JP5656538B2 - 上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造 - Google Patents

上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造 Download PDF

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この発明は、工場、倉庫、事務所建物等の鉄骨造の上部構造体に対する柱脚基礎の配筋構造である上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造に関する。
工場、倉庫、事務所建物などでは、上部構造体が鉄骨造とされるものが大多数となってきている。その中で、上部構造体と下部基礎構造の接点である柱脚部は、露出型固定柱脚が、信頼性、施工性、工期を確保する為に用いられることが多い。
特開2000−73381号公報 特開2009−264045号公報
上記のような上部鉄骨造の露出型固定柱脚では、例えば図10に示すように、複数本のアンカーボルト51が埋め込まれていて、多数の柱主筋52や、フープなどが有り、さらに柱主筋の端部には定着長さの確保のためにフック部やL形部等が設けられる(図では一部の柱主筋52のみを図示し、他の鉄筋は図示を省略している)。例えば、建築の法令または規則で、柱脚基礎50の柱主筋52については、基礎梁53やフーチング部(図示せず)に引っ張り力を確実に伝達するために、下部や上部の定着長さLtが定められており、このため、柱主筋52のL形部52aや、フック部(図示せず)が設けられる。そのため、アンカーボルト51と鉄筋とが過密に輻輳し、鉄筋組立作業等に困難を極めている。

なお、鉄筋における定着長さの確保のために、拡径頭部を用いても良い旨が、建築に関する法令・規則で定められているが、どのような部位にその拡径頭部を用るかは規定されておらず、柱脚基礎において、拡径頭部を用いた例は知られていない。拡径頭部を用いた配筋例としては、特許文献2に示すものがある。
この発明の目的は、上部鉄骨造柱脚基礎において、アンカーボルトと各種鉄筋との過密配筋を解消し、鉄筋組立を容易にし、構造の信頼性を向上させることのできる上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造を提供することである。
この発明の上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造は、鉄骨造の上部構造体における鉄骨柱を支持する鉄筋コンクリート造の柱脚基礎であって、鉄筋コンクリート造の基礎梁が接合されるか、またはフーチング部上に設けられる立ち上がり部を有し、この立ち上がり部に、前記鉄骨柱と結合する複数本のアンカーボルトが埋設され、かつ前記立ち上がり部の鉄筋として、外周部に並んで配置されてそれぞれ上下方向に延びる複数本の柱主筋と、これら複数本の柱主筋の並びの周囲を取り巻く上下複数箇所のフープとを有する柱脚基礎の配筋構造において、前記柱主筋に、端部に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋を用いたことを特徴とする。
この構成によると、拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋を柱主筋に用いたため、定着長さの確保のために必要とされる柱主筋端部のフック部やL形部が不要となる。フック部やL形部の代わりに拡径頭部が必要であるが、拡径頭部はフック部やL形部に比べて極小さい。そのため、フック部やL形部が省略される分だけ、配筋の過密化が緩和される。したがって、複数本のアンカーボルトが埋め込まれていて、多数の柱主筋、フープなどが有る柱脚基礎でありながら、過密配筋が解消されて、鉄筋組立が容易にとなり、定着長さの確保や施工精度の向上による構造の信頼性を向上させることができる。
記柱脚基礎の四隅の柱主筋は、上下端に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とし、中間の柱主筋は、下端のみに拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とする。
