JPH09227121A - 微粉水酸化カルシウムの製造方法および製造装置 - Google Patents

微粉水酸化カルシウムの製造方法および製造装置

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JPH09227121A JP33725696A JP33725696A JPH09227121A JP H09227121 A JPH09227121 A JP H09227121A JP 33725696 A JP33725696 A JP 33725696A JP 33725696 A JP33725696 A JP 33725696A JP H09227121 A JPH09227121 A JP H09227121A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化カルシウムの消化により、微粉末で反応
性が高い水酸化カルシウムを製造する。 【解決手段】 原料の混合・撹拌・解砕能力の高い消化
機中で、酸化カルシウムに複数のノズルから消化水を添
加し、同時に反応物の温度を複数の箇処で測定して供給
水量を調節することによって反応物の温度を100〜1
10℃の範囲に維持し、急激な水和反応を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粉末であり、従
って反応性の高い水酸化カルシウムの製造方法および製
造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水酸化カルシウムを製造する従来一般的
な方法は、「消化機」とよばれる一次反応槽内で、生石
灰すなわち酸化カルシウムに理論水和量の2倍前後の水
を加え、続いて「熟成機」とよばれる二次反応槽内でゆ
っくり撹拌して、均一化をはかるとともに過剰の水分を
除去し、消石灰すなわち水酸化カルシウムとする、いわ
ゆる乾式消化法である。
【0003】乾式消化法の問題点は、凝集体が生じやす
く、従って製品水酸化カルシウムの粒度が広い範囲に分
布することである。 その原因としては、水和反応が急
速に進行するため結晶面が平均して成長せず、二次的に
発生する表面エネルギーが凝集をひきおこし、粗大な粒
子ができるためと考えられている。
【0004】理論水和量を大きく超える多量の水の存在
下に水和を行なう、いわゆる湿式消化法は、液相から水
酸化カルシウムを晶出させる方法であり、水の分散作用
もあって、微細な粉末を与える。 しかし、湿式消化を
行なって乾燥水酸化カルシウムを得るには乾燥工程を必
要とし、そのためのエネルギー消費が多量であるばかり
か、乾燥時に凝集固化したものを粉砕する必要が生じる
こともあり、粉体を得ようとする場合には、有利な方法
ではない。
【0005】一方、微粉末であって反応性の高い水酸化
カルシウムに対する需要は、増大しつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、消費
エネルギーおよび工程数の面から有利な乾式消化法にお
いて、生成する水酸化カルシウム粒子の凝集を避け、粗
大な粒子が生成しないようにして水酸化カルシウムを製
造し、それにより、微細であって反応性が極めて高い製
品を得ることが可能な製造方法を提供することにある。
【0007】そのような方法の実施に使用する装置を提
供することもまた、本発明の目的のひとつである。
【0008】さらに本発明の目的には、上記の製造方法
の実施に当って、一時的な中断があったのち装置の運転
を再開するときに、時間および原料のロスを実質上ゼロ
に近い最小限に止めることができるような製造方法と、
そのための装置とを提供することも包含される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の微粉水酸化カル
シウムの製造方法は、消化機中で酸化カルシウムに水を
加えて水和反応を行なうことにより水酸化カルシウムを
製造する方法において、原料酸化カルシウムを消化機の
一方の端に送給し、これを混合・撹拌・解砕しつつ他方
の端に向けて移動させ、その移動経路上に設けた複数の
ノズルから水を供給するとともに反応物の温度を測定
し、測定された温度にもとづいて各ノズルから供給する
水量を調節することにより、反応物の温度を100〜1
10℃の範囲内に維持しつつ水和反応を進め、かつ水和
反応熱により発生した水蒸気を系外に排出することによ
り消化機内が加圧されることを防ぎ、水蒸気による水和
を最小限に抑えるとともに反応物の温度の維持を容易に
