JP6326198B2 - 圧電材料 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電材料に関し、具体的には、鉛を含まない圧電材料の改良技術に関する。
圧電材料としては、PZT(PbTiO−PbZrO)組成系セラミックスがよく知られている。PZTは、電気機械結合係数や圧電定数などの圧電特性に優れ、このPZTは、センサー、超音波モーター、フィルターなどの圧電素子に広く使用されている。
ところで、近年では、環境に対する要請から工業製品の「鉛フリー」化が急務となっている。当然、PZTも最終的に工業製品に使用されるため、圧電材料も、鉛(Pb)が含まれているPZTから、鉛を含まない他の圧電材料に置換していく必要がある。
そして、鉛を含まない圧電材料(非鉛圧電材料)としては、一般式KNa(1−x)NbOで表される化合物(KNN)、チタン酸バリウム(BaTiO)系の圧電材料などがある。なお、KNNを主成分として含む圧電材料(以下、KNN系圧電材料)については、例えば、以下の特許文献1に記載されている。また、圧電材料に関する一般的な技術については、以下の非特許文献1や2に詳しく記載されている。
特公昭56−12031号公報
FDK株式会社、"圧電セラミックス(技術資料)"、[online]、[平成24年11月26日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/cyber-j/pdf/BZ-TEJ001.pdf> NECトーキン株式会社、"圧電セラミックス Vol.04"、[online]、[平成24年11月26日検索]、インターネット<URL:http://www.nec-tokin.com/product/piezodevice1/pdf/piezodevice_j.pdf>
本発明者は、環境に優しく、各種圧電特性の全てが極めて優れた圧電材料を提供することを目的として、一般式(KaNaLic)(NbTaSb)Oで表される化合物を主体として構成される圧電材料の研究開発を継続して行ってきた。そして、その研究開発の過程で、上記化合物を圧電性発現の起源となる物質として含む圧電材料では、各種圧電特性(電気機械結合係数Kp、機械的品質係数Qm、比誘電率εr)をバランス良く向上させることが難しい、ということを知見した。
そこで、鋭意研究を重ねた結果、上記化合物を主成分として、一般式{(K1-aNa1−bLi}(Nb1−c−dTaSb)O+xmol%BaTiO+ymol%CuOで表される圧電材料を開発し、x、y、a、b、c、d、nの各条件を適正に設定した。その結果、従来、相反関係にあった比誘電率εrと機械的品質係数Qmをともに向上させることに成功し、この圧電材料に係る発明を特許出願した(特願2011−35782:先発明1)。そして、この上記先発明1に係る圧電材料は、センサーなどの受動的な圧電装置に採用する場合には十分に実用可能であり、また、条件によっては、ブザーや超音波モーター、バイモルフなどの能動的な圧電装置に利用できるほどの特性も有していた。
さらに本発明者は、その後の研究で、先発明1の圧電材料の組成をさらに最適化し、この先発明1で得た特性をより安定して得られるようにしたり、さらに特性を向上したりすることを試みたところ、実質的な組成は先発明1と同じ(KaNaLic)(NbB−d−eTaSb)O+xmol%BaTiO+ymol%CuOで表される圧電材料であるものの、a、b、c、d、e、B、x、yの各条件を最適化し、とくにBの値を従来の1から1.1とすることで、各種圧電特性をさらに向上させることができた、そして、この圧電材料に係る発明も特許出願した(特願2012−113612:先発明2)。
このように、先発明1、2では、各種圧電特性をバランス良く向上させることができた。しかし、全ての用途においてPZTと置換するためには、先発明1や2の技術思想を発展させつつ、上記先発明1や2に想到する過程で未検討であった組成についても検討し、さらなる特性向上のための手がかりを知見する必要がある。
本発明は、環境に優しく、各種圧電特性の全てが極めて優れた圧電材料を提供することを目的としている。そして、この目的を達成するための本発明は、一般式(KNaLi)(NbTaSb)O+gmol%BaTiO+hmol%CuOで表される圧電材料であって、
前記一般式において、(KNaLi)をAサイトとし、(NbTaSb)をBサイトとして、
