以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<第1実施形態>
最初に、本発明の実施形態の画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の部分垂直断面正面図の一例である。なお、図中の矢印付き二点鎖線は用紙の搬送経路及び搬送方向を示す。
画像形成装置1は、図1に示すように所謂タンデム型のカラー複写機であり、原稿の画像を読み取るための画像読取装置40と、読み取った画像を用紙等の転写材に印刷する印刷部3と、印刷条件の入力や稼働状況の表示を行うための操作部4と、主制御部5とを備える。
画像読取装置40は光走査ユニット50及び原稿搬送ユニット70を備え、画像形成装置1の上部に設けられる。画像読取装置40は光走査ユニット50の上面に載置された1枚の原稿の画像を読み取る、また光走査ユニット50と原稿搬送ユニット70とを利用して複数枚の原稿の画像を1枚ずつ自動的に読み取ることができる。原稿の画像は赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に色分解され、後述するイメージセンサーで電気信号に変換される。これにより、画像読取装置40は赤(R)、緑(G)、青(B)の色別の画像データを得る。画像読取装置40の構成の詳細は後述する。
画像読取装置40が原稿から得た色別の画像データは主制御部5において各種処理が行われ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換されて主制御部5の内部の不図示のメモリーに格納される。メモリーに格納された再現色別の画像データは位置ずれ補正のための処理を受けた後、像担持体である感光体ドラム21に対する光走査を行うために用紙の搬送と同期して走査ラインごとに読み出される。
印刷部3は電子写真方式によって画像を形成し、その画像を用紙等に転写する。印刷部3は中間転写体を無端状のベルトとして形成した中間転写ベルト11を備える。中間転写ベルト11は駆動ローラ12、テンションローラ13及び従動ローラ14に巻き掛けられる。中間転写ベルト11にはテンションローラ13が不図示のバネによって図1における上方に付勢されることにより張力が与えられる。中間転写ベルト11は駆動ローラ12によって図1における反時計回りに回転移動する。
駆動ローラ12は中間転写ベルト11を挟んで対向する二次転写ローラ15に圧し接触する。従動ローラ14の箇所では、中間転写ベルト11を挟んで従動ローラ14に対向するように設けられた中間転写クリーニング部16が中間転写ベルト11の外周面に接触する。中間転写クリーニング部16は二次転写後に中間転写ベルト11の外周面に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする。
中間転写ベルト11の下方にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する画像形成部20Y、20M、20C、20Kが設けられる。なおこの説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」、「M」、「C」、「K」の識別記号の記載を省略して、例えば「画像形成部20」と総称することがある。4台の画像形成部20は中間転写ベルト11の回転方向に沿って、回転方向の上流側から下流側に向けて一列にして配置される。4台の画像形成部20は構成がすべて同じであり、図1における時計回りに回転する感光体ドラム21を中心としてその周囲に帯電部、露光部、現像部、クリーニング部及び一次転写部を備える。
中間転写ベルト11の上方には、4台の各再現色の画像形成部20に対応するトナーボトル31及びトナーホッパー32が設けられる。現像部及びトナーホッパー32に対しては各々の内部のトナー量を検出する不図示のトナーの残量検出部が設けられる。また、現像部とトナーホッパー32との間及びトナーホッパー32とトナーボトル31との間には各々不図示のトナーの補給装置が設けられる。残量検出部によって現像部の内部のトナー量の低下が検出されると、補給装置がトナーホッパー32から現像部にトナーを補給するように駆動する。さらに、残量検出部によってトナーホッパー32の内部のトナー量の低下が検出されると、補給装置がトナーボトル31からトナーホッパー32にトナーを補給するように駆動する。トナーボトル31は装置本体に対して着脱可能に設けられ、適宜新しいものと交換することができる。
