JP7485005B1 - 接合体の製造方法、接合体、及び電気電子部品 - Google Patents

接合体の製造方法、接合体、及び電気電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】接合プロセス時間が短く、異種材が強固に接合し、かつ密着性に優れた接合体の製造方法、接合体、及び電気電子部品を提供する。【解決手段】支持基板と、素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順に配置して接合してなる接合体の製造方法であって、前記支持基板に前記素子材料を配置する工程1、前記支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に前記熱可塑性フィルムAを介して、前記樹脂Bを接合して、前記素子材料及び前記熱可塑性フィルムAを封止する工程2、を順次有する、接合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、異種材が強固に接合した接合体の製造方法、接合体、及び電気電子部品に関する。
近年、製品の軽量化及び高性能化等の観点より、自動車部品、医療機器、家電製品等、各種分野で部品のマルチマテリアル化が進んでいる。マルチマテリアル化とは、機能や材質の異なる材料(以下、異種材という)を併用することで材料の軽量化や高強度化を図る手法である。マルチマテリアル化の実現には、異種材を強固に接合する技術が不可欠である。
マルチマテリアル化を必要とする部品を用いた製品の一例として、半導体パッケージが挙げられる。半導体パッケージは、基材上に、リードフレーム、ICチップやワイヤ等の電気導通部品を備えており、上記電気導通部品は封止材により封止されている。特に、電子機器は、わずかな湿気や粉塵等によって不具合を起こすことも多く、封止部には高度な密着性が求められる。
例えば、封止材となる樹脂材料を用い、射出成形等のインサート成形により金属端子周辺を封止する技術が知られている。しかし、金属に対し、インサート成形によって樹脂材料を封止すると、隙間からリークするおそれがある。特に、金属端子等に対してその周囲を覆うように樹脂材料で封止する際には、より優れた耐リーク性が要求される。
金属端子等を樹脂材料で封止する手段として、例えば、金属端子に液状接着剤やワニス等を塗布した後インサート成形によって樹脂材料で封止する方法の検討が行われている。具体的には、電極体に現場重合型組成物を塗布して重合することでプライマー層を設けた後、封止部を形成する技術が知られている(特許文献1等)。また、カチオン型エポキシ樹脂系電着塗料を満たした浴槽中に外部端子を浸漬し、通電させることで端子接着層を設けた後、封止部材を形成する技術が知られている(特許文献2等)。
また、金属端子の表面を粗化した後インサート成形によって樹脂材料で封止する方法等の検討が行われている。具体的には、金属端子における封止樹脂との接合面を、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工、研削加工、バレル加工等の機械研磨や、化学研磨により表面層を研磨する技術が知られている(特許文献3等)。
特開2021-157887号公報 特開2020-88137号公報 特開2016-126989号公報
しかし、液状接着剤を塗布する技術では接着に時間が掛かる場合があり、ポットライフ(可使時間)や手間などの課題が生じやすい。また、塗布量の不足や不均一な塗布作業によって耐リーク性が損なわれたり、過剰な塗布量による汚染リスクが生じたりするなど、作業性に劣る場合がある。
また、液状の熱硬化性接着剤を用いる場合、金属端子が高温と低温に繰り返しさらされた際(冷熱サイクル時)に、金属端子と封止樹脂との線膨張係数の差により金属端子と封止樹脂とがずれ、接着層に応力がかかる。そして、接着層は応力を緩和できずに剥離することによりリークが起こりやすくなる。これは熱硬化性の接着層が、熱可塑性を持たず、塑性変形域に達すると速やかに破断が起きるためである。
また、金属端子の表面を粗化することにより、封止材との接着力が高まり得る一方で、金属端子の粗面と封止材との間に隙間が生じやすく、耐リーク性が不足することが懸念される。さらに、上記のような冷熱サイクル時に応力を緩和する層が無いため剥離しやすい。そのため封止材は、リードフレーム、ICチップやワイヤ等の異種材界面で強固に接着されるだけでなく、剥離し難いことによって、密着性に優れることが求められている。
そこで本発明は、接合プロセス時間が短く、異種材が強固に接合し、かつ密着性に優れた接合体の製造方法、接合体、及び電気電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、基材上の素子材料に所定のフィルムを配置した後、樹脂で当該素子材料及びフィルムを封止すること等により、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 支持基板と、素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順に配置して接合してなる接合体の製造方法であって、
上記支持基板に上記素子材料を配置する工程1、
上記支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に上記熱可塑性フィルムAを介して、上記樹脂Bを接合して、上記素子材料及び上記熱可塑性フィルムAを封止する工程2、
を順次有する、接合体の製造方法。
[2] 上記熱可塑性フィルムAが、上記素子材料に対して接着性を有する、上記[1]に記載の接合体の製造方法。
[3] 上記工程2において、
上記熱可塑性フィルムAを上記樹脂Bに接合させた後、
上記樹脂Bに接合した状態の熱可塑性フィルムAを、上記支持基板に配置した状態の素子材料に接面させ、上記熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、上記樹脂Bを接合して、上記素子材料と上記熱可塑性フィルムAとを封止する、上記[1]又は[2]に記載の接合体の製造方法。
[4] 上記工程2において、
上記熱可塑性フィルムAを、上記支持基板に配置した状態の素子材料に接合した後、
上記樹脂Bを上記熱可塑性フィルムAに接面させ、上記熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、上記樹脂Bを接合して、上記素子材料と上記熱可塑性フィルムAとを封止する、上記[1]又は[2]に記載の接合体の製造方法。
[5] 上記工程2において、
上記支持基板に配置した状態の素子材料と、上記熱可塑性フィルムAと、上記樹脂Bとを、この順で配置した状態で、上記熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、上記樹脂Bを接合して、上記素子材料と上記熱可塑性フィルムAとを封止する、上記[1]又は[2]に記載の接合体の製造方法。
[6] 上記工程2において、接合が、接触加熱、温風加熱、熱プレス、赤外線加熱、熱板溶着、超音波溶着、振動溶着及び高周波誘導溶着からなる群より選ばれる少なくとも1種によりなされる、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[7] 上記工程2において、接合部の温度が100~300℃で接合する、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[8] 上記熱可塑性フィルムAの厚さが、10μm以上3mm以下である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[9] 上記熱可塑性フィルムAが、非晶性熱可塑性樹脂を50質量%超含む、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[10]
上記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも何れかである、上記[9]に記載の接合体の製造方法。
[11] 上記熱可塑性フィルムAが、エポキシ当量1,600g/eq.以上もしくはエポキシ基を含まない熱可塑性樹脂である、上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[12] 上記素子材料が、金属である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[13] 上記樹脂Bが、熱硬化性樹脂である、上記[1]~[12]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法。
[14] 上記[1]~[13]のいずれか1つに記載の接合体の製造方法により得られる接合体を備える電気電子部品。
本発明によれば、接合プロセス時間が短く、異種材が強固に接合し、かつ密着性に優れた接合体の製造方法、接合体、及び電気電子部品を提供することができる。
接合体の実施形態の一例を模式的に示した概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「接合」とは、物と物とを繋合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。「接着」とは、テープや接着剤の様な有機材(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味する。「溶着」とは、熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、冷却することにより、分子拡散による絡み合いを生じさせて接合状態とすることを意味する。「接着性」とは、物と物とを繋合わせ得る接着強度を有する性質を意味する。「密着性」とは、物と物との間における密着強度を有する性質を意味する。「密着性」と「接着性」とは異なる性質を意味する。
本明細書において、「接合プロセス時間」とは、接合体を構成する素子材料とフィルムの接触時を始点、接合体の作製の完了時を終点として、始点から終点までの時間を意味する。
<接合体の製造方法>
本実施形態の接合体の製造方法は、
支持基板と、素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順に配置して接合してなる接合体の製造方法であって、
上記支持基板に上記素子材料を配置する工程1、
上記支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に上記熱可塑性フィルムAを介して、上記樹脂Bを接合して、上記素子材料と、上記熱可塑性フィルムAと、を封止する工程2、
