JP3959535B2 - 微粉水酸化カルシウムの製造方法および製造装置 - Google Patents

微粉水酸化カルシウムの製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粉末であり、従って反応性の高い水酸化カルシウムの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水酸化カルシウムを製造する従来一般的な方法は、「消化機」とよばれる一次反応槽内で、生石灰すなわち酸化カルシウムに理論水和量の2倍前後の水を加え、続いて「熟成機」とよばれる二次反応槽内でゆっくり撹拌して、均一化をはかるとともに過剰の水分を除去し、消石灰すなわち水酸化カルシウムとする、いわゆる乾式消化法である。
【0003】
乾式消化法の問題点は、凝集体が生じやすく、従って製品水酸化カルシウムの粒度が広い範囲に分布することである。 その原因としては、水和反応が急速に進行するため結晶面が平均して成長せず、二次的に発生する表面エネルギーが凝集をひきおこし、粗大な粒子ができるためと考えられている。
【0004】
理論水和量を大きく超える多量の水の存在下に水和を行なう、いわゆる湿式消化法は、液相から水酸化カルシウムを晶出させる方法であり、水の分散作用もあって、微細な粉末を与える。 しかし、湿式消化を行なって乾燥水酸化カルシウムを得るには乾燥工程を必要とし、そのためのエネルギー消費が多量であるばかりか、乾燥時に凝集固化したものを粉砕する必要が生じることもあり、粉体を得ようとする場合には、有利な方法ではない。
【0005】
一方、微粉末であって反応性の高い水酸化カルシウムに対する需要は、増大しつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、消費エネルギーおよび工程数の面から有利な乾式消化法において、生成する水酸化カルシウム粒子の凝集を避け、粗大な粒子が生成しないようにして水酸化カルシウムを製造し、それにより、微細であって反応性が極めて高い製品を得ることが可能な製造方法を提供することにある。
【0007】
そのような方法の実施に使用する装置を提供することもまた、本発明の目的のひとつである。
【0008】
さらに本発明の目的には、上記の製造方法の実施に当って、一時的な中断があったのち装置の運転を再開するときに、時間および原料のロスを実質上ゼロに近い最小限に止めることができるような製造方法と、そのための装置とを提供することも包含される。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の微粉水酸化カルシウムの製造方法は、消化機中で酸化カルシウムに水を加えて水和反応を行なうことにより水酸化カルシウムを製造する方法において、原料酸化カルシウムを消化機の一方の端に送給し、これを混合・撹拌・解砕しつつ他方の端に向けて移動させ、その移動経路上に設けた複数のノズルから水を供給するとともに反応物の温度を測定し、測定された温度にもとづいて各ノズルから供給する水量を調節することにより、反応物の温度を100〜110℃の範囲内に維持しつつ水和反応を進め、かつ水和反応熱により発生した水蒸気を系外に排出することにより消化機内が加圧されることを防ぎ、水蒸気による水和を最小限に抑えるとともに反応物の温度の維持を容易にしつつ操業することを特徴とする。
【0010】
上記の方法を実施するに適した、本発明の、微細であって反応性の極めて高い水酸化カルシウム粉末を製造する装置は、図1および図2に示すように、一方の端に、原料酸化カルシウムの送給口(11)を有し他方の端に製品水酸化カルシウムの排出口(12)を有するとともに消化水が蒸発して生じる水蒸気の出口を設けた筒状の反応槽の形をした消化機(1)の内部に、粉体を混合・撹拌・解砕しつつ移送し、移送方向の一部において逆送機能を有し、それによって反応物のバックミキシングを可能にした移送手段(13)をそなえ、かつ移送経路上に複数の水供給ノズル(3:3A,3B,3C,…)を設けるとともに反応物の温度を測定する複数の温度センサー(4:4A,4B,4C,…)を設けてなる消化機(1)に、温度センサーが測定した温度のデータにもとづいて水供給ノズルからの水量を調節するコントロール手段(5)を付加したことを特徴とする。