前記Aサイトの組成合計値であるa+b+cと、前記Bサイトの組成合計値であるd+e+fが、それぞれ、
0.936≦a+b+c≦1.076、d+e+f=1.1であるとともに、
0.400≦a≦0.520、
0.460≦b≦0.540、
0.040≦c≦0.059、
0.770≦d≦1.060、
0.000≦e≦0.290、
0.010≦f≦0.100、
1.000≦g<7.000、
2.000≦h≦4.000、
を満を満たし、
電気機械結合係数Kp、機械品質係数Qm、比誘電率εrがそれぞれ、Kp≧30%、Qm≧1000、εr≧1000である
ことを特徴とする圧電材料である。
本発明の圧電材料によれば、環境負荷を低減させ、各種圧電特性がバランス良く、かつ極めて優れ、様々な用途に広く採用することができる。
圧電材料の製造方法を示す図である。 上記圧電材料の特性を評価するための圧電素子の概略図である。
===本発明に相当する過程===
上記先発明2は、一般式(KaNaLic)(NbB−d−eTaSb)O+xmol%BaTiO+ymol%CuOで表される圧電材料であり、当該先発明2では、a、b、c、B、d、e、x、yの値を適正な数値範囲に設定することにより、相殺関係にあった比誘電率εrと機械的品質係数Qmを、先発明1に係る圧電材料よりもさらに向上させることに成功した。
概略的には、先発明2は、圧電材料が原料を焼成することで作製されるセラミックスであり、その焼成の過程で圧電特性に寄与するアルカリ成分が揮発するのではないか、との考えを出発点として、その揮発したアルカリ成分を補償する、という技術思想に基づいてなされたものである。具体的には、この先発明2に係る圧電材料は、(KNaLi)(NbB−d−eTaSb)Oで示される化合物を含んでおり、この化合物は、周知のごとく、ABO表現されるペロブスカイト型の結晶構造を有する物質である。そして、この化合物における(KNaLi)をAサイト、(NbB−d−eTaSb)をBサイトとしたとき、先発明1ではBサイトを構成する各元素の割合の合計値であるBの値を1としていたところを1.1とした点に特徴を有していた。また、Aサイトを構成する元素の組成の内、a+bの値をa+b≧0.96として、AサイトにおけるKとNaの割合の合計値に下限を設けていた。
つぎに本発明者は、この先発明2の技術思想を踏襲しつつ、Aサイトを構成する各元素の割合の合計値(以下、組成合計値)や、a+b<0.96となる場合についてもより詳しく検討した。もちろん、単純に、先発明に対してAサイトの組成のみを変えただけでは、圧電特性を劇的に向上させることは難しい、却って劣化する可能性もある。BaTiOやCuOなどの圧電材料を構成する他の組成(以下、添加材)との割合によっても特性が変化することが予想される。そして、本発明者は、上記ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物におけるAサイトとBサイトの各元素の割合を見直すなどして鋭意研究を重ね、その結果、本発明に想到した。
===サンプル===
本発明の実施例に係る圧電材料は、先発明1や2の圧電材料と基本的には同じ一般式で表現され、ここでは、一般式を、(KaNaLic)(NbTaSb)O+gmol%BaTiO+hmol%CuOと表記することとする。そして、この一般式で表現される圧電材料(以下、本圧電材料)のうち、a〜hの値が最適化されて、優れた圧電特性を有しているものが本発明の実施例に係る圧電材料となる。そこで、このa〜hの最適値を規定するために、上記一般式中のa〜hの値を変えた多種多様な圧電材料をサンプルとして作製し、各サンプルの圧電特性を評価した。
<製造方法>
図1は、本圧電材料の作製手順を示している。まず、本圧電材料の原料を秤量して配合し、ボールミル中に、その原料と溶媒となるアルコール(エタノールなど)を入れて24時間湿式混合する(s1)。それによって、サンプルとなる圧電材料の原料が混合されるとともに粉体状に粉砕される。そして、この混合物を900℃〜1000℃の温度で2.5時間(h)仮焼成し(s2)、その仮焼成後の粉末をボールミルによって24時間湿式混合することで、その粉末を解砕する(s3)。次いで、その解砕した混合物にバインダーとしてPVA水溶液を加えて混合することで、適宜な大きさの粒子径の粉末に造粒する(s4)。さらに、その造粒された粉末を目的とする形状に成形する(s5)。ここでは、直径21.5mmのダイスを用いて約300MPaの圧力で所定の形状に成形した。そして、上記成形物を大気中で1000℃〜1100℃の温度で1h焼成し(s6)、セラミックスである本圧電材料を得る。なお、焼成時の温度は、本圧電材料の組成に応じて確実にセラミックスに焼結させるための温度(焼結温度)であり、仮焼成時の温度は組成が同じであれば、焼成時の温度よりも低く設定される。
