先ず本発明の一実施形態に係るディスク装置100の構造について説明する。ディスク装置100の基本構造は、特許文献1に記載のものと同様である。
図1、図2は収納型のディスク装置100の内部構造を示す平面図であり、主に筐体1内に構成された駆動ユニット10とディスク収納部30を示している。尚、図の右側にディスク挿入口2を有し、ディスクは、図の矢印A方向からディスク装置100内に挿入され、矢印B方向に排出される。
駆動ユニット10は、一端を支点にして図1で示す退避位置と、図2で示す介入位置との間で回動可能であり、他端にターンテーブル11を備えている。駆動ユニット10は、介入位置にあるときディスク収納部30に収納したディスクを選択してターンテーブル11に載置し、ディスクを回転駆動して再生又は記録を行う。尚、ディスク収納部30は、複数のディスクを収納するため積層型のトレイ31を有するが、詳細な構成は後述する。
駆動ユニット10は、図1に示すように、ユニット支持ベース13に支持されている。支持ベース13の内縁13aは円弧状であり、内縁13aはディスク収納部30に支持されたディスクの外周縁から僅かに離れた位置にある。また駆動ユニット10は、細長い駆動ベース12を有している。ユニット支持ベース13の奥側には、支持軸14が上向きに突出しており、駆動ベース12は支持軸14に支持され、この支持軸14を支点にして駆動ユニット10は矢印C方向(図2)に回動する。駆動ユニット10は、駆動スライダ15の移動によって回動し、駆動スライダ15は、第1のモータM1(図示せず)の回転によって移動する。
図2に示すように、駆動ユニット10が介入位置へ回動すると、ターンテーブル11が、ディスク収納部30へ移行する。この介入位置では、ターンテーブル11の回転中心がトレイ31に支持されたディスクの中心穴の下側に位置する。
駆動ベース12の回動端には、スピンドルモータが取り付けられ、このスピンドルモータのモータ軸11aに、ターンテーブル11が固定されている。ターンテーブル11は、ディスクDの中心穴内に入り込む凸部11bと、この凸部11bから周囲に延びるフランジ部11cを有している。
またターンテーブル11内にはクランプ機構(図8,9)を搭載している。クランプ機構は、凸部11bから放射状に突出するクランプ爪61(図9)を有している。クランプ爪61が中心凸部11b内に退行しているときは非クランプモードである。また、クランプ爪61が突出すると、ディスクDの中心穴Daの周縁部が、クランプ爪61とフランジ部11cとで挟持され、ディスクDがターンテーブル11の上面にクランプされ、クランプモードとなる。
駆動ユニット10の駆動ベース12には、クランプ爪61を動作させるクランプ切換え部材64が搭載されており、駆動ユニット10が介入位置へ移動した後に、駆動スライダ15の移動によって、クランプ爪61が、非クランプモードからクランプモードに切換えられる。
さらに駆動ベース12には、ターンテーブル11に隣接して光ヘッド16を載置している。光ヘッド16の上面には対物レンズ17を有し、光ヘッド16をディスクDの径方向に移動させるスレッド機構(図示せず)を設けている。スレッド機構により、対物レンズ17はターンテーブル11にクランプされたディスクDの半径方向に移動することができる。
また筐体1の底面上の3箇所には,ダンパー18が固定されている。即ち、支持ベース13の底面の3箇所には支持軸19が下方に向けて固定されており、各支持軸19は各ダンパー18に支持されており、支持ベース13は、各ダンパー18によって筐体1の底面上に弾性的に支持可能となっている。
図3は、収納型ディスク装置100の内部構造を示す平面図であり、主にディスク収納部30とディスクDをディスク収納部30に移送する移送ユニット20の構成を示している。図4、図5は、ディスク収納部30へのディスクDの搬入(ローディング)動作を示す平面図であり、図6はディスクDの駆動時を示す平面図である。
移送ユニット20は、ディスク挿入口2と平行に細長く延びるユニット枠21を有し、ユニット枠21内にはローラ軸22を並行に設け、ローラ軸22の両端はユニット枠21の側面に回動自在に支持されている。
ローラ軸22の外周には、天然ゴム等の摩擦係数の高い材料で形成した第1の移送ローラ231と第2の移送ローラ232を設けており、移送ローラ231と232は、軸方向に間隔を空けて配置している。移送ユニット20は、支点軸53を中心に、図3の待機位置と、図4で示す移送位置との間で回動(公転)する
図7は、移送ユニット20内の第1の移送ローラ231とその駆動機構を示す斜視図である。移送ローラ231は、ユニット枠21内に設けた摺動部材24に対向しており、移送ローラ231と摺動部材24(及び移送ローラ232と摺動部材24)との間でディスクDを挟持する。したがって、移送ローラ231,232の回転によってディスクDを筐体1内に搬入し、移送ローラ231,232を逆回転することで、ディスクDを筐体1内から排出することができる。
また、ローラ軸22の一端は、ユニット枠21の側面21aに突出しており、突出したローラ軸22に歯車25を固定している。側面21aには、歯車25と噛み合うギヤ26を設けている。さらにユニット枠21の下面には、下方に突出して支持片21bを一体に形成し、この支持片21bに軸27を固定し、軸27に歯車28とウォームホイール29とを一体化したギヤを回転自在に支持している。