を順次有することを特長とする。
支持基板上の素子材料と封止材である樹脂Bと間に熱可塑性フィルムAを設けることで、支持基板及び素子材料と樹脂Bとが強固に接合する。さらに、支持基板上の素子材料に熱可塑性フィルムAをそのまま接面させることができるので、液状接合剤等を塗布するよりも接合プロセスを短くする上で効果的な操作であるといえる。また、均一な厚さを有する熱可塑性フィルムAを用いることで、液状接合剤等を塗布する場合に比べて塗り残しやタレなどの不均一な部分が生じることがなくなり、異種材が強固に接合し、優れた密着性を発現することができる。
本発明の効果が得られるより詳細な理由について、次のとおり考察する。
支持基板上の素子材料と樹脂Bと間に、重合などの化学反応が完了した熱可塑性樹脂を設けることで、固体と液体の相変化を利用する速硬化が可能であり、接合プロセスを短くすることができる。また、熱可塑性樹脂をフィルム状で用いることにより、不定形の液状接合剤を塗布するのに比べて、液体を取り扱う煩雑さがなく、接合プロセス時間が短くなる。
また、熱可塑樹脂であれば、高温においても熱可塑性を持つため、応力を緩和することができ、冷熱サイクル時に1サイクルごとに応力をリセットでき、剥離を防止することができる。そのため、熱可塑性フィルムAを用いることで塑性変形をすることができ、かつ、効果的に応力を緩和することができるので、冷熱サイクル時に剥離しにくく密着性に優れる接合体とすることができる。また、接合体が高温にさらされる際に熱可塑性フィルムAが軟化することで、さらに効果的に応力を緩和することができるので、耐剥離性及び密着性に優れる。
さらに、好ましい実施形態の一例として、熱可塑性フィルムAとして非晶性の熱可塑性フィルムAを用いる場合、当該フィルムは加熱時に急激な低粘度化が起こりにくいので、接合体が高温にさらされた際に耐剥離性及密着性を維持するための形状を保つことができる。
[工程1]
工程1では、支持基板に素子材料を配置する。素子材料は、本発明の効果を阻害しない範囲で粘着剤を塗布した後、支持基板に配置して仮固定してもよい。上記粘着剤として、市販品を使用することができる。
〔支持基板〕
支持基板の形状としては、例えば、平板状が挙げられる。平板状の支持基板は、例えば、素子材料、熱可塑性フィルムA、及び樹脂B等が収まる程度の凹部を備えていてもよい。
支持基板の材質としては、接合体の用途に求められる物性等に応じて、適した材料を使用することができる。支持基板に適した材質の一例としては、後述する素子材料の材質と同一の材質が挙げられる。
〔素子材料〕
素子材料の材質としては、例えば、金属又は無機物が挙げられる。素子材料の材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐熱性や強度の観点から、素子材料は金属であることが好ましい。
素子材料の材質が樹脂である場合、当該樹脂の材質は、工程2における接合の際の温度で変形しない融点又はガラス転移点温度を有することが必要である。
金属は、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、チタン等が挙げられる。
なお、本実施形態において、「鉄」の語は、鉄及びその合金を含む意味で用いられる。鉄の合金としては、例えば、鋼、ステンレス等が挙げられる。同様に、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタンも、これらの単体及びその合金を含む意味で用いるものとする。
無機物は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、セラミック、カーボン成形体等が挙げられる。
ガラスとしては、例えば、一般的なガラスの他、耐熱ガラス、防火ガラス、耐火ガラス、スマートフォンの保護等に用いられる化学強化ガラス等であってもよい。具体的には、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。
セラミックスとしては、例えば、半導体、自動車、産業用機器等に用いられるファインセラミックス等が挙げられる。具体的には、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム等の酸化物系セラミックス;ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物系セラミックス;窒化ケイ素等の窒化物系セラミックス等が挙げられる。
素子材料の材質に用いる樹脂としては、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂の硬化物や、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン等の高耐熱性エンジニアリングプラスチックが挙げられる。
素子材料に適した前処理を施してもよい。前処理としては、表面を洗浄する前処理又は表面に凹凸を付ける前処理が好ましい。具体的には、素子材料がアルミニウム、セラミック、又は鉄からなる場合、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理、エッチング処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。素子材料がFRP、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド、又はポリブチレンテレフタレートからなる場合、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理及びコロナ放電処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの前処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
[工程2]
工程2では、支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に熱可塑性フィルムAを介して、樹脂Bを接合して、素子材料及び熱可塑性フィルムAを封止する。
ここで、上記「支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に」とは、素子材料が支持基板と接していない面の全部又は一部を意味する。
本実施形態に係る接合体の製造方法において、支持基板に配置した状態の素子材料、熱可塑性フィルムA、及び樹脂B、をこの順で接合する方法として、例えば、次のa法、b法、及びc法が挙げられる。
[a法]
a法は、熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接合させた後、樹脂Bに接合した状態の熱可塑性フィルムAを、支持基板に配置した状態の素子材料に接面させ、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、樹脂Bを接合して、素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止する方法である。
a法は、まず、a1工程として、事前に熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接合させる。例えば、金型の空洞内の壁面に熱可塑性フィルムAが設置されている状態において、当該空洞内に樹脂Bを射出することにより、熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接合させてもよい。
熱可塑性フィルムAと樹脂Bを予め接合することで、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを精度よく接合することができる。この時、熱可塑性フィルムAは、タック性を有していてもよい。
次に、a2工程として、樹脂Bに接合した状態の熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接面させ、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。
溶融した熱可塑性フィルムAに、支持基板に配置した状態の素子材料を押し付けて、熱可塑性フィルムAを当該素子材料に追従させてもよい。
熱可塑性フィルムAを溶融させることにより、少なくとも当該熱可塑性フィルムAに接する樹脂Bの接面部分が、熱可塑性フィルムAと共に溶融し、固化し得る。熱可塑性フィルムAは溶融後固化することで、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを接合することができる。その結果、樹脂Bは、支持基板に配置した状態の素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止することができる。
熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接面させて当該熱可塑性フィルムAを溶融させる際、高い接合力を得る観点から、熱可塑性フィルムA及び樹脂Bの少なくとも何れかの融点以上の温度で加熱して熱可塑性フィルムAを溶融させることが好ましい。熱可塑性フィルムA及び樹脂Bの少なくとも何れかの融点以上の温度で加熱することで、熱可塑性フィルムA及び樹脂Bが相溶化し、より強い接合力が得られ易い。
a法において、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる方法は、後述する《溶融及び固化》のとおりである。
[b法]
b法は、熱可塑性フィルムAを、支持基板に配置した状態の素子材料に接合した後、樹脂Bを熱可塑性フィルムAに接面させ、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、樹脂Bを接合して、素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止する方法である。
b法は、まず、b1工程として、事前に熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接合させる。例えば、熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接面させた状態で、当該熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接合させてもよい。
熱可塑性フィルムAと支持基板に配置した状態の素子材料を予め接合することで、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを精度よく接合することができる。この時、熱可塑性フィルムAは、タック性を有していてもよい。
