JP5673072B2 - 軽質炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平滑性、光沢発現性が高い製紙用の填料、顔料として使用するに適した軽質炭酸カルシウムの製造方法に関する。
近年、印刷物のビジュアル化やカラー化が進み、印刷用紙は、高白色で印刷面感が良好なことが求められている。一方で、コスト削減のため印刷用紙の軽量化が進められている。用紙の軽量化は不透明度を低下させるので、その対策要望が多く、白色度、平滑度、光沢度、面感、不透明度等の改善要求に応える必要に迫られている。その一つの手段として、填料、顔料としての高品質の軽質炭酸カルシウムの開発が行われている。
軽質炭酸カルシウムの製造方法としては、消石灰スラリーに炭酸ガスを吹き込んで反応させる「液−ガス」法および炭酸ナトリウムなどを用いる「液−液」法がある。原料の品質が優れるわが国においては、前者の「液−ガス」法が工業的に広く採用されている。
軽質炭酸カルシウムは数種の結晶構造を持ち、その形状によって紙の品質特性上、様々な特徴を有する。特に、アラゴナイト系炭酸カルシウムを塗被した紙は、高光沢で高不透明度、インキ着肉性およびインキセット性に優れ、剛性および強度も向上する特徴があるため、以下に示すように従来から様々な方法によるアラゴナイト系炭酸カルシウムの製造方法の研究開発が進められてきた。
特許文献1には、炭酸化工程で炭酸ガス量を各段階で調整するアラゴナイト系柱状炭酸カルシウムの製造方法が提案されており、特許文献2には、炭酸化の段階で加温するアラゴナイト系針状炭酸カルシウムの製法が提案されている。
特許文献3には、消石灰スラリーに針状軽質炭酸カルシウムを種結晶として用い、このスラリーに炭酸ガスを導入し炭酸化反応によって該種結晶を所望の粒径まで成長させることを特徴とするアラゴナイト系柱状炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。
特許文献4には、アラゴナイト系針状炭酸カルシウムを消石灰スラリーに添加し、0.25kW/m以上の攪拌動力で撹拌しながら炭酸化反応を行うアラゴナイト系針状炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。
さらに、種々の添加物を用いるアラゴナイト系炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。特許文献5には、リン酸化合物を添加するアラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの製造方法が提案されており、特許文献6には、硫酸化合物を添加し紡錘形炭酸カルシウムを得る製紙用炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。
また、特許文献7には、アルカリ性水溶液で調製した消石灰スラリーを用いるアラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの製造方法が提案されており、特許文献8には、マグネシウムイオンを含む水で調製した消石灰スラリーを用いるアラゴナイト型炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。
細粒の消石灰を用いることを特徴とするアラゴナイト系炭酸カルシウムの製造方法が提案されており、特許文献9には、高温状態で消化することで得られた細粒の消石灰粒子を用いるアラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。また、特許文献10には、消石灰スラリーを高速せん断攪拌することにより細かくした消石灰粒子を用いるアラゴナイト系柱状炭酸カルシウムの製造方法が提案されており、特許文献11には、45μm以下の微細消石灰粒子を用いる針状炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。
特公昭55−51852号公報 特開昭63−30316号公報 特公平01−34930号公報 特開2000−272919号公報 特開昭63−256514号公報 特開平01−18911号公報 特開2001−270713号公報 特開2001−354416号公報 特開平01−261225号公報 特開平04−295010号公報 特開2005−139012号公報
特許文献1および特許文献2の方法は、各生成条件を厳密に規定する必要があり、かつ合成条件が比較的狭い範囲に限られるという問題がある。また、特許文献3の方法は、操作が複雑であり、生産性が低下する問題がある。特許文献4の方法は、生産性の問題は改善されるものの粒径のバラツキが生じ、品質が不安定であるなどの問題がある。
特許文献5および特許文献6の方法は、種々の高価な添加物を要するためコスト高となる上に、濾水を循環利用する場合、反応系内の添加物の濃度調整が困難であるなどの問題がある。また、特許文献7および8の方法も濾水を循環利用する場合、添加物水溶液の濃度調整が困難であるといった問題がある。
