JP5659560B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸発器の着霜時に除霜運転を行う冷凍サイクル装置に関する。
従来、特許文献1に、蒸発器に着いた霜を融解させて取り除く除霜運転を行う蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置が開示されている。この特許文献1の冷凍サイクル装置は、ヒートポンプ式給湯機に適用されており、圧縮機吐出冷媒と給湯水とを熱交換させる水−冷媒熱交換器、この水−冷媒熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させて蒸発器入口側へ流出させる可変絞り機構等を備えている。
そして、除霜運転を行う際には、水−冷媒熱交換器へ圧送される給湯水の流量を増減させて流体の流れを脈動させながら通常運転時よりも少なくするとともに、可変絞り機構の絞り通路の開度(以下、絞り開度という。)を段階的に増加させている。これにより、圧縮機吐出冷媒の有する熱量が水−冷媒熱交換器にて給湯水へ放熱されてしまうことを極力抑制して、圧縮機吐出冷媒の有する熱量を蒸発器の除霜に利用できるようにしている。
特許第3783711号公報
ところで、特許文献1のように、除霜運転を行う際に可変絞り機構の絞り通路開度を増加させる冷凍サイクル装置では、除霜運転の開始時に、圧縮機吐出口から可変絞り機構入口へ至るサイクルの高圧側の冷媒が、可変絞り機構出口から圧縮機吸入口へ至るサイクルの低圧側へ急激に流れ込んでしまうおそれがある。
そして、サイクルの高圧側の冷媒がサイクルの低圧側に急激に流れ込んでしまうと、除霜運転の開始時に蒸発器内に残存していた液相冷媒が、圧縮機吸入口側へ大量に流出して圧縮機が非圧縮性流体を圧縮してしまう、いわゆる液圧縮の問題が生じる。このような液圧縮は、圧縮機の耐久寿命に悪影響を与えるという点で問題となる。
その一方で、除霜運転時に圧縮機へ吸入される冷媒に過熱度を持たせてしまうと、サイクルを循環する冷媒の循環流量(質量流量)が低下してしまう。従って、除霜運転時に圧縮機の保護のために、圧縮機吸入冷媒の過熱度を持たせてしまうと、除霜時間が長時間化してしまうという点で問題となる。
本発明は、上記点に鑑み、可変絞り機構の絞り開度を増加させることによって蒸発器の除霜運転を行う冷凍サイクル装置において、除霜運転時における圧縮機の保護を図りつつ、短時間で除霜を完了させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(14)と、圧縮機(14)から吐出された高温高圧冷媒を放熱させる放熱器(15)と、放熱器(15)から流出した高圧冷媒を減圧させる絞り開度を変更可能に構成された可変絞り機構(18)と、可変絞り機構(18)にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(19)と、可変絞り機構(18)の作動を制御する可変絞り制御手段(21a)とを備え、
蒸発器(19)の出口側は気液分離器を介在することなく圧縮機(14)の吸入側に接続されており、
蒸発器(19)の着霜時に、絞り開度を増加させることによって、蒸発器(19)に着いた霜を取り除く除霜運転を行う冷凍サイクル装置であって、
さらに、圧縮機(14)吐出冷媒圧力(Pd)を検出する吐出圧力検出手段(25)と、圧縮機(14)吐出冷媒温度(Td)を検出する吐出温度検出手段(26)と、除霜運転時に、吐出圧力検出手段(25)によって検出された吐出冷媒圧力(Pd)、および吐出温度検出手段(26)によって検出された吐出冷媒温度(Td)のみを用いて、圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)を推定する乾き度推定手段(S65)とを備え、
可変絞り制御手段(21a)は、除霜運転時に、乾き度推定手段(S65)によって推定された乾き度(DR)が予め定めた基準乾き度範囲となるように、絞り開度を変化させることを特徴とする。
これによれば、後述する実施形態に説明するように、除霜運転時に吐出圧力検出手段(25)によって検出された吐出冷媒圧力(Pd)および吐出温度検出手段(26)によって検出された吐出冷媒温度(Td)のみを用いて、容易に圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)を推定することができる。
そして、除霜運転時に乾き度推定手段(S65)によって推定された圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)が予め定めた基準乾き度範囲となるように、可変絞り制御手段(21a)が可変絞り機構(18)の絞り開度を変化させるので、除霜運転時に液相冷媒が大量に圧縮機(14)に吸入されてしまうことを抑制でき、圧縮機(14)の液圧縮の問題を回避できる。
さらに、圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)が基準乾き度範囲となるので、圧縮機(14)吸入冷媒が過熱度を持ってしまうことを抑制できる。従って、サイクルを循環する冷媒の循環流量(質量流量)が不必要に低下してしまうことを抑制できる。その結果、除霜運転時における圧縮機(14)の保護を図りつつ、短時間で除霜を完了させることができる。
また、請求項2に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(14)と、圧縮機(14)から吐出された高温高圧冷媒を放熱させる放熱器(15)と、放熱器(15)から流出した高圧冷媒の流れを分岐する分岐部(16)と、分岐部(16)にて分岐された一方の冷媒を減圧させる絞り開度を変更可能に構成された可変ノズル部(17a)から噴射する噴射冷媒の吸引作用によって、冷媒吸引口(17b)から冷媒を吸引するエジェクタ(17)と、エジェクタ(17)から流出した冷媒を蒸発させる流出側蒸発器(19b)と、分岐部(16)にて分岐された他方の冷媒を減圧させる絞り開度を変更可能に構成された可変絞り機構(18)と、可変絞り機構(18)にて減圧された冷媒を蒸発させて冷媒吸引口(17b)側へ流出させる吸引側蒸発器(19c)と、可変ノズル部(17a)および可変絞り機構(18)のうち、少なくとも一方の作動を制御する可変絞り制御手段(21a)とを備え、
流出側蒸発器(19b)の出口側は気液分離器を介在することなく圧縮機(14)の吸入側に接続されており、