次に、b2工程として、支持基板に配置した状態の素子材料に接合した熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接面させ、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。
溶融した熱可塑性フィルムAに樹脂Bを押し付けて、熱可塑性フィルムAを当該素子材料に追従させてもよい。
溶融した熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接面させることにより、少なくとも当該熱可塑性フィルムAに接する樹脂Bの接面部分が、熱可塑性フィルムAと共に溶融し、固化し得る。熱可塑性フィルムAは溶融後固化することで、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを接合することができる。その結果、樹脂Bは、支持基板に配置した状態の素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止することができる。
また、b2工程においてインサート成形法を適用することもできる。具体的な手法としては、まず金型の空洞内の壁面に、支持基板に配置した状態の素子材料と接合した熱可塑性フィルムAを設置する。この時、金型の空洞内の壁面と支持基板とが接している状態になるように設置する。次に、当該空洞内に樹脂Bを射出することにより、熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接面させ、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。当該手法によっても樹脂Bは、支持基板に配置した状態の素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止することができる。
熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接面させて熱可塑性フィルムAを溶融させる際、高い接合力を得る観点から、熱可塑性フィルムA及び樹脂Bの少なくとも何れかの融点以上の温度で加熱して熱可塑性フィルムAを溶融させることが好ましい。熱可塑性フィルムA及び樹脂Bの少なくとも何れかの融点以上の温度で加熱することで、熱可塑性フィルムA及び樹脂Bが相溶化し、より強い接合力が得られ易い。
b法において、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる方法は、後述する《溶融及び固化》のとおりである。
[c法]
c法は、支持基板に配置した状態の素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順で配置した状態で、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、樹脂Bを接合して、素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止する方法である。
c法は、まず、c1工程として、支持基板に配置した状態の素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順で配置して積層させた積層体とする。上記積層体は、支持基板に配置した状態の素子材料と熱可塑性フィルムA、熱可塑性フィルムAと樹脂Bの何れも、接合しておらずそれぞれ独立した部材を重ね合わせてなる。この時、熱可塑性フィルムAは、タック性を有していてもよい。
次に、c2工程として、上記積層体における熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。
溶融した熱可塑性フィルムAに、支持基板側から、あるいは樹脂B側から、あるいは支持基板側及び樹脂B側の両方から、熱可塑性フィルムA方向に力を加えて押し付けることで、熱可塑性フィルムAを素子材料に追従させてもよい。
熱可塑性フィルムAを溶融させることにより、少なくとも当該熱可塑性フィルムAに接する樹脂Bの接面部分が、熱可塑性フィルムAと共に溶融し、固化し得る。熱可塑性フィルムAは溶融後固化することで、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを接合することができる。その結果、樹脂Bは、支持基板に配置した状態の素子材料と熱可塑性フィルムAとを封止することができる。
積層体における熱可塑性フィルムAを溶融させる際、高い接合力を得る観点から、熱可塑性フィルムA及び樹脂Bの少なくとも何れかの融点以上の温度で加熱して熱可塑性フィルムAを溶融させることが好ましい。熱可塑性フィルムA及び樹脂Bの少なくとも何れかの融点以上の温度で加熱することで、熱可塑性フィルムA及び樹脂Bが相溶化し、より強い接合力が得られ易い。
c法において、熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる方法は、後述する《溶融及び固化》のとおりである。
[組み合わせ]
本実施形態に係る接合体の製造方法は、上述したa法におけるa1工程、b法におけるb1工程、及びc法におけるc1工程から選ばれる少なくとも2つの工程の組み合わせを有してもよい。
一例として、a1工程とb1工程との組み合わせが挙げられる。
具体的には、a1工程により熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接合させた接合体aと、b1工程により熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接合させた接合体bとを接合させる。接合体a及び接合体bは、それぞれに接合している熱可塑性フィルムAを向かい合わせて接面させ、両方の熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。この時、熱可塑性フィルムAを溶融させた状態で、接合体a側から、あるいは接合体b側から、あるいは接合体a側及び接合体b側の両方から、熱可塑性フィルムA方向に力を加えて押し付けることで、熱可塑性フィルムAを素子材料に追従してもよい。すなわち、a1工程とb1工程との組み合わせを有する接合体の製造方法は、2つの熱可塑性フィルムAを用いて、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを接合することができる。
また、別の一例として、a1工程とc1工程との組み合わせが挙げられる。
具体的には、c1工程において、樹脂Bの代わりに、a1工程により熱可塑性フィルムAを樹脂Bに接合させた接合体aを配置する。この時、接合体aに接合している熱可塑性フィルムAを、独立した別の熱可塑性フィルムAと向かい合わせる。すなわち、支持基板に配置した状態の素子材料と、熱可塑性フィルムAと、接合体aとを、この順で配置して積層させた積層体とする。次いで、当該積層体における両方の熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。この時、熱可塑性フィルムAを溶融させた状態で、接合体a側から、あるいは支持基板側から、あるいは接合体a側及び支持基板側の両方から、熱可塑性フィルムA方向に力を加えて押し付けることで、熱可塑性フィルムAを素子材料に追従してもよい。すなわち、a1工程とc1工程との組み合わせを有する接合体の製造方法は、2つの熱可塑性フィルムAを用いて、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを接合することができる。
また、別の一例として、b1工程とc1工程との組み合わせが挙げられる。
具体的には、c1工程において、支持基板に配置した状態の素子材料の代わりに、b1工程により熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接合させた接合体bを配置する。この時、接合体bに接合している熱可塑性フィルムAを、独立した別の熱可塑性フィルムAと向かい合わせる。すなわち、接合体bと、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順で配置して積層させた積層体とする。次いで、当該積層体における両方の熱可塑性フィルムAを溶融後固化させる。この時、熱可塑性フィルムAを溶融させた状態で、樹脂B側から、あるいは接合体b側から、あるいは樹脂B側及び接合体b側の両方から、熱可塑性フィルムA方向に力を加えて押し付けることで、熱可塑性フィルムAを素子材料に追従してもよい。すなわち、b1工程とc1工程との組み合わせを有する接合体の製造方法は、2つの熱可塑性フィルムAを用いて、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとを接合することができる。
《溶融及び固化》
工程2において、接合が、接触加熱、温風加熱、熱プレス、赤外線加熱、熱板溶着、超音波溶着、振動溶着及び高周波誘導溶着からなる群より選ばれる少なくとも1種により熱可塑性フィルムAを溶融させてなされることが好ましい。
中でも、製造容易性及び接合プロセス短縮の観点から、熱プレスもしくは高周波誘導溶着が好ましい。
熱可塑性フィルムAを加熱により溶融させる場合、支持基板に配置した状態の素子材料と熱可塑性フィルムAとの接合部の温度は、支持基板及び素子材料の材質の耐熱温度を勘案して定めればよいが、100~300℃が好ましく、120~250℃がより好ましく、150℃~220℃が更に好ましい。100~300℃で接合することにより、熱可塑性フィルムAが効率よく変形、溶融し接合面に有効に濡れ広がるため高い接合力が得られる。
溶融した熱可塑性フィルムAを固化させる方法としては、常温で放冷する方法又は冷却装置を用いて放冷する方法が挙げられる。なお、「常温」とは、5~30℃の範囲内の一般的な室温を意味する。中でも、製造容易性の観点から、常温で放冷する方法が好ましい。
なお、本明細書において、「固化」とは、常温で固体、即ち23℃の加圧のない状態下において流動性が無いことを意味する。
〔熱可塑性フィルムA〕
熱可塑性フィルムAは、熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。また、熱可塑性フィルムAは、素子材料に対して接着性を有することが好ましい。
本明細書において「主成分」とは、熱可塑性フィルムA中の樹脂成分のうちで最も含有量の高い成分を意味する。熱可塑性フィルムAは、樹脂成分を50質量%超含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。
