JP5657254B2 - 成型ポテトチップスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成型ポテトチップスおよびその製造方法に関する。
成型ポテトチップスは、乾燥ポテト(例えば、ポテトフレーク、ポテトグラニュールなど)に対して、必要により澱粉や調味料、香辛料、水などを加えて混合し、得られたドウ生地を薄いシート状に圧延して成型し、次にフライ調理することにより製造される。
しかし、フライ調理時に20〜50重量%の油脂を吸収することが成型ポテトチップスのカロリーが増大する原因となっている。このため、低カロリーの食品が好まれる今日において、油分の少ない成型ポテトチップスを製造する方法がいくつか提案されている。
例えば、アルギン酸エステルを含有する粉末状の吸油抑制剤を粉末のまま油ちょう食品の食品材料に適用し、油ちょうすることを特徴とする油ちょう食品の製造方法(特許文献1参照)、脱水ジャガイモ成分を作製するための方法であって、(a)ジャガイモ片を加熱調理する工程、(b)前記加熱調理したジャガイモ片をジャガイモマッシュに形成する工程、(c)前記ジャガイモマッシュを乾燥させて脱水ジャガイモ成分を提供する工程、(d)任意選択的に脱水マッシュを粉砕する工程、および(e)前記(c)の工程で脱水ジャガイモ成分を形成する前に常に乳化剤系を添加する工程を含み、前記乳化剤系が、(i)2〜10個のグリセロール単位のポリグリセロール主鎖を有し、さらにそのポリグリセロールエステルのヒドロキシル基の40%以下が脂肪酸によってエステル化されることを特徴とするポリグリセロールエステル(PGE)、(ii)DATEM、および(iii)これらの混合物から成る群から選択される乳化剤を含むことを特徴とする方法(特許文献2参照)などが提案されている。
しかし、これら製造方法には一長一短があり、必ずしも満足できるものではなかった。
特開2002−209531号公報 特表2004−509633号公報
本発明は、フライ調理による油の吸収量が低減された成型ポテトチップスおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、乾燥マッシュポテトにプロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを添加して練りこんだ生地を成型し、フライ調理することにより、フライ時の吸油が抑制された成型ポテトチップが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は
(1)プロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを含有することを特徴とする成型ポテトチップス、並びに、
(2)成型ポテトチップス原料にプロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを添加して成型ポテトチップス生地を調製する工程を含むことを特徴とする成型ポテトチップスの製造方法、
からなっている。
本発明の成型ポテトチップスは油分の含有量が低減されたものである。
本発明の成型ポテトチップスの製造方法によれば、フライ調理による油の吸収量が低減される。
本発明の成型ポテトチップスは、プロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを含有する。
本発明の成型ポテトチップス100質量%中のプロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルの含有量は、約0.03〜2.0質量%が好ましく、約0.06〜0.7質量%がより好ましい。
本発明で用いられるプロピレングリコールパルミチン酸エステルは、プロピレングリコールとパルミチン酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体公知の方法で製造される。
プロピレングリコールパルミチン酸エステルの原料として用いられるパルミチン酸としては、特に制限はないが、純度が50%以上のものが好ましい。純度が50%未満であると、本発明による吸油抑制効果が十分に発揮されない虞があるため好ましくない。
