JP5662861B2 - 光電変換素子及び光電気化学電池 - Google Patents

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Description

本発明は、耐久性及び光電変換特性に優れた光電変換素子及びかかる光電変換素子を用いた光電気化学電池に関する。
太陽光発電に使用される光電気化学電池として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、テルル化カドミウム、セレン化インジウム銅等の化合物からなる太陽電池が主な研究開発の対象とされ、その一部は実用化されている。しかし、これらの光電気化学電池を家庭用電源等の用途として広く普及させるためには、これらの光電気化学電池は、廉価で製造することや原材料の確保が困難であるなどの問題点があり、これらを克服する必要がある。
そこで、特定の構造の光増感色素が担持された半導体微粒子層の作用極と、この作用極に対向して設けられる対極とを備え、これら作用極と対極との間に酸化還元対を含有する電解質が充填された色素増感太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。本発明者らは、これらの文献に記載された色素を用いて作用極を作製し、該作用極と対極との間に酸化還元対を含有する電解質を充填して色素増感太陽電池を作製し、その耐久性の評価を行った。その結果、長期で厳しい条件下で使用された場合、電解液の染み出しなどが問題となる場合があることが判明した。
本発明者が従来のゲル化剤で電解液をゲル状とする方法について検討したところ、ゲル化剤は電気抵抗が非常に高い電気絶縁体であるため、ゲル状電解液を用いない場合と同程度の光電変換効率を得るためには、酸化還元対の濃度を上げなければならず、むしろ耐久性が低下する結果であることがわかった。
またゲル化剤を加えることによる電気抵抗の上昇を抑制する方法として、イオン性液体と、導電性粒子及び/又は酸化物半導体粒子を含むことにより、ゲル状とされた電解質組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この電解質組成物を用いた場合でも、従来の増感色素では、やはり酸化還元対の濃度を上げなければならず、十分な耐久性を有する光電変換素子及び光電気化学電池を得ることはできなかった。
そこで、変換効率等の光電変換特性と、長期間にわたり使用後も光電変換特性の低下が少なく耐久性に優れた光電変換素子及びかかる光電変換素子を用いた光電気化学電池が必要とされている。
特開2001−60468号公報 WO 2007/091525パンフレット WO 2005/006482パンフレット
本発明の課題は、変換効率等の光電変換特性と、長期間にわたり使用後も光電変換特性の低下が少なく耐久性に優れた光電変換素子及びかかる光電変換素子を用いた光電気化学電池を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の置換基を有する特定のビリリジン配位子を有する金属錯体色素を増感色素として用いた光電変換素子及びこれを用いた光電気化学電池が、優れた変換効率及び耐久性を満足することを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>下記一般式(IX)で表される金属錯体色素を有する酸化物半導体層と、ゲル状電解質層を有し、前記電解質層が酸化還元対を含むことを特徴とする光電変換素子。
M(LL1)(LL2)(Z) ・CI 一般式(IX)
[Mは金属原子を表す。LL1は下記一般式(I)で表される構造の配位子を表す。LL2は下記一般式(X)で表される構造の配位子を表す。Zは1座または2座の配位子を表し、pは0〜2の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
Figure 0005662861
[一般式(I)中、
およびRは各々独立に、下記一般式(II)〜(VIII)のいずれかで表される基を表す。
およびLは各々独立に、エテニレン基、エチニレン基およびアリーレン基から選ばれた少なくとも1種であって、R、R およびビピリジンと共役している。ただし、エテニレン基およびアリーレン基は置換されていても置換されていなくてもよい。
およびRは独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、n1が1以上のときRはLと連結して環を形成していてもよく、n2が1以上のときRはLと連結して環を形成していてもよい。n1が2以上のとき、R同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n2が2以上のときR同士は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n1およびn2がともに1以上のときRとRが連結して環を形成していてもよい。
ただし、n1およびn2は各々0〜3の整数を表し、A およびAは酸性基またはその塩を表す。n3およびn4は各々0〜3の整数を表す。]
Figure 0005662861
[一般式(II)〜(VIII)中、
は、置換基を有してよいアルキニル基またはアリール基を表す。R 、R13、R16 および19は置換基を有してよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基を表す。
、R、R〜R12、R14、R15、R17、R18、R20〜R23、R25、R26 および28〜R31は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基またはハロゲン原子を表す。RとR、R〜R12 およびR14とR15、R17とR18、R20〜R23 およびR25とR26 およびR28〜R31は互いに環を形成していてもよい。ただしRとRが結合して形成する環のうちジオキサン環を除く。
同一の窒素原子に置換する2つの24 およ2つの27は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 24 とR 27 互いに結合して環を形成することはない
m1〜m4は各々1〜5の整数を表し、m5は3〜5の整数を表す。m6は1〜5の整数を表す。
およびXは独立にS、O、Se、TeまたはNR32を表し、R32は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
Figure 0005662861
[一般式(X)において、
33およびR34は独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、n5およびn6は各々0〜3の整数を表す。
およびAは酸性基を表し、n7およびn8は各々1〜4の整数を表す。]
>前記金属元素Mが、Ru、Re、Rh、Pt、Fe、Os、Cu、Ir、Pd、WまたはCoであることを特徴とする<記載の光電変換素子。
>前記金属元素MがRuであることを特徴とする<または<2>に記載の光電変換素子。
>前記YがSであることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項記載の光電変換素子。
>前記酸化還元対がヨウ素とヨウ化物イオンからなるかまたは臭素と臭素化合物とからなることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項記載の光電変換素子。
>前記電解質層がイオン性液体を含むことを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項記載の光電変換素子。
>前記電解質層が、高分子化合物によりゲル化されていることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項記載の光電変換素子。
>前記高分子化合物が光電輸送能を持たないことを特徴とする<記載の光電変換素子。
>前記高分子化合物がフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体であることを特徴とする<または<記載の光電変換素子。
10>前記電解質層が酸化物半導体粒子および/または導電性粒子によってゲル化されていることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項記載の光電変換素子。
11>前記酸化物半導体がTiO、SnO、WO、ZnO、酸化インジウムスズ、BaTiO、NbO、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<10記載の光電変換素子。
12>前記酸化物半導体がTiOであることを特徴とする<10または<11記載の光電変換素子。
13>前記TiO酸化チタンナノチューブおよび酸化チタンナノ粒子のいずれか若しくはこれらの混合物であることを特徴とする<11または<12記載の光電変換素子。
14>前記導電性粒子がカーボンを含むことを特徴とする<10>〜<13>のいずれか1項記載の光電変換素子。
15>前記カーボンが、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーおよびカーボンブラックからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<14記載の光電変換素子。
16前記<1>〜<15>のいずれか1項記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
本発明により、変換効率等の光電変換特性と、長期間にわたり使用後も光電変換特性の低下が少なく耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について模式的に示した断面図である。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定構造のビリリジン配位子を有する金属錯体色素を有する酸化物半導体層と、ゲル状電解質層を有し、前記電解質層が酸化還元対を含む光電変換素子が、耐久性及び光電変換特性に優れることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
本発明の光電変換素子の好ましい実施態様を、図1の模式的断面図を参照して説明する。
図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1上に、酸化物半導体層2、電荷移動体層3、及び対極4がこの順序で配されている。上記導電性支持体1と酸化物半導体層2とにより受光電極5を構成している。酸化物半導体層2は半導体微粒子22と増感色素(以下、単に、色素ともいう。)21とを有し、電荷移動体層3は酸化還元対を有し、ゲル状電解質層となっている。増感色素21はその少なくとも一部において酸化物半導体微粒子22に吸着している(増感色素21は吸着平衡状態になっており、一部電荷移動体層3に存在していてもよい。)。酸化物半導体層2が形成された導電性支持体1は、光電変換素子10において作用極として機能する。この光電変換素子10を外部回路6で仕事をさせるようにして、光電気化学電池100として作動させることができる。
上記受光電極5は、導電性支持体1及び導電性支持体1上に塗設される増感色素21の吸着した半導体微粒子22の酸化物半導体層2(半導体膜)よりなる電極である。酸化物半導体層2(半導体膜)に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有している。そこでこの電子が増感色素21から酸化物半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき増感色素21の分子は酸化体となっている。酸化された増感色素21は、電荷移動体層のゲル状電解質層に含まれる酸化還元対の還元剤から電子を受け取り、基底状態の色素に戻るとともに、色素により酸化された電解質は、対極4まで拡散し、対極から電子を受け取り、還元状態の電解質に戻る。電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら酸化体に戻ることにより、光電気化学電池100として作用する。この際、受光電極5はこの電池の負極として働く。
上記酸化物半導体層2は、後述の色素が吸着された半導体微粒子22の層からなる多孔質半導体層で構成されている。この色素は一部電解質中に解離したもの等があってもよい。酸化物半導体層2は目的に応じて設計され、多層構造からなっていてもよい。
上述したように酸化物半導体層2には、特定の色素が吸着した酸化物半導体微粒子22を含むことから、受光感度が高く、光電気化学電池100として使用する場合に、高い光電変換効率を得ることができる。また、電荷移動体層3は酸化還元対(例えば、ヨウ素/ヨウ素化合物など)を有し、ゲル状電解質層となっている。たしかに耐久性向上の手段として電解質層のゲル化は効果的である。しかし、電解質層をゲル化すると、対極から酸化状態の色素への電子の戻りが悪くなり、光電変換効率の低下が起こりやすい。それを補うための手段としてヨウ素のような電解質の添加量を増やすことが考えられるが、ヨウ素等の電解質によるセルの劣化に付随する耐久性低下が生じる。しかし本発明では酸化物半導体層2に特定の化合物で表される金属錯体色素が吸着していることにより、酸化状態の色素が基底状態の色素に戻る工程が効率的に行われるため、ヨウ素の量を低減してもイオン伝導性に優れ、耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池を提供することができる。これは、本発明で用いられる色素の一電子酸化状態が酸化チタンの吸着面の逆側、つまり電解質側に分布していることで電子を受け取りやすくなっているためと予想される。
(A)金属錯体色素
本発明の光電変換素子は、後述の一般式(IX)で表される金属錯体色素により増感された半導体微粒子を含有し、さらに本発明の色素増感太陽電池は、この光電変換素子を含有する。
以下に、LL1である下記一般式(I)で表される配位子を示す。
Figure 0005662861
前記一般式(I)中、R及びRは独立に下記一般式(II)〜(VIII)を表す。RとRは同じでも異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。R及びRとして好ましくは、一般式(II)、一般式(VII)、一般式(VIII)、さらに好ましくは一般式(II)、一般式(VIII)、特に好ましくは一般式(II)である。
Figure 0005662861