建築に係る法令・基準により、認定された固定柱脚において、柱脚基礎の柱主筋は、下部の定着長さが決められ、また出隅の柱主筋では、さらに上端にフックを設けることが義務付けられている。そのため、四隅の柱主筋は、上下端に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とすることで、下端の定着長さおよび上端にフックを設ける要求を充足し、中間の柱主筋は下端のみに拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とすることで、下端に要求される定着長さの要求を充足することができる。一端に拡径頭部を有する鉄筋は、定尺物の商品化が試みられており、中間の柱主筋については、下端のみに拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とすることで、定尺物を利用できて、加工コストや切断による鉄筋の無駄を無くし、コスト削減を図ることができる。
参考提案例として、前記柱脚基礎の四隅の柱主筋は、下端に、柱外方へ折れ曲がって略水平に延びて垂直部とでL字形を成すL形部を有するものとしても良い。四隅の柱主筋の上端は、前記拡径頭部を有するものとするのが好ましいが、必ずしも拡径頭部を設けなくても良い。
このように、柱脚基礎の四隅の柱主筋が柱外方へ延びるL形部を有する場合は、配筋作業時に、前記L形部が柱主筋とフープとの鉄筋組立体の脚部となって、鉄筋組立体が安定し、作業性が向上する。
この発明において、前記立ち上がり部に鉄筋コンクリート造の基礎梁が接合されていて、前記立ち上がり部の前記複数本の柱主筋とフープとで囲まれる部分に前記基礎梁の梁主筋の端部があり、この梁主筋を、前記端部が拡径頭部となった拡径頭部付き鉄筋としても良い。梁主筋についても、柱脚基礎内に定着される部分を拡径頭部とすることで、過密配筋がより一層確実に解消される。
この発明の上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造は、鉄骨造の上部構造体における鉄骨柱を支持する鉄筋コンクリート造の柱脚基礎であって、鉄筋コンクリート造の基礎梁が接合されるか、またはフーチング部上に設けられる立ち上がり部を有し、この立ち上がり部に、前記鉄骨柱と結合する複数本のアンカーボルトが埋設され、かつ前記立ち上がり部の鉄筋として、外周部に並んで配置されてそれぞれ上下方向に延びる複数本の柱主筋と、これら複数本の柱主筋の並びの周囲を取り巻く上下複数箇所のフープとを有する柱脚基礎の配筋構造において、前記柱主筋に、端部に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋を用い、前記柱脚基礎の四隅の柱主筋は、上下端に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とし、中間の柱主筋は、下端のみに拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とするため、上部鉄骨造柱脚基礎において、アンカーボルトと各種鉄筋との過密配筋を解消し、鉄筋組立を容易にし、構造の信頼性を向上させることができる。
この発明の一実施形態に係る上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造を示す破断正面図である。 同柱脚基礎の配筋構造を示す破断平面図である。 同柱脚基礎に用いるアンカーを組み立てたアンカーフレームの平面図および正面図である。 同柱脚基礎の柱主筋の拡径頭部の一例を示す正面図である。 拡径頭部の変形例を示す破断正面図である。 拡径頭部の他の変形例を示す破断正面図である。 他の実施形態に係る上部鉄骨造柱脚基礎を示す破断斜視図である。 参考提案例に係る上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造を示す破断正面図である。 参考提案例における鉄筋組立体の一部省略斜視図である。 従来の柱脚基礎の配筋における定着長さを示す説明図である。
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1,図2は、いずれも断面図であるが、コンクリート部分のハッチングを省略している。この上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造は、鉄骨造の上部構造体1における鉄骨柱2を支持する鉄筋コンクート造の柱脚基礎3における配筋構造である。鉄骨柱2は、角形鋼管またはH形鋼等からなり、ベースプレート4を有している。上部構造体1は、工場、倉庫、事務所建物である。柱脚基礎3の平面形状は、この実施形態では正方形等の矩形としているが、円形等であっても良い。