本発明で用いられるプロピレングリコールパルミチン酸エステルの好ましい例として、モノエステル体の含有量が約50質量%以上、好ましくは約90質量%以上であるプロピレングリコールパルミチン酸エステルが挙げられる。このような組成のプロピレングリコールパルミチン酸エステルの製法の概略は以下の通りである。即ち、プロピレングリコールとパルミチン酸を原料として常法によりエステル化反応を行い、反応終了後、反応混合物中に残存する触媒を中和する。中和後、反応混合物を、減圧下で蒸留して未反応のプロピレングリコールを留去し、続いて、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて分子蒸留するか、またはカラムクロマトグラフィーもしくは液液抽出など自体公知の方法を用いて精製することにより、モノエステル体を約50質量%以上、好ましくは約90質量%以上含むプロピレングリコールパルミチン酸エステルを得る。該プロピレングリコールパルミチン酸エステルとしては、例えば、リケマールPP−100(製品名;モノエステル体含有量90質量%以上;理研ビタミン社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
本発明で用いられるプロピレングリコールオレイン酸エステルは、プロピレングリコールとオレイン酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体公知の方法で製造される。
プロピレングリコールオレイン酸エステルの原料として用いられるオレイン酸としては、特に制限はないが、純度が50%以上のものが好ましい。純度が50%未満であると、本発明による吸油抑制効果が十分に発揮されない虞があるため好ましくない。
本発明で用いられるプロピレングリコールオレイン酸エステルの好ましい例として、モノエステル体の含有量が約50質量%以上、好ましくは約90質量%以上であるプロピレングリコールオレイン酸エステルが挙げられる。このような組成のプロピレングリコールオレイン酸エステルの製法の概略は以下の通りである。即ち、プロピレングリコールとオレイン酸を原料として常法によりエステル化反応を行い、反応終了後、反応混合物中に残存する触媒を中和する。中和後、反応混合物を、減圧下で蒸留して未反応のプロピレングリコールを留去し、続いて、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて分子蒸留するか、またはカラムクロマトグラフィーもしくは液液抽出など自体公知の方法を用いて精製することにより、モノエステル体を約50質量%以上、好ましくは約90質量%以上含むプロピレングリコールオレイン酸エステルを得る。該プロピレングリコールオレイン酸エステルとしては、例えば、リケマールPO−100V(製品名;モノエステル体含有量90質量%以上;理研ビタミン社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
本発明の成型ポテトチップスの製造方法は、成型ポテトチップス原料(例えば、乾燥ポテト粉末、乾燥マッシュポテト、乾燥ポテトフレークのうち単独または2種以上のもの)にプロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを添加して成型ポテトチップス生地を調製する工程を含むものであれば特に制限はないが、成型ポテトチップス生地を調製する工程としては、例えば以下に示す方法1及び2が挙げられる。
[方法1]
プロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルの形態が常温(約15〜25℃をいう。以下同じ)で固体の場合、プロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを約1〜3mm程度に削り取り、又は粉砕し、これを成型ポテトチップス原料に添加し均一に混合する。得られた混合物に約30℃の水を適量加え、ニーダー等を用いて約30℃で混練することにより成型ポテトチップス生地を調製する。
[方法2]
プロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルの形態が常温で液状の場合、プロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルを約30℃の水に分散する。得られた分散液の分離が生じる前に、該分散液を成型ポテトチップス原料に添加し、ニーダー等を用いて約30℃で混練することにより成型ポテトチップス生地を調製する。
上記方法1及び2におけるプロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルの添加量は、成型ポテトチップス原料の種類などにより異なるが、例えば、乾燥マッシュポテト100質量部に対し約0.05〜3.0質量部が好ましく、約0.1〜1.0質量部がより好ましい。
続いて、上記方法1又は2により調製された成型ポテトチップス生地を、例えば、円筒形の二重反転ローラーを有する圧延ローラーを用いて均一な厚さのシート状に成型した後、シート状に成型された生地を型抜きしてスナック片とし、該スナック片を、ショートニングなどの食用油と慣用の装置とを用いてフライ調理することにより本発明の成型ポテトチップスが得られる。