しつつ操業することを特徴とする。
【0010】上記の方法を実施するに適した、本発明
の、微細であって反応性の極めて高い水酸化カルシウム
粉末を製造する装置は、図1および図2に示すように、
一方の端に、原料酸化カルシウムの送給口(11)を有
し他方の端に製品水酸化カルシウムの排出口(12)を
有するとともに消化水が蒸発して生じる水蒸気の出口を
設けた筒状の反応槽の形をした消化機(1)の内部に、
粉体を混合・撹拌・解砕しつつ移送し、移送方向の一部
において逆送機能を有し、それによって反応物のバック
ミキシングを可能にした移送手段(13)をそなえ、か
つ移送経路上に複数の水供給ノズル(3:3A,3B,
3C,…)を設けるとともに反応物の温度を測定する複
数の温度センサー(4:4A,4B,4C,…)を設け
てなる消化機(1)に、温度センサーが測定した温度のデ
ータにもとづいて水供給ノズルからの水量を調節するコ
ントロール手段(5)を付加したことを特徴とする。
【0011】図1において、符号(6A)は酸化カルシ
ウムを容れてある原料ホッパー、(6B)は消化水タン
ク、(6C)はその定量送給装置、(7)は水酸化カル
シウムを受けとる製品ホッパーである。
【0012】この装置は、図示したように、消化機
(1)の上方に直結してバッグフィルター(8)を設
け、水和反応熱により発生した水蒸気を直ちに系外へ逸
出させるとともに、酸化カルシウムおよび水酸化カルシ
ウムの粉末は系へ戻るように構成するとよい。
【0013】粉末の混合・撹拌・解砕を確実にするため
に、反応槽の内壁に、移送手段とは別個に、高速で回転
する混合・撹拌・解砕用の羽根(9)を、好ましくは複数
箇、そなえるとよい。
【0014】移送手段(13)が、その軸方向の一部に
おいて逆送機能を有し、それによって反応物のバックミ
キシングを可能にすることは、均一な水和を行なう上で
有効である。
【0015】運転の一時的停止および再開に関する本発
明の方法は、停止期間の長短によって、二つの態様があ
る。 そのひとつは、停止期間が比較的長く、たとえば
半日以上数日に及ぶ場合であって、上記した微粉水酸化
カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停
止した場合に、運転再開に先立って消化機を外部から加
熱して、消化機およびその内容物の温度を100℃以上
に上昇させ、その後に原料酸化カルシウムおよび水を供
給して運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できる
ようにしたことを特徴とする。
【0016】いまひとつは、停止期間が比較的短く、た
とえば数時間以内の場合であって、上記した微粉水酸化
カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停
止した場合に、消化機を外部から加熱し続けて消化機お
よびその内容物の温度を100〜110℃の範囲の温度
に保持しておき、原料酸化カルシウムおよび水を供給し
て運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるよう
にしたことを特徴とする。
【0017】上記した運転の一時的停止に関する諸態様
を実施するのに適した装置は、消化機を構成する筒状の
反応槽の外壁に加熱手段をそなえ、運転停止後に消化機
を加熱してその内容物の温度を維持または上昇できるよ
うに、具体的には100〜110℃の温度を維持し、ま
たはそれより低い温度たとえば常温から100℃に速や
かに上昇できるようにしたものである。
【0018】運転停止期間が短い場合は、若干の加熱エ
ネルギーを消費しても、消化機とその内容物の温度を維
持しておくことにより、運転の再開が即座に行なえる。
運転停止期間が長くなると、その間中消化機を加熱し
続けることは加熱エネルギーの消費量の増大を招いて不
経済になるので、運転再開の予定が定まったところで加
熱をはじめる方が有利である。 加熱開始から運転再開
までに要する時間は、単位時間に投入できるエネルギー
量によって異なり、それが大きいほど短時間で運転再開
が可能である。 しかし、より大きい投入エネルギーは
より大きい加熱容量を、従ってより高い投資額を必要と
する。
【0019】消化機の温度を維持するための加熱手段
は、電熱や燃焼ガスなど任意であるが、温度のコントロ
ールが容易であるという観点から、図3に示すように、
ジャケット(14)に熱媒体を通す態様が好ましい。
熱媒体は、ヒーター(21)、ポンプ(22)および温
度センサー(23)を配管で連絡した熱媒体加熱循環手