特許文献9、特許文献10および特許文献11の方法は、消石灰スラリーに導入する炭酸ガス量を制御しているため、反応時間が長くなり、生産性が低いといった問題がある。
本発明は、従来技術では両立が困難であった微細で粒径が均一な高品質の軽質炭酸カルシウムの簡便かつ効率的な製造方法を提供することを目的とする。
軽質炭酸カルシウムは、通常、水に生石灰を加えて調製した消石灰スラリーに炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス化合法により工業的に生産されている。しかし、本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、所望の性状を備えた軽質炭酸カルシウムを得るには、炭酸化反応条件に加えて、消石灰製造条件が重要な技術要素であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、下記(1)〜(6)の軽質炭酸カルシウムの製造方法を要旨とする。
(1)生石灰に対するモル比が2.5以下の範囲で消化水を生石灰に添加し混合することにより消石灰を得る工程(A)、該消石灰と水とを混合することにより消石灰スラリーを得る工程(B)、および該消石灰スラリーに二酸化炭素含有ガスを吹き込み炭酸化する工程(C)により構成される軽質炭酸カルシウムの製造方法であって、
工程(A)の混合を0.5m/s以上の周速で攪拌羽根を回転させる混合機、または0.2m/s以上の周速で容器を回転させる混合機を用いて行い、
工程(A)で得られる消石灰を、体積粒度分布における粒径1μm以下の粒子の累積体積が20%以下のものとすることを特徴とする軽質炭酸カルシウムの製造方法。
(2)前記の混合機が、さらにせん断用攪拌羽根を有し、該羽根の回転周速を3.0m/s以上として混合を行うことを特徴とする前記(1)に記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
(3)工程(A)の消化水の添加口を2箇所以上設けることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
(4)工程(A)の消化水の添加口のうち少なくとも1箇所以上がスプレー方式で噴霧添加されることを特徴とする前記(1)から(3)までのいずれかに記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
(5)工程(A)で得た消石灰を分級および/または粉砕して消石灰粒子の粒径を150μm以下とする工程を有することを特徴とする前記(1)から(4)までのいずれかに記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
(6)工程(C)の炭酸化反応の反応開始温度が20〜50℃であることを特徴とする前記(1)から(5)までのいずれかに記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
本発明により製造される軽質炭酸カルシウムは微細で粒径が均一であり、その軽質炭酸カルシウムを、内添用の填料あるいは塗工用の顔料として用いることによって、表面平滑性、不透明度や印刷品質に優れた紙を得ることができる。
拡散用攪拌羽根とせん断用攪拌羽根とを有するミキサを内部構造が見えるように図示した斜視図である。 連続式の混合機を2機直列配置した場合の概略図である。
本発明で使用する生石灰は、石灰石を焼成したものであればよく、焼成装置に関しては、ベッケンバッハ炉、メルツ炉、ロータリーキルン、カーハーディー炉、コマ式炉、カルマチック炉、流動焼成炉、混合焼き立炉など、石灰石を転化する装置であれば特に限定はない。焼成温度および焼成時間は適宜調整可能であるが、石灰石を低温かつ長時間で生石灰を生成させた方が、高温かつ短時間で生成させた生石灰よりも針状形状の軽質炭酸カルシウムが得られやすい。また、生石灰中の二酸化炭素含有率が低い方が、針状形状の軽質炭酸カルシウムが得られやすく、石灰石の焼け残り成分としてJIS R 9011:2006に規定されている炭酸バリウム逆滴定法による二酸化炭素含有率が1.5%以下であることが好ましい。より好ましいのは二酸化炭素含有率が1.0%以下である。
本発明により製造される軽質炭酸カルシウムの用途は製紙用の填料または顔料であるため、原料としてなるべく白色度の高い石灰石を用いるのがよい。特に、Fe、Mnなどの着色成分が問題となる場合があるので、なるべく着色成分含有量が少ない石灰石を用いることに留意する必要がある。
本発明で使用する消石灰は、混合機中の生石灰に消化水を添加し消化反応を行うことにより製造する。生石灰と消化水とを混合する消化工程は、バッチ式または連続式のどちらの方式でもよいが、混合機により運転方式は決まる。添加する消化水量が生石灰モル比で2.5を超えると、生石灰に消化水を添加した際に水が局在化するため、微細な消石灰が多く生成し、得られる軽質炭酸カルシウムの形状が紡錘状になり、紙に内添、塗工すると平滑性、光沢発現性などの品質が低下する。従って、消化水量は生石灰に対するモル比で2.5以下にする必要がある。バッチ式においては、消化水量は生石灰に対するモル比で2.0以下にすることが好ましく、1.5以下にすることがさらに好ましい。一方、連続式においては、消化水量は生石灰に対するモル比で1.5未満では、未消化の生石灰が残留するため、1.5〜2.3にすることが好ましい。