前記一般式(I)中、L及びLは各々独立に、エテニレン基、エチニレン基及びアリーレン基から選ばれた少なくとも1種であって、R、R及びビピリジンと共役している。ただし、エテニレン基及びアリーレン基は置換されていても置換されていなくてもよい。
及びLは、エテニレン基、エチニレン基及び無置換のアリーレン基から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。エテニレン基は無置換でも置換されていてもよい。さらに好ましくは、L及びLは、エテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖であり、エテニレン基は無置換でも置換されていてもよい。特に好ましくは、L及びLは、エテニレン基からなる共役鎖で、無置換でも置換されていてもよい。L及びLは、最も好ましくは無置換のエテニレンからなる共役鎖である。L及びLがこのような共役鎖であることにより、長波長化及びモル吸光係数増大による光吸収領域の拡大の効果を得ることができる。
置換エテニレン基として好ましくはメチルエテニレン、ジメチルエテニレン、メトキシエテニレン、フェニルエテニレン、4−メトキシフェニルエテニレン、トリフルオロメチルエテニレン、さらに好ましくはメチルエテニレン、フェニルエテニレン、メトキシエテニレン、特に好ましくはメチルエテニレンである。
置換又は無置換のアリーレン基として好ましくは核原子数6〜50、さらに好ましくは核原子数6〜30、特に好ましくは6〜18、最も好ましくは核原子数6〜12のアリーレン基である。なお共役鎖が炭素−炭素二重結合を含む場合、各二重結合はE体であってもZ体であってもよく、E体とZ体のの混合物でもよい。
無置換のエテニレンからなる共役鎖として好ましくはエテニレン、ブタジエニレン、さらに好ましくはエテニレンである。
及びLの具体例を以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0005662861
L−11〜L−13のnはそれぞれ1〜5の整数を表す。
前記一般式(I)中、R及びRは独立に置換基を表し、例えば下記の置換基Wがあげられる。置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、特に好ましくはアルキル基、アリール基である。
ただし、本発明では、R 及びR は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子である。
〔置換基W〕
上記置換基(以下、置換基Wとする。)としては例えば下記に示すものが挙げられる。
・アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30(特に好ましくは、炭素数3〜18)の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。上記で説明した置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。〕、
・アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30(特に好ましくは、炭素数3〜18)の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30(特に好ましくは、炭素数3〜18)のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、
・アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
・アリール基(好ましくは炭素数6〜30(特に好ましくは、炭素数6〜18)の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、4−メトキシフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、
・ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30(特に好ましくは、炭素数3〜18)の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、
・シリル基(好ましくは、炭素数3〜30(特に好ましくは、炭素数3〜18)の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)。
・ヒドロキシル基、
・アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ、2−エチルヘキシルオキシ)、
・アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30(特に好ましくは、炭素数6〜18)の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、4−ヘキシルフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、
・ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
・シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20(特に好ましくは、炭素数3〜18)のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、
・アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30(特に好ましくは、炭素数6〜18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、
・カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、
・アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、
・アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30(特に好ましくは、炭素数7〜18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
・アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、
・アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、
・アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、
・アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
・アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30(特に好ましくは、炭素数7〜18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
・イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、
・アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30(特に好ましくは、炭素数6〜18)の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、
・メルカプト基、
・アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、
・アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30(特に好ましくは、炭素数6〜18)の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、
・ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数6〜18)の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、
・スルホ基、
・アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、
・スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30(特に好ましくは、炭素数0〜18)の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、
・スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30(特に好ましくは、炭素数0〜18)の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
・スルフィノ基、
・アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
・アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、
・アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、
・カルボキシル基、
・アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30(特に好ましくは、炭素数7〜18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
・アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、
・カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30(特に好ましくは、炭素数1〜18)の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
・ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、
・ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
・ホスフィニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、
・ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、
・ホスフォ基
・ホスフォニル基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフォニル基、例えば、ホスフォニル、オクチルオキシホスフィニル、メトキシホスフォニル、エトキシホスフィニル)、
・ホスフォニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフォニルオキシ基、例えば、フェノキシホスフォニルオキシ、オクチルオキシホスフォニルオキシ、エトキシホスフォニルオキシ)、
・ホスフォニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30(特に好ましくは、炭素数2〜18)の置換もしくは無置換のホスフォニルアミノ基、例えば、メトキシホスフォニルアミノ、ジメチルアミノホスフォニルアミノ)、
・シアノ基、
・ニトロ基、
・ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)
また、置換基は更に置換されていてもよい。その際、置換基の例としては上述の置換基Wを挙げることができる。
前記一般式(I)中、n1及びn2はそれぞれ0〜3の整数を表し、n1が1以上のときRはLと連結して環を形成していてもよく、n2が1以上のときRはLと連結して環を形成していてもよい。n1が2以上のときR同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n2が2以上のときR同士は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していても良い。n1及びn2がともに1以上のときRとRが連結して環を形成していてもよい。これら形成される環の好ましい例としてベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
前記一般式(I)中、n3及びn4はそれぞれ0〜3の整数を表し、n3が2以上のときA同士は同じでも異なっていてもよく、n4が2以上のときA同士は同じでも異なっていてもよい。n3及びn4はそれぞれ好ましくは0〜2、さらに好ましくは0または1である。n3とn4の和は0〜2の整数であるのが好ましい。
前記一般式(I)中、A及びAは独立して酸性基またはそれらの塩を表す。本発明において酸性基とは、基を構成する水素原子の中で最も酸性の強い水素原子のpKaが13以下の基である。酸性基の例として例えばカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、アルキルスルフォニルアミノ基、リン酸基、スクアリン酸基、桂酸基、ホウ酸基が挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、さらに好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、特に好ましくはカルボン酸基である。
上記の酸性基の対イオンとして好ましくはプロトン、無機または有機のアンモニウムイオン、アルカリ金属イオンである。アルカリ金属として好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、さらに好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、特に好ましくナトリウムイオンである。無機または有機のアンモニウムイオンとしては、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはアンモニウムイオン、3級及び4級アルキルアンモニウムイオン、さらに好ましくは3及び4級アンモニウムイオン、特に好ましくは4級アンモニウムイオンである。4級アンモニウムイオンとして好ましくはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、さらに好ましくはテトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、特に好ましくはテトラブチルアンモニウムイオンである。
