JP5676371B2 - 物質の放射熱軽減塗料及び放射熱軽減方法 - Google Patents

物質の放射熱軽減塗料及び放射熱軽減方法 Download PDF

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Description

本発明は、物質の放射熱軽減塗料及び放射熱軽減方法に関するものである。
物質によっては、その温度を維持する必要のあるものがる。例えば、反応容器、貯蔵庫、送液管等である。温水を配管によって送る場合、何も処理しなければその途中で放熱し温度が下がる。これではエネルギーの無駄である。これを軽減するために、通常は配管に保温処理を行う。例えば、岩綿などの断熱材を周囲に固着する方法などである。
この方法は、熱を逃がす物体(上記例では配管)の表面温度を下げて、放熱量を下げるものである。なぜならば、放熱量は、周囲との温度差が大きくなれば大きくなる(約4乗)ためである。
しかし、この表面に保温材を貼付する方式はどうしても手間と費用がかかる。
そこで、簡易には、断熱効果を有する塗料を厚く塗布することも行われている。例えば、1〜2mmの厚みで塗布するのである。しかしながら、このような塗布方法では、放熱量はほとんど下がらないのである。
本発明者は、物質を保温すること、即ち物質から熱量が無駄に放出されることを軽減するには、物質の表面温度を下げるだけでなく、他の方法もあるという認識から本発明を完成したものである。
エネルギーの損失(放出)を軽減することが最終目的であるため、それが達成できれば、表面温度は基本的には無関係であるのである。
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明放射熱軽減塗料及び放射熱軽減方法を完成したものであり、その特徴とするところは、塗料にあっては、空気中の水分によって硬化反応するアルコキシシロキサンをビヒクルの主成分とし、金属粉末と溶剤を混合したものであって、該金属粉末の混合量は、該ビヒクル100容積部に対して金属粉末が10〜65容積部であり、該金属粉末は、アルミニウム粉末、銀粉末、クロム粉末、ニッケル粉末の中から選ばれる1又は複数のものである点にあり、軽減方法にあっては、上記放射熱軽減塗料を、被保護物に厚み5〜100μmの厚みで塗布する点にある。
ここで、アルコキシシロキサンとは、Si−O結合(シロキサン結合)を持ち、分子内にアルコキシ基を有するものである。空気中の水分によって硬化反応するもので、アルコキシシロキサン単体でも、それにアルコキシドを少量(3〜10重量%)混合したものでもよい。
分子末端がアルコキシシリル基で封鎖されたものはアルコキシオリゴマーであり、これが硬化するもの等でよい。
溶剤は、塗布剤の粘度調整のため加えるもので、硬化後には原則として残らないものである。溶剤としては、アルコキシシロキサンが溶解すればよく、アルコール系やケトン系等でよく、特別なものである必要はない。
混合量も塗布しやすさで決めればよく、自由である。通常は、アルコキシシロキサン100容積部に対して、溶剤が10〜50容積部程度である。
ここでいう金属粉末とは、アルミニウム粉末、銀粉末、クロム粉末、ニッケル粉末の中から選ばれる1又は複数のものである。これらに限定している理由は、シュテファン・ボルツマンの放射熱の公式のε(放射率)が非常に小さいもので、かつビヒクルに混合した場合でも、その効果を十分有しているものである。これは発明者が種々の実験で見出したものである。
アルコキシシロキサンと金属粉末の混合比率は、前者100容積部に対して、金属粉末が10〜65容積部(粉末のみの換算で)、好ましくは30〜50容積部である。容積で規定しているのは、表面の性質を問題としているため、重量ではなく、その体積で決まるためである。
金属粉末は、そのサイズとしては、0.5〜50μm程度のものである。粒度がある程度分散するため、中心サイズ(平均サイズ)がこの範囲ならよい。
この金属粉末が、ビヒクル100容積部に対して20容積部以上というように非常に多いことが本発明の特徴である。物体を保温する場合、通常は表面温度を下げようとするため、塗料で保温する場合、断熱塗料を塗布することとなる。断熱塗料は、熱の伝導が小さいことが前提であるため、塗料に金属を入れることはない。よって、保温のために塗布される塗料で、金属粉末入りのものはないのである。