上述のように、原料となる消石灰粒子が微細な粒子を多く含むと、生産される軽質炭酸カルシウムの品質は低下する。このため本発明者らは、レーザー回折法により消石灰粒子の体積粒度分布を測定することとした。体積粒度分布における粒径が1.0μm以下の微細な消石灰粒子の累積体積が20%を超えると、それを原料として用いた時に紡錘状の軽質炭酸カルシウムが生成される。この生成物である炭酸カルシウムには、粗粒の粒子が混在し、粒径も不均一であるため、填料ないし顔料に用いた場合には品質が劣る。従って、粒径が1.0μm以下の消石灰粒子の累積体積は20%以下とする。1.0μm以下の消石灰粒子の累積体積は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。また、消石灰粒子の粒度分布をシャープにすることで、炭酸化反応が均一になり、軽質炭酸カルシウムの粒子径をより均一にすることができる。
微細な粒子の混入の少ない粒径の均一な消石灰を生成するためには、生石灰と消化水とを混合する混合機が、混合物あるいは反応物を浮遊拡散効果で3次元的に流動・攪拌できる構造を有していることが好ましい。具体的には、混合容器自体が回転するミキサおよび容器と攪拌羽根との隙間が少ないミキサが挙げられる。これらのミキサを用いることで、攪拌時にデッドスペースが生じず、常に混合物が流動するため、生石灰に消化水を添加した際に水が局在化せず、生成した消石灰の凝集を防止することができ、微細粒子および粗大粒子の少ない均一な消石灰粒子を得ることができる。混合機内の浮遊拡散効果が低いと、生石灰に消化水を添加した際に水が局在化するおそれがあるため、微細な消石灰が多く生成し、得られる軽質炭酸カルシウムの形状が紡錘状になり、紙に内添、塗工すると平滑性、光沢発現性などの品質が低下する場合がある。
浮遊拡散効果を高めるためには、混合機での混合が攪拌羽根回転によって行なわれる場合は、該攪拌羽根回転の周速を0.5m/s以上とする必要がある。該攪拌羽根回転の周速は0.8m/s以上にすることが好ましく、1.5m/s以上にすることがさらに好ましい。また、混合機での混合が容器回転によって行なわれる場合は、該容器回転の周速が0.2m/s以上である必要がある。該容器回転の周速は0.4m/s以上であることが好ましい。バッチ式の場合、分散混合用のせん断用攪拌羽根を設けることで、せん断効果を向上させ、微細粒子および粗大粒子の少ないより均一な消石灰粒子を得ることができる。一方、生石灰をミキサの一方の端に供給し、これを混合・攪拌しつつ他方の端に移動させるまでの間に消化水を添加する構造の連続式の場合、せん断用撹拌羽根を設けるとその付近にデッドスペースが生じる可能性があるため、拡散用撹拌羽根のみを用いて容器との間の隙間を極力少なくする構造とすることが好ましい。
本発明に用いる好適な混合機として、図1に示すような混合機内の反応物を浮遊拡散させる拡散用攪拌羽根1と容器の内壁に高速で回転するせん断用攪拌羽根2とを有するミキサ3を例示することができる。拡散用の攪拌羽根周速を0.5m/s以上、さらにせん断用攪拌羽根周速を3.0m/s以上とすることで、生石灰と水とを均一に混合でき、消石灰粒子の凝集を防止することができる。本ミキサはバッチ方式または連続方式のいずれを採用することも可能である。ただし、前述のように、連続方式ではせん断用撹拌羽根を取り外し、拡散用撹拌羽根のみを配置する方が好ましい。
また、混合容器内部に斜め方向のブレードが固定されており、容器を回転することにより混合・撹拌を行う水平型ミキサを用いることもできる。容器回転周速を0.2m/s以上とすることで、生石灰と水とを均一に混合でき、消石灰粒子の凝集を防止することができる。本ミキサはバッチ方式または連続方式のいずれを採用することも可能である。
さらに、混合容器を自転させ、せん断用攪拌羽根を別駆動で回転させる構造を有するミキサを用いることもできる。容器の自転周速を0.2m/s以上、せん断用攪拌羽根周速を3.0m/s以上とすることで、生石灰と水とを均一に混合でき、消石灰粒子の凝集を防止することができる。本ミキサはバッチ方式での操業に限られる。
連続方式に好適な混合機としては、混合機内の反応物を循環させるために送り機構と戻り機構を有する拡散用攪拌羽根をデッドスペースが生じないよう配置したミキサが挙げられる。さらに拡散用撹拌羽根として、スキ型ショベル羽根、鋸歯状ショベル羽根などの特殊攪拌羽根を用いることで、より浮遊拡散効果が得られるので好ましい。攪拌羽根周速を2.0m/s以上とすることで、生石灰と水とを均一に混合でき、消石灰粒子の凝集を防止することができる。
