JP5677522B2 - クリアインク、インクジェット記録方法、及び、インクセット - Google Patents
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Description
(1)室温から60℃まで10℃/分の速度で昇温し、60℃で30分間維持した後の成分の質量をAとする。
(2)60℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、200℃で30分間維持した後の成分の質量をBとする。
(3)200℃から600℃まで10℃/分の速度で昇温した後の成分の質量をCとする。
まず、顔料インクで記録される画像の発色性を向上させるにあたり、本発明者らは顔料インクと染料インクとで、得られる画像の発色性の違いに注目した。色材が記録媒体に浸透して定着する染料インクと異なり、顔料インクでは記録媒体の表面上に100nm程度の粒径を有する顔料粒子が定着して画像が形成される。このため、顔料インクで記録された画像の表面には凹凸が生じやすい。画像表面に光が入射すると、この凹凸により光の散乱が生じ、発色性が低下する。この散乱を抑制し、画像の発色性を向上するための検討を行った結果、本発明者らは、顔料インクと共に、特定の樹脂粒子を含有するクリアインクを用いるのが有効であることを見出した。この理由は、顔料インクで記録された画像表面の凹凸がクリアインク中の樹脂粒子によって埋まり、画像表面の平滑性が高まることで、光の散乱が抑えられ、発色性が向上したためであると考えられる。
以下、本発明のクリアインクを構成する各成分について説明する。本発明のクリアインクは、無色、乳白色、ないしは白色であることが好ましい。特には、純水で50倍(質量倍)に希釈したクリアインクの吸光スペクトルが、400nm乃至800nmの範囲においてピークを有さず、かつ400nm乃至800nmの範囲におけるabs値が1.0以下であることが好ましい。また、本発明のクリアインクは、記録媒体に付与された際に無色透明の膜を形成できることが好ましく、具体的には、染料や顔料などの色材を含有しないことが好ましい。
本発明のクリアインクには、その平均粒径が220nm以上であり、かつ、SP値が11.0以上15.0以下の水溶性有機溶剤を当該樹脂粒子の固形分の質量に対する比率で0.100倍以上含む樹脂粒子を含有させる。クリアインク中の樹脂粒子の固形分の含有量(質量%)は、クリアインク全質量を基準として、0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子の固形分の含有量が0.2質量%未満であると、十分な量の樹脂粒子を記録媒体の表面上に存在させることができず、画像の写像性をより高める効果が十分に得られない場合がある。一方、樹脂粒子の固形分の含有量が5.0質量%超であると、クリアインク中の樹脂粒子の固形分の含有量が多くなりすぎ、クリアインクを記録媒体に付与した際に形成されるドットが高くなるため、画像の写像性をより高める効果が十分に得られない場合がある。加えて、インクジェット用のクリアインクとして必要となる吐出安定性が高いレベルで十分に得られない場合がある。
本発明のクリアインクに用いる樹脂粒子は水溶性有機溶剤を含むものである。ある樹脂粒子が水溶性有機溶剤を含むものか否か、また、樹脂粒子に含まれる水溶性有機溶剤の含有量の比率は、例えば、熱重量分析法(TGA)によって知ることができる。なお、水溶性有機溶剤の種類は、LC/MSなどの常法によって分析することができる。
(2)60℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、200℃で30分間維持した後の成分の質量をBとする
(3)200℃から600℃まで10℃/分の速度で昇温した後の成分の質量をCとする
本発明のクリアインクに使用する樹脂粒子の合成方法は、特定の水溶性有機溶剤を特定の比率で含む樹脂粒子が得られるものであればいずれの方法であってもよい。例えば、中空の樹脂粒子を合成し、水溶性有機溶剤を注入する方法(特許文献4に記載の方法)や、樹脂粒子の合成の際に特定の水溶性有機溶剤を予め添加しておく方法などがある。本発明においては、樹脂粒子の合成の際に特定の水溶性有機溶剤を予め添加しておく方法を用いることが好ましい。このような合成方法によれば、特定の水溶性有機溶剤と樹脂成分との相互作用が強く働き、多くの水溶性有機溶剤を樹脂粒子に含浸した状態で含ませることができる。さらに、このような方法で合成された樹脂粒子は、クリアインクに添加した際に、当該樹脂粒子に取り込まれた水溶性有機溶剤がクリアインク中へ溶出することなく、樹脂粒子内に水溶性有機溶剤を安定に存在させることができる。
本発明のクリアインクに含有させる樹脂粒子を構成するための単量体ユニットとしては、α,β−エチレン性不飽和疎水性単量体、及びα,β−エチレン性不飽和親水性単量体、に由来するユニットが好適に用いられる。以下、本発明においては、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのことを示す。