また、ユニット枠21に設けた軸受部21cには、歯車51及びウォーム歯車52の支点軸53を回動自在に挿入しており、ウォームホイール29とウォーム歯車52が噛み合うようにしている。歯車51とウォーム歯車52は、第3のモータM3(図1参照)によって回転し、ウォームホイール29の回転力は歯車28とギヤ26を介して歯車25に伝達され、ローラ軸22を駆動して移送ローラ231,232を回転させる。
図7に示すように、筐体1の底面に固定された支点軸53の下方にある歯車51は、筐体1の底面に設けた中間歯車54(図1)と噛み合っており、第3のモータM3によって駆動される。
移送ユニット20は、図3の待機位置では、ディスク収納部30のトレイ31に支持されたディスクDの外周縁から僅かに離れている。一方、図4に示すように、移送ユニット20が支点軸53を中心に移送位置へ回動すると、移送ローラ231,232の軸芯と直交する仮想線(搬送中心線Ob)が、ディスク収納部30の方向に向く。
移送ユニット20が、図4の移送位置にあると、移送ローラ231,232によって搬入されたディスクDは、ディスク収納部30のトレイ31に供給され、そのあと図5で示すように、移送ユニット20は待機位置に戻る。
図5は、ディスクDがトレイ31に保持された状態を示している。尚、トレイ31に供給されたディスクDは、トレイ31と保持部材46,47,48によって保持されるが、保持部材46,47,48の動作は後で詳しく説明する。また、図6はディスクDの再生時の状態を示している。ディスクDは、保持部材46,47,48による保持が解除され、ターンテーブル11に支持される。
図8、図9は、ディスクDのクランプ機構60を示す側面図である。図8に示すように、ターンテーブル11を含む駆動ユニット10は、駆動ベース12(図1,図2参照)を有しており、駆動ベース12の回動端の上面にスピンドルモータSMが固定され、スピンドルモータSMのモータ軸にターンテーブル11が固定されている。ターンテーブル11には、ディスクDの下面が載置される円盤状のフランジ11cと、フランジ11cの中心部から上方に突出してディスクDの中心穴に入る凸部11bとを一体に形成している。フランジ11cの下面には円周方向へ等ピッチで形成されたギア11dを有している。
ターンテーブル11の凸部11b内には、複数のクランプ爪61を設けている。クランプ爪61は、図8に示すように、凸部11b内に退行した非クランプ位置と、図9に示すように凸部11bの外側に突出したクランプ位置との間で移動可能となっている。またクランプ爪61は、クランプ位置側にバネで付勢されている。フランジ11cの下には切換えギア62を設けており、この切換えギア62は、モータ軸を支点として、ターンテーブル11とは独立して回転自在になっている。また駆動ベース12には、ロック板バネ63が固定されており、ロック板バネ63の先端が、ギア62に掛止可能になっている。
また図1,図2にも示すように、駆動ユニット10には、駆動ベース12の側辺に、クランプ切換え部材64を設けている。クランプ切換え部材64は、駆動ベース12の側辺に沿って摺動自在であり、クランプ切換え部材64の先端部には、切換えギア62に向けられた駆動歯65(図1,図2)を設けている。
図1のように、クランプ切換え部材64が、駆動ベース12の回動支点側(支持軸14側)に移動しているときには、クランプ切換え部材64の駆動歯65が、切換えギア62に噛み合い、且つロック板バネ63の先端が、フランジ11cに形成されたギア11dに噛み合っている。このとき図8で示すように、切換えギア62が駆動歯65で拘束され、ターンテーブル11がロック板バネ63で拘束され、クランプ爪61が凸部11b内に退行して非クランプ状態となる。
また図2の破線で示すように、駆動ユニット10が介入位置に回動し、クランプ切換え部材64が、駆動ベース12の回動端側へ移動すると、駆動歯65が切換えギア62から外れる。このとき図9に示すように、クランプ切換え部材64の先部が、ロック板バネ63の上に乗り上がって、ロック板バネ63が、フランジ11cのギア11dから外れる。これにより、ターンテーブル11と切換えギア62が自由状態となり、クランプ爪61が、バネの力で凸部11bの周囲に突出してクランプ状態となる。このとき、ディスクDの中心穴Daの周囲が、フランジ11cと複数のクランプ爪61とに挟まれて、ディスクDがターンテーブル11にクランプされる。したがって、ディスクDの再生(又は記録)時には、図10に拡大して示すように、クランプ爪61によってディスクDがターンテーブル11の面にクランプされる。
また筐体1内には、図3で示すように、ディスクDの外周縁よりも外側の位置にガイド部材70を設けている。ガイド部材70は、駆動ユニット10が介入位置へ移動するときに回動してディスクDの外周を保持し、移動中のターンテーブル11などがディスクDに当たるのを防止する。また移送ユニット20によってディスクDをローディングするとき、或いは排出するときにも、ディスクDの外周をガイド部材70によって保持し支える。便宜上、図4ではガイド部材70を省略している。
またディスクDの回転駆動が終了し、ディスクDをイジェクトするときに、駆動ユニット10を上昇させるが、駆動ユニット10が上昇した位置にあるときにガイド部材70は、ディスクDを保持する役割を果たす。ガイド部材70によってディスクDが保持されると、駆動ユニット10は下降し、ターンテーブル11からディスクDが離れる。
図11は、駆動ユニット10の昇降動作とガイド部材70による保持動作を示す説明図であり、(a)は駆動ユニット10(ターンテーブル11)が下降してディスクDが再生状態にあるときを示す。ディスクDの再生を終了すると下降した位置に待機しイジェクト操作を待つ。このときの駆動ユニット10の位置を待機位置と呼ぶ。