図1,図2において、柱脚基礎3には、鉄筋コンクリート造の基礎梁5が、1側面ないし4側面に接合される。図1,2は、基礎梁5を柱脚基礎3の2側面に接合した例である。図7は、基礎梁5を柱脚基礎3の2側面に接合した例を示す。ただし、図7は、柱脚基礎3の鉄筋については一部のみを示して他は省略している。
柱脚基礎3は、基礎梁5の幅よりも広い幅の立ち上がり部3aと、この立ち上がり部3aの下端外周に広がるフーチング部(図示せず)とを有する。フーチング部は、必ずしも設けられていなくても良い。また、フーチング部が設けられていて、基礎梁5が設けられていなくて良い。柱脚基礎3には、鉄骨柱2と結合する複数本のアンカーボルト6が埋設されている。アンカーボルト6は、図示の例では、柱脚基礎3の四隅に2本ずつ並べて設けられている。なお、図1では、図示の都合上、アンカーボルト6は、1隅に対して1本のみ図示し、他は図示を省略している。鉄骨柱2のベースプレート4は、柱脚基礎3の上面に介在部材7を介して設置される。介在部材7は、天端モルタルやスペーサ等である。このベースプレート4に設けられた各ボルト挿通孔にアンカーボルト6が挿通され、アンカーボルト6に螺合したナット9を締めつけることにより、ベースプレート4が柱脚基礎3の上面に固定される。
アンカーボルト6は、個別に柱脚基礎3に埋め込まれるものであっても良く、また、例えば図3のようにアンカーフレーム10として組み立てた状態に柱脚基礎3に埋め込まれるようにしても良い。アンカーフレーム10は、一つの柱脚基礎3に用いられる各アンカーボルト6を、上下の矩形環状のフレーム11,12に設けられた挿通孔(図示せず)にに挿通し、ナット9,13で締め付けたものである。下側のフレームには、四隅にL形鋼等からなる脚材15が設けてある。この脚材15は省略しても良い。上側のフレーム11は、柱脚基礎3のコクリート内に埋め込むようにしても、上方に露出するようにしても良く、またコンクリートの硬化後に取り外しても良い。各アンカーボルト6の下部には、定着板14が取付けられる。定着板14は、各アンカーボルト6を個別に埋め込む場合にも設けられる。各アンカーボルト6の外周には、基礎コンクリートとの摩擦を低減するためのスリーブであるアンボンドスリーブ(図示せず)が被せてあっても良い。
図1,図2において、柱脚基礎3の立ち上がり部3aの鉄筋としては、外周部に並んで配置されてそれぞれ上下方向に延びる複数本の柱主筋15(15A ,15B )と、これら複数本の柱主筋15の並びの周囲を取り巻く上下複数箇所のフープ16とを有する。柱主筋15には、柱脚基礎3の四隅に配置される柱主筋15A と、これら各隅の柱主筋15A の間である中間に配置される柱主筋15B とがある。
基礎梁5の鉄筋としては、上端および下端にそれぞれ横方向に並んで複数本ずつ設けられる梁主筋17と、これら上下の梁主筋17の並びの周囲を取り巻く長手方向複数箇所のスターラップ18と、横方向の補助筋19とでなる。
柱脚基礎3の前記各柱主筋15には、いずれも、端部に拡径頭部15aを有する拡径頭部付き鉄筋を用いている。このうち、四隅に配置される柱主筋15A は、上下端に拡径頭部15aを有するものとされ、中間の柱主筋15B には、下端のみに拡径頭部15aを有するものとされる。
基礎梁5の梁主筋17は、図2のように、端部が柱脚基礎3内に延びて柱脚基礎3の立ち上がり部3a内で定着される。これら梁主筋17は、いずれも、柱脚基礎3で定着される端部が拡径頭部17aとされる。
図4は、柱主筋15の拡径頭部15aの一例を示す。この例の拡径頭部15aは、柱主筋15となる鉄筋の端部を加熱状態で拡径形状に塑性変形させたものである。拡径頭部15aの外径は、建築に関する法令や規則で定められた外径とされる。また、柱主筋15は、丸棒部15bの外周に突条15cを設けた異形鉄筋とされている。
柱主筋15の拡径頭部15aは、一体に塑性変形で形成したものに限らず、例えば図6に示すように、鉄筋嵌合孔21aを有する頭部形成部材21を、柱主筋15の丸棒部15bの端部に嵌合して接合したものであっても良い。また、図6に示すように、柱主筋15の端部外周に雄ねじ部15dを形成し、雌ねじ孔21bを有する頭部形成部材21Aを螺合させて拡径頭部15aとしても良い。
なお、図2の梁主筋17の拡径頭部17aも、上述の柱主筋15の各種の拡径頭部15aと同様のものとされる。
上記構成の柱脚基礎3の配筋構造によると、拡径頭部15aを有する拡径頭部付き鉄筋を柱主筋15に用いたため、定着長さの確保のために必要とされる柱主筋端部のフック部やL形部が不要となる。すなわち、建築に係る法令・基準により、認定された固定柱脚において、柱脚基礎3の柱主筋15は、下部の定着長さが定められている。また、出隅の柱主筋15A については、さらに上部の定着長さが定められ、そのためにフックを設けることなどが義務付けられている。