また、混合機を1機だけではなく、2機以上用いてもよい。図2に、連続式の混合機を2機直列配置した場合の概略図を示す。前段混合機4および後段混合機5が直列に配置されており、生石灰を投入口6から投入し、任意の速度で送りながら消化水添加口7より消化水を添加し消化反応を進行させ、排出口8より消石灰を排出する構造である。混合機を2機以上用いることで、個々の混合機の攪拌周速、滞留時間を変えることができ、粗大粒子が少ないより高品質の消石灰を得ることができる。
生石灰に添加する消化水温度は特に限定はないが、篩い分けした際の生石灰の大きさが5mm以下の場合、生石灰に添加する消化水温度は、低温であると消化反応が急激に進行し、得られる消石灰粒子の粒度分布の幅が広くなる恐れがある。そのため、分級、粉砕工程を設ける場合に、作業に対する負荷が大きくなり、分級、粉砕設備にかかるコストが増大する。従って、消加水温度は40℃以上とするのが好ましく、60℃以上とするのがさらに好ましい。
一方、篩い分けした際の生石灰の大きさが5mmを超える場合は、生石灰に添加する消化水温度は、特に限定はなく、20℃前後の常温のものを用いても構わない。
生石灰と消化水とを均一に混合するため、消化水の添加口は、1箇所ではなく、2箇所以上設けることが好ましい。また、消化水の添加方法としては、ノズル方式だけでなく、消化水を広範囲に噴霧できるスプレー方式を用いることも可能である。消化水の添加口のうち少なくとも1箇所以上がスプレー方式で噴霧添加されることが好ましい。特に、粉末状生石灰や消化反応途中のものは、スプレー方式を用いることで、消化水の局在化を防止できるので好ましい。
バッチ方式の好適な消化水の添加方法としては、消化水の添加は一括で行うのではなく、複数回に分けて添加するか、または連続的に5〜30分程度の時間をかけて添加する方が好ましい。また、連続方式の好適な消化水の添加方法としては、生石灰をミキサの一方の端に供給し、これを混合・攪拌しつつ他方の端に移動させるまでの間にミキサ上に複数の消化水添加口を設け、さらに少なくともミキサ出口に近い添加口は、スプレー方式とするのがよい。
生石灰と消化水を混合する時間としては、特に制限はないが、規定量の消化水を添加した後、1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上、混合機内で攪拌するのがよい。生産性を考慮すると混合時間は8〜15分程度とするのが最も好ましい。
このようにして得られた消石灰をそのまま炭酸化反応に供することもできるが、粗大粒子を除去すれば、炭酸化反応が均一になり、軽質炭酸カルシウムの粒径をより均一にすることができるようになる。消石灰粒子の粒径は、150μm以下とするのが好ましく、75μm以下とするのがよりに好ましい。
粗大消石灰粒子を除去する方法としては、遠心分離式の分級機、振動スクリーン、スクリーン分級機などが挙げられる。分級機などで篩い分けされた粗大消石灰粒子は、粉砕機で粉砕し、分級工程へ戻す分級・粉砕閉回路とすることも可能である。分級・粉砕工程は、乾式または湿式のどちらの方式を用いてもよい。粉砕機での消石灰粒子の過粉砕は、得られる軽質炭酸カルシウムの品質低下の要因となるため、防止する必要がある。
炭酸化に供する消石灰スラリーの固形分濃度は、5質量%未満とすると、生産効率が低下し、40質量%を超えると微細な軽質炭酸カルシウムが生成されて、粘度も上昇して、操業性が劣る。従って、消石灰スラリーの固形分濃度は5〜40質量%であることが好ましい。消石灰スラリーの固形分濃度のより好ましい下限は8質量%であり、より好ましい上限は20質量%である。
また、炭酸化開始時の消石灰スラリー温度は、生成物である軽質炭酸カルシウムの結晶形状に影響を及ぼすため、調整する必要がある。炭酸化開始温度が20℃未満であると、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを吹き込んだ際、微細な針状結晶が凝集したものになり、一方、50℃を超えると針状と紡錘状のものが混在して、均一な粒径の炭酸カルシウム粒子が形成されず、品質が発現しないおそれがある。従って、炭酸化開始温度は20〜50℃であることが望ましい。
炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスの吹き込み量は、特に制限はないが、生産性の点から、反応開始前の消石灰1kg当たり100%炭酸ガス(1気圧、20℃換算)を2l/分以上とすることが好ましく、5l/分以上とすることがより好ましい。
炭酸化反応はバッチ式でも連続式でもどちらでもよく、炭酸化反応槽も炭酸ガスを吹き込むことができればよい。バッチ式の反応槽として、円筒型または円筒で下部のみ円錐になっている円筒コーン型などの反応槽を用いて、炭酸ガスを反応槽下部から吹き込むのが効率の点から好ましい。さらに、半回分式反応槽の下部の円錐に多数の穴をあけることで、炭酸ガスが微細な気泡となり、これらの微細な泡が消石灰スラリーと接触するので、効率的かつ均一に反応させることができる。
また、反応槽に攪拌機を備え、攪拌しながら炭酸化を行うことにより、炭酸ガスが微細になり、焼成物懸濁液との接触が良くなり、反応が均一かつ効率的に行われる。攪拌機の攪拌周速としては、2.0m/s以上であるのが好ましく、さらに好ましいのは2.5m/s以上である。攪拌機としては、一軸または二軸型のタンク用攪拌機、コーレスミキサ、高速攪拌式ディスパーザーなどを用いることができる。さらに反応槽中に邪魔板を設置することで、消石灰スラリーのせん断力を高めることができる。
