以下、本発明の実施形態を図1〜図10に基づき説明する。
最初に、本発明の実施形態に係る画像読取装置を搭載した画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。この画像形成装置は中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷タイプのものである。
画像形成装置1は、図1に示すように本体2の内部下方に給紙カセット3を備えている。給紙カセット3はその内部に記録媒体である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には用紙搬送部4が備えられている。用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に二次転写部5まで搬送する。
一方、画像形成装置1の本体2の上部には画像読取装置30が搭載されている。画像読取装置30は本体2上面のさらに上方に原稿押さえ31を備えている。ユーザーが原稿の複写を行う場合には、原稿押さえ31を上方に持ち上げることによって本体2上面に現れるコンタクトガラス32上に文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を1枚ずつ載置する。そして、原稿を原稿押さえ31でコンタクトガラス32表面に押さえ付け、画像読取装置30内で光を走査させることによって原稿に描かれた画像が読み取られる。
原稿画像の読み取りや印刷の開始は本体2の上部であって画像読取装置30の正面側に備えられた操作パネル6を用いて実行される。さらに、操作パネル6は、例えばユーザーによる印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定を受け付けたり、エラー状態やその表示の解除を受け付けたりするための操作部としての役割を果たす。また、操作パネル6は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示することによりそれらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
原稿の画像データの情報は後述する主制御部17や画像処理部19を経由して画像処理が施された後、給紙カセット3の上方に配置された露光部7に送られる。露光部7により、画像データに基づいてパワーレベル等が制御されたレーザー光Lが画像形成部30に向かって照射される。
露光部7の上方には、図1に示すように計4台の画像形成部8が、さらにそれら各画像形成部8の上方には中間転写体を無端ベルトの形で用いた中間転写ベルト9が備えられている。中間転写ベルト9は複数のローラーに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図1において時計方向に回転する。
4台の画像形成部8は中間転写ベルト9の回転方向に沿って回転方向上流側から下流側に向けて一列にして配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部8とは、上流側から順にイエロー用の画像形成部8Y、マゼンタ用の画像形成部8M、シアン用の画像形成部8C、及びブラック用の画像形成部8Bである。各色に対応するトナー(現像剤)は図示しない各色のトナーコンテナーから各画像形成部8に補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」「M」「C」「B」の識別記号は省略するものとする。
各画像形成部8では露光部7によって照射されたレーザー光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は各画像形成部8の上方に備えられた一次転写部10で中間転写ベルト9表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト9の回転とともに所定のタイミングで順次各画像形成部8のトナー像が中間転写ベルト9に転写されることにより、中間転写ベルト9表面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。なお、画像形成装置1では白黒印刷のためのブラックのみのトナー像も形成可能である。
中間転写ベルト9が用紙搬送路に懸かる箇所には二次転写部5が配置されている。中間転写ベルト9表面のカラートナー像は用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部5に形成される二次転写ニップ部で転写される。
二次転写後、中間転写ベルト9表面に残留するトナーなどの付着物は中間転写ベルト9に対してイエロー用の画像形成部8Yの回転方向上流側に設けられた中間転写ベルト9用のクリーニング装置11によってクリーニングされ、回収される。