4台の画像形成部20の下方には給紙装置91が設けられ、その内部に用紙Pが収容される。給紙装置91の内部に収容された用紙Pは供給部92によってその最上紙から順に用紙搬送路Qに送り出される。また、手差し給紙部93を用いて用紙を用紙搬送路Qに対して供給することも可能である。給紙装置91または手差し給紙部93から用紙搬送路Qに送り出された用紙Pはレジストローラ対94の箇所に到達する。そして、レジストローラ対94が用紙Pの斜め送りを矯正(スキュー補正)しつつ中間転写ベルト11の回転と同期をとって、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15との接触部(二次転写ニップ部)に向けて用紙Pを送り出す。
画像形成部20では帯電部及び露光部によって感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像部によってトナー像として可視像化される。感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は感光体ドラム21が中間転写ベルト11を挟んで一次転写ローラと対向する箇所において中間転写ベルト11の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト11の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部20のトナー像が順次中間転写ベルト11に転写されることにより、中間転写ベルト11の外周面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト11の外周面に一次転写されたカラートナー像はレジストローラ対94により同期をとって送られてきた用紙Pに、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15とが接触して形成される二次転写ニップ部にて転写される。
二次転写ニップ部の上方には定着部95が備えられる。二次転写ニップ部にて未定着トナー像が転写された用紙Pは定着部95へと送られて加熱ローラ及び加圧ローラに挟まれ、トナー像が加熱、加圧されて用紙Pに溶融定着される。定着部95を通過した用紙Pは中間転写ベルト11の上方に設けられた用紙排出部96に排出される。
操作部4は画像形成装置1の上部の正面側に設けられる。操作部4は、例えばユーザーによる印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定の入力や、ファクシミリ送信におけるファックス番号や送信者名などの設定の入力を受け付ける。また、操作部4は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示部4Wに表示することによって、それらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
また、画像形成装置1にはその全体の動作制御のため、不図示のCPUや画像処理部、その他の図示しない電子部品で構成された主制御部5が設けられる。主制御部5は中央演算処理装置であるCPUと画像処理部とを利用し、メモリーに記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取装置40や印刷部3などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作、印刷動作を実現する。
続いて、画像形成装置1の画像読取装置40の構成とその動作について、図2を用いて説明する。図2は画像読取装置40の垂直断面正面図である。なお、図2における上下方向、左右方向及び紙面奥行き方向が画像形成装置1及び画像読取装置40の上下方向、左右方向及び前後方向を示す。また、図2に記した矢印Yが後述する第1読取部79における原稿搬送方向(副走査方向)を示し、矢印Xがその原稿搬送方向と交差する原稿幅方向(主走査方向)を示し、以下の図においても同様である。
画像読取装置40は、図2に示すように画像形成装置本体の上部に設けられた光走査ユニット50と、その装置本体の上面に載置された原稿搬送ユニット70とを備える。
光走査ユニット50はコンタクトガラス51、第1照明部52、走査駆動部53、ワイヤ54、巻き取りドラム55、撮像部56及び読取制御部58を有する。
コンタクトガラス51は光走査ユニット50の上面に設けられる。コンタクトガラス51は比較的薄い平板状の透明ガラスで構成され、原稿Dの表面全体を一度に光走査できるように光走査ユニット50の前後方向(主走査方向、図2の矢印X方向)及び左右方向(副走査方向、図2の矢印Y方向)に広く延びる矩形形状を成す。原稿Dの画像を1枚ずつ個別に読み取らせる場合、原稿Dはコンタクトガラス51の上面に読取面が下になるように広げて載置される。
