JP3995761B2 - 軽質炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウムの製造方法に関するものである。更に詳しく言えば、本発明は、水酸化カルシウム水性懸濁液を原料とし、種晶を用いて粒子径の揃ったカルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軽質炭酸カルシウムは、工業的には石灰石を焼成して得た生石灰を原料に用いて、これと水とを反応させて消石灰水性懸濁液を調製し、これを二酸化炭素と反応させることにより軽質炭酸カルシウムとして製造され、紡錘状、角状、柱状、針状、球状、凝集状などの種々の形態のものが生産され、0.1μm以下の膠質粒子から数μm〜数十μmの粗大粒子までの種々の粒子径のものが生産されている。
【0003】
この粒子径の制御については、工業的には種晶添加法が知られており、例えば、平均粒子径0.1μm未満の極微細立方形炭酸カルシウム水懸濁液に水酸化カルシウムを添加し、炭酸化反応を行い、炭酸カルシウムを製造する方法(特開昭60−90818号公報)、粒径0.01〜0.09μmの極微細種晶を炭酸化反応の途中で添加し、立方体状炭酸カルシウムを製造する方法(特公平3−19165号公報)、カルシウム塩の水溶液に炭酸カルシウム種晶を特定比で添加した後、二酸化炭素を導入することにより、種晶表面に析出する炭酸カルシウムの量を調整して平均粒子径を制御する方法(特開昭63−230520号公報)、一部炭酸化された膠質状水酸化カルシウム水性懸濁液を所定割合で炭酸化率が所定値になるまでに添加して、均一で分散性が良好な所定紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法(特公平8−18827号公報)、この方法を酸化カルシウムの湿式消化後の水性懸濁液を液体サイクロン処理して調製された水酸化カルシウム水性懸濁液を原料に用いて行う方法(特開平6−56422号公報)などが提案されている。
しかしながら、これらの方法では、炭酸カルシウムの粒径を制御するのに必要な種晶の添加量が多くなり、それに伴い、所望の炭酸カルシウム粒子形状以外の粒子の存在量も増加するという欠点がある。
また、先に本発明者らは、種晶として一部炭酸化された膠質状水酸化カルシウム水性懸濁液を5重量%以下で炭酸化率が所定値になるまでに添加して、長径1〜5μm、短径0.3〜1.5μmの紡錘状炭酸カルシウムを製造する方法(特公平8−18827号公報)を提案したが、この方法では、粒子径のばらつきが生じ、品質が不安定になるなどの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような種晶を用いてカルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウムを製造する従来法の欠点を克服し、効率よく工業的に有利に粒子形状の安定し、粒子径の揃ったカルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウムを製造する方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、軽質炭酸カルシウムの工業的製法を開発するために種々研究を重ねた結果、水酸化カルシウム水性懸濁液と特定量の種晶をある程度以上の高速で混合処理することにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、水酸化カルシウム水性懸濁液及び一部炭酸化された水酸化カルシウム水性懸濁液の一方又は両方と種晶を混合したのち、得られた水性懸濁液に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込み炭酸化することによって軽質炭酸カルシウムを製造するに当り、種晶の添加量を水酸化カルシウム重量換算で2〜30重量%とし、最初撹拌周速10m/s以上の剪断撹拌速度で混合したのち、撹拌を続け、あるいは撹拌せずに炭酸化率100%になるまで反応させることを特徴とするメディアン径2.95μm以下のカルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウムの製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、種晶を用いて製造される軽質炭酸カルシウムすべてに適用可能であり、種晶を用いて結晶を粗大化させる場合にも、また種晶を用いて結晶を極小化させる場合にも適用可能であり、特に種晶を用いて結晶を極小化させる場合に効果を発揮する。