【0011】
図1において、符号(6A)は酸化カルシウムを容れてある原料ホッパー、(6B)は消化水タンク、(6C)はその定量送給装置、(7)は水酸化カルシウムを受けとる製品ホッパーである。
【0012】
この装置は、図示したように、消化機(1)の上方に直結してバッグフィルター(8)を設け、水和反応熱により発生した水蒸気を直ちに系外へ逸出させるとともに、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムの粉末は系へ戻るように構成するとよい。
【0013】
粉末の混合・撹拌・解砕を確実にするために、反応槽の内壁に、移送手段とは別個に、高速で回転する混合・撹拌・解砕用の羽根(9)を、好ましくは複数箇、そなえるとよい。
【0014】
移送手段(13)が、その軸方向の一部において逆送機能を有し、それによって反応物のバックミキシングを可能にすることは、均一な水和を行なう上で有効である。
【0015】
運転の一時的停止および再開に関する本発明の方法は、停止期間の長短によって、二つの態様がある。 そのひとつは、停止期間が比較的長く、たとえば半日以上数日に及ぶ場合であって、上記した微粉水酸化カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停止した場合に、運転再開に先立って消化機を外部から加熱して、消化機およびその内容物の温度を100℃以上に上昇させ、その後に原料酸化カルシウムおよび水を供給して運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるようにしたことを特徴とする。
【0016】
いまひとつは、停止期間が比較的短く、たとえば数時間以内の場合であって、上記した微粉水酸化カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停止した場合に、消化機を外部から加熱し続けて消化機およびその内容物の温度を100〜110℃の範囲の温度に保持しておき、原料酸化カルシウムおよび水を供給して運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるようにしたことを特徴とする。
【0017】
上記した運転の一時的停止に関する諸態様を実施するのに適した装置は、消化機を構成する筒状の反応槽の外壁に加熱手段をそなえ、運転停止後に消化機を加熱してその内容物の温度を維持または上昇できるように、具体的には100〜110℃の温度を維持し、またはそれより低い温度たとえば常温から100℃に速やかに上昇できるようにしたものである。
【0018】
運転停止期間が短い場合は、若干の加熱エネルギーを消費しても、消化機とその内容物の温度を維持しておくことにより、運転の再開が即座に行なえる。 運転停止期間が長くなると、その間中消化機を加熱し続けることは加熱エネルギーの消費量の増大を招いて不経済になるので、運転再開の予定が定まったところで加熱をはじめる方が有利である。 加熱開始から運転再開までに要する時間は、単位時間に投入できるエネルギー量によって異なり、それが大きいほど短時間で運転再開が可能である。 しかし、より大きい投入エネルギーはより大きい加熱容量を、従ってより高い投資額を必要とする。
【0019】
消化機の温度を維持するための加熱手段は、電熱や燃焼ガスなど任意であるが、温度のコントロールが容易であるという観点から、図3に示すように、ジャケット(14)に熱媒体を通す態様が好ましい。 熱媒体は、ヒーター(21)、ポンプ(22)および温度センサー(23)を配管で連絡した熱媒体加熱循環手段(2)により適切な温度を与えられて、ジャケットを流れる。
【0020】
使用する熱媒体にはとくに制約は加えられず、経済性、入手しやすさ、メンテナンスの都合などの観点から選択すればよい。 耐熱性鉱油は、好適な例のひとつである。
【0021】