二次転写部5の上方には定着部12が備えられている。二次転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部12へと送られ、熱ローラーと加圧ローラーとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
定着部12の上方には分岐部13が備えられている。定着部12から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、分岐部13から画像形成装置1の上部胴内に設けられた胴内用紙排出部14に排出される。
分岐部13から胴内用紙排出部14に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部15としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部15において定着部12から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは分岐部13を通過し、定着部12の左方及び二次転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路16を通して下方に送られ、再度用紙搬送部4を経て二次転写部5へと送られる。
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU18やその他の図示しない電子部品で構成された主制御部17を備えている。主制御部17は中央演算処理装置であるCPU18と画像処理部19とを利用し、記憶部20等に記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取装置30、露光部7、画像形成部8、中間転写ベルト9、定着部12などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。
続いて、画像形成装置1の画像読取装置30について、図2に加えて図3〜図5を用いてその構造の概略を説明する。図3は画像読取装置30周辺の模型的垂直断面部分正面図、図4は画像読取装置30の光照射部の上面図、図5は画像読取装置30周辺の模型的垂直断面右側面図である。なお、図3では画像形成装置1の画像読取装置30以外の構成要素の描画を省略し、図4では一部を除きすべての光源の描画を省略している。また、図4は紙面に対して下方が画像形成装置1の正面側、上方が画像形成装置1の背面側である。
画像読取装置30は前述の原稿押さえ31に加えて、図2及び図3に示すようにコンタクトガラス32、光照射部33、走査駆動部40、撮像ユニット50、読取制御部34、画像処理部35、記憶部36及び開閉検出部である開閉検知装置60を備えている。
コンタクトガラス32は画像読取装置30の上面に設けられている。コンタクトガラス32は薄い平板状の透明ガラスで構成され、原稿Dの表面全体を一度に光走査できるように画像読取装置30の前後方向(主走査方向)及び左右方向(副走査方向)に広く延びる矩形形状をなしている。原稿はコンタクトガラス32上面に読取面が下になるように広げて載置される。なお、原稿Dはコンタクトガラス32上面の左端側及び背面側に設けられた基準点A(図4参照)を基準として隅を合わせて載置される。
光照射部33は原稿Dの読取面、すなわち上方に向かって光を照射すべく、コンタクトガラス32のすぐ下方に配置されている。光照射部33は、図4に示すように複数個、例えば約60個の白色LEDが発光素子33aとして画像読取装置30の前後方向である主走査方向にコンタクトガラス32と略同じ長さで直線状に配列され、細長い形状で構成されている。そして、光照射部33は例えば5個の発光素子33a(白色LED)が一体となり光源としてのブロック光源33bを形成し、12個のブロック光源33bで構成されている。なお、光照射部33の点灯制御について、読取制御部34はブロック光源33bを1つの光源としてブロック光源33b毎に制御するものであるが、発光素子33aを1つの光源として発光素子33a毎に制御することも可能である。また、画像読取装置30は発光素子33aに供給する電流の大きさや発光素子33aに印加する電圧の大きさを変化させてブロック光源33bの光量を調整できる光源発光回路37を備えている。
走査駆動部40はコンタクトガラス32の下方に設けられ、第1光学系ユニット41と、第2光学系ユニット42とを備えている。
走査駆動部40の第1光学系ユニット41は光照射部33を支持するとともに、第1ミラー43を備えている。第1ミラー43は原稿Dの読取面で反射した光照射部33の反射光を受けて、さらに90度の角度で略水平に方向転換させるべく所定の傾きが設定され、コンタクトガラス32の下方に配置されている。光照射部33と第1ミラー43とは図示しない第1光学系支持部材に固定されている。
