JP5656696B2 - 粒状洗剤組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒状洗剤組成物の製造方法に関する。
粒状洗剤組成物は、一般的に、界面活性剤、ビルダー等の原料を予め混合した水性スラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子を調製し、当該噴霧乾燥粒子をその他原料と共に、破砕造粒(捏和・押出し・粉砕)又は撹拌造粒することにより製造される。
従来、粒状洗剤組成物の製造方法としては、たとえば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の一部及びその他原料を用いて洗剤スラリーを調製し、得られたスラリーを、向流式噴霧乾燥塔を用いて乾燥することにより噴霧乾燥品を得、次いで、この乾燥品と残りのノニオン界面活性剤と水等を、連続ニーダーに導入し捏和混練して捏和物を得、次いで、この捏和物を押し出して円筒状ペレットに成形し、スピードミルに導入して粉砕等する製造方法が開示されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
特開2003−105378号公報 特開2000−006139号公報
ところで、近年、洗濯事情の変化や環境負荷に対する意識の高まりから、界面活性剤濃度の低い(30質量%未満の)洗剤が主流になってきている。これに伴い、洗剤中の無機ビルダー又はアルカリ剤の配合比率が高くなってきている。
しかしながら、特許文献1、2に記載されているような従来の粒状洗剤組成物の製造方法においては、界面活性剤濃度が低くなると、製造された粒状洗剤組成物を水に溶解した際、洗剤粒子がゲル化・凝集を起こして水に対する溶解性が悪くなり、粒状洗剤組成物が洗濯槽内に又は被洗物上に溶け残る問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、界面活性剤の含有量が30質量%未満と低濃度であっても、水に対する溶解性に優れる粒状洗剤組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、粒状洗剤組成物の製造において、界面活性剤濃度が低くなると、洗剤原料が不均一に混合した洗剤粒子が調製されるため、水に対する溶解性が悪くなることが分かった。これに対して、本発明者らはさらなる検討により、特定の水分含有量を有する洗剤原料混合物に、硫酸塩水和物と特定の有機キレート剤とを配合して造粒を行うことにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、界面活性剤30質量%未満と無機ビルダーとアルカリ剤とを含有する粒状洗剤組成物の製造方法において、前記界面活性剤と前記無機ビルダーと前記アルカリ剤とを混合し、水分含有量が15質量%以下の混合物を調製する前処理工程と、前記混合物に、硫酸塩水和物と、分子内に窒素原子を含む有機キレート剤とを配合して造粒を行う造粒工程とを有することを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法である。
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法においては、前記有機キレート剤が、下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005656696
[式中、Yは、アルキル基、水酸基又は水素原子を表す。X〜Xは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。nは、0〜5の整数を表す。]
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法によれば、界面活性剤の含有量が30質量%未満と低濃度であっても、水に対する溶解性に優れる。
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、界面活性剤30質量%未満と無機ビルダーとアルカリ剤とを含有する粒状洗剤組成物を製造する方法であり、後述する前処理工程及び造粒工程を有する。当該造粒工程においては、硫酸塩水和物と、分子内に窒素原子を含む有機キレート剤とを配合する。
(界面活性剤)
界面活性剤は、従来、衣料用等の洗浄剤組成物に使用されているものであれば、特に限定されず、各種のものを使用することができる。
界面活性剤としては、たとえば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
・アニオン界面活性剤
アニオン界面活性剤は、たとえば以下に示すものが挙げられる。
炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS、ABS)。
炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩(SAS)。
炭素数10〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はこれらの混合物を付加した、アルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩(AES)。
炭素数10〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はこれらの混合物を付加した、アルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩。
炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
α−スルホ脂肪酸塩又はそのエステル塩。好ましくは、炭素数8〜20(好ましくは12〜18)の飽和若しくは不飽和のα−スルホ脂肪酸塩又はそのエステル塩(好ましくは、メチルエステル塩(MES)、エチルエステル塩若しくはプロピルエステル塩)。
上記のなかでも、アニオン界面活性剤としては、洗浄性能が向上することから、α−スルホ脂肪酸塩又はそのエステル塩、及び炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種と、石鹸とを併用することが好ましく、MES及びLASから選択される少なくとも一種と石鹸とを併用することがより好ましい。粒状洗剤組成物中、MESとLASと石鹸との混合比率は、(MES+LAS)/石鹸で表される質量比で0.5〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。「(MES+LAS)/石鹸で表される質量比」は、粒状洗剤組成物中の石鹸の含有量(質量%)に対する、MESとLASとの合計の含有量(質量%)の比率を示す。
・ノニオン界面活性剤
ノニオン界面活性剤は、たとえば以下に示すものが挙げられる。
炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは平均5〜20モル、特に好ましくは平均12〜18モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(アルコールアルコキシレート)。この中では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテルが好適である。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。脂肪族アルコールのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル。
長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間に、アルキレンオキサイドが付加した、たとえば下記一般式(IV)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
CO−[ORn’−OR ・・・(IV)
