JP5675147B2 - 導電性エンドレスベルト - Google Patents

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本発明は導電性エンドレスベルト(以下、単に「ベルト」とも称する)に関し、詳しくは、複写機やプリンター等の電子写真装置や静電記録装置等において、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等として用いられる導電性エンドレスベルトに関する。
従来から、複写機、プリンター等の画像形成装置における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
このような静電記録プロセスにおいて、トナー像を紙等の記録媒体へと転写する際には、トナー像を一旦自己の表面に保持して転写するため(中間転写方式)、または、記録媒体を感光体まで搬送してトナー像を直接転写させるために(転写搬送方式)、半導電性の樹脂フィルムまたは繊維補強体を有するゴムからなる無端状の転写ベルトが用いられている。かかる転写ベルトは、通常、駆動プーリ等の駆動部材を介して循環駆動されて、転写プロセスに供される。
この際、ベルトと駆動部材との間の幅方向のずれを防止して、走行時におけるベルトの蛇行や脱落を防止する目的で、ベルト本体の内周側の駆動部材と接触する面上に、駆動部材と嵌合可能な形状を有するガイド部材を設けることが行われている。このガイド部材は、通常、帯状に形成されて、ベルトの片端部ないし両端部に、ベルト周方向に沿って接着剤等を介して配置される。ガイド部材を設けることで、ベルトの蛇行による画像の色ずれ防止が図られるとともに、ベルト基材に対する端部補強の効果も得られるものである。
ところで、かかるベルトにおいては、駆動部材に張架された部分の周縁部に張力が集中しやすいために、繰り返し回転駆動により、この周縁部から割れやクラックが発生、進行して、やがて破断に至ってしまうという問題があった。特に、ガイド部材を設けた場合には、ガイド部材をベルト周方向に接着加工する際に、その突合せ部の一端と他端との間に僅かな隙間が発生することが避けられないため、この突合せ部において、特に張力の集中や局部折れが発生しやすいという問題が生じていた。
この突合せ部の隙間については、隙間がまったくなく突合せ部がぴったりであるとベルトが駆動ローラ等にかかった時にガイド部材同士が折れ曲がって干渉して、ベルトに悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、突合せ部の隙間は多少空いていたほうがよいが、ガイド部材自体が幅1mm程度で軟らかく、また、570mm程度の長さがあるので、この隙間の精度を取ることが非常に難しかった。
また、ガイド部材の突合せ部における隙間に発生する局部変形を防止する目的で、例えば、突合せ部の一端の形状を斜めに切断し、他端も位相を逆にして斜め切断して双方を突き合わせたり、突合せ部の両端を曲面または互いに係合する凹凸状にして組み合わせて両端間を接着加工する等、これまでに種々の改良手段が提案されてきている(特許文献1の図4参照)。また、突合せ部の空間を樹脂成分またはゴム系のセメントで埋めて、隙間をなくすことで応力の集中を防止する方法や、ベルトの端部外周または内周、若しくは内・外周、例えば、ベルト内周面に設けたガイド部材の直下などに、補強テープを貼る方法も提案されている(特許文献1の図1,特許文献2等)。さらに、ベルト回転時に張力がかかりやすいのはベルト端部であるため、ベルト製造時にベルト両端部の外径をベルト中央部よりもやや大きく成形して、張架の際にベルト両端部に加わる応力を小さくする構造とする技術も知られており、例えば、特許文献3には、リブガイドの直径を駆動ロールの外径よりも大きくして、ベルト端部の径をベルト中央部より大きくすることで、ロールとの接触をなくし、歪を低減しようとする技術が開示されている。
特開平11−219046号公報((特許第3649270号公報)図4等) 特開2004−325782号公報((特許第4266693号公報)等) 特開2004−46199号公報((特許第3489585号公報)特許請求の範囲,[0053],[0054]等)
しかしながら、従来の技術では、ベルト周縁部からの割れやクラック発生の問題を十分に解決できるものではなく、さらなる改良技術が求められていた。また、ガイド部材を有するベルトの突合せ部における局部折れの問題に対しても、上述のように種々の技術が提案されてきているが、いずれも十分なものではなかった。例えば、突合せ部形状を改良する方法については、ガイド部材の加工コストが高いことに加え、ベルトの周長さに対して伸縮性のあるガイド部材の長さを規定範囲に合わせることが極めて難しく、個々に長さ調整をして加工をしなければならない欠点があった。また、突合せ部の隙間をセメント等で埋める技術については、セメント等が硬化するまでに時間を要することから生産性に劣るという難点があった。