一般式(II)〜(VIII)中、R、R、R13、R16、R19はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜30、さらに好ましくは炭素数5〜30、特に好ましくは炭素数5〜18、最も好ましくは炭素数6〜15のアルキル基であり、これらは置換基Wで置換されていてもよい。アルケニル基として好ましくは、炭素数2〜30、さらに好ましくは炭素数4〜30、特に好ましくは炭素数4〜18、最も好ましくは炭素数4〜12のアルケニル基であり、これらは置換基Wで置換されていてもよい。アルキニル基として好ましくは炭素数2〜30、さらに好ましくは炭素数4〜25、特に好ましくは炭素数5〜18、最も好ましくは炭素数5〜15のアルキニル基であり、これらは置換基Wで置換されていてもよい。
置換基として好ましくは、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、特に好ましくはアルキル基である。アリール基として好ましくは、炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、これらは置換基Wで置換されていても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、特に好ましくはアルコキシ基、アミノ基である。
ただし、本発明では、R は、置換基を有してよいアルキニル基またはアリール基である。
一般式(II)〜(VIII)中、R、R、R〜R12、R14、R15、R17、R18、R20〜R23、R25、R26、R28〜R31は独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子を表す。RとR、R〜R12、R14とR15、R17とR18、R20〜R23、R25とR26、R28〜R31は互いに環を形成していてもよい。R〜R12、R14とR15、R17とR18、R20〜R23、R25とR26、R28〜R31が結合して形成する環は、好ましくは、5〜10員環、さらに好ましくは5〜8員環、特に好ましくは5員環または6員環である。RとRが結合して形成する環は、ジオキサン環を除き、好ましくは、5〜10員環、さらに好ましくは5〜8員環、特に好ましくは5員環または6員環である。
5員環の例として例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−オキサチオラン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール等が挙げられ、好ましくはシクロペンタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、さらに好ましくは、シクロペンタン、1,3−ジオキソラン、特に好ましくはシクロペンタンである。
6員環の例として例えば、シクロヘキサン、ベンゼン、ピラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン、ベンゼン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ピペラジン、さらに好ましくはシクロヘキサン、ベンゼン、特に好ましくはシクロヘキサンである。
これらのうち環を形成していないものは、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、特に好ましくは水素原子である。
一般式(VII)及び(VIII)中、同一特性基中に二つ存在するR24及びR27は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基を表し、互いに結合して環を形成しない。R24及びR27として好ましくは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、さらに好ましくはアルキル基、ヘテロ環基、特に好ましくはアルキル基である。
一般式(VII)及び(VIII)中、m1〜m4及びm6はそれぞれ1〜5の整数を表す。m1〜m4及びm6として好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、特に好ましくは1または2である。
m5は3〜5の整数を表し、m5として好ましくは3又は4、さらに好ましくは3である。
Y及びXは独立にS、O、Se、Te、NR32を表し、R32は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Y及びXとして好ましくはS、O、NR32、さらに好ましくはS、NR32、特に好ましくはSである。R32として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、特に好ましくはアルキル基を表す。
前記一般式(I)の具体例を以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。また、これらの酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
本発明の金属錯体色素は下記一般式(IX)で表される。
M(LL1)(LL2)(Z)p・CI 一般式(IX)
Mは金属原子を表し、Mは好ましくは4配位または6配位が可能な金属(例えばRu、Re、Rh、Pt、Fe、Os、Cu、Ir、Pd、W、Co、Zn、Pb)、さらに好ましくはRu、Re、Rh、Pt、Fe、Os、Cu、Ir、Pd、W、Co、特に好ましくはRu、Re、Rh、Os、Ir、W、最も好ましくはRuである。
一般式(IX)中、LL1は一般式(I)と同義であり、一般式(IX)中、LL2は下記一般式(X)で表される。
Figure 0005662861
一般式(X)中、R33及びR34は独立に置換基を表し、例えば上述した置換基Wがあげられる。置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、特に好ましくはアルキル基、アリール基である。
ただし、本発明では、R 33 及びR 34 は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子である。
前記一般式(X)中、n5及びn6はそれぞれ0〜3の整数を表し、n5が2以上のときR34同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n6が2以上のときR33同士は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n5及びn6がともに1以上のときR34とR33が連結して環を形成していてもよい。これら形成される環の好ましい例として、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
前記一般式(X)中、n7及びn8はそれぞれ1〜4の整数を表し、n7が2以上のときA同士は同じでも異なっていてもよく、n8が2以上のときA同士は同じでも異なっていてもよい。n7及びn8はそれぞれ好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1または2、特に好ましくは1である。n3とn4の和は好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは2である。
前記一般式(X)中、A及びAは、一般式(1)中のA及びAと同義である。A及びAの置換位置は好ましくはピリジン環の窒素原子のm位またはp位、さらに好ましくはp位である。
以下にLL2の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
前記一般式(IX)中、Zは1座または2座の配位子を表す。MがCu、Pd、Pt、Zn、Pb等、4配位を好む金属の場合は、pは0であり、6配位を好む金属の場合は、Zが1座配位子のときpは2であり、Zが2座配位子のときpは1である。pが2のときZは同じでも異なっていてもよい。
配位子Zは、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、サリチル酸基、グリシルオキシ基、N,N−ジメチルグリシルオキシ基、オキザリレン基(―OC(O)C(O)O―)等)、アシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等)、チオアシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばチオアセチルオキシ基(CHC(S)O―)等)、チオアシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばチオアセチルチオ基(CHC(S)S―)、チオベンゾイルチオ基(PhC(S)S―)等)、アシルアミノオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばN−メチルベンゾイルアミノオキシ基(PhC(O)N(CH)O―)、アセチルアミノオキシ基(CHC(O)NHO―)等)、チオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばN,N−ジエチルチオカルバメート基等)、ジチオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばN−フェニルジチオカルバメート基、N,N−ジメチルジチオカルバメート基、N,N−ジエチルジチオカルバメート基、N,N−ジベンジルジチオカルバメート基等)、チオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばエチルチオカルボネート基等)、ジチオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばエチルジチオカルボネート基(COC(S)S―)等)、トリチオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばエチルトリチオカルボネート基(CSC(S)S−)等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばアセチル基、ベンゾイル基等)、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、イソシアノ基、シアノ基、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばメタンチオ基、エチレンジチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、例えばベンゼンチオ基、1,2−フェニレンジチオ基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばメトキシ基等)およびアリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、例えばフェノキシ基、キノリン−8−ヒドロキシル基等)からなる群から選ばれた基で配位する1座または2座の配位子、あるいはハロゲン原子(好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボニル(…CO)、ジアルキルケトン(好ましくは炭素原子数3〜20、例えばアセトン((CHCO…)等)、1,3−ジケトン(好ましくは炭素原子数3〜20、例えば、アセチルアセトン(CHC(O…)CH=C(O―)CH)、トリフルオロアセチルアセトン(CFC(O…)CH=C(O―)CH)、ジピバロイルメタン(t−CC(O…)CH=C(O―)t−C)、ジベンゾイルメタン(PhC(O…)CH=C(O―)Ph)、3−クロロアセチルアセトン(CHC(O…)CCl=C(O―)CH)等)、カルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばCHN=C(CH)O―、―OC(=NH)―C(=NH)O―等)、チオカルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばCHN=C(CH)S―等)、またはチオ尿素(好ましくは炭素原子数1〜20、例えばNH(…)=C(S―)NH、CHN(…)=C(S―)NHCH、(CHN―C(S…)N(CH等)からなる配位子を表す。なお、「…」は配位結合を示す。
配位子Zは、好ましくはアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、イソシアノ基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子である。
配位子Zは、より好ましくは、アシルオキシ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、イソシアノ基、シアノ基またはアリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、ハロゲン原子あるいは、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子である。
配位子Zは、さらに好ましくは、ジチオカルバメート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、イソシアノ基、シアノ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子または1,3−ジケトンからなる配位子である。
配位子Zは、特に好ましくは、ジチオカルバメート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基およびイソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、ハロゲン原子、1,3−ジケトンからなる配位子である。
配位子Zは、最も好ましくは、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子である。
なお配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
配位子Zが2座配位子のとき、Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド、またはチオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
Zが1座配位子のとき、Zはセレノシアネート基、イソセレノシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、チオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