炭酸化反応前の消石灰スラリーに種晶を添加してもよい。種晶としてアラゴナイト系針状軽質炭酸カルシウムを予め添加しておくことで、類似の針状結晶が効率よく生成される。種晶の添加率は、水酸化カルシウム:アラゴナイト系針状軽質炭酸カルシウム=99.7:0.3〜95:5となるようにするのが好ましい。
炭酸化反応の炭酸ガス含有ガスの好適なものとしては、二酸化炭素を含有する混合ガス、例えば、石灰石焼成排ガス、パルプ製造プラントの石灰焼成排ガス、セメント製造キルン排ガス、発電ボイラー排ガス、ゴミ焼却排ガスなどが挙げられる。炭酸ガス含有ガスとして上記排ガスを用いる場合、排ガス中の石灰石、石灰、硫黄酸化物、未燃カーボン等のダストをバグフィルター、電気集塵機、乾式スクラバー、湿式スクラバーもしくはこれらの組合せを用いることによって排ガスを浄化することが好ましい。
このようにして得られた炭酸カルシウムスラリーにおいて、炭酸化処理によって生じた微細な軽質炭酸カルシウムの1次粒子が凝集して、2次粒子が形成される。この炭酸カルシウムスラリーは、製紙用填料として適度な粒径であるため、そのまま用いることができる。製紙用填料として用いる場合、炭酸カルシウムスラリーの平均粒径が1.5μm未満は、歩留り低下、強度低下などを起すおそれがあり、一方、15μmを超えると不透明度や粉落ちなどの印刷トラブルを引き起こすおそれがある。従って、平均粒径は1.5〜15μmであることが好ましい。より好ましくは2〜10μmである。
炭酸カルシウムスラリーを塗工用顔料として用いる場合、脱水して脱水組成物とする脱水工程と、該脱水工程により得られる脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とする分散工程と、所望の粒径に調整する粉砕工程を備えてもよい。
脱水工程は、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾などの操作により、固形分濃度70%程度まで脱水を行うことができる。好適な脱水装置としては、フィルタープレス、ベルトプレスなどがある。脱水ケーキの固形分濃度が低い場合は、乾燥工程を付加して固形分濃度を上げることもできる。脱水工程と乾燥工程が一つの装置でできるフィルタープレスもある。
分散工程は、脱水工程により得られる脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とするものであればよい。分散工程時に水分以外に、分散剤を添加することで、軽質炭酸カルシウムを良好に分散することができ、製紙用材料としての品質が向上すると共に、取り扱いも容易になるので好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子系の分散剤など、一般的な分散剤を使用することができる。
分散工程で使用される分散機としては、コーレスミキサ、攪拌式ディスパーサーまたは混合容器を自転させ、アジテータのような攪拌工具を別駆動で回転させる構成の高せん断分散機、例えば、日本アイリッヒ(株)製のインテンシブミキサなどが挙げられる。高せん断分散機を用いることで、高濃度かつ粘度の低い分散スラリーを調製することができるので好ましい。
本発明において、軽質炭酸カルシウムの粒径を微細化するために、粉砕処理工程を分散工程後に備えても良い。粉砕工程に用いる粉砕機としては、サンドミル、ビーズミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの湿式粉砕機を使用することができる。また、粉砕処理は炭酸化処理工程において、二酸化炭素を吹き込みながら行ってもよい。
軽質炭酸カルシウムの粒径を微細化することによって、紙に仕上げた際に不透明度、白色度、光沢度、平滑度および印刷適性が極めて優れたものが得られる。本発明の軽質炭酸カルシウムの粒度分布は、レーザー回折法により測定される。平均粒径が0.7μmを超えると平滑度、光沢度が低下し、印刷適性が劣る。従って、平均粒径は、0.7μm以下とするのが好ましく、0.6μm以下とするのがより好ましい。他方、平均粒径が0.1μm未満とするためには過大なエネルギーを要し、紙での品質向上効果も小さく、印刷適性、特に強度が低下する難点が生じる。従って、平均粒径は、0.1μm以上とするのが好ましく、0.2μm以上とするのがより好ましい。また、累積体積95%の粒径(以下、D95)も重要な要素となり得る。粗粒の粒子が多量に混在し、D95が3.0μmを超えると平滑度や光沢度が低下し、塗工層強度も低下する。従って、D95が3.0μm以下であることが好ましい。D95は2.5μm以下であることがより好ましい。
なお、軽質炭酸カルシウムを上記所望の粒径とするために脱水工程後に分散工程および粉砕工程を設けることが好ましいが、分散処理後の平均粒子が所望の平均粒径の範囲にある場合、粉砕を行わずに、そのまま塗工用顔料として使用してもよい。
