JP5659884B2 - 貼り合せ装置 - Google Patents
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Description
これまで用いられてきた貼り合せ装置(特許文献1における真空積層装置)においては、能動素子、受動素子を搭載して表面に凹凸の生じた基板(被貼り合せ部材)(特許文献1における被積層材)に樹脂フィルム(貼り合せ部材)(特許文献1における積層材)を貼り合せるにあたって、伸縮性、可撓性、弾性および耐熱性を有するダイアフラムと呼ばれる膜(シート)を空気の圧力で膨張させ、樹脂フィルムを基板に押し当てることで、樹脂フィルムを変形させて基板の表面の凹凸に追従させていた。
しかし、ダイアフラムを用いた貼り合せ装置では、ダイアフラムは被貼り合せ部材の全体を覆うように押し当てられるので、取り扱うことができる被貼り合せ部材の凹凸の大きさは、ダイアフラムの凹凸への追随性によって制限されていた。
なお、特許文献1では、積層材とダイアフラムとの間に弾性体を設けているが、弾性体はダイアフラムの凹凸追従性を改善するに過ぎず、被貼り合せ部材の凹凸の大きさには依然制限があった。
また、ダイアフラムを用いた貼り合せ装置では、凹凸のある部材(基体)を被貼り合せ部材とし、能動素子、受動素子を搭載した基板を貼り合せ部材として接着剤を介して貼り合せる場合においても、同様に取り扱うことができる被貼り合せ部材の凹凸の大きさは、ダイアフラムの凹凸への追随性によって制限されていた。
そのため、本発明の第一の目的は、被貼り合せ部材の凹凸の大きさの影響を受けにくい貼り合せ装置等を提供することにある。
また、これまで用いられてきた貼り合せ装置は、ダイアフラムの内外を減圧・加圧制御することが必要であり、装置が高価になってしまうという問題点があった。
そのため、本発明の第二の目的は、凹凸を有する被貼り合せ部材に対する貼り合せ部材の貼り合せを、安価な装置を用いて行なえるようにすることにある。
さらにまた、加工対象物(被貼り合せ部材および貼り合せ部材)の加熱に関して、これまで用いられてきた貼り合せ装置では、加工対象物が減圧完了前に加熱されてしまい、気泡を巻き込んでしまう懸念がある。そのため、貼り合せを行なう温度や、貼り合せ部材の軟化温度および表面形状に制約があった。すなわち、これまで用いられてきた貼り合せ装置においては、所定の貼り合せ温度に加熱された平坦なステージ上に加工対象物を面接触させて載せるため、短時間に貼り合せ部材の温度が上昇し、減圧が完了する前に貼り合せ部材が軟化して被貼り合せ部材に密着してしまい、気泡を巻き込んでしまうという問題点があった。
そのため、本発明の第三の目的は、減圧中に加工対象物が加熱されるのを抑制するとともに、加圧時には加工対象物を速やかに加熱することができる貼り合せ装置等を提供することにある。
このような貼り合せ装置において、第1の部材は少なくとも1つの凹部を有し、第2の部材は凹部の底部に重ねられ、加圧部材の加圧面が凹部に入り込んで加圧することを特徴とすることができる。
また、このような貼り合せ装置において、保持部材、加圧部材、弾性体を収容する収容容器と、収容容器の内部を減圧する減圧手段とをさらに備えることを特徴とすることができる。
さらに、弾性体および他の弾性体は、連続気泡を有していることを特徴とすることができる。そして、弾性体および他の弾性体は、シリコーンスポンジであることを特徴とすることができる。
本実施の形態が適用される貼り合せ装置の説明にあたっては、被貼り合せ部材にはリフレクタ、接着フィルム、発光部品が搭載された基板等が対応し、貼り合せ部材を、基板上に搭載された発光部品を外気に対して封止する封止フィルムおよび水分の浸透を抑制するバリアフィルムが対応するとして説明する。なお、接着フィルムはリフレクタと発光部品が搭載された基板とを接着する部材である。あらかじめ、発光部品が搭載された基板を接着フィルムでリフレクタに貼り合せて被貼り合せ部材を形成した後に、被貼り合せ部材と貼り合せ部材とを貼り合せてもよいが、被貼り合せ部材の構成部材(リフレクタ、接着フィルム、発光部品が搭載された基板)および貼り合せ部材の構成部材(封止フィルム、バリアフィルム)を重ね合せた後、一括して貼り合せを行なってもよい。後者の方法は工程が短くなるので好ましい。本実施の形態では一括して貼り合せる場合について説明する。
すなわち、本実施の形態が適用される貼り合せ装置は、リフレクタ上に接着フィルム、発光部品が搭載された基板、封止フィルム、バリアフィルムが順に貼りあわされた照明装置を製造する。
なお、リフレクタは、発光部品からの光を予め定められた方向に集光する役割を有しているため、断面形状が凹状の長尺の部材である。そして、リフレクタの凹部の底部に発光部品が配置されている。リフレクタの底部に搭載された発光部品の高さより、リフレクタの凹状の底から両端部までの高さの方が大きい。