さらに、補強テープを用いる技術については、ガイド部材の突合せ部の反対側(ベルト表面)の局所的ないし、ガイド部材が貼られているベルト内周面に対して反対側(ベルト表面)の全周にわたり補強テープを貼るため、補強テープをベルト周方向に蛇行なくかつ確実に貼り付けることが難しく、貼り付け精度が確保しにくいことや、部材が増えること、貼り付けの手間がかかるため生産性が悪いことに加えて、コスト面での問題もあり、また、レーザープリンタに組み込まれたベルトが長時間使われた後においても補強テープがベルト面から剥がれないための品質保証ができないという接着力の点でも、問題を有するものであった。さらにまた、特許文献3のようにベルト端部の径を中央部より大きくする技術については、ベルト端部と駆動部材とが完全に離れてしまうことから、駆動時にベルト端部がばたばたと動いてしまい、振動による印刷ムラ等の問題が発生するおそれがあった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、過剰な張力集中や局部折れに起因するベルト周縁部からの割れやクラックの発生をより効果的に抑制することができ、特には、ガイド部材を設けた場合においても、その突合せ部におけるベルト変形や亀裂の発生を抑制することができる導電性エンドレスベルトを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、ベルト周縁部を拡張加工により波型に形成することで、ベルト周縁部における過剰な張力集中や局部折れの発生を抑制する効果が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は画像形成装置に用いられる無端ベルト状の導電性エンドレスベルトにおいて、
ベルトの少なくとも一方の周縁部に、波形形状に拡張加工が施されて、該周縁部の周長が拡張されており、かつ、周方向にわたり一定のベルト幅を有することを特徴とするものである。
本発明のベルトにおいて、前記波形加工は、圧着ローラを押し当てて、連続して加圧回転させることにより加工する方法、円錐形の治具を用いて展造加工する方法、および、へら絞り加工に準じた加工方法のうちのいずれかにより施されているものとすることができる。また、本発明のベルトは、特には、無端ベルト状のベルト本体と、該ベルト本体の内周面上に走行方向に沿って設けられ、両端部が隙間をもって突合せられた少なくとも1本のガイド部材と、を備え、該ガイド部材よりベルト幅方向外側に、前記波形加工が施されているものである。この場合、前記ガイド部材は、前記ベルト本体のベルト幅方向両端部に設けられているものであってもよい。さらに、前記ガイド部材の突合せ部の間隔は、好適には1〜3mmの範囲内である。
また、本発明においては、前記周縁部の周長の拡張率が、1.0〜5.0%の範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、過剰な張力集中や局部折れに起因するベルト周縁部からの割れやクラックの発生をより効果的に抑制することができ、特には、ガイド部材を設けた場合においても、その突合せ部におけるベルト変形や亀裂の発生を抑制することができる導電性エンドレスベルトを実現することが可能となった。
本発明の一実施の形態に係る導電性エンドレスベルトの斜視図である。 ガイド部材の突合せ部近傍を示す拡大図である。 (a)〜(c)は、ベルト本体の周縁部の波型加工の方法を示す説明図である。 実施例における走行耐久性能の評価方法を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の導電性エンドレスベルトの一例を、斜視図にて示す。本発明の導電性エンドレスベルト10は、画像形成装置に用いられる無端ベルト状のベルトであって、少なくとも一方の周縁部、図示する例では両方の周縁部11a,11bに波形加工が施されて、この周縁部の周長が拡張されている点に特徴がある。ベルトの周縁部を波形形状に拡張加工することにより、ベルト張架時において、ベルトが駆動ローラおよび従動ローラを通過する際における周縁部での局部変形が抑制されるので、これに起因する亀裂の発生についても抑制することができ、ベルトの走行耐久寿命を飛躍的に延ばすことが可能となる。