第1照明部52はコンタクトガラス51のすぐ下方に配置される。第1照明部52は原稿Dの読取面に向けて、すなわち上方に向けて光を照射する。第1照明部52の構成の詳細は後述する。
走査駆動部53はコンタクトガラス51の下方に設けられ、第1移動体53Aと、第2移動体53Bとを備える。
走査駆動部53の第1移動体53Aは第1照明部52を支持するとともに、第1ミラー59aを備える。第1ミラー59aは原稿Dの読取面で反射した第1照明部52の反射光を受けて、さらに90度の角度で略水平に方向転換させるべく所定の傾きが設定され、コンタクトガラス51の下方に配置される。
走査駆動部53の第2移動体53Bは第2ミラー59bと、第3ミラー59cとを備える。第2ミラー59bは第1移動体53Aの第1ミラー59aが反射させた光を受けて、さらに90度の角度で略垂直下方に方向転換させるべく所定の傾きが設定され、第1ミラー59aと略同じ高さに配置される。第3ミラー59cは第2ミラー59bが反射させた光を受けて、さらに90度の角度で略水平に方向転換させるべく、第2ミラー59bの略真下に配置される。
なお、第1移動体53A及び第2移動体53Bに設けられた各ミラーは第1照明部52同様、主走査方向(光走査ユニット50の前後方向)にコンタクトガラス51と略同じ長さで延びる細長い形状で構成される。
ワイヤ54は第1移動体53A及び第2移動体53Bに接続されるとともに、巻き取りドラム55に巻き掛けられる。不図示のモータで巻き取りドラム55を回転させると、第1移動体53A及び第2移動体53Bがコンタクトガラス51の上面と平行に副走査方向(光走査ユニット50の左右方向)に往復移動する。これにより、読み取りライン(第1照明部52による照射位置)を副走査方向に移動させることができ、コンタクトガラス51の上面に広げて載置された原稿Dの読取面全体の画像を読み取ることができる。
撮像部56はレンズ56aと、イメージセンサー56bとを含む。レンズ56a及びイメージセンサー56bは光走査ユニット50の下部に設けられる。第2移動体53Bの第3ミラー59cによって反射された、原稿Dの読取面からの反射光はレンズ56aに入射して集光される。レンズ56aはその反射光を光路の下流側に設けられたイメージセンサー56bの表面上に結像する。これにより、画像読取装置40はイメージセンサー56bを用いてコンタクトガラス51上の原稿Dの読取面の画像を画像データとして読み取ることができる。
なお、イメージセンサー56bは例えば固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)を画像読取装置40の前後方向である主走査方向、すなわち図2における紙面奥行き方向(矢印X方向)に複数個直線状に一列にして配列されて構成される。イメージセンサー56bは入射光を電気信号に光電変換し、画像情報として出力する。そして、原稿Dの読取面をイメージセンサー56bで主走査方向に走査させ、走査駆動部53を駆動して第1照明部52を副走査方向に走査させて得られる情報について読取制御部58が画像処理を実行することにより、原稿Dの画像を画像データとして得ることが可能である。
読取制御部58は処理回路やメモリー等のICやその他の電子部品を含み、主制御部5から指令を受けて光走査ユニット50の動作を制御する制御部である。読取制御部58は主制御部5からの制御指令に基づき走査駆動部53を駆動制御するとともに、イメージセンサー56bからの出力信号に対して画像処理を実行して画像データを出力する。このようにして、読取制御部58は画像読取動作を実現する。
原稿搬送ユニット70はコンタクトガラス51と対向する形でその上方に設けられる。原稿搬送ユニット70はコンタクトガラス51の表面全体をカバーする直方体形状を成すユニットである。原稿搬送ユニット70は光走査ユニット50の背面側に設けられた左右方向に略水平に延びる不図示の2箇所の支軸を中心として、光走査ユニット50に対して揺動可能に取り付けられる。これにより、原稿搬送ユニット70はその正面側部分を自由端として上下に振るようにして揺動し、コンタクトガラス51に対して開閉させることができる。なお、図2は原稿搬送ユニット70によりコンタクトガラス51の部分を閉鎖した状態を描いている。