なお、本実施の形態が適用される貼り合せ装置は、本実施の形態で説明する照明装置に限らず、他の電子装置に適用することができる。また、被貼り合せ部材は、リフレクタのような大きな凹凸を有する部材に限らず、小さな凹凸を有する部材とすることもできる。例えば、太陽電池の製造において、セルの凹凸に追従して封止材を貼り合せる場合や、プリント配線板の製造において、導体回路の凹凸に追従してカバーレイを貼り合せる場合にも適用することができる。
図1は本実施の形態が適用される貼り合せ装置1の一例を示す図である。図1(a)は断面図、図1(b)は図1(a)のIB−IB線での断面図である。なお、図1(a)は図1(b)のIA−IA線での断面図である。
貼り合せ装置1は、上方に開いた底部71と、底部71の上方の開口部を覆う蓋部72とで構成された収容容器73を備えている。収容容器73は、例えば箱型であって、蓋部72側およびいずれの側面側から見た平面形状もそれぞれ長方形である。
収容容器73の底部71および蓋部72は、例えばステンレス鋼(SUS)などの金属で構成されている。そして、蓋部72と底部71とは、Oリング等の真空シール材74を介して接するとともに、図示しないトグルクランプなどによって、着脱可能に固定されている。
さらに、発熱体75上には、発熱体75に接するように、例えばアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属による支持体76が設けられている。支持体76は、発熱体75が発生した熱を受けて加熱されるが、熱伝導率が高いため、均一な温度分布が得られる。
本実施の形態において説明する加工対象物100は、照明装置10(後述する図2(a)、(b)および(c)参照)であって、前述したように被貼り合せ部材110と貼り合せ部材120とからなるものである。そして、被貼り合せ部材110は、リフレクタ34、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21により構成されている。ここで、リフレクタ34が反射部材に、接着フィルム33が接着用材に、発光素子パッケージ60が発光部品または電子部品に対応する。また、貼り合せ部材120は、封止フィルム31とバリアフィルム32とにより構成されている。ここで、封止フィルム31が封止用材に、バリアフィルム32が防湿用材に対応する。
よって、図1(b)では、被貼り合せ部材110の断面形状を、リフレクタ34を示す凹状の部分と接着フィルム33、基板21を示す長方形の部分とで表記し(部分の間を破線で示す)、貼り合せ部材120を封止フィルム31、バリアフィルム32を示す長方形で表記している。なお、図1(a)では、被貼り合せ部材110および貼り合せ部材120を表記していない。
保持部材81は、被貼り合せ部材110の凹部の外側を保持できるよう、上方に開いた凹部を有している。そして、凹部の底部が支持体76に接するようにして支持されている。さらに、保持部材81の凹部の底部には、後述する複数の第2の弾性体84をそれぞれが収容できるように複数の孔部81aが設けられている。
本実施の形態では、被貼り合せ部材110が電子部品の一例としての発光素子パッケージ60を搭載している。なお、貼り合せ部材120が電子部品を搭載していてもよい。
発熱体75がシリコーンラバーヒータである場合、保持部材81を例えば、室温〜200℃に加熱することができる。
さらに、貼り合せ装置1は、収容容器73内の支持体76に接するように設けられ、支持体76の温度を計測するための、例えば熱電対などの温度センサ77を備えている。なお、温度センサ77は、保持部材81に接するように設けられてもよい。
そして、加圧部材82の長さ(凸状の断面に直交する方向の長さ)は、保持部材81に対向できるように、保持部材81の長さと同様な長さになっている。すなわち、加圧部材82は、断面形状が凸状の長尺の部材であって、加工対象物100を介して、保持部材81と嵌合するようになっている。なお、加圧部材82の凸部の形状は、加工対象物100の形状、すなわち被貼り合せ部材110の凹部の形状および被貼り合せ部材110の凹部の底部に設けられる貼り合せ部材120の形状に合せて設定すればよい。ここでは加圧部材82の凸部の加圧面82aは平坦であるとして説明するが、貼り合せ部材120を被貼り合せ部材110に対して、良好に貼り合せられる形状とすればよい。よって、加圧面82aは、その断面が先端が尖った山型であっても、逆に凹んだ谷型であってもよく、円錐状など他の形状であってもよい。
接続棒78および駆動部材79は、例えばSUS等の金属で構成されている。
加圧部材82が移動する距離は、加圧部材82が保持部材81に近づく方向に移動し、保持部材81上に設置された加工対象物100を、加圧部材82によって加圧できる値に設定されている。