これに対して、この実施形態では、四隅の柱主筋15A は、上下の両端端に拡径頭部15aを有する拡径頭部付き鉄筋としており、中間の柱主筋15B については、下端のみに拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋としている。これらの拡径頭部15aを設けることにより、図1に図示の上部定着長さL1、下部定着長さL2だけで、定着長さの確保のための基準を満足し、必要な定着強度を得ることができる。
フック部やL形部の代わりに拡径頭部15aは必要であるが、拡径頭部15aはフック部やL形部に比べて極小さい。
このため、フック部やL形部が省略される分だけ、配筋の過密化が緩和される。したがって、複数本のアンカーボルト6が埋め込まれていて、多数の柱主筋15、フープ16、梁主筋17の定着部などが存在する柱脚基礎3でありながら、過密配筋が解消されて、鉄筋組立が容易にとなり、定着長さの確保や施工精度の向上による構造の信頼性を向上させることができる。
この実施形態では、前記梁主筋17についても、柱脚基礎3内に定着される部分を拡径頭部17aとした拡径頭部付き鉄筋としたため、定着強度を確保しながら、過密配筋がより一層確実に解消される。
また、図3のようなアンカーフレーム10を構成する場合、連結フレーム11,12があって、柱脚基礎3のコンクリーク内に埋め込む部材がより過密となるが、この場合にも柱主筋15に拡径頭部15aを設けたため、過密配置が緩和され、アンカーフレーム10の採用と拡径頭部15aの採用とで、鉄筋の組立がより一層簡単で短時間に行え、信頼性もさらに向上する。
図8,図9は、参考提案例を示す。この参考提案例は、図1に示す実施形態において、四隅の柱主筋15A につき、下端に拡径頭部15aを設ける代わりに、下端にL形部15fを設けたものである。L形部15fは、柱主筋15A の垂直部の下端から柱外方へ折れ曲がって略水平に延びて垂直部とでL字形を成す。L形部15fの延びる方向は、例えば、柱脚基礎3の立ち上がり部3aの断面における対角線の延長方向、または立ち上がり部3aのいずれかの側面に対する略45°の方向とされる。四隅の柱主筋15A の上端は拡径頭部15aを有しているが、必ずしも拡径頭部15aを設けなくても良い。なお、図9では中間の柱主筋15B は、図示を省略している。
このように、四隅の柱主筋15A が柱外方へ延びるL形部15fを有する場合は、配筋作業時に、前記L形部15fが柱主筋15とフープ16との鉄筋組立体の脚部として機能して鉄筋組立体が安定し、作業性が向上する。この参考提案例におけるその他の構成,効果は、図1に示す第1の実施形態と同様である。
1…上部構造体
2…鉄骨柱
3…柱脚基礎
5…基礎梁
6…アンカーボルト
15…柱主筋
15A …四隅の柱主筋
15B …中間の柱主筋
15a…拡径頭部
15f…L形部
17…梁主筋
17a…拡径頭部

Claims (2)

  1. 鉄骨造の上部構造体における鉄骨柱を支持する鉄筋コンクリート造の柱脚基礎であって、鉄筋コンクリート造の基礎梁が接合されるか、またはフーチング部上に設けられる立ち上がり部を有し、この立ち上がり部に、前記鉄骨柱と結合する複数本のアンカーボルトが埋設され、かつ前記立ち上がり部の鉄筋として、外周部に並んで配置されてそれぞれ上下方向に延びる複数本の柱主筋と、これら複数本の柱主筋の並びの周囲を取り巻く上下複数箇所のフープとを有する柱脚基礎の配筋構造において、
    前記柱主筋に、端部に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋を用い、前記柱脚基礎の四隅の柱主筋は、上下端に拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とし、中間の柱主筋は、下端のみに拡径頭部を有する拡径頭部付き鉄筋とすることを特徴とする上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造。
  2. 請求項において、前記立ち上がり部に鉄筋コンクリート造の基礎梁が接合されていて、前記立ち上がり部の前記複数本の柱主筋とフープとで囲まれる部分に前記基礎梁の梁主筋の端部があり、この梁主筋を、前記端部が拡径頭部となった拡径頭部付き鉄筋とする上部鉄骨造柱脚基礎の配筋構造。
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