[式(IV)中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し;ORは、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイド(たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)の付加単位を示し;n’はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、好ましくは3〜30、より好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有していてもよい低級(炭素数1〜4の)アルキル基を示す。]
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル。
上記のなかでも、ノニオン界面活性剤としては、融点が50℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以下であり、かつ、HLBが7〜16であることが好ましく、より好ましくは8〜14である。
ここでの融点は、JIS K0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
HLBは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
かかるノニオン界面活性剤の具体例としては、融点が50℃以下であり、かつ、HLBが7〜16である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が挙げられる。
・カチオン界面活性剤
カチオン界面活性剤は、たとえば、長鎖(好ましくは炭素数8以上)炭化水素基を1〜3個有するモノ、ジ、又はトリアルキルカチオンを用いることができる。特に、分子中に1〜2個のエステル基と、1〜2個の長鎖炭化水素基とを含むカチオン界面活性剤が好ましい。
カチオン界面活性剤の具体例としては、炭素数8〜22の長鎖アルキル基若しくはアルケニル基を1つ含むモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、炭素数8〜22の長鎖アルキル基若しくはアルケニル基を2つ含むジ長鎖アルキルジメチルアンモニウムクロライド、炭素数8〜22の長鎖アルキル基若しくはアルケニル基を3つ含むトリ長鎖アルキルメチルアンモニウムクロライド、炭素数8〜22の長鎖アルキル基若しくはアルケニル基を1つ含むN−アシルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、炭素数8〜22の長鎖アルキル基若しくはアルケニル基を2つ含むN,N−ジアシルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド等を用いることができる。
・両性界面活性剤
両性界面活性剤は、長鎖(好ましくは炭素数8以上)炭化水素基を1個又は2個有するスルホベタイン、カルボキシベタインを用いることができる。
当該長鎖炭化水素基は、エステル基、アミド基又はエーテル基を含んでいてもよい。また、長鎖炭化水素基は、1鎖型であってもよく、2鎖型であってもよい。また、長鎖炭化水素基における飽和型/不飽和型の割合、炭素鎖長の分布、不飽和基のシス体/トランス体の比率などは、特に限定されるものではない。また、長鎖炭化水素基は、前述のカチオン界面活性剤の製造原料である脂肪酸あるいは脂肪酸メチルエステルから誘導されるものであってもよい。
両性界面活性剤の具体例としては、N,N−ジアシルオキシエチル−N−メチルアンモニオエチルサルフェート、N,N−ジアシルオキシエチル−N−メチルアンモニオエチルカルボキシレートなどのベタイン類;N−アシルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニオベタイン類、N−アシルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニオベタイン類、N−アシルアミドプロピル−N,N’−ジメチル−N’−β−ヒドロキシプロピルアンモニオベタイン等が挙げられる。
上記両性界面活性剤には、その窒素原子が4級化されてない化合物、原料であるアルカノールアミン、その中和物、又はその4級化物などのアミノベタインが含まれていてもよい。
界面活性剤における塩の形態は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩が挙げられ、これらが混在していてもよい。なかでも、アルカリ金属の塩が好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、界面活性剤は、洗浄性能が向上することから、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを併用することが好ましい。粒状洗剤組成物中、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との混合比率は、アニオン界面活性剤/ノニオン界面活性剤で表される質量比で0.5〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、3〜5であることがさらに好ましい。「アニオン界面活性剤/ノニオン界面活性剤で表される質量比」は、粒状洗剤組成物中のノニオン界面活性剤の含有量(質量%)に対する、アニオン界面活性剤の含有量(質量%)の比率を示す。
粒状洗剤組成物中の界面活性剤の含有量は、30質量%未満であり、5〜28質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
界面活性剤の含有量が30質量%未満の粒状洗剤組成物の製造に対して、本発明は技術的意義がある。このように界面活性剤の含有量が30質量%未満と低濃度であっても、本発明によれば、水に対する溶解性に優れる粒状洗剤組成物を製造できる。
一方、界面活性剤の含有量が下限値以上であると、良好な洗浄効果が得られやすくなる。
(無機ビルダー)
無機ビルダーは、従来、衣料用等の洗浄剤組成物に使用されているものであれば、特に限定されず、たとえば、結晶性アルミノ珪酸塩(A型ゼオライト、P型ゼオライト、X型ゼオライト等)、非晶質アルミノ珪酸塩;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性珪酸塩、炭酸塩と非晶質アルカリ金属珪酸塩との複合体が挙げられる。
無機ビルダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒状洗剤組成物中の無機ビルダーの含有量は、10〜45質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
無機ビルダーの含有量が下限値以上であると、洗浄効果が向上する。また、前処理工程で洗剤原料を混合する際の流動性が良くなる。一方、上限値以下であると、洗剤粒子の固結防止が容易となり、粒状洗剤組成物の嵩密度を高く制御できる。
(アルカリ剤)
アルカリ剤は、従来、衣料用等の洗浄剤組成物に使用されているものであれば、特に限定されず、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸塩;炭酸カリウムナトリウム等の複塩;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
アルカリ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒状洗剤組成物中のアルカリ剤の含有量は、15〜60質量%であることが好ましく、25〜50質量%であることがより好ましい。
アルカリ剤の含有量が下限値以上であると、洗浄効果が向上する。一方、上限値以下であると、粒状洗剤組成物の水に対する溶解性が向上する。
(硫酸塩水和物)
硫酸塩水和物における水分子の数は、粒状洗剤組成物を水に溶解した際に洗剤粒子のゲル化・凝集が起きにくくなり、また、入手が容易でもあることから、1〜9が好ましく、2〜9がより好ましく、5〜7がさらに好ましい。