これにより、収容容器73を減圧した状態においても、加圧部材82を移動させて、加工対象物100を加圧することができる。
第1の弾性体83は、収容容器73を減圧したときに、第1の弾性体83の内部の空気も排除されるように、内部に設けられた気泡が連なるように連続した連続気泡を有するものが好ましい。第1の弾性体83に独立気泡を有するものを用いると、減圧時に膨張して減圧完了前に第1の弾性体83が加工対象物100を加圧したり、逆に、常圧に戻した際に収縮したりして、減圧前の第1の弾性体83の形状を保てなくなることがある。また、発熱体75からの熱により加熱されるので、加熱温度に耐える耐熱性を有することが好ましい。さらに、加圧部材82により加圧されたときに、被貼り合せ部材の凹凸に追従できる弾性を有することが好ましい。第1の弾性体83としては、シリコーンスポンジなどを用いることができる。連続気泡のシリコーンスポンジの例示としては、信越ファインテック社製のシリコフォーム(登録商標)が利用できる。
第2の弾性体84としては、第1の弾性体83と同様に、シリコーンスポンジなどを用いることができる。第1の弾性体83および第2の弾性体84の耐熱性については、上限温度として250℃あればよく、特に好ましくは210℃程度であれば良い。
さらに、本実施の形態では孔部81aを複数設けたが、1個でもよい。また、孔部81aの形状は長方形としたが、正方形、円形、楕円形でもよい。孔部81aの形状に合わせて第2の弾性体84の形状を設定すればよい。
なお、保持部材81上に加工対象物100を設置したときに、保持部材81と加工対象物100とが直接接触して、加工対象物100が加熱されてもよい場合には、第2の弾性体84を設けなくともよい。この場合は、孔部81aを設けなくともよい。
また、貼り合せ装置1は、電流を供給して発熱体75を発熱させる加熱部95を備えている。
さらに、貼り合せ装置1は、加圧部91、排気部94、加熱部95を制御する制御部90を備えている。すなわち、制御部90は、温度センサ77により支持体76の温度を計測し、加熱部95が発熱体75に供給する電流を制御して、支持体76の温度を予め定められた温度に設定する。また、排気部94を制御して、収容容器73内を減圧された状態にする。さらに、加圧部91を制御して、シリンダ92の長さを短くして、加圧部材82を保持部材81の方向に移動させ、加工対象物100を加圧し、被貼り合せ部材110に貼り合せ部材120を貼り合せる。このとき、加圧部材82の移動の速度、加圧の圧力、加圧時間を制御する。
また、制御部90は、排気部94を制御して、真空ポンプを停止して、収容容器73内を常圧に戻す。その後、加圧部91を制御して、シリンダ92の長さを長くして、加圧部材82を保持部材81から遠ざけて貼り合せを完了させる。
図2は本実施の形態における貼り合せ装置1により製造される加工対象物100の一例としての照明装置10を示す図である。図2(a)は、照明装置10を上面から見た平面図を示し、図2(b)は、図2(a)に示す照明装置10のIIB−IIB線での断面図を示し、図2(c)は、照明装置10のIIC−IIC線での断面図を示している。
照明装置10は、図2(a)、(b)に示すように、表面21aに配線22が設けられた平面形状が長方形の基板21と、基板21の配線22とリード部(後述する図3の発光素子パッケージ60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63)とが接続されるように実装された発光素子パッケージ60とを備えている。後述するように、それぞれの発光素子パッケージ60には、半導体発光素子(LED)である発光素子64が実装されている。そして、発光素子パッケージ60は基板21の長手方向に沿って配列されている。
さらに、照明装置10は、図2(b)、(c)に示すように、基板21の発光素子パッケージ60が実装された表面21a上を、発光素子パッケージ60を含めて覆うように設けられた封止フィルム31と、基板21の発光素子パッケージ60が設けられた表面21a上の封止フィルム31を覆うように設けられたバリアフィルム32とを備えている。
また、照明装置10は、図2(b)、(c)に示すように、基板21の裏面21bに接するように設けられた接着フィルム33と、接着フィルム33を介して基板21の裏面21bに接着するように設けられたリフレクタ34とを備えている。リフレクタ34は、放熱器としての機能も有しており、発光素子64から発生する熱を放熱できるようになっている。
一方、リフレクタ34は、基板21の長手方向においては、図2(a)に示すように、基板21の長手方向の長さよりやや長く設けられている。すなわち、リフレクタ34は基板21を内側に搭載できるようになっている。これにより、基板21はリフレクタ34および封止フィルム31とバリアフィルム32とで覆われ、基板21は外部に露出している部分がなく、高い防水性・耐湿性が得られる。