流出側蒸発器(19b)および吸引側蒸発器(19c)の着霜時に、可変ノズル部(17a)の絞り開度および可変絞り機構(18)の絞り開度のうち、少なくとも一方を増加させることによって、流出側蒸発器(19b)および吸引側蒸発器(19c)に着いた霜を取り除く除霜運転を行う冷凍サイクル装置であって、
さらに、圧縮機(14)吐出冷媒圧力(Pd)を検出する吐出圧力検出手段(25)と、圧縮機(14)吐出冷媒温度(Td)を検出する吐出温度検出手段(26)と、除霜運転時に吐出圧力検出手段(25)によって検出された吐出冷媒圧力(Pd)、および吐出温度検出手段(26)によって検出された吐出冷媒温度(Td)のみを用いて、圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)を推定する乾き度推定手段(S65)とを備え、
可変絞り制御手段(21a)は、除霜運転時に、乾き度推定手段(S65)によって推定された乾き度(DR)が予め定めた基準乾き度範囲となるように、可変ノズル部(17a)の絞り開度および可変絞り機構(18)の絞り開度のうち、少なくとも一方を変化させることを特徴とする。
これによれば、除霜運転時に乾き度推定手段(S65)によって推定された圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)が予め定めた基準乾き度範囲となるように、可変絞り制御手段(21a)が可変ノズル部(17a)の絞り開度および可変絞り機構(18)の絞り開度のうち、少なくとも一方を変化させるので、請求項1に記載の発明と同様に、除霜運転時における圧縮機(14)の保護を図りつつ、短時間で除霜を完了させることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態のヒートポンプ式給湯機の全体構成図である。 第1実施形態のヒートポンプ式給湯機の制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態のヒートポンプ式給湯機の制御処理の要部を示すフローチャートである。 第1実施形態のヒートポンプサイクルにおける除霜運転時の蒸発器出口冷媒の乾き度DR等の経時変化を示すタイムチャートである。 第2実施形態のヒートポンプ式給湯機の全体構成図である。
(第1実施形態)
図1〜3により、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態のヒートポンプ式給湯機100の全体構成図である。このヒートポンプ式給湯機100は、給湯水を貯留する貯湯タンク10、貯湯タンク10内の給湯水を循環させる水循環回路11、および給湯水を加熱するための冷凍サイクル装置であるヒートポンプサイクル13等を備えている。
まず、貯湯タンク10は、耐食性に優れた金属(例えば、ステンレス)で形成されており、その外周を断熱材で覆う等の手段による断熱構造を有し、高温の給湯水を長時間保温することができる温水タンクである。
貯湯タンク10に貯留された給湯水は、貯湯タンク10の上部に設けられた出湯口から出湯され、図示しない温調弁において水道からの冷水と混合されて温度調節された後、室内の台所や風呂等に給湯される。また、貯湯タンク10内の下部に設けられた給水口からは水道水が給水されるようになっている。
なお、温調弁は、後述するタンク側制御装置20から出力される制御信号によって、その作動が制御される。また、貯湯タンク10、出湯口および給水口に接続される給湯水配管等は、図1の破線で示すように、1つの筐体内に収容されてタンクユニット200として一体的に構成されている。
次に、水循環回路11には、給湯水を循環させる水圧送手段としての水循環ポンプ12が配置されている。水循環ポンプ12は、貯湯タンク10の下方側に設けられた給湯水出口10aから流出した給湯水を吸入して、後述するヒートポンプサイクル13の水−冷媒熱交換器15の水通路15aへ給湯水を圧送する電動式の水ポンプである。
具体的には、水循環ポンプ12は、電力を供給されることによって回転する電動モータ12a、および電動モータ12aから回転駆動力を得て給湯水を吸入して圧送するポンプ部12bを有して構成されている。このポンプ部12bとしては、羽根車(インペラ)を回転させることで給湯水に運動エネルギを与えるターボポンプが採用されている。もちろん、他の形式のポンプ機構を採用してもよい。
また、電動モータ12aとしては、後述するヒートポンプ側制御装置21から出力される制御電圧Vによって、その回転数が制御される直流モータが採用されている。そして、この回転数制御によって、水循環ポンプ12の水圧送能力が変更される。従って、電動モータ12aは水循環ポンプ12の水圧送能力調整手段を構成している。
そして、ヒートポンプ側制御装置21が水循環ポンプ12を作動させると、給湯水は、貯湯タンク10の下方側に設けられた給湯水出口10a→水循環ポンプ12→水−冷媒熱交換器15の水通路15a→貯湯タンク10の上方側の給湯水入口10bの順に循環する。
次に、ヒートポンプサイクル13について説明する。本実施形態のヒートポンプサイクル13は、高圧冷媒を減圧膨張させる減圧手段としてエジェクタ17が採用された、いわゆるエジェクタ式冷凍サイクルとして構成されている。
また、このヒートポンプサイクル13では、冷媒として二酸化炭素を採用しており、圧縮機14から吐出された高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には圧縮機14を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機14は、ヒートポンプサイクル13において冷媒を吸入し、臨界圧力以上となるまで圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構14aを電動モータ14bにて駆動する電動圧縮機である。固定容量型圧縮機構14aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。
電動モータ14bは、ヒートポンプ側制御装置21から出力される制御信号によって、その回転数が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、圧縮機14の冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態の電動モータ14bは、圧縮機14の吐出能力変更手段を構成している。
圧縮機14の冷媒吐出口には、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15b入口側が接続されている。水−冷媒熱交換器15は、給湯水が通過する水通路15aと圧縮機14から吐出された高温高圧冷媒が通過する冷媒通路15bとを有して構成される熱交換器であって、圧縮機14吐出冷媒の有する熱量を給湯水に放熱させる放熱器である。