走査駆動部40の第2光学系ユニット42は第2ミラー44と、第3ミラー45とを備えている。第2ミラー44は第1光学系ユニット41の第1ミラー43が反射させた光を受けて、さらに90度の角度で略垂直下方に方向転換させるべく所定の傾きが設定され、第1ミラー43と略同じ高さに配置されている。第3ミラー45は第2ミラー44が反射させた光を受けて、さらに90度の角度で略水平に方向転換させるべく、第2ミラー44の略真下に配置されている。第2ミラー44と第3ミラー45とは図示しない第2光学系支持部材に固定されている。
なお、第1光学系ユニット41及び第2光学系ユニット42に設けられた各ミラーは光照射部33同様、主走査方向にコンタクトガラス32と略同じ長さで延びる細長い形状で構成されている。
第1光学系ユニット41及び第2光学系ユニット42はコンタクトガラス32上面に広げて載置された原稿Dの読取面全体の画像を読み取るべく、コンタクトガラス32上面と平行に副走査方向、すなわち画像読取装置30の左右方向に往復移動できるようになっている。このため画像読取装置30の走査駆動部40には走査用モーター46と、この走査用モーター46を駆動させるためのモーター駆動回路47と、図3において左右方向に延びる移動用のレール(図示せず)とが設けられている。そして、読取制御部34からの指令に基づきモーター駆動回路47が制御され、原稿D全体に描画された画像をスキャンして読み取るべく、光照射部33をレールに沿って移動させることが可能である。なお、光照射部33は読み取り開始前、コンタクトガラス32の、図3及び図4における左端寄りの箇所に移動してその位置(ホームポジション)が保持される。
撮像ユニット50は画像読取装置30の内部下部に固定されている。撮像ユニット50は取り付け台51の上部に、光学部材である結像レンズ52と、撮像素子であるラインセンサー53を備えている。第2光学系ユニット42の第3ミラー45によって反射された、原稿Dの読取面からの反射光は結像レンズ52に入射する。そして、結像レンズ52は光路の下流側に設けられたラインセンサー53の表面上に反射光を結像する。このようにして、画像読取装置30はラインセンサー53を用いて原稿Dの読取面の画像を画像データとして読み取ることができる。
なお、ラインセンサー53は例えば固体撮像素子であるCCDを画像読取装置30の前後方向である主走査方向、すなわち図3において紙面奥行き方向に複数個直線状に一列にして配列され、構成されている。ラインセンサー53と光照射部33、走査駆動部40の各ミラーは各々平行に主走査方向に延びている。ラインセンサー53はその受光素子が得る画像情報(光情報)を電気信号に変換し、出力する。そして、原稿Dの読取面をラインセンサー53で主走査方向に走査させ、走査駆動部40を駆動して光照射部33を副走査方向に走査させて得られる情報について画像処理部35で画像処理を実行することにより、原稿Dの画像を画像データとして得ることが可能である。
読取制御部34は図示しないICなどの電子部品で構成され、主制御部17からの指令に基づき画像読取装置30を制御する制御装置である。読取制御部34は主制御部17からの制御指令により走査駆動部40を駆動制御するとともに、画像処理部35を利用してラインセンサー53からの出力に基づき画像処理を実行して画像データを出力することで画像読取動作を実現する。なお、画像処理は本体2の画像処理部19で実行することとしても構わない。また、このようにして画像読取装置30で読み取られた画像データは記憶部34或いは本体2の記憶部20に保存することが可能である。
一方、原稿押さえ31はコンタクトガラス32と対向する形でその上方に設けられている。原稿押さえ31はコンタクトガラス32表面をカバーする矩形の平板状の部材である。原稿押さえ31は、図3及び図5に示すように画像読取装置30背面側の一辺の箇所に備えた左右方向に略水平に延びる2箇所の支軸31aを中心として、支持部材31bに対して揺動自在に取り付けられている。これにより、原稿押さえ31は画像読取装置30の正面側の一辺を自由端として上下に振るようにして揺動し、コンタクトガラス32に対して開閉させることができる。なお、図3及び図5は原稿押さえ31を開放した状態を描いている。
原稿押さえ31の、閉鎖した時にコンタクトガラス32に対向する面には白色マット31cが備えられている。白色マット31cはコンタクトガラス32全面をカバーする位置及び大きさをなしている。原稿押さえ31を画像読取装置30に対して閉鎖したとき、白色マット31cはコンタクトガラス32に対してその全面を均一に押圧するようにして原稿Dを移動しないように保持する。
そして、原稿押さえ31の2箇所の支軸31aの中間箇所には、図3及び図5に示すように原稿押さえ31の開閉検知装置60が備えられている。開閉検知装置60は接触片61、センサ62、ばね63及びストッパ64を備えている。
接触片61は、図5に示すように上下方向に延びるスティック状の部材であって、上下方向にスライド移動が可能にして備えられている。接触片61は上側の先端に原稿押さえ31が接触する接触部61aを、下側の先端にセンサ62による開閉検知のために利用されるセンサ干渉部61bを備えている。センサ干渉部61bはセンサ62に向かって突出した形状をなしている。