以下では、照明装置10の構成部材について詳細に説明する。
[基板21および配線22]
図2に示すように、基板21は、例えば表面21a側から見た平面形状が長方形の板状である。そして、基板21の表面21aには、複数の配線22が設けられている。
図2(a)に示すように、基板21の一方の表面21aには、複数(図2(a)では5個)の発光素子パッケージ60が、基板21の長手方向に沿って列状に設けられている。
そして、複数の配線22は、複数の発光素子パッケージ60を直列に接続するように、それぞれの発光素子パッケージ60のリード部(後述する図3の発光素子パッケージ60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63)を交互に接続するように設けられている。なお、基板21の長手方向の両端部の配線22は、発光素子パッケージ60のリード部(アノード用リード部62またはカソード用リード部63)と導線24−1、24−2とが接続されるように設けられている。
また、基板21の表面21a上には、基板21の表面21aおよび配線22の発光素子パッケージ60の端子が接続される部分を除いた表面に、絶縁性のソルダーレジスト25が設けられている。配線22の発光素子パッケージ60のリード部が接続される部分には、ソルダー(以下では、ハンダと表記する。)が設けられている。そして、配線22と発光素子パッケージ60のリード部(アノード用リード部62およびカソード用リード部63)とは、ハンダを加熱により溶融することで接続される。
その後、スクリーン印刷などにより、基板21の表面21a(配線22の表面を含む)に、配線22の発光素子パッケージ60の端子が接続される部分を除いて、ソルダーレジスト25が塗布される。その後、基板21をハンダが溶融されたハンダ槽と接触またはハンダ槽に浸漬することで、配線22上の発光素子パッケージ60のリード部が接続される部分(ソルダーレジスト25が設けられていない部分)にハンダが設けられる。
また、導線24−1、24−2には、銅板や複数の銅の細線を寄り合せた縒り線を用いることができる。導線24−1、24−2は防湿のため被覆されていることが好ましい。被覆の材料としては、貼り合せの際の温度に耐えられる必要があり、フッ素樹脂等が好適に用いられる。
さらに、基板21の表面21aおよび/または裏面21bには、発光素子パッケージ60の他に、IC、抵抗などの電子部品が設けられていてもよい。
図3は、発光素子64を備えた発光素子パッケージ60の構成の一例を説明するための図である。ここで、図3(a)は発光素子パッケージ60の上面図を、図3(b)は図3(a)に示した発光素子パッケージ60のIIIB−IIIB断面図を、それぞれ示している。
なお、アノード用リード部62およびカソード用リード部63をそれぞれ区別しないときはリード部と表記する。
また、照明装置10の製造工程において、ハンダリフローなどの温度がかかる工程が複数あるので、白色樹脂は、耐熱性も十分考慮された材質が選定されている。基材となる樹脂としてはPPA(polyphthalamide)が最も一般的であるが、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シンジオタクチックポリスチレンなどでもよい。
図2(a)、(b)では、アノード用リード部62およびカソード用リード部63のそれぞれの他の一部は、樹脂容器61の側面に張り出すように設けられている。なお、アノード用リード部62およびカソード用リード部63は、それぞれ樹脂容器61の裏側に折り曲げて樹脂容器61の底部にその先端が配設されてもよい。
なお、アノード用リード部62およびカソード用リード部63すなわちリードフレームは、0.1mm〜0.5mm程度の厚みをもつ金属板であり、銅合金等の金属導体をベースとし、その表面には銀メッキが施されることによって銀メッキ層が形成されている。
この発光素子64は、n型電極およびp型電極を有しており、ボンディングワイヤを介して、p型電極がアノード用リード部62に、n型電極がカソード用リード部63に、それぞれ接続されている。なお、発光素子パッケージ60では、図2(a)に示すように、発光素子64が、円形状を有する底面66のほぼ中央部に取り付けられている。
この発光素子パッケージ60においては、図3(b)に示すように、出射面65cの中央部が樹脂容器61の上面よりも凹んでおり、その凹み量dが上面から−20μm〜−100μmの範囲に設定されている。凹み量dは、樹脂容器61の開口端の高さと、出射面65cの最低高さとの差になる。なお、ここでは、樹脂容器61の開口端の高さを基準(0)としたとき、発光素子64に近づく側をマイナス(−)としている。したがって、凹み量dが上面から−20μm〜−100μmの範囲とは、樹脂容器61の開口端の高さを0μmとしたときに、出射面65cの最低高さが上面よりも20μm〜100μmの範囲で発光素子64側に位置していることを意味する。
