿放置試験を行い、恒温槽から取り出して4h後に、上記Kr、Qm、およびε33を測定し、初期値との比{(耐湿放置試験後測定値−耐湿試験前測定値)/耐湿試験前測定値}に基づいて耐湿性能を評価した。また、吸水処理(s14)の前後における重量比(吸水後重量/吸水前重量)を吸水率とし、その吸水率によって非吸水性能を評価した。
以下の表4〜6に各サンプルについて、吸水率と各種圧電特性における初期値との比を示した。また、吸水率や圧電特性の変化に応じて非吸水性能や耐湿性能の合否判定を行った。ここでは、吸水前後の重量比の絶対値が1%未満、かつ、耐湿放置試験前後のKr、Qm、およびε33の比が、それぞれ3%未満、20%未満、および10%未満であれば合格とした。なお、以下の表4〜6では、耐湿放置試験前後で測定値が減少したサンプルについては、数値の前にマイナス「−」符号を付記している。
表4にサンプル1〜28についての評価結果を示した。
表5にサンプル29〜52についての評価結果を示した。
表6にサンプル53〜74についての評価結果を示した。
上記表4〜6において、KNN単体のサンプル1、29、53では、予想通り、不合格判定となった。とくに、耐湿性能の劣化が顕著であった。これら全てのサンプル1、29、53では、とくにQmとε33のいずれか、あるいは両方が劣化して不合格となった。しかし、非吸水性能に限って見れば、いずれも不合格であったものの、xの値を0.5、すなわちKNNにおけるKとNaが1:1の割合としたサンプル1では、合格基準に僅かに届かなかっただけであった。このことから、xの値は、とくに非吸水性能を左右する可能性がある、ということが分かった。
また、従来の圧電材料である、Coを添加したサンプル2では、吸水率が0%であり、非吸水性能については優れた性能を示したものの、KrとQmがともに劣化し不合格判定となった。これは、Coが焼結助剤として上手く機能してKNNの緻密度が上がって非吸水性能は向上したものの、Coを添加剤と使用することで、例えば、Co自体が高湿度環境下で変性し、圧電特性を劣化させてしまった、など、根本的に耐湿性能を劣化させる何らかの原因があるものと推測される。以上のことから、xの値や添加物を慎重に選択する必要性があることが分かる。
一方、本発明の実施例を含むガラスを添加したサンプルでは、その多くが合格判定となった。周知のごとく、圧電材料における添加物は、焼結助剤として粒界に充填されて、結晶粒同士を結着させる。そして、本発明の目的は、換言すれば、ガラスが結着剤として粒界に充填された構造を実現するための条件を規定することである。図3(A)に、圧電材料の結晶粒構造を模式的に示した。また、本発明の実施例に係る圧電材料として、Zn系ガラスを添加した圧電材料の顕微鏡写真を図3(B)に示した。そして、当該写真中に番号「6」〜「10」で記されている箇所を対象にエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて分析を行った結果を図3(C)に示した。図3(C)より、粒界の部分(番号10)でガラスを構成するZnの量がきわめて多く、本実施例に係る圧電材料は、高湿度環境下にあっても変性しにくいガラスを添加剤とし、その添加剤12が、圧電体であるKNNの結晶粒10間の粒界11に充填されている構造を有していることが確認できた。
そこで、この条件を規定するにあたって、ここで試用した4種類のガラスを添加した各サンプルについて検討すると、全てのガラスにおいて、KNNにおけるxの値に依存性があることが分かった。例えば、Li系ガラスについては、添加量が同じ0.1wt%でもx<1.0としたサンプル30と34とでは合否が分かれた。
さらに、例えばLi系ガラスを添加したサンプル54、66、74では、ともにx=0.7であるが、その添加量によって、合否が分かれた、しかし、Li系ガラスを添加したサンプルにおいて、不合格となったサンプル38、46、61,74は、いずれも、合格基準に僅かに及ばなかっただけであり、KNN単体のサンプル1、29、53や従来のKNN系圧電材料であるサンプル2における性能劣化の度合いと比較すると実用上は問題ない程度である。
実施例に記載されたその他ガラスであるBi系ガラス、Zn系ガラス、Si系ガラスに関しても、同様の結果が得られた。また、ここには記載していないが、その他の一般のガラスに関しても同様の結果が得られた。
そして、ガラスを添加したサンプルにおける非吸水性能や耐湿性能が、xの値に対して多少不安定であることが確認されたため、本発明の実施例に係る圧電材料では、KNNにおけるxの値を0.1≦x≦0.7に規定した。さらに、Liガラスを添加した圧電材料については、その添加量を0.1wt%より多く、10.0wt%以下を条件とすることがより望ましいことも判明した。
同様に、Biガラスを添加した圧電材料に関しては、その添加量を0.08wt%よりも多く、12.4wt%以下を条件とすることがより望ましい。また、Znガラスを添加した圧電材料に関しては、その添加量を0.07wt%よりも多く、13.3wt%以下を条件とすることがより望ましい。また、Siガラスを添加した圧電材料に関しては、その添加量を0.08wt%よりも多く、14.8wt%以下を条件とすることがより望ましい。
===粒子径依存性===