また、上記「フィルム」とは、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を薄い膜状に成形したものを意味する。
《Y℃-X℃》
熱可塑性フィルムAに用いられる熱可塑性樹脂が融点を有する場合、熱可塑性フィルムAの融点をX℃とし、又は、熱可塑性フィルムAに用いられる熱可塑性樹脂に融点が存在しない場合、ガラス転移点温度に70℃を加えた温度をX℃とし、接合時の樹脂Bの樹脂温度をY℃とすると、Y℃からX℃を差し引いた値(Y℃-X℃)が、0~300℃であることが好ましく、50~250℃であることがより好ましく、100~250℃であることが更に好ましく、125~210℃であることがより更に好ましい。特に、樹脂Bが熱可塑性樹脂である場合、上記Y℃-X℃が0~300℃の範囲にあることは、熱可塑性フィルムAが樹脂Bと接合する際の加熱によって効率よく溶融し、接合面に有効に濡れ広がるため高い密着性が得られるので好ましい。
本明細書において、熱可塑性樹脂の融点とは、DSCで測定される融解ピーク温度を意味する。なお、融解ピークが得られない場合や、融解熱が15J/g以下である場合は、ガラス転移点温度に70℃を加えた温度を融点とみなす。ガラス転移点温度は、DSCで200℃まで昇温後、40℃以下に冷却し、さらに200℃まで加熱した2サイクル目のDSCカーブの降下開始時の温度を意味する。具体的には、実施例に記載の方法で測定される値である。
《非晶性熱可塑性樹脂》
熱可塑性フィルムAは、非晶性熱可塑性樹脂を50質量%超含むことが好ましい。
熱可塑性フィルムAに非晶性熱可塑性樹脂の特性を十分に付与する点から、非晶性熱可塑性樹脂の含有量は、熱可塑性フィルムA中の樹脂成分のうち、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
非晶性熱可塑性樹脂は、結晶を有さないか、有していても少量であり、その融解熱が15J/g以下の樹脂をいう。
融解熱は、DSC(示差走査熱量計)の吸熱ピークの面積と、熱可塑性樹脂成分の重量から算出する。無機充填剤等がフィルム中に含まれる場合には、無機充填剤は除いた、熱可塑性樹脂成分の重量から算出する。具体的には、試料を2~10mg秤量し、アルミ製パンに入れ、DSC(株式会社リガク製DSC8231)を用いて23℃から10℃/minで200℃以上まで昇温してDSCカーブを得、次いでそのDSCカーブから求めた融解時の吸熱ピークの面積と、上記秤量値から算出することができる。
非晶性熱可塑性樹脂の融解熱は、11J/g以下であることがより好ましく、7J/g以下であることが更に好ましく、4J/g以下であることがより更に好ましく、融解ピークが検出限界以下であることが特に好ましい。
融解熱が15J/g以下である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性フィルムAを用いることにより、加熱時に、従来のホットメルト接着剤で見られるような急激な粘度低下は起こらず、200℃を超える高温度領域においても低粘度(0.001~100Pa・s)状態には至らない。このため当該熱可塑性フィルムAは溶融した状態でも、支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂Bとの間から流れ出すことはなく、熱可塑性フィルムAの厚さが安定して確保でき、高い接合力を安定して得ることができる。
また、密閉性及び強靭性の観点から、非晶性熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも何れかであることが好ましい。
中でも、密閉性及び強靭性の観点から、熱可塑性フィルムAは、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも一方である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とすることがより好ましい。また、密閉性及び強靭性の観点から、熱可塑性フィルムAは、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも一方である非晶性熱可塑性樹脂であって、エポキシ当量が1,600以上であり、融解熱が15J/g以下の非晶性熱可塑性樹脂を主成分とすることがさらに好ましい。
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は、樹脂内の凝集力が低く、かつ水酸基を有し得るため、支持基板、素子材料及び樹脂Bとの相互作用が強く、従来の結晶性のホットメルト接着剤よりも高い接合力で異種材を接合することが期待できる。
中でも、保管性の観点から、上記熱可塑性フィルムAが、エポキシ当量1,600g/eq.以上もしくはエポキシ基を含まない熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記エポキシ当量は、2,000g/eq.以上であることがより好ましく、5,000g/eq.以上であることが更に好ましく、9,000g/eq.以上であることがより更に好ましく、検出限界以上であってエポキシ基が実質的に検出されないことが特に好ましい。なお、エポキシ当量が検出限界以上とは、後述のJIS K 7236:2001に基づきエポキシ当量を測定した際に、エポキシ基が検出されないことを意味する。
ここで言うエポキシ当量(エポキシ基1モルが含まれる上記熱可塑性樹脂の重量)は、接合前の熱可塑性フィルムAに含まれる熱可塑性樹脂のエポキシ当量の値であり、JIS-K7236:2001に規定された方法で測定された値(単位「g/eq.」)である。具体的には、電位差滴定装置を用い、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、0.1mol/L過塩素酸-酢酸溶液を用い、溶媒希釈品(樹脂ワニス)は、不揮発分から固形分換算値としての数値を算出した値である。なお、2種以上の樹脂の混合物の場合はそれぞれの含有量とエポキシ当量から算出することもできる。
《熱可塑性エポキシ樹脂》
熱可塑性エポキシ樹脂は、(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーと、(b)フェノール性水酸基、カルボキシ基、メルカプト基、イソシアナト基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体であることが好ましい。
かかる化合物を使用することにより、直鎖状のポリマーを形成する重合反応が優先的に進行して、所望の特性を具備する熱可塑性エポキシ樹脂を得ることが可能となる。
(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーとは、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーをいう。
(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーの具体例として、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2官能のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、2官能のナフタレン型エポキシ樹脂、2官能の脂環式エポキシ樹脂、2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂(例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ダイマー酸ジグリシジルエステルなど)、2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えばジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジンなど)、2官能の複素環式エポキシ樹脂、2官能のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂(例えばヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテルなど)、2官能のアルキレングリシジルエーテル系化合物(例えばブタンジオールジグリシジルエーテル、ブテンジオールジグリシジルエーテル、ブチンジオールジグリシジルエーテルなど)、2官能のグリシジル基含有ヒダントイン化合物(例えば1,3-ジグリシジル-5,5-ジアルキルヒダントイン、1-グリシジル-3-(グリシドキシアルキル)-5,5-ジアルキルヒダントインなど)、2官能のグリシジル基含有シロキサン(例えば1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、α,β-ビス(3-グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサンなど)及びそれらの変性物などが挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が、反応性及び作業性の点から好ましい。
(b)のフェノール水酸基を持つ2官能性化合物としては、例えばカテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどのベンゼン環を1個有する一核体芳香族ジヒドロキシ化合物類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)などのビスフェノール類、ジヒドロキシナフタレンなどの縮合環を有する化合物、ジアリルレゾルシン、ジアリルビスフェノールA、トリアリルジヒドロキシビフェニルなどのアリル基を導入した2官能フェノール化合物、ジブチルビスフェノールAなどが挙げられる。
(b)のカルボキシ基含有化合物の具体例としては、アジピン酸、コハク酸、マロン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸などが挙げられる。
(b)のメルカプト基を持つ2官能性化合物としては、例えば、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネートなどが挙げられる。
(b)のイソシアナト基含有の2官能性化合物の具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及びトリレンジイソシアネート(TDI)などが挙げられる。
(b)のシアネートエステル基含有の2官能性化合物の具体例としては、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、及びビス(4-シアナトフェニル)メタンなどが挙げられる。