センサ62は接触片61のセンサ干渉部61bの近傍に備えられている。センサ62は例えばフォトインタラプタといった透過型光センサで構成され、発光部及び受光部(図示せず)を備えている。このセンサ62の発光部と受光部との間の光路上に接触片61のセンサ干渉部61bが出没する。センサ62は発光部と受光部との間で光路を遮蔽するものがないときONの電気信号を、光路が遮蔽されたときOFFの電気信号を出力する。センサ62のON/OFFの電気信号は画像読取装置30の読取制御部34若しくは本体2の主制御部17に送信される。
ばね63は接触片61の下方に設けられている。ばね63は圧縮コイルばねで構成され、接触片61を常時上方に付勢している。また、ストッパ64は接触片61のセンサ干渉部61bに対応した箇所の上方に固定されている。このストッパ64にセンサ干渉部61bが引っ掛かるので、接触片61は図5に示す位置を超えて上方にばね63の弾発力によって飛び出してしまうことはない。
次に、画像読取装置30の原稿サイズ計測に係る動作について、図2〜図5に加えて図6〜図8を用いて説明する。図6は図5と同様の画像読取装置30周辺の模型的垂直断面右側面図にして、原稿押さえ31を途中まで倒した状態を示すもの、図7は画像読取装置30の原稿サイズ計測に係る動作を示すフローチャート、図8は画像読取装置30の原稿サイズ計測方法を説明するための光照射部33の動きを示す上面図である。
コンタクトガラス32上に原稿Dを載置する場合、原稿押さえ31は、図3及び図5に示すように開放された状態にある。この時、開閉検知装置60の接触片61はばね63によって上方に付勢されているもののストッパ64により移動が阻止されているので、その接触部61aが原稿押さえ31に接触していない。これにより、センサ62はその光路を遮蔽するものがなく、ONの状態になっている。
続いて、コンタクトガラス32上に原稿Dを載置した後、原稿押さえ31を閉鎖する過程において、図6に示すようにコンタクトガラス32表面に対する傾斜角が所定角度、例えば30度まで倒される。このとき、開閉検知装置60の接触片61はその接触部61aに原稿押さえ31が接触して押し下げられる。これにより、接触片61が下方に移動し、センサ62はその光路が接触片61のセンサ干渉部61bによって遮蔽され、OFFの状態になる。
画像読取装置30の読取制御部34はセンサ62がOFFになった開閉検知装置60の情報に基づいて光照射部33、走査駆動部40及びラインセンサー53を制御し、原稿サイズの計測を開始する。なお、原稿サイズの計測は、コンタクトガラス32の基準点Aに対向する原稿Dの主走査方向の端部を識別してこの端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの主走査方向のサイズを計測し、続いて基準点Aに対向する原稿Dの副走査方向の端部を識別してこの端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの副走査方向のサイズを計測することによって実現される。読取制御部34はコンタクトガラス32に対するホームポジションに光照射部33を移動させて原稿Dに向かって光を照射させ、原稿Dの端部の識別を開始する。
続いて、原稿Dのサイズ計測の詳細について、図7に示すフローに沿って図8を用いて説明する。なお、図8は紙面に対して下方が画像形成装置1の正面側、上方が画像形成装置1の背面側である。また、図8では原稿サイズ計測に係る動作を説明するために移動する光照射部33を図7のフローの各ステップに対応付けてステップ番号を付記して複数個描画している。また、図8では点灯したブロック光源33bを白色で、消灯したブロック光源33bを網掛けで描画している。
開閉検知装置60の情報に基づいて原稿押さえ31が閉鎖方向に向かって30度まで倒されたことを条件として(図7のスタート)、読取制御部34は12個のブロック光源33b各々について点灯させたブロック光源33bと消灯させたブロック光源33bとが主走査方向に沿って交互に並ぶように順番に点灯若しくは消灯させ、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行する(ステップ#101)。12個のブロック光源33bは、図8に示すように画像読取装置30の背面側から主走査方向に正面側に向かって点灯、消灯、点灯の順番で点灯制御されている。
光照射部33から照射された光について、コンタクトガラス32上面に原稿Dがある場合には光が照射された原稿Dの読取面から強度が強い反射光が得られ、原稿Dがない場合には反射光がほとんど得られない。ラインセンサー53を構成する受光素子に導かれた反射光は、例えば0V〜1.5Vの電圧に変換される。反射光の強度が強い、すなわち光量が大きいほど高電圧となり、反射光の強度が弱い、すなわち光量が小さいほど低電圧となる。この反射光から得られる電圧信号に予め閾値を設定し、画像処理部35は閾値より高電圧、すなわち光量が大きいとき原稿あり、閾値より低電圧、すなわち光量が小さいとき原稿なしと処理する。読取制御部34はこの画像処理部35で処理されたラインセンサー53からの情報に基づきコンタクトガラス32上面の原稿Dが存在する領域と、存在しない領域とを識別する。