この水−冷媒熱交換器15の具体的構成としては、二重管方式の熱交換器構成や、水通路15aと冷媒通路15bとを接触させた状態で隣接配置した熱交換器構成等を採用できる。なお、本実施形態のヒートポンプサイクル13では、前述の如く、超臨界冷凍サイクルを構成しているので、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bを通過する冷媒は、凝縮することなく超臨界状態のまま放熱する。
水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15b出口側には、冷媒通路15bから流出した冷媒の流れを分岐する分岐部16の冷媒流入口が接続されている。この分岐部16は、3つの冷媒流入出口を有する三方継手構造のもので、冷媒流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、2つを冷媒流出口としたものである。
分岐部16の一方の冷媒流出口には、エジェクタ17のノズル部17aの入口側が接続され、他方の冷媒流出口には、電気式膨張弁18の入口側が接続されている。エジェクタ17は、分岐部16にて分岐された一方の冷媒を減圧膨張させる冷媒減圧手段としての機能を果たすとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用によって冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒輸送手段(冷媒循環手段)としての機能を果たすものである。
エジェクタ17は、分岐部16側から流入する高圧冷媒の通路面積を小さく絞って冷媒を減圧膨張させるノズル部17a、ノズル部17aを収容するとともに後述する吸引側蒸発器19cから流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口17bが形成されたボデー部等を有している。さらに、本実施形態のノズル部17aは、分岐部16側から流入する高圧冷媒を減圧膨張させる絞り開度を変更可能に構成された可変ノズル部(可変絞り機構)として構成されている。
より具体的には、ノズル部17aは、ノズル部17aの冷媒通路内に配置されてノズル部17aの冷媒通路面積(絞り開度)を変化させるニードル弁17c、このニードル弁17cをノズル部17aの軸方向に変位させるステッピングモータからなる電動アクチュエータ17dを有して構成されている。なお、電動アクチュエータ17dは、ヒートポンプ側制御装置21から出力される制御パルスによってその作動が制御される。
さらに、エジェクタ17は、ノズル部17aおよび冷媒吸引口17bの冷媒流れ下流側に、ノズル部17aから噴射する噴射冷媒と冷媒吸引口17bから吸引された吸引冷媒とを混合して昇圧するディフューザ部17eを有している。
ディフューザ部17eは、ボデー部に接続されて、冷媒の通路面積を徐々に大きくする形状に形成されている。そして、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する作用を果たす。このディフューザ部17eの出口側には、流出側蒸発器19bが接続されている。
流出側蒸発器19bは、ディフューザ部17eから流出した冷媒と送風ファン19aから送風された室内送風空気とを熱交換させることによって、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。送風ファン19aは、ヒートポンプ側制御装置21から出力される制御電圧によって、回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。また、流出側蒸発器19bの出口側には、圧縮機14の冷媒吸入口が接続されている。
一方、分岐部16の他方の冷媒流出口には、電気式膨張弁18の入口側が接続され、電気式膨張弁18の出口側には、吸引側蒸発器19cが接続されている。電気式膨張弁18は分岐部16の他方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧膨張させる可変絞り機構であるとともに、圧縮機14の吐出口からエジェクタ17のノズル部17aの入口および電気式膨張弁18の入口へ至るサイクルの高圧側冷媒圧力を制御する圧力制御手段でもある。
具体的には、電気式膨張弁18は、絞り通路面積(絞り開度)を変更する弁体18aと、この弁体18aの変位駆動するステッピングモータからなる電動アクチュエータ18bとを有して構成されている。この電動アクチュエータ18bは、ヒートポンプ側制御装置21から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
吸引側蒸発器19cは、電気式膨張弁18にて減圧された冷媒と送風ファン19aから送風されて流出側蒸発器19b通過後の室内送風空気とを熱交換させることによって、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
さらに、本実施形態では、流出側蒸発器19bおよび吸引側蒸発器19cを、フィンアンドチューブ型の熱交換器で一体的に構成している。具体的には、流出側蒸発器19bと吸引側蒸発器19cとのフィンを共通化し、チューブのパス構成で2つの熱交換器に分割することによって構成している。
従って、送風ファン19aにて送風された外気は、矢印Xのように流れ、まず、流出側蒸発器19bにて吸熱され、さらに、吸引側蒸発器19cにて吸熱されるようになっている。また、吸引側蒸発器19cの出口側には、エジェクタ17の冷媒吸引口17bが接続されている。
なお、これらのヒートポンプサイクル13の各構成機器および水循環ポンプ12は、図1の一点鎖線で示すように、1つの筐体内に収容されてヒートポンプユニット300として一体的に構成されている。また、図1では、図示の明確化のため、タンクユニット200およびヒートポンプユニット300の配置関係等を示していないが、これらのユニット200、300は、互いに隣接するように室外に配置されている。
次に、本実施形態の電気制御部の概要を説明する。タンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21は、それぞれ、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。