以下に配位子Zの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す構造式は幾つも取りうる共鳴構造のうちの1つの極限構造にすぎず、共有結合(―で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
Figure 0005662861
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一般式(IX)中、CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。置換基が酸性基等の解離性基を有する場合、解離して負電荷を持ってもよく、この場合にも分子全体の電荷はCIにより中和される。
正の対イオンは、酸性基を表すA及びAの対イオンと同じである。
負の対イオンは無機陰イオンおよび有機陰イオンのいずれでもよく、例えばハロゲン陰イオン(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
配位子LL2は、下記一般式(XI)で表されることが好ましい。
一般式(XI)中、A及びAは独立して酸性基またはそれらの塩を表す。酸性基の例として例えばカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、アルキルスルフォニルアミノ基、リン酸基、スクアリン酸基、桂酸基、ホウ酸基が挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、さらに好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、特に好ましくはカルボン酸基である。
一般式(XI)中、R35及びR36は独立に置換基を表し、例えば上述した置換基Wがあげられる。置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、特に好ましくはアルキル基、アリール基である。
一般式(XI)中、n9及びn10はそれぞれ0〜3の整数を表し、n9が2以上のときR35同士は同じでも異なっていてもよく、互いに環を形成していてもよい。n10が2以上のときR36同士は同じでも異なっていてもよく、互いに環を形成していてもよい。n9及びn10がともに1以上のときR35とR36が連結して環を形成していてもよい。これら形成される環の好ましい例として、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
n9及びn10はそれぞれ好ましくは0〜3の整数、さらに好ましくは0または1、特に好ましくは0である。
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配位子LL2は、下記一般式(XII)で表されることが好ましい。
一般式(XII)中、A及びAは独立して酸性基またはそれらの塩を表す。酸性基の例として例えばカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、アルキルスルフォニルアミノ基、リン酸基、スクアリン酸基、桂酸基、ホウ酸基が挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、さらに好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、特に好ましくはカルボン酸基である。
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本発明の金属錯体色素は、溶液、特に好ましくは有機溶媒に溶解させたときの溶液における最大吸収波長が、好ましくは350〜1200nmの範囲であり、より好ましくは360〜900nmの範囲であり、特に好ましくは400〜850nmの範囲である。
以下に一般式(IX)で表される金属錯体色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。さらに、これらの化合物はシス体、トランス体及びその混合物、光学活性体等の異性体になりえるが、特に限定されない。
なお、例示の金属錯体色素D−9は参考例である。
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(B)導電性支持体
図1に示されるように、本発明の光電変換素子100は、導電性支持体1、導電性支持体1上に設置される上記本発明の色素化合物21により増感した酸化物半導体層2、電荷移動体層3及び対極4からなる。酸化物半導体層2は半導体微粒子22と増感色素(以下、単に、色素ともいう。)21とを有し、電荷移動体層3は酸化還元対を有し、ゲル状電解質層となっている。
本実施形態において受光電極5は、導電性支持体1、および導電性支持体1上に塗設される色素化合物21の吸着した半導体微粒子22の層(酸化物半導体層)2よりなる。酸化物半導体層2は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の酸化物半導体層中の色素化合物21は一種類でも多種の混合でもよいが、そのうちの少なくとも1種は、上述した本発明の金属錯体色素を用いる。本発明において光電変換素子及び光電気化学電池に用いられる材料及び各部材の作成方法については、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第4927721号明細書、米国特許第4684537号明細書、米国特許第5084365号明細書、米国特許第5350644号明細書、米国特許第5463057号明細書、米国特許第5525440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。以下、主たる部材について概略を説明する。
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体である。支持体としては、ガラス及びプラスティックの他、セラミック(特開2005―135902)、導電性樹脂(特開2001―160425)を用いてもよい。支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003―123859記載の高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002―260746記載のライトガイド機能が挙げられる。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m2当たりの0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
(C)酸化物半導体層
酸化物半導体層を構成する半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、または、ルチル型があげられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合するか、または半導体電極として用いてもよい。
半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、湿式法の他、乾式法、その他の方法が挙げられる。
透明導電膜と酸化物半導体層の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止する為、短絡防止層を形成することが好ましい。受光電極と対極の接触を防ぐ為に、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400〜60℃が好ましい。
なお、半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。色素の使用量は、全体で、支持体1m2当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸、ピバロイル酸)等が挙げられる。なお、本発明において金属錯体色素とは、前記一般式(I)の構造を有する配位子LL1を有する色素である。前記色素が塩である場合、前記一般式(I)の構造を有する配位子LL1を有する金属錯体色素の対イオンは特に限定されず、例えばアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
色素を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
(D)電荷移動層
(D1)ゲル状電解質
電荷移動層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極との間に設けられる。電荷移動体層としては、酸化還元対を含むゲル状電解質を用いる。ここで、「ゲル状電解質」とは、内径15mm、深さ10cmの円筒状ガラス管の中に10ccの電解質を入れ、室温(23℃)にてガラス管を逆さにして放置したときに、15分後に全ての電解質が下まで落下しないものをいう。ゲル状電解質としては、酸化還元対を有機溶媒、イオン性液体またはその混合物に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したものや、酸化還元対を有機溶媒、イオン性液体またはその混合物に溶解した液体に酸化物半導体、導電性粒子等を添加しゲル化したものなどを挙げることができる。
(D1a)イオン性液体
電解質層はイオン性液体を含むことが好ましい。イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、室温で液体であり、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンとした常温溶融性塩が例示される。常温溶融性塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。常温溶融性塩のアニオンとしては、BF4−、PF6−、F(HF)n−、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CFSO2−]、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。イオン性液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン等からなる塩類を挙げることができる。
(D1b)ゲル状電解質に用いられる高分子化合物
ゲル状電解質としては、高分子化合物やオイルゲル化剤の添加、共存する多官能モノマー類の重合、高分子化合物との架橋反応等の方法により、ゲル化(固体化)させて使用することができる。高分子化合物の添加によりゲル化させる場合は、”Polymer Electrolyte Reviews−1,2”(J.R.MacCaLLumとC.A.Vincentの共編、ELSEIVER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを使用するのが好ましい。電荷の移動の観点では光電輸送材料よりも酸化還元対を用いた方が変換効率の面で有利であるが、前記段落0019記載のとおり、耐久性の面で問題があり、光電輸送材料による固体・ゲル電解質に対して耐久性で劣っていた。本発明では酸化還元対の量を必要以上に用いる必要がないため、耐久性低下のおそれが低く、変換効率の面で優位に立つことができる。オイルゲル化剤の添加によりゲル化させる場合は、J.Chem. Soc.Japan,Ind.Chem.Sec.,46,779(1943)、J.Am.Chem.Soc.,111,5542(1989)等に記載されている化合物を使用することができる。なかでも好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。
電解質に共存させた多官能モノマー類の重合によりゲル電解質を形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質および溶媒から溶液を調製し、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等の方法により酸化物半導体層2上に塗布する。半導体微粒子21間の空隙にゾル状電解質を充填するとともに、酸化物半導体層2上にゾル状電解質層を形成し、その後ラジカル重合することによりゲル化させる方法が好ましい。
多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であるのが好ましく、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が好ましい。
ゲル状電解質は、上記多官能性モノマー以外に単官能モノマーを含んでいてもよい。単官能モノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸等)類から誘導されるエステル類またはアミド類(例えばN−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、N−プロピルアクリレート、N−ブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、有機酸塩類(例えばマレイン酸、フマル酸またはp−スチレンスルホン酸のナトリウム塩等)、ニトリル類(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン等)、芳香族ビニル化合物類(例えばスチレン、p−クロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等)、含窒素複素環を有するビニル化合物類、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等)、N−フェニルマレイミド等が好ましい。モノマー全量に対する多官能性モノマーの割合は0.5〜70質量%であるのが好ましく、さらに好ましくは1.0〜50質量%である。
上記ゲル電解質用モノマーは、大津隆行・木下雅悦共著の「高分子合成の実験法」(化学同人)や、大津隆行著の「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」(化学同人)等に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法により重合することができる。ゲル電解質用モノマーのラジカル重合は加熱、光、紫外線、電子線等により、または電気化学的に行うことができるが、特に加熱によりラジカル重合させるのが好ましい。