また、照明装置10において、異なる色光を発光するものを組み合せて用いてもよい。
なお、植物工場の用途では、照明装置10の発光色は赤色光や青色光が好ましい。この場合は、これらの色を出射する発光素子64を用い、蛍光体粉体65aは用いない構成であることが好ましい。
さらに、図3(a)、(b)では、発光素子パッケージ60に1つの発光素子64が実装されている(1 in 1)としたが、1つの発光素子パッケージ60に同じ色光または異なる色光を発光する複数の発光素子64が設けられていてもよい(2 in 1など)。なお、1つの発光素子パッケージ60に複数の発光素子64を実装する場合には、アノード用リード部62およびカソード用リード部63の形状を変更するとともに、基板21の表面21a上の配線22の形状を変更することで対応できる。
アノード用リード部62を正極とし、カソード用リード部63を負極として発光素子64に電流を流すと、発光素子64は青色光を出力する。発光素子64から出力された青色光は、封止樹脂65内を進行し、直接あるいは底面66や壁面67で反射した後に出射面65cから外部に出射される。但し、出射面65cに向かう光の一部は、出射面65cで反射し、再び封止樹脂65内を進行する。この間、封止樹脂65内において、青色光の一部は蛍光体粉体65aによって緑色光および赤色光に変換され、変換された緑色光および赤色光は、直接あるいは底面66や壁面67で反射した後、青色光と共に出射面65cから外部に出射される。したがって、出射面65cからは、青色光、緑色光および赤色光を含む白色光が出射されることになる。
図4を参照しながら、図3に示す発光素子パッケージ60の製造方法について説明する。
まず、アノード用リード部62およびカソード用リード部63を一体化したリードフレームに、白色樹脂を射出成形して、凹部61aを有する樹脂容器61を形成する。次いで、樹脂容器61の凹部61aの底面66に露出するカソード用リード部63上に発光素子64を接着固定し、ボンディングワイヤによって発光素子64のp型電極、n型電極と、アノード用リード部62、カソード用リード部63とを、それぞれ接続する。
図2を参照して、封止フィルム31を説明する。
封止フィルム31は、基板21の表面21a側に設けられ、表面21aに配列された複数の発光素子パッケージ60を覆うように設けられている。なお、封止フィルム31は、基板21全体(表面21a側)を覆うように設けることが望ましい。
封止フィルム31は、発光素子パッケージ60上に設けられるため、発光素子パッケージ60が出射する光に対して高い透過率を有するとともに、熱によって軟化・溶融して流動性を示す熱可塑性の材料からなるフィルム、いわゆるホットメルトフィルムであることが望ましい。
封止フィルム31が熱可塑性であると、後述するようにバリアフィルム32と重ねられたのち、加熱状態で加圧されるため、基板21上の発光素子パッケージ60の凹凸に追従して、発光素子パッケージ60を覆うことができる。さらに、封止フィルム31は、熱によって軟化・溶融して流動する際、バリアフィルム32が凹凸を埋めるように変形し、バリアフィルム32の特性および貼り合せにおける条件(加熱、加圧など)を最適化することにより、発光素子パッケージ60の中央部が基板21に対して凸状に変形する。封止フィルム31の発光素子64の出射面65cに対向する部分が凸状となると、レンズとして働き、発光素子パッケージ60から出射する光を基板21の表面21aに直交する方向(前方)に集光することができる。また、発光素子パッケージ60の凹部61aでは、発光素子64からの出射光が出射面65cに対して鋭角に入射しやすいため、出射面65cで全反射して外部へ出射されない光が多くなる。しかし、封止フィルム31の発光素子64の出射面65cに対向する部分が凸状となると、出射面65cで全反射する光の比率を低減することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
なお、封止フィルム31に用いるエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)は、高温で形状を維持できるよう、架橋剤を配合して架橋構造とすることが好ましい。架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられる。特に、配合時の安定性を考慮に入れれば、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、一般にEVA樹脂100質量部に対して5質量部以下、好ましくは1質量部〜3質量部である。