また、分散工程において、軽質炭酸カルシウムの脱水組成物を重質炭酸カルシウムスラリーに混合して、混合スラリーとして湿式粉砕機で粉砕することで、高濃度なスラリーを調製することも可能である。なお、軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの比率は、塗被紙の白紙品質などに応じて、適宜調整することが可能である。
以下に、具体例を挙げて本発明を説明するが、それらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断らない限り、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
(本発明例1)
本発明例1では、混合機としてバッチ式ニーダー(近畿機械製作所社製)を用いて、混合機に工業用生石灰(CO含有率0.8%)を1kg投入し、攪拌羽根周速0.5m/sとし、60℃の消化水をストローノズルにより0.25kg/minで3分間添加した後、15分間攪拌し、消化した。得られた消石灰をカットポイント145μmで分級した後、40℃の水と混合し12%消石灰スラリー10kgを調製した。次に、攪拌羽根周速5.0m/s、炭酸ガス(ガス濃度100%)を12l/minの流量でpH=7〜8となるまで炭酸化させ、軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例2)
本発明例2では、本発明例1において、混合機としてバッチ式リンダーミキサL70(リンダー社製)を用いて、工業用生石灰(CO含有率0.8%)を20kg投入し、容器回転周速0.4m/sとし、消化水を1.48kg/minで10分間添加した以外は本発明例1と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例3)
本発明例3では、本発明例2において、混合機としてインテンシブミキサRL05型(日本アイリッヒ社製)を用いて、工業用生石灰(CO含有率0.8%)を1.5kg投入し、容器回転周速0.5m/s、せん断用攪拌羽根周速6.0m/sとし、消化水を0.11kg/minで10分間添加した以外は、本発明例2と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例4)
本発明例4では、本発明例2において、混合機としてバッチ式プロシェアミキサWB75型(太平洋機工社製)を用いて、工業用生石灰(CO含有率0.8%)を15kg投入し、ショベル羽根(攪拌羽根に相当)周速1.0m/s、チョッパー羽根(せん断用攪拌羽根に相当)周速6.0m/sとし、消化水を1.1kg/minで10分間添加した以外は、本発明例2と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例5)
本発明例5では、本発明例4において、消化水を0.72kg/minで添加した以外は、本発明例4と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例6)
本発明例6では、本発明例5において、消化水を生石灰に対してスプレー方式で添加した以外は、本発明例5と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例7)
本発明例7では、本発明例6において、得られた消石灰のカットポイントを40μmで分級した以外は、本発明例6と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例8)
本発明例8では、本発明例7において、消化水を100℃の水蒸気とし1.25m/minで10分間噴霧し、ショベル羽根周速2.0m/s、チョッパー羽根周速12m/sとした以外は、本発明例7と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例9)
本発明例9では、本発明例6において、得られた消石灰のカットポイントを200μとした以外は、本発明例6と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例10)
本発明例10では、本発明例7において、消化水の温度を30℃とした以外は、本発明例7と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例11)
本発明例11では、本発明例7において、混合機として連続式プロシェアミキサWA75型(太平洋機工社製)を用いて、混合機の一端から工業用生石灰(CO含有率0.8%)を2kg/minで投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を10分とし、ショベル羽根周速1.0m/s、チョッパー羽根周速6.5m/s、70℃の消化水をスプレー方式により0.96kg/minで2箇所から添加した以外は、本発明例7と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例12)