加熱により架橋高分子を形成する場合、好ましい重合開始剤は、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量は、モノマー総量に対して0.01〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
ゲル電解質に占めるモノマー類の質量組成範囲は0.5〜70質量%であるのが好ましく、さらに好ましくは1.0〜50質量%である。
ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋性反応基を有するポリマーおよび架橋剤を併用するのが望ましい。好ましい架橋性反応基は、含窒素複素環(例えばピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)であり、また好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能性以上の試薬(例えばハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等)である。
ゲル状電解質としては、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体を含むことが好ましい。フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体は、化学的、電気化学的に安定であり、耐久性、耐光性に優れているため好ましい。フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体は、イオン伝導率と機械的特に優れ、且つ長期安定性に優れたゲル状電解質を実現することができる。
フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体中の、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合比は、フッ化ビニリデン:六フッ化プロピレンが95:5〜65:35の範囲であることが好ましく、特に好ましい範囲は92:8〜75:25である。フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合比を、この範囲内とすることにより、高いイオン伝導率を備えたゲル状電解質を得ることができる。
フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体と電解液との質量比は1:3〜1:12の範囲であることが好ましく、特に好ましい範囲は1:5〜1:10である。電解液の含有量が少なすぎる場合にはゲル状電解質のイオン伝導率が急激に低下し、電解液の含有量が多すぎるとゲル状電解質のイオン伝導率は向上するが、ゲル状電解質の機械的強度が著しく低下する。
(D1c)ゲル状電解質に用いられる酸化物半導体粒子
電解質層が酸化物半導体粒子及び/又は導電性粒子、すなわち酸化物半導体粒子及び導電性粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種によってゲル化されていることが好ましい。酸化物半導体粒子における物質の種類や粒子サイズ等は特に限定されるものではないが、電解液との混和性に優れ、該電解液をゲル化するようなものが用いられる。また、電解質組成物中で導電性を低下させてしまうことがなく、該電解質組成物に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質組成物がヨウ素/ヨウ化物イオンや臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合でも、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような酸化物半導体粒子としては、TiO、SnO、WO、ZnO、ITO、BaTiO、Nb、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO、およびAlからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が好ましい。ここで、ITOは、スズ添加酸化インジウムである。前記酸化物半導体粒子に適用される酸化物半導体は、不純物がドープされたものや複合酸化物などであってもよい。
酸化物半導体粒子としては、特に二酸化チタン微粒子(ナノ粒子またはナノチューブ)が特に好ましい。酸化物半導体粒子の平均粒径は、2nm〜1000nm程度が好ましい。二酸化チタンナノ粒子の平均粒径は、1nm〜1μm程度が好ましい。二酸化チタンナノチューブは、直径が約5nm〜20nm、長さが約10nm〜10μmのチューブ状の酸化チタンである。
(D1d)ゲル状電解質に用いられる導電性粒子
導電性粒子としては、良導体や半導体など、導電性を有する粒子が用いられる。導電性粒子の比抵抗の範囲は、好ましくは1.0×10−2Ω・cm以下であり、より好ましくは、1.0×10−3Ω・cm以下である。
導電性粒子における物質の種類や粒子サイズ等は特に限定されるものではないが、電解液、好ましくはイオン性液体との混和性に優れ、該電解液をゲル化するようなものが用いられる。また、電解質組成物中で酸化皮膜(絶縁皮膜)等を形成して導電性を低下させてしまうことがなく、該電解質組成物に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質組成物がヨウ素/ヨウ化物イオンや臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合でも、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような導電性粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられ、具体例としては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンブラックなどの粒子が例示できる。これらの物質の製造方法はいずれも公知であり、また、市販品を用いることもできる。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートが円筒形状または円錐台形状に形成された筒状構造を有する。詳しくは、グラフェンシートが1層である単層カーボンナノチューブ(SWCNT:single−wall
carbon nanotubes)や、グラフェンシートが多層(2層以上)である多層カーボンナノチューブ(MWCNT:multi−wall carbon nanotubes)などがある。
これらの物質は、酸化還元対に使用されうるヨウ素や臭素等の酸化剤に対する安定性に優れ、本発明の電解質組成物における導電性粒子として、好適に使用できる。上記導電性粒子は、1種類を単独で使用してもよく、また、複数種類を複合して用いることもできる。
上記粒子の好適なサイズとしては、単層カーボンナノチューブの場合、直径が約0.5nm〜10nm、長さが約10nm〜1μmのものが好ましい。多層カーボンナノチューブの場合、直径が約1nm〜100nm、長さが約50nm〜50μmのものが好ましい。カーボンファイバーの場合、直径が約50nm〜1μm、長さが約1μm〜100μmのものが好ましい。カーボンブラックの場合、粒径が約1nm〜500nmのものが好ましい。
前記導電性粒子の含有量は、電解液全体に対し、0.05質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。導電性粒子の含有量は、さらに好ましくは、電解質組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましい。これにより、電解液をゲル化させることができ、製造工程やセル破損時に、電解質組成物が露出しても液漏れするおそれがない。
導電性粒子の含有量が少なすぎると、イオン性液体を含む電解液がゲル化せず、破損時などに液漏れ等のおそれがある。導電性粒子の含有量が多すぎると、導電性粒子が電解液をすべて吸収してしまい、電解質として機能しなくなるおそれがある。前記導電性粒子のより好ましい含有量は、電解質全量に対して、1質量%程度である。
(D2)酸化還元対
本発明のゲル状電解質層には、酸化還元対を含む。酸化還元対としては、(a)Iとヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI等の金属ヨウ化物、またはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩等)との組み合わせ、(b)Brと臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr等の金属臭化物、またはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物の臭素塩等)との組み合わせ、(c)フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、(d)ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の硫黄化合物、(e)ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等を用いることができる。なかでも、IとLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせた電解質が好ましい。
酸化還元対は、電子のキャリアになる。好ましい濃度としては合計で0.1mol/L以下であり、より好ましくは0.03mol/L以下である。濃度が高すぎると、耐久性低下の原因となる。酸化還元対の濃度の下限は、0.0001mol/Lであり、好ましくは、0.01mol/L以上である。
対極は、光電気化学電池の正極として働くものである。対極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電気化学電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。光電気化学電池の対向電極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。光電気化学電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。このようにして得られる本発明の光電気化学電池の特性は、一般的にはAM1.5Gで100mW/cm2のとき、開放電圧0.01〜1.5V、短絡電流密度0.001〜20mA/cm2、形状因子0.1〜0.9、変換効率0.001〜25%である。
<例示色素の調製>
(例示化合物D−1−1aの調製)
下記のスキームの方法に従って例示色素D−1−1aを調製した。
(i)化合物d−1−2の調製
d−1−1 25g、Pd(dba)33.8g、トリフェニルホスフィン8.6g、ヨウ化銅2.5g、1−へプチン25.2gをトリエチルアミン70ml、テトラヒドロフラン50mlに室温で攪拌し、80℃で4.5時間攪拌した。濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物d−1−2 26.4gを得た。
(ii)d−1−4の調製
d−1−3 6.7gを窒素雰囲気下、−15℃でTHF(テラヒドロフラン)200mlに溶解し、別途調整したLDA(リチウムジイソプロピルアミド)をd−1−3の2.5等量を滴下し、75分攪拌した。その後d−1−2 15gをTHF30mlに溶解した溶液を滴下し0℃で1時間攪拌し、室温で終夜攪拌した。濃縮後、水150mlを加え、塩化メチレン150mlで分液・抽出し、塩水で有機層を洗浄し、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノールで再結晶後、d−1−4 18.9gを得た。
(iii)化合物d−1−5の調製
d−1−4 13.2g、PPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホン酸)1.7gを、トルエン1000mlに加え、窒素雰囲気下で5時間加熱還流を行った。濃縮後、飽和重曹水及び塩化メチレンで分液を行い、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノール及び塩化メチレンで再結晶後、d−1−5 11.7gを得た。
(iv)例示色素D−1−1aの調製
化合物d−1−5 4.0g、d−1−6 2.2g、をDMF60mlに加え70℃で4時間攪拌した。その後d−1−7 2.1gを加え160℃で3.5時間加熱攪拌した。その後チオシアン酸アンモニウム 19.0gを加え130℃で5時間攪拌した。濃縮後、水1.3ml加えろかし、ジエチルエーテルで洗った。粗精製物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノール溶液に溶解し、SephadeXLH−20カラムで精製した。主層の分画を回収し濃縮後硝酸0.2Mを添加して、沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−1−1b 600mgを得た。精製物をメタノール溶液に溶解し、硝酸1Mを添加して沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−1―1aを570mg得た。
得られた化合物D−1―1aの構造はNMR測定により確認した。
H−NMR(DMSO−d、400MHz):δ(ppm)in aromatic regions:9.37(1H,d),9.11(1H,d),9.04(1H,s)、8.89(2H),8.74(1H,s),8.26(1H,d),8.10−7.98(2H),7.85−7.73(2H),7.60(1H,d),7.45−7.33(2H),7.33−7.12(5H,m),6.92(1H,d)
