JP5675244B2 - 塩化ビニル系プラスチゾル組成物及び架橋方法 - Google Patents

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本発明は、自動車鋼板接合部に防錆・防水目的で塗布されるシーリング材、床裏(下)・ホイールハウス等の車体保護目的で塗布されるアンダーコート材及びロッカーパネル、ドア下部・フェンダー等に塗布される耐チッピング材を構成する組成物に関する。
従来、この種の組成物として使用されているプラスチゾル組成物は、塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂を主体として構成されるものがある。これらは、いずれも加熱することにより可塑剤を取り込んでゲル化して塗膜物性が発現される。
従って、前記樹脂を塗布して湿潤(ウェット)状態で放置した場合、或いは、焼き付け後に放置する場合のいずれでも吸湿してしまい、その上から塗料等を塗布して焼き付けを行うと、発泡乃至これに起因する亀裂が生じる。これは、外観品質上の不具合や程度によっては漏水の原因となる。
焼き付け時及び焼き付け後に水分を放出させないために、水分を捕捉することを目的として酸化カルシウムを樹脂に添加する方法があるが、酸化カルシウムの吸湿量を超えてしまうと吸湿効果が得られないという問題がある。
また、焼き付け時間を短縮するために短い時間で昇温させると、上記の不具合等が顕著になるという問題がある。
また、塩化ビニル樹脂や酢酸ビニルを共重合した樹脂の場合は、通常、重合度が800〜2000程度のものを使用するために、加熱時に約70℃程度からゲル化が開始するが、ゲル化が開始すると稠密性が高まり水抜けが悪くなるという問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献1に提案がなされている。同文献では、水酸基含有架橋型塩化ビニル系樹脂に、活性アミノ基を含有するポリアミドと、ブロックイソシアネートとを含有させて、塩化ビニル系樹脂とイソシアネートとを架橋反応させるものである。
しかしながら、同文献に示された発明では、水酸基を有する塩化ビニル樹脂とイソシアネートでは反応開始温度が高く、また、ポリアミドと混合可能なブロックイソシアネートについても同様な傾向である為、水分気化する100℃前後での体積膨張を抑え込む物性が不十分であること、仮焼き後であっても焼付温度を120℃以上としても焼き付けが不十分であるため体積膨張を抑え込む物性が不十分である。
特開平10−152592号公報
そこで、本願発明は、湿潤状態で放置後の焼き付けや焼き付け後の吸湿による不具合のない塩化ビニル系プラスチゾル組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等は、下記の通り解決手段をみいだした。
即ち、本願の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、請求項1に記載の通り、重合度が2300〜3000の塩化ビニル樹脂100質量部に対して、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー40〜60質量部、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを架橋させるための潜在性硬化剤8〜20質量部を含有し、かつ前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーおよび前記潜在性硬化剤が100℃以下で反応を開始するものであることを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物において、前記潜在性硬化剤は、ポリアミン系、芳香族アミン系及びヒドラジド系の少なくとも何れかであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物において、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーとして、脂肪族系骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー10〜20質量部を含有することを特徴とする。
また、本発明の架橋方法は、請求項4に記載の通り、請求項1乃至3の何れか1項に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の架橋方法であって、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーと前記潜在性硬化剤とを100℃以下で反応を開始させることを特徴とする。
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物によれば、伸び性よりも水分の気化性能を優先して、ゲル化の速度が遅くなる重合度の比較的高い塩化ビニル樹脂と、加熱時に膨れの原因となる塗膜内部の水分をウレタンの網目構造により抑えることができるようにブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー及び潜在性硬化剤との組み合わせを採用することにより、水分を吸収した状態で焼き付けのために急激に昇温させても、膜表面側のゲル化速度が遅い塩化ビニル樹脂から水分が抜けやすく、内部に残存した水分は網目状構造のウレタンにより膨張を抑えることが可能となる。従って、夏季等の湿度の高い状況下において、塗布後の硬化前の放置したことに伴う吸湿による膨れが抑えられる一方で、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー及び潜在性硬化剤の伸び性により、抑えられた塩化ビニル樹脂の伸びを補足して、従来と同様の伸び性等の物性を有する塗膜を提供することが可能となる。
実施例の説明をするための表
本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、重合度が2300〜3000の塩化ビニル樹脂100質量部に対して、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー40〜60質量部、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを架橋させるための潜在性硬化剤8〜20質量部を含有する。
重合度が2300未満であるとゲル化する速度が速くなるためゾル内に水分が残りやすく、3000を超えるとゲル化速度が遅くなるため塩化ビニル樹脂としての膜性能が発現しないからである。
