JP5672113B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
非水電解質二次電池を構成する正極活物質としてはリチウム遷移金属複合酸化物が、負極活物質としてはグラファイトに代表される炭素材料が、非水電解質としては、エチレンカーボネートを主構成成分とする非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等の電解質を溶解したものが広く知られている。
はスピネル構造を持つリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)等を基本構成とするリチウム遷移金属複合酸化物である。中でもLiCoO2は、充放電特性とエネルギー密度に優れることから、電池容量2Ahまでの小容量リチウムイオン二次電池の正極活物質として広く採用されている。
移金属から選ばれる少なくとも1種であり、例えば、Fe、Mn、Ni、Co、Mg等が挙げられる。なかでも、資源的に豊富で安価であり、環境負荷も小さいという理由から、MeをFeとすることが望ましい。」(段落0015)との記載がある。特許文献5の実施例には、炭素物質微粒子を複合化したLiFe0.85Mn0.15PO4を正極活物質とした
ものを#3の二次電池、「LiNiO2を正極活物質としたものを#5の二次電池、Li
Mn2O4を正極活物質としたものを#6の二次電池とした。」(段落0061)場合に、「#5および#6の二次電池は、#3の二次電池と比較して、SOCによって出力密度が大幅に変化した。」(段落0062)ことが示され、「このように、オリビン構造のリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた本発明の二次電池は、出力密度、入力密度がともに高く、かつSOCによる入出力密度の変化の少ない二次電池であることが確認できた。」(段落0064)と記載されている。
特許文献5には、正極活物質としてLiFePO4を用いることによって、SOCによる入出力密度の変化を少なくした電池が示されているが、LiFePO4は活物質の質量あたり及び体積あたりのエネルギー密度が低いため、これを正極に用いた電池は、充分なエネルギー密度を有しないという課題がある。
また、本発明に係る非水電解質二次電池は、一般式LiNi x Mn y Co z O 2 (x+y+z=1、x>0、y>0、z>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む第1の活物質とLiFePO 4 を含む第2の活物質とを含有する正極を備え、正極と負極の対向面積が6675cm 2 以上であり、1kHzのインピーダンスが1.27mΩ以下であることを特徴とする非水電解質二次電池である。
すなわち、本発明の非水電解質二次電池は、一般式LiNixMnyCozO2(x+y+z=1、x>0、y>0、z>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含むことにより、高いエネルギー密度を有し、LiFePO4を含むことにより、高い安全性と優れた入出力性能を備え、さらに、1kHzのインピーダンスが1.27mΩ以下であることによって、SOCの変化による入出力密度の変化が小さい非水電解質二次電池とすることができる。
本発明の非水電解質二次電池において、前記第1の活物質と前記第2の活物質との和に対する前記第2の活物質の割合が5質量%以上とすることにより、高い安全性を確保できると共に、出力性能を優れたものとし、高SOCでの出力に対する低SOCでの出力の割合を顕著に高いものとすることができる。また、前記第1の活物質と前記第2の活物質との和に対する前記第2の活物質の割合が25質量%以下とすることで、高いエネルギー密度を有する非水電解質二次電池とすることができる。
詳しくは、本発明の非水電解質二次電池は、一般式LiNixMnyCozO2(x+y+z=1、x>0、y>0、z>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む第1の活物質とLiFePO4を含む第2の活物質とを含有する正極と、負極と、電解質塩及び非水溶媒を含有する非水電解質とを備え、1kHzのインピーダンスが1.27mΩ以下であるものである。
さらに、本発明の非水電解質二次電池は、正極と負極との間にセパレータが備えられ得る。また、これらの構成物を包装する外装体が備えられ得る。
また、前記非水電解質二次電池の態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池などが挙げられる。
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、上記一般式におけるLi、Ni、Mn及び/又はCoの一部が、本発明の効果を損なわない範囲で、Fe、Al、Cr、Mg、V、Ti等の金属元素で置換されていてもよく、また酸素の一部がF、Sなどで置換されていてもよい。また、LiNixMnyCozO2(x+y+z=1、1/4≦x≦1/3、1/4≦y≦1/3、1/3≦z≦1/2)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物は、本発明の効果が顕著となるため好ましい。また、|x−y|≦0.05であるものが、熱的安定性及び充放電サイクル性能に優れる点で好ましい。
上記第1の活物質としては、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、LiNi1/6Mn1/6Co2/3O2、LiNi1/4Mn1/4Co1/2O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、などが挙げられ、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、LiNi1/4Mn1/4Co1/2O2が好ましい。