得られた例示色素D−1−1aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は568nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−1−21aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−2−4を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして例示色素D−1−21aを調製した。得られた例示色素D−1−21aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は570nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−1−16aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−3−2を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様に、例示色素D−1−16aを調製した。得られた例示色素D−1−16aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は574nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−1−17aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−4−2を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして、例示色素D−1−17aを調製した。得られた例示色素D−1−17aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は588nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−1−22aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−5−6を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして、例示色素D−1−22aを調製した。得られた例示色素D−1−22aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は570nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−1−23aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−6−3を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして例示色素D−1−23aを調製した。得られた例示色素D−1−23aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は571nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−1−24aの調製)
前記例示色素D−1−21aの調製において、d−2−2の代わりに下記のd−7−1を用いて、D−1−24aを調製した。得られた例示色素D−1−24aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は574nmであった。
Figure 0005662861
(例示色素D−8−1の調製)
下記のスキームの方法に従って、以下例示色素D−1−1aと同様にして、例示色素D−8−1を調製した。得られた例示色素D−8−1について、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は580nmであった。
Figure 0005662861
前記の方法で調製した金属錯体色素は以下の通りである。
Figure 0005662861
Figure 0005662861
Figure 0005662861
<色素の評価>
そのほかの色素も同様の方法で調製し、調製した色素の性能について、色素の極大吸収波長を測定した。その結果を表Aに示す。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)によって行い、溶液はTHF:エタノール=1:1を用い、濃度が2μMになるように調整した。また、比較色素として、以下のR−1〜R−3についても同様に、極大吸収波長を測定した。
また、実験1−1〜実験10において、R−1〜R−3は以下の色素を表す。
Figure 0005662861
Figure 0005662861
[実験1−1]
(1)酸化物半導体層の作製
透明導電性ガラスに酸化チタンの懸濁液を塗布し、焼結することにより1mあたり1000mの表面積を有する酸化物半導体層(酸化チタン薄膜層)を形成した後、増感色素として表1記載の金属錯体色素を、酸化チタン薄膜1cm当たり、40μg吸着させた。
(2)ゲル状電解質層を用いた光電変換素子の作製(本発明の光電変換素子の作製)
モノマーとして、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学社製商品名
ブレンマーPE350)1gと、電解質を溶解することができる溶媒として、エチレングリコール1gと、重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(日本チバガイギー社製商品名 ダロキュア1173)20mgを含有した混合溶液に、酸化還元対のヨウ化物イオンとして、ヨウ化リチウム500mgを溶解して、電解質溶液を調製した。この電解質溶液を10分間真空脱気して、溶存する気体を追い出した後、(1)で作製した酸化物半導体層に塗布した。
次に、この電解質溶液を塗布した酸化物半導体層を減圧下に置くことで、多孔性の酸化物半導体層中の気泡を除き、モノマーの浸透を促した後、紫外光を照射して、高分子化合物の均一なゲルを多孔性の酸化物半導体層中の細孔内に形成させ、その後、ヨウ素雰囲気下に、30分間曝して高分子化合物中にヨウ素を拡散させて、ゲル状電解質層を酸化物半導体層上に形成した。その後、対極として透明導電性ガラスを圧着し、次いで側面を樹脂で封止した後リード線を取り付けて、試料番号1−1−1〜1−1−8の光電変換素子を得た。
(3)溶液電解質層を用いた光電変換素子の作製(比較例の光電変換素子の作製)
(1)で作製した酸化物半導体層上に対極として透明導電性ガラスを圧着し、次いで側面を樹脂で封止した後、アセトニトリルを8mlとエチレンカーボネートを32mlの混合溶液に、酸化還元対として、5.7gのテトラプロピルアンモニウムヨーダイドと、0.6gのヨウ素を溶解させた電解質溶液を注入し、注入口を樹脂により封止した。次いで、リード線を取り付けて、試料番号1−1−9〜1−1−17の光電変換素子を得た。
(4)光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cmであった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を下記表1−1に示した。また、この光を500時間照射した後の光電変換効率も測定し、その結果を耐久性として評価した。その結果も表1−1に示す。初期の変換効率が6.0%未満のものを×、6.0%以上6.5%未満のものを△、6.5%以上7.0%未満のものを○、7.0%以上のものを◎として評価し、○と◎を合格とした。また、耐久性としては、変換効率の初期値に対し500時間後の変換効率が95%以上のものを◎◎、90%以上95%未満のものを◎、85%以上90%未満のものを○、75%以上85%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び◎◎を合格とした。
Figure 0005662861
表1−1からわかるように、酸化還元対を含む溶液電解質層を用いた場合は、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素が吸着された光電変換素子でも、耐久性は不合格であった。また、酸化還元対を含むゲル状電解質層を用い、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない場合は、初期の変換効率と耐久性が劣るものであった。
これに対して、本発明の光電変換素子は初期の変換効率と耐久性に優れるものであった。
[実験1−2]
(1)酸化物半導体層の作製
透明導電性ガラスに酸化チタンの懸濁液を塗布し、焼結することにより1mあたり1000mの表面積を有する酸化物半導体層(酸化チタン薄膜層)を形成した後、表1−2記載の金属錯体色素の1×10−4Mのエタノール溶液に24時間浸漬させ、色素を吸着させた。
(2)ゾル状のゲル状電解質前駆体の調製
γ−ブチロラクトン30.5gにヨウ化リチウム(LiI)2g、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド5g、ヨウ素(I)0.5g、4−tert−ブチルピリジン2gを溶解させて電解液を調製した。この電解液に希釈剤としてジメチルカーボネートを150g加え、70℃に加熱した後、分子量30万のポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体を8g溶解させることにより、ゾル状のゲル状電解質前駆体を得た。
ここで、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを90:10の比率で共重合させたものを用いた。
(3)光電気化学電池の作製
上記(2)で得られたゾル状のゲル状電解質前駆体をブレードコーティング法により、(1)で得られた、色素を吸着した半導体層上に塗布し、50℃で5分間乾燥することによってジメチルカーボネートを除き、ゲル状電解質付き半導体電極を得た。このゲル状電解質付き半導体電極を対向電極と組み合わせることにより表1−2記載の光電気化学電池を得た。
(4)光電気化学電池の評価
上記(3)で得られた光電気化学電池について、実験1−1と同様の方法で、光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置で測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を下記表1−2に示した。また、この光を500時間照射した後の光電変換効率も測定し、その結果を耐久性として評価した。その結果も表1−2に示す。初期の変換効率が6.0%未満のものを×、6.0%以上6.5%未満のものを△、6.5%以上7.0%未満のものを○、7.0%以上のものを◎として評価し、◎を合格とした。また、耐久性としては、変換効率の初期値に対し500時間後の変換効率が95%以上のものを◎◎、90%以上95%未満のものを◎、85%以上90%未満のものを○、75%以上85%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び◎◎を合格とした。
Figure 0005662861
[実験2]
実験1−1の(1)と同様の方法で作製した酸化物半導体層に対して、実験1−1の(2)において、エチレングリコール1gに代えて、プロピオニトリル2gを用いること以外は、実験1−1と同様の方法で、光電変換素子(試料番号2−1〜2−8、2−16)を得た。また、実験1−1の(3)と同様の方法で試料番号2−9〜2−15、2−17の光電変換素子を得た。これらの光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし100W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定し、これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を下記表2に示す。また、この光を500時間照射した後の光電変換効率も測定し、その結果を耐久性として評価した。その結果も表2に示す。
光電変換効率が6.0%未満のものを×、6.0%以上6.5%未満のものを△、6.5%以上7.0%未満のものを○、7.0%以上のものを◎として評価し、○と◎を合格とした。また、耐久性としては、変換効率の初期値に対し、500時間後の変換効率が95%以上のものを◎◎、90%以上95%未満のものを◎、85%以上90%未満のものを○、75%以上85%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎◎、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表2からわかるように、酸化還元対を含む溶液電解質層を用いた場合は、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素が吸着された光電変換素子でも、耐久性は不合格であった。また、酸化還元対を含むゲル状電解質層を用い、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない場合は、初期の変換効率と耐久性が劣るものであった。
これに対して、本発明の光電変換素子は初期の変換効率と耐久性に優れるものであった。
[実験3]
実験1−1の(1)と同様の方法で作製した酸化物半導体層に対して、実験1−1の(2)において、エチレングリコール1gに代えてプロピレンカーボネート2gを用いること、ヨウ化リチウム500mgに代えてテトラプロピルアンモニウムヨーダイド400mgを用いること以外は、実験1−1と同様の方法で、光電変換素子(試料番号3−1〜3−4、3−8)を得た。また、実験1−1の(3)と同様の方法で試料番号3−5〜3−7、3−9の光電変換素子を得た。これらの光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし100W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定した。光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし1000W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定し、これにより求められた光電変換素子の変換効率の初期値を測定した結果を下記表3に示す。また、この光を500時間照射した後の光電変換効率も測定し、その結果を耐久性として評価した。その結果も表3に示す。光電変換効率の初期値が6.0%未満のものを×、6.0%以上6.5%未満のものを△、6.5%以上7.0%未満のものを○、7.0%以上のものを◎として評価し、○と◎を合格とした。また、耐久性としては、変換効率の初期値に対し、500時間後の光電変換効率が初期値に対して、95%以上のものを◎◎、90%以上95%未満のものを◎、85%以上90%未満のものを○、75%以上85%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎◎、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表3からわかるように、酸化還元対を含む溶液電解質層を用いた場合は、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素が吸着された光電変換素子でも、耐久性は不合格であった。また、酸化還元対を含むゲル状電解質層を用い、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない場合は、初期の変換効率と耐久性が劣るものであった。