タンク側制御装置20の出力側には、温調弁等が接続され、ヒートポンプ側制御装置21の出力側には、水循環ポンプ12の電動モータ12a、圧縮機14の電動モータ14b、エジェクタ17の電動アクチュエータ17d、電気式膨張弁18の電動アクチュエータ18b、および送風ファン19a等が接続されている。そして、タンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21は、それぞれ接続された各構成機器の作動を制御する。
なお、ヒートポンプ側制御装置21は、その出力側に接続された各構成機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、本実施形態では、特に、可変絞り機構であるエジェクタ17および電気式膨張弁18の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を可変絞り制御手段21aとする。もちろん、可変絞り制御手段21aをヒートポンプ側制御装置21に対して別体の制御装置として構成してもよい。
一方、タンク側制御装置20の入力側には、貯湯タンク10内に上下方向に並んで配置された複数個の給湯水温度検出手段としての図示しないタンク内水温センサ等が接続され、これらのセンサの検出信号がタンク側制御装置20へ入力される。これにより、タンク側制御装置20では、タンク内水温センサの出力信号によって、貯湯タンク10内の水位レベルに応じた給湯水の温度を検出できるようになっている。
また、ヒートポンプ側制御装置21の入力側には、給湯水に関連する物理量として、水−冷媒熱交換器15の水通路15a入口側の給湯水温度である入水温度Twiを検出する入水温度検出手段としての入水温度センサ22、水−冷媒熱交換器15の水通路15a出口側の給湯水温度である沸き上げ温度Twoを検出する沸き上げ温度検出手段としての沸き上げ温度センサ23等が接続されている。
さらに、ヒートポンプ側制御装置21の入力側には、ヒートポンプサイクル13の冷媒に関連する物理量として、吸引側蒸発器19cから流出した低圧冷媒温度Teを検出する蒸発器温度検出手段としての蒸発器温度センサ24、圧縮機14から吐出された吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力検出手段としての吐出圧センサ25、圧縮機14から吐出された吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度検出手段としての吐出温センサ26、外気温を検出する外気温センサ27等が接続され、これらのセンサ群の検出信号がヒートポンプ側制御装置21へ入力される。
さらに、タンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21には、操作パネル30が接続され、ヒートポンプ式給湯機100の作動・停止の操作信号、給湯機の給湯温度設定信号等がタンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21へ入力される。
また、タンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21は、互いに電気的に接続されており、通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号および操作信号に基づいて、他方の制御装置が上述の各種アクチュエータ12a、14b、17d、18b等の作動を制御することもできる。従って、タンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21を1つの制御装置として一体的に構成してもよい。
次に、上記構成のヒートポンプ式給湯機100の作動について、図2、3のフローチャートを用いて説明する。なお、図2、3は、ヒートポンプ側制御装置21が実行する制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、ヒートポンプ式給湯機100に外部から電源が供給された状態で、操作パネル30の給湯機作動信号がヒートポンプ側制御装置21に入力されるとスタートする。
まず、ステップS1ではフラグ、タイマ等の初期化がなされ、次のステップS2でセンサ群22〜27等により検出された検出信号および操作パネル30から出力された操作信号を読み込んでステップS3へ進む。ステップS3では、除霜運転を行う必要があるか否かを判定する。
ここで、本実施形態のヒートポンプサイクル13のように、蒸発器(本実施形態では、流出側蒸発器19bおよび吸引側蒸発器19)にて、冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を蒸発させる冷凍サイクル装置では、蒸発器における冷媒蒸発温度が着霜温度(具体的には、0℃)以下になってしまうと蒸発器に着霜が生じる。
このような着霜が生じると、蒸発器における外気の空気通路が霜によって閉塞されてしまうので、蒸発器の熱交換能力が著しく低下してしまう。特に、本実施形態のように、流出側蒸発器19bおよび吸引側蒸発器19cが外気の流れに対して直列的に接続されていると、いずれか一方の蒸発器19b、19cに着霜が生じてしまうだけで、双方の蒸発器19b、19cの熱交換能力が著しく低下してしまう。
また、本実施形態のヒートポンプサイクル13では、流出側蒸発器19bおよび吸引側蒸発器19cにて冷媒を蒸発させる際に、流出側蒸発器19bにおける冷媒蒸発圧力をディフューザ部17eで昇圧した後の圧力とし、吸引側蒸発器19cにおける冷媒蒸発圧力をノズル部17a減圧直後の最も低い圧力とすることができる。
このため、吸引側蒸発器19cにおける冷媒蒸発温度は、流出側蒸発器19bにおける冷媒蒸発温度よりも低くなる。従って、蒸発器温度センサ24が吸引側蒸発器19cから流出した低圧冷媒温度Teを検出することで、流出側蒸発器19bよりも冷媒蒸発温度が低く、着霜の生じ易い吸引側蒸発器19cの着霜を検出することができる。
そこで、本実施形態のステップS3では、蒸発器温度センサ24によって検出された低圧側冷媒温度Teが0℃以下になっており、かつ、低圧側冷媒温度Teが外気温センサ27によって検出された外気温Tamから予め定めた所定温度α(本実施形態では、α=10℃)を減算した値以下になっている場合は、流出側蒸発器19bおよび流出側蒸発器19bの着霜時であり除霜運転を行う必要があると判定している。
従って、ステップS3では、Te≦0、かつ、Te≦Tam−αとなっている場合は除霜運転を行う必要があると判定して、ステップS4へ進み、除霜運転フラグdffg=1としてステップS5へ進む。一方、ステップS3にて、Te≦0、かつ、Te≦Tam−αとなっていない場合は除霜運転を行う必要がないと判定して、除霜運転フラグdffgを変化させることなくステップS5へ進む。