【0008】
軽質炭酸カルシウムについては、軽微性炭酸カルシウム工業組合においては膠質品、普通品に分類し、普通品は、結晶がカルサイト又は一部アラゴナイトが混入したカルサイト(以下、アラゴナイト部分混入カルサイトということもある)であり、結晶形状が紡錘型又は偏三角面体型(scalenohedral)であるものの生産が主流である。通常の製造方法は、円筒型又は円筒で下部のみ円錐になっている円筒コーン型等の半回分式反応器に水酸化カルシウム水性懸濁液を仕込み、反応器内に二酸化炭素含有ガスを導入し、炭酸化反応を行い、炭酸カルシウム水性懸濁液を得る。
結晶がカルサイト又はアラゴナイト部分混入カルサイトであり、結晶形状が紡錘型又は偏三角面体型(scalenohedral)である軽質炭酸カルシウムは、電気代低減や設備費低減のために高速撹拌を行なわずに、無撹拌や低速撹拌のみで炭酸化反応を行い、所望の粒子を得るが、種晶添加法で製造する場合には、液撹拌が弱いため、種晶と水酸化カルシウム水性懸濁液との混合性が悪くなり、炭酸カルシウムの品質が不安定になるなどの問題が生じる。
得られる軽質炭酸カルシウムの結晶の確認には、XRDが用いられ、好適な結晶は、アラゴナイト第一ピークとカルサイト第一ピークの高さ比率が50%以下、好ましくは5%以下のもの、さらに好ましくは、アラゴナイトのピークが確認できないものである。
【0009】
本発明方法においては、種晶は、水酸化カルシウム水性懸濁液及び一部炭酸化された水酸化カルシウム水性懸濁液の一方又は両方、すなわち水酸化カルシウム水性懸濁液又は一部炭酸化された水酸化カルシウム水性懸濁液又は両者と混合される。この混合処理は、二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込み炭酸化する炭酸化反応の前、好ましくは反応直前に行われるか、あるいは炭酸化反応時に行われる。炭酸化反応時の混合処理は、特に反応初期の間に行うのが好ましい。そして、この撹拌処理後、さらに撹拌を続けるか、あるいは撹拌なしに炭酸化率が100%に達するまで反応を行う。
最初撹拌周速10m/s以上の剪断撹拌処理により行うことが必要である。剪断撹拌処理とは、混合成分を該成分相互間に剪断力をかけながら撹拌する処理を意味する。撹拌周速10m/s未満では、種晶と所定水酸化カルシウム水性懸濁液との混合性が悪くなり、粒子径のばらつきが生じ、また種晶必要量が増大する。撹拌周速が速いほど液の混合性は良くなり、粒子径のばらつきが少なくなり、また種晶必要量が減少する。
【0010】
また、混合処理は、好ましくは液撹拌型である、混合槽、混合ポンプ又は炭酸化反応を行わせる炭酸化反応槽を用いて行われる。これら液撹拌型の装置には、液の剪断力を高めるために、邪魔板を設置することが好ましい。上記液撹拌型の混合槽として好ましいのは、ディスパー(デスパーともいわれる)であり、一軸型や二軸型のものがある。このディスパーの例としては、コーレスミキサー、高速撹拌式ディスパーザー、コーネルデスパー、同芯二軸デスパー、バッチレンジャー、ディアミックス(Diamix)などが挙げられる。上記撹拌周速要件を満たさない、低速撹拌型や無撹拌型の炭酸化反応槽を用いる場合、混合処理は上記撹拌周速要件を満たす液撹拌型である、混合槽や混合ポンプで行うのが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる種晶は、所望の粒子形状を得るために通常使用されるものであれば特に制限されないが、結晶形状が紡錘型の炭酸カルシウムを得るために、紡錘型炭酸カルシウムが用いられ、種晶の添加率は、原料水酸化カルシウムに対し、水酸化カルシウム重量換算で2〜30重量%、好ましくは2〜5重量%の範囲で選ばれる。この添加率は、所望の粒子径により変化し、炭酸カルシウム粒子の極小化度が少ないときには、添加量が少なく、極小化度が大きいときには添加量は多くする。この添加率が2重量%未満では、極小化の効果が得られないし、また30重量%を超えると所望の粒子以外の粒子の存在比率が多くなり、物性が低下してしまう。