これに対して、本発明の光電変換素子は初期の変換効率と耐久性に優れるものであった。
[実験4]
モノマーとして、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学社製商品名、 ブレンマーPE350)1gと、電解質を溶解することができる溶媒として、プロピレンカーボネート2gと、重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(日本チバガイギー社製商品名、ダロキュア1173)20mgを含有した混合溶液に、酸化還元対のヨウ化物イオンとして、ヨウ化リチウム500mgを溶解し10分間真空脱気して、溶存する気体を追い出して電解質溶液を調製した。その後、実験1−1の(1)で作製した酸化物半導体層にこの電解質溶液を塗布した。電解質溶液を塗布した多孔性物質を減圧下に置くことで、酸化物半導体層中の気泡を除きモノマーの浸透を促した後、紫外光照射で重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性物質の細孔内に存在させた。一方、酸化還元対の一方のヨウ素は、溶媒中でラジカル重合したポリメタクリル酸ヘキサエチレングリコールエステル1gとともに、塩化メチレン5mlに溶解させた。この溶液を透明導電性ガラスに塗布し、乾燥して、対極とした。このようにして得られた対電極を前記の複合体上に圧着し、次いで側面を樹脂で封止した後リード線を取り付けて光電変換素子(試料番号4−1〜4−3、4−5〜4−7)を得た。
また、実験1−1の(3)と同様の方法で試料番号4−4、4−7の光電変換素子を得た。
これらの光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし100W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定した。光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし1000W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定し、これにより求められた光電変換素子の変換効率の初期値を測定した結果を下記表4に示す。また、この光を500時間照射した後の光電変換効率も測定し、その結果を耐久性として評価した。その結果も表4に示す。光電変換効率の初期値が6.0%未満のものを×、6.0%以上6.5%未満のものを△、6.5%以上7.0%未満のものを○、7.0%以上のものを◎として評価し、◎を合格とした。また、耐久性としては、光電変換効率の初期値に対し、500時間後の光電変換効率が95%以上のものを◎◎、90%以上95%未満のものを◎、85%以上90%未満のものを○、75%以上85%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び◎◎を合格とした。
Figure 0005662861
表4からわかるように、酸化還元対を含むゲル状電解質層を用い、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない場合は、酸化還元対の濃度を変更しても初期の変換効率と耐久性は劣るものであった。
[実験5]
(1)ゲル状電解質の調製
イオン性液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを用い、このイオン性液体に適量のヨウ素およびヨウ化リチウムと4−tert−ブチルピリジン適量を溶解させることにより、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有する電解液を調製した。
上記電解液に導電性粒子として、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンブラックのいずれかを、電解質組成物全量に対して1質量%の割合で混合し、遠心分離することにより、イオン性液体を含む電解質組成物がゲル化された5−1〜5−7の電解質組成物を得た。なお、この際、イオン性液体に対する導電性粒子の配合量は、約1.25質量%である。
(2)ゲル状電解質を用いた光電変換素子の作製
透明電極基板として、100mm×100mmのFTO膜付きガラス基板を用い、この透明電極基板2のFTO膜(導電層)側の表面に、平均粒径20nmの酸化チタンのスラリー状分散水溶液を塗布し、乾燥後、450℃にて1時間加熱処理することにより、厚さ7μmの酸化物半導体多孔質膜を形成した。さらに、表5記載の金属錯体色素のエタノール溶液中に1晩浸漬して色素を担持させ、作用極を作製した。また、対極として、白金からなる電極層をスパッタ法により設けたFTOガラス電極基板を用意した。
電解質層を作用極上に形成するため、ゲル化した前記電解質組成物を、作用極の酸化物半導体多孔質膜上に少量ずつ滴下し、さらに前記対極を強く押しつけながら重ね合わせ、対極と電解質層とを接合した。以上の手順により、試料番号5−1〜5−7、及び5−10〜5−16の光電変換素子を作製した。
(3)溶液電解質層を用いた光電変換素子の作製
作用極および対極としては、上記(2)の光電変換素子作製に使用した酸化物半導体多孔質膜と同様の方法で作製したものを使用した。酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有するイオン性液体[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]を用い、上記の導電性粒子が添加されていないこと以外は、上記(2)の光電変換素子作製に使用した電解液と同じものを用いて、光電変換素子5−8及び5−17を作製した。
また、電解質となる電解液として、四級化イミダゾリウム−ヨウ化物、ヨウ化リチウム、ヨウ素、4−tert−ブチルピリジンを含有するアセトニトリル溶液を用いた以外は同様の方法で、光電変換素子5−9及び5−18を作製した。
(4)光電変換効率の測定
上記のそれぞれの光電変換素子について、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし100W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定した。光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし1000W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定し、これにより求められた光電変換素子の変換効率の初期値を測定した結果を下記表5に示す。また、この光を500時間照射した後の光電変換効率も測定し、その結果を耐久性として評価した。その結果も表5に示す。表5において、SWCNT/MWCNTは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)との比を表す。上記光電変換素子の初期の変換効率については、7.0%以上のものを合格とした。また、耐久性としては、変換効率の初期値に対し500時間後の変換効率が95%以上100%未満のものを◎、90%以上95%未満のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表5からわかるように、酸化還元対を含み、導電性粒子を含むゲル状電解質層を用いた場合でも、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない光電変換素子は、光電変換効率の初期値と耐久性は不合格であった。また、金属錯体色素D−9を使用し、溶液電解質層を用いた場合は、耐久性が劣るものであった。
[実験6]
1.ゲル状電解質組成物の調製
イオン性液体(A)として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(これを、以下の実験において、EMIm−TFSIと略記することがある)を用い、このイオン性液体に適量の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ヨウ化物(これを、以下の実験において、EMIm−Iと略記することがある)、ヨウ素およびヨウ化リチウムと4−tert−ブチルピリジン適量を溶解させることにより、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有する電解液を調製した。
前記電解液(イオン性液体としてEMIm−TFSIを含むもの)に対して、酸化物半導体粒子として、平均粒径2nm〜1000nmの二酸化チタン(表6中、TiOと記す)を電解液全量に対し10質量%となるように加え、遠心分離することにより、イオン性液体がゲル化された試料番号6−1及び6−14の電解質組成物を得た。また、前記電解液(イオン性液体としてEMIm−TFSIを含むもの)に対して、酸化物半導体粒子として、平均粒径2nm〜1000nmの二酸化チタンと、導電性粒子としてカーボンナノチューブ(表6中、CNTと記す)とを、表6中に記す配合比(粒子の合計配合量を100%とする比)で混合し、これらの合計配合量が電解液全量に対し1質量%となるように加えて、遠心分離することにより、イオン性液体がゲル化された試料番号6−2〜6−11、及び6−15〜6−24の電解質組成物を得た。
なお、カーボンナノチューブとしては単層カーボンナノチューブ(表6中、SWCNTと記す)と多層カーボンナノチューブ(表2中、MWCNTと記す)とを用い、これらを表6中に記す配合量で用いた。
表6中、試料番号6−2〜6−11、及び6−15〜6−24においては、TiO、SWCNT及びMWCNTの各欄の数値は、これら粒子の遠心分離前の合計配合量(電解液全量に対し1質量%)における各粒子の配合比を質量%で表している。表6の「遠心分離後の粒子の割合」の欄には、イオン性液体に不溶な成分の粒子(ここではTiOとCNTの合計)の遠心分離後の割合を、電解質組成物全体を100%として示す。
2.ゲル状電解質層を用いた光電気化学電池の作製
<試料番号6−2〜6−11、及び6−15〜6−24の光電変換素子の作製>
透明電極基板として、100mm×100mmのFTO膜付きガラス基板を用い、この透明電極基板のFTO膜(導電層)側の表面に、平均粒径20nmの酸化チタンのスラリー状分散水溶液を塗布し、乾燥後、450℃にて1時間加熱処理することにより、厚さ7μmの酸化物半導体多孔質膜を形成した。さらに、表6記載の金属錯体色素のエタノール溶液中に1晩浸漬して色素を担持させ、作用極を作製した。また、対極として、白金からなる電極層をスパッタ法により設けたFTOガラス電極基板を用意した。
電解質層を作用極上に形成するため、上記のゲル化した前記電解質組成物を、作用極の酸化物半導体多孔質膜上に少量ずつ滴下し、さらに前記対極を強く押しつけながら重ね合わせ、対極と電解質層とを接合した。以上の手順により、試料番号6−2〜6−11、及び6−15〜6−24の光電気化学電池を作製した。
3.ゲル状電解質層を用いた光電気化学電池の作製
(1)試料番号6−12、6−25の光電気化学電池
作用極および対極としては、前記試料番号6−2〜6−11、及び6−15〜6−24の光電気化学電池と同様なものを用いた。電解質となる電解液としては、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有するイオン性液体[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIm−TFSI)]を調製して用いた。この電解液は、酸化物半導体粒子または導電性粒子が添加されていないこと以外は、上記の電気化学電池の電解質組成物の調製に用いた電解液と同じものである。作用極と対極とを向かい合わせて、その間に前記電解液を注入して電解質層を形成し、試料番号6−12、6−25の光電気化学電池を作製した。
(2)試料番号6−13、6−26の光電気化学電池
作用極および対極としては、前記試料番号6−2〜6−11、及び6−15〜6−24の光電気化学電池と同様のものを用いた。電解質となる電解液としては、四級化イミダゾリウム−ヨウ化物、ヨウ化リチウム、ヨウ素、4−tert−ブチルピリジンを含有するアセトニトリル溶液を調製して用いた。作用極と対極とを向かい合わせて、その間に前記電解液を注入して電解質層を形成し、試料番号6−13、6−26の光電気化学電池を作製した。
4.光電気化学電池の光電変換特性
前記のそれぞれの試験セルの光電変換特性を測定した。それぞれの試験セルについて、変換効率を表6に示す。 これらの光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし100W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定した。光電変換素子に、AM1.5のソーラーシミュレーターを光源とし1000W/mの光を照射して、電流・電圧特性を測定し、光電気化学電池の変換効率の初期値と、耐久性として、変換効率の初期値に対し600時間後の変換効率を測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を下記表6に示した。結果は、初期の変換効率が6.5%未満のものを×、6.5%以上7.0%未満のものを△、7.0%以上7.5%未満のものを○、7.5%以上8.0%未満のものを◎、8.0%以上のものを◎◎として評価し、○、◎及び◎◎を合格とした。耐久性については、初期値の95%以上100%未満のものを◎、90%以上95%未満のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表6からわかるように、酸化還元対を含み、酸化物半導体及び/又は導電性粒子を含むゲル状電解質層を用いた場合でも、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない光電変換素子は、光電変換効率の初期値と耐久性は不合格であった。また、金属錯体色素D−9を使用し、溶液電解質層を用いた場合は、耐久性や光電変換特性の初期値が劣るものであった。
[実験7]