上記(b)の2官能性化合物のなかでもフェノール水酸基を持つ2官能性化合物が熱可塑性の重合物を得る観点から好ましく、フェノール性水酸基を2つ持ち、ビスフェノール構造もしくはビフェニル構造を持つ2官能性化合物が耐熱性及び接合性の観点から好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSが耐熱性及びコストの観点から好ましい。
(a)がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂であり、(b)がビスフェノールA、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSである場合、当該(a)と(b)の重合により得られるポリマーは、パラフェニレン構造とエーテル結合を主骨格とし、それらをアルキレン基で連結した主鎖と、重付加により生成した水酸基が側鎖に配置された構造を有する。
パラフェニレン骨格からなる直鎖状の構造により、重合後のポリマーの機械的強度を高めることができるとともに、側鎖に配置された水酸基により、基材への密着性を向上させることができる。この結果、熱硬化性樹脂の作業性を維持しながら、高い接合強度を実現することができる。さらに、熱可塑性樹脂である場合は、熱で軟化・溶融させることによってリサイクル及びリペアが可能となり、熱硬化性樹脂における問題点であるリサイクル性及びリペア性を改善することができる。
《フェノキシ樹脂》
フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、熱可塑性を有する。フェノキシ樹脂の製造には、二価フェノール類とエピクロルヒドリンの直接反応による方法、二価フェノール類のジグリシジルエーテルと二価フェノール類の付加重合反応による方法が知られているが、本実施形態に用いられるフェノキシ樹脂はいずれの製法により得られるものであってもよい。二価フェノール類とエピクロルヒドリンの直接反応の場合は、二価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビフェニレンジオール、フルオレンジフェニル等のフェノール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げられる。中でも、コストや接合性、粘度、耐熱性の観点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSが好ましい。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂に類似の化学構造をもち、パラフェニレン構造とエーテル結合を主骨格とし、それらを連結した主鎖と、水酸基が側鎖に配置された構造を有する。
《熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の物性》
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は、GPC(ゲル・パーミエ―ション・クロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値である重量平均分子量が10,000~500,000であることが好ましく、18,000~300,000であることがより好ましく、20,000~200,000であることが更に好ましい。重量平均分子量はGPCによって検出される溶出ピーク位置から算出され、それぞれ標準ポリスチレン換算での分子量の値である。重量平均分子量がこの値の範囲であると熱可塑性と耐熱性のバランスが良く、効率よく溶融によって接合体が得られ、その耐熱性も高くなる。重量平均分子量が10,000以上であると耐熱性に優れ、500,000以下であると溶融時の粘度が低く、接合性が高くなる。
《熱可塑性フィルムA中における樹脂成分以外の成分》
必要に応じて、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、熱可塑性フィルムAは、樹脂成分以外の成分として、フィラーや添加剤を含有してもよい。
フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラー(樹脂粉体等)が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、球状溶融シリカ、鉄などの金属の金属粉、珪砂、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、酸性白土、珪藻土、カオリン、石英、酸化チタン、シリカ、フェノール樹脂マイクロバルーン、ガラスバルーン等が挙げられる。
熱可塑性フィルムAがフィラーを含有する場合、熱可塑性フィルムAの全量100体積%中におけるフィラーの含有量は、50体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましく、20体積%以下であることが更に好ましく、10体積%以下であることが最も好ましい。なお、フィラーの体積は、熱可塑性フィルムA中に含有されるフィラーの重量をフィラーの見かけ比重で除して求めることができる。
熱可塑性フィルムAの全量100体積%中における樹脂成分の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは30体積%以上、より更に好ましくは50体積%以上、一態様では80体積%以上、別の態様では90体積%以上、別の態様では99体積%以上である。
添加剤としては、例えば、消泡剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、顔料、粘着付与樹脂等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上含有していてもよい。
熱可塑性フィルムA中における添加剤の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
熱可塑性フィルムA中における樹脂成分の含有量は、好ましく10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、一態様では80質量%以上、別の態様では90質量%以上、別の態様では99質量%以上である。
《熱可塑性フィルムAの形態》
熱可塑性フィルムAは、シート状物である。
熱可塑性フィルムAの厚さは、好ましくは10μm以上3mm以下である。
短い接合プロセス時間で強固に接合した接合体を得る観点から、熱可塑性フィルムAの厚さは、より好ましくは1mm以下、更に好ましくは0.5mm以下、より更に好ましくは0.3mm以下、特に好ましくは0.2mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。また、密着性及び耐剥離性をより一層高める観点から、熱可塑性フィルムAの厚さは、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、より更に好ましくは40μm以上である。
熱可塑性フィルムAの厚さが上記数値範囲内であると、加熱等によって効率よく支持基板に配置した状態の素子材料との接合面に広がることができ、高い接合力及び密着性が得られる。
熱可塑性フィルムAは単層であってもよく複数層からなる積層体であってもよいが、製造容易性の観点及び接合力の向上の観点から、熱可塑性フィルムAは単層であることが好ましい。
また、熱可塑性フィルムAは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述したようにタック性があってもよい。タック性の付与は熱可塑性フィルムAを構成する熱可塑性樹脂に粘着付与樹脂を混合しても良く、粘着剤を熱可塑性フィルムAの表面に塗布しても良い。タック性の付与は片面でも両面でも良いが、片面であると支持基板に配置した状態の素子材料に接する面のみにタック性を持たることができ、外側に粘着面が露出しにくいためより好ましい。また、粘着剤の塗布面積は全面でも良く、縞状、ドット状、格子状、タイル状(複数の四角が隙間を有して並んだ形状)などの一部の塗布でもよい。塗布面積が少ないと粘着剤が熱可塑性フィルムAの端面から外側にはみ出して露出しにくく、密着性が落ちにくく好ましい。また、タック性の付与は滑り止めが出来るだけの微小なものであっても良い。すなわち、熱可塑性フィルムAを支持基板に配置した状態の素子材料に接面させた際に、当該熱可塑性フィルムAが支持基板に配置した状態の素子材料に貼りつかなくてもよく、せん断方向の力を加えた際に抵抗が大きくなる(滑りにくくなる)程度であっても良い。タック性が低い方が、接着力が大きくなりやすく、耐剥離性及び密着性に優れて好ましい。
《熱可塑性フィルムAの製造方法》
熱可塑性フィルムAの製造方法は特に限定されないが、例えば、2官能エポキシ化合物のモノマーもしくはオリゴマーを加熱して重合させることで樹脂組成物を得、得られた樹脂組成物に必要に応じて溶剤を加え、離型フィルム等に塗布し、硬化及び乾燥、必要に応じて加圧することにより熱可塑性フィルムAを得てもよい。また、重合反応は、離型フィルムに塗布後でも良く、溶剤を除去してフィルム形状が得られた後でも良く、また、それらを組み合わせても良い。
〔樹脂B〕
本実施形態において、樹脂Bは封止材として用いられる。
樹脂Bは、インサート成形できるものであれば特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び繊維強化プラスチック(FRP)からなる群から選択される1種からなることが好ましい。中でも、接合力やコスト、成形の容易性の観点から、樹脂Bは、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
ただし、樹脂Bは、熱可塑性フィルムAを構成する樹脂成分とは異なる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。これら熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂としては、例えば、2官能エポキシ樹脂、及び3官能以上の多官能エポキシ樹脂が挙げられる。2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂が挙げられる。3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。エポキシ樹脂としては、好ましくは2官能エポキシ樹脂が用いられ、より好ましくはビスフェノールF型エポキシ及びビスフェノールA型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上が用いられる。