段(2)により適切な温度を与えられて、ジャケットを
流れる。
【0020】使用する熱媒体にはとくに制約は加えられ
ず、経済性、入手しやすさ、メンテナンスの都合などの
観点から選択すればよい。 耐熱性鉱油は、好適な例の
ひとつである。
【0021】そのほか、ジャケットによる消化機の加熱
は、既知の技術に従って実施すればよい。 たとえば、
製作や保守、交換を容易にし、かつ熱媒体の流動を均一
にするため、流路をいくつかに分割したり、ガイド板を
設けたりすることが推奨される。 図3に示した装置
は、ジャケットに入る熱媒体の温度を測定してヒーター
の加熱条件をコントロールする構成であるが、ヒーター
からジャケット入口までの熱媒体温度の低下がほとんど
無視できるか、またはほぼ一定である場合は、ジャケッ
トの出口側の熱媒体温度を測定して、ヒーターの加熱条
件をコントロールすることもできる。
【0022】
【作用】従来の乾式消化によるときは、水和反応熱で反
応物は局部的に高温に達する。このため、水和反応が急
激に進行し、前記した粒子の凝集と粗大化が進行するも
のと考えられる。 また、乾式消化においては、反応熱
で加えた水の一部が蒸発して飛散するにもかかわらず、
水和反応が完了することから、消化の大部分は水蒸気に
より行なわれると考えられている。
【0023】いずれにしてもこれまでの乾式消化は、酸
化カルシウムに必要量の水を消化槽で一気に添加して、
酸化カルシウムと水とが不均一な混合状態であっても消
化反応が進むにまかせ、続いて熟成槽において、局部的
に過剰であった水を局部的に不足(水和が不完全)なと
ころに移し、全体としてほぼ均一な水和が達成されるよ
うにしたものである。
【0024】これに対して本発明では、急激な水和がも
たらす粒子の凝集および粗大化を避けるため、系の温度
を100〜110℃の範囲内に維持することにした。
下限の100℃は常圧で過剰な水分を除去するために必
要であり、上限の110℃は、水蒸気による消化を最少
限に抑え、粒子の凝集・粗大化を防ぐ上での限界であ
る。
【0025】この狭い範囲に反応物の温度をコントロー
ルするため、本発明では水を一気に添加せず、原料酸化
カルシウムが消化機内を移送されて行く経路上で、複数
のノズル(3A,3B,3C…)から少しずつ添加する
とともに、反応物の温度を移送経路上の複数の点で温度
センサー(4A,4B,4C…)により測定し、対応す
るノズルからの供給水量をコントロールする。 これは
たとえば、図2において符号(4B)で示される温度セ
ンサーの示度が107℃を超えたときはノズル(3B)
の供給水量を温度を下げる方向すなわち水量減少の方向
にコントロールするような設定をコントロール手段
(5)に対して行なっておくことにより実現する。 測
定温度と供給水量との間にあるべき関係は、使用する原
料酸化カルシウムの粒子サイズ、残存CO2 量、活性度
などによって多少異なるので、実施に当って必要ならば
多少の実験をして定める。 原料酸化カルシウムについ
ていえば、活性度のあまり低いものは、一般に結晶が大
きく、比表面積および気孔率は小さいため水和反応性が
低く、消化原料としては好適といえない。 逆に、活性
度の高すぎるものは水和反応が速すぎて、本発明で意図
する温度コントロールが困難である。
【0026】本発明の好ましい態様について説明すれ
ば、まず、水和熱により発生した水蒸気を消化機の上方
でこれに直結したバッグフィルターに導いて系外に排出
すると、消化機内に水蒸気が滞留したり内部で移動した
りすることが少なくなり温度コントロールが容易になる
とともに、水蒸気消化が最小限に抑えられる。 水蒸気
に伴われて上昇した水酸化カルシウムまたは微量の酸化
カルシウムの微粉末は、バッグフィルターで捕集されて
系に戻ることはいうまでもない。
【0027】本発明で意図した狭い温度範囲の維持にと
って、反応物の十分な混合および撹拌は必要不可欠であ
る。 従って、粉末を移送するための移送手段は混合・
撹拌の能力が高いことが求められる。 しかし混合・解
砕を確実にするためには、この移送手段とは別に、消化
機の内壁に、高速で回転する混合・解砕用の羽根(2〜
8枚組)を、好ましくは移送手段の軸方向の左右に少な
くとも一対はそなえた装置を使用するとよい。 それに
より、表面だけが消化された酸化カルシウムの塊ができ
ても、この羽根でバラバラにされ、後続のノズルから供
給される消化水の均一な分散が助けられる。
【0028】移送手段の一部に粉体を逆送する機能を与
え、それによって消化機内で一部の反応物だけが出口方
向に向って短時間で流れ出すことを防ぎ、反応物のバッ