図11(b)はイジェクト操作により駆動ユニット10が上昇した状態を示している。ディスクDが上昇位置にくると、ガイド部材70はティスクDの外周を保持する位置にスライドし、(c)で示すようにディスクDの外周を保持(ホールド)する。ガイド部材70は、下方ガイド71と上方ガイド72を有し、下方ガイド71と上方ガイド72の間にディスクDが入り込む。
またディスクDがガイド部材70で保持されると、移送ローラ20が図4に示す位置まで回動して、ディスクDを移送ローラ231(232)によって保持する。そしてディスクDがガイド部材70と移送ローラ231,232によって保持された状態で駆動ユニット10が下降し、ターンテーブル11をディスクDの中心穴から抜き出すようにしている。
尚、移送ローラ20の移送ローラ231と232を保持するユニット枠21には、図3で示すように、センサS1,S2を配置しており、ディスクDが移送ローラ231(又は移送ローラ232)によって保持されたか否かを検出するようにしている。図12は、センサS1(S2)を拡大して示す側面図である。センサS1を例に説明すると、センサS1は、発光素子S11と受光素子S12を含むフォトセンサであり、ユニット枠21内にディスクDが無い場合は、発光素子S11から受光素子S12に対して光が通るが、ユニット枠21内にディスクDがある場合は、発光素子S11からの光がディスクDによって遮断されるため、ディスクDを移送ローラ231(232)で保持したか否かを検知することができる。
次に、ディスク収納部30の構成について説明する。ディスク収納部30は、図13に示すように、筐体3内に設けられ、扇状の複数のディスク支持体(トレイ)31を有している。筐体3は筐体1内にある。各トレイ31は、外縁部の3箇所において軸(選択軸)32a,32b,32cに支持されている。尚、3aは、筐体3の天井部である。
図14は、選択軸32a,32b,32cの1つを拡大して示す図であり、図15は、ディスクDがトレイ31の1つに支持された状態を示す図である。尚、以下の説明においては、選択軸32a,32b,32cを総称して選択軸32と呼ぶ場合もある。
図14で示すように、選択軸32の外周には、スパイラル状の溝33を形成している。溝33は、選択軸32の上方と下方では密ピッチ33a,33bとなっており、少なくとも5周(5ピッチ)以上の溝を形成している。また選択軸32の中間部では、溝33が疎ピッチ33cとなっており、上方の密ピッチと下方の密ピッチの間で、溝33を1ピッチ分だけ形成している。トレイ31は、例えば薄い金属板で形成され、上下方向に重ねて6枚設けており、それぞれ扇状を成している。
図15で示すように、トレイ31には軸受34が固定されており、軸受34は、選択軸32a32b,32cの外周に挿通され、軸受34の内側には係止部(図14の支点34aで示す)が一体に突出して形成され、この係止部が各選択軸32の溝33に摺動自在に係止している。
また6枚のトレイ31の各軸受34の係止部34aは、溝33の各ピッチに係止しており、選択軸32が、反時計方向へ回転すると、トレイ31は選択軸32に沿って1枚ずつ下向きに送られ、選択軸32が時計方向へ回転すると、トレイ31は選択軸32に沿って1枚ずつ上向きに送られ、エレベータのように上下動する。したがって、選択軸32や選択軸32を回転する駆動部は、エレベータ機構を構成する。
こうして、各トレイ31は選択軸32の回転により上昇または下降し、選択軸32の中央部分の疎ピッチ部33cに位置するトレイ31(選択位置αにあるトレイ31)は、隣接する下方のトレイ31から大きく離れ、そのスペースに駆動ユニット10を進入させることができ、再生や記録が可能となる。
図16は、ディスク収納部30の構造を示す斜視図であり、(a)は全体構造を示す斜視図であり、図13の状態から天地を逆にし、天井部3aを下側にして見た図である。尚、説明を分かりやすくするため、トレイ31は1枚のみ図示している。
図16(a)に示すように、3つの選択軸32a,32b,32cの上端(天井側)には小歯車35を設けており、天井部3aの内面には大径のリング状歯車36を回転自在に設けている。リング状歯車36は、選択軸32の小歯車35と噛み合っており、リング状歯車36の回転により、全ての小歯車35が同期して回転し、3本の選択軸32a,32b,32cが同期して回転する。
また天井部3aの内面には回転軸37が回転自在に支持されている。回転軸37の下端には、伝達歯車38が固定され、回転軸37の上端には、歯車39が固定されており、歯車38がリング状歯車36に噛み合っている。第2のモータM2を始動すると、その動力が歯車39に伝達され、リング状歯車36が駆動される。即ち、移送ユニット20が待機位置(図3)に停止しているときに、第2のモータM2によって歯車39が駆動され、リング状歯車36が回転してトレイ31の選択動作が行われる。
また図16(b)に拡大して示すように、天井部8aの内面には回転検出部40を設けている。回転検出部40は、天井部8aに固定された支持軸41を有し、支持軸41には、歯車42と、一部が欠けた歯車43とを一体に形成し、歯車42がリング状歯車36に噛み合っている。
歯車43には、切欠き部43aを形成しており、歯車43を挟むように一対の光学センサ44,45を配置している。光学センサ44,45は、それぞれが歯車43の上面に対向する発光素子と歯車43の下面に対向する受光素子とを含む。