ステップS5では、除霜運転フラグdffg=1になっているか否かを判定する。ステップS5にて、除霜運転フラグdffg=1になっている場合は、ステップS6へ進み除霜運転時における各種アクチュエータの制御状態が決定される。なお、ステップS6の詳細については後述する。一方、ステップS5にて、除霜運転フラグdffg=1になっていない場合は、ステップS7へ進む。
ステップS7では、給湯水を加熱する通常運転時における各種アクチュエータの制御状態が、ステップS2にて読み込んだ検出信号および操作信号に基づいて決定される。
例えば、圧縮機14の電動モータ14bに出力される制御信号については、低圧側冷媒温度Teが目標低圧温度に近づくように決定される。この目標低圧温度は、入水温度センサ22によって検出された入水温度Twi、沸き上げ温度センサ23によって検出された沸き上げ温度Two、外気温センサ27によって検出された外気温Tam、操作パネル30により設定された設定給湯温度等に基づいて算出される。
水循環ポンプ12の電動モータ12aに出力される制御信号については、沸き上げ温度Twoが、操作パネル30により設定された設定給湯温度に近づくように決定される。エジェクタ17のノズル部17aの電動アクチュエータ17dへ出力される制御信号については、流出側蒸発器19bから流出した冷媒の過熱度SHが予め定めた値に近づくように決定される。
また、電気式膨張弁18の電動アクチュエータ18bに出力される制御信号については、サイクルの高圧側冷媒圧力(具体的には、吐出冷媒圧力Ph)が通常運転時の目標高圧圧力となるように決定される。
この通常運転時の目標高圧圧力は、水−冷媒熱交換器15から流出した高圧冷媒の温度に基づいて、予めヒートポンプ側制御装置21に記憶された制御マップを参照して、ヒートポンプサイクル13の成績係数(COP)が略最大となるように決定される。
続くステップS8では、タンク側制御装置20およびヒートポンプ側制御装置21より各種アクチュエータに対して制御信号が出力されて、ステップS9へ進む。
ステップS9では、操作パネル30からの給湯機停止信号がヒートポンプ側制御装置21へ入力されている場合は、各種アクチュエータの作動を停止させて、ヒートポンプ式給湯機100のシステム全体を停止させる。一方、給湯機停止信号が入力されていない場合は、予め定めた制御周期の間待機した後、ステップS2に戻るようになっている。
次に、図3のフローチャートにより、ステップS6の除霜運転時の各種アクチュエータの制御状態の決定について説明する。まず、ステップS61では、圧縮機14の冷媒吐出能力が予め定めた除霜運転時用の基準冷媒吐出能力となるように圧縮機14の電動モータ14bの制御状態を決定する。
具体的には、電動モータ14bに出力される制御信号については、圧縮機14の回転数が予め定めた除霜運転時用の基準回転数となるように決定される。この基準冷媒吐出能力は、通常運転時にサイクルが安定して作動している時の冷媒吐出能力に対して高い値に決定される。
次に、ステップS62では、水循環ポンプ12を停止させるように、水循環ポンプ12の電動モータ12aに出力される制御信号が決定される。続くステップS63では、送風ファン19aを停止させるように、送風ファン19aに出力される制御信号が決定される。
次に、ステップS64では、電気式膨張弁18の絞り開度を予め定めた除霜運転時用の基準面積となるように、電気式膨張弁18の電動アクチュエータ18bに出力される制御信号が決定される。この基準面積は、通常運転時にサイクルが安定して作動している時の絞り開度よりも大きい値に決定される。
次に、ステップS65では、エジェクタ17のノズル部17aの絞り開度を決定する。除霜運転時のエジェクタ17のノズル部17aの絞り開度は、圧縮機14へ吸入される吸入冷媒の乾き度DRが予め定めた基準乾き度範囲(本実施形態では、0.7以上かつ0.9未満)となるように決定される。
具体的には、このステップS65では、ステップS2で読み込んだ、吐出圧センサ25によって検出された吐出冷媒圧力Pd、および吐出温センサ26によって検出された吐出冷媒温度Tdに基づいて、予め定めた制御マップを参照して、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRを推定する。従って、本実施形態の制御ステップS65は、乾き度推定手段を構成している。
ここで、ステップS65における乾き度DRの推定手法について説明する。本実施形態では、除霜運転時に圧縮機14の回転数が除霜運転時用の基準回転数となるので、圧縮機14におけるおおよその昇圧量が決定できる。そこで、本実施形態のヒートポンプ側制御装置21では、予めヒートポンプサイクル13を循環する冷媒(本実施形態では、二酸化炭素)等エントロピ線に対応する情報を記憶している。
そして、吐出冷媒圧力Pdおよび吐出冷媒温度Tdとなっている状態の冷媒を圧縮機14の昇圧量分を等エンタルピ的に減圧させた場合の冷媒の圧力(すなわち、圧縮機14の吸入冷媒圧力)および温度(すなわち、圧縮機14の吸入冷媒温度)を求め、求められた圧縮機14の吸入冷媒圧力および吸入冷媒温度から、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRを推定する。
さらに、ステップS65では、フィードバック制御手法を用いて、推定された圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRが基準乾き度範囲となるように、エジェクタ17の電動アクチュエータ17dへ出力される制御信号を決定する。
なお、本実施形態の除霜運転では、前述のステップS61で説明したように圧縮機14の冷媒吐出能力が通常運転時よりも高い値に決定されるので、除霜運転時のエジェクタ17のノズル部17aの絞り開度は、通常運転時よりも増加することになる。
また、ステップS65にて、エジェクタ17のノズル部17aの絞り開度を増加させるように電動アクチュエータ17dの制御状態が決定されたとしても、既に、ノズル部17aの絞り開度が最大値となっている場合は、電動アクチュエータ18bの開度を変更することなくステップS66へ進む。
続く、ステップS66では、除霜運転を終了するか否かを判定する。具体的には、低圧側冷媒温度Teが、着霜温度より所定値β℃(本実施形態では、β=3)以上高くなっているか否かを判定する。そして、Te≧βとなっている場合は、除霜運転を終了すると判定してステップS67へ進み、除霜運転フラグdffg=0としてステップS8へ戻る。一方、ステップS66にて、Te≧βとなっていない場合は、除霜運転フラグdffgを変化させることなくステップS8へ戻る。