エポキシ樹脂が用いられる場合、熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂用の硬化剤としてのフェノール樹脂を含む。フェノール樹脂としては、好ましくはノボラック型フェノール樹脂が用いられる。ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタンノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、及びノニルフェノールノボラック樹脂が挙げられる。これらフェノール樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、例えば、ポリオレフィン及びその酸変性物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、熱可塑性エポキシやそれらの繊維強化材等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等から選ばれる1種以上を使用することができる。耐熱性、接合力やコスト、成形の容易性等の観点から、ポリカーボネート、ガラス繊維強化ポリアミド、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリフェニレンサルファイドより選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
樹脂Bの成形温度(樹脂温度)は、100~400℃であることが好ましく、150~350℃であることがより好ましく、180~300℃であることが更に好ましい。100~400℃の範囲で成形することにより、熱可塑性フィルムAが加熱により効率よく変形及び溶融し、接合面に有効に濡れ広がるため高い接合力が得られる。
支持基板の材料及び素子材料の材質と樹脂Bとの組み合わせは特に限定されない。
本実施態様の接合体において、樹脂B(封止材)の厚さは特に制限はなく、接合力及び密着性に優れる範囲内で、用途に合わせ適宜設定することができる。
<接合体>
本実施形態の接合体の製造方法によって製造される接合体の一例を、図1を用いて説明する。
図1は、接合体の実施形態の一例を模式的に示した概略断面図である。図1における1-1~1-4のいずれも接合体の実施形態の一例である。
図1の1-1に示すように、接合体は、支持基板4に配置された状態の素子材料3が熱可塑性フィルムA2を介して樹脂B1によって封止されてなる。熱可塑性フィルムA2を介すことで、支持基板4に配置された状態の素子材料3と樹脂B1とは接合強度に優れ、かつ密着性に優れる。支持基板4に配置された状態の素子材料3と熱可塑性フィルムA2とは樹脂B1によって強固に封止されているので、当該樹脂B1は剥離し難く密着性に優れる。
また、図1の1-1に示すように、素子材料3が外気に晒されずに熱可塑性フィルムA2を介して樹脂Bによって封止されている限り、素子材料3、熱可塑性フィルムA2、及び樹脂Bは、支持基板4の凹部に在ってもよい。
また、図1の1-2に示すように、素子材料3が外気に晒されずに熱可塑性フィルムA2を介して樹脂Bによって封止されている限り、素子材料3、熱可塑性フィルムA2、及び樹脂Bは、平板状の支持基板4上に在ってもよい。
また、素子材料3が外気に晒されずに熱可塑性フィルムA2を介して樹脂Bによって封止されている限り、素子材料3の側面(厚み方向)の少なくとも一部又は全部は支持基板に接していてもよく(図1の1-1)、素子材料3の側面(厚み方向)の少なくとも一部又は全部は熱可塑性フィルムA2に接していてもよく(図1の1-2)、素子材料3の側面(厚み方向)の少なくとも一部又は全部は樹脂Bに接していてもよい(図1の1-3及び1-4)。
また、素子材料3が外気に晒されずに熱可塑性フィルムA2を介して樹脂Bによって封止されている限り、素子材料3が支持基板4と接していない面の全部が熱可塑性フィルムA2と接していてもよく(図1の1―2)、素子材料3が支持基板4と接していない面の一部が熱可塑性フィルムA2と接していてもよい(図1の1-3及び1-4)。なお、図1の1-3は、素子材料3が支持基板4と接している面(下側)とは反対側の面(上側)の全部が熱可塑性フィルムA2と接していることを示し、図1の1-4は、素子材料3が支持基板4と接している面(下側)とは反対側の面(上側)の一部が熱可塑性フィルムA2と接していることを示す。
本実施形態の接合体は、異種材の接合体でも、優れた接合強度を示す。接合強度は、熱可塑性フィルムAと支持基板に配置された状態の素子材料との間、及び熱可塑性フィルムAと樹脂Bとの間に働く界面相互作用の強さの他に、熱可塑性フィルムAの厚さ、熱可塑性フィルムAを構成するポリマーの分子量や化学構造、力学的特性、粘弾性的特性など数多くの因子に影響を受けるため、本実施形態の接合体が優れた接合強度及び密着性を示す機構の詳細は明らかではない。
また、接合体のより好ましい一実施形態は、熱可塑性フィルムAが、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも一方である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とすることである。当該より好ましい一実施形態がより優れた接合強度及び密着性を示す機構の詳細は明らかではないが、非晶性熱可塑性樹脂内の凝集力が低いことと、樹脂内に水酸基が存在する場合、熱可塑性フィルムAと支持基板に配置された状態の素子材料の界面、及び熱可塑性フィルムAと樹脂Bの界面で水素結合やファンデルワールス力などの化学結合や分子間力を形成することが主な要因であると推測される。
しかしながら、本実施形態の接合体において、熱可塑性フィルムAと支持基板に配置された状態の素子材料の界面、及び熱可塑性フィルムAと樹脂Bの界面の状態又は特性は、ナノメーターレベル以下のごく薄い化学構造であり、分析が困難である。そのため、上記界面の状態又は特性を特定することにより、熱可塑性フィルムAの使用によらないものと区別すべく表現することは、現時点の技術において、不可能又は非実際的である。
本実施形態の接合体は、支持基板に配置された状態の素子材料と樹脂Bとが強固に接合し、密着性に優れることから、当該特性を発揮することができる用途に好適に使用することができる。例えば、本実施形態の接合体を備える電気電子部品を提供することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<材料>
実施例及び比較例において以下の材料を使用した。
≪支持基板≫
・ガラス繊維エポキシ板(縦50mm×横50mm×厚み2mm)
≪素子材料≫
・銅(C1100(タフピッチ銅)縦18mm×横45mm×厚み1.5mm)
≪樹脂B≫
・PPS:ポリフェニレンスルフィド(DIC社製、FZ-1130-D5)
上記PPSを射出成形(樹脂温度:300℃、型温:140℃)して得られた射出成形体(縦45mm×横10mm×厚み3mm)を用いた。ただし、後述のa法の場合は、射出成形体ではなく上記PPSを用いた。
・エポキシ樹脂:(昭和電工マテリアルズ製のエポキシ系封止樹脂(CEL-420HFC))
上記エポキシ樹脂を圧縮成形(金型温度180℃、硬化加熱時間90秒)して厚さ3mmの板を成形し、その後、200℃のオーブンにて6時間加熱することで樹脂の硬化を完了し、それを切断して得られた圧縮成形体(縦45mm×横10mm×厚み3mm)を用いた。ただし、後述のa法の場合は、圧縮成形体ではなく上記エポキシ樹脂を用いた。
≪接合剤(熱可塑性フィルムA)≫
実施例1~8で製造した接合剤A1~A8。
≪接合剤(比較例用)≫
比較例1~5で製造した接合剤B1~B5。
<測定方法>
実施例及び比較例で用いた接合剤の物性を以下の方法により測定した。
(重量平均分子量)
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、Prominence 501(昭和サイエンス株式会社製、Detector:Shodex(登録商標) RI-501(昭和電工株式会社製))を用い、以下の条件で測定した。
カラム:昭和電工株式会社製LF-804×2本
カラム温度:40℃
試料:樹脂の0.4質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
較正法:標準ポリスチレンによる換算
(融解熱及び融点)
実施例及び比較例で用いた接合剤を2~10mg秤量し、アルミ製パンに入れ、DSC(株式会社リガク製 DSC8231)で23℃から10℃/minで200℃まで昇温し、DSCカーブを得た。そのDSCカーブの融解時の吸熱ピークの面積と上記秤量値から融解熱を算出した。また、得られたDSCカーブの融解ピーク温度を融点とした。なお、融解ピークが得られない、もしくは15J/g以下である場合は、加熱により溶融する熱可塑性樹脂(非晶性樹脂)については、ガラス転移点に70℃を足した温度を融点とした。この領域では上記熱可塑性樹脂は溶融して流動性を持つ。ガラス転移点は、DSCで200℃まで昇温後、40℃以下に冷却し、さらに200℃まで加熱した2サイクル目のDSCカーブから測定した。なお、加熱により溶融しない熱硬化性樹脂については、融点は無しとした。
(エポキシ当量)
JIS K-7236:2001に準拠して測定し、樹脂固形分としての値に換算した。また、反応を伴わない単純混合物の場合はそれぞれのエポキシ当量と含有量から算出した。
<評価方法>
実施例及び比較例で得られた接合体を以下の方法により評価した。
(せん断接合力)
実施例及び比較例で得られた接合体を試験片として用い、ISO19095(ラップジョイント)に準じて23℃及び80℃雰囲気での引張りせん断接合強度試験を行い、せん断接合力(MPa)を測定した。
上記せん断接合力試験は、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-X plus」(株式会社島津製作所製)を用い、ロードセル10kN、引張速度10mm/minにて行った。
(密着性(シール性))
上記せん断接合力試験と同様の試験片を、冷熱サイクル試験機(エスペック製 TSA-71L)で-40℃と125℃の冷熱サイクル(各温度の保持時間15分)に投じ、1000サイクル後に試験片を観察し、以下の基準で密着性を評価した。
〇:試験片の接合面の外観に変化がなく、接合面に剥離が全く無い。
△:試験片の接合面の外観にわずかな変化が生じた。
×:試験片の接合面に剥離が生じた。
(接合プロセス時間)
接合プロセス時間は下記のように測定した。
接合体を構成する素子材料を配置した支持基板又は樹脂Bと接合剤との接触時を始点、接合体の作製の完了時を終点として、始点から終点までの時間を測定した。