膠質状炭酸カルシウムは、極微細状炭酸カルシウム又は極微細立方形炭酸カルシウムとも称し、0.01〜0.5μm程度の膠質状粒子である。
一部炭酸化された膠質状水酸化カルシウムは、石灰乳に二酸化炭素を吹き込み炭酸化反応させる膠質状炭酸カルシウムの製造の途中で炭酸化を中断することによって調製することができる。この一部炭酸化された膠質状水酸化カルシウムの好適な調製法としては、濃度2〜5重量%の原料石灰乳を5〜20℃の範囲の温度に調整し、出発時の水酸化カルシウム1kg当り100%二酸化炭素(1気圧、20℃のガス状態)換算で3〜12L/分(以下、記号Lはリットルを示す)、好ましくは4〜8L/分の二酸化炭素含有ガスを吹き込み、炭酸化率10〜50%、好ましくは15〜25%になったところで上記ガスの吹き込みを停止する方法(特開平6−56422号公報)が挙げられる。
【0012】
本発明に用いられる水酸化カルシウム水性懸濁液は、酸化カルシウムを乾式消化して得られる水酸化カルシウムに水を添加し混合乳化することによっても得られるが、好ましくは酸化カルシウムを湿式消化した水酸化カルシウム水性懸濁液が用いられる。
また、水酸化カルシウム水性懸濁液は、残さを除去して使用することが好ましい。残さの除去は、スクリーン、篩、液体サイクロン等を単独で又は組み合わせて行われ、通常は、粗粒を除去した後に、微粒の除去を行う。この残さには、シリカや鉄酸化物、表土、木片などの不純物、未消化の酸化カルシウム、未焼成の石灰石、水酸化カルシウムの粗大粒子などが含まれる。要求品質に応じて、カットポイントを細かくするのが好ましく、特にカットポイントが20μm以下の液体サイクロンを用いるのが好ましい。カットポイントを粗くすると粒子の均一性が低くなり、また凝集粒子の存在も増大するため、物性が低下する。
【0013】
本発明方法においては、炭酸化反応に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスが用いられるが、工業的には二酸化炭素含有ガスが好ましい。
二酸化炭素含有ガスとして好適には、二酸化炭素を含有する混合ガス、例えば石灰石焼成キルン排ガスなどの石灰石焼成排ガス、パルプ製造プラントの石灰焼成排ガス、セメント製造キルン排ガス、発電ボイラー排ガス、ゴミ焼却排ガスなどが用いられる。
二酸化炭素含有ガスとして上記各種排ガスを用いる場合には、排ガス中に石灰石、石灰、硫黄酸化物、未燃焼カーボン等のダストが含まれているのでダストを、バグフィルター、電気集塵機、乾式スクラバー、湿式スクラバーあるいは、それらの組み合わせで除塵して排ガスを浄化するようにする。
上記排ガスは、乾性ガスであってもよいし、また湿性ガスであってもよく、乾性ガスの場合には、前もってバグフィルターや電気集塵機である程度浄化した後、さらに、湿式スクラバーで所望程度まで浄化するのが好ましく、また湿性ガスの場合には多段の湿式スクラバーで所望程度まで浄化するかあるいは前もって湿式電気集塵機である程度浄化した後さらに湿式スクラバーで所望程度まで浄化するのが好ましい。
【0014】
本発明において、必要に応じて、炭酸化反応終了後もしくは炭酸化率90%以上でリン化合物を添加することもでき、それによりゼータ電位がプラス側にシフトするため、紙に内填した場合、填料歩留まり率や不透明度を向上させることができる。リン化合物の添加量は炭酸カルシウム乾物重量当り0.05〜2重量%の範囲で選ぶのがよい。リン化合物としては、例えばリン酸、リン酸アンモニウムのようなリン酸塩、ヘキサメタリン酸やそのナトリウム塩のような縮合リン酸やその塩などが用いられる。
【0015】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。
【0016】
各物性については、次のとおりである。
(1)メディアン径:マイクロトラックSPA II型(商品名:日機装社製、レーザー式粒度分布測定計)で測定した平均径である。
(2)+10μm頻度:マイクロトラックSPA II型で測定した10μm以上の頻度である。