最後に、本圧電材料の特性を測定するために、セラミックスである本圧電材料を圧電素子に形成する。具体的には、図2に示した側面図のように、本圧電材料2を、直径Φ=17mmで、厚さt=1mmの円板状に加工し(s7)、その円板状の本圧電材料2の両面にAg電極3を焼き付ける(s8)。そして、120℃のシリコンオイル中において、4Kv/mmの電界で分極処理を30分間行って圧電素子1とした(s9)。
以下の表1にサンプルの組成を示した。
Figure 0006326198
上記表1に示した各サンプルにおいて、ベロブスカイト型の結晶構造を有する(KaNaLic)(NbTaSb)Oで表される化合物(以下、母材)のBサイトについては、その組成合計値d+e+fを先発明2で実績がある1.1とした。すなわち、サンプルの作製に際しては、上記一般式におけるd〜fの値をd+e+f=1.1となるように設定し、その上で、a〜hの各値を可変設定した。
===特性評価===
上記表1に示した組成が異なる各種サンプルNo.1〜No.36についての特性を評価した。具体的には、電気機械結合係数Kp(%)、および機械的品質係数Qm(%)を測定した。また、誘電率ε33 を測定するとともに、比誘電率εrをεr=ε33 の式によって求めた。なお、圧電特性の測定は、図1に示した工程によって作製したサンプルを大気中で24h放置した後に行い、その測定結果に基づいて、No.1〜No.36のサンプルに対して合否判定を行った。そして、本圧電材料において合格となったサンプルの組成に基づいて最適な組成を規定した。
各サンプルの合否については、基準となる圧電材料の圧電特性と比較して判定することとした。ここでは、本発明が先発明2に想到する過程で未検討だった母材のAサイトの各元素の割合(a,b,c)の適正範囲を求めることを目的の一つとしていることから、先発明1において規定した一般式{(K1-aNa1−bLi}(Nb1−c−dTaSb)O+xmol%BaTiO+ymol%CuOで表現される圧電材料において、最も優れた特性を有する圧電材料を基準(以下、基準サンプル)とした。具体的には、(K0.48Na0.48Li0.04)(Nb1−0.10−0.04Ta0.10Sb0.04)O+3mol%BaTiO+2mol%CuOで表される圧電材料である。すなわち、本圧電材料の一般式(KNaLi)(NbTaSb)O+gmol%BaTiO+hmol%CuOの表記に従えば、a=b=0.48、c=0.04、d=1.0、e=0.10、f=0.04、g=3、h=2となる圧電材料であり、この基準サンプルの圧電特性は、Kp=27.8%、Qm=594.8、εr=757.9であった。そして、この基準サンプルの圧電特性に対し、Kp、Qm、εrの全てが同等以上の特性を有しているサンプルを合格として判定した。なお、「同等以上」については、焼成時の不可避的な組成変化を考慮しつつ、より厳格に合否を判定するために、基準サンプルにおける圧電特性の数値の99%以上と規定した。
なお、基準サンプルの特性は、Kp=27.83%、Qm=594.83、εr=757.90であり、十分にすぐれた特性を備えており、先発明2では、この基準サンプルに対し、Bサイトの組成合計値を1から1.1にすることで、Kp、Qm、εrの全てについて特性を向上させることに成功している。とくにεrの特性が大きく向上した。そこで、上述したように、表1に示したサンプルNo.1〜No.36の全てについても、Bサイトの組成合計値を1.1と規定し、その上で、当該サンプルNo.1〜No.36の特性を評価することで、a〜hの適正値を特定することとした。
表2に各サンプルの評価結果を示した。なお、以下の表2において、圧電特性の値が「−」と記載されているサンプルは、成形された形状が焼成後の工程(図1、s7〜9)によって維持できない「焼成不能」のサンプルである。
Figure 0006326198
===Aサイトの組成について===