また、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーが40質量部を下回ると、伸び性に劣る塩化ビニル樹脂の伸び性を補うのが不充分となり、60質量部を超えると粘稠性が高まるため塗布作業性を著しく悪くなるとともに貯蔵時の粘稠性が悪くなる。また、潜在性硬化剤が8質量部を下回ると、ブロックイソシアネートの架橋反応が不完全となり、水分を押さえ込むためのウレタンの網目構造の形成が不十分となり加熱硬化時の膨れの原因となる。また、潜在性硬化剤が20質量部を超えると貯蔵安定性に悪影響を及ぼすからである。
上記の構成により、本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、塗布後硬化前においては、伸び性や抗張力の特性が塗料として比較的劣る重合度2300〜3000の塩化ビニル樹脂を使用することにより、ゲル化を遅めて昇温(焼き付け等)時の激しく水分が気化する前(100℃になる前)に徐々に水分を抜くことが可能となる。一方、塗膜内に残存してしまった水分は網目状構造のウレタンにより膨張を抑えられる。更に、この構造により補強された塗膜となる。
また、本発明の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の架橋方法は、100℃以下で反応を開始させるものである。通常の塩化ビニル系樹脂は熱可塑性であるため、熱間時物性が低下するものであるが、本発明では、上記説明した架橋をさせることにより高い熱間時物性で水分が気化する際の体積の膨張を抑えることができる。尚、反応開始温度の下限値は100℃以下、好ましくは90℃とする。これは、一方では、ゾルの安定性の維持し、他方では、水の沸点は100℃であり、水分気化による体積膨張が100℃で急激に起こる吸湿による不具合対策を両立させるためである。
塩化ビニル系樹脂としては、(1)塩化ビニル単独又は塩化ビニルと共重合可能なコモノマーとを乳化剤及び水溶性重合開始剤の存在下で乳化重合して製造される塩化ビニルペーストレジン;或いは(2)分散剤及び油溶性重合開始剤の存在下、塩化ビニル単独又は塩化ビニルと共重合可能なコモノマーとを機械的に微分散した後重合を行う微細懸濁重合法によって製造されるものが挙げられる。尚、これら以外にも、通常の懸濁重合によって製造された、粒径の比較的大きな塩化ビニル系樹脂を併用しても差し支えない。上記共重合可能なコモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;ジブチルマレエート、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類;ジブチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマール酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;エチレン、プロピレン、スチレン等のα-オレフィン類;塩化ビニリデン若しくは臭化ビニル等のハロゲン化ビニリデン若しくは他のハロゲン化ビニル等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を、30質量%以下、好ましくは20%以下で共重合させることができる。
上記塩化ビニル単独又は塩化ビニルと共重合可能なコモノマーを重合させたものとして、重合度は2300〜3000とする。
ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート、及びポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のα-ポリオールを反応させて得られるポリウレタンの残存イソシアネートをブロック剤にてブロックしたものである。
前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーは、以下の手順に従って製造することができる。
先ず、ポリオールと過剰のポリイソシアネート化合物を反応させ、末端NCO含有ウレタンプレポリマーを得る。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール(PPG)、ポリエーテルポリオール変性体、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリエーテルポリオール;縮合ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールを含むポリエステルポリオール;ポリブタジエン系ポリオール;ポリオレフィン系ポリオール;ポリエーテルポリオールの中でアクリロニトリル単独又はアクリロニトリルとスチレン、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び酢酸ビニルの群から選ばれる少なくも1種との混合モノマーを重合乃至グラフト重合させたポリマーポリオール等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物のなかで脂肪族系骨格構造を有するものとして、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロへキサン、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ω,ω単位-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン等を使用することができる。
芳香族系骨格構造を有するものとして、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDI、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、4,4′-トルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート等を使用することができる。
次に、末端NCO含有ウレタンプレポリマーを適当なブロック剤と反応させて遊離のNCOをブロック化することにより、目的のブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを得る。