次に、読取制御部34は走査駆動部40を制御して光照射部33を副走査方向に所定距離移動させる(ステップ#102)。なお、この所定距離は原稿サイズ計測の初期段階における副走査方向への光照射部33の移動に関して予め定められた任意の距離である。所定距離としては、例えば5mmという値が予め設定されて記憶部20に記憶されているが、必要に応じて適切に設定することができる。
そして、読取制御部34は光照射部33のブロック光源33bの点灯と消灯とを入れ替え、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行する(ステップ#103)。12個のブロック光源33bは、図8に示すように画像読取装置30の背面側から主走査方向に正面側に向かって消灯、点灯、消灯の順番で点灯制御されている。画像処理部35はステップ#101のときと同様に、点灯したブロック光源33b毎にその反射光を受光したラインセンサー53から得られる電気信号を用いて原稿Dの有無について画像処理を実行する。読取制御部34はこの画像処理部35で処理されたラインセンサー53からの情報に基づきコンタクトガラス32上面の原稿Dが存在する領域と、存在しない領域とを識別する。
続いて、ステップ#101と#103との副走査方向の2箇所において反射光を受光したラインセンサー53からの画像情報に基づいて、読取制御部34はコンタクトガラス32の基準点Aに対向する原稿Dの主走査方向の端部を識別し、確定する(ステップ#104)。読取制御部34はステップ#101と#103との副走査方向の2箇所におけるコンタクトガラス32上面の原稿Dが存在する領域と、存在しない領域とを組み合わせることにより原稿Dの主走査方向の端部を識別し、確定する。
続いて、読取制御部34は原稿Dの主走査方向の端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの主走査方向のサイズを計測する(ステップ#105)。詳細に言えば、読取制御部34は画像データにおける基準点Aから主走査方向の端部の位置までのドット数×1ドットあたりのピッチから原稿Dの主走査方向のサイズを計測する。
原稿Dの主走査方向のサイズ計測が済むとと、読取制御部34は主走査方向の端部に対して原稿Dが存在する領域に位置するブロック光源33bを1個点灯させる(ステップ#106)。この点灯させた1個のブロック光源33bは、図8に二点鎖線で描画した原稿Dの内側の領域に位置している。
続いて、原稿Dが存在する領域に位置するブロック光源33bを1個点灯させた状態で、読取制御部34は走査駆動部40を制御して光照射部33を副走査方向に移動させ(ステップ#107)、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行する(ステップ#108)。そして、読取制御部34は点灯させた1個のブロック光源33bについて、その反射光を受光したラインセンサー53からの画像情報に基づいて原稿Dが存在するか否かを判定する(ステップ#109)。
点灯させた1個のブロック光源33bについて原稿Dの存在が検知され、すなわち原稿Dの端部ではないと判定された場合(ステップ#109のNo)、読取制御部34は引き続き、光照射部33を副走査方向に移動させ(ステップ#107)、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行するステップ(ステップ#108)を繰り返す。なお、ステップ#107における光照射部33の副走査方向への移動について、例えば5mmや10mmといった移動距離が予め設定され、その移動距離ごとにステップ#108におけるラインセンサー53による読み取り及び#109における原稿Dの端部の識別を実行しても良い。
ステップ#109において点灯させた1個のブロック光源33bについて原稿Dが存在せず、すなわち原稿Dの端部であると判定された場合(ステップ#109のYes)、読取制御部34はコンタクトガラス32の基準点Aに対向する原稿Dの副走査方向の端部を確定する(ステップ#110)。このとき、光照射部33は、図8に示すように副走査方向に関して原稿Dが存在する領域の外側に位置している。
続いて、読取制御部34は原稿Dの副走査方向の端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの副走査方向のサイズを計測する(ステップ#111)。詳細に言えば、読取制御部34は画像データにおける基準点Aから副走査方向の端部の位置までのドット数×1ドットあたりのピッチから原稿Dの副走査方向のサイズを計測する。そして、読取制御部34は原稿サイズ計測に係る動作フローを終了する(図7のエンド)。