硫酸塩水和物は、その脱水温度が40〜280℃であるものが好ましく、40〜120℃であるものがより好ましく、41〜80℃であるものがさらに好ましく、50〜75℃であるものが特に好ましい。脱水温度が好ましい上限値以下、さらに好ましくは80℃以下であると、粒状洗剤組成物の水に対する溶解性が向上する。また、脱水温度が好ましい下限値以上、さらに好ましくは41℃以上であると、粒状洗剤組成物を長期保存した際の保存安定性がより良好となる。
この硫酸塩水和物は、造粒時に一旦脱水して造粒物の製造性を改善し、造粒後、温度低下とともに再びその硫酸塩が水和を起こして造粒物の安定性の向上に寄与する、と推定される。なお、造粒によって得られる造粒物をDSCにより測定すると、硫酸塩水和物に相当する吸熱のピークが観測される。
「硫酸塩水和物の脱水温度」は、DSCによる転移点測定によって観測される値を示す。また、この脱水温度は、DSCによって得られる吸熱のピークのピークトップの温度とすることにより決定される。DSC測定に関しては、市販されている熱流速型、熱保障型の何れの型を用いてもよい。測定の一例を示すと、リファレンスにα−アルミナを用い、サンプル側に硫酸塩水和物を配置する。測定温度範囲:0〜100℃、昇温速度:2℃/minの条件で行う。脱水温度は、20℃以上に観測される10mJ/min以上の吸熱ピークのピークトップの温度とする。吸熱ピークが複数存在する場合には、100℃以下の最も高温側に観測される吸熱ピークを脱水温度とする。
なお、100℃以下に吸熱ピークが存在しない硫酸塩水和物については、測定温度範囲を0〜300℃に変更して同様に測定することにより脱水温度を算出する。
硫酸塩水和物における硫酸塩は、水に溶解して金属イオンを放出するものが好ましい。
当該金属イオンを提供する金属としては、長周期型周期表における3〜12族の金属元素がつくる単体が好ましく、より好ましくは7〜12族の金属元素がつくる単体が挙げられる。
当該硫酸塩として具体的には、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸バナジウム、硫酸銀等が挙げられ、なかでも環境への影響と入手のし易さから、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸マンガンが好ましい。
硫酸塩水和物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、硫酸塩水和物としては、粒状洗剤組成物を水に溶解した際に洗剤粒子のゲル化・凝集がより起きにくいことから、硫酸銅五水和物、硫酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛七水和物、硫酸マンガン五水和物及び硫酸マンガン七水和物からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、そのなかでも硫酸亜鉛七水和物が最も好ましい。
粒状洗剤組成物中の硫酸塩水和物の含有量は、0.01〜3質量%であることが好ましく、0.02〜0.8質量%であることがより好ましく、0.2〜0.6質量%であることがさらに好ましい。
粒状洗剤組成物中の含有量が下限値以上であることにより、粒状洗剤組成物を水に溶解した際、洗剤粒子のゲル化・凝集がより起きにくくなり、粒状洗剤組成物の水に対する溶解性が向上する。一方、上限値以下であれば、配合効果が充分に得られる。
(分子内に窒素原子を含む有機キレート剤)
分子内に窒素原子を含む有機キレート剤(以下単に「有機キレート剤」という。)としては、たとえば、アミノカルボン酸又はその塩、ヒドロキシアミノカルボン酸又はその塩が挙げられる。
有機キレート剤の具体例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸又はその塩、β−アラニン二酢酸又はその塩、下記の一般式(I)〜(III)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0005656696
[式(I)中、Xは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。pは1又は2の整数を表す。式(II)中、X〜Xは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。Rは水素原子又は水酸基を表し、Qは水素原子又はアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表す。式(III)中、Yはアルキル基、水酸基又は水素原子を表す。X〜Xは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。nは0〜5の整数を表す。]
・前記一般式(I)で表される化合物
前記一般式(I)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。
アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。たとえばカルシウム(Ca)の場合、式(I)中の「−(COOX)」は「−(COOCa1/2」と表される。
なかでも、Xは、水素原子であることが好ましい。
pは、1又は2の整数を表し、1であることが好ましい。
pが2の場合、複数のXは、互いに、同一であっても異なっていてもよい。
pが1のとき、「−COOX」基のピリジン環への結合位置は、窒素原子に対してα位であることが好ましい。pが2のときも、少なくとも1つの「−COOX」基は、α位に結合していることが好ましい。残りの「−COOX」基は、β位又はγ位のいずれに結合していてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物のなかで好適なものとしては、洗剤原料の撹拌(捏和混練)をより良好に行うことができることから、下記化学式(1)で表される化合物(2−ピリジンカルボン酸)若しくはその塩、又は下記化学式(2)で表される化合物(2,6−ピリジンジカルボン酸(ジピコリン酸))若しくはその塩が挙げられる。
Figure 0005656696
・前記一般式(II)で表される化合物
前記一般式(II)中、X〜Xは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。
〜Xにおいて、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子としては、前記式(I)中のXにおけるアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子とそれぞれ同じものが挙げられる。
なお、X〜Xのいずれかがアルカリ土類金属原子である場合、たとえばXがカルシウム(Ca)の場合、式(II)中の「−COOX」は「−COOCa1/2」と表される。
カチオン性アンモニウム基としては、たとえば、「(R11)(R12)(R13)(R14)N」(ただし、R11〜R14は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基である。)等が挙げられる。
上記のなかでも、X〜Xは、いずれもアルカリ金属原子であることが好ましく、ナトリウム又はカリウムであることがより好ましい。
〜Xは、互いに、同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(II)中、Rは、水素原子又は水酸基を表し、水酸基であることが好ましい。
Qは、水素原子又はアルキル基を表す。
Qにおいて、アルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