歯車43の切欠き部43aが光学センサ44,45に対向すると、発光素子から発せられた光が受光素子で受光され、検出出力がONになる。また発光素子から発せられる光が歯車43で遮られると、検出出力がOFFになる。
したがって、回転検出部40では、リング状歯車36が回転して各選択軸32が回転し、いずれかのトレイ31が選択位置αに至ったときに、光学センサ44と45が同時にONとなり、さらに回転部材42が1回転して、次に光学センサ44,45がONになると、次のトレイ31が選択位置αに至ったことを検出する。また、光学センサ44と45のどちらが先にON,OFFするかによって、リング状歯車36の回転方向、つまりトレイ31が下方又は上方に移動しているかを認識することができる。
また、両光学センサ44,45が同時にONとなったときに、第2のモータM3を止めることにより、トレイ31を選択位置αに停止させることができる。また、両光学センサ44,45が共にONとなる回数をカウントすることで、6枚のトレイ31のどれが選択位置αに至ったかを認識できる。
また図16(a)に示すように、トレイ31には3個の保持部材46,47,48を設けている。ただし、図3及び図4〜図6では、説明を分かりやすくするため、トレイ31を透視して保持部材46,47,48を図示している。
保持部材46は、選択軸32a上の軸受34の外周に回動可能に支持され、同様に保持部材47は、選択軸32b上の軸受34の外周に、また保持部材48は、選択軸32c上の軸受34の外周にそれぞれ回動可能に支持されている。図3に示すように、各保持部材46,47,48とトレイ31との間にはそれぞれ引っ張りコイルばね49が掛けられている。
また保持部材48の構造も保持部材47と類似しており、図3に示すように、腕部の先部に保持爪48bを有している。保持部材48は、保持爪48bと逆側に延びる検出部48hを一体に有し、この検出部48hの近接位置に、ディスクDが保持されたことを検出するセンサ50を設けている。センサ50は、例えば発光素子と受光素子を対向配置した光学センサである。また保持部材46の構造も保持部材47と類似しており、腕部の先部に保持爪46bを有している。こうして各保持部材46,47,48は、トレイ31との間でディスクDを保持する保持機構を構成する。
以下、ディスク装置100の動作について説明する。先ずディスクDをディスク装置100に装填(ローディング)する時は、図3で示すようにディスクDが挿入口2から挿入され、ディスクDの挿入が検出されると、第3のモータM3(図2参照)が始動し、待機位置にある移送ユニット20の移送ローラ231と232が搬入方向に回転し、ディスクDが移送ローラ231,232とユニット枠21(図7)とで挟持されて筐体1内に搬入される。このとき保持部材46は、ディスクDのローディングを妨げないように駆動部材56によって、γ1方向へ回動している。
さらにディスクDが搬入されると、第2のモータM2が再始動して、移送ユニット20は、支点軸53を中心として、図4に示す移送位置に回動する。移送位置へ回動する間も移送ローラ231,232は回転し続け、ディスクDは、移送ユニット20の回動(公転)と、移送ローラ231,232の自転により、ディスク挿入口2からディスク収納部30の保持位置へ搬入される。図5はディスクDが搬入され、ディスク収納部30に保持された状態を示している。
ディスクDの挿入時は、図3に示すように保持部材46は、γ1方向に回動しているが、ディスクDの挿入に伴って駆動部材56による駆動が外れ、ばね49に引っ張られγ2方向に回動する。尚、ディスクDの中心をD0、中心穴をDaで示す。
また保持部材47,48もばね49によってγ4方向に回動している。従って、トレイ31に送り込まれるディスクDは、図4で示すように最初に保持部材46に当たり、ばね49の付勢力に抗して保持部材46をγ1の方向へ回動する。
さらに移送されたディスクDは、保持部材47と、48に当たる。これにより図5に示すように、ディスクDは、トレイ31の下面と保持爪46b、47b、48bとの間に入り込み、保持部材47,48は、ばね49の付勢力に抗してγ3方向へ回動する。そして、ディスクDの外周縁が、保持部材47、48に位置決めされ保持される。
また、トレイ31にディスクDが保持されたことをセンサ50によって検出する。即ち、図5で示すようにセンサ50の発光素子と受光素子の間にあった検出部48hが外れるため、検出出力がONとなる。
ディスクDが収納された後、第2のモータM2により移送ユニット20は、移送位置から待機位置へ回動する。移送ユニット20が待機位置に復帰すると、シャッタによって挿入口2を閉鎖する。この時点でディスクDは、トレイ31の下面と、保持部材46,47,48の保持爪47b,48b,48cとの間に保持される。
トレイ31に保持されたディスクDを駆動するときには、図6で示すように、介入位置にある駆動ユニット10に設けたターンテーブル11の中心凸部11b(図1参照)がディスクDの中心穴Daに入り込みディスクDをクランプする。このとき、保持部材47と48は駆動部材55によって、さらにγ3方向へ回動し、保持爪47b,48bがディスクDの外周縁よりも外側へ離れる。保持部材46も駆動部材56によって、さらにγ1方向へ回動し、保持爪46bがディスクDの外周縁よりも外側に離れる。
このあと駆動ユニット10は、クランプ動作時よりも底面側へ下降し、ディスクDはトレイ31の下面から離れる。そしてクランプ爪61によってクランプされたディスクD(図9,10参照)は回転駆動され、光ヘッド16によってディスクDに記録された信号が読み取られ、あるいはディスクDに信号が記録される。このとき、ユニット支持ベース13がダンパー18によって弾性支持される。