また、封止フィルム31の厚さは、例えば0.2mm〜0.6mmとすることができる。
図2を参照して、バリアフィルム32を説明する。
バリアフィルム32は、基板21の表面21a側に設けられた封止フィルム31を覆うように配置される。
バリアフィルム32は、水分(水蒸気)が発光素子パッケージ60に浸透するのを防止する。発光素子64を構成する積層半導体層は、水分に弱く、水蒸気の浸透により光量などが低下し、寿命が短くなってしまう。
バリアフィルム32としては、発光素子パッケージ60が出射する光に対して高い透過率を有するとともに、水蒸気に対する透過性が低いものであればよい。例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)を用いることができる。シクロオレフィンポリマー(COP)は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の他のポリマーに比べきわめて吸水性が極めて小さい。よって、シクロオレフィンポリマー(COP)は水蒸気に対するバリアフィルム32として好適である。
シクロオレフィンポリマー(COP)は、ノルボルネン類、シクロテトラドデセン類、シクロペンテン類等の開環重合可能なシクロオレフィン系のモノマーの開環重合体、または、この開環重合体を水素添加した重合体である。耐候性および耐湿性(水蒸気バリア性)などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものの開環重合体またはその水素添加物が好ましい。
シクロオレフィンポリマー(COP)は、不飽和結合を有さないものが好ましく、必要に応じて水素添加を行ってもよい。水素添加を必要とする場合、その水素添加率は、炭素−炭素2重結合の全モル数に対し、水素添加されたもののモル数との割合で表され、その値は、通常95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上であるときに、耐候性および耐湿性(水蒸気バリア性)の点で好ましい。
このようなシクロオレフィンポリマーフィルムとしては、シクロオレフィンポリマー樹脂の市販品、例えば、日本ゼオン社製のZEONOR(登録商標)をフィルムにしたものが挙げられる。
シクロオレフィンポリマー(COP)のガラス転移温度Tgは貼り合せにおける加熱温度と大きく異ならないことが望ましい。ガラス転移温度Tgが貼り合せにおける加熱温度に対して低すぎると、ほぼ完全に発光素子パッケージ60の凹凸に追従してしまい、光の出射する出射面65cに対向する部分が、出射面65cに対して凸状に形成されなくなる。一方、ガラス転移温度Tgが真空ラミネートにおける加熱温度に対して高すぎると発光素子パッケージ60の凹凸に追従できなくなり、その隙間を封止フィルム31で埋めきれなくなって、空孔(ボイド)が生じてしまう。例えば、貼り合せにおける加熱温度が150℃の場合はガラス転移温度Tgが136℃のシクロオレフィンポリマー(COP)を用いることができる。
また、バリアフィルム32は、真空ラミネートにおける加熱温度において、発光素子パッケージ60が作る基板21の表面21a上の凹凸に追従できる柔軟性を有していることが望ましい。シクロオレフィンポリマー(COP)フィルムは、ポリカーボネート(PC)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に比べて、凹凸に対する追従性が優れており、この点でもシクロオレフィンポリマー(COP)は有利である。
バリアフィルム32の厚さは、例えば50μm〜200μmとすることができる。
また、バリアフィルム32としては、無延伸PETフィルム、無延伸PBTフィルム、無延伸ポリアミドフィルムやこれらをベースとした多層フィルム、またはこれらのフィルムにPVDCをコートしたフィルムを用いることができる。一方、これらのフィルムに無機バリア層、例えばシリカを蒸着したバリアフィルム32は好ましくない。これは、無機バリア層は凹凸追従性がないため、真空ラミネートにおいて、凹凸に対して追従させるようにバリアフィルム32を変形させる際、無機バリア層の役割が維持できなくなるためである。
図2を参照して、接着フィルム33を説明する。
接着フィルム33は、基板21の裏面21bにリフレクタ34を接着する。よって、基板21の裏面21bとリフレクタ34とを接着するものであればよい。
接着フィルム33は、熱可塑性フィルムであってもよく、熱硬化性フィルムであってもよい。