は、0又は1の整数を表し、1であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物のなかで好適なものとしては、洗剤原料の撹拌(捏和混練)をより良好に行うことができることから、下記化学式(3)で表される化合物(2,2’−イミノジコハク酸)若しくはその塩、又は下記化学式(4)で表される化合物(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)若しくはその塩が挙げられる。
Figure 0005656696
・前記一般式(III)で表される化合物
前記一般式(III)中、Yは、アルキル基、水酸基又は水素原子を表す。
Yにおいて、アルキル基としては、炭素数1〜4であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
〜Xは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。
〜Xにおいて、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびカチオン性アンモニウム基としては、前記式(II)中のX〜Xにおけるアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびカチオン性アンモニウム基といずれも同じものが挙げられる。
なお、X〜Xのいずれかがアルカリ土類金属原子である場合、たとえばXがカルシウム(Ca)の場合、式(III)中の「−COOX」は「−COOCa1/2」と表される。
上記のなかでも、X〜Xは、いずれもアルカリ金属原子であることが好ましく、ナトリウム又はカリウムであることがより好ましい。
〜Xは、互いに、同一であっても異なっていてもよい。
は、0〜5の整数を表し、0〜2であることが好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物のなかで好適なものとしては、洗剤原料の撹拌(捏和混練)をより良好に行うことができることから、下記化学式(5)で表される化合物(ニトリロトリ酢酸)、下記化学式(6)で表される化合物(メチルグリシン二酢酸(MGDA))、下記化学式(7)で表される化合物(セリン二酢酸)又はそれらの塩が挙げられる。なかでも、メチルグリシン二酢酸又はその塩がより好ましい。
Figure 0005656696
前記一般式(I)〜(III)で表される化合物を造粒工程で配合すると、末端基の「−COOX」の一部又は全部が「−COO」となり、当該化合物は、洗剤原料の撹拌(捏和混練)の際、バインダとして作用する、と考えられる。
有機キレート剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、有機キレート剤としては、洗剤原料の撹拌(捏和混練)を特に良好に行うことができることから、前記一般式(III)で表される化合物が好ましく、メチルグリシン二酢酸又はその塩が最も好ましい。
有機キレート剤は、配合効果が良好で、また、配合の際に取り扱いが容易であることから、粉体状のものをそのまま用いることが好ましい。
粒状洗剤組成物中の有機キレート剤の含有量は、0.01〜1.5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましく、0.1〜0.5質量%であることがさらに好ましく、0.2〜0.4質量%であることが特に好ましい。
粒状洗剤組成物中の含有量が下限値以上であることにより、洗剤原料の撹拌(捏和混練)を良好に行うことができ、洗剤原料がより均一に混合されるようになる。その結果として、粒状洗剤組成物の水に対する溶解性が向上する。一方、上限値以下であれば、洗剤原料の撹拌(捏和混練)を良好に行うことができ、配合効果が充分に得られる。
特に、有機キレート剤としてメチルグリシン二酢酸又はその塩を用いた場合、粒状洗剤組成物中、メチルグリシン二酢酸又はその塩の含有量は0.01〜1.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。
メチルグリシン二酢酸又はその塩の含有量が前記範囲であると、粒状洗剤組成物の水に対する溶解性が特に向上する。これは、メチルグリシン二酢酸又はその塩を前記範囲の含有量とすることにより、洗剤原料の撹拌(捏和混練)の効率が特に高まるため、と考えられる。
前記硫酸塩水和物の水分子を除く硫酸塩と前記有機キレート剤との混合比率は、硫酸塩/有機キレート剤で表されるモル比で、硫酸塩/有機キレート剤=350/1〜1/150であることが好ましく、50/1〜1/20であることがより好ましく、5/1〜1/1であることが特に好ましい。
当該モル比が下限値以上である(硫酸塩の割合が増える)と、水に溶解する際、洗剤粒子のゲル化・凝集が起こりにくくなり、一方、上限値以下である(有機キレート剤の割合が増える)と、洗剤原料の撹拌(捏和混練)を良好に行うことができ、洗剤原料が均一に混合されやすくなる。
(その他成分)
本発明の製造方法により製造される粒状洗剤組成物は、前記の界面活性剤、無機ビルダー、アルカリ剤、硫酸塩水和物及び分子内に窒素原子を含む有機キレート剤以外のその他洗剤原料を必要に応じて含有してもよい。
その他洗剤原料としては、衣料用等の洗浄剤組成物に通常使用されているものが挙げられ、たとえば、分子内に窒素原子を含む有機キレート剤を除く有機ビルダー;亜硫酸塩、チオ硫酸塩などの還元剤;硫酸塩などの粒子強度保持剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酵素剤、漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、ベントナイトなどの柔軟化剤、カルボキシメチルセルロース塩などの再汚染(沈着)防止剤、泡コントロール剤、香料、表面改質剤、吸油剤が挙げられる。
特に、漂白剤として過炭酸塩又は過ホウ酸塩と、漂白活性化剤として有機過酸前駆体とを組み合わせてさらに配合した粒状洗剤組成物は、漂白効果に優れるため好ましい。
過炭酸塩としては過炭酸ナトリウム等、過ホウ酸塩としては過ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
有機過酸前駆体としては、アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS12)、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、アルカノイルオキシ安息香酸(4−デカノイルオキシ安息香酸(OBC10)等)、ポリアシル化アルキレンジアミン(N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)等)などが挙げられる。
分子内に窒素原子を含む有機キレート剤を除く有機ビルダーとしては、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸コポリマー塩、クエン酸塩、ポリアセタールカルボキシレート等が挙げられ、なかでもポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸コポリマー塩が好ましい。粒状洗剤組成物中の当該有機ビルダーの含有量は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜6質量%であることがさらに好ましい。当該有機ビルダーの含有量が下限値以上であることにより、長期貯蔵時の固化防止性が向上する。一方、上限値以下であれば、配合効果が充分に得られる。
[前処理工程]
前処理工程では、前記界面活性剤と前記無機ビルダーと前記アルカリ剤とを混合し、水分含有量が15質量%以下の混合物を調製する。
洗剤原料の混合方法は、従来公知の方法が用いられ、たとえば、界面活性剤、無機ビルダー、アルカリ剤及びその他洗剤原料を水と共に均一に混合して洗剤スラリーを調製する方法; 界面活性剤、無機ビルダー、アルカリ剤及びその他洗剤原料を混合しながら造粒物を調製する方法; 界面活性剤、無機ビルダー、アルカリ剤及びその他洗剤原料を単純に混合するだけの方法が挙げられる。
界面活性剤、無機ビルダー及びアルカリ剤の使用量は、所定の配合量の一部又は全部であり、所定の配合量の一部を配合する際の使用量は、全工程を通じて適宜、決定すればよい。