<実施例1―1、1-2、及び1-3>
(固形接合剤A1の製造)
撹拌機、環流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量約10,000)1.0当量(203g)、ビスフェノールS1.0当量(12.5g)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分約20質量%の樹脂組成物P-1を得た。これから溶剤を除去して、固体を得た。プレス機の上板及び下板に非粘着フッ素樹脂フィルム(ニトフロン(登録商標)No.900UL、日東電工株式会社製)を設置し、下板の非粘着フッ素樹脂フィルム上に上記固体を配置した後、上記プレス機を160℃に加熱し、上記樹脂組成物P-1を2時間加熱圧縮して固形分100質量%の厚さ100μmのフィルム状の固形接合剤A1を得た。
重量平均分子量は約37,000であった。エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
得られた固形接合剤A1の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
実施例1―1、1-2、及び1-3は、上記固形接合剤A1を用いて2種の接合体(「PPS/Cu」及び「エポキシ樹脂/Cu」)をそれぞれ製造した。また、実施例1-1は下記(c法)、実施例1-2は下記(b法)、実施例1-3は下記(a法)をそれぞれ採用した。
(c法(1段階法))
支持基板の中央部分に素子材料を配置した。
次に、支持基板に配置した状態の素子材料上に上記固形接合剤A1(縦10mm×横15mm×厚み100μm)を設置して、その上に樹脂BとしてPPSの射出成形体を表面に固形接合剤A1が接面するようにして重ね合わせた。
次いで、高周波誘導溶着機(精電舎電子工業株式会社製、発振器UH-2.5K、プレスJIIP30S)を用いて高周波誘導により金属を発熱させ、加熱・加圧することにより、樹脂Bの射出成形体を接合して、素子材料及び固形接合剤A1を封止した。加圧力は110N(圧力2.2MPa)、発振周波数は900kHzとした。発振時間は10秒とした。このようにして、接合体(PPS/Cu)を作製した。
また、樹脂Bとしてエポキシ樹脂の圧縮成形体を用いて、上記PPSの射出成形体を用いた場合と同様に接合体(エポキシ樹脂/Cu)を作製した。
(b法(2段階法))
支持基板の中央部分に素子材料を配置した。
次に、支持基板に配置した状態の素子材料上に上記固形接合剤A1(縦10mm×横15mm×厚み100μm)を設置して、200℃に加熱したホットプレート上に置き、110Nで加圧を行い、接合剤A1を支持基板に配置した状態の素子材料と一体化した。これに樹脂BとしてPPSの射出成形体を載せ、c法(1段階法)と同様の条件で接合した。このようにして、接合体(PPS/Cu)を作製した。
また、樹脂Bとしてエポキシ樹脂の圧縮成形体を用いて、上記PPSの射出成形体を用いた場合と同様に接合体(エポキシ樹脂/Cu)を作製した。
(a法(フィルムインサート法))
支持基板の中央部分に素子材料を配置した。
予熱した金型(材質:HPM38、空洞の寸法:縦45mm×横18mm×高さ1.5mm)の空洞内に、上記固形接合剤A1(縦10mm×横15mm×厚み100μm)を設置して型閉じした。当該金型内に、樹脂BとしてPPSを射出成形することにより、接合剤A1を樹脂Bに接合させた。これを上記支持基板に配置した状態の素子材料に載せ、c法(1段階法)と同様の条件で接合した。このようにして、接合体(PPS/Cu)を作製した。
また、樹脂Bとしてエポキシ樹脂を用いて、上記PPSを用いた場合と同様に接合体(エポキシ樹脂/Cu)を作製した。
<実施例2>
(固形接合剤A2の製造)
撹拌機、環流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、フェノトート(登録商標)YP-50S(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、フェノキシ樹脂、重量平均分子量約50,000)20g、シクロヘキサノン80gを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温し、目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分20質量%の樹脂組成物P-2を得た。これから溶剤を除去して固形分100質量%のフィルム状の固形接合剤A2(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。重量平均分子量は50,000、エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
得られた固形接合剤A2の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A2を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<実施例3>
(固形接合剤A3の製造)
上記固形接合剤A2と結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を98対2の質量比で混合し、プレスし、カッティングすることで固形接合剤A3(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。重量平均分子量は36,000、エポキシ当量は9600g/eq、融解熱は2J/gであった。
得られた固形接合剤A3の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A3を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<実施例4>
(固形接合剤A4の製造)
上記固形接合剤A2と結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を94対6の質量比で混合したこと以外は固形接合剤A3と同様に固形接合剤A4(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。重量平均分子量は35,000、エポキシ当量は2100g/eq、融解熱は4J/gであった。
得られた固形接合剤A4の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A4を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<実施例5>
(固形接合剤A5の製造)
上記固形接合剤A2と結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を89対11の質量比で混合したこと以外は固形接合剤A3と同様に固形接合剤A5(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。重量平均分子量は33,000、エポキシ当量は1745g/eq、融解熱は11J/gであった。
得られた固形接合剤A5の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A5を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<実施例6>
(固形接合剤A6の製造)
撹拌機、環流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量約4060)1.0当量(203g)、ビスフェノールS(分子量250)0.6当量(12.5g)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分約20質量%の樹脂組成物P-3を得た。これから溶剤を除去して、固体を得た。プレス機の上板及び下板に非粘着フッ素樹脂フィルム(ニトフロン(登録商標)No.900UL、日東電工株式会社製)を設置し、下板の非粘着フッ素樹脂フィルム上に上記固体を配置した後、上記プレス機を160℃に加熱し、上記樹脂組成物P-3を2時間加熱圧縮して固形分100質量%の固形分100質量%のフィルム状の固形接合剤A6(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。重量平均分子量は約30,000、エポキシ当量は検出限界以上であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
得られた固形接合剤A6の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A6を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<実施例7>
(固形接合剤A7の製造)
非晶性のポリカーボネートフィルム(ユーピロン(登録商標)FE2000、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、厚さ100μm)を固形接合体A7(縦7mm×横10mm×厚み100μm)として用いた。DSCにおいて融解熱ピークは検出されなかった。
固形接合剤A7の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A7を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<実施例8>
(固形接合剤A8の製造)
固形接合剤として結晶性のポリアミド系ホットメルト接着剤フィルムNT-120(日本マタイ株式会社製、厚さ100μm)を固形接合体A8(縦7mm×横10mm×厚み100μm)として用いた。融解熱は60J/gであった。
固形接合剤A8の各物性の測定結果は、表1に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤A8を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表1に示すとおりである。
<比較例1>
(固形接合剤B1の製造)
熱硬化性液状エポキシ接着剤E-250(コニシ株式会社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂とアミン硬化剤の2液タイプ)の2液を混合し、離型フィルムに塗布し、100℃で1時間硬化させたあと、冷却し、離型フィルムから剥がして、フィルム状の固形接合剤B1(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。