クミキシングが行なわれるようにすることも、混合・撹
拌のための特別の手段をそなえることと並んで有用であ
る。
【0029】本発明に従って消化機内で十分な混合・撹
拌・解砕を行ないつつ順次水和を進めることにより、従
来技術のように熟成機を使用することなく、水酸化カル
シウムを得ることができる。 水酸化カルシウムは、消
化機の他方の端から排出され、スクリーンを通ったの
ち、製品となる。 消化機の排出口(12)は、スライ
ドを調整することによりオーバーフロー量を任意にコン
トロールできるエンドプレート型が適当である。
【0030】このようにして、石灰石仮焼により得た生
石灰すなわち酸化カルシウムを原料とした場合、その1
00重量部に対して、通常、50〜80重量部の消化水
が添加されて、微細で反応性の高い水酸化カルシウムが
得られる。 後記する例に示すように、本発明によれば
10μm以下の微粉を80%以上含むものが容易に得ら
れ、これを分級すれば、たとえば全量が10μm以下で
あるような製品を、簡単かつ高収率で得ることができ
る。
【0031】消化作業の一時的停止は、装置それ自体の
点検や修理を行なう場合に限らず、原料である酸化カル
シウムの供給や製品である水酸化カルシウムの処理にト
ラブルが生じたときにも必要になる。 運転を停止して
水和反応熱が発生しなくなると、消化機もその内容物も
冷え、温度は常温にまで低下する。 運転を再開したと
き、水和反応熱の大部分は残留反応物や消化機に奪われ
て、所定の温度に達するまでかなりの時間がかかる。
この間の製品の多くは、規格に合致した品質レベルに達
しないので、廃棄せざるを得ない。 とくに冬の厳寒期
には、消化機や付属設備に消化物が付着して、運転の再
開を妨げることがある。
【0032】これでは時間をロスし歩留りが低くなった
り、さらには生産計画に狂いが出たりするので、運転停
止時には消化機の内容物をすべて払い出した方がよい。
消化機内が空の状態で運転を再開したときは、まず適
正な量と温度の反応物浴を形成しなければならないか
ら、所定量の酸化カルシウムを投入するとともに、それ
に対応する量の消化水を注入し、全体を撹拌して消化を
はかる。 消化が完全に行なわれて意図した反応物浴が
形成されれば、以後は原料と消化水を連続的に供給して
定常状態の運転に入る。 定常運転開始後に生成した反
応物は目標とする品質レベルにあるが、それ以前の製品
は合格するとは限らず、操業時間のロスと歩留りの低さ
とは、根本的には改善されない。
【0033】いうまでもないが、運転停止時の消化機内
容物の払い出しを行なわないで済めば、操業を簡単にで
きて有利である。 また、運転再開時に直ちに定常的な
運転に入れれば、規格外の製品はほとんど発生しない。
本発明に従って、運転停止後、運転再開に先立って消
化機を外部から加熱してその内容物の温度を上昇させて
から原料の供給をするか、または加熱を続けて内容物の
温度を維持しておくことにより、再開後ごく短時間で定
常運転の状態に戻って、安定な連続運転が可能になる。
その結果、生産性と歩留りの向上がもたらされる。
【0034】
【実施例1】図1に全体構成を示し、図2に消化機内部
の構造を示した装置(5本のノズルと5箇の温度センサ
ーとをそなえる)を使用して、粒度−20mmの酸化カル
シウムを消化した。 各温度センサーの読みに応じて対
応するノズルの給水量を調節し、消化機内の温度を10
5±2℃に保持した。
【0035】得られた水酸化カルシウムについて、また
これを気流分級機を用いて分級して得られた製品につい
て、粒度分布を測定した。 分級前のものは85%以上
が10μm以下であり、分級して微粉を集めたものは全
量が10μm以下であった。累積体積%のグラフを、市
販のJIS特号消石灰のそれと比較して図3に示す。
【0036】続いて、製品水酸化カルシウムの反応性の
めやすとして、塩化水素ガス除去率および電気伝導度を
測定した。 それぞれの試験法を、下に記す。
【0037】(水酸化カルシウムの塩化水素ガス除去
率)内径8.5mmの管内に水酸化カルシウム約50mgを
充填し、これにHClを0.4容量%、水蒸気を50容
量%含有する200℃の混合ガスを、流速が4.4m/m
inとなる条件下に20分間通し、出口におけるHClガ
スの濃度を測定して除去率を算出する。
【0038】(水酸化カルシウムの電気伝導度)脱イオ
ン水に水酸化カルシウムのスラリーを、濃度が約0.8
g/lとなるように瞬時に投入し、時間の変化に伴う電
気伝導度の上昇を追跡する。 最大電導度(飽和時)の9
0%および99%に達するまでの時間をもって、データ