電池がどれだけ充電された状態であるかを示し、可逆的に充放電可能な電池電圧の範囲において、その上限となる電池電圧が得られる充電状態を100%、つまり満充電状態とし、下限となる電池電圧が得られる充電状態を0%、つまり放電状態としたときの充電状態を意味する。通常、1kHzのインピーダンスは、SOC0%において最大となることが知られている。そこで、いかなる充電状態であっても、その1kHzのインピーダンスが1.27mΩ以下の電池は、本発明の範囲内であるといえる。また、本明細書内では、インピーダンスのことを内部抵抗ということがある。
特に、本発明に係る第2の活物質であるLiFePO4においては、本発明の効果を充分に発現させるため、カーボン等により粒子同士の電子伝導を十分に確保することが重要である。
なお、二次粒子の平均粒子径は液相沈降法又はレーザー回折・散乱法による粒度分布測定により、一次粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察の結果を画像解析することにより求めることができる。
第2の活物質であるLiFePO4の窒素吸着法によるBET比表面積は、本発明の効果を顕著に奏させるために大きい方が良く、1m2/g以上が好ましく、5m2/g以上がより好ましい。また、前記BET比表面積が大きすぎると、電極作製時にペーストに含有させる結着剤の量を増やす必要が生じ、活物質の充填密度が低下するため、100m2/g以下が好ましく、80m2/g以下がより好ましい。
本発明においては、LiFePO4の粒子の比表面積は、リチウム遷移金属複合酸化物の比表面積よりも大きいことが好ましい。
また、本発明に係る電極に用いられる活物質に配された導電性炭素質材料の量は、酸素気流中高周波過熱焼成−赤外線吸収法、熱重量測定(TG)などにより求めることができる。また、前記導電性炭素質材料が活物質に配されていることは、透過型電子顕微鏡(TEM)をもちいた観察などによって確かめることができる。
例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等の環状カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、プロピオラクトン等の環状カルボン酸エステル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル、テトラヒドロフランまたはその誘導体、1,3−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジオキサランまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの有機溶媒は、任意の割合で混合して用いることができる。
このような他の化合物としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等の過充電防止剤;ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等の負極被膜形成剤;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド等の正極保護剤等が挙げられる。
(正極の作製)
第1の活物質であるLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2と、第2の活物質である前記LiFePO4とを、質量比90:10で混合した。なお、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2の平均粒子径及び窒素吸着法によるBET比表面積は、それぞれ12.1μm及び1.1m2/gであった。この活物質混合物を本実施例における正極活物質とした。前記正極活物質と、導電剤であるカーボン材料と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、活物質混合物:カーボン材料:PVdF=88:7:5の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調整した。該正極ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、80℃で乾燥させてNMPを除去した。正極の塗布質量は13.16mg/cm2とした。該正極を120℃に加熱したローラープレス機により加圧成型して正極活物質層を成型した後、150℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計は119μmであった。このときの極板の空孔率は35%であった。このようにして作製した正極を正極aとする。
負極活物質であるグラファイトと、結着剤であるPVdFとを、グラファイト:PVdF=94:6の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする負極ペーストを調整した。該負極ペーストを、厚み10μmの銅箔の両面に塗布し、80℃で乾燥させてNMPを除去した。負極の塗布質量は、6.85mg/cm2である。該負極を120℃に加熱したローラープレス機により加圧成型して負極活物質層を成型した後、150℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後の銅箔と正極活物質層の厚みの合計は106μmであった。このときの極板の空孔率は35%であった。このようにして作製した負極を負極aとする。