一方、再生又は記録が完了したディスクDを排出するときは、スピンドルモータが停止し、ターンテーブル11の回転が停止する。また図11(b)で示すように支持ベース13が持ち上げられて、ディスクDは選択位置αにあるトレイ31の下面に押し付けられる。このとき図11(c)で示すようにガイド部材70によってディスクDを保持し、移送ユニット20が図4の位置まで回動して移送ローラ231,232を保持するユニット枠21(図7)にディスクDが入る。また図5に示すように、保持部材46がγ2方向へ回動し、保持部材47,48がγ4方向へ回動して、ディスクDをトレイ31の下面と各保持爪46b,47b,48bとで保持する。
そしてユニット支持ベース13と駆動ユニット10が底面に向けて下降し、ターンテーブル11のクランプ爪61によるディスクDのクランプが解除され、ディスクDは、ターンテーブル11から抜ける。その後、移送ユニット20の移送ローラ231,232が第3のモータM3によって搬出方向へ回転する。
さらに、移送ユニット20が図4から図3の待機位置へ移動することで、ディスクDは搬出方向へ向かい、移送ローラ231,232の回転により挿入口2から排出される。ディスクDが排出されあと、保持爪46b,47b,48bは、ばね49によって図3の状態に戻る。また挿入口2が閉鎖する。
このように収納型ディスク装置100は、ディスク挿入口2から挿入されたディスクDを移送ユニット20によって筐体1の内部へローディング(搬入)し、ディスクの厚さ方向に積層されたトレイ31内に収納することができる。また収納されたトレイ31の中から選択したディスクDを、駆動ユニット10によって回転駆動し、光ヘッド16によってデータの読取りまたはディスクへの記録を行うことができる。
次に図17を参照してディスク装置100の制御系について説明する。図17は制御系のブロック図である。ディスク装置100は、マイクロコンピュータで構成された制御部80が装置の全体の動作を制御する。
ディスクDは、スピンドルモータ81によって一定の線速度で回転され、ディスクDからの情報の読み取り、或いはディスクDへの情報の記録が光ヘッド16によって行われる。光ヘッド16は、スレッドモータ82によってディスクDの半径方向に移動する。サーボコントローラ83は、制御部80の制御のもとにスピンドルモータ81の回転を制御するとともに、光ヘッド16のトラッキング制御、フォーカス制御、及びスレッドモータ82の駆動を制御する。
RFアンプ84は、光ヘッド16によって読出した情報に対応するRF信号を増幅して次段に伝達する。又、RFアンプ84は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボコントローラ83に送る。
デジタル信号処理回路85は、RFアンプ84から出力されたRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理等を行う。デジタル信号処理回路85には、SDRAM等のメモリ86が接続されており、例えばMP3による圧縮音楽データ等のファイル情報をメモリ86に読み書き自在に一時記憶する。メモリ86から読み出されたファイル情報は、デコーダ87に供給され、デコーダ86では、例えばMP3圧縮音楽データを伸長して非圧縮の通常の音楽データに変換する。
また、制御部80は、メモリ88とカウンタ89を含み、制御部80には、ホストインタフェース90が接続されている。ホストインタフェース90は、ホスト(図示せず)からのコマンドを制御部80に送ったり、ディスク装置100のデータをホストに送る。
さらに制御部80には、第1のモータM1、第2のモータM2、第3のモータM3を駆動するモータドライバ91,92,93が接続されている。また制御部80には、センサ50、センサ44,45及びセンサS1,S2からの検出結果が供給される。センサ50は、ディスクDがディスク収納部30に保持されたか否かを検出するものであり、センサ44,45は、選択軸32の回転数を検出してトレイ31の選択等を行う。またセンサS1,S2によってディスクDを移送ローラ231,232によって保持したか否かを検出する。
第1のモータM1と第2のモータM2は、それぞれモータドライバ91,92によって駆動制御され、駆動ユニット10の回動や、移送ユニット20の公転制御を行う。また選択軸32を回転制御してディスクDの選択等を行う。また第3のモータM3は、モータドライバ93によって駆動制御され、移送ローラ231,232を回転制御する。尚、駆動ユニット10は支持ベース13に支持され、支持ベースが昇降することで駆動ユニット10(及びターンテーブル11)が昇降するが、昇降機構については省略する。
ところで、収納型のディスク装置100では、ディスクDをローディングする際に正しくセンタリングされず、ターンテーブル11の回転中心とディスクDの中心穴の位置がずれてしまうことがある。センタリングミスの原因としては、機構部品の交差バラツキが考えられる。また偏芯ディスクや外形が異常なディスクもセンタリングミスの原因となる。
例えば、図18のようにディスクDの外周の一部が欠けている場合、センタリングはディスク外周縁に合わせて行うため、センタリングミスが発生する可能性がある。そのほかにもディスクローディング時に紙などの異物が混入した場合や、ディスクDの中心穴の変形やバリの発生もセンタリングミスの原因となる。