そのほか、ジャケットによる消化機の加熱は、既知の技術に従って実施すればよい。 たとえば、製作や保守、交換を容易にし、かつ熱媒体の流動を均一にするため、流路をいくつかに分割したり、ガイド板を設けたりすることが推奨される。 図3に示した装置は、ジャケットに入る熱媒体の温度を測定してヒーターの加熱条件をコントロールする構成であるが、ヒーターからジャケット入口までの熱媒体温度の低下がほとんど無視できるか、またはほぼ一定である場合は、ジャケットの出口側の熱媒体温度を測定して、ヒーターの加熱条件をコントロールすることもできる。
【0022】
【作用】
従来の乾式消化によるときは、水和反応熱で反応物は局部的に高温に達する。このため、水和反応が急激に進行し、前記した粒子の凝集と粗大化が進行するものと考えられる。 また、乾式消化においては、反応熱で加えた水の一部が蒸発して飛散するにもかかわらず、水和反応が完了することから、消化の大部分は水蒸気により行なわれると考えられている。
【0023】
いずれにしてもこれまでの乾式消化は、酸化カルシウムに必要量の水を消化槽で一気に添加して、酸化カルシウムと水とが不均一な混合状態であっても消化反応が進むにまかせ、続いて熟成槽において、局部的に過剰であった水を局部的に不足(水和が不完全)なところに移し、全体としてほぼ均一な水和が達成されるようにしたものである。
【0024】
これに対して本発明では、急激な水和がもたらす粒子の凝集および粗大化を避けるため、系の温度を100〜110℃の範囲内に維持することにした。 下限の100℃は常圧で過剰な水分を除去するために必要であり、上限の110℃は、水蒸気による消化を最少限に抑え、粒子の凝集・粗大化を防ぐ上での限界である。
【0025】
この狭い範囲に反応物の温度をコントロールするため、本発明では水を一気に添加せず、原料酸化カルシウムが消化機内を移送されて行く経路上で、複数のノズル(3A,3B,3C…)から少しずつ添加するとともに、反応物の温度を移送経路上の複数の点で温度センサー(4A,4B,4C…)により測定し、対応するノズルからの供給水量をコントロールする。 これはたとえば、図2において符号(4B)で示される温度センサーの示度が107℃を超えたときはノズル(3B)の供給水量を温度を下げる方向すなわち水量減少の方向にコントロールするような設定をコントロール手段(5)に対して行なっておくことにより実現する。 測定温度と供給水量との間にあるべき関係は、使用する原料酸化カルシウムの粒子サイズ、残存CO2 量、活性度などによって多少異なるので、実施に当って必要ならば多少の実験をして定める。 原料酸化カルシウムについていえば、活性度のあまり低いものは、一般に結晶が大きく、比表面積および気孔率は小さいため水和反応性が低く、消化原料としては好適といえない。 逆に、活性度の高すぎるものは水和反応が速すぎて、本発明で意図する温度コントロールが困難である。
【0026】
本発明の好ましい態様について説明すれば、まず、水和熱により発生した水蒸気を消化機の上方でこれに直結したバッグフィルターに導いて系外に排出すると、消化機内に水蒸気が滞留したり内部で移動したりすることが少なくなり温度コントロールが容易になるとともに、水蒸気消化が最小限に抑えられる。 水蒸気に伴われて上昇した水酸化カルシウムまたは微量の酸化カルシウムの微粉末は、バッグフィルターで捕集されて系に戻ることはいうまでもない。
【0027】
本発明で意図した狭い温度範囲の維持にとって、反応物の十分な混合および撹拌は必要不可欠である。 従って、粉末を移送するための移送手段は混合・撹拌の能力が高いことが求められる。 しかし混合・解砕を確実にするためには、この移送手段とは別に、消化機の内壁に、高速で回転する混合・解砕用の羽根(2〜8枚組)を、好ましくは移送手段の軸方向の左右に少なくとも一対はそなえた装置を使用するとよい。 それにより、表面だけが消化された酸化カルシウムの塊ができても、この羽根でバラバラにされ、後続のノズルから供給される消化水の均一な分散が助けられる。
【0028】
移送手段の一部に粉体を逆送する機能を与え、それによって消化機内で一部の反応物だけが出口方向に向って短時間で流れ出すことを防ぎ、反応物のバックミキシングが行なわれるようにすることも、混合・撹拌のための特別の手段をそなえることと並んで有用である。
【0029】