現在、市販されている金属粉末入りの塗料は、当然断熱目的ではなく、他の目的のものである。例えば、表面保護、美観その他である。このようなものには、本発明のように多量に金属粉末を入れるものはない。
発明者の調査では、ビヒクル100容積部に対して5容積部以下のものしかなかった。
目的がまったく異なるため当然である。
さらに、本発明塗料には、沈降防止剤を加えてもよい。これは、金属粉末が沈降して下方に偏ることを防止するためである。これを加えないと、混合容器の底部に金属粉末が偏ることが多い。
沈降防止剤としては、どのようなものでもよい市販のものでよい。
放射熱軽減方法にあっては、上記放射熱軽減塗料を、被保護物に厚み5〜100μmの厚み(溶剤が揮発した後)で塗布するだけである。従来の断熱塗料のように、厚く塗布する必要はなく、費用がかかるだけでなく、100μm以上塗布するとかえって逆効果になる。5μm以下では効果が小さい。しかし、好ましくは7〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
被保護物に塗布する方法は、自由であり、刷毛やローラー等で通常の方法で塗布すればよい。スプレー方式でも可能である。
本発明塗布剤は、金属粉末が多量に含まれているため、熱伝導が大きく、これを塗布しても被塗布物の表面温度は下がらない。理由は明らかではないが、発明者の実験では、表面温度が上がったケースもあった。
次に本発明塗料が放射熱を軽減する理由について説明する。
通常は、物体を保温する(温度ができるだけ下がらないようにする)には、表面温度を下げ(断熱し)、放熱量を下げる。
これは、放熱量は、シュテファン・ボルツマンの式から、物体の表面温度の4乗と、大気(放熱する周囲環境の意味)温度の4乗との差に比例するためである。
E=k(T14−T24
T1 は、物体の表面温度、T2 は大気温
kは、種々の係数。
例えば、大気温が27℃(300K)の場合、物体の表面温度が127℃(400K)と、107℃(380K)とでは次ような差がある。
E1=σε×(4004−3004)=k×1.75×1010
E2=σε×(3804−3004)=k×1.28×1010
E1:表面温度が127℃の放熱量
E2:表面温度が107℃の放熱量
σ:定数(5.6697×10-8)
ε:放射率(表面の色や性質で決まる定数)
放射率(ε)とは、ある物体から外部に放出されるエネルギーと黒体でのそれとの割合である。ここでいう黒体は赤外線を受けたとき、まったく反射せず、すべてを吸収するものをいう。このようなものは、赤外線を放出するときにも完全に放出するので、その比をとるのである。
例えば、通常の塗料や油は0.98程度である。
上記の例では、1.28/1.75=0.73
よって、σとεが同じであれば、表面温度が20℃さがれば、放熱量は73%になる。
このように表面温度に依存するため、表面温度を下げようとするのである。
しかしながら、この上記の種々の係数の中に、ε(放射率)が含まれている。これは、熱を放射する物体の表面の色や性質で決まる数値であり、1以下の定数である。即ち、このεを小さくできれば、放射熱量はそれに比例して下がるのである。
従来、このように断熱せず(断熱を考慮せず)に放射熱量を下げるという考え方はまったくなかったため、本発明のような塗料は存在しなかった。
次に本発明で使用する金属粉のεの値について説明する。
例えば、アルミニウム粉末では0.16、磨いた面のアルミ板では0.06であった。しかし、ビヒクルに混合し、その表面のεは、ほぼ0.4〜0.55程度である。
また、一般の断熱塗料では、前記したとおり、0.95以上である。また、その色がシルバーであっても、0.6〜0.9である。
εは、色や表面状態で決まるため、塗布した塗料表面が汚れると値が変化する。前記した通り、油は0.98であるため、油で汚れると、どんどん1に近づくことになる。即ち、放射熱量がどんどん大きくなる。