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1:1の割合で混合した混合溶媒に、含フッ素系電解質塩であるLiPF6を1.0mol/lの濃度で溶解させ、非水電解質を作製した。該非水電解質中の水分量は50ppm未満とした。
実施例の電池の模式図を図1に示す。セパレータとして、厚み27μm、透気度95秒及び空孔率50%のポリエチレン製微多孔膜を用い、前記セパレータ(13)が正極a(11)と負極a(12)との間に位置するようにして、上記正極、負極及びセパレータを扁平形状に巻回して発電要素(14)を作製した。このときの正極と負極の対向する面積(対向面積)は、6825cm2とした。ここで、正極及び負極は、巻回軸線に沿って互いに離れる方向にずらして巻回されている。即ち、発電要素(14)の軸線方向両端部のうちの一方はセパレータ(13)から正極を構成する金属箔がはみ出し、発電要素(14)の軸線方向両端部のうちの他方は負極を構成する金属箔がはみ出している。アルミニウム製の正極集電板を、正極を構成する金属箔の、セパレータからはみ出した部分に、発電要素に対して厚み方向にまたがるような位置(15)に配置した後、金属箔と溶接した。負極側も同様に、銅製の負極集電板を、負極を構成する金属箔の、セパレータからはみ出した部分に、発電要素に対して厚み方向にまたがるような位置(16)に配置した後、金属箔と溶接した。このとき、集電板から最も離れた活物質までの距離(17)は、発電要素の幅方向の長さとなり、この距離は10cm以内であった。このようにして作製した正極、負極、セパレータからなる発電要素(14)に正負極集電板を溶接したものをアルミニウム製の角型電槽缶(高さ81mm、幅111.6mm、厚み20.6mm)に収納し、正負極端子を取り付けた。この容器内部に非水電解質を76g注入したのちに封口して、設計容量11.5Ahの非水電解質二次電池を作製した。この電池を本発明電池Aとする。
(正極の作製)
第1の活物質であるLiNi1/4Mn1/4Co1/2O2と、第2の活物質である前記LiFePO4とを質量比90:10で混合した活物質混合物を正極活物質として用いたこと、正極の塗布質量を13.23mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を118μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、正極bを作製した。なお、前記LiNi1/4Mn1/4Co1/2O2の平均粒子径及び窒素吸着法によるBET比表面積は、それぞれ6.2μm及び0.62m2/gであった。
負極の塗布質量を6.89mg/cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、負極bを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
正極bと負極bとを用いたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Bを作製した。
正極と負極の対向面積を7037cm2としたことを除いては実施例2と同様にして、本発明電池Cを作製した。
(正極の作製)
正極の塗布質量を14.20mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を125μmとしたことを除いては実施例2と同様にして、正極dを作製した。
負極の塗布質量を7.40mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を113μmとしたことを除いては実施例2と同様にして、負極dを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
正極dと負極dとを用い、正負極の対向面積を6675cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Dを作製した。
(正極の作製)
第1の活物質である前記LiNi1/4Mn1/4Co1/2O2と、第2の活物質である前記LiFePO4とを質量比92:8で混合した活物質混合物を正極活物質として用いたこと、正極の塗布質量を13.52mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を120μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、正極eを作製した。
負極の塗布質量を7.05mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を108μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、負極eを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
正極eと負極eとを用い、正負極の対向面積を6989cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Eを作製した。
(非水電解質二次電池の作製)
正極と負極の対向面積を7289cm2とし、セパレータの厚みが22μmであったことを除いては実施例5と同様にして、本発明電池Fを作製した。
正極ペーストが含有する質量比率を、活物質混合物:カーボン材料:PVdF=89:6:5の質量比としたこと、正極の塗布質量を13.37mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を117μmとしたことを除いては、実施例5と同様にして、正極gを作製した。
