JP5674353B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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これに対し、水中油型乳化組成物は、ベタつきがなくさっぱりとした使用感であるが、水で流れ落ちやすく、残留性が低かった。
例えば、特許文献1には、炭化水素類等の固体脂及び/又は半固体脂にシリコーンを組合せ、アルキルアクリレートクロスポリマー及びアクリル酸−長鎖アルキルメタクリレート共重合体で乳化することで、皮膚水分蒸散抑制作用に優れる上、安定性にも優れる乳化化粧料が記載されている。また、特許文献2には、固体炭化水素等の室温で固形状である油性成分を、アルキル変性カルボキシビニルポリマーにより乳化する水中油型乳化組成物が記載されている。ここでは、活性剤を用いることなく、高圧乳化法等によりワックスを乳化することにより、使用感に優れる乳化組成物を得ている。さらに、特許文献3には、少なくとも2種の非イオン性界面活性剤を含み、HLBが6〜13である常温で液体の非イオン性界面活性剤の混合物により、冷却条件下で高濃度のワックスを分散させることが記載されている。
(A)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、
(B)融点が60℃以上で、常温で固形の油性成分、
(C)屈折率が1.46以上で、かつ、SP値が17.1以上の油剤、
(D)アルカリ金属塩、
(E)HLB1〜4.5の非イオン界面活性剤
を含有し、成分(A)、(B)及び(D)の質量割合が、(D)/((A)+(B))=1/1〜1/30である皮膚外用剤を提供するものである。
このような高融点の油性成分を用いることにより、高被膜性・高残留性による優れた保湿効果や、なめらかな使用感を得ることができる。
本発明において、融点は、医薬部外品原料規格I(一般試験法、70.融点測定法 第1法)により測定した値のものである。
これらのうち、炭化水素類が好ましく、特にセレシン(融点72−76℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点60−85℃)、ポリエチレンワックス、(融点75−105℃)、パラフィンワックス(融点70−78℃)が、被膜感や保湿効果の点で好ましい。
また、SP値は、溶解度パラメーターδを示し、液体の分子凝集エネルギーEと分子容Vからδ=(E/V)1/2で与えられる物質定数である。SP値は、篠田耕三著「溶液と溶解度 第3版」(丸善株式会社、1991年発行)78頁〜に記載の溶解度パラメーターの求め方により、求めることができる。
このような高い屈折率と極性を有する油剤を用いることにより、光の反射により肌上で高いツヤを引き出すことができるので、肌のツヤ感を高めることができる。
本発明においては、アルカリ金属塩を用いることにより、角層での保水性を向上させることができ、肌にうるおいを与える効果を高めることができる。
ここで、HLB(親水性・親油性バランス)は、以下のグリフィンの式により計算されるものである。
成分(E)の非イオン界面活性剤を用いることにより、ワックスの結晶化を抑制しつつ、成分(C)の極性油を安定に乳化することができる。
成分(F)アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;モノステアリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。
これらのうち、モノステアリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩が好ましい。ポリオキシエチレン付加モル数が3〜30のものが好ましい。
具体的には、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
成分(A)と成分(B)の相互作用により、成分(B)の結晶化が抑制され、安定な水中油型乳化組成物を得ることができる。すなわち、本発明の組成物中には、成分(A)と成分(B)の相互作用で構成されるゲル状の大きな分散滴と、成分(C)の油剤が活性剤により乳化された小粒径乳化滴とが、特定の配合により共存しており、それにより、のびが良く、高い被膜感を得ることができるものである。
表1に示す組成の皮膚外用剤を製造し、安定性、剤ののび、被膜感及びツヤ感を評価した。結果を表1に併せて示す。
(1)水溶性成分((A)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(D)アルカリ金属塩、その他の水溶性高分子)を水と合し、70〜80℃で攪拌溶解して、水相部とする。
(2)次に、油性成分((B)固形の油性成分、(C)油剤、その他の油性成分)と界面活性剤類((E)非イオン界面活性剤、その他の界面活性剤)を、70〜80℃で攪拌溶解し、油相部とする。
(3)水相部に油相部を80℃で攪拌混合し、冷却して水中油型乳化化粧料を作成し、皮膚外用剤を得た。
(1)安定性:
得られた皮膚外用剤の安定性を、ワックスの結晶析出に着目して、初期状態と室温6ヶ月後の状態について、外観・性状を評価した。
◎;初期状態と変わらない。
○;初期状態と多少異なるが差がわかりにくい。
△;初期状態と異なるが、商品として問題ない。
×;初期状態と大きく異なり、商品として問題がある。
得られた皮膚外用剤を手の甲に0.5g塗布し、手の甲の上で剤を馴染ませ、手の甲での伸びの良さを専門パネル(N=5)にて、以下の基準で5段階の官能評価を行った。結果を平均値で示す。点数が小さいほうが、より伸びが良いことを示す。
1;伸びに優れる。
2;伸びがよい。
3;ふつう。
4;やや伸びない。
5;伸びが悪い。
(1)の評価で、皮膚外用剤を手の甲に塗布した5分後、手の甲に製剤が乗っている感じを手で触り、肌が覆われている感じを(1)と同様に、専門パネル(N=5)で被膜感として以下の基準で5段階評価した。結果を平均値で示す。点数が小さいほうが十分な被膜感を有するものである。
1;被膜感が高い。
2;やや被膜感がある。
3;どちらとも言えない。
4;やや被膜感がない。
5;被膜感がない。
(1)の評価で手の甲に塗布した後5分後、手の甲の見た目の艶を蛍光灯下にて評価した。(1)と同様に専門パネル(N=5)で見た目の艶感として以下の基準で5段階評価した。結果を平均値で示す。点数が小さいほうが、塗布部にツヤがあることを示す。
1;艶がある。
2;やや艶がある。
3;どちらとも言えない。
4;やや艶がない。
5;艶がない。
Claims (5)
- 次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.1〜2質量%、
(B)融点が60℃以上で、常温で固形の油性成分 0.5〜10質量%、
(C)屈折率が1.46以上で、かつ、SP値が17.1以上の油剤 1〜20質量%、
(D)アルカリ金属塩 0.1〜5質量%、
(E)HLB1〜4.5の非イオン界面活性剤 0.5〜10質量%
を含有し、成分(A)、(B)及び(D)の質量割合が、(D)/((A)+(B))=1/1〜1/30である皮膚外用剤。 - 更に、水を全組成中に30〜90質量%含有する請求項1記載の皮膚外用剤。
- 成分(C)の油剤が、安息香酸アルキル及びメチルフェニルポリシロキサンから選ばれるものである請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
- 更に、(F)アニオン界面活性剤、及び(G)HLB8〜16の非イオン界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
- 成分(B)、(C)及び(G)の質量割合が、(C)/((B)+(G))=1/6〜3/1である請求項4記載の皮膚外用剤。
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