この波形形状は、ベルト周縁部の周長を拡張することができるものであれば、どのように形成してもよく、図示するように連続的な波形形状の他、断続的に設けた波形形状であってもよい。また、この波形加工による、ベルト周縁部の周長の、拡張されていない部分の周長に対する拡張率は、好適には1.0〜5.0%、より好適には1.5〜3.5%の範囲内とする。この拡張率が1.0%より低いと、周長がほとんど拡張されていないので、端部歪は十分小さくならず、一方、5.0%より大きいと、周長が拡張されすぎて、この部分のベルト剛性が落ち、ベルト駆動時の振動発生の原因となるおそれがある。
本発明に係る波形加工による周長拡張は、少なくとも一方の周縁部について行えば、その周縁部について張力集中や局部変形の抑制効果が得られるものであるが、好ましくは両方の周縁部に行うことで、より確実に亀裂等の発生を抑制して、ベルトの走行耐久寿命を効果的に延ばすことができる。
本発明は、ガイド部材を有しないベルトにおいても有効であるが、特には、図示するように、ベルト本体1の内周面上に、走行方向に沿って設けられたガイド部材2を有するベルトに適用した場合において、そのガイド部材2の突合せ部3における走行時の振動や張力集中、局部変形を抑制でき、走行耐久寿命を延ばすことができる点で、より有利である。この場合、波形加工は、ガイド部材2よりベルト幅方向外側に行うことが必要であり、波形加工を、ガイド部材2の配設箇所またはそれよりベルト幅方向内側まで行うと、ガイド部材2と駆動部材との嵌合が不十分となり、ベルトの走行自体に不具合を生ずるおそれがある。
また、この場合、図示するように、ガイド部材2は、突合せ部3において、その両端部が隙間をもつよう配置する。これにより、ガイド部材2同士の干渉を防止して、ベルトの走行状態への影響を抑制することができる。本発明のベルトにおいては、このように突合せ部3に隙間を設けても、波形加工による周長拡張の効果で、この部分における張力集中や局部変形の発生を抑制できるので、亀裂が発生しにくい。
図2に、ガイド部材2の突合せ部3近傍の拡大図を示す。この突合せ部3の間隔Lは、好適には1〜3mmの範囲内である。この間隔Lが1mmより小さいと、リブ同士が干渉するおそれがあり、また、隙間量の精度を取ることが困難となる。一方、この間隔Lが3mmより大きいと、隙間が大きすぎて、周長の拡張率を大きくしても、局部折れが生じやすくなってしまう。
なお、本発明において、ガイド部材2は、ベルトが適用される装置の仕様に合わせ、ベルト本体1のベルト幅方向片端部または両端部に、1本ないし2本にて設けることができる。
本発明のベルトは、周縁部の形状および周長について上記条件を満足するものであればよく、それ以外の点については常法に従い構成することができ、特に制限されるものではない。
本発明のベルトにおけるベルト本体1は、基材樹脂に対し導電性材料等の添加剤が適宜配合された樹脂材料からなる。本発明のベルトに用いることのできる基材樹脂としては、特に制限されるものではなく、ナイロン(ポリアミド(PA))樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)やポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等、ポリカーボネート(PC)樹脂、その他ポリオレフィン系樹脂とその混合系等の各種樹脂を好適に用いることができ、これらのうちいずれか2種以上のポリマーアロイまたはポリマーブレンドなども用いることができる。
導電性材料は、ベルトの導電性を調整するために用いられ、高分子イオン導電剤やカーボンブラックを好適に用いることができる。使用可能な高分子イオン導電剤としては、例えば、Irgastat(登録商標)P18およびIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド製)、ペレスタット230,300,303(三洋化成(株)製)、サンコノールTBX−310(三光化学工業(株)製)等が挙げられ、これらは市場で容易に入手可能である。また、カーボンブラックとしては、具体的には例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボンブラック、酸化カーボンブラック等のインク用カーボンブラック,熱分解カーボンブラック等を挙げることができる。高分子イオン導電剤の添加量は、基材樹脂100質量部に対し、通常1〜500質量部、好ましくは10〜400質量部程度であり、カーボンブラックの添加量は、基材樹脂100質量部に対し、5〜30質量部程度とすることができる。
また、その他の導電性材料として、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩
、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウムなどの陽イオン界面活性剤;脂肪族スルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、LiCFSO、NaClO、LiBF、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca(ClO等の周期律表第2族の金属塩;天然グラファイト、人造グラファイト等;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅等の金属および金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーなどを用いることもできる。
さらに、本発明に係るベルト本体1に用いる樹脂材料には、所望に応じ、他の機能性成分として、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することもでき、着色剤を添加して着色を施してもよい。
また、ベルト本体1のモジュラスは、好適には、10%伸長時において1000〜5000MPaである。なお、ベルト本体1の厚さは、転写搬送ベルトまたは中間転写部材等の形態に応じて適宜選定されるものであるが、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲内である。さらに、その外表面の表面粗さとしては、好適には、JIS10点平均粗さRzで10μm以下、特に6μm以下、さらには3μm以下とする。本発明に係るベルト本体1は、単層ベルトであっても、2層以上の積層ベルトであってもよい。
ガイド部材2は、前述したように、ベルトと駆動部材との間の幅方向のずれを防止して蛇行防止を図るため等の目的で設けられる。本発明においては、ガイド部材2を設ける際の、その幅寸法や配置箇所等については、駆動部材との関係で適宜決定することができ、特に制限されるものではない。
ガイド部材2の材質としては、特に制限されるものではなく、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ネオプレンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等の各種エラストマーを使用することができるが、強度や耐久性等の観点から、好適にはポリウレタンエラストマーを用いる。ポリウレタンエラストマーとしては、ソフトセグメントがポリエステルのものまたはポリエーテルのもののいずれであってもよい。ガイド部材2は、好適には、JIS硬度で50°以上80°以下となるよう形成する。また、ガイド部材2のモジュラスは、好適には、10%伸長時において0.4〜0.6MPaである。
また、ベルト本体1とガイド部材2との間には、両者を接着させるための接着層を設ける。かかる接着層は、ベルト本体1とガイド部材2とを接着することができるものであれば、いかなる接着材料を用いて形成してもよい。具体的には例えば、慣用の両面テープや、ウレタン系等の各種ホットメルト系接着剤を用いることができる。なお、接着層の厚みとしては、50μm〜150μm程度が好適である。
本発明のベルトにおけるベルト本体1の製法については、特に制限されるべきものではなく、例えば、二軸混練機により基材の樹脂成分と導電性材料等の機能性成分とを混練し、得られた混練物を環状ダイスを使って押出し成形することにより製造することができる。また、静電塗装等の粉体塗装法、ディップ法または遠心注型法も好適に採用することができる。また、本発明に係るガイド部材2は、所望のガイド部材に対応する形状の金型を用いて、注型成形により容易に得ることが可能である。
ここで、ベルト本体1とガイド部材2とを接合するにあたり、接着層をホットメルト接着剤を用いて形成する場合には、ベルト本体1、接着層およびガイド部材2を順次積層した後、加熱プレート間を通過させることによりこれらの加熱圧着を行い、一体化させることができる。この一体化の際の加熱圧着条件は、各構成部材の材質特性(熱軟化点)やガイド部材2の架橋密度、耐熱性等により適宜決定することができる。加熱プレートとしては、具体的には、高周波溶着機、電熱ヒータ溶着機、超音波溶着機などを好適に用いることができる。
なお、ベルト本体1とガイド部材2とを接着層を介して接合するに際しては、接着面となるベルト本体1の内面およびガイド部材2の表面を、有機溶剤や、物理的なバフ、研磨などにより処理して、部材表面の汚れを除去しておくことが好ましい。また、ガイド部材2のベルト本体1と接合する表面に成型時に用いた離型剤等が付着している場合には、良好な接着性を得るために、研磨やバフ等の公知の前処理により、あらかじめこれらを除去しておくことも好適である。