本発明例12では、混合機としてチョッパー羽根を取外し、全てをショベル羽根にした連続式プロシェアミキサWA150型(太平洋機工社製)を用いて、混合機の一端から工業用生石灰(CO含有率0.8%)を4kg/minで投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を8分とし、ショベル羽根周速3.0m/s、30℃の消化水をノズル方式により2.58kg/minで2箇所から添加した。得られた消石灰をカットポイント50μmで分級した後、25℃の水と混合し10%消石灰スラリー10kgを調製した。攪拌周速5.0m/s、炭酸/空気混合ガス(ガス濃度20%)を16l/minの流量でpH=7〜8になるまで炭酸化し、軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例13)
本発明例13では、本発明例12において、混合機の一端から工業用生石灰(CO含有率0.8%)を4kg/minで投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を8分とし、ショベル羽根周速3.0m/s、30℃の消化水を生石灰投入口付近にノズル方式により2.3kg/minで添加し、さらに消石灰排出口側にスプレー方式により0.28kg/minで添加した後、得られた消石灰をカットポイント40μmで分級した後、30℃の水で混合した以外は、本発明例12と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(本発明例14)
本発明例14では、混合機としてチョッパー羽根を取外し、全てをショベル羽根にした連続式プロシェアミキサWA75型(太平洋機工社製)を2機直列に配置し、1機目の混合機の一端から工業用生石灰(CO含有率0.8%)を4kg/minで投入し、他端から排出されるまでの滞留時間を4分とし、ショベル羽根周速3.0m/s、30℃の消化水をノズル方式により1.92kg/minで添加した。続いて、2機目の混合機の一端から1機目から排出された反応途中の消石灰を投入し、他端から消石灰が排出されるまでの滞留時間を4分とし、ショベル羽根周速4.0m/s、30℃の消化水をスプレー方式により0.39kg/minで添加した以外は実施例13と同様にして、軽質炭酸カルシウムを得た。
(比較例1)
比較例1では、本発明例7において、混合機をバッチ式リボンミキサR−50(ネオテック社製)を用いて、工業用生石灰(CO含有率0.8%)を7kg投入し、攪拌羽根周速0.2m/s、消化水を0.34kg/minで10分間添加した以外は、本発明例7と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
(比較例2)
比較例2では、本発明例7において、消化水を1.45kg/minで添加した以外は、本発明例7と同様にして軽質炭酸カルシウムを得た。
上記の本発明例および比較例で得られた軽質炭酸カルシウムを下記に示すような後加工に供し、塗工用顔料として調整した後、塗工組成物の調製を行い、該塗料を使用して塗被紙を作製した。
(塗工用炭酸カルシウムスラリーの調製)
前記本発明例および比較例で得られた軽質炭酸カルシウムのスラリーをフィルタープレスにより脱水操作を行い、固形分濃度68%のケーキを得た。次いで、コーレスミキサを用いて炭酸カルシウムに対し1.0%ポリアクリル酸ナトリウム分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成社製)を加えて分散し、炭酸カルシウムスラリーを調製した。次いで、上記炭酸カルシウムスラリーを、解砕メディアとして直径1.0〜1.4mmのガラスビーズを用いてサンドグラインダーで湿式粉砕処理を50分間行い、塗工用軽質炭酸カルシウムスラリーを調製した。
(塗料調製)
上記の方法により調製された軽質炭酸カルシウムスラリーに対して、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、JSR社製)6部(固形分)、予め糊化した酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)3部(固形分)を添加して混合攪拌し、塗料を調製した。
(塗被紙の作製)
上記で得られた塗料を米坪70g/mの上質原紙に、片面当り乾燥重量で12g/mとなるように手塗りブレードコーターを使用して両面に塗被を行い、乾燥後、40℃のスーパーカレンダに2回通紙処理して塗被紙を得た。
上記本発明例および比較例で得られた消石灰、炭酸化後、粉砕後に得られた軽質炭酸カルシウムおよび塗被紙について、下記の評価を行い、その結果を表1に示した。
(粒径測定)
レーザー回折法(日機装社製マイクロトラックHRAX−100)による粒度分布を測定した。消石灰粒子においては、1μm以下の累積体積を求めた。また、炭酸化後の炭酸カルシウムスラリーおよび粉砕により微細化された軽質炭酸カルシウムにおいては、平均粒径を求めた。なお、累積体積50%に相当する粒径を平均粒径とした。
(紙の白紙光沢度)
JIS P8142に準拠して、75度における紙の白紙面の光沢度(白紙光沢度)を測定した。
(紙の印刷強度)