本工程において調製される洗剤原料の混合物は、その水分含有量が15質量%以下であり、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8%であることがより好ましい。前記混合物の水分含有量が15質量%以下であることにより、次の造粒工程で配合される硫酸塩水和物と有機キレート剤の配合効果が得られる。
洗剤原料の混合物中の水分含有量を制御する方法は、たとえば洗剤スラリーを噴霧乾燥する方法、上記の単純に混合するだけの方法においては、混合した後の洗剤原料を乾燥する方法、又は混合する前に予め各洗剤原料の水分含有量を制御する方法が挙げられる。
本発明において、水分含有量は、赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所製)により試料5g、試料表面温度130℃、20分間で測定した値である。
[造粒工程]
造粒工程では、前記前処理工程で得られる混合物に、硫酸塩水和物と、分子内に窒素原子を含む有機キレート剤とを配合して造粒を行う。
本工程において、特定の水分含有量を有する混合物に当該硫酸塩水和物と当該有機キレート剤とを配合することにより、洗剤原料の撹拌(捏和混練)が良好に行われて、洗剤原料にせん断力を充分に付与でき、洗剤原料が均一に混合されるようになる。
本発明における造粒方法は、従来公知の破砕造粒法(捏和・押出し・粉砕)、撹拌造粒法、転動造粒法などを用いることができる。
なかでも、洗剤原料に加わるせん断力が大きく、洗剤原料が均一に混合されやすいことから、破砕造粒法(捏和・押出し・粉砕)、撹拌造粒法が好ましく、破砕造粒法(捏和・押出し・粉砕)が特に好ましい。
本工程の造粒方法として破砕造粒法(捏和・押出し・粉砕)を用いた場合、以下のようにして造粒を行う。
たとえば、連続式又はバッチ式のニーダー等の混練・捏和機を用いて、前記前処理工程で得られる混合物に、前記硫酸塩水和物と、前記有機キレート剤と、その他成分とを配合して捏和混練を行う。
前記硫酸塩水和物と前記有機キレート剤との配合順序は、特に限定されず、それぞれ別個に配合してもよく、予め混合したものを配合してもよい。
その他成分としては、たとえば、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど)、アニオン界面活性剤(MESなど)等の界面活性剤の一部、少量の水又はそれらの混合物などが挙げられる。
この界面活性剤は、捏和混練をより良好に行うことができることから、水分を0.1〜30質量%含んでいるものを配合することが好ましく、1〜20質量%含んでいるものを配合することがより好ましく、5〜15質量%含んでいるものを配合することがさらに好ましい。
少量の水は、捏和混練をより良好に行うことができることから、前記前処理工程で得られる混合物100質量部に対して0.01〜10質量部の水を配合することが好ましく、0.1〜5質量部の水を配合することがより好ましく、0.5〜2質量部の水を配合することがさらに好ましい。
捏和混練の処理を行う際、その処理温度は30〜80℃に制御することが好ましく、40〜70℃に制御することがより好ましく、処理時間は20〜90秒間とすることが好ましく、30〜60秒間とすることがより好ましい。
次いで、当該捏和混練により得られた混練物を、押出し機を用いて小孔から押し出すことによりペレット状物を得る。
その後、得られたペレット状物を、フィッツミル、スピードミルなどのハンマー、カッターミルタイプの粉砕機を用いて粉砕して整粒を行うことにより粒状洗剤組成物が製造される。
粉砕の際、ペレット状物の粉砕した粒子同士の付着が抑制されることから、粉砕助剤を用いることが好ましい。粉砕助剤としては、たとえば、ゼオライト、炭酸ナトリウム、シリカ誘導体、粘土鉱物が挙げられ、好ましくは平均粒子径が200μm未満、より好ましくは50μm未満、さらに好ましくは10μm未満のものが好ましい。
なお、粉砕助剤における平均粒子径は、後述の粒状洗剤組成物の平均粒子径と同様にして求めることができる。ただし、粒子径が150μmより小さい場合は、レーザー光散乱法(たとえば、粒度分布測定装置(LDSA−3400A(17ch)、東日コンピューターアプリケーションズ株式会社製を使用)によって測定される値であり、平均粒子径は体積基準のメジアン径である。
また、造粒方法として撹拌造粒法を用いた場合、前記前処理工程で得られる混合物と、前記硫酸塩水和物と、前記有機キレート剤と、その他成分とを、従来公知の回分式又は連続式の撹拌造粒機に導入して撹拌を行うことにより粒状洗剤組成物が製造される。
撹拌造粒法における好適な造粒条件としては、下記式
フルード数(Fr)=V/(r×g)0.5
で定義されるフルード数(Fr)を1〜4に制御することが好ましく、1.2〜3に制御することがより好ましい。
フルード数が1以上であると、圧密化が促進される。一方、フルード数が4以下であると、粒度分布が広くなりすぎず、好ましい。
上記式中、Vは撹拌羽根の先端の周速〔m/s〕、rは撹拌羽根の回転半径〔m〕、gは重力加速度〔m/s〕をそれぞれ示す。
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、上述した前処理工程及び造粒工程以外のその他工程を有していてもよい。
その他工程としては、造粒工程で得られた造粒物表面を、ゼオライト、界面活性剤、香料等により被覆する工程などが挙げられる。
本発明の製造方法により製造される粒状洗剤組成物の平均粒子径は、200〜1500μmであることが好ましく、250〜1000μmであることがより好ましい。平均粒子径が200μm以上であると、使用時に粉立ちが抑制される。一方、1500μm以下であると、水への溶解性が向上する。
なお、平均粒子径は、以下に示すように、篩いを用いて粒度分布を求め、その粒度分布から算出する方法によって確認することができる。
[平均粒子径の測定方法]
まず、測定対象物(サンプル)について、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行う。分級操作は、まず受け皿の上方に該9段の篩を、上に向かって目開きが次第に大きくなるように積み重ね、最上部の目開き1680μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れる。次いで、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機(飯田製作所社製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩および受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記数式(1)より平均粒子径(質量50%)を求める。
Figure 0005656696
本発明の製造方法により製造される粒状洗剤組成物の嵩密度は、0.3g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2g/cm、さらに好ましくは0.6〜1.1g/cmである。嵩密度が0.3g/cm以上であると、粒状洗剤組成物の保管時に必要なスペース(保管場所)をより少なくでき、有利となる。一方、1.2g/cm以下であると、粒状洗剤組成物の水への溶解性が良好となる。
なお、前記嵩密度は、JIS K3362−1998に準じて測定される値を示す。
以上説明した本発明の粒状洗剤組成物の製造方法によれば、界面活性剤の含有量が30質量%未満と低濃度であっても、水に対する溶解性に優れる。かかる効果が得られる理由としては定かではないが以下のように推測される。
粒状洗剤組成物の製造方法において、界面活性剤濃度が低くなると、造粒を行う際、バインダとして作用する界面活性剤が少ないため、撹拌(捏和混練)により洗剤原料に加わるせん断力が弱まる。これにより、洗剤原料が不均一に混合した洗剤粒子が調製され、特に界面活性剤が洗剤粒子中で偏在しやすくなる。