このような油等の汚れは、通常の塗料に付着すると、非常に取れにくく、グラインダーのようなもので研磨しなければならないほどである。しかし、本発明塗料は、アルコキシシロキサンをビヒクルとしているため、表面がガラスのようになり、通常の塗料異なり、汚れが非常に簡単に落ちる。例えば、乾いたダスターでふき取るだけでほとんど除去できる。
このように汚れが簡単に除去できることが放射率を低く保つ大きな要素となるのである。
本発明塗料は、基本的にはどのようなものにも塗布することができる。容器や配管、壁面、床、その他どのようなものでもよい。その表面温度も、非常に高い(600℃以上等)場合は別であるが、自由である。
また、前記した容器その他に直接(さび止め等の塗料の上も含む)塗布してもよいが、断熱塗料を塗布した上に塗布してもよい。これは、断熱塗料により表面温度を下げ、その表面に塗布し、εを下げ放射熱量をより下げるのである。
このような断熱塗料はどのようなものでもよいが、空気中の水分によって硬化反応するアルコキシシロキサンをビヒクルとし、中空バルーンを混合した断熱塗料(下地材)が好適である。
ここで中空バルーンとは、ガラスやセラミックの中が空洞になったもので、そのサイズは、20μm〜500μm程度のものである。粒度分布もあるため、中心サイズが30〜120μmが好適である。
ビヒクルに対する混合割合は、ビヒクル100重量部に対して、20〜80重量部程度である。
この下地材の塗布厚みは、1〜5mm程度が好適である。勿論、より厚く何層にも塗布してもよいが、あまり厚く塗布するのでは、岩綿等を貼った方が簡単、安価になるため意味はない。
さらに、本発明の塗料を塗布する場所は、通常は放熱する物体の表面に塗布するのであるが、吸熱する表面に塗布してもよい。吸熱を軽減してその結果として放熱を軽減するのである。例えば、容器の内部に熱源がある場合、その熱源から放熱して容器の内面から容器に熱が吸収され、その熱が容器の外表面から大気に放出される。この時の容器への吸収を軽減するのである。
前記したシュテファン・ボルツマンの式は、放熱だけでなく吸収にも当てはまるもので、放射率が小さいと、吸収も小さくなるのである。よって、容器の内部に塗布することに大きな意味があるのである。さらに、内部と外表面の両方に塗布してもよい。このように保温の目的で、断熱効果を期待しないものを容器の内側に塗布するということは従来まったく考えられないことであった。
本発明の放射熱軽減塗料には次のような効果がある。
(1) 薄く塗布するだけで、εが小さくなるため放射熱量が小さくなる。よって、保温効果があり、エネルギーの軽減につながる。
(2) アルコキシシロキサンをビヒクルとしているため、汚れが簡単に落ちる。そのため、放射率を低く保つことができる。
(3) 薄く塗布するだけであるため、簡単で安価である。
(4) 中空バルーンを含む下地材を塗布した後、本発明塗料を塗布すると非常に大きな効果がある。
金属粉末の混合量と放射率の相関関係を示すグラフである。
以下実施例に従って本発明をより詳細に説明する。
実施例1
本発明塗料を調整した。市販されているシリコーンアルコキシオリゴマー(アルコキシシロキサン)(商品名:X−40−9250、ジメチルシリコーンオイルとメチルトリメトキシシランオリゴマーのブロックポリマー)100容積部に、アルミニウム粉末を14.9容積部混合して攪拌した。
このアルミニウム粉末は、粒度として中心サイズが約15μm(径)でほぼ正規分布しているものであり、ターペンやキシレンと混合されて扱いやすくなったものを使用した。ターペン等は揮発性であり、塗布後揮発して消滅するものである。通常アルミ粉末100重量部に対して、30〜70重量部程度混合されている。本出願でいう金属粉末の量は、このターペン等を含まない量であることは当然である。
これに溶剤(イソプロピルアルコール)を20容積部加えた。
これを攪拌して塗料の実施例1とした。
実施例1と同様であるが、アルミニウム粉末の混合量を22.3容量部にしたものを実施例2、29.7容積部にしたものを実施例3、37.2容積部にしたものを実施例4、44.6容積部にしたものを実施例5、52.0容量部にしたものを実施例6とした。
また、実施例3と同じものを、金属を銀に替えて作成した。これを実施例7とした。粉末の大きさもアルミニウムとほぼ同じである。