従って、本実施形態のヒートポンプ式給湯機100では、制御ステップS3にて除霜運転を行う必要がないと判定され、かつ、制御ステップS5にて除霜運転フラグdffg=1になっていないと判定された場合は、給湯水を加熱する通常運転が実行される。一方、制御ステップS5にて除霜運転フラグdffg=1になっていると判定された場合は、除霜運転が実行されることになる。
そして、通常運転時には、圧縮機14から吐出された高温高圧冷媒は、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bに流入して、水循環ポンプ12によって貯湯タンク11の下方側から水通路15aに流入した給湯水と熱交換する。これにより、給湯水が加熱され、加熱された給湯水は、貯湯タンク11の上方側に貯留される。
この際、本実施形態のヒートポンプサイクル13では、冷媒として二酸化炭素を採用し、超臨界冷凍サイクルを構成しているので、冷媒としてフロン系冷媒等を採用する場合に対して、高圧冷媒の温度を上昇させることができる。その結果、水−冷媒熱交換器15において給湯水に放熱する熱量を増加させて給湯水の温度を高温化することができる。
水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bから流出した高圧冷媒は分岐部16へ流入し、分岐部16にて分岐された一方の冷媒は、エジェクタ17のノズル部17aに流入して、等エントロピ的に減圧膨張する。この減圧膨張時に冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換されて、冷媒がノズル部17aの冷媒噴射口から高速度の冷媒流となって噴出する。
この際、高速度の冷媒流の吸引作用により、冷媒吸引口17bを介して吸引側蒸発器19cから流出した冷媒がエジェクタ17の内部へ吸引される。さらに、冷媒吸引口17bから吸引された吸引冷媒は、ディフューザ部17eへ流入して、ノズル部17aから噴射された噴射冷媒と混合されながら昇圧される。
つまり、ディフューザ部17eでは、通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギを圧力エネルギに変換されて、冷媒の圧力を上昇させる。ディフューザ部17eから流出した冷媒は、流出側蒸発器19bへ流入して、送風ファン19aから送風された外気から吸熱して蒸発する。流出側蒸発器19bから流出した冷媒は圧縮機14に吸入され再び圧縮される。
一方、分岐部16にて分岐された他方の冷媒は、電気式膨張弁18にて減圧膨張されて、吸引側蒸発器19cへ流入する。吸引側蒸発器19cへ流入した冷媒は、送風ファン19aから送風されて流出側蒸発器19bにて冷却された外気から吸熱して蒸発する。さらに、吸引側蒸発器19cから流出した冷媒は、冷媒吸引口17bからエジェクタ17内へ吸引される。
この際、電気式膨張弁18では、COPが略最大となるように絞り開度が調整されるので、高いCOPを発揮させながら、ヒートポンプサイクル13を運転することができる。また、エジェクタ17では、前述の制御ステップS65にて推定された圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRが予め定めた基準乾き度範囲となるように絞り開度が制御されるので、本実施形態のように流出側蒸発器19と出口側と圧縮機14の吸入口側が直接接続されるサイクルであっても液圧縮の問題が生じない。
さらに、本実施形態のヒートポンプサイクル13では、双方の蒸発器19b、19cにおいて、冷媒に吸熱作用を発揮させる際に、流出側蒸発器19bにおける冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも吸引側蒸発器19cにおける冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)を低くすることができる。
その結果、流出側蒸発器19bおよび吸引側蒸発器19cにおける冷媒蒸発温度と送風ファン19aから送風された外気との温度差を確保して、効率的に冷媒に吸熱させることができる。
次に、除霜運転時の作動を図4のタイムチャートを用いて説明する。なお、図4は、除霜運転時における吐出冷媒圧力Pd、吐出冷媒温度Td、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DR、エジェクタ17のノズル部17aの絞り開度、低圧側冷媒温度Te、圧縮機14の冷媒吐出能力(圧縮機14の回転数)の経時変化を実線で示し、比較例として、ノズル部17aの絞り開度を予め定めた開度に固定した場合の経時変化を破線で示している。
除霜運転時においても、圧縮機14から吐出された高温高圧冷媒は、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bに流入する。除霜運転時には、水循環ポンプ12が停止しているので、冷媒通路15bに流入した高温高圧冷媒は水−冷媒熱交換器15にて給湯水に放熱することなく流出する。なお、制御ステップS61にて説明したように、除霜運転時には、圧縮機14の回転数が図4に示すように通常運転時よりも高くなる。
そして、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bから流出した高温高圧冷媒の流れは、通常運転時と同様に、分岐部16にて分岐されて、エジェクタ17のノズル部17aへ流入する。この際、制御ステップS65にて説明したように、ノズル部17aの絞り開度は、通常運転時よりも大きくなるとともに、圧縮機14へ吸入される吸入冷媒の乾き度DRが予め定めた基準乾き度範囲となるように決定される。
エジェクタ17のノズル部17aにて減圧された冷媒は、通常運転時と同様に、ディフューザ部17eにて冷媒吸引口17bから吸引された冷媒と混合されながら圧力を上昇させて、流出側蒸発器19bへ流入する。この際、ノズル部17aの絞り開度は、通常運転時よりも大きくなっているので、ノズル部17aにおける冷媒減圧量は、通常運転時よりも小さくなり、流出側蒸発器19bへ流入する冷媒の温度も通常運転時よりも高くなる。
流出側蒸発器19bへ流入した冷媒は、流出側蒸発器19bに着いた霜に放熱する。これにより流出側蒸発器19bに着いた霜が融解されて除霜がなされる。そして、流出側蒸発器19bから流出した冷媒は、圧縮機14へ吸入されて再び圧縮される。