またクランプ爪61によってディスクDをクランプしているが、クランプを解除する際にクランプ爪61の収納が不十分であると、次のクランプ時にディスクの中心穴の縁に引っ掛かってクランプに失敗する可能性もある。クランプ爪61がディスクDの中心穴に正常に填まらない場合、ディスクDの下でクランプ爪61が開いてしまい、図19に示すようにクランプに失敗してしまう。
図19(a)は、ディスクDのセンタリングがうまく行われず、ターンテーブル11の突部11bの上にディスクDが載った状態を示している。図19(b)はディスクDの下でクランプ爪61が開いてしまったクランプミスの状態を拡大して示している。
クランプミスが発生した場合は、ディスクDの再生が不可能となるため、駆動ユニット10を上昇してディスクDを一旦ターンテーブル11から離して、再度正常にクランプするようにリトライすることになる。駆動ユニット10を上昇したとき、図11でも説明したように、ガイド部材70によってディスクDを保持し、さらに移送ユニット20の移送ローラ231,232によってディスクDを保持し、そのあとで駆動ユニット10を下降し、ディスクDをターンテーブル11から離すことになる。
しかしながら、図19のようにディスクDのクランプミスが発生すると、ディスクDの上昇位置が正規の高さ位置と異なってしまう。このため、図20に示すようにディスクDがガイド部材70に衝突してしまい、ディスクDを保持することができない。このため、以降のメカ動作ができずにメカスタックに至る。
また図21(a)で示すように、移送ローラ231,232を保持するユニット枠21にディスクDが衝突したり、図21(b)で示すようにユニット枠21の上にディスクDが乗り上げてしまう。このため、移送ユニット20は、最大角度(図6で示す位置)まで回動できず、センサS1,S2もディスクDを検出しないため、制御部80は、移送ローラ231,232によってディスクDを保持できていないと判断してしまい、ディスクDの排出動作は行われず、メカスタックに至る。
つまり、ガイド部材70によるディスクの保持、及び移送ローラ231,232によるディスクDの保持が行われない状態でクランプ爪61によるクランプを解除してしまうと、ディスクDを保持しているものがなくなり、ディスクDが落下してしまう。したがってディスクの落下を防ぐため、ガイド部材70及び移送ローラ231,232によるディスクDの保持が行われない状態では、クランプ解除の動作に移行しないようにしている。このため、ディスクDのクランプミスに陥ると、ディスクの再生は勿論、イジェクト動作もできずにメカスタックに陥ってしまう。
そこで、実施形態のディスク装置100では、ディスクのセンタリングミス(クランプミス)が発生した場合には、ディスクDの排出処理を何回かリトライし、その間にディスククランプに失敗したことを判別し、かつフォーカス処理にてディスククランプに失敗したことを確認してリカバリー処理を行う。リカバリー処理では、駆動ユニット10を上昇することなくプレイ時と同じ高さ位置(待機位置)のまま、ガイド部材70と移送ローラ231,232によりディスクDを保持し、その後にクランプ解除を行い、メカスタックを防止して正常復帰を図る。
即ち、ディスクのクランプミスが発生し、ディスクのクランプ解除ができない場合、以下のA〜Eについての動作確認を行い、動作不能である場合はNGポイント(A〜E)を制御部80の内部メモリ(RAM)88に記録する。
A.駆動ユニット10の上昇動作、
B.ガイド部材70によるディスクの保持動作、
C.移送ユニット20の回動動作、
D.移送ローラ231,232によるディスクの保持動作、
E.駆動ユニット10の下降動作(クランプ解除)
そして、イジェクトのリトライを規定回数(搭載する製品で設定可能)行った後に、NGポイントを確認する。上記のB,C,Dの動作が不能である場合には、ディスクのクランプミスに起因する可能性がある。したがって、NGポイントB,C,Dを記録した場合には、駆動ユニット10を一度プレイ時の高さ位置に下降してフォーカス処理によるディスククランプの確認を行い、クランプミスが発生しているか否かを正確に判定する。
クランプミスが発生していると判断した場合には、駆動ユニット10をプレイの高さ位置のままで排出動作を実行する。排出動作では、ガイド部材70によるディスクDの保持と、移送ユニット20の回動と、移送ローラ231,232によるディスクDの保持を実行する。その後、ディスクのクランプ解除(駆動ユニット10の上昇と下降動作)を行って、ディスクDの排出動作に移行する。このような処理によって、ディスクDのクランプミスが発生した場合でもメカスタックに陥るのを防止し、イジェクト動作の成功確率を向上させることができる。尚、以上述べたクランプミスは、ディスクDをディスク挿入口から挿入する場合だけでなく、ディスク収納部30におけるディスクチェンジの際にも発生する可能性があるが、イジェクト時と同様にクランプ解除動作が行われるため、メカスタックに陥ることを低減することができる。
図22〜図24は、上述したクランプミス時のイジェクト動作を示すフローチャートである。図22において、ステップS1は、クランプミスが発生したときのクランプ解除のスタートステップであり、ステップS2ではリトライカウントをクリアにし、ステップS3ではNGポイントをクリアにする。尚、リトライの回数はカウンタ89でカウントされる。