原稿搬送ユニット70の外底面であって、閉鎖したときにコンタクトガラス51に対向する一面には原稿背景部である原稿背景板70aが設けられる。原稿背景板70aは白色であり、コンタクトガラス51の全域をカバーする位置及び大きさを成す。原稿搬送ユニット70でコンタクトガラス51の部分を閉鎖したとき、原稿背景板70aはコンタクトガラス51に対してその全面を均一に押圧するように密着して原稿Dを移動しないように保持する。
原稿搬送ユニット70は原稿背景板70aに加えて、給紙トレイ71排紙トレイ72及び搬送駆動部73を有する。
給紙トレイ71は原稿搬送ユニット70の上部に配置された原稿の載置部である。給紙トレイ71には原稿を上方から載置して積み上げることができる。給紙トレイ71は原稿搬送方向(原稿搬送ユニット70の左右方向)の上流から下流に向かって、すなわち図2において右方から左方に向かって下る傾斜を有する。
給紙トレイ71はその上面に設けられた原稿搬送方向及び上方向に向かって延びる2個の整合板71aを備える。2個の整合板71aは各々、原稿搬送方向と交差する方向に移動可能であり、原稿の搬送方向と交差する方向である原稿の幅方向の両端部に接触し、原稿をその幅方向において適正な給紙位置に保持するものである。
給紙トレイ71の原稿搬送方向下流部には原稿の押し上げ部71bが設けられる。押し上げ部71bは給紙トレイ71の原稿載置面に沿った形状を成し、その上流端に設けられて原稿幅方向に延びる不図示の支軸を中心とし、下流端を自由端として垂直面内で回転可能にして設けられる。押し上げ部71bは原稿の供給時に、不図示のモータ等によって支軸を中心として回転されることで、給紙トレイ71に積み上げられた原稿の下流端がその上方に配置された供給ローラ75に接触するように上方に向かって付勢される。
搬送駆動部73は給紙トレイ71の原稿搬送方向下流端に原稿供給口74と、供給ローラ75とを備える。供給ローラ75は給紙トレイ71に積み上げられた原稿を最上の原稿から1枚ずつ分離して搬送駆動部73の内部へと供給し、搬送する。原稿供給口74の下流側には搬送駆動部73の内部に向かって原稿搬送路76が延びる。
原稿搬送路76にはレジストローラ対77が設けられる。レジストローラ対77は原稿の斜め送りを矯正(スキュー補正)した後、原稿をさらに搬送方向下流へと送り出す。また、原稿搬送路76の各所には搬送ローラ78が設けられる。
原稿搬送路76の、レジストローラ対77の原稿搬送方向下流は原稿搬送ユニット70の底面に到達し、この箇所に第1読取部79が設けられる。第1読取部79に送り込まれた原稿は原稿搬送路76上をさらに下流側へ、すなわち図2において第1読取部79の箇所を左方から右方へと移動する最中に、その下方に設けられた光走査ユニット50で下側の面である第1面の画像データが読み取られる。なお、第1読取部79で原稿の画像を読み取る場合、第1照明部52を支持する走査駆動部53の第1移動体53Aが第1読取部79の下方に移動し(図3参照)、イメージセンサー56bを用いて原稿の下側の面(第1面)の画像データが読み取られる。
原稿搬送路76の、第1読取部79の原稿搬送方向下流には第2読取部80が設けられる。なお、第2読取部80はコンタクトガラス81、第2照明部82、イメージセンサー83及び原稿背景板80aを含む。原稿の両面の画像データの読み取りが必要な場合、第2読取部80に送り込まれた原稿は原稿搬送路76上をさらに下流側へ、すなわち図2において第2読取部80の箇所を左方から右方へと移動する最中に、その上方に設けられた第2読取部80で上側の面である第2面の画像データが読み取られる。
原稿搬送路76の下流端には原稿排出口84が設けられる。画像データの読み取りが済んだ原稿は原稿排出口84から排紙トレイ72に排出される。排紙トレイ72は給紙トレイ71のすぐ下方に備えられ、これらのトレイが上下二段にして構成される。排紙トレイ72に排出された原稿は原稿搬送ユニット70の正面側から取り出すことができる。
給紙トレイ71と、排紙トレイ72とは互いの原稿搬送方向を逆にして、すなわち図2において給紙トレイ71は原稿を左方に向かって送り出し、排紙トレイ72は原稿を左方から受け取る形にして構成される。これにより、原稿供給口74から原稿排出口84まで延びる原稿搬送路76は、図2に示すようにU字状に湾曲した構成を横方向に傾けた形態で設けられる。そして、不図示の搬送制御部が原稿の搬送を制御する。