一方、分岐部16にて分岐された他方の冷媒は、電気式膨張弁18にて減圧膨張されて、吸引側蒸発器19cへ流入する。この際、制御ステップS64にて説明したように、電気式膨張弁18の絞り開度は、通常運転時よりも大きくなる。従って、電気式膨張弁18における冷媒減圧量は、通常運転時よりも小さくなり、吸引側蒸発器19cへ流入する冷媒の温度も通常運転時よりも高くなる。
吸引側蒸発器19cへ流入した冷媒は、吸引側蒸発器19cに着いた霜に放熱する。これにより吸引側蒸発器19cに着いた霜が融解されて除霜がなされる。吸引側蒸発器19cから流出した冷媒は、エジェクタ17の冷媒吸引口17bから吸引される。
ここで、除霜が進行して、流出側蒸発器19bおよび吸引側蒸発器19cに着いた霜が融解されて減少すると、双方の蒸発器19b、19cへ流入した冷媒が霜に放熱する放熱量が減少してしまう。そのため、ノズル部17aの絞り開度を固定してしまうと、吐出冷媒圧力Pd、吐出冷媒温度Td、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRが、図4の破線で示す比較例のように変化する。
具体的には、双方の蒸発器19b、19cへ流入した冷媒の放熱量が低下してしまうと圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRが上昇して、不必要な過熱度SHを有してしまう。その結果、サイクルを循環する冷媒の循環流量(質量流量)が低下して、除霜時間が長時間化してしまうことが懸念される。
これに対して、本実施形態の除霜運転では、双方の蒸発器19b、19cに着いた霜を取り除くことができるだけでなく、可変絞り制御手段21aが圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRが予め定めた基準乾き度範囲となるように、エジェクタ17のノズル部17aの絞り開度を変化させるので、除霜運転時に大量の液相冷媒が圧縮機14に吸入されてしまうことを抑制でき、圧縮機14の液圧縮の問題を回避できる。
さらに、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRが基準乾き度範囲となるので、圧縮機14吸入冷媒が不必要な乾き度を有してしまうことを抑制できる。これにより、ヒートポンプサイクル13を循環する冷媒の循環流量(質量流量)が低下してしまうことを抑制できる。その結果、除霜運転時における圧縮機14の保護を図りつつ、短時間で除霜を完了させることができる。
このことは、本実施形態のヒートポンプサイクル13のように、流出側蒸発器19bから流出した冷媒を、冷媒の気液を分離して気相冷媒を流出させる低圧側気液分離器(アキュムレータ)を介することなく直接、圧縮機14へ吸入させるサイクルにおいては、液圧縮を抑制して圧縮機14の保護を図ることができるという点で極めて有効である。
さらに、本実施形態では、乾き度推定手段を構成する制御ステップS65にて、吐出圧センサ25によって検出された吐出冷媒圧力Pd、および吐出温センサ26よって検出された吐出冷媒温度Tdに基づいて、ヒートポンプ側制御装置21に予め記憶されている情報を参照して圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRを推定するので、極めて容易に圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRを推定することができる。
(第2実施形態)
上述の実施形態では、ヒートポンプサイクル13を、エジェクタ式冷凍サイクルとして構成した例を説明したが、本実施形態では、図5の全体構成図に示すように、分岐部16およびエジェクタ17を廃止して通常の冷凍サイクルとして構成した例を説明する。なお、図5では、第1実施形態の図1と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル13では、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bの冷媒出口側が、電気式膨張弁18の入口側に接続され、電気式膨張弁18の出口側が蒸発器19へ接続され、さらに、蒸発器19の冷媒出口側が圧縮機14の吸入側に接続されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
また、本実施形態のヒートポンプ側制御装置21の実行する制御処理では、図3のステップS64は廃止され、ステップS65にて、除霜運転時の電気式膨張弁18の絞り開度を決定する。具体的には、除霜運転時の電気式膨張弁18の絞り開度は、第1実施形態と同様に、圧縮機14へ吸入される吸入冷媒の乾き度DRが予め定めた基準乾き度範囲となるように決定される。
上記構成の本実施形態のヒートポンプサイクル13を作動させても、第1実施形態と同様に、圧縮機14の保護を図りつつ、短時間で除霜を完了させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の第1実施形態の除霜運転では、制御ステップS65にて、エジェクタ17のノズル部17aの絞り開度を調整することによって、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRを変化させる例を説明したが、乾き度DRを変化させる手段はこれに限定されない。
例えば、ノズル部17aの絞り開度を予め定めた除霜運転時用の基準面積となるように、電動アクチュエータ17dに出力される制御信号が決定し、制御ステップS65にて、第2実施形態と同様に、電気式膨張弁18の絞り開度を変更してもよい。さらに、エジェクタ17のノズル部17aの絞り開度および電気式膨張弁18の絞り開度の双方を調整することによって、圧縮機14吸入冷媒の乾き度DRを変化させてもよい。
(2)上述の第1実施形態では、流出側蒸発器19bから流出した冷媒を、直接、圧縮機14へ吸入させ、第2実施形態では、蒸発器19から流出した冷媒を、直接、圧縮機14へ吸入させるサイクルについて説明したが、本発明の冷凍サイクル装置(ヒートポンプサイクル13)の構成はこれに限定されない。
例えば、流出側蒸発器19b(蒸発器19)から流出した低圧冷媒と、水−冷媒熱交換器15の冷媒通路15bから流出した高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を有するサイクル構成であってもよい。
さらに、本発明の冷凍サイクル装置をエジェクタ式冷凍サイクルとして構成する場合、第1実施形態で説明したサイクルに限定されない。例えば、エジェクタ17のディフューザ部17e出口側に分岐部16を配置して、分岐された一方の冷媒を流出側蒸発器19bへ供給し、他方の冷媒を吸引側蒸発器19cへ流入させるエジェクタ式冷凍サイクルを採用してもよい。