ステップS4では、駆動ユニット10を図11(b)で示すように、プレイ位置よりも高い位置に上昇させ、ステップS5で駆動ユニット10が上昇したか(クランプ位置にあるか)を判断する。駆動ユニット10が上昇したとき、ステップS6では図11(c)で示すように、ガイド部材70をスライドさせる。一方、ステップS5で駆動ユニット10が上昇しないと判断した場合は、ステップS7で所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間内であればステップS5に戻り、タイムアウトしたときはステップS8でNGポイントAを記録し、図23のステップS27に進む。
またステップS9ではガイド部材70がスライドしたか否かを判断する。正常であればガイド部材70は図11(c)のようにスライドし、ステップ10では移送ユニット20を回動する。一方、図20のようにディスクDがクランプミスの場合、ガイド部材70はスライドできないため、ステップS11で所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間内であればステップS9に戻り、タイムアウトしたときはステップS12でNGポイントBを記録し、図23のステップS27に進む。
ステップS13では移送ユニット20が最大角度まで回動したか否かを判断する。正常であれば図4のように移送ユニット20が回動し、ステップS14では移送ローラ231,232でディスクDを保持したかの確認を行う。一方、図21(a)のようにディスクDがクランプミスの場合、ディスクDがユニット枠21に衝突して移送ユニット20が最大角度まで回転できないため、ステップS15で所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間内であればステップS13に戻り、タイムアウトしたときはステップS16でNGポイントCを記録し、図23のステップS27に進む。
ステップS17ではセンサS1,S2の遮光状態を判断し、移送ローラ231,232でディスクDを保持したか否かを判断し、センサS1,S2が遮光状態(図12)であればステップS18で駆動ユニット10を待機位置まで下降する。図21(a),(b)のようにセンサS1,S2が遮光しない場合は、ディスクDが移送ローラ231,232によって保持されていないため、ステップS19で所定時間が経過したか否かを判断し、タイムアウトしたときはステップS20でNGポイントDを記録し、図23のステップS27に進む。
ステップS21では駆動ユニット10が待機位置にあるか否かを判断し、待機位置にあるときは、ステップS22でリトライカウンタをクリアにし、ステップS23でNGポイントをクリアし、ステップS24で正常に終了する。
一方、駆動ユニット10が待機位置に無い場合はステップS21からステップS25に進み、ステップS25で所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間内であればステップS1に戻り、ステップS25でタイムアウトしたときはステップS26でNGポイントEを記録し、図23のステップS27に進む。
図23のステップS27は、図22でNGポイント(A〜E)のいずれかが記録された場合にリトライカウントの値をアップ(+1)する。ステップS28ではリトライカウントが所定の値(例えば5)に達したか否か、つまりリトライが所定の回数だけ行われたか否かを判断し、所定回数に達しない場合は図22のステップS4に戻り、リトライを行う。
またステップS29で、リトライカウントが所定の値(例えば5)になったことを判断すると、ステップS30ではNGポイントがB又はC又はDかを判断し、NGポイントがB,C,D以外であれば、図22のステップS4に戻り、リトライを行う。NGポイントがB又はC又はDであれば、図24のステップS34に進む。
またステップS29でリトライカウントが所定の値(例えば5)以上の場合は、ステップS31でリトライカウントをクリアにし、ステップS32でNGポイントをクリアにし、ステップS33でエラー状態を表示する。
図24のステップS34では、駆動ユニット10を下降して待機位置に移動し、
ステップS35では、ガイド部材70をスライドさせ、ステップS36ではスライドを完了したか否かを判断する。クランプミスがあると、ディスクDは図19のようにターンテーブル11の凸部11bに載ってしまうが、駆動ユニット10を下降することにより、図25で示すように、ガイド部材70はスライドできるようになる。ガイド部材70のスライドが完了すればステップS37で移送ユニット20を回動させる。ステップS35でスライドが完了せずステップS38でタイムアップしたときは図23のステップS31に進む。
ステップS39では移送ユニット20が最大角度まで回動したか否かを判断し、回動すればステップS40で移送ローラ231,232によるディスクDの保持状態を確認する。ステップS38で最大角度まで回動せず、ステップS41でタイムアップしたときは図23のステップS31に進む。
ステップS42ではセンサS1,S2が遮光状態にあるか否かを判断し、遮光状態であればステップSS43で駆動ユニット10を上昇する。センサS1,S2が遮光しない場合は、図23のステップS31に進む。ステップS44では、駆動ユニット10が上昇位置にあるか否かを判断し、上昇位置にあるときはステップS45で駆動ユニットを下降して待機位置に戻し、ディスクDをターンブル11から離す。ステップS44で駆動ユニット10が下降せずステップS46でタイムアップしたときは図23のステップS31に進む。