本発明に従って消化機内で十分な混合・撹拌・解砕を行ないつつ順次水和を進めることにより、従来技術のように熟成機を使用することなく、水酸化カルシウムを得ることができる。 水酸化カルシウムは、消化機の他方の端から排出され、スクリーンを通ったのち、製品となる。 消化機の排出口(12)は、スライドを調整することによりオーバーフロー量を任意にコントロールできるエンドプレート型が適当である。
【0030】
このようにして、石灰石仮焼により得た生石灰すなわち酸化カルシウムを原料とした場合、その100重量部に対して、通常、50〜80重量部の消化水が添加されて、微細で反応性の高い水酸化カルシウムが得られる。 後記する例に示すように、本発明によれば10μm以下の微粉を80%以上含むものが容易に得られ、これを分級すれば、たとえば全量が10μm以下であるような製品を、簡単かつ高収率で得ることができる。
【0031】
消化作業の一時的停止は、装置それ自体の点検や修理を行なう場合に限らず、原料である酸化カルシウムの供給や製品である水酸化カルシウムの処理にトラブルが生じたときにも必要になる。 運転を停止して水和反応熱が発生しなくなると、消化機もその内容物も冷え、温度は常温にまで低下する。 運転を再開したとき、水和反応熱の大部分は残留反応物や消化機に奪われて、所定の温度に達するまでかなりの時間がかかる。 この間の製品の多くは、規格に合致した品質レベルに達しないので、廃棄せざるを得ない。 とくに冬の厳寒期には、消化機や付属設備に消化物が付着して、運転の再開を妨げることがある。
【0032】
これでは時間をロスし歩留りが低くなったり、さらには生産計画に狂いが出たりするので、運転停止時には消化機の内容物をすべて払い出した方がよい。 消化機内が空の状態で運転を再開したときは、まず適正な量と温度の反応物浴を形成しなければならないから、所定量の酸化カルシウムを投入するとともに、それに対応する量の消化水を注入し、全体を撹拌して消化をはかる。 消化が完全に行なわれて意図した反応物浴が形成されれば、以後は原料と消化水を連続的に供給して定常状態の運転に入る。 定常運転開始後に生成した反応物は目標とする品質レベルにあるが、それ以前の製品は合格するとは限らず、操業時間のロスと歩留りの低さとは、根本的には改善されない。
【0033】
いうまでもないが、運転停止時の消化機内容物の払い出しを行なわないで済めば、操業を簡単にできて有利である。 また、運転再開時に直ちに定常的な運転に入れれば、規格外の製品はほとんど発生しない。 本発明に従って、運転停止後、運転再開に先立って消化機を外部から加熱してその内容物の温度を上昇させてから原料の供給をするか、または加熱を続けて内容物の温度を維持しておくことにより、再開後ごく短時間で定常運転の状態に戻って、安定な連続運転が可能になる。 その結果、生産性と歩留りの向上がもたらされる。
【0034】
【実施例1】
図1に全体構成を示し、図2に消化機内部の構造を示した装置(5本のノズルと5箇の温度センサーとをそなえる)を使用して、粒度−20mmの酸化カルシウムを消化した。 各温度センサーの読みに応じて対応するノズルの給水量を調節し、消化機内の温度を105±2℃に保持した。
【0035】
得られた水酸化カルシウムについて、またこれを気流分級機を用いて分級して得られた製品について、粒度分布を測定した。 分級前のものは85%以上が10μm以下であり、分級して微粉を集めたものは全量が10μm以下であった。累積体積%のグラフを、市販のJIS特号消石灰のそれと比較して図3に示す。
【0036】
続いて、製品水酸化カルシウムの反応性のめやすとして、塩化水素ガス除去率および電気伝導度を測定した。 それぞれの試験法を、下に記す。
【0037】
(水酸化カルシウムの塩化水素ガス除去率)
内径8.5mmの管内に水酸化カルシウム約50mgを充填し、これにHClを0.4容量%、水蒸気を50容量%含有する200℃の混合ガスを、流速が4.4m/minとなる条件下に20分間通し、出口におけるHClガスの濃度を測定して除去率を算出する。
【0038】
(水酸化カルシウムの電気伝導度)
脱イオン水に水酸化カルシウムのスラリーを、濃度が約0.8g/lとなるように瞬時に投入し、時間の変化に伴う電気伝導度の上昇を追跡する。 最大電導度(飽和時)の90%および99%に達するまでの時間をもって、データとする。
【0039】