従来の製造方法により製造される粒状洗剤組成物においては、水に溶解しようとした際、界面活性剤が偏在している所は界面活性剤濃度が高いため、洗剤粒子がゲル状となり、このゲル状の洗剤粒子同士が凝集を起こすことによって、水に対する溶解性が悪くなっていた、と考えられる。この不具合は、造粒を行う際、ニーダー等の混練・捏和機の動力を高くして運転を行っても解決するものではなかった。
本発明の製造方法においては、造粒を行う際、特定の水分含有量を有する洗剤原料混合物に、硫酸塩水和物を配合することにより、洗剤粒子のゲル化・凝集が起きにくくなる。これは、洗剤粒子内で、界面活性剤の周りに、水分子を有する硫酸塩水和物が存在していることにより、洗剤粒子中の界面活性剤が、粒状洗剤組成物の使用時、多量の水と接してもゲル化が起きにくくなっているため、又は、硫酸塩水和物から脱水した水により撹拌(捏和混練)が良好に行われて界面活性剤の偏在が生じにくくなるため、と考えられる。
また、本発明の製造方法においては、造粒を行う際、特定の水分含有量を有する洗剤原料混合物に、特定の有機キレート剤を配合することにより、撹拌(捏和混練)の際の混合性が良好となる。これは、特定の有機キレート剤は水中で洗剤原料との間で相互作用が働きやすく、洗剤原料の撹拌(捏和混練)の際、バインダとして作用しているため、と考えられる。
造粒を行う際、上述した硫酸塩水和物と特定の有機キレート剤の両成分の配合効果がいずれも発揮されることによって、洗剤粒子中での界面活性剤の偏在が生じにくくなり、洗剤原料が均一に混合した洗剤粒子が調製されるため、本発明の製造方法により製造される粒状洗剤組成物は、水に対する溶解性に優れると考えられる。
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、界面活性剤の使用量低減、節水など、近年の洗濯事情の変化や環境負荷に対する意識の高まり等から求められる要求に応えた粒状洗剤組成物を製造するのに好適な方法である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
各例の製造方法により製造した粒状洗剤組成物の組成を表1〜3に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
・界面活性剤
MES−Na:α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト[ペースト組成:α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩63質量%、ノニオン界面活性剤(後述のポリオキシエチレンアルキルエーテル)16質量%、ジ塩及びメチル硫酸塩等の不純物8質量%、水分13質量%]、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の脂肪酸鎖長は炭素数16と18、炭素数16のものと炭素数18のものとの混合割合C16/C18=8/2(モル比)。
LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン株式会社製、ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]を、後述の製造方法の[前処理工程]における水性スラリー調製時に48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した化合物。
LAS−H:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン株式会社製、ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:ECOROL26(商品名、ECOGREEN社製;炭素数12〜16のアルキル基を有するアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(融点40℃)。純分90質量%、水分含有量10質量%。
石鹸:炭素数(C)12〜18の脂肪酸ナトリウム[ライオン株式会社製、純分67質量%、タイター40〜45℃;脂肪酸組成 C12 0.7質量%、C14 11.4質量%、C16 29.2質量%、C18F0(ステアリン酸)0.7質量%、C18F1(オレイン酸)56.8質量%、C18F2(リノール酸)1.2質量%;分子量289]。
・無機ビルダー
ゼオライト:A型ゼオライト、タイシリケート社製、商品名「ゼオライトNa−4A」、純分80質量%、平均粒子径3μm。
・アルカリ剤
炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子株式会社製)平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm)。
炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子株式会社製)平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm)。
・硫酸塩水和物
硫酸亜鉛七水和物:硫酸亜鉛(三井金属鉱業株式会社製)七水和物、平均粒子径580μm、脱水温度73℃。
硫酸銅五水和物:硫酸銅(II)五水和物(商品名、和光純薬工業株式会社製)試薬特級、平均粒子径530μm、脱水温度45℃。
硫酸亜鉛一水和物:堀池産業株式会社製、商品名「ZNS−13」、平均粒子径200μm、脱水温度270℃。
・硫酸塩水和物の比較成分
硫酸塩の無水物:硫酸亜鉛(商品名、和光純薬工業株式会社製)。
・分子内に窒素原子を含む有機キレート剤
メチルグリシン二酢酸(パウダー):メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム、BASFジャパン株式会社製、商品名「Trilon M Powder」、配位座4、平均粒子径80μm;純分87質量%。
メチルグリシン二酢酸(コンパクテート):メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム、BASFジャパン株式会社製、商品名「Trilon M Compactate」、配位座4、平均粒子径1300μm;純分86質量%。
ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム:HIDS(商品名、株式会社日本触媒製)を水分5質量%まで乾燥して粉末化したもの、純分95質量%。
・その他成分
硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0(商品名、四国化成株式会社製)。
亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学株式会社製)。
アクリル酸−マレイン酸コポリマー塩:アクアリックTL−400(商品名、株式会社日本触媒製)純分40質量%。
蛍光増白剤:チノパールCBS−X/チノパールAMS−GX=3/1(質量比)(商品名、チバ・ジャパン株式会社製)。
酵素剤A:プロテアーゼ(サビナーゼ12T)/リパーゼ(LIPEX100T)/アミラーゼ(ステインザイム12T)(以上、すべてノボザイムズ・ジャパン株式会社製)=5/1/4(質量比)の混合物。
酵素剤B:プロテアーゼ(サビナーゼ12T)/アミラーゼ(ステインザイム12T)/リパーゼ(LIPEX100T)/セルラーゼ(セルクリーン4500T)(以上、すべてノボザイムズ・ジャパン株式会社製)=4/1/1/4(質量比)の混合物。
過炭酸ナトリウム造粒物:Zhejiang JINKE CHEMICALS社製、商品名「SPCC」、有効酸素量13.8質量%、平均粒子径870μm。
漂白活性化剤造粒物:OBS12(4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム)と、PEG6000と、AOS(炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品)と、A型ゼオライト粉末との質量比70/20/5/5の造粒物。以下のようにして調製した。