上記ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコールなどの1価アルコール又はこれらの異性体;フェノール、クレゾール、キシロール、p-ニトロフェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類;マロン酸メチル、マロン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン化合物;アセトアミド、アクリルアミド、アセトアニリドなどの酸アミド類;コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどの酸イミド類;2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;2-ピロリドン、ε-カプロラクタムなどのラクタム類;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトアルドキシムなどのケトン又はアルデヒドのオキシム類;メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール等のグリコール誘導体;ジシクロへキシルアミン等のアミン化合物、その他エチレンイミン、重亜硫酸塩、ピラゾール等が挙げられる。尚、膨れを抑制するためのブロック剤の解離温度として100℃以下好ましくは90℃程度が最適である。
また、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーは、架橋するため組成物全体に伸びる性能を付与するために、脂肪族系骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを含有させることが好ましい。この場合芳香族系骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー30〜50質量部と、脂肪族系骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー10〜20質量部とから構成することが好ましい。吸湿性を高めることができるからである。
尚、本発明の組成物の塗布条件や硬化条件については、特に制限するものではないが、一例を挙げるとすると、塗布条件は、膜厚0.5mm〜3.0mm程度で、常温〜40℃程度で塗布を行うことができる。
潜在性硬化剤としては、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーのイソシアネートと架橋反応するものであれば特に制限するものではないが、例えば、ポリアミン系、芳香族アミン系及びヒドラジド系(これらの変性物を含む)等の少なくとも何れかを使用することができ、常温不活性であるが、特に加温により活性しイソシアネートと反応するものであれば何れも使用できる。
ポリアミン系及び芳香族アミン系の潜在性硬化剤としては、脂肪族、環状構造もしくは芳香族ポリアミンから1種又は2種以上とエポキシ化合物の付加反応物にフェノール化合物及び/またはポリカルボン酸化合物を反応させてアミノ基をマスクして不活性化したもの等が挙げられる。
また、ヒドラジン系の潜在性硬化剤としては、ADH(アジピン酸系ヒドラジド)、DDH(ドデカン二酸ジヒドラジド)、SDH(セバチン酸ジヒドラジド)等が挙げられる。
尚、シーリング材やアンダーコート材で一般的に密着成分として使用されるポリアミドアミン又は液状アミン等は、常温でブロック剤の解離を促進させる。これに伴い反応による増粘で作業性を低下させる傾向にあることから、加温により活性する潜在性硬化剤を使用することが必須となる。
尚、上述した必須成分に加えて、必要に応じて、可塑剤や充填材等を含有させることができる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバチン酸エステル系可塑剤等、公知の可塑剤を使用することができる。例えば、フタル酸エステル系可塑剤としては、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート(DHP)、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジノニルフタレート(DNP)等、リン酸エステル系可塑剤としては、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシリレンホスフェート(TXP)等、アジピン酸エステル系可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)等、セバチン酸エステル系可塑剤としては、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート(DOS)などが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができるが、特にフタル酸系可塑剤が好ましい。
可塑剤は、粘度調整で変量させることができるため、特に量を規定するものではないが、少なすぎると伸びが低下し、多量すぎれば塗料密着性に影響を及ぼすことがある。通常は、添加すべき可塑剤の基本量に対して±20%程度で調整する。
充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、珪藻土、シリカ、タルク等の無機充填剤が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を使用することができる。また、必要に応じて、ガラスバルーン、樹脂バルーン等の中空粒子を配合することもできる。
下記の原料を表1に示す通りに配合して実施例1〜9及び比較例1〜7を調製し、同表に評価結果を示す。
[原料]
1.塩化ビニル樹脂
(1)重合度2300の塩化ビニル樹脂(東ソー製 R-761)
(2)重合度3000の塩化ビニル樹脂(VITEC社製 90BX)
(3)重合度4000の塩化ビニル樹脂(鐘淵化学社製 PSH-983)
2.ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー
(1)芳香族系骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー(三井化学社製 XB-70-T2633)
(2)脂環式骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー(ADEKA社製 QR9412)
3.上記2のブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを架橋させるための潜在性硬化剤
(1)ポリアミン系の潜在性硬化剤(ADEKA社製 アデカハードナー EH-3731S)
4.充填剤
(1)炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社)
5.可塑剤
(1)DINP:ジイソノニルフタレート(株式会社J・プラス社製)
6.その他
(1)安定剤:酸化亜鉛(正同化学工業社製 酸化亜鉛2種)
表1の評価方法及び評価結果は以下の通りである。
A.低温密着性
[評価方法]
電着塗装板上に各例の組成物を厚さ3mmになるように塗布した後、100℃の恒温槽に静置し、材料温度が100℃に達してから4分間保持して硬化させた後、爪剥離して凝集破壊を確認し、剥離しなかったものを○として評価した。