上記のようにして、画像読取装置30の読取制御部34は光照射部33を副走査方向に移動させるとともに光照射部33の複数のブロック光源33b各々を個別に主走査方向に順番に点灯若しくは消灯させ、その反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づいてコンタクトガラス32の基準点Aに対向する原稿Dの主走査方向の端部を識別してこの端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの主走査方向のサイズを計測し、続いて基準点Aに対向する原稿Dの副走査方向の端部を識別してこの端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの副走査方向のサイズを計測する。すなわち、画像形成装置1は主走査方向に配列された複数のブロック光源33b各々を個別に順番に点灯させたり、消灯させたりしながら、原稿Dの主走査方向の端部及び副走査方向の端部の識別を実行する。これにより、原稿サイズを計測するときに原稿Dの端部より外側の領域で点灯する光源が比較的少なくすることができる。したがって、原稿サイズを計測するときにユーザーがまぶしい思いをすることを抑制することができ、且つ不定形の原稿サイズの計測を簡便に自動的に遂行することが可能である。
そして、読取制御部34は光照射部33を副走査方向に移動させる初期段階で複数のブロック光源33b各々について点灯させたブロック光源33bと消灯させたブロック光源33bとが主走査方向に沿って交互に並ぶように順番に点灯若しくは消灯させ、続いて光照射部33を副走査方向に5mm移動させた後にブロック光源33bの点灯と消灯とを入れ替えてそれら副走査方向の2箇所において反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づいて原稿Dの主走査方向の端部を識別する。さらに、読取制御部34はその主走査方向の端部に対して原稿Dが存在する領域に位置するブロック光源33bのうち1個を点灯させた状態で引き続き光照射部33を副走査方向に移動させたときの反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づいて原稿Dの副走査方向の端部を識別する。これにより、原稿Dの主走査方向の端部を識別するとき、光照射部33の約半分のブロック光源33bしか点灯しない。また、原稿Dの主走査方向の端部を識別するまでの短い期間を除いて、原稿Dの主走査方向の端部より外側の領域でブロック光源33bが点灯しない。したがって、原稿サイズを計測するときにユーザーがまぶしい思いをすることを一層抑制することが可能である。
なお、上記実施形態では原稿Dの主走査方向の端部を識別するとき、ブロック光源33bの点灯と消灯とを入れ替えた副走査方向の2箇所におけるラインセンサー53からの情報に基づいて識別することとしたが、3箇所以上の情報に基づいて識別することにしても良い。
また、光照射部33は複数の発光素子33aが一体となり1つのブロック光源33bを形成し、複数のブロック光源33bで構成され、読取制御部34はブロック光源33b毎に発光素子33aを点灯若しくは消灯させるので、原稿サイズを計測するために必要な時間が比較的短い時間で済む。したがって、原稿サイズの計測をより簡便に遂行することが可能になる。
また、読取制御部34は原稿押さえ31の開閉動作を検出するための開閉検知装置60からの情報に基づき開放した原稿押さえ31が閉鎖方向に向かって、コンタクトガラス32上面に対して30度の角度まで倒されたことを条件として、原稿Dの主走査方向のサイズ計測及び原稿Dの副走査方向のサイズ計測を開始するので、原稿押さえ31を開放状態から閉鎖方向に倒すのとともに自動的に原稿サイズの計測が開始される。原稿押さえ31がある程度開いた状態で原稿サイズの計測が開始されるので、原稿Dの端部の識別を容易にすることができる。
上記実施形態の構成によれば、原稿サイズを計測するときに光照射部33の複数のブロック光源33b各々を個別に主走査方向に順番に点灯若しくは消灯させるので、不定形の原稿サイズの端部を容易に計測することができる。さらに、原稿Dの端部より外側の領域で点灯するブロック光源33bが比較的少なくなるので、原稿Dの外側から光がユーザー側に漏れるのを防止することが可能である。したがって、原稿サイズを計測するときにユーザーがまぶしい思いをすることを抑制することができ、且つ不定形の原稿サイズの計測を簡便に自動的に遂行することが可能な作業効率の向上が図られた画像読取装置30を提供することができる。また、このような画像読取装置30を搭載した画像形成装置1を提供することが可能である。