上記サンプルでは、圧電物質であるKNNの粒子径と添加物であるガラスの粒子径が一定となるように調整していた。そこで、非吸水性能や耐湿性能において、KNNやガラスの粒子径依存性があるか否かを検討した。ここでは、上記4種類のガラスの内、KNNにおけるxや添加量に対する特性変化が最も大きかったLiガラスを添加したサンプルで、かつ、xの値が望ましいと考えられる上限の0.7で合格判定となったサンプル66を基準として粒子径依存性を検討した。
以下の表7に当該評価結果を示した。また、図4に当該評価結果をグラフにして示した。図4では合格を「○」、不合格を「●」で示している。
表7より、不合格となったサンプル66g、66h、66jは、いずれも、圧電特性については合格基準を満たしていたが、吸水率が合格基準に僅かながら及ばず、不合格判定となった。そして、これらの不合格判定となったサンプル66g、66h、66jは、粒子径の大小よりも、KNNの粒子径とガラスの粒子径の比に相関性が見受けられた。例えば、図4からは、ガラスの粒子径がKNNの粒子径の2倍となる直線13を境界にして、合否が分かれており、ガラスの粒子径がKNNの粒子径に対して2倍より大きいときに不合格判定となっている。したがって、KNNにLi系ガラスを添加した圧電材料では、さらに、ガラスの粒子径がKNNの粒子径の2倍以下であれば、確実に非吸水性能も合格判定となることが分かった。
なお、Li以外のガラスにおける粒子径依存性について、その評価結果を以下の表8〜表10に示した。
上記表8〜10からも分かるように、その他のガラスに関しても、KNNの粒子径がガラスの粒子径の1/2以下であれば、確実に非吸水性能も合格判定となることが分かった。
===考察===
上記各サンプルに対する非吸水性能や圧電性能の評価結果から、ある種のガラスではKNNのxの値や添加量に依存性が見受けられた。その理由として、添加量が少ないとKNNの粒界にガラスが十分に充填されず、多い場合では、KNNの粒界に充填されたガラスが発泡し、ガラスの充填部分の一部が欠損したためと考えられる。
また、粒界にガラスを効率よく充填させるためには、焼結時に昇温させていく途中でガラスの方が先に軟化し、KNNの粒子同士が結合されていく途上で、その軟化したガラスが流動しながら粒界に徐々に充填されていく、というプロセスで圧電材料が焼結することが望ましい。そして、上記各ガラスは、その軟化点がKNNの1100℃〜1200℃に対し、Bi系ガラスで450℃、Li系ガラスで550℃、Zn系ガラスで580℃、そしてSi系ガラスで790℃であった。したがって、KNNに添加するガラスは、KNNよりも軟化点が低いものを採用することがより望ましい。
ガラスをKNNに添加した圧電材料は、従来のKNN系圧電材料と比較すると、非吸水性能と耐湿性能が大きく優れていた。唯一、不合格判定となったサンプルが存在したLi系ガラスを添加した圧電材料であっても、合格基準に僅かに至らなかっただけで、従来の圧電材料と比較すると優れた非吸水性能と耐湿性能を備えている、と言える。そして、不合格とは言っても実用上大きな問題がないLi系ガラスを添加した圧電材料を基準にしてKNNにおけるxの値を規定し、そのxの値が規定されたKNNにガラスを添加した圧電材料を本発明の実施例とした。したがって、KNNのxの値が規定の範囲にあれば、上記4種類のガラスに限らず、KNNにガラスを添加することで、粒界にガラスが充填された構造を有して非吸水性能や圧電性能に優れ、環境にも優しい圧電材料が得られる可能性が極めて高い、と言える。
この発明は、超音波モータやフィルターなどの圧電性を利用した機器や素子に利用することができる。
1 圧電材料
10 KNNの結晶粒
11 粒界
12 ガラス

Claims (7)

  1. 焼結体により構成されて、一般式KxNa(1-x)Nb03で表される化合物を主成分として含んだ圧電材料であって、0.1≦x≦0.7であるとともに、ガラスが前記化合物の結晶粒の粒界に存在してなる構造を有し、
    前記ガラスは、前記焼結体として焼成される前の粒子径が前記化合物の2倍以下である、
    ことを特徴とする圧電磁器材料。
  2. 請求項1において、前記ガラスの軟化点温度は、前記化合物の結晶化温度よりも低いことを特徴とする圧電磁器材料。
  3. 請求項1または2において、前記ガラスは、Bi2O3を主成分として含むBi系ガラス、SiO2を主成分としてLi2Oを含むLi系ガラス、ZnOを主成分として含むZn系ガラス、SiO2を主成分として含むSi系ガラスから、少なくとも1種以上選ばれることを特徴とする圧電磁器材料。
  4. 請求項3において、前記ガラスは、前記Li系ガラスであって、当該Li系ガラスの添加量は、前記化合物に対し0.1wt%よりも多く、10.0wt%以下であることを特徴とする圧電磁器材料。
  5. 請求項3において、前記ガラスは、前記Bi系ガラスであって、当該Bi系ガラスの添加量は、前記化合物に対し0.08wt%よりも多く、12.4wt%以下であることを特徴とする圧電磁器材料。
  6. 請求項3において、前記ガラスは、前記Zn系ガラスであって、当該Zn系ガラスの添加量は、前記化合物に対し0.07wt%よりも多く、13.3wt%以下であることを特徴とする圧電磁器材料。
  7. 請求項3において、前記ガラスは、前記Si系ガラスであって、当該Si系ガラスの添加量は、前記化合物に対し0.08wt%よりも多く、14.8wt%以下であることを特徴とする圧電磁器材料。
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