まず、漂白活性化剤として4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを合成した。原料としてp−フェノールスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社製 試薬)、N,N−ジメチルホルムアミド(関東化学株式会社製 試薬)、ラウリン酸クロライド(東京化成工業株式会社製 試薬)及びアセトン(関東化学株式会社製 試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
予め脱水処理したp−フェノールスルホン酸ナトリウム100g(0.46mol)をジメチルホルムアミド300g中に分散させ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、ラウリン酸クロライドを50℃で30分かけて滴下した。
滴下終了後3時間反応を行い、ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去し、アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶させた。収率は90%であった。
こうして得られた4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム70質量部、PEG6000[ポリエチレングリコール#6000M(ライオン株式会社製)]20質量部、炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPJ−400(ライオン株式会社製))5質量部の割合になるように、ホソカワミクロン社製のエクストルード・オーミックスEM−6型に供給し、混練押出し(混練温度60℃)することにより径が0.8mmφのヌードル状の押出し品を得た。
この押出し品(冷風により20℃に冷却)を、ホソカワミクロン社製のフィッツミルDKA−3型に導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量部を同様に供給し、粉砕して平均粒子径が約700μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
<粒状洗剤組成物の製造例>
表1〜3に示す組成の配合成分、含有量(質量%)に従い、下記の製造方法(破砕造粒、撹拌造粒)により粒状洗剤組成物をそれぞれ製造した。
表中、硫酸亜鉛七水和物、硫酸銅五水和物及び硫酸亜鉛一水和物の含有量は、水分子を含む含水塩(有り姿)としての量を示す。メチルグリシン二酢酸(パウダー)及びメチルグリシン二酢酸(コンパクテート)については、いずれもメチルグリシン二酢酸の量(純分換算量)を示す。その他の配合成分は、純分換算量を示す。
「共通組成」は、以下に示す共通組成S1、共通組成S2、共通組成S3をそれぞれ示す。ここでの「質量%」は、粒状洗剤組成物中の含有量を示す。「バランス」は、粒状洗剤組成物に含まれる各成分の総量が100質量%になるように配合した、当該組成物中の炭酸ナトリウムの含有量を意味する。
共通組成S1:
MES−Na 8.0質量%、LAS−Na 3.0質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル 5.0質量%、石鹸 7.0質量%、炭酸ナトリウム バランス、炭酸カリウム 10.0質量%、硫酸ナトリウム 5.0質量%、亜硫酸ナトリウム 1.0質量%、ゼオライト 20.0質量%、アクリル酸−マレイン酸コポリマー塩 2.0質量%、蛍光増白剤 0.02質量%、水 7.0質量%、酵素剤A 1.0質量%、過炭酸ナトリウム造粒物 6.0質量%、漂白活性化剤造粒物 0.5質量%
共通組成S2:
LAS−H 17.0質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル 5.0質量%、石鹸 7.0質量%、炭酸ナトリウム バランス、硫酸ナトリウム 25.0質量%、ゼオライト 20.0質量%、アクリル酸−マレイン酸コポリマー塩 4.0質量%、蛍光増白剤 0.02質量%、水 7.0質量%、酵素剤A 1.0質量%、過炭酸ナトリウム造粒物 6.0質量%、漂白活性化剤造粒物 0.5質量%
共通組成S3:
MES−Na 9.0質量%、LAS−Na 1.0質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル 4.0質量%、石鹸 5.0質量%、炭酸ナトリウム バランス、炭酸カリウム 4.0質量%、硫酸ナトリウム 13.0質量%、ゼオライト 15.0質量%、アクリル酸−マレイン酸コポリマー塩 2.0質量%、蛍光増白剤 0.1質量%、水 7.0質量%、酵素剤B 1.0質量%、過炭酸ナトリウム造粒物 10.0質量%、漂白活性化剤造粒物 0.5質量%、香料 0.3質量%
(実施例1〜10、12、13、15、16)
[前処理工程]
表に示す組成のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと、MES−Naと、ゼオライトの一部(粉砕助剤用、後混合工程用)と、酵素剤と、過炭酸ナトリウム造粒物と、漂白活性化剤造粒物と、香料と、硫酸亜鉛七水和物、硫酸銅五水和物又は硫酸亜鉛一水和物と、メチルグリシン二酢酸パウダー又はコンパクテートとを除く全配合成分を、調製温度80℃で17分間撹拌することにより、固形分62質量%の水性スラリーを得た。
なお、前記のゼオライトの一部(粉砕助剤用、後混合工程用)とは、ゼオライト全量の30質量%分を示す。
次いで、前記水性スラリーを噴霧乾燥し、水分含有量が5質量%の噴霧乾燥粒子を調製した。
[造粒工程]
前記乾燥工程で得られた噴霧乾燥粒子と共に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの一部と、MES−Naと、硫酸亜鉛七水和物又は硫酸銅五水和物又は硫酸亜鉛一水和物と、メチルグリシン二酢酸パウダー又はコンパクテートと、少量(前記噴霧乾燥粒子100質量部に対して1質量部)の水道水(東京都江戸川区)とを、連続ニーダー(株式会社栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、温度55〜65℃で40秒間、連続的に捏和混練した。
次いで、当該捏和混練により得られた混練物を、ペレッター(不二パウダル製、ダイス孔径10mmφ)に連続的に供給しながら押し出すことにより、ペレット状の固形洗剤を成形した。
その後、フィッツミル(ホソカワミクロン株式会社製、DKASO−6型)を3段直列に配置し、そこへ、前記固形洗剤と前記ゼオライトの一部(粉砕助剤用)とを15℃の冷風と共に導入し、平均粒子径が300〜500μmとなるように粉砕造粒して造粒物を得た。
なお、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの一部とは、後混合工程で用いる分を除いたものであり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル全量の70質量%分を示す。
[後混合工程]
前記造粒工程で得られた造粒物と、残りのポリオキシエチレンアルキルエーテル(30質量%分)と、前記ゼオライトの一部(後混合工程用)と、酵素剤と、過炭酸ナトリウム造粒物と、漂白活性化剤造粒物とを、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用いて、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間混合し、各例の粒状洗剤組成物を製造した。その際、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(30質量%分)のみ加圧ノズルを用い、液滴径が40〜150μmとなるように噴霧しながら添加した。実施例15、16については、香料も同時に噴霧しながら添加した。
得られた各例の粒状洗剤組成物は、嵩密度が0.82〜0.92g/cmの範囲のものであった。