接着フィルム33としては、前述したエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)フィルムとすることができる。また、接着フィルム33および封止フィルム31を一括で貼り合せるのではなく、あらかじめ接着フィルム33で基板21とリフレクタ34とを接着する場合には、耐熱性・接着性に優れたエポキシ樹脂フィルムを用いることができる。接着フィルム33の厚さとしては、例えば50μm〜150μmとすることができる。
なお、使用前の接着フィルム33の両面には剥離紙が設けられていて、使用前に接着することを抑制している。剥離紙は、リフレクタ34と基板21の裏面21bとを接着する際に剥がされる。
リフレクタ34は放熱の機能も担っているため、接着フィルム33は熱伝導率が高い方が好ましい。接着フィルム33には、アルミナ等の絶縁性で且つ熱伝導率が高いフィラーが充填されているものも好適に使用することができる。
図2を参照して、リフレクタ34を説明する。
リフレクタ34は、発光素子パッケージ60から広角に出射される光を基板21の表面21aの前方に集光する役割を有する。発光素子パッケージ60から側方に出射された光はリフレクタ34の表面で反射し、前方へ集光される。このようにして、発光素子パッケージ60から出射される光の利用効率を向上させる。
そして、リフレクタ34としては、例えば幅55mm、長さ300mm、厚さ0.5mmの金属板36から構成することができる。図2(c)に示すように、例えば金属板36の短手方向の両端から20mmを角度120°で曲げ加工して用いることができる。なお、図2(c)に示すような直線的な曲げ加工の代わりに、発光素子パッケージ60に対して反対側に弧を描くような曲線を有していてもいい。
または、リフレクタ34としては、プラスティック板に、アルミニウムなどを蒸着して構成したものであってもよい。また、反射率を向上させるため、誘電体の膜を多層に設けて誘電体ミラーとしてもよい。
なお、リフレクタ34は高い反射率が必要なため、封止フィルム31やバリアフィルム32で覆われていないことが好ましい。
図5は、貼り合せ装置1による貼り合せ方法の一例を説明するフローチャートである。
照明装置10は、貼り合せ装置1の収容容器73内の保持部材81上に、被貼り合せ部材110と、被貼り合せ部材110上に貼り合せ部材120とを設置する設置工程(ステップ101)、収容容器73の内部を減圧する減圧工程(ステップ102)、加圧部材82を加工対象物100に対して加圧する加圧工程(ステップ103)からなる。なお、これらの工程の後に、収容容器73の内部を常圧に戻す常圧復帰工程、加圧部材82による加工対象物100への加圧を停止する除圧工程が続くがこれらは省略する。
図6は、加工対象物100が照明装置10であるとした場合に、図5に示した設置工程(ステップ101)および加圧工程(ステップ103)を説明する断面図である。図6(a)は設置工程(ステップ101)を、図6(b)は加圧工程(ステップ103)を示し、それぞれ保持部材81および加圧部材82を中心とした部分を拡大して示している。
以下では、図1、図6を参照しつつ、図5の貼り合せ方法を説明する。
なお、基板21の表面21aには、複数の発光素子パッケージ60が既に搭載されているとし、基板21への発光素子パッケージ60の搭載工程の説明を省略する。
図1に示した常圧状態の収容容器73において、蓋部72を外して、図6(a)に示すように、底部71側に設けられた保持部材81の上に、被貼り合せ部材110としてのリフレクタ34、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21と、貼り合せ部材120としての封止フィルム31、バリアフィルム32とをこの順に積層する。ここでは、保持部材81の上に、リフレクタ34、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21、封止フィルム31、バリアフィルム32が設置された状態であるので、封止フィルム31、バリアフィルム32は、発光素子パッケージ60の表面形状(凹凸)に追従した形状になっていない。
なお、ここでは、第1の弾性体83を加圧部材82の加圧面82aに貼り付けて示しているが、第1の弾性体83をバリアフィルム32上に重ねて配置してもよい。
次に、収容容器73の底部71に蓋部72をトグルクランプなどで固定する。そして、制御部90を介して、排気部94を制御し、真空ポンプ等により、収容容器73の内部を減圧する。収容容器73の内部が減圧されるに伴い、積層されたリフレクタ34、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21、封止フィルム31、バリアフィルム32の間の空気を排気される。また、第1の弾性体83、第2の弾性体84は、空孔が連続して連なり通気性がよいことから、内部に含まれていた空気が排気される。