表2において、No.1、7、13、21、28、33のサンプルは、本圧電材料の組成において、K以外の組成が同じであり、この内、No.1とNo.33が不合格判定となっていることから、0.40≦a≦0.52が母材のAサイトにおけるKの割合aの適正値であると言える。Naの割合bについては、No.2、8、29、34のサンプルの合否判定より、0.460≦b≦0.540となる。そして、Liの割合cについては、No.3、9、30、35のサンプルから、0.040≦c≦0.059の適正値が得られる。
また、上記a〜cの値が全て下限値となる場合では、圧電性を発現させるためのアルカリ成分の総量が不足する可能性もあることから、Aサイトの組成合計値についても下限値を設けることが望ましい。そして、合格判定となったサンプルの内、No.28のサンプルは、a+b+cの値が最低値であり、その値は、0.936であった。したがって、Aサイトの組成として、a+b+c≧0.936、0.40≦a≦0.52、0.460≦b≦0.540、0.040≦c≦0.059を採用することが妥当である、と言える。
===Bサイトの組成について===
母材のBサイトの組成については、組成合計値を1.1に規定した上で、Bサイトを構成するNb、Ta、Sbの各割合(d、e、f)の最適数値範囲を求めた。まず、表1に示したように、No.4〜6、No.10〜12、No.16、No.25〜27、No.31、No.32、No.36は、Bサイト以外の組成が全て同じものである。そして、No.5、10、11、16、31のサンプル、またはNo.12、32のサンプルは、Sbの割合が同じであり、No.12、16、25〜27のサンプル、またはNo.6、31のサンプルは、Nbの割合が同じである。No.6,16,36のサンプル、またはNO.4、10はSbの割合が同じである。そして、d+e+f=1.1と規定されているので、Bサイト中の三つの元素(Nb,Ta,Sb)のうち、一つの元素の割合が一定であれば、他の二つの元素の割合の和は一定となる。
ここで、No.4〜6、No.10〜12、No.16、No.25〜27、No.31、No.32、No.36のサンプルについて、一つの元素の割合を規定したときの合否判定に基づいて、Bサイトの最適な組成を規定する。例えば、NO.4、10のサンプルから、Nbの割合dの上限は、d=1.060である、と言える。また、No.5、11から、Nbの割合dの下限とTaの割合eの上限が、それぞれd=0.770、e=0.29となることがわかる。No.10のサンプルから、Taの割合eの下限がe=0.000となる。したがって、BサイトにおけるNbの割合dの適正範囲を0.770≦d≦1.060とし、Taの割合eの適正範囲を0.000≦e≦0.290とするのが妥当である。そして、Sbの割合fについては、NO.4、6、12、36などから、0.010≦f≦0.100が適正範囲である、と言える。
===BaTiO、CuOの添加量について===
つぎに、本圧電材料において添加材として含まれているBaTiOとCuOの添加割合(g,h)についての適正値を求める。No.1〜No.36のサンプルの内、No.14〜19は、BaTiOの添加割合g以外の組成が同じであり、これらのサンプルから、BaTiOの添加割合hの適正値は1.000≦g≦7.000であることがわかる。また、CuOの添加割合hについては、No.20〜24から、2.000≦h≦4.000であることがわかる。
===本発明に係る圧電材料の特性について===
表2に示した評価結果より、No.25のサンプルは、Kp=35.2、Qm=1075.5、εr=1150.6の圧電特性を有し、各圧電特性がバランスよく、かつ極めて高い数値を示していた。すなわち、本圧電材料は、その組成(a〜h)が所定の条件(a+b+c≧0.936,d+e+f=1.1,0.400≦a≦0.520,0.460≦b≦0.540,0.040≦c≦0.059,0.770≦d≦1.060,0.000≦e≦0.290,0.010≦f≦0.100,1.000≦g<7.000,2.000≦h≦4.000)を満たすことで、Kp≧30、Qm≧1000、εr≧1000の極めて優れた特性が得られることがわかった。そこで、本圧電材料において上記の条件を満たしつつ、Kp≧30、Qm≧1000、εr≧1000の特性を有する圧電材料も本発明の範囲とした。なお、参考までに、No.25のサンプルのその他の特性を測定したところ、密度=4.64g/cm、共振抵抗=3.22Ω、誘電損失tanδ=0.36%であった。
===焼成条件について===