電解質組成物を以下の方法で作製した。イオン性液体(A)として、EMIm−TFSIを用い、このイオン性液体に適量のEMIm−I、ヨウ素およびヨウ化リチウムと4−tert−ブチルピリジン適量を溶解させることにより、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有する電解液を調製した。この電解液の全量に対し、酸化物半導体粒子として、酸化チタンナノチューブ及び/又は酸化チタンナノ粒子を表7に示す配合比(粒子の合計配合量を100%とする比)で混合し、これらの合計配合量が電解液全量に対し10質量%となるように加え、遠心分離することにより、イオン性液体がゲル化された電解質組成物とした。実験6において、この電解質組成物以外は同様にして、光電気化学電池を作製した。表7の「遠心分離後の粒子の割合」の欄には、イオン性液体に不溶な成分の粒子(ここでは酸化チタンのナノチューブとナノ粒子の合計)の遠心分離後の割合を、電解質組成物全体を100%として示す。この光電気化学電池について、実験6と同様の方法で、光電変換効率の初期値と、耐久性として、変換効率の初期値に対し600時間後の変換効率を測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を下記表7に示す。
光電変換効率の初期値が6.5%未満のものを×、6.5%以上7.0%未満のものを△、7.0%以上7.5%未満のものを○、7.5%以上8.0%未満のものを◎、8.0%以上のものを◎◎として評価し、○、◎及び◎◎を合格とした。耐久性については、初期値の95%以上100%未満のものを◎、90%以上95%未満のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表7からわかるように、酸化還元対を含み、酸化物半導体及び/又は導電性粒子を含むゲル状電解質層を用いた場合でも、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない光電気化学電池は、光電変換効率の初期値と耐久性は不合格であった。また、金属錯体色素D−9を使用し、溶液電解質層を用いた場合は、耐久性や光電変換特性の初期値が劣るものであった。
[実験8]
実験7と同様の方法で、表8記載の配合比(粒子の合計配合量を100%とする比)で酸化チタンナノチュ−ブと酸化チタンナノ粒子を混合し、これらの合計配合量が電解液全量に対し1質量%となるように加え、遠心分離することにより、イオン性液体がゲル化された電解質組成物を用いた以外は実験7と同様の方法で、光電気化学電池を作製した。酸化チタンナノチュ−ブと酸化チタンナノ粒子は、実験7で使用したものと同じものを用いた。表8の「遠心分離後の粒子の割合」の欄には、イオン性液体に不溶な成分の粒子(ここでは酸化チタンのナノチューブとナノ粒子の合計)の遠心分離後の割合を、電解質組成物全体を100%として示す。
この光電気化学電池について、実験7と同様の方法で、光電変換効率の初期値と、、耐久性として、変換効率の初期値に対し600時間後の変換効率を測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を下記表8に示す。
光電変換効率の初期値が6.5%未満のものを×、6.5%以上7.0%未満のものを△、7.0%以上7.5%未満のものを○、7.5%以上8.0%未満のものを◎、8.0%以上のものを◎◎として評価し、○、◎及び◎◎を合格とした。耐久性については、初期値の95%以上100%未満のものを◎、90%以上95%未満のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表8からわかるように、酸化還元対を含み、酸化物半導体及び/又は導電性粒子を含むゲル状電解質層を用いた場合でも、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない光電気化学電池は、光電変換効率の初期値と耐久性は不合格であった。また、金属錯体色素D−9を使用し、溶液電解質層を用いた場合は、耐久性や光電変換特性の初期値が劣るものであった。
[実験9]
電解液(イオン性液体としてEMIm−TFSIを含むもの)に対して、酸化物半導体粒子として表9の「酸化物半導体粒子」欄に示す各種物質のナノ粒子を電解液全量に対し10質量%となるように加え、遠心分離することにより、イオン性液体がゲル化された電解質組成物とした点を実験7から変更した以外は同様の方法で、光電気化学電池を作製した。表9の「遠心分離後の粒子の割合」の欄には、イオン性液体に不溶な成分の粒子(ここでは酸化物半導体粒子の合計)の遠心分離後の割合を、電解質組成物全体を100%として示す。
光電変換効率の初期値が6.5%未満のものを×、6.5%以上7.0%未満のものを△、7.0%以上7.5%未満のものを○、7.5%以上8.0%未満のものを◎、8.0%以上のものを◎◎として評価し、○、◎及び◎◎を合格とした。耐久性については、初期値の95%以上100%未満のものを◎、90%以上95%未満のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表9からわかるように、酸化還元対を含み、酸化物半導体及び/又は導電性粒子を含むゲル状電解質層を用いた場合でも、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない光電気化学電池は、光電変換効率の初期値と耐久性は不合格であった。また、金属錯体色素D−9を使用し、溶液電解質層を用いた場合は、耐久性や光電変換特性の初期値が劣るものであった。
[実験10]
イオン性液体として、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム−ヨウ化物(これをHMIm−Iと略記することがある)または1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ジシアノイミド(これをEMIm−DCAと略記することがある)を用い、このイオン性液体に適量のEMIm−Iとヨウ素およびヨウ化リチウムと4−tert−ブチルピリジン適量を溶解させることにより、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有する電解液を調製した。
前記電解液に対して、酸化物半導体粒子として、、平均粒径2nm〜1000nmの二酸化チタン(表10中、TiOと記す)のナノ粒子を電解液全量に対し10質量%となるように加え、遠心分離することにより、イオン性液体がゲル化されたものを電解質組成物とした点以外は実験7と同様の方法で、光電気化学電池を作製した。その内容を表10に示す。表10における「遠心分離後の粒子の割合」の欄には、イオン性液体に不溶な成分の粒子(ここではTiOナノ粒子)の遠心分離後の割合を、電解質組成物全体100%として示す。
光電変換効率の初期値が6.5%未満のものを×、6.5%以上7.0%未満のものを△、7.0%以上7.5%未満のものを○、7.5%以上8.0%未満のものを◎、8.0%以上のものを◎◎として評価し、○、◎及び◎◎を合格とした。耐久性は、初期値の95%以上100%未満のものを◎、90%以上95%未満のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×として評価し、◎及び○を合格とした。
Figure 0005662861
表10からわかるように、酸化還元対を含み、酸化物半導体及び/又は導電性粒子を含むゲル状電解質層を用いた場合でも、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用しない光電気化学電池は、光電変換効率の初期値と耐久性は不合格であった。また、一般式(I)で表される配位子LL1を有する金属錯体色素を使用し、溶液電解質層を用いた場合は、耐久性や光電変換特性の初期値が劣るものであった。
これに対して、本発明の光電気化学電池は、イオン性液体を変更しても初期の変換効率と耐久性に優れるものであった。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 増感色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 外部回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池

Claims (16)

  1. 下記一般式(IX)で表される金属錯体色素を有する酸化物半導体層と、ゲル状電解質層を有し、前記電解質層が酸化還元対を含むことを特徴とする光電変換素子。
    M(LL1)(LL2)(Z) ・CI 一般式(IX)
    [Mは金属原子を表す。LL1は下記一般式(I)で表される構造の配位子を表す。LL2は下記一般式(X)で表される構造の配位子を表す。Zは1座または2座の配位子を表し、pは0〜2の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
    Figure 0005662861
    [一般式(I)中、
    およびRは各々独立に、下記一般式(II)〜(VIII)のいずれかで表される基を表す。
    およびLは各々独立に、エテニレン基、エチニレン基およびアリーレン基から選ばれた少なくとも1種であって、R、R およびビピリジンと共役している。ただし、エテニレン基およびアリーレン基は置換されていても置換されていなくてもよい。
    およびRは独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、n1が1以上のときRはLと連結して環を形成していてもよく、n2が1以上のときRはLと連結して環を形成していてもよい。n1が2以上のとき、R同士は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n2が2以上のときR同士は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。n1およびn2がともに1以上のときRとRが連結して環を形成していてもよい。
    ただし、n1およびn2は各々0〜3の整数を表し、A およびAは酸性基またはその塩を表す。n3およびn4は各々0〜3の整数を表す。]
    Figure 0005662861
    [一般式(II)〜(VIII)中、
    は、置換基を有してよいアルキニル基またはアリール基を表す。R 、R13、R16 および19は置換基を有してよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基を表す。
    、R、R〜R12、R14、R15、R17、R18、R20〜R23、R25、R26 および28〜R31は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基、ヘテロ環基またはハロゲン原子を表す。RとR、R〜R12 およびR14とR15、R17とR18、R20〜R23 およびR25とR26 およびR28〜R31は互いに環を形成していてもよい。ただしRとRが結合して形成する環のうちジオキサン環を除く。
    同一の窒素原子に置換する2つの24 およ2つの27は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはヘテロ環基を表す。ただし、R 24 とR 27 互いに結合して環を形成することはない
    m1〜m4は各々1〜5の整数を表し、m5は3〜5の整数を表す。m6は1〜5の整数を表す。
    およびXは独立にS、O、Se、TeまたはNR32を表し、R32は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
    Figure 0005662861
    [一般式(X)において、
    33 およびR 34 は独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、n5およびn6は各々0〜3の整数を表す。
    およびA は酸性基を表し、n7およびn8は各々1〜4の整数を表す。]
  2. 前記金属元素Mが、Ru、Re、Rh、Pt、Fe、Os、Cu、Ir、Pd、WまたはCoであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記金属元素MがRuであることを特徴とする請求項1または記載の光電変換素子。
  4. 前記YがSであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  5. 前記酸化還元対がヨウ素とヨウ化物イオンからなるかまたは臭素と臭素化合物とからなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  6. 前記電解質層がイオン性液体を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  7. 前記電解質層が、高分子化合物によりゲル化されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  8. 前記高分子化合物が光電輸送能を持たないことを特徴とする請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 前記高分子化合物がフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体であることを特徴とする請求項7また8に記載の光電変換素子。
  10. 前記電解質層が酸化物半導体粒子および/または導電性粒子によってゲル化されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の光電変換素子。
  11. 前記酸化物半導体がTiO、SnO、WO、ZnO、酸化インジウムスズ、BaTiO、NbO、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
  12. 前記酸化物半導体がTiOであることを特徴とする請求項10また11に記載の光電変換素子。
  13. 前記TiO酸化チタンナノチューブおよび酸化チタンナノ粒子のいずれか若しくはこれらの混合物であることを特徴とする請求項11また12に記載の光電変換素子。
  14. 前記導電性粒子がカーボンを含むことを特徴とする請求項1013のいずれか1項記載の光電変換素子。
  15. 前記カーボンが、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーおよびカーボンブラックからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項14に記載の光電変換素子。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
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