固形接合剤B1の各物性の測定結果は、表2に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤B1を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表2に示すとおりである。
<比較例2>
(固形接合剤B2の製造)
結晶性エポキシ樹脂YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)を、圧力5MPaでプレスしてシートを得て、その後、カットして、フィルム状の固形接合剤B2(縦7mm×横10mm×厚み100μm)を得た。
固形接合剤B2の各物性の測定結果は、表2に示すとおりである。
(接合体の製造)
固形接合剤A1に代えて固形接合剤B2を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして接合体を製造した。
得られた接合体の評価結果は、表2に示すとおりである。
<比較例3>
(液状接合剤B3)
接合剤B3として、熱硬化性液状エポキシ接着剤E-250(コニシ株式会社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂とアミン硬化剤の2液タイプ)を用いた。
液体接合剤B3の各物性の測定結果は、表2に示すとおりである。
(接合体の製造)
液体接合剤B3の2液を混合し、支持基板に配置した状態の素子材料の表面に、縦7mm×横10mmの領域にわたって、当該2液の混合物を塗布した。上記塗布後1分以内に重ね合わせ領域が縦5mm×横10mmになるように、上記支持基板に配置した状態の素子材料と樹脂BとしてPPSの射出成形体とを貼り合わせた。その後、クリップにて固定した状態で100℃のオーブン内に1時間静置することで厚み0.1mmにて接合剤B3を硬化させた。その後、室温まで冷却した。このようにして、接合体(PPS/Cu)を作製した。
また、樹脂Bとしてエポキシ樹脂の圧縮成形体を用いて、上記PPSの射出成形体を用いた場合と同様に接合体(エポキシ樹脂/Cu)を作製した。
得られた接合体の評価結果は、表2に示すとおりである。
<比較例4>
(接合剤B4の製造)
フラスコに、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量約10,000)1.0当量(203g)、ビスフェノールS1.0当量(12.5g)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、常温で撹拌することで固形分約20質量%の液状樹脂組成物を得た。樹脂Bの射出成形体の上に上記液状樹脂組成物をバーコート塗布し、室温で30分乾燥させた後に、160℃のオーブンに2時間静置することで、縦7mm×横10mm×厚み100μmの固形の熱可塑性エポキシ樹脂重合物コーティング層を樹脂Bの射出成形体の表面上に形成した。当該コーティング層を接合剤B4とした。
接合剤B4の各物性の測定結果は、表2に示すとおりである。
(接合体の製造)
樹脂Bの射出成形体上のコーティング層と支持基板に配置した状態の素子材料とを重ね合わせたこと以外は実施例1-1と同様にして、接合体を作製した。
得られた接合体の評価結果は、表2に示すとおりである。
<比較例5>
(接合剤B5の製造)
撹拌機、環流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、フェノトート(登録商標)YP-50S(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、フェノキシ樹脂、重量平均分子量約50,000)20g、シクロヘキサノン80gを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温し、目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分20質量%の液状樹脂組成物を得た。支持基板に配置した状態の素子材料の上に、上記液状樹脂組成物をバーコート塗布し、70℃のオーブンに30分静置することで、縦7mm×横10mm×厚み100μmのフェノキシ樹脂コーティング層を支持基板に配置した状態の素子材料の表面上に形成した。当該コーティング層を接合剤B5とした。
接合剤B5の各物性の測定結果は、表2に示すとおりである。
(接合体の製造)
支持基板に配置した状態の素子材料上のコーティング層と樹脂Bの射出成形体とを重ね合わせたこと以外は実施例1-1と同様にして、接合体を作製した。
得られた接合体の評価結果は、表2に示すとおりである。
本実施形態の製造方法及び接合体は、例えば、パワーモジュールの封止部品や、半導体パッケージ等の電気電子部品の用途で用いられるが、特にこれら例示の用途に限定されるものではない。
1.樹脂B
2.熱可塑性フィルムA
3.素子材料
4.支持基板

Claims (11)

  1. 支持基板と、素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順に配置して接合してなる接合体の製造方法であって、
    前記熱可塑性フィルムAが、非晶性熱可塑性樹脂を50質量%超含み、
    前記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも何れかであり、エポキシ当量が1,600g/eq.以上であり、融解熱が15J/g以下であり、
    前記熱可塑性エポキシ樹脂が、(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーと(b)フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体であり(ただし、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルは除く)、
    前記フェノキシ樹脂が、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、
    前記支持基板に前記素子材料を配置する工程1、 前記支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に前記熱可塑性フィルムAを介して、前記樹脂Bを接合して、前記素子材料及び前記熱可塑性フィルムAを封止する工程2、を順次有する、接合体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性フィルムAが、前記素子材料に対して接着性を有する、請求項1に記載の接合体の製造方法。
  3. 前記工程2において、
    前記熱可塑性フィルムAを前記樹脂Bに接合させた後、
    前記樹脂Bに接合した状態の熱可塑性フィルムAを、前記支持基板に配置した状態の素子材料に接面させ、前記熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、前記樹脂Bを接合して、前記素子材料と前記熱可塑性フィルムAとを封止する、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  4. 前記工程2において、
    前記熱可塑性フィルムAを、前記支持基板に配置した状態の素子材料に接合した後、
    前記樹脂Bを前記熱可塑性フィルムAに接面させ、前記熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、前記樹脂Bを接合して、前記素子材料と前記熱可塑性フィルムAとを封止する、
    請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  5. 前記工程2において、
    前記支持基板に配置した状態の素子材料と、前記熱可塑性フィルムAと、前記樹脂Bとを、この順で配置した状態で、前記熱可塑性フィルムAを溶融後固化させることにより、前記樹脂Bを接合して、前記素子材料と前記熱可塑性フィルムAとを封止する、
    請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  6. 前記工程2において、接合が、接触加熱、温風加熱、熱プレス、赤外線加熱、熱板溶着、超音波溶着、振動溶着及び高周波誘導溶着からなる群より選ばれる少なくとも1種によりなされる、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  7. 前記工程2において、接合部の温度が100~300℃で接合する、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  8. 前記熱可塑性フィルムAの厚さが、10μm以上3mm以下である、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記素子材料が、金属である、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記樹脂Bが、熱硬化性樹脂である、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  11. 支持基板と、素子材料と、熱可塑性フィルムAと、樹脂Bとを、この順に配置して接合してなる接合体の製造方法であって、
    前記熱可塑性フィルムAが、非晶性熱可塑性樹脂を50質量%超含み、
    前記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも何れかであり、エポキシ当量が1,600g/eq.以上であり、融解熱が15J/g以下であり、
    前記熱可塑性エポキシ樹脂が、(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーと(b)フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体であり(ただし、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルは除く)、
    前記フェノキシ樹脂が、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、
    前記支持基板に前記素子材料を配置する工程1、
    前記支持基板に配置した状態の素子材料の少なくとも一部に前記熱可塑性フィルムAを介して、前記樹脂Bを接合して、前記素子材料及び前記熱可塑性フィルムAを封止する工程2、を順次有する、電子電機部品に用いられる接合体の製造方法。
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