本発明者は、先に、同じ組成の圧電材料であっても、大気中で焼成させたものより、酸素雰囲気中で焼成されたもののほうが特性に優れている、ということを知見し、これを特許出願した(特願2011−256486)。また、先発明2でも、その酸素雰囲気中での焼成によって特性を向上させることに言及している。そこで、本圧電材料についても、酸素雰囲気中で焼成することで特性が向上するか否かを検討した。当該検討に当たっては、Aサイトの組成が異なるNo.12、13、16、25、26の五つのサンプルを比較対象として抽出し、この抽出したサンプルと同じ組成の圧電材料を酸素雰囲気中で焼成し、その圧電材料の特性を測定することとした。
表3に比較対象となったサンプルの組成を示した。
Figure 0006326198
表3において、No.37〜41のサンプルは、それぞれ、表1に示したNo.12、13、16、25、26の各サンプルと同じ組成である。
表4に焼成条件による圧電特性の比較結果を示した。
Figure 0006326198
表4に示したように、酸素雰囲気中で焼成したサンプル(No.38〜41)は、同じ組成で、かつ大気中で焼成したサンプル(No.12、13、16、25、26)に対し、Kp、Qm、εrの全ての特性が向上した。なお、表4において、No.40のサンプルは、Kp=36.0、Qm=1553.0、εr=1201.4であり、大気雰囲気中で焼成したサンプルのうち、特に特性に優れるNo.25のサンプルよりも、各圧電特性の数値がバランスよく、かつ高い数値を示していた。そして、このNo.40のサンプルは、密度=4.69g/cm、共振抵抗=2.43Ω、誘電損失tanδ=0.29%で、これらの特性もNo.25のサンプルよりも優れていた。以上の結果より、比較対象となったNo.12、13、16、25、26のサンプルの組成に限らず、上記条件を満たす圧電材料は、酸素雰囲気中で焼成することにより、さらなる特性向上が十分に期待できる。
===化学量論組成について===
上述したように、本圧電材料を構成する母材は、ABOの式で表されるペロブスカイト型結晶である。本来、ペロブスカイト型結晶は、化学量論組成に従えば、AサイトとBサイトの組成合計値がともに1となる。それに対し、本圧電材料では、その組成合計値を1に限定せず、適切に設定したことを特徴の一つとしている。
ところで、圧電材料は、上述したように、粉体状の原料を混合して成形したものを焼成工程により焼結させたものであり、その焼成工程時に揮発する成分の量を厳密に特定することができない、すなわち、ペロブスカイト型結晶において、AサイトとBサイトの組成合計値が1よりも大きな場合であっても、実際に製造された圧電材料は、Aαβの化学式で表され、αやβは、1、あるいは1に近似する不可避的に変動する数値となる。したがって、本発明に係る圧電材料の母材も、厳密には(KNaLiα(NbTaSbβと表現されるはずである。しかし、このαとβの値を特定することは現実的に不可能である。したがって、本発明の範囲には、a〜hの数値範囲を上記条件に従って規定しつつ、αとβを不可避的な変動値として、(KNaLiα(NbTaSbβ+gmol%BaTiO+hmol%CuOで表現される圧電材料も含まれていることは明白である。
この発明は、圧電ブザーや超音波モーターなどの圧電性を利用した機器や素子に利用することができる。
1 圧電素子、2 円板状の圧電材料、3 銀電極、s1 原料秤量・混合工程、s2 仮焼成工程、s6 焼成工程

Claims (1)

  1. 一般式(KNaLi)(NbTaSb)O+gmol%BaTiO+hmol%CuOで表される圧電材料であって、
    前記一般式において、(KNaLi)をAサイトとし、(NbTaSb)をBサイトとして、
    前記Aサイトの組成合計値であるa+b+cと、前記Bサイトの組成合計値であるd+e+fが、それぞれ、
    0.936≦a+b+c≦1.076、d+e+f=1.1であるとともに、
    0.400≦a≦0.520、
    0.460≦b≦0.540、
    0.040≦c≦0.059、
    0.770≦d≦1.060、
    0.000≦e≦0.290、
    0.010≦f≦0.100、
    1.000≦g<7.000、
    2.000≦h≦4.000、
    を満たし、
    電気機械結合係数Kp、機械品質係数Qm、比誘電率εrがそれぞれ、Kp≧30%、Qm≧1000、εr≧1000である
    ことを特徴とする圧電材料。
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