搬送制御部は処理回路やメモリー等のICやその他の電子部品を含み、主制御部5から指令を受けて原稿搬送ユニット70の動作を制御する。搬送制御部は主制御部5からの制御指令に基づき給紙トレイ71に載置された原稿を押し上げ部71b及び供給ローラ75を駆動させて1枚ずつ分離して搬送駆動部73の内部に供給する。さらに、搬送制御部はレジストローラ対77及び搬送ローラ78を駆動させて第1読取部79及び第2読取部80でその画像データを読み取らせた後、排紙トレイ72に排出する。このようにして、搬送制御部は原稿の搬送動作を実現する。
続いて、画像読取装置40の第1照明部52周辺の詳細な構成について、図2に加えて図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は第1照明部52周辺を示す垂直断面正面図及び部分拡大垂直断面正面図である。
ここで、光走査ユニット50と原稿搬送ユニット70とを利用して複数枚の原稿Dの画像を1枚ずつ自動的に読み取る場合、画像読取装置40は前述のように第1照明部52を支持する走査駆動部53の第1移動体53Aを第1読取部79の下方に移動させる(図3及び図4参照)。これにより、第1照明部52は第1読取部79を所定の照射位置として原稿Dに向けて光を照射する。そして、第1読取部79に設けられて原稿Dを隔てて第1照明部52と対向する原稿背景板79aが原稿Dの画像読取に利用される。画像読取装置40は搬送駆動部73によって原稿Dを搬送させて第1読取部79において第1照明部52に対して相対的に原稿Dを移動させ、原稿Dの下側の面(第1面)の画像データをイメージセンサー56bで読み取る。
光走査ユニット50の第1照明部52は、図4に示すように光源52a及び反射板52bを備える。光源52a及び反射板52bはともにコンタクトガラス51の下方に配置される。
光源52aは原稿幅方向(主走査方向)の全域にわたってコンタクトガラス51と略同じ長さで延びる細長い円柱形状または四角柱形状で構成される。光源52aは原稿幅方向に沿って並べて配置された単数或いは複数のLED(light emitting diode)や、そのLEDの光を受けて原稿Dに向けて出射する導光体などを含む。光源52aとしてはLEDの光を直接照射するようにしても良いし、導光体を介してLEDの光を照射するようにしても良い。光源52aは原稿Dの読取面に向けて、すなわち上方に向けて、さらに反射板52bに向けて光を照射する。
反射板52bは光源52aに対して原稿搬送方向(副走査方向)の上流側に配置される。反射板52bは光源52a同様、原稿幅方向の全域にわたってコンタクトガラス51と略同じ長さで延び、その光の反射面が光源52a及び原稿背景板79aの配置方向を指向する。
原稿背景板79aは原稿搬送方向における光源52aと反射板52bとの中間部であって、コンタクトガラス51及び原稿Dの搬送経路を隔ててそれらの上方に配置される。原稿背景板79aの表面は下方に向かって凸となる白色の曲面を成し、原稿幅方向の全域にわたってコンタクトガラス51と略同じ長さで延び、光源52a及び反射板52bと対向すべく下方を指向する。厳密に言えば、原稿背景板79aの表面である下方に向かって凸となる曲面の頂部に対応する領域が第1読取部79における画像の読み取り位置であり、第1照明部52による光の照射位置Lpである。
第1読取部79を通過する原稿Dに関して、原稿Dの搬送をガイドするためのガイド部85が照射位置Lpの原稿搬送方向の上流側に設けられる(図2参照)。ガイド部85は第1照明部52による光の照射方向(図4の上下方向)に関して照射位置Lpにおける原稿Dと原稿背景板79aとの間に隙間Gを設ける。隙間Gとしては、例えば0.5〜2.0mmが設定され、より好ましくは0.6mm程度である。
光源52aが原稿Dに向けて照射する光は、その一部が直接照射位置Lpに届き、また一部が反射板52bで反射して照射位置Lpに届く。すなわち、第1照明部52は原稿搬送方向の上流側及び下流側の双方から、第1読取部79(照射位置Lp)を通過する原稿Dに向けて光を照射することとなる。なお、図4には、照射位置Lpに対して原稿搬送方向の上流側から照射される光L1と、下流側から照射される光L2とをそれらの進行方向を示す矢印として描画している。
続いて、第1照明部52の照射光全体の強度に対して原稿搬送方向の上流側から照射される光L1の強度の割合を規定した場合の作用について説明する。この作用に関して、原稿Dの搬送方向下流端の周縁部における原稿幅方向に延びる影の有無と、原稿Dの表面に別の紙等が貼付された貼付部における影の有無とを評価し、その結果を表1に示した。