とする。
【0039】試験結果を、前記した市販のJIS特号消
石灰と比較して、下に示す: 本発明実施例 JIS特号消石灰 HClガス除去率(%) 98.0 79.6 電気伝導度(sec) 90%到達時間 3 22 99%到達時間 12 135 本発明の製品は、水に対する溶解も非常に速やかであ
り、ガス中のHClに対する反応性は高い。
【0040】
【実施例2】図3に示す手段により温度維持をはかった
消化機を使用して、運転の停止と再開を行なった。 こ
の装置は直径1m、長さ4mで、1時間あたり7トンの
微粉水酸化カルシウム製造能力を有する。 消化機の直
胴部から両端の鏡板部の全体にわたって(バッグフィル
ターとの接続部は除く)、オイル用ジャケットを設けて
ある。 ジャケットは流動スリット幅(消化機外壁とジ
ャケット内壁との間隔)15mmで、長手方向に3分割
してある。 ここに、熱媒体としてA重油を最大25m
3/hrに流通させた。
【0041】従来技術により、停止時に内容物の払い出
しをし、装置が常温まで冷えた場合の再開時に定常状態
に戻るまでの反応物と消化機の温度変化は、図5に示す
とおりであって、目標とする反応物溶が形成される(A
点)まで37分間、完全な定常状態を回復し、目標とす
る品質レベルの製品が得られるようになる点(B点)に
達するまでには、56分間を要した。
【0042】これに対し本発明に従って、内容物を含め
た消化機の温度を定常運転に最適の105±2℃に維持
した場合は、図6に示すように、再開当初若干の温度低
下が生じたが、3分余りで回復し、再開時の生成物も含
めて、品質はすべて目標とするレベルに達していた。
【0043】
【実施例3】実施例2と同じ装置を使用して行なってい
た酸化カルシウムの消化を停止し、消化機の内容物を入
れたまま、内部の温度の変化を追跡した。 結果はつぎ
のとおりで、16時間後に周囲温度と等しくなった: 運転停止後(分) 0 100 250 960 温 度 (℃) 104 55 30 16…室温。
【0044】運転再開予定の時刻より1.5時間前か
ら、消化機のジャケットに温度180℃のオイルを流通
させ、加熱を開始した。 それと同時に、消化機の移送
手段をゆっくりと回転させて、内容物の温度の平均化を
はかった。
【0045】加熱開始後83分経過したとき、消化機内
の5カ所に設置した温度センサーすべてのよみが100
℃に達したので、オイル加熱を停止した。 移送手段
は、そのまま運転し続けた。
【0046】この時点で原料酸化カルシウムと水の供給
を開始した。 消化機の内容物の温度は、原料投入時に
若干ゆらぎをみせたが、5分以内に完全に定常状態に復
帰し、以後は順調に操業を継続することができた。
【0047】運転再開時に生産された消化物の性状をし
らべたところ、未消化物がわずか多い傾向を示したが、
問題となるレベルではなく、規格に合致した製品であっ
た。
【0048】
【発明の効果】本発明により、微粉末であり、従って反
応性が高い水酸化カルシウムが製造できる。 このよう
な水酸化カルシウムの粉末は、あらゆる用途に使いやす
い。ガス中のHClの除去率が高いことは、廃ガスたと
えばゴミ焼却炉の廃ガス中に吹き込んで乾式の脱塩素を
行なう用途に好適であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造装置に
ついて、全体の構成を示す概念図。
【図2】 図1の装置の主要部をなす消化機の内部構造
を示した縦断面図。
【図3】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造装置に
おいて、消化機に温度維持のための加熱手段を設けた態
様を説明するための系統図。
【図4】 本発明の実施例において製造した水酸化カル
シウムの粒度分布を、市販品と比較して示したグラフ。
【図5】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造方法を
実施し、消化機の運転をいったん停止したのち再開した
ときの、温度の変化を示したグラフ。
【図6】 本発明の微粉水酸化カルシウムの製造方法に
おいて、消化機の運転の停止および再開を、好ましい態
様に従って実施したときの、温度の変化を示した図5に
対応するグラフ。
【符号の説明】
1 消化機 11 送給口 12 排出口 13 移
送手段 14 ジャケット 2 熱媒体加熱循環手段 21 ヒーター 22 ポンプ 23 温
度センサー 3(3A,3B,3C,…) 水供給ノズル 4(4A,4B,4C,…) 温度センサー 5 コントロール手段 6A 原料ホッパー 6B 消化水タンク 7 製品ホッパー 8 バッグフィルター 9 混合・撹拌・解砕羽根