本発明のクリアインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明のクリアインクは、水性媒体として少なくとも水を含む、水性のクリアインクであることが好ましい。クリアインク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、クリアインク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量は、クリアインク中に溶解した状態で含有されるものについての値であり、樹脂粒子に含まれる水溶性有機溶剤の含有量は含まない。水溶性有機溶剤は、インクジェット用のクリアインクに用いることができる水溶性有機溶剤がいずれも使用できる。具体的には、1価アルコール類、多価アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶剤類、含硫黄極性溶剤類などが挙げられる。また、水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。クリアインク中の水の含有量(質量%)は、クリアインク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のクリアインクには、上記で説明した樹脂粒子の他にも、別の樹脂を添加することができる。このような樹脂は、水性媒体中に樹脂粒子をさらに安定して分散させるための分散剤として用いても、又は画像の耐擦過性を向上させるなどの他の目的でクリアインクに添加してもよい。
本発明のクリアインクは、上記成分の他に、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。クリアインク中のこれらのような水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、クリアインク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。また、必要に応じて所望の物性値を有するクリアインクとするために、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のクリアインクは、顔料インクと組み合わせてクリアインクとのインクセットとしても用いることができる。以下、本発明のクリアインクと共に使用可能な顔料インクを構成する各成分について説明する。
顔料インクに用いる色材は、当該技術分野で公知のカーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料が挙げられる。顔料の分散方式としては、顔料粒子の表面に親水性基や樹脂を結合させた自己分散顔料とすることのほか、樹脂分散顔料、マイクロカプセル顔料とすることなどの公知の分散方式を使用することができる。顔料インク中の顔料の含有量(質量%)は、顔料インク全質量を基準として、0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、顔料インクとして、互いに同じ色相を有し、色材の含有量がそれぞれ異なる複数のインクを用いる場合、上記の含有量の範囲内において、各インクにおける顔料の含有量が段階的に異なるように適宜決定すればよい。例えば、濃インクとする場合、顔料インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上6.0質量%以下であることがさらに好ましい。淡インクとする場合には、濃インクとする場合よりも顔料の含有量を少なくすればよい。具体的には、淡インクとする場合、顔料インク中の顔料の含有量は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。また、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上1.5質量%未満であることが特に好ましい。顔料の平均粒径(動的光散乱法で測定した体積基準の平均粒径)は50nm以上150nm以下、さらには80nm以上130nm以下であることが好ましい。
顔料インクには、上記で説明した樹脂分散顔料とする場合に分散剤として使用する樹脂の他に、さらに別の樹脂を添加することができ、また、自己分散顔料やマイクロカプセル顔料とする場合にもさらに樹脂を添加することができる。このような樹脂は、水性媒体中に顔料をさらに安定して分散させるためとして用いても、又は画像の耐擦過性や記録媒体への顔料の定着性を向上させるなどの他の目的でインクに添加してもよい。
顔料インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。顔料インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、顔料インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、クリアインクに使用可能なものとして挙げた水溶性有機溶剤と同様のものを使用することができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。顔料インク中の水の含有量(質量%)は、顔料インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、顔料インクには、上記のクリアインクに使用可能なものとして挙げたその他の成分と同様のものを使用することができる。