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置について、図9及び図10を用いて説明する。図9は画像読取装置の原稿サイズ計測に係る動作を示すフローチャート、図10は画像読取装置の原稿サイズ計測方法を説明するための光照射部の動きを示す上面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図8を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成について同じ符号を付すとともに図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第2の実施形態における画像読取装置30は、以下に示す流れで原稿Dのサイズ計測を実行する。
開閉検知装置60の情報に基づいて原稿押さえ31が閉鎖方向に向かって30度まで倒されたことを条件として(図9のスタート)、読取制御部34は12個のブロック光源33bのうち主走査方向両端部のブロック光源33bを各々点灯させ、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行する(ステップ#201)。2個のブロック光源33bについて、図10に示すように画像読取装置30の背面側の1箇所及び正面側の1箇所が各々点灯している。
続いて、読取制御部34は点灯させた2個のブロック光源33bに対して、それらの反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づき2個のブロック光源33bに対応するコンタクトガラス32上面の箇所各々に原稿Dが存在するか否かを判定する(ステップ#202)。例えば、原稿サイズ計測の初期段階において、図10に示すように光照射部33はコンタクトガラス32の左端に対応する箇所にあるので、原稿読取装置30の背面側のブロック光源33bの箇所で原稿Dを検知し、正面側のブロック光源33bの箇所で原稿Dを検知しない。
点灯させた2個のブロック光源33bのいずれか一方について原稿Dの存在を検知しないとき(ステップ#202のNo)、読取制御部34は走査駆動部40を制御して光照射部33を副走査方向に移動させる(ステップ#203)。さらに、読取制御部34は主走査方向の両端部各々から点灯させる2個のブロック光源33bを他端に向かって各々1ブロック分移動させ、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行する(ステップ#204)。このとき、点灯させた2個のブロック光源33bは、図10に示すように主走査方向の両端部から数えて2番目の箇所に各々移動している。
そして、読取制御部34は点灯させた2個のブロック光源33bに対して、それらの反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づき2個のブロック光源33bに対応するコンタクトガラス32上面の箇所各々に原稿Dが存在するか否かを再度判定する(ステップ#202)。
点灯させた2個のブロック光源33bのいずれか一方について原稿Dの存在を検知しないとき(ステップ#202のNo)、読取制御部34は引き続き、光照射部33を副走査方向に移動させ(ステップ#203)、点灯させるブロック光源33bの移動及びラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行するステップ(ステップ#204)を繰り返す。
なお、ステップ#203における光照射部33の副走査方向への移動について詳細に言えば、例えば30mmや40mmといった移動距離が予め設定され、その移動距離ごとにステップ#204における点灯させるブロック光源33bの移動及びラインセンサー53による読み取り、ステップ#202における原稿Dの端部の識別を実行する。上記30mmや40mmといった副走査方向への移動の間は点灯させるブロック光源33bを主走査方向に移動させることなく同じ箇所にしたままで、例えば5mmや10mmといった副走査方向への移動距離ごとにラインセンサー53による読み取り及び原稿Dの端部の識別を実行する。
ステップ#202において点灯させた2個のブロック光源33bについて両方とも原稿Dの存在を検知したとき(ステップ#202のYes)、読取制御部34はコンタクトガラス32の基準点Aに対向する原稿Dの主走査方向の端部を確定する(ステップ#205)。このとき、点灯させた2個のブロック光源33bは、図10に示すように両方とも主走査方向に関して原稿Dが存在する領域の内側に位置している。
続いて、読取制御部34は原稿Dの主走査方向の端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの主走査方向のサイズを計測する(ステップ#206)。詳細に言えば、読取制御部34は画像データにおける基準点Aから主走査方向の端部の位置までのドット数×1ドットあたりのピッチから原稿Dの主走査方向のサイズを計測する。