[評価結果]
実施例1〜9及び比較例1〜7の全てにおいて剥離はなかった。
B.貯蔵安定性
[評価方法]
各例をそれぞれ500ml用意し、35℃で10日保管後の粘度変化率(%)を測定した。
[評価結果]
実施例1〜9は粘度変化率30%以下であったが、比較例2,3,5は粘度変化率30%を超えていた。
比較例2,3,5はブロックイソシアネート含有ウレタンポリマーの含有量が60質量部超え又は潜在性硬化剤の含有量が20質量部超えであり貯蔵時に何らかの反応が生じて粘度変化率30%を超えたと考えられる。
C.熱時物性
[評価方法]
試験温度条件を20℃と100℃で下記Dの評価を行った。
焼き付け条件としては、各例を電着塗装板に挟み込んだものを試験片とし、100℃の恒温槽に静置し、試験片の温度が100℃に達してから4分間保持するものとした。
100℃の試験においては、硬化させた各試料の温度が100℃に達した後に破壊状態と強度(MPa)を確認した。
[評価結果]
比較例1,4,6は雰囲気温度100℃で0.3MPa未満において凝集破壊が生じた。比較例1はブロックイソシアネート含有ウレタンポリマーの含有量が30質量部未満、比較例4は潜在性硬化剤の含有量が8質量部未満であり、十分な強度を維持するためのウレタン構造が不足していたためである。比較例6は塩化ビニル樹脂の重合度が3000を超えており、ゲル化が不充分となり塩化ビニル樹脂としての塗膜機能を発現しなかったためである。
D.せん断密着性
[評価方法]
JISK6850(1999)に基づいて行った。具体的には、電着塗装を施した25mm幅の鋼板端部に各例を塗布した後、140℃×30分間焼き付けを行った。各例の塗布体積が25mm×25mm、厚さ3mmになるように2枚の鋼板を貼り合わせて試験片とし、スペーサで試験片の両端を同じ厚さにした後で、各鋼板が平行となるように保った状態で、端部を互いに反対方向に速度50mm/minで引っ張った後の各例の破壊状態及び強度を確認した。
[評価結果]
実施例1〜9及び比較例1〜7の全てが1.2MPa以下では破壊が生じていなかった。
E.伸び
[評価方法]
各例を10cm×10cmの離型紙で覆った鋼板に塗布した後、140℃で60分焼き付けを行って2mm厚のシートとし、2号ダンベル片形状に打ち抜き、引張り速度50mm/minで引っ張り、破断時の伸び率(%)を算出した。
[評価結果]
実施例1〜9の全てが150%以上の伸びを有していた。これに対して、比較例1,4,6は150%以上の伸びを有していなかった。比較例1はブロックイソシアネート含有ウレタンポリマーの含有量が40質量部未満であり、比較例4は潜在性硬化剤の含有量が8質量部未満であり、いずれもウレタン構造による伸び性が十分に得られなかったためである。比較例6は塩化ビニル樹脂の重合度が3000を超えたものであったために塩化ビニル樹脂として伸び性が十分発揮できなかったためである。
また、実施例4及び5、並びに、実施例8及び9は、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーとして脂肪族系骨格構造のものを含有するもの(実施例5、9)と、そうでないものと(実施例4、8)であるが、脂肪族系骨格構造を塩化ビニル樹脂100質量部に対して10〜20質量部含有するもの(実施例5、9)の方が、そうではないもの(実施例4、8)に対して伸びを有することがわかった。
F.抗張力
[評価方法]
各例を10cm×10cmの離型紙で覆った鋼板に塗布した後、140℃で60分焼き付けを行って2mm厚のシートとし、2号ダンベル片形状に打ち抜き、引張り速度50mm/minで引っ張り、破断時の伸び率を算出した。冷却後、島津社製 AGSを用いて50mm/minの速度で引張り破断時の強度を測定した。本強度と破断部位の断面積から抗張力を算出した。
[評価結果]
実施例1〜9及び比較例1〜7の全てが0.8MPa以上の抗張力を有していた。
G.吸湿膨れ性
[評価方法]
各例を電着塗装鋼板の上にウェットで1mm厚になるよう塗布した後、30℃×80%湿度条件下で10日間放置後取り出し、140℃×20分間焼き付けを行い、吸湿による異常発泡の有無を確認した。また、25℃×90%湿度条件下で同様に吸湿による異常発泡の有無を確認した。尚、表1中の評価は、「○」は「異常なし」、「×」は「ふくれが発生」である。
[評価結果]
実施例1〜9の全てが吸湿膨れはなかった。これに対して、比較例1,3はブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーの含有量が40〜60質量部の範囲外であったため、また、比較例7は、塩化ビニル樹脂の重合度が2300以下であったため、25℃90%湿度条件下で吸湿膨れが確認された。
また、比較例4では、30℃80%湿度条件下及び25℃90%湿度条件下の両方で吸湿膨れが確認された。潜在性硬化剤の含有量が8質量部未満のためである。
以上のことから、本実施例の塩化ビニル系プラスチゾル組成物により形成される塗膜は、低温密着性、貯蔵安定性、熱時物性、せん断密着性、伸び、抗張力及び吸湿膨れ性のいずれもが優れていることがわかる。

Claims (4)

  1. 重合度が2300〜3000の塩化ビニル樹脂100質量部に対して、ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー40〜60質量部、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーを架橋させるための潜在性硬化剤8〜20質量部を含有し、かつ前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーおよび前記潜在性硬化剤が100℃以下で反応を開始するものであることを特徴とする塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  2. 前記潜在性硬化剤は、ポリアミン系、芳香族アミン系及びヒドラジド系の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  3. 前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーとして、脂肪族系骨格構造を有するブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマー10〜20質量部を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の架橋方法であって、前記ブロックイソシアネート含有ウレタンプレポリマーと前記潜在性硬化剤とを100℃以下で反応を開始させることを特徴とする架橋方法。
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