本発明のクリアインクを付与する記録媒体はどのようなものであってもよいが、顔料インク中の顔料やクリアインク中の樹脂粒子を記録媒体の表面上に存在させることができるような記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体としては、例えば、膨潤型や吸収型の記録媒体が挙げられる。このため、本発明のクリアインクを付与する場合、表面に光沢を有する記録媒体を用いることが好ましい。具体的には、記録媒体表面の20°グロスの値が10以上であるような記録媒体を用いることが好ましい。なお、20°グロスの値は、例えば、マイクロヘイズメーター(BYKガードナー製)を用いて測定することができる。
本発明のクリアインクは、クリアインクを記録媒体に付与する本発明のインクジェット記録方法に用いる。また、本発明の別のインクジェット記録方法は、クリアインクと少なくとも1種の顔料インクとを用いるインクジェット記録方法であって、以下の工程を有することを特徴とする。すなわち、前記顔料インクを用いて記録媒体に記録を行う工程(I)、及び、前記クリアインクを記録媒体に付与する工程(II)、を有する。そして、クリアインクとして上記で説明した本発明のクリアインクを用いる。これらの工程(I)及び工程(II)は、例えば、工程(I)の後に工程(II)を行う場合、工程(II)の後に工程(I)を行う場合、さらにはこれらを組み合わせる場合などが考えられ、どのような順序で行ってもよい。しかし、本発明においては、顔料インクで記録した画像の上にクリアインクを付与することで顔料を樹脂で保護することができるため、前記記録媒体の少なくとも一部の領域において、前記工程(I)を行った後に、前記工程(II)を行うことが特に好ましい。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。以下、この方式を中心に説明する。
本発明のクリアインクは、少なくとも1種の顔料インクと組み合わせて、クリアインクと顔料インクとを有するインクセットとして用いることができる。顔料インクの色相は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、及びブルーなどの各インクから1種又は2種以上を選択することができる。また、インクセットを構成する顔料インクとして、上記のインクと互いに同じ色相を有し、顔料の含有量がそれぞれ異なる複数のインクを用いてもよい。このような複数のインクの組み合わせとしては、ブラック、淡ブラック、グレー、及び淡グレーなどのブラックの色相を有するインクが挙げられる。また、濃シアン、中シアン、及び淡シアンなどのシアンの色相を有するインク、さらには、濃マゼンタ、中マゼンタ、及び淡マゼンタなどのマゼンタの色相を有するインクが挙げられる。勿論、本発明はこれらの色相のインクに限られるものではなく、また、濃、中、淡などのインクの名称もこれらに限られるものではない。本発明においては、インクセットを構成する顔料インクの少なくとも1種に、クリアインクに含有させるものと同じ樹脂粒子を含有させることが特に好ましい。勿論、インクセットを構成する複数の顔料インクに、上記樹脂粒子を含有しない顔料インクが含まれていてもよい。
(樹脂粒子P1〜P10及びP13〜P20)
以下の手順にしたがって、ソープフリー法によりコアシェル構造を有する樹脂粒子P1〜P10及びP13〜P20を合成した。先ず、シェルポリマーS1〜S3を合成した。具体的には、撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、100.0部のエチレングリコールモノブチルエーテル(溶媒)を添加した後、フラスコ内の反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で表1に示す反応温度に昇温させた。このフラスコに、表1に示す種類及び組成比(単位:部)の各単量体の混合物と、表1に示す使用量(単位:部)のt−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)を含むエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、さらにエチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して、固形の樹脂を得た。このようにして得られた樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加えて80℃で中和溶解して、シェルポリマー(固形分)の含有量が30.0%であるシェルポリマーの水溶液を得た。このようにして得られたシェルポリマーS1〜S3の酸価及び重量平均分子量の値を表1に示した。