原稿Dの搬送方向下流端の周縁部における原稿幅方向に延びる影の有無の評価基準については、例えばイメージセンサー56bが読み取った画像データを256階調に区分し、白の階調から黒方向に25階調以上ずれた影の発生を「◎」とした。この場合、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能な明瞭な影が発生していると言える。また、「◎」に相当する明瞭な影が発生するが、実用上問題がないレベルで原稿Dの表面の白い箇所が黒っぽくなる現象が生じる場合を「○」とした。そして、原稿Dの搬送方向下流端の周縁部に明瞭な影が発生しない場合を「×」とした。
原稿Dの表面に別の紙等が貼付された貼付部における影の有無の評価基準については、貼付部における影の発生を抑制できた場合を「○」とし、影の発生を抑制できなかった場合を「×」とした。
表1によれば、第1照明部52の照射光全体の強度に対して原稿搬送方向の上流側から照射される光L1の強度の割合を40%以上にすれば、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能な原稿幅方向に延びる明瞭な影が原稿Dの搬送方向下流端の周縁部に発生することが確認できた。さらに、好ましくは光L1の強度の割合を50%以上にすれば良いことが分かった。一方、原稿Dの表面に別の紙等が貼付された貼付部における影の発生を抑制するためには光L1の強度の割合を40%以上70%以下にすることが好ましいことが確認できた。
このような評価に基づき、画像形成装置40は、第1照明部52が原稿搬送方向の上流側から原稿Dに照射する光L1の強度の割合が照射光全体の強度に対して40%以上70%以下となるよう構成される。
画像読取装置40は上記構成の第1照明部52を用いて、第1読取部79の箇所を搬送される原稿Dの画像を読み取る画像読取動作を実現する。このとき、読取制御部58は撮像部56のイメージセンサー56bからの情報に基づき原稿背景板79aの原稿Dの搬送方向下流端の周縁部に対応する領域で発生した原稿幅方向に延びる影から原稿Dの原稿幅方向に延びるエッジを検出する。さらに、読取制御部58は検出した原稿Dのエッジを利用し、原稿Dの傾きを正確に補正する。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の画像読取装置について、図5を用いて説明する。図5は画像読取装置の撮像部の斜視図である。なお、この実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
第2実施形態の画像読取装置40は、図5に示すように光走査ユニット50が撮像部56に対する遮光部材57を備える。
遮光部材57は原稿Dの読取面からの反射光の進行方向(図5の矢印X方向)に関してレンズ56aの上流部を覆うものと、レンズ56aの下流部からイメージセンサー56b全体までの領域を覆うものとの2箇所に設けられる。遮光部材57は原稿Dの読取面からの反射光以外の光がイメージセンサー56bに到達することを抑制する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態の画像読取装置について、図6を用いて説明する。図6は画像読取装置の垂直断面正面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
第3実施形態の画像読取装置40は、図6に示す光走査ユニット50を備える。
光走査ユニット50の撮像部56は、原稿搬送ユニット70を用いて原稿Dを搬送させて第1読取部79において原稿Dの画像を読み取る場合の第1照明部52による光の照射位置Lp(第1読取部79、図4参照)に対して原稿搬送方向の下流側に設けられる。そして、撮像部56は、撮像部56への原稿Dの読取面からの反射光の入射方向が第1読取部79における原稿搬送方向の下流側から上流側に向かう方向に沿うよう配置される。
すなわち、図6において、第1読取部79の左方から右方へと搬送される原稿搬送方向に関して、撮像部56は光の照射位置Lp(第1読取部79)よりも右方に設けられ、撮像部56は原稿Dの読取面からの反射光が右方から左方に向かって入射する向きで配置される。これにより、撮像部56のレンズ56aの光の入射面が第1照明部52による光の照射位置Lpの方向を向いていない。したがって、原稿Dの読取面からの反射光以外の光がイメージセンサー56bに到達することが抑制される。