試験結果を、前記した市販のJIS特号消石灰と比較して、下に示す:
Figure 0003959535
本発明の製品は、水に対する溶解も非常に速やかであり、ガス中のHClに対する反応性は高い。
【0040】
【実施例2】
図3に示す手段により温度維持をはかった消化機を使用して、運転の停止と再開を行なった。 この装置は直径1m、長さ4mで、1時間あたり7トンの微粉水酸化カルシウム製造能力を有する。 消化機の直胴部から両端の鏡板部の全体にわたって(バッグフィルターとの接続部は除く)、オイル用ジャケットを設けてある。 ジャケットは流動スリット幅(消化機外壁とジャケット内壁との間隔)15mmで、長手方向に3分割してある。 ここに、熱媒体としてA重油を最大25m3/hrに流通させた。
【0041】
従来技術により、停止時に内容物の払い出しをし、装置が常温まで冷えた場合の再開時に定常状態に戻るまでの反応物と消化機の温度変化は、図5に示すとおりであって、目標とする反応物溶が形成される(A点)まで37分間、完全な定常状態を回復し、目標とする品質レベルの製品が得られるようになる点(B点)に達するまでには、56分間を要した。
【0042】
これに対し本発明に従って、内容物を含めた消化機の温度を定常運転に最適の105±2℃に維持した場合は、図6に示すように、再開当初若干の温度低下が生じたが、3分余りで回復し、再開時の生成物も含めて、品質はすべて目標とするレベルに達していた。
【0043】
【実施例3】
実施例2と同じ装置を使用して行なっていた酸化カルシウムの消化を停止し、消化機の内容物を入れたまま、内部の温度の変化を追跡した。 結果はつぎのとおりで、16時間後に周囲温度と等しくなった:
Figure 0003959535
【0044】
運転再開予定の時刻より1.5時間前から、消化機のジャケットに温度180℃のオイルを流通させ、加熱を開始した。 それと同時に、消化機の移送手段をゆっくりと回転させて、内容物の温度の平均化をはかった。
【0045】
加熱開始後83分経過したとき、消化機内の5カ所に設置した温度センサーすべてのよみが100℃に達したので、オイル加熱を停止した。 移送手段は、そのまま運転し続けた。
【0046】
この時点で原料酸化カルシウムと水の供給を開始した。 消化機の内容物の温度は、原料投入時に若干ゆらぎをみせたが、5分以内に完全に定常状態に復帰し、以後は順調に操業を継続することができた。
【0047】
運転再開時に生産された消化物の性状をしらべたところ、未消化物がわずか多い傾向を示したが、問題となるレベルではなく、規格に合致した製品であった。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、微粉末であり、従って反応性が高い水酸化カルシウムが製造できる。 このような水酸化カルシウムの粉末は、あらゆる用途に使いやすい。 ガス中のHClの除去率が高いことは、廃ガスたとえばゴミ焼却炉の廃ガス中に吹き込んで乾式の脱塩素を行なう用途に好適であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造装置について、全体の構成を示す概念図。
【図2】 図1の装置の主要部をなす消化機の内部構造を示した縦断面図。
【図3】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造装置において、消化機に温度維持のための加熱手段を設けた態様を説明するための系統図。
【図4】 本発明の実施例において製造した水酸化カルシウムの粒度分布を、市販品と比較して示したグラフ。
【図5】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造方法を実施し、消化機の運転をいったん停止したのち再開したときの、温度の変化を示したグラフ。
【図6】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造方法において、消化機の運転の停止および再開を、好ましい態様に従って実施したときの、温度の変化を示した図5に対応するグラフ。
【符号の説明】
1 消化機
11 送給口 12 排出口 13 移送手段
14 ジャケット
2 熱媒体加熱循環手段