以下の手順にしたがって、乳化剤を使用して(非ソープフリー法)コアシェル構造を有する樹脂粒子P11を合成した。水50.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)0.6部、アクリル酸−2−エチルヘキシル15.2部、メタクリル酸メチル13.6部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.5部を混合し、単量体の乳化物Aを調製した。また、水50.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)0.3部、アクリル酸−2−エチルヘキシル22.8部、メタクリル酸メチル20.4部、アクリル酸16.8を混合し、単量体の乳化物Bを調製した。
以下の手順にしたがって、乳化剤を使用して(非ソープフリー法)単層の樹脂粒子P12を合成した。水100.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)0.3部、アクリル酸−2−エチルヘキシル30.8部、メタクリル酸メチル52.4部、アクリル酸16.8部を混合し、単量体の乳化物を調製した。撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、100.0部の水、15.0部の1,2−ヘキサンジオールを添加した後、フラスコ内の反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で70℃に昇温させた。このフラスコに、単量体の乳化物と5%の過硫酸カリウム水溶液10.0部を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行った後、適量のイオン交換水で固形分を調整し、単層の樹脂粒子の固形分の含有量が25.0%である樹脂粒子P12の水分散液を得た。
以下の手順にしたがって、比較例のクリアインクに使用した、水溶性有機溶剤を含有しない樹脂粒子P21を合成した。具体的には、特許文献2のエマルションAの記載にしたがって合成を行い、適量のイオン交換水で固形分を調整し、樹脂粒子の固形分の含有量が25.0%である樹脂粒子P21の水分散液を得た。
以下の手順にしたがって、比較例のクリアインクに使用した、水溶性有機溶剤を含有しない樹脂粒子P22を合成した。具体的には、特許文献3のエマルションAの記載にしたがって合成を行い、適量のイオン交換水で固形分を調整し、樹脂粒子の固形分の含有量が25.0%である樹脂粒子P22の水分散液を得た。
以下の手順にしたがって、比較例のクリアインクに使用した樹脂粒子P23を合成した。樹脂粒子P23は、中空の樹脂粒子中の空隙をジエチレングリコールジエチルエーテルで満たしたものである。具体的には、特許文献4の中空樹脂エマルション1の記載にしたがって合成を行った。その後、遠心分離処理を行い、樹脂粒子から水分を分離し、次いで、40℃で3日間減圧乾燥を行うことで、さらに水分を除去した。その後、得られた樹脂粒子を丸底フラスコに移し、樹脂粒子の固形分の含有量が25.0%となるようにジエチレングリコールジエチルエーテルを添加した。この液体を超音波分散しながらアスピレーターで8時間減圧脱気処理することで、中空の樹脂粒子中の空隙をジエチレングリコールジエチルエーテルで満たした。この液体を遠心分離処理して、樹脂粒子中に含まれている以外のジエチレングリコールジエチルエーテルを除去し、樹脂粒子を適量の水に分散することで、樹脂粒子の固形分の含有量が25.0%である樹脂粒子P23の水分散液を得た。
上記で得られたP1〜P23の各樹脂粒子の主特性を表4に示す。樹脂粒子に含まれる水溶性有機溶剤の含有量の比率は、樹脂粒子の固形分の質量に対する比率(単位:倍)であり、前述した熱重量分析により測定した。また、樹脂粒子の平均粒径は、純水で50倍(体積基準)に希釈した樹脂粒子について、UPA−EX150(日機装製)を使用して、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定した体積平均粒径である。
表5−1、5−2、及び5−3に示す各成分(単位:%)を混合した後、ポアサイズが1.2μmであるメンブレンフィルター(HDCIIフィルター;ポール製)にて加圧ろ過することで、クリアインク1〜23を調製した。イオン交換水の使用量は、成分の合計量が100.0%となる含有量とした。このようにして得られた各クリアインクは無色、乳白色、ないしは白色であり、色材を含有しないものである。また、各クリアインクは、純水で50倍(質量倍)に希釈して吸光度を測定した際に、400nm乃至800nmの範囲においてピークを有さず、かつ400nm乃至800nmの範囲におけるabs値が1.0以下であった。なお、ポリエチレングリコールは平均分子量1,000のものを用いた。また、アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤であり、オルフィンE1010は日信化学工業製の界面活性剤である。上記で得られたクリアインク1〜20をそれぞれカートリッジに充填した。
(ブラック顔料分散液の調製)