正極gと負極eとを用い、正負極の対向面積を7049cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Gを作製した。
(正極の作製)
正極の塗布質量を13.53mg/cm2としたことを除いては実施例5と同様にして、正極hを作製した。
加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を117μmとしたことを除いては実施例5と同様にして、負極hを作製した。このときの極板の空孔率は40%であった。
正極hと負極hとを用い、正負極の対向面積を7043cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Hを作製した。
正極の塗布質量を12.57mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を113μmとしたことを除いては、実施例1と同様にして、正極iを作製した。
負極活物質であるグラファイトと、結着剤であるスチレンブタジエンゴム(SRB)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、グラファイト:結着剤=97:3の質量比で含有し、水を溶媒とする負極ペーストを調整した。該負極ペーストを、厚み10μmの銅箔の両面に塗布し、80℃で乾燥させた。負極の塗布質量は、6.37mg/cm2である。該負極を常温のローラープレス機により加圧成型して負極活物質層を成型した後、150℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後の銅箔と正極活物質層の厚みの合計は94μmであった。このときの極板の空孔率は30%であった。このようにして作製した負極を負極iとする。
正極iと負極iとを用い、正負極の対向面積を7293cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Hを作製した。
(正極の作製)
第1の活物質である前記LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2と、第2の活物質である前記LiFePO4とを質量比80:20で混合した活物質混合物を正極活物質として用いたこと、正極の塗布質量を12.92mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を118μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、正極jを作製した。
負極の塗布質量を6.78mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を103μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、負極eを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
正極jと負極jとを用い、正負極の対向面積を7433cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、本発明電池Jを作製した。
(正極の作製)
正極の塗布質量を11.13mg/cm2としたこと及び加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を103μmとしたことを除いては、実施例1と同様にして正極kを作製した。
負極の塗布質量を5.8mg/cm2としたこと及び加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を91μmとしたことを除いては、実施例1と同様にして負極kを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
比較例1の電池の模式図を図2に示す。セパレータとして、厚み27μm、透気度95秒及び空孔率50%のポリエチレン製微多孔膜を用い、セパレータ(23)が正極e(21)と負極e(22)との間に位置するようにして、上記正極、負極及びセパレータを扁平形状に巻回して発電要素(24)を作製した。このときの正負極の対向面積は415.1cm2である。ここで、正極及び負極は、巻回軸線に沿って両端が一致するように巻回されているため、発電要素(24)の軸線方向両端部から金属箔ははみ出していない。アルミニウム製の正極集電板と銅製の負極集電板とを、発電要素の巻き終わりの端の位置(25)にそれぞれ配置し、正極及び負極と溶接した。このとき、集電板から最も離れた活物質までの距離は、正負極の巻き始めから巻き終わりまでの長さとなり、この距離は65cmであった。このようにして作製した正極、負極、セパレータからなる発電要素に正負極集電板を溶接したものをアルミニウム製の角型電槽缶(高さ49.3mm、幅33.7mm、厚み5.17mm)に収納し、正負極端子を取り付けた。この容器内部に非水電解質を3.2g注入したのちに封口して、設計容量0.65Ahの非水電解質二次電池を作製した。この電池を比較電池Kとする。
(正極の作製)