上記の実施形態のように、画像読取装置40は、所定の照射位置Lp(第1読取部79)において原稿Dに向けて光を照射する第1照明部52と、照射位置Lpに設けられて原稿Dを隔てて第1照明部52と対向する原稿背景板79aと、第1照明部52から照射されて原稿Dの一面及び原稿背景板79aの表面で反射された反射光を受光する撮像部56と、原稿Dを搬送して第1照明部52対して原稿Dを相対的に移動させるための搬送駆動部73と、前記反射光を受光した撮像部56からの情報に基づき原稿背景板79aの原稿Dの搬送方向下流端の周縁部に対応する領域で発生した影から原稿Dのエッジを検出するための読取制御部58とを備える。第1照明部52は、照射位置Lpにおける原稿搬送方向の上流側及び下流側の双方から原稿Dに向けて光を照射し、原稿搬送方向の上流側から原稿Dに照射する光L1の強度の割合が照射光全体の強度に対して40%以上70%以下である。
この構成によると、表1を用いて説明した評価のように、原稿Dの表面に別の紙等が貼付された貼付部に起因する不要な影の発生を抑制することができ、原稿Dの搬送方向下流端の周縁部において原稿幅方向に延びる明瞭な影のみを発生させることが可能である。したがって、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能になり、原稿Dの傾きを正確に補正することができる。
また、画像読取装置40は、照射位置Lpの原稿搬送方向の上流側に設けられて、第1照明部52による光の照射方向に関して照射位置Lpにおける原稿Dと原稿背景板79aとの間に隙間を設けるためのガイド部85を備える。
この構成によると、照射位置Lpにおいて原稿Dと原稿背景板79aとの間に所定量の隙間が設けられるので、原稿背景板79aの原稿Dの周縁部に対応する領域で明瞭な原稿Dの影を発生させ易くすることができる。
また、第1照明部52はLEDから成る光源52aを有する。
この構成によると、光源52aが指向性を有することとなる。したがって、所定の照射位置Lpの原稿Dに照射光が集中し易くなり、他の箇所に向かう光の発生を抑制することができる。これにより、照射位置Lpで原稿Dに照射される光の強度が比較的高くなり、明瞭な原稿Dの影を発生させ易くすることが可能である。
また、第2実施形態では、画像読取装置40が撮像部56の周囲に設けられた遮光部材57を備える。
この構成によると、原稿Dの読取面からの反射光以外の光がイメージセンサー56bに到達することを抑制することができる。これにより、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能になる。
また、第3実施形態では、撮像部56が、照射位置Lpに対して原稿搬送方向の下流側に設けられるとともに撮像部56への光の入射方向が原稿搬送方向の下流側から上流側に向かう方向に沿うよう配置される。
この構成によると、撮像部56のレンズ56aの光の入射面が第1照明部52による光の照射位置Lpの方向を向かないようにすることができる。したがって、原稿Dの読取面からの反射光以外の光がイメージセンサー56bに到達することが抑制することができる。これにより、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能になる。
また、第1照明部52は、照射位置Lpにおける原稿搬送方向の上流側及び下流側の双方から原稿Dに向けて光を照射し、原稿搬送方向の上流側から原稿Dに照射する光L1の強度の割合が照射光全体の強度に対して50%以上であることが好ましい。
この構成によると、表1を用いて説明した評価のように、原稿Dの搬送方向下流端の周縁部において原稿幅方向に延びる明瞭な影のみを発生させることができ、さらに原稿Dの表面の白い箇所が黒っぽくなる現象の発生を抑制することが可能になる。したがって、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能になることに加えて、読み取った画像の品質の向上を図ることができる。
さらに実施形態では、上記構成の画像読取装置40を画像形成装置1に設けた。
この構成によると、画像形成装置1において、原稿Dのエッジを適正に判別することが可能になり、原稿Dの傾きを正確に補正することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、上記実施形態において原稿搬送方向(副走査方向)に沿って並べて配置された光源52a及び反射板52bは互いの配置箇所を入れ替えても良い。
また、上記実施形態では画像形成装置1が中間転写ベルト11を用いてトナー像を用紙Pに転写するカラー印刷用の画像形成装置であるが、このような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを用いない画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であっても構わない。