21 ヒーター 22 ポンプ 23 温度センサー
3(3A,3B,3C,…) 水供給ノズル
4(4A,4B,4C,…) 温度センサー
5 コントロール手段
6A 原料ホッパー 6B 消化水タンク
7 製品ホッパー
8 バッグフィルター
9 混合・撹拌・解砕羽根

Claims (8)

  1. 消化機中で酸化カルシウムに水を加えて水和反応を行なうことにより水酸化カルシウムを製造する方法において、原料酸化カルシウムを消化機の一方の端に送給し、これを混合・撹拌・解砕しつつ他方の端に向けて移動させ、その移動経路上に設けた複数のノズルから水を供給するとともに反応物の温度を測定し、測定された温度にもとづいて各ノズルから供給する水量を調節することにより、反応物の温度を100〜110℃の範囲内に維持しつつ水和反応を進め、かつ水和反応の発熱により発生した水蒸気を系外に排出することにより消化機内が加圧されることを防ぎ、水蒸気による水和を最小限に抑えるとともに反応物の温度の維持を容易にしつつ操業することを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法による微粉水酸化カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停止した場合に、運転再開に先立って消化機を外部から加熱して消化機およびその内容物の温度を100℃以上に上昇させ、その後に原料酸化カルシウムおよび水を供給して運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるようにしたことを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製造方法。
  3. 請求項1に記載の方法による微粉水酸化カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停止した場合に、消化機を外部から加熱し続けて消化機およびその内容物の温度を100〜110℃の範囲の温度に保持しておき、原料酸化カルシウムおよび水を供給して運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるようにしたことを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製造方法。
  4. 一方の端に原料酸化カルシウムの送給口を有し他方の端に製品水酸化カルシウムの取出口を有するとともに消化水が蒸発して生じる水蒸気の出口を設けた筒状の反応槽の内部に、粉体を混合・撹拌・解砕しつつ移送し、移送方向の一部において逆送機能を有し、それによって反応物のバックミキシングを可能にした移送手段をそなえ、かつ移送経路上に複数の水供給ノズルを設けるとともに反応物の温度を測定する複数の温度センサーを設けてなる消化機に、温度センサーが測定した温度のデータにもとづいて水供給ノズルからの水量を調節するコントロール手段を付加したことを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製造装置。
  5. 消化機の上方に直結してバッグフィルターを設け、水和反応熱により発生した水蒸気を直ちに系外へ逸出させるとともに、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムの粉末は系へ戻るように構成した請求項4の製造装置。
  6. 消化機の内壁に、移送手段とは別に、高速で回転する混合・撹拌・解砕用の羽根をそなえ、消化機内で表面だけが消化した酸化カルシウムを解砕し、原料に均一に消化水を行きわたらせるように構成した請求項4の製造装置。
  7. 消化機を構成する筒状の反応槽の外壁に加熱手段をそなえ、運転停止後に消化機を加熱して内容物の温度を維持または上昇するようにした請求項4の製造装置。
  8. 加熱手段がジャケットであり、熱媒体をこのジャケットと熱媒体加熱装置の間に循環させ、熱媒体のジャケット入口または出口の温度を検知して熱媒体加熱装置をコントロールするように構成した請求項7の製造装置。
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