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
プロピレングリコールパルミチン酸エステル(製品名:リケマールPP−100;形態:常温で固体;モノエステル体含有量90質量%以上;理研ビタミン社製)をスパーテル(薬さじ)を用いて約1〜3mm程度に削り取ったもの0.355gを乾燥マッシュポテト(商品名:マッシュポッテ;雪和食品社製)142gに添加し、均一に混合した。得られた混合物に30℃のイオン交換水71.0gを加え、30℃に保ったニーダー(商品名:レディースニーダー KN−30;大正電機社製)で6分間混練し、成型ポテトチップス生地を調製した。該生地を圧延ローラー(製品名:万能小型麺機;型式:MODEL−MG−77;スズキ麺工社製)にて厚さ約0.9−1.1mmのシート状に圧延して型抜きで円形状に打ち抜いて成型した。成型した生地を160℃で約60秒間、ショートニング(製品名:フライメート;ミヨシ油脂社製)でフライ調理し、成型ポテトチップスを得た。
[実施例2]
プロピレングリコールオレイン酸エステル(製品名:リケマールPO−100V;形態:常温で液状;モノエステル体含有量90質量%以上;理研ビタミン社製)0.355gを30℃のイオン交換水71.0gに加え、スパーテルを用いて攪拌・分散した。攪拌・分散した直後に、得られた分散液を乾燥マッシュポテト(商品名:マッシュポッテ;雪和食品社製)142gに添加し30℃に保ったニーダー(商品名:レディースニーダー KN−30;大正電機社製)で6分間混練し、成型ポテトチップス生地を調製した。該生地を実施例1と同様に成型及びフライ調理し、成型ポテトチップスを得た。
[実施例3]
プロピレングリコールパルミチン酸エステル(製品名:リケマールPP−100;形態:常温で固体;モノエステル体含有量90質量%以上;理研ビタミン社製)をスパーテルを用いて約1〜3mm程度に削り取ったもの0.1775gを乾燥マッシュポテト(商品名:マッシュポッテ;雪和食品社製)142gに添加して均一に混合し、乾燥マッシュポテトと乳化剤の混合物を得た。次に、プロピレングリコールオレイン酸エステル(製品名:リケマールPO−100V;形態:常温で液状;モノエステル体含有量90質量%以上;理研ビタミン社製)0.1775gを30℃のイオン交換水71.0gに加え、スパーテルを用いて攪拌・分散した。攪拌・分散した直後に、得られた分散液を上記混合物に添加し30℃に保ったニーダー(商品名:レディースニーダー KN−30;大正電機社製)で6分間混練し、成型ポテトチップス生地を調製した。該生地を実施例1と同様に成型及びフライ調理し、成型ポテトチップスを得た。
[比較例1]
実施例1のプロピレングリコールパルミチン酸エステルに替えてプロピレングリコールステアリン酸エステル(製品名:リケマールPS−100;理研ビタミン社製)0.355gを使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、成型ポテトチップスを得た。
[比較例2]
実施例1のプロピレングリコールパルミチン酸エステルに替えてプロピレングリコールベヘン酸エステル(製品名:リケマールPB−100;理研ビタミン社製)0.355gを使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、成型ポテトチップスを得た。
[対照例]
実施例1のプロピレングリコールパルミチン酸エステルを使用しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、成型ポテトチップスを得た。
[試験例]
実施例1〜3、比較例1及び2並びに対照例で作製した成型ポテトチップスの各々(30枚、約36g)について吸油率(%)を測定した。吸油率は、「基準油脂分析試験法 2003年版」(社団法人 日本油化学会編)の[参3.1.1-1996 ジエチルエーテル抽出法]記載の方法に準じて測定した。また、乳化剤を全く添加せずに作製した対照例の成型ポテトチップスの吸油率を基準として、実施例1〜3並びに比較例1及び2の成型ポテトチップスの相対吸油率(%)を求めた。結果を表1に示した。
Figure 0005657254
表1の結果から、本発明の成型ポテトチップスの製造方法(実施例1〜3)により製造された成型ポテトチップスは、比較例1および2並びに対照例のものに比べ吸油率の低減されたものであることが明らかである。

Claims (1)

  1. 成型ポテトチップス原料にプロピレングリコールパルミチン酸エステル及び/又はプロピレングリコールオレイン酸エステルのみを添加して成型ポテトチップス生地を調製することを特徴とする成型ポテトチップスのフライ調理による油の吸収量の低減方法
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