(3)SEM粒子径:SEM写真(倍率×10,000)で観察される粒子50〜100個についてそれぞれ短径及び長径をデジマチックノギスで求めた測定値の平均値である。
(4)固形分濃度:MettlerLP−16型(メトラー社製、赤外線水分計)を用い105℃で測定した。
(5)粘度:ブルックスフィールド型(B型)粘度計を用い60rpm(25℃)で測定した。
(6)ゼータ電位:PEN KEM社製、レーザ回転プリズム方式測定装置で測定した。
【0017】
また、紙質物性は、下記方法に準拠して行った。
歩留まり:JIS P8129
灰分 :JIS P8128
白色度 :JIS P8123
不透明度:JIS P8136
引張強度:JIS P8113
白紙光沢度:JIS P8142
印刷光沢度:JIS P8142(インクとしてTKUG−ロ 0.4mlを使用)
平滑度(Smooster):JAPAN TAPPI No.5
平滑度(Bekk):JIS P8119
透気度:JIS P8117
K&N受理性:JAPAN TAPPI No.46
インクセット性:印刷後のインクの転写をハンター白色度計により測定した。
RI強度(ドライピック):RI−2印刷適正試験機を用い、50回印刷後の紙の剥け状態を目視にて5〜1(数値の高いものほど良好)の5段階で評価した。
RI強度(ウエットピック):湿し水で濡らした後、印刷を行い、紙の剥け状態を目視にて5〜1(数値の高いものほど良好)の5段階で評価した。
【0018】
各例に用いた酸化カルシウムは、天然産石灰石を水洗後、Cサイズ(60〜30mm)に粒度調整し、ベッケンバッハ炉で焼成したJIS特号相当品の酸化カルシウムを篩い分けし、粒分(60〜10mm)をジョークラッシャーで10〜0mmに粉砕したものである。
各例に用いた二酸化炭素含有ガスは、0.5g/Nm3のダスト濃度をバグフィルターで0.005g/Nm3にさらに湿式スクラバーで0.003g/m3に減少させて除塵することによって浄化した、二酸化炭素濃度30容量%のベッケンバッハ型石灰焼成炉排ガスである。
【0019】
比較例1
1000Lの容器に東京都西多摩郡瑞穂町の水道水を600L入れ、60℃に温度調整した後、撹拌機で撹拌周速2.6m/s(500rpm)で撹拌しながら、酸化カルシウム50kgを投入し、撹拌を継続し、投入から30分後に325メッシュ篩でろ過を行い、100g/Lの濃度の原料水酸化カルシウム水性スラリーを得た。
原料水酸化カルシウム水性スラリーを一部分取し、水道水を添加し、30g/Lの濃度の水酸化カルシウム水性スラリーを得、このスラリー30Lを容量50Lのバッチ式邪魔板付きコーレスミキサー(円筒型)に仕込み、15℃に調整した後、撹拌周速10m/s(2550rpm)で撹拌しながら、二酸化炭素含有ガスを水酸化カルシウム1kg当たり100容量%換算で10NL/minの割合で吹き込み、炭酸化率が30%になるまで反応させて、一部炭酸化された膠質状水酸化カルシウム水性懸濁液を得、このものを325メッシュ篩でろ過し、種晶とした。
容量50Lのバッチ式邪魔板付きコーレスミキサーに原料水酸化カルシウム水性スラリー30Lを入れ、上記種晶を水酸化カルシウム固形分換算で1重量%添加し、撹拌周速10m/s(2550rpm)で60分間撹拌し、次いで得られたスラリーを撹拌機のない円筒コーン型半回分式反応器に仕込み、50℃に調整した後、二酸化炭素含有ガスを水酸化カルシウム1kg当たり100容量%換算で5NL/minの割合で吹き込み、炭酸化率が100%になるまで反応させて炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が3.82μm、SEM粒径が、平均長径1.80μm、平均短径0.51μmのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0020】
比較例2
上記コーレスミキサーでの撹拌処理における撹拌周速を25m/s(6400rpm)に変えた以外は、実施例1と同様にして炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が3.76μm、SEM粒径が、平均長径1.50μm、平均短径0.45μmのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0021】