前記LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を単独で正極活物質として用いた。前記正極活物質と、導電剤であるカーボン材料と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、正極活物質:カーボン材料:PVdF=90:5:5の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調整した。該正極ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、80℃で乾燥させてNMPを除去した。正極の塗布質量は13.43mg/cm2とした。該正極を120℃に加熱したローラープレス機により加圧成型して正極活物質層を成型した後、150℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計は116μmであった。このようにして作製した正極を正極lとする。
負極の塗布質量を7.37mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を113μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、負極lを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
正極lと負極lとを用い、正負極の対向面積を6681cm2としたことを除いては実施例1と同様にして、比較電池Lを作製した。
(正極の作製)
正極の塗布質量を10.00mg/cm2としたこと及び加圧成型後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計を90μmとしたことを除いては、比較例2と同様にして正極mを作製した。
負極の塗布質量を5.51mg/cm2としたこと、及び、加圧成型後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計を87μmとしたことを除いては実施例1と同様にして、負極mを作製した。このときの極板の空孔率は35%であった。
正極mと負極mとを用い、正負極の対向面積を471.9cm2としたことを除いては比較例1と同様にして、比較電池Mを作製した。
設計どおりの充放電容量が得られることを確認するために、上記のようにして作製した本発明電池及び比較電池について、容量確認試験を行った。
全ての本発明電池及び比較電池Lについては、充電電流11.5A、充電電圧4.2V、総充電時間3時間の定電流定電圧充電、及び、放電電流11.5A、終止電圧2.0Vの定電流放電からなる3サイクルの充放電を行った。比較例K及び比較電池Mについては、充電電流0.65A、充電電圧4.2V、総充電時間3時間の定電流定電圧充電、及び、放電電流0.65A、終止電圧2.0Vの定電流放電からなる3サイクルの充放電を行った。それぞれの充放電における3サイクル目の放電容量を定格容量とし、定格容量が設計容量とほぼ等しいことを確認した。定格放電容量を1時間で放電する電流の値を1CAといい、本発明電池及び比較電池Lにおいて1CA=11.5A、比較例K及び比較電池Mにおいては1CA=0.65Aである。
全ての本発明電池及び比較電池に対して、SOC0%の状態で、日置電機株式会社製のACミリオームハイテスタを用いて、1kHzのインピーダンスを測定した。その結果を表1に示す。
ここで、「充電状態(SOC:State of Charge)」とは、可逆的に充放電可能な電池
電圧の範囲において、電池がどれだけ充電された状態であるかを示し、本実施例においては、SOC100%とは充電電流1CA、充電電圧4.2V、総充電時間3時間の定電流定電圧充電を行った直後の満充電状態をいい、SOC0%とは放電電流1CA、終止電圧2.0Vの定電流放電を行った直後の充電状態をいう。
上記本発明電池及び比較電池のいくつかについて、SOC10%、SOC20%及びSOC50%の充電状態における出力性能試験を実施した。SOC10%、SOC20%及びSOC50%の充電状態における電池電圧は、それぞれ、3.49V、3.53V及び3.68Vである。
12 負極
13 セパレータ
14 発電要素
15 正極集電板取り付け位置
16 負極集電板取り付け位置
17 集電板から最も離れた活物質までの距離
21 正極
22 負極
23 セパレータ
24 発電要素
25 集電板取り付け位置
Claims (4)
- 一般式LiNixMnyCozO2(x+y+z=1、x>0、y>0、z>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む第1の活物質とLiFePO4を含む第2の活物質とを含有する正極を備え、1kHzのインピーダンスが1.27mΩ以下であることを特徴とする、ハイブリッド自動車用又は電池自動車用非水電解質二次電池。
- 一般式LiNixMnyCozO2(x+y+z=1、x>0、y>0、z>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む第1の活物質とLiFePO4を含む第2の活物質とを含有する正極を備え、正極と負極の対向面積が6675cm 2 以上であり、1kHzのインピーダンスが1.27mΩ以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記正極に含まれる、前記第1の活物質と前記第2の活物質との和に対する前記第2の活物質の割合が5質量%以上25質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水電解質二次電池。
- 前記第1の活物質が、LiNixMnyCozO2(x+y+z=1、1/4≦x≦1/3、1/4≦y≦1/3、1/3≦z≦1/2)で表されるリチウム遷移金属複合化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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