さらに、金属粉末として、前記実施例より細かいものを用いて実施例を作成した。このアルミニウム粉末は、粒度として中心サイズが約8μm(径)でほぼ正規分布したものを用いた。アルミニウムの混合量を変えて実施例8〜実施例12とした。アルミニウム以外については実施例1と同様である。
比較例1
比較例として、上記の実施例1のアルミニウム粉末の量を7.2容積部にしたものを比較例1とし、同様に8.5容積部のものを比較例2とした。
また、一般のシルバー塗料として、中外商工社製シルバーを用いた。これは、ビヒクルはウレタン樹脂で、アルミ粉末の混合量は10容積部である。これを比較例3とした。
さらに、実施例1と同様で、アルミニウムの量を70容量部としたものを比較例4とした。
これらの塗料を、磨き鋼板(150×150×2mm)に厚み15μmで塗布した。200℃のヒーター上に載置した。
これの熱電対の表面温度と、サーモメーターによる測定温度を比較した。
この測定の原理について説明する。
放射熱量は基本的には、表面から放出される赤外線量と考えられる。サーモメーターはその赤外線量を測定して逆に表面温度を求めるものである。しかし、前記したとおり、放出熱量は表面温度と放射率の関数であるため、放射率がわからない限りサーモメーターから表面温度は求められない。よって、サーモメーターは擬似黒体を用いて補正されているのである。黒体を用いて補正されているため、放射率がそれより小さい表面を測定した場合、当然実際より低い温度として測定されることとなる。例えば、実際の表面温度が200℃でも、放射率が0.64の場合、サーモメーターでは160℃と表示される。
今回のようなものでなく、通常人の体温等をサーモメーターで測定する場合には、黒体で補正するのではなく、測定する表面(人の皮膚)を一度熱電対で測定して補正するのである。即ち、その表面の放射率を基準にするためである。
今回は、黒体で補正しているため、当然サーモメーターは低い温度を示す。そのサーモメーターの表示温度と、同じ表面の熱電対の表示温度とのおおよその比が放射率になるのである。
実施例と比較例をヒーター上において、その熱電対と黒体で補正したサーモメーターでその表面温度を比較した。その結果を表1に示す。
放射熱損量は、シュテファン・ボルツマンの式から計算した値である。このときの室温は28℃であった。
Figure 0005676371
表1から、熱電対による表面温度と、サーモメーターによる表面温度に大きな差がでている。これが表面の放射率によるものである。放射率の小さなものでは放射熱量が小さくなる。実施例では、放射率は0.03〜0.39である。比較例1〜3では、0.49〜0.70である。この差は大きく、同じ温度に燃料を使用して維持するとすれば、相当の燃料費の差が生じる。
また、比較例4は金属粉末が多く、平滑に塗布することが困難であった。
本発明では金属粉末の混合量がポイントと思われるため、金属粉末の混合量と放射率の相関関係を調べた。図1は、そのグラフである。横軸が金属粉末の混合量(容量%)で縦軸が放射率である。図1の数値は、表1の実施例8〜実施例12のものを使用した。ビヒクル100容積部に対するアルミニウム粉末の混合量が増加すれば放射率は減少するが、0.10程度の値が限界のようである。
次に、汚れについて説明する。
表1の実施例4と、比較例3に、油(潤滑油)を刷毛で薄く塗布して、乾かした後と、それを乾燥したダスターで簡単にふき取った後の表面温度をサーモメーターで測定した。それぞれ実施例13と比較例5とした。
その結果を表2に示す。汚染前には、大きな差があることは前記表1からも明らかである。汚染後は、実施例13であっても0.77と非常に悪くなっている。しかし、簡単な拭き取り後に、本実施例13では劇的に回復しているのに対して、比較例5ではほとんど変わらない。即ち、汚れが落ちないのである。
Figure 0005676371
本発明の他の実施例でも、簡単にほとんどの油が除去できた。工場等では、種々の油が空中に存在しており、短期間(数日)で表面が汚染される。
従来のシルバー系の塗料では、この汚れを除去することが非常に難しく、グラインダーで研磨して塗料を再度塗布するしか方法はなかった。このようなことを数日に1回行なうことはできない。実際にしていなかった。というよりも、表面が汚染されても、表面温度が変わらなければ、熱がより多く逃げているという認識がなかったのである。