次に、読取制御部34は走査駆動部40を制御して光照射部33を副走査方向に移動させる(ステップ#207)。さらに、読取制御部34は主走査方向の両端部各々から順番に点灯させる2個のブロック光源33bを他端に向かって各々1ブロック分移動させ、ラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行する(ステップ#208)。そして、読取制御部34は点灯させた2個のブロック光源33bに対して、それらの反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づき2個のブロック光源33bに対応するコンタクトガラス32上面の箇所各々に原稿Dが存在するか否かを判定する(ステップ#209)。
点灯させた2個のブロック光源33bのいずれか一方について原稿Dの存在を検知しているとき(ステップ#209のYes)、読取制御部34は引き続き、光照射部33を副走査方向に移動させ(ステップ#207)、点灯させるブロック光源33bの移動及びラインセンサー53を用いた画像情報の読み取りを実行するステップ(ステップ#208)を繰り返す。
なお、ステップ#207における光照射部33の副走査方向への移動について詳細に言えば、ステップ#203のときと同様に、例えば30mmや40mmといった移動距離が予め設定され、その移動距離ごとにステップ#208における点灯させるブロック光源33bの移動及びラインセンサー53による読み取り、ステップ#209における原稿Dの端部の識別を実行する。上記30mmや40mmといった副走査方向への移動の間は点灯させるブロック光源33bを主走査方向に移動させることなく同じ箇所にしたままで、例えば5mmや10mmといった副走査方向への移動距離ごとにラインセンサー53による読み取り及び原稿Dの端部の識別を実行する。
ステップ#209において点灯させた2個のブロック光源33bについて両方とも原稿Dの存在を検知しないとき(ステップ#209のNo)、読取制御部34はコンタクトガラス32の基準点Aに対向する原稿Dの副走査方向の端部を確定する(ステップ#210)。このとき、光照射部33は、図10に示すように副走査方向に関して原稿Dが存在する領域の外側に位置している。
続いて、読取制御部34は原稿Dの副走査方向の端部と基準点Aとの間の距離から原稿Dの副走査方向のサイズを計測する(ステップ#211)。詳細に言えば、読取制御部34は画像データにおける基準点Aから副走査方向の端部の位置までのドット数×1ドットあたりのピッチから原稿Dの副走査方向のサイズを計測する。そして、読取制御部34は原稿サイズ計測に係る動作フローを終了する(図9のエンド)。
上記のようにして、読取制御部34は光照射部33を副走査方向に移動させる初期段階で主走査方向の両端部のブロック光源33bを各々点灯させた後、光照射部33を副走査方向に移動させながら主走査方向の両端部各々から他端に向かって順番に1個ずつブロック光源33bを点灯させたときの反射光を受光したラインセンサー53からの情報に基づいて原稿Dの主走査方向の端部及び副走査方向の端部を識別する。これにより、原稿サイズを計測するときに原稿Dの端部より外側の領域で点灯させるブロック光源33bが1個で済む。したがって、原稿サイズを計測するときにユーザーがまぶしい思いをすることをより一層抑制することが可能である。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、本発明の上記実施形態における画像読取装置30を搭載した画像形成装置1は、中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷用の画像形成装置であるが、発明の適用対象となる画像形成装置がこのような種類に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを用いない画像形成装置や白黒印刷用の画像形成装置であっても構わない。
また、上記実施形態では、原稿サイズ計測時、光源であるブロック光源33b毎に光照射部33を点灯制御して原稿Dの端部を識別することとしたが、原稿サイズ計測方法はこれに限定されるわけではなく、単一の発光素子33aを制御単位である光源として点灯、消灯させて原稿Dの端部を識別することにしても構わない。
また、原稿読取装置30による原稿サイズ計測の開始タイミングは原稿押さえ31が閉鎖方向に向かって所定角度(例えばコンタクトガラス32表面に対して30度)まで倒されたことを条件とすることに限定されるわけでない。例えば、原稿押さえ31を開放した状態で原稿サイズ計測を実行しても良いし、開放状態にある原稿押さえ31の閉じ始めの段階で原稿サイズ計測を実行しても良い。このように原稿押さえ31を開放した状態で原稿サイズ計測を実行した場合であっても、原稿Dの端部より外側の領域で点灯するブロック光源33bが比較的少ないので、ユーザーがまぶしい思いをすることを抑制することが可能である。