ステップS47では駆動ユニット10が待機位置にあるか否かを判断し、待機位置にある場合は、ディスクDをイジェクトできたため、図22のステップS23に進みNGポイントをクリアにして正常終了ステップS24へと移行する。またステップS47で待機位置になくステップSS48でタイムアップしたときは図23のステップS31に進む。ステップS31からステップS33に進むことはエラー状態であるため、別途サービスマンによる対応が必要となる。
またクランプミスにより、ディスクDがターンテーブル11上に正常に載置されず、凸部11bの上に載っているような場合は、フォーカス合せの処理を行ってフォーカスエラー信号を判断し、クランプミスか否かをより正確に判断する。
即ち、光ヘッド16はレーザダイオード(LD)と対物レンズを含んでいるが、通常のフォーカス処理と同様に、LDの発光状態で対物レンズをディスクに近づけてレンズアップを行い、フォーカスエラー信号の有無を監視する。フォーカスエラー信号検出した場合は、正常のクランプ状態と判断する。また所定期間(例えば186msec)にフォーカスエラー信号が得られない場合はレンズダウンして、同様に186msecの期間にフォーカスエラー信号を監視する。3往復行ってもフォーカスエラー信号が得られない場合は、クランプミス状態であると判断する。
フォーカス合わせ処理の信号検出には、図26に示すように非点収差法を使う。非点収差法ではディスクDからの戻り光路中にシリンドリカルレンズを配置し、シリンドリカルレンズを通過したビームが最初は縦長の楕円ビームとなり、次に真円に近くなり、さらに横長の楕円ビームとなることを検出する。ディスクDまでの距離が変わると、これらの点の位置も変わる。これによりフォーカスエラー信号を検出する。
ディスクDで反射した光は、4分割された光検出器に当たり、その時に対角の和の差分を取って制御することにより、適切な焦点(位置)か否かが判定可能になる。4光検出器による非点収差でビームスポットの形状により、フォーカスの状態を検出する。
図26に示すように、光検出器の受光面A〜Dの夫々の検出出力はビームスポットの面積に比例する。((A+C)−(B+D))がフォーカスエラー信号(FOK)として出力され、ディスクが存在する場合には、図26の様な出力波形(FOK:S字)が得られる。ディスクDが正常にクランプされていない場合、S字出力が有られないため、クランプミスと判断することができる。
図27、図28は、フォーカス処理によるクランプミスの判断処理を示すフローチャートである。図27において、ステップS51はフォーカスサーチの開始ステップであり、ステップS52ではカウンタをゼロにしたあと、ステップS53でカウンタをプラスする。ステップS54ではカウンタの値が所定の値(本例では3)よりも大きいか否かを判断し、所定値よりも少ないときはステップS56でスピンドルモータ81を回転する。所定の値以上であれば、ステップS55でクランプミスと判断する。
ステップS57ではFOSETコマンドを送信し、LDを光らせレンズアップする。ステップS58ではフォーカスエラー信号が得られたか否かを判断し、得られた場合はステップS59でDMOFFコマンドを送信し、CLV(Constant Linear Velocity)サーボをオフにしてスピンドルモータ81をフリーラン状態にし、ステップS60でフォーカスサーチを終了する。
ステップS58においてフォーカスエラー信号が得られない場合は、ステップS61で所定の時間(例えば186msec)が経過するのを待って図28のステップS62に進む。
図28のステップS62では、DMOFFコマンドを送信し、CLVサーボをオフにしてスピンドルモータ81をフリーラン状態にし、ステップS63でフォーカスサーチ信号が得られたか否かを判断し、得られた場合はステップS64でフォーカスサーチを終了する。ステップS63においてフォーカスエラー信号が得られない場合は、ステップS65で所定の時間が経過するのを待ってステップS66でスピンドルモータ81を回転し、ステップS67でFORSTコマンドを送信し、レンズダウンする。
次のステップS68では、フォーカスエラー信号が得られたか否かを判断し、得られた場合はステップS69で、DMOFFコマンドを送信し、フォーカスサーチ終了ステップS74に進む。ステップS68でフォーカスエラー信号が得られない場合は、ステップS70で所定の時間が経過するのを待ってステップS71でDMOFFコマンドを送信し、CLVサーボをオフにしてスピンドルモータ81をフリーラン状態にし、ステップS72でフォーカスエラー信号が得られたか否かを判断する。フォーカスエラー信号が得られた場合はステップS74でフォーカスサーチを終了する。ステップS72においてフォーカスエラー信号が得られない場合は、ステップS73で所定の時間が経過するのを待って図27のステップS53に進む。
こうして、レンズアップとレンズダウンを行ってフォーカスエラー信号の有無を監視し、3往復行ってもフォーカスエラー信号が得られない場合は、ステップS55でクランプミス状態であると判断する。
以上述べたように、本発明の実施形態では、ディスクのクランプミスが発生したときにリカバリー処理を行うことができ、メカスタックやディスク落下を回避してディスクをイジェクトすることができる。また収納型ディスク装置では、ディスクチェンジ時においてクランプミスが発生した場合にクランプ状態を解除することができる。
尚、以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、収納型ディスク装置に限らず、1枚のディスクをローディングして再生するタイプのディスク装置であってもよい。