【0022】
実施例1
比較例1と同様にして得た原料水酸化カルシウム水性スラリーを2液分離型のカットポイント10μmのスーパークロンT−10(大石機械社製、液体サイクロン)に通し、レーザー式粒度分布のメディアン径が2.80μm、10μm以上の頻度が2重量%、濃度が80g/Lの原料水酸化カルシウム水性スラリーを調製した後、このスラリーを連続式邪魔板付きコーレスミキサーに入れ、比較例1と同様にして得た種晶を水酸化カルシウム固形分換算で2重量%添加し、撹拌周速10m/s(4000rpm)、平均滞留時間2分で撹拌処理し、次いで得られたスラリーを撹拌機のない円筒コーン型半回分式反応器に仕込み、50℃に調整した後、二酸化炭素含有ガスを水酸化カルシウム1kg当たり100容量%換算で5NL/minの割合で吹き込み、炭酸化率が100%になるまで反応させて炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が2.94μm、SEM粒径が、平均長径0.90μm、平均短径0.30μmのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0023】
実施例2
連続式邪魔板付きコーレスミキサーでの撹拌処理における撹拌周速を25m/s(10000rpm)に変えた以外は、実施例1と同様にして炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が2.72μm、SEM粒径が、平均長径0.75μm、平均短径0.27μmのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0024】
比較例3
連続式邪魔板付きコーレスミキサーでの撹拌処理における撹拌周速を5m/s(2000rpm)に変えた以外は、実施例2と同様にして炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が3.12μm、SEM粒径が、平均長径1.1μm、平均短径0.35μmのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0025】
実施例3
比較例1と同様にして得た原料水酸化カルシウム水性スラリーを2液分離型のカットポイント10μmのスーパークロンT−10(大石機械社製、液体サイクロン)に通し、レーザー式粒度分布のメディアン径が2.80μm、10μm以上の頻度が2重量%、濃度が80g/Lの原料水酸化カルシウム水性スラリーを調製した後、このスラリーを連続式邪魔板付きコーレスミキサーに入れ、実施例1と同様にして得た種晶を水酸化カルシウム固形分換算で2重量%添加し、撹拌周速25m/s(10000rpm)、平均滞留時間2分で撹拌処理し、次いで得られたスラリーを撹拌周速3m/s(760rpm)で作動される低速撹拌機を備えた円筒型半回分式反応器に仕込み、50℃に調整した後、二酸化炭素含有ガスを水酸化カルシウム1kg当たり100容量%換算で5NL/minの割合で吹き込み、炭酸化率が100%になるまで反応させてpH7.5の炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が2.95μm、SEM粒径が、平均長径0.75μm、平均短径0.26μm、ゼータ電位が−5mVのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0026】
実施例4
炭酸化率が99.9%になるまで反応させた以外は実施例3と同様にしてpH8.5の炭酸カルシウム水性懸濁液を得た。このものにヘキサメタリン酸ソーダを炭酸カルシウム乾物重量比で0.2重量%添加した。このものを325メッシュ篩でろ過して得た炭酸カルシウムは、メディアン径が2.69μm、SEM粒径が、平均長径0.74μm、平均短径0.25μm、ゼータ電位が+5mVのカルサイト型紡錘状粒子であった。
【0027】
応用例1