先ず、顔料20.0部、樹脂水溶液60.0部、及び水20.0部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を80%としたビーズミル(LMZ2;アシザワファインテック製)に入れ、回転数1,800rpmで5時間分散した。なお、顔料としては、カーボンブラック(商品名:プリンテックス90;デグサ製)を用いた。また、樹脂水溶液としては、スチレン−アクリル酸共重合体であるジョンクリル678(ジョンソンポリマー製)を、酸価と当量の水酸化カリウムで中和したものを含む、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である水溶液として用いた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈することで、顔料の含有量が15.0%、水溶性樹脂(分散剤)の含有量が9.0%であるブラック顔料分散液を得た。
顔料をC.I.ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタE02;クラリアント製)に変更した。それ以外は、上記のブラック顔料分散液の調製と同様の手順により、顔料の含有量が15.0%、水溶性樹脂(分散剤)の含有量が9.0%であるマゼンタ顔料分散液を得た。
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3(商品名:トナーシアンBG;クラリアント製)に変更した。それ以外は、上記のブラック顔料分散液の調製と同様の手順により、顔料の含有量が15.0%、水溶性樹脂(分散剤)の含有量が9.0%であるシアン顔料分散液を得た。
顔料をC.I.ピグメントレッド149(商品名:PVFastRedB;クラリアント製)に変更した。それ以外は、上記のブラック顔料分散液の調製と同様の手順により、顔料の含有量が15.0%、水溶性樹脂(分散剤)の含有量が9.0%であるシアン顔料分散液を得た。
顔料をC.I.ピグメントイエロー74(商品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX;クラリアント製)に変更した。それ以外は、上記のブラック顔料分散液の調製と同様の手順により、顔料の含有量が15.0%、水溶性樹脂(分散剤)の含有量が9.0%であるイエロー顔料分散液を得た。
表6の上段に示す各成分(単位:%)を混合した後、ポアサイズが1.2μmであるメンブレンフィルター(HDCIIフィルター;ポール製)にて加圧ろ過することで、顔料インク1〜6をそれぞれ調製した。イオン交換水の使用量は、成分の合計量が100.0%となる含有量とした。なお、ポリエチレングリコールは平均分子量1,000のものを用いた。また、アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。表6の下段には、顔料インク中の顔料の含有量(単位:%)を示した。このようにして得られた顔料インク1〜6をそれぞれカートリッジに充填した。
上記で得られた各クリアインク及び各顔料インクをそれぞれ充填したカートリッジを、熱エネルギーの作用により吐出を行うインクジェット記録装置(商品名:PIXUS Pro9500;キヤノン製)に搭載した。このインクジェット記録装置は、縦解像度600dpi×横解像度600dpiの単位領域に、1滴当たりの質量が3.5ng(ナノグラム)であるインク滴を8滴付与する場合を、記録デューティ100%とするものである。なお、実施例の各クリアインクを記録媒体に付与した結果、これらのクリアインクはいずれも無色透明の膜を形成できるものであった。
各クリアインクを用いて、上記のインクジェット記録装置により、記録媒体(OHPフィルム CG3410;住友スリーエム製)に、記録デューティが50%であるA4サイズのベタ画像を連続して20枚分記録した。そして、目視で確認した1枚目と20枚目の画像における記録ヨレの状態から、吐出安定性の評価を行った。吐出安定性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表7に示す。本発明においては、下記の評価基準でAA、A及びBが許容できるレベル、Cが許容できないレベルとした。なお、本評価においては、クリアインクにより形成された無色透明の膜を観察しやすくするため、記録媒体としてOHPフィルムを用いたが、本発明のクリアインクを適用可能な記録媒体はこれに限られるものではない。
A:20枚分の記録が可能であり、20枚目の画像にわずかな記録ヨレがあった。
B:20枚分の記録が可能であったが、1枚目の画像と比べて20枚目の画像に記録ヨレが目立った。
C:20枚分の記録ができなかった。
顔料インクとクリアインクとを表8に示すように組み合わせてインクセットとした。そして、上記のインクジェット記録装置により、記録媒体(キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド;キヤノン製)に以下の画像を記録し、記録物を作製した。顔料インクの記録デューティを10%から100%まで10%刻みに段階的に変化させた顔料インクのベタ画像と、クリアインクの記録デューティを40%デューティ(一定)としたベタ画像とが重なるように、10種のベタ画像を含むパターンを記録した。ベタ画像のサイズは、それぞれ2cm×2cmとした。この際、顔料インク及びクリアインクは、カートリッジホルダーのマゼンタインク及びグリーンインクのポジションにそれぞれセットし、顔料インクを付与した後にクリアインクを重なるように付与して、8パス片方向で記録を行った。
AA:光学濃度が2.20以上であった。
A:光学濃度が2.15以上2.20未満であった。