平均粒子径は、上述した[平均粒子径の測定方法]と同様の方法により測定した(以下同じ)。嵩密度は、JIS K3362−1998に準じた方法により測定した(以下同じ)。
(実施例11)
[前処理工程]
表に示す組成のうち、LAS−Naと、ゼオライトの一部(造粒助剤用、後混合工程用)と、酵素剤と、過炭酸ナトリウム造粒物と、漂白活性化剤造粒物と、硫酸亜鉛七水和物と、メチルグリシン二酢酸パウダーとを除く全配合成分を、調製温度80℃で17分間撹拌することにより、固形分62質量%の水性スラリーを得た。
なお、前記のゼオライトの一部(粉砕助剤用、後混合工程用)とは、ゼオライト全量の30質量%分を示す。
次いで、前記水性スラリーを噴霧乾燥し、水分含有量が5質量%の噴霧乾燥粒子を調製した。
[造粒工程]
前記乾燥工程で得られた噴霧乾燥粒子と、ゼオライト(造粒助剤用、ゼオライト全量の25質量%分)と、LAS−Hと、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの一部と、硫酸亜鉛七水和物と、メチルグリシン二酢酸パウダーと、少量(前記噴霧乾燥粒子100質量部に対して1質量部)の水道水(東京都江戸川区)とを、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレディゲミキサー(株式会社マツボー製、M20型)に投入し(充填率30容量%)、主軸200rpm、チョッパー2000rpm、ジャケット通水20℃の撹拌を開始した。その際、フルード数(Fr)を0.2に制御して撹拌造粒を行った。
撹拌開始後5分経った時点で撹拌を止め、得られた粉体を、篩等を用いて分級し、粒子径が300〜500μmのものを造粒物とした。なお、塊状物が生成した場合には、解砕後に分級して用いた。
なお、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの一部とは、後混合工程で用いる分を除いたものであり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル全量の70質量%分を示す。
[後混合工程]
前記造粒工程で得られた造粒物と、残りのポリオキシエチレンアルキルエーテル(30質量%分)と、前記ゼオライトの一部(後混合工程用)と、酵素剤と、過炭酸ナトリウム造粒物と、漂白活性化剤造粒物とを、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用いて、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間混合し各例の粒状洗剤組成物を製造した。その際、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(30質量%分)のみ加圧ノズルを用い、液滴径が40〜150μmとなるように噴霧しながら添加した。
得られた粒状洗剤組成物は、平均粒子径が410μm、嵩密度が0.80g/cmのものであった。
(実施例14)
前記造粒工程においてメチルグリシン二酢酸パウダーに代えてヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウムを配合した以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例1)
前記造粒工程においてメチルグリシン二酢酸パウダーを未配合とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例2)
前記造粒工程において硫酸亜鉛七水和物を未配合とした以外は、実施例2の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例3)
前記造粒工程において硫酸亜鉛七水和物又は硫酸銅五水和物と、メチルグリシン二酢酸パウダー又はコンパクテートとをいずれも未配合とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例4)
硫酸亜鉛七水和物とメチルグリシン二酢酸パウダーとを、前記造粒工程における捏和混練の際ではなく、前記前処理工程における水性スラリー調製の際に配合した以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例5)
前記造粒工程において硫酸亜鉛七水和物に代えて硫酸亜鉛無水物を配合した以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例6)
前記造粒工程において硫酸亜鉛七水和物に代えて硫酸亜鉛一水和物を配合し、メチルグリシン二酢酸パウダーを未配合とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
(比較例7)
硫酸亜鉛七水和物とメチルグリシン二酢酸パウダーとを、前記造粒工程における捏和混練の際ではなく、後混合工程で配合した以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
<粒状洗剤組成物の評価>
各例の製造方法により得られた粒状洗剤組成物について、下記の布付着性評価方法により「水に対する溶解性」の評価を行った。その結果を表1〜3に併記した。
布付着性評価方法:
二槽式洗濯機(三菱電機株式会社製、CW−C30A1−H)に、5℃の水道水30Lを入れ、綿肌シャツ6枚、ポリエステルシャツ2枚及びアクリルシャツ2枚(以下これらをまとめて「洗濯対象物」ということがある。)を用いて浴比20倍に調整し、前記のシャツ10枚をそれぞれ折り畳んだものを積み重ねた状態で水面に浮かべた。
そして、前記の積み重ねられた一番上のシャツの中心付近に、粒状洗剤組成物30gを置き、当該洗濯対象物の全体を5分間浸漬した後、弱水流で5分間撹拌して排水を行った。排水後、当該洗濯対象物を1分間脱水した。
その後、当該洗濯対象物及び前記二槽式洗濯機に残存している粒状洗剤組成物の溶け残りを拾い出し、その溶け残り量を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて評価した。家庭における使用性の点から、実用上はB以上の評価が好ましい。
(評価基準)
A:溶け残りが認められなかった。
B:若干溶け残りがあるが、払い落とせばきれいに落ちた。
C:溶け残りに1mm程度の小さな塊が含まれ、払ってもかすかに白く残っていた。
D:溶け残りに1mm程度の小さな塊が無数に存在し、払っても目立つ程白く残っていた。
E:凝集した溶け残りが存在し、再洗濯が必要であった。
Figure 0005656696
Figure 0005656696
Figure 0005656696
表1〜3に示す評価結果から、界面活性剤の含有量が30質量%未満と低濃度であっても、実施例1〜16の製造方法により製造された粒状洗剤組成物はいずれも、比較例1〜7の製造方法により製造された粒状洗剤組成物に比べて、水に対する溶解性に優れることが分かる。

Claims (2)

  1. 界面活性剤30質量%未満と無機ビルダーとアルカリ剤とを含有する粒状洗剤組成物の製造方法において、
    前記界面活性剤と前記無機ビルダーと前記アルカリ剤とを混合し、水分含有量が15質量%以下の混合物を調製する前処理工程と、
    前記混合物に、硫酸塩水和物と、分子内に窒素原子を含む有機キレート剤とを配合して造粒を行う造粒工程と
    を有することを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。
  2. 前記有機キレート剤が、下記一般式(III)で表される化合物である請求項1記載の粒状洗剤組成物の製造方法。
    Figure 0005656696
    [式中、Yは、アルキル基、水酸基又は水素原子を表す。X〜Xは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。nは、0〜5の整数を表す。]
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