実施例1〜4、比較例1〜3で得た炭酸カルシウム水性スラリーをフィルタープレスでろ過脱水を行い、固形分濃度40重量%の脱水ケーキを得、コーレスミキサーにて水を添加後、脱水ケーキをスラリー化し、固形分濃度20〜21重量%、粘度150〜450cPの炭酸カルシウム水性スラリーを得た。
このスラリーを適当に希釈して、広葉樹クラフトパルプ(350csf)と針葉樹クラフトパルプ(450csf)とを重量比7:3で混合したパルプ原料100重量部に配合し、さらに紙力増強剤としてカチオン化澱粉0.2重量部、中性サイズ剤としてアルキルケテンダイマー0.2重量部、歩留まり向上剤としてポリアクリルアミド0.02重量部を添加し、填料添加率をパルプに対し、15%とし、坪量60g/m2で角形シートマシーンを用いた手抄きにより、炭酸カルシウム内填紙を得た。これらの物性を表1にそれぞれ示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【0030】
これより、実施例1〜4で得られた炭酸カルシウムは、比較例1〜3で得られたそれと比較し、白色度や不透明度が優れていることがわかる。
【0031】
応用例2
実施例1、2、比較例1〜3で得た炭酸カルシウム水性スラリーをフィルタープレスでろ過脱水を行い、固形分濃度40重量%の脱水ケーキを得、その後ベルトプレスで圧縮脱水を行い、固形分濃度66重量%の脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキにSN−206(サンノプコ社製、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤)を炭酸カルシウムに対し、固形分換算で1.0重量%添加し、コーレスミキサー(6400rpm、撹拌周速25m/s)で5分間一次分散を行い、サンドグラインダーSLG1/2型(アイメックス社製、連続式サンドミル)で二次分散を行い、固形分濃度65〜66重量%、粘度20〜50cPの炭酸カルシウム水性スラリーを得た。
このスラリーを顔料組成物に用い、その100重量部にスターチ(日本食品加工#4600)3重量部とSBR(JSR0692)12重量部とノプコートC104( サンノプコ社製、ステアリン酸カルシウム系潤滑剤)1.5重量部と水を加え、アンモニア水でpH調整を行い、固形分濃度55重量%の塗工カラーを調製し、市販の上質紙にコーティングロッドで手塗りにて塗工を行い(54g/m2)、105℃で2分乾燥後、調湿を行い、スーパーカレンダー処理(線圧:100kg/cm、処理温度:105℃、処理速度:8m/分、ニップ回数:2回)を行い、紙質試験を行った。それらの結果を表2にそれぞれ示す。
【0032】
【表2】
【0033】
これより、実施例1及び2で得られた炭酸カルシウムは、比較例1〜3で得られたそれと比較し、白紙光沢が優れていることがわかる。
【0034】
【発明の効果】
本発明方法によれば、従来の種晶添加法と比較し、粒子径の均一性が向上し、粒子径が揃い、ぶれが少なくなり、その結果品質特に白紙光沢が向上し、また、種晶の添加量を節減することができ、さらに均一で分散性良好な軽質炭酸化カルシウム特に結晶がカルサイト又は一部アラゴナイトが混入したカルサイトであり、結晶形状が紡錘型である軽質炭酸カルシウムを得ることができる。
Claims (3)
- 水酸化カルシウム水性懸濁液及び一部炭酸化された水酸化カルシウム水性懸濁液の一方又は両方と種晶を混合したのち、得られた水性懸濁液に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込み炭酸化することによって軽質炭酸カルシウムを製造するに当り、種晶の添加量を水酸化カルシウム重量換算で2〜30重量%とし、最初撹拌周速10m/s以上の剪断撹拌速度で混合したのち、撹拌を続け、あるいは撹拌せずに炭酸化率100%になるまで反応させることを特徴とするメディアン径2.95μm以下のカルサイト型紡錘状軽質炭酸カルシウムの製造方法。
- 水酸化カルシウム水性懸濁液として液体サイクロンにより残さを除去したものを用いる請求項1記載の製造方法。
- 炭酸化反応終了後もしくは炭酸化率90%以上でリン化合物を添加する請求項1又は2記載の製造方法。
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