B:光学濃度が2.10以上2.15未満であった。
C:光学濃度が2.10未満であった。
AA:彩度が72以上であった。
A:彩度が70以上72未満であった。
B:彩度が68以上70未満であった。
C:彩度が68未満であった。
写像性の評価に用いたものと同様の記録物を作製し、常温で24時間保存した。その後、写像性測定器ICM−1T(スガ試験機製)を用いて、測定角度:60°、光学くし幅:2.0mmの条件で、光沢値C(%)を測定し、10種の画像のうちの最低値により写像性の評価を行った。写像性の評価基準は以下の通りである。結果を表8に示す。本発明においては、下記の評価基準でAAA、AA、A及びBが許容できるレベル、Cが許容できないレベルとした。
AA:光沢値が60%以上65%未満であった。
A:光沢値が50%以上60%未満であった。
B:光沢値が40%以上50%未満であった。
C:光沢値が40%未満であった。
Claims (12)
- 樹脂粒子を含有するクリアインクであって、
前記樹脂粒子は、その平均粒径が220nm以上であり、かつ、Fedors法により求められるSP値が11.0(cal/cm3)1/2以上15.0(cal/cm3)1/2以下の水溶性有機溶剤を含むとともに、合成の際に前記水溶性有機溶剤を予め添加して得られたものであり、
前記水溶性有機溶剤が、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、及びジエチレングリコールの少なくともいずれかであり、
前記樹脂粒子の水分散液を80,000rpm、15時間遠心分離処理して沈降させたものを40℃で3時間乾燥させて得た試料について、以下に示す(1)〜(3)の昇温プログラムで加熱する熱重量分析を行って得た「A−B」の値が、「B−C」の値に対する比率で0.100倍以上であることを特徴とするクリアインク。
(1)室温から60℃まで10℃/分の速度で昇温し、60℃で30分間維持した後の成分の質量をAとする。
(2)60℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、200℃で30分間維持した後の成分の質量をBとする。
(3)200℃から600℃まで10℃/分の速度で昇温した後の成分の質量をCとする。 - 前記樹脂粒子を構成する樹脂の酸価が、110mgKOH/g以上170mgKOH/g以下である請求項1に記載のクリアインク。
- 前記樹脂粒子が、コアシェル構造を有する請求項1又は2に記載のクリアインク。
- 前記樹脂粒子が、ソープフリー法で合成されたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリアインク。
- 前記樹脂粒子が、シェルポリマーと、前記シェルポリマーの存在下でα,β−エチレン性不飽和疎水性単量体(b)を重合して形成されたコアポリマーとを備えたコアシェル構造を有し、
前記シェルポリマーが、α,β−エチレン性不飽和疎水性単量体(a)に由来するユニットと、α,β−エチレン性不飽和親水性単量体から選ばれる単量体に由来するユニットと、を少なくとも有する共重合体である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクリアインク。 - 前記水溶性有機溶剤が、25℃における蒸気圧が水よりも低いものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリアインク。
- 前記水溶性有機溶剤が、1,2−ヘキサンジオール及び2−ピロリドンの少なくとも一方である請求項6に記載のクリアインク。
- インクジェット用である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のクリアインク。
- クリアインクを記録媒体に付与するインクジェット記録方法であって、
前記クリアインクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリアインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。 - クリアインクと少なくとも1種の顔料インクとを用いるインクジェット記録方法であって、
前記顔料インクを用いて記録媒体に記録を行う工程(I)、及び、前記クリアインクを記録媒体に付与する工程(II)、を有し、
前記クリアインクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリアインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記記録媒体の少なくとも一部の領域において、前記工程(I)を行った後に、前記工程(II)を行う請求項10に記載のインクジェット記録方法。
- クリアインクと顔料インクとを有するインクセットであって、
前記クリアインクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリアインクであることを特徴とするインクセット。
Priority Applications (1)
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