本発明では、このような汚染物が簡単に拭き取れるため、例えば、数日に1回又は1週間に1回、乾いた(濡れていればより効果は大きい)ダスターで拭くだけであり、簡単な作業である。
さらに、空気中の水分によって硬化反応するアルコキシシロキサンをビヒクルとし、中空バルーンを混合した断熱塗料を下地材として塗布した上に、本発明実施例3の塗料を塗布した。
この下地材は、ビヒクル100重量部に中空バルーン40重量部を混合したものであり、バルーンのサイズは中心サイズが60μmで略正規分布するような粒度分布を持ったものである。
この下地材を2mmの厚みで塗布した。そして表2と同様の試験を行なった。その結果を表3に示す。断熱塗料を塗布しているため、表面温度が実施例4より、21℃下がっている。よって、その分だけ放射熱損量は下がり汚染後の拭き取り等は表2と同様である。
この放射熱損量397.2W/m2というのは、何も下地材を塗布せず、従来のシルバー等の塗料を塗布した比較例3の1184.6W/m2と比較すると相当の差が出ていることは明らかである。
よって、この中空バルーンを含有する下地材との組み合わせがより大きな効果を生じるものである。
Figure 0005676371
本塗料を、容器の内側に塗布する方式について実験した。容器の中に電気ヒーターを入れたもので行った。ヒーターは最大出力560Wで、容器は内部が20cm×20cm×20cmである。温度センサーは下方のヒーターから5cm上方の側壁に固定した(センサー部は空中にあり、空気温を測定する)。このセンサーを140℃に設定し、それを維持するように自動制御した。
このときの表面温度、サーモメーターによる表面温度を測定し、それから放射率、その他を計算した。実施例として、表1の実施例12の塗料を外側にのみ塗布したものを実施例15とし、内側のみに塗布したものを実施例16、両方に塗布したものを実施例17とした。また、塗布しないものを比較例6とした。
この結果を表4に示す。実施例15では、容器の上部表面の温度は内部で設定した140℃より高い温度になった。これは、容器内部での空気の対流のためと考えられる。この温度は比較例6とほとんど変わらなかった。これは本発明塗料が断熱を目的にしないため当然といえば当然である。しかし、放熱による熱損失は、比較例6と比べると非常に大きく軽減されている。これは前記した実施例と同じである。また、実施例16は、内面のみに塗布したものであるが、この場合、最外表面の温度が120℃と大きく下がっている。これは内部でのヒーターから容器への熱の吸収が大きく軽減されたためと考えられる。よって、最表面の放射率は変わらなくても、表面温度が低いため熱損失量は大きく軽減されている。
Figure 0005676371
実施例17は、内側と外側の両方に塗布した例である。表面の温度が実施例16より高くなった理由は不明である。しかし、放熱による熱損失は、実施例16と比較しても大きく軽減されている。

Claims (5)

  1. 空気中の水分によって硬化反応するアルコキシシロキサンをビヒクルの主成分とし、金属粉末と溶剤を混合したものであって、該金属粉末の混合量は、該ビヒクル100容積部に対して金属粉末が30〜50容積部であり、該金属粉末は、アルミニウム粉末、銀粉末、クロム粉末、ニッケル粉末の中から選ばれる1又は複数のものであり、さらに沈降防止剤を混合したことを特徴とする放射熱軽減塗料。
  2. 請求項1記載の放射熱軽減塗料を、被保護物に厚み5〜100μmの厚みで塗布することを特徴とする放射熱軽減方法。
  3. 下地として、空気中の水分によって硬化反応するアルコキシシロキサンをビヒクルとし、中空バルーンを混合した下地材を塗布しておくものである請求項2記載の放射熱軽減法。
  4. 被保護物が内部に空間を有する容器の場合、その容器の内側に塗布するものである請求項2又は3記載の放射熱軽減法。
  5. 被保護物が内部に空間を有する容器の場合、その容器の内側と外側の両方に塗布するものである請求項3又は4記載の放射熱軽減法。
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