(3)上述の第1実施形態では、蒸発器温度検出手段として吸引側蒸発器19cから流出した低圧冷媒温度Teを検出する蒸発器温度センサ24を採用した例を説明したが、蒸発器温度センサ24はこれに限定されない。例えば、流出側蒸発器19bから流出した低圧冷媒の温度を検出するようになっていてもよい。この場合は、流出側蒸発器19bから流出した低圧冷媒の温度と、エジェクタ17の昇圧能力から吸引側蒸発器19cにおける冷媒蒸発温度を推定することができる。
さらに、蒸発器温度検出手段の具体的構成としては、蒸発器19(19b、19c)の熱交換フィン温度を検出する温度センサを採用してもよいし、蒸発器のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよいし、蒸発器を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよいし、蒸発器から吹き出される空気の温度を検出する温度検出手段を採用してもよい。
(4)上述の各実施形態では、冷媒として二酸化炭素を採用した例を説明したが、冷媒の種類はこれに限定されない。通常のフロン系冷媒、炭化水素系冷媒等を採用してもよい。さらに、ヒートポンプサイクル13が、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上とならない亜臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。
(5)上述の各実施形態では、本発明の冷凍サイクル装置をヒートポンプ式給湯機100に適用した例を説明したが、本発明の適用はこれに限定されず、低圧冷媒が吸熱した熱量を高圧冷媒に放熱させる冷凍サイクル装置に広く適用可能である。例えば、室内空気を加熱する室内暖房装置、ヒートポンプ式床暖房装置等にも適用できる。
13 ヒートポンプサイクル
14 圧縮機
15 水−冷媒熱交換器
17 エジェクタ
17a ノズル部
18 電気式膨張弁
19 蒸発器
19b 流出側蒸発器
19c 吸引側蒸発器
21a 可変絞り制御手段

Claims (2)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(14)と、
    前記圧縮機(14)から吐出された高温高圧冷媒を放熱させる放熱器(15)と、
    前記放熱器(15)から流出した高圧冷媒を減圧させる絞り開度を変更可能に構成された可変絞り機構(18)と、
    前記可変絞り機構(18)にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(19)と、
    前記可変絞り機構(18)の作動を制御する可変絞り制御手段(21a)とを備え、
    前記蒸発器(19)の出口側は気液分離器を介在することなく圧縮機(14)の吸入側に接続されており、
    前記蒸発器(19)の着霜時に、前記絞り開度を増加させることによって、前記蒸発器(19)に着いた霜を取り除く除霜運転を行う冷凍サイクル装置であって、
    さらに、前記圧縮機(14)吐出冷媒圧力(Pd)を検出する吐出圧力検出手段(25)と、
    前記圧縮機(14)吐出冷媒温度(Td)を検出する吐出温度検出手段(26)と、
    前記除霜運転時に、前記吐出圧力検出手段(25)によって検出された吐出冷媒圧力(Pd)、および前記吐出温度検出手段(26)によって検出された吐出冷媒温度(Td)のみを用いて、前記圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)を推定する乾き度推定手段(S65)とを備え、
    前記可変絞り制御手段(21a)は、前記除霜運転時に、前記乾き度推定手段(S65)によって推定された前記乾き度(DR)が予め定めた基準乾き度範囲となるように、前記絞り開度を変化させることを特徴とする冷凍サイクル装置。
  2. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(14)と、
    前記圧縮機(14)から吐出された高温高圧冷媒を放熱させる放熱器(15)と、
    前記放熱器(15)から流出した高圧冷媒の流れを分岐する分岐部(16)と、
    前記分岐部(16)にて分岐された一方の冷媒を減圧させる絞り開度を変更可能に構成された可変ノズル部(17a)から噴射する噴射冷媒の吸引作用によって、冷媒吸引口(17b)から冷媒を吸引するエジェクタ(17)と、
    前記エジェクタ(17)から流出した冷媒を蒸発させる流出側蒸発器(19b)と、
    前記分岐部(16)にて分岐された他方の冷媒を減圧させる絞り開度を変更可能に構成された可変絞り機構(18)と、
    前記可変絞り機構(18)にて減圧された冷媒を蒸発させて前記冷媒吸引口(17b)側へ流出させる吸引側蒸発器(19c)と、
    前記可変ノズル部(17a)および前記可変絞り機構(18)のうち、少なくとも一方の作動を制御する可変絞り制御手段(21a)とを備え、
    前記流出側蒸発器(19b)の出口側は気液分離器を介在することなく圧縮機(14)の吸入側に接続されており、
    前記流出側蒸発器(19b)および前記吸引側蒸発器(19c)の着霜時に、前記可変ノズル部(17a)の絞り開度および前記可変絞り機構(18)の絞り開度のうち、少なくとも一方を増加させることによって、前記流出側蒸発器(19b)および前記吸引側蒸発器(19c)に着いた霜を取り除く除霜運転を行う冷凍サイクル装置であって、
    さらに、前記圧縮機(14)吐出冷媒圧力(Pd)を検出する吐出圧力検出手段(25)と、
    前記圧縮機(14)吐出冷媒温度(Td)を検出する吐出温度検出手段(26)と、
    前記除霜運転時に、前記吐出圧力検出手段(25)によって検出された吐出冷媒圧力(Pd)、および前記吐出温度検出手段(26)によって検出された吐出冷媒温度(Td)のみを用いて、前記圧縮機(14)吸入冷媒の乾き度(DR)を推定する乾き度推定手段(S65)とを備え、
    前記可変絞り制御手段(21a)は、前記除霜運転時に、前記乾き度推定手段(S65)によって推定された前記乾き度(DR)が予め定めた基準乾き度範囲となるように、前記可変ノズル部(17a)の絞り開度および前記可変絞り機構(18)の絞り開度のうち、少なくとも一方を変化させることを特徴とする冷凍サイクル装置。
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