本発明において、ベルト本体の周縁部を波型加工により拡張させる手段としては、図3に示すように、(a)圧着ローラ20をベルト本体1に押し当てて、連続して加圧回転させることにより加工する方法、(b)円錐形の治具30を用いて加工する方法(展造加工)、(c)加工具40を用いて行う、金属加工で用いられているへら絞り加工に準じた加工方法等が挙げられる。これら加工方法はいずれも、ベルトの片側ずつ行っても、ベルト両端側について同時に行ってもよい。これらの加工方法によれば、円筒状のベルト本体にガイド部材を接着加工する際に、同時にベルト本体表面に波形加工を施すことが可能であり、従来技術のような補強テープの貼り付け精度や強度の懸念なしで、安価にベルト加工ができるというメリットがある。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例)
押出し成形によりベルト本体(基材樹脂:ポリアミド)を作製して、その片側の周縁部に波形加工を施した後、ベルト内周面側の波形加工の際に、同じベルト幅方向端部にポリウレタンエラストマー製のガイド部材(硬度デュロメータA60°,幅5mm,厚み1.5mm)を接着加工して、各実施例の導電性エンドレスベルトを作製した。ベルト寸法は、周長600mm、幅240mm、厚み100μmとした。ガイド部材接着部の、ベルト周縁部端部からの距離は5±2mmとし、波形加工は、ガイド部材よりベルト幅方向外側について施した。
各実施例の波形加工の方法としては、図3に示す、(a)圧着ローラ20を用いた方法、(b)円錐形の治具30を用いた展造加工方法、(c)加工具40を用いたへら絞り加工に準ずる方法のうちのいずれか、またはその組み合わせを用いた。また、各供試ベルトのガイド部材の両端の突合せ部は、その隙間が、それぞれ下記表中に示す間隔となるように調整した。
(比較例)
周縁部に波形加工を施さない以外は実施例と同様にして、ガイド部材の両端の突合せ部の間隔のみを変えた各比較例の導電性エンドレスベルトを作製した。
(性能評価)
各供試ベルトの性能評価は、図4に示すように、各供試ベルトを2軸にて張架して、左右の張架力について、一方を1kg、他方を3kgとして、左右差を与えた状態で走行させ、ベルトが常に張架力の高い側から低い側に蛇行して、張架力の高い側のガイド部材がプリー溝に強制的に押し付けられる状態を再現させた促進試験にて行い、走行耐久回数を測定した。試験環境は22℃×50%であり、ベルト走行速度は22m/分とした。また、張架軸の径はφ19mmとした。その結果を、試験後のクラック割れの発生状態および付き合わせ部の状態と併せて、下記の表中に示す。
Figure 0005675147
Figure 0005675147
Figure 0005675147
Figure 0005675147
上記表中の結果からわかるように、周縁部に波形加工を施して周長を拡張した各実施例のベルトにおいては、波形加工を施さない各比較例のベルトに比し、走行耐久寿命が大幅に延びていることが確かめられた。
1 ベルト本体
2 ガイド部材
3 突合せ部
10 導電性エンドレスベルト
11a,11b 周縁部
20 圧着ローラ
30 円錐形の治具
40 加工具

Claims (6)

  1. 画像形成装置に用いられる無端ベルト状の導電性エンドレスベルトにおいて、
    ルトの少なくとも一方の周縁部に、波形形状に拡張加工が施されて、該周縁部の周長が拡張されており、かつ、周方向にわたり一定のベルト幅を有することを特徴とする導電性エンドレスベルト。
  2. 前記波形加工が、圧着ローラを押し当てて、連続して加圧回転させることにより加工する方法、円錐形の治具を用いて展造加工する方法、および、へら絞り加工に準じた加工方法のうちのいずれかにより施されている請求項1記載の導電性エンドレスベルト。
  3. 無端ベルト状のベルト本体と、該ベルト本体の内周面上に走行方向に沿って設けられ、両端部が隙間をもって突合せられた少なくとも1本のガイド部材と、を備え、該ガイド部材よりベルト幅方向外側に、前記波形加工が施されている請求項1または2記載の導電性エンドレスベルト。
  4. 前記ガイド部材が前記ベルト本体のベルト幅方向両端部に設けられている請求項3記載の導電性エンドレスベルト。
  5. 前記ガイド部材の突合せ部の間隔が、1〜3mmの範囲内である請求項3または4記載の導電性エンドレスベルト。
  6. 前記周縁部の周長の拡張率が、1.0〜5.0%の範囲内である請求項1〜5のうちいずれか一項記載の導電性エンドレスベルト。
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