RI印刷試験機で、印刷インキ(商品名:紙試験用SD50紅、東洋インキ社製)を0.6cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。ただし、表中の各記号の意味は、下記の通りである。
○:ピッキングが全く発生せず、表面強度が良好である。
△:ピッキングが少し発生しており、表面強度がやや劣る。
×:ピッキングが多く発生しており、表面強度がかなり劣る。
Figure 0005673072
表1に示すように、請求項1に規定の範囲内にある本発明例1〜14によって得られた軽質炭酸カルシウムを塗料として用いた塗被紙は、白色光沢度および表面強度ともに良好な結果を示した。以下に詳細を記す。
本発明例1〜4および本発明例5の比較において、前者では消化水量が生石灰に対するモル比で2.3であるのに対して、後者では1.5である。この差を反映して後者は微細な粒子の割合が低く、得られた軽質炭酸カルシウムの品質が良好であった。
また、消化水の添加方式がノズルによる本発明例5およびスプレーによる本発明例6の比較において、スプレー方式を採用した消化による方が微細粒子の生成を抑制することができ、結果としてより高品質の軽質炭酸カルシウムを得ることができた。
本発明例6、本発明例7および本発明例9の比較において、分級工程におけるカットポイントをそれぞれ145μm、40μmおよび200μmとしている点で異なる。カットポイントが低い方がより粒径が均一となるため、それに伴い軽質炭酸カルシウムの品質が良好になるという傾向が認められた。
消化水の添加を水蒸気噴霧とした本発明例8では、本発明例7と同等の高品質の軽質炭酸カルシウムが得られる結果となった。
また、本発明例7および本発明例10の比較において、消化水温度が30℃の後者に比べて60℃の前者でより良好な品質の軽質炭酸カルシウムが得られた。
消化工程を連続式とした本発明例11、本発明例12、本発明例13および本発明例14では、バッチ式とした本発明例7と同等の高品質の軽質炭酸カルシウムが得られる結果となった。
本発明例13と本発明例14の比較において、連続式の混合機を1機用いた前者より2機用いた後者の方がより良好な品質の軽質炭酸カルシウムが得られた。
一方、比較例1では、消化工程の混合機における撹拌羽根周速が不足しているため、微細な消石灰粒子が多く生成され本発明の規定外となり、得られた軽質炭酸カルシウムの品質が著しく悪化した。
また、比較例2では、消化水量が生石灰に対するモル比で3としたため、微細な消石灰粒子が多く生成され本発明の規定外となり、得られた軽質炭酸カルシウムの品質が著しく悪化した。
本発明の方法により、粒径が均一で微細な軽質炭酸カルシウムを、極めて容易かつ安定的に製造することができ、得られた軽質炭酸カルシウムを使用した紙は、白紙光沢度、印刷表面強度など優れた品質が発現される。
1.拡散用攪拌羽根(スキ型ショベル羽根)
2.せん断用攪拌羽根(チョッパー羽根)
3.ミキサ(プロシェアミキサ)
4.前段混合機
5.後段混合機
6.石灰石投入口
7.消化水添加口
8.消石灰排出口

Claims (6)

  1. 生石灰に対するモル比が2.5以下の範囲で消化水を生石灰に添加し混合することにより消石灰を得る工程(A)、該消石灰と水とを混合することにより消石灰スラリーを得る工程(B)、および該消石灰スラリーに二酸化炭素含有ガスを吹き込み炭酸化する工程(C)により構成される軽質炭酸カルシウムの製造方法であって、
    工程(A)の混合を0.5m/s以上の周速で攪拌羽根を回転させる混合機、または0.2m/s以上の周速で容器を回転させる混合機を用いて行い、
    工程(A)で得られる消石灰を、体積粒度分布における粒径1μm以下の粒子の累積体積が20%以下のものとすることを特徴とする軽質炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 前記の混合機が、さらにせん断用攪拌羽根を有し、該羽根の回転周速を3.0m/s以上として混合を行うことを特徴とする請求項1に記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 工程(A)の消化水の添加口を2箇所以上設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 工程(A)の消化水の添加口のうち少なくとも1箇所以上がスプレー方式で噴霧添加されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 工程(A)で得た消石灰を分級および/または粉砕して消石灰粒子の粒径を150μm以下とする工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 工程(C)の炭酸化反応の反応開始温度が20〜50℃であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の軽質炭酸カルシウムの製造方法。
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