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽根田 寛 栃木県安蘇郡葛生町宮下町7−10 吉澤石 灰工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消化機中で酸化カルシウムに水を加えて
    水和反応を行なうことにより水酸化カルシウムを製造す
    る方法において、原料酸化カルシウムを消化機の一方の
    端に送給し、これを混合・撹拌・解砕しつつ他方の端に
    向けて移動させ、その移動経路上に設けた複数のノズル
    から水を供給するとともに反応物の温度を測定し、測定
    された温度にもとづいて各ノズルから供給する水量を調
    節することにより、反応物の温度を100〜110℃の
    範囲内に維持しつつ水和反応を進め、かつ水和反応の発
    熱により発生した水蒸気を系外に排出することにより消
    化機内が加圧されることを防ぎ、水蒸気による水和を最
    小限に抑えるとともに反応物の温度の維持を容易にしつ
    つ操業することを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法による微粉水酸化
    カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停
    止した場合に、運転再開に先立って消化機を外部から加
    熱して消化機およびその内容物の温度を100℃以上に
    上昇させ、その後に原料酸化カルシウムおよび水を供給
    して運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるよ
    うにしたことを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法による微粉水酸化
    カルシウムの製造において、消化機の運転を一時的に停
    止した場合に、消化機を外部から加熱し続けて消化機お
    よびその内容物の温度を100〜110℃の範囲の温度
    に保持しておき、原料酸化カルシウムおよび水を供給し
    て運転を再開し、直ちに定常運転状態に復帰できるよう
    にしたことを特徴とする微粉水酸化カルシウムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 一方の端に原料酸化カルシウムの送給口
    を有し他方の端に製品水酸化カルシウムの取出口を有す
    るとともに消化水が蒸発して生じる水蒸気の出口を設け
    た筒状の反応槽の内部に、粉体を混合・撹拌・解砕しつ
    つ移送し、移送方向の一部において逆送機能を有し、そ
    れによって反応物のバックミキシングを可能にした移送
    手段をそなえ、かつ移送経路上に複数の水供給ノズルを
    設けるとともに反応物の温度を測定する複数の温度セン
    サーを設けてなる消化機に、温度センサーが測定した温
    度のデータにもとづいて水供給ノズルからの水量を調節
    するコントロール手段を付加したことを特徴とする微粉
    水酸化カルシウムの製造装置。
  5. 【請求項5】 消化機の上方に直結してバッグフィルタ
    ーを設け、水和反応熱により発生した水蒸気を直ちに系
    外へ逸出させるとともに、酸化カルシウムおよび水酸化
    カルシウムの粉末は系へ戻るように構成した請求項4の
    製造装置。
  6. 【請求項6】 消化機の内壁に、移送手段とは別に、高
    速で回転する混合・撹拌・解砕用の羽根をそなえ、消化
    機内で表面だけが消化した酸化カルシウムを解砕し、原
    料に均一に消化水を行きわたらせるように構成した請求
    項4の製造装置。
  7. 【請求項7】 消化機を構成する筒状の反応槽の外壁に
    加熱手段をそなえ、運転停止後に消化機を加熱して内容
    物の温度を維持または上昇するようにした請求項4の製
    造装置。
  8. 【請求項8】 加熱手段がジャケットであり、熱媒体を
    このジャケットと熱媒体加熱装置の間に循環させ、熱媒
    体のジャケット入口または出口の温度を検知して熱媒体
    加熱装置をコントロールするように構成した請求項7の
    製造装置。
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