収容容器73を減圧する程度は、例えば、リフレクタ34、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21、封止フィルム31、バリアフィルム32のそれぞれの間に気泡が残らない程度としてもよい。
減圧中は、第2の弾性体84によりリフレクタ34が保持部材81から浮いた位置に保持されるため、リフレクタ34やその上に積層された接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21、封止フィルム31、バリアフィルム32は保持部材81より低い温度に抑えられ、減圧完了前に封止フィルム31が軟化して基板21と密着するのを抑制する。
次に、制御部90を介して、加圧部91により圧縮空気をシリンダ92に供給して、シリンダ92内のピストンを動かし、シリンダ92の長さを短くする。
すると、シリンダ92に接続された駆動部材79が蓋部72に近づく方向に動く。これにより、加圧部材82が、保持部材81に嵌合して、積層されたリフレクタ34、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21、封止フィルム31、バリアフィルム32が加圧される。
このとき、第2の弾性体84の体積が収縮し、リフレクタ34が保持部材81に接して加熱される。
これにより、接着フィルム33、発光素子パッケージ60が搭載された基板21、封止フィルム31、バリアフィルム32の温度が上昇し、接着フィルム33によりリフレクタ34と発光素子パッケージ60が搭載された基板21とが接着される。また、封止フィルム31が溶融温度に達し、溶融して流動を始める。すると、図6(b)に示すように、第1の弾性体83が変形し、封止フィルム31が発光素子パッケージ60を搭載した基板21の凹凸を埋めるように加圧する。
また、バリアフィルム32は、封止フィルム31の溶融温度では溶融しないので、封止フィルム31を包み込んで、封止フィルム31がリフレクタ34の表面に流れださないように抑制する。
なお、加圧した状態が解除されると、第1の弾性体83および第2の弾性体84は、それぞれの弾性力により、元の形状に戻る。
このようにして、図2に示した照明装置10が製造される。
なお、リフレクタ34に発光素子パッケージ60を搭載した基板21を貼り合せ(第1段の貼り合せ)た後、発光素子パッケージ60が搭載された基板21上に封止フィルム31、バリアフィルム32を貼り合せ(第2段の貼り合せ)てもよい。第1段および第2段の貼り合せは、ともに本実施の形態が適用される貼り合せ装置1を使用して行うことができる。
さらに、本実施の形態では、発光素子パッケージ60を搭載した基板21を接着する前にリフレクタ34になる金属板を曲げ加工できる。この曲げ加工は、発光素子パッケージ60を搭載した基板21を接着した後の曲げ加工に比べ、きわめて容易である。よって、本実施の形態で示した貼り合せ方法によれば、照明装置10の製造がより容易になり、基板21の損傷も抑制できて、歩留まりも向上する。
Claims (5)
- 表面に凹凸を有する第1の部材と、第2の部材とを貼り合せる貼り合せ装置であって、
前記第1の部材と、当該第1の部材の一方の表面の一部に重ねられた前記第2の部材とを、当該第1の部材側から保持する保持部材と、
前記第1の部材および前記第2の部材を介して前記保持部材に対向して設けられ、当該第2の部材に対応する加圧面を有する加圧部材と、
前記加圧部材の前記加圧面と前記第2の部材との間に設けられた、通気性を有する弾性体と、
前記第1の部材および前記第2の部材を加熱する加熱手段と、
前記加圧部材の前記加圧面を、前記弾性体を介して、前記第2の部材側から前記保持部材に向けて加圧する加圧手段と、を備え、
前記保持部材は、前記加圧部材の前記加圧面と対向する部分に孔部を備え、当該孔部が当該保持部材より厚いとともに通気性を有する他の弾性体を備えていることを特徴とする貼り合せ装置。 - 前記第1の部材は少なくとも1つの凹部を有し、前記第2の部材は当該凹部の底部に重ねられ、前記加圧部材の前記加圧面が当該凹部に入り込んで加圧することを特徴とする請求項1に記載の貼り合せ装置。
- 前記保持部材、前記加圧部材、前記弾性体を収容する収容容器と、
前記収容容器の内部を減圧する減圧手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の貼り合せ装置。 - 前記弾性体および前記他の弾性体は、連続気泡を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貼り合せ装置。
- 前記弾性体および前記他の弾性体は、シリコーンスポンジであることを特徴